2023年10月30日月曜日

めおと相談屋奮闘記⑩ 親と子

めおと相談屋奮闘記⑩ 親と子 一旦区切り 野口卓 

 捨子行 波乃の姉・花江の子どもが産まれた。元太郎と名付けられた。
 波乃も懐妊した。
 誠と三吉が、訪れ、流行の捨子行を熱演した。誠が詩吟を吟じ、三吉が芸をする。これを考えた太鼓持ちに演じる許可を貰いたいと言う。
 捨子行を考え出したのはぺー助師匠だった。暗い原正弘の「棄児行」という詩を即興で笑いに持っていった。原さんにも許可を取っている。信吾は猿回しの猿が演じる許可をもらった。

 伝言箱の下に捨子があった。幸吉とい生まれて一週間くらいか。甚兵衛の知り合いの、赤ちゃんを亡くしたばかりの大工のおかみさんに貰い乳をする。おむつを貰う。信吾と波乃は、このまま赤ちゃんを育てて行こうと話す。

 大名の留守居役・蟻坂が、留守居役の集まりで、留守居役たちを満足させる出し物はないかと相談にくる。信吾はぺー助師匠と三吉の共演を思いつき、ぺー助師匠と誠に話す。二人は喜ぶが、決まった座敷があり、許可がいる。もし競演が出来れば、後日、自分の座敷でも競演することという条件が付いた。二組の競演は決まった。

 兄と弟 大店の跡取り息子が相談に来る。何を相談しているのかはっきりしない。弟から相談があった。気の弱い兄が、しっかり者の腹違いの弟に店を乗っ取られると思い込んだ悩みだった。父親も息子の気の弱さを考え、はっきり言えないでいた。
 信吾は、弟の気持ちを知り、兄に、自分が考えたように話す。兄が店を継ぐことになり、弟は一番番頭と決まった。相談料として十五両入った。弟は妻を娶る。二人のお祝いに使おうと思う。

 新しい親子 巌哲和尚に、幸吉のことを相談すると、周りの声に振り回されず幸吉が幸と吉を得られるかを頭に置いておりさえすれば誤ることはないと言われる。毎日、波乃が、ムメ姉さんの所にいくか、ムメ姉さんが波乃の所にくるかして、貰い乳をしている。雨が降り、波乃だけが帰ってきた翌日、幸吉は、波乃の元に来るのを嫌がった。波乃はショックを受ける。
 ムメの夫・鉄五郎が、幸吉を養子にしたいと言ってきた。
 波乃はおむつを持ってムメに会いに行った。
 信吾は、本当の親が来ても、養父母の名前と住まいを言わない決心をした。

2023年10月26日木曜日

雇足軽八州御用

雇足軽八州御用 辻堂魁

文政十三年 1830年

 竹本長吉39才は 、紙屋を生業にする殿山に雇われたと思っていたが、本業が高利貸で、用心棒又は、取り立てに雇われていたことに気付き、辞めた。
 新しく紹介されたのは、八州御用・関東取締出役、勘定所の臨時雇いの足軽だった。手当ては一日銀一匁。

 竹本長吉は、元宇潟藩郡奉行配下の下役だった。三年前、百姓一揆の煽りを受け、郡奉行の父親は切腹、配下の者も職を失った。妻と子は名主の実家に預け独り江戸に出てきた。
 十年、もう十年と藩札を発行する執政に対して、父親は藩札発行を抑え身の丈に合った藩政に戻すべきという考えだった。父親亡き後、長吉に藩の厳しい監視の目を向けられていた。
 
 関東取締出役は、家禄五十俵の御家人・蕪木鉄之助56才だった。二十年続けている。29才の息子は家をまだ継いでいない。

 十二月一日出立。蕪木鉄之助、小者・六兵衛、雇足軽・竹内長吉と多田次治44才。約一年旅が続く。

 大きな出来事もなく過ぎる。
 啼きの道助が率いる一味が押し込み強盗を働き、二十年逃げている。道助中心に四人、その時々に人数を集め押し入る。その四人が塩原の湯治場にいる。臨時出役・西野の一手と一緒に四人を捕らえるという命令が来た。
 西野の到着が遅れている。四人が明日の朝出立すると情報が入り、蕪木は自分たちだけで捕まえることにする。手助けも入れて二十数人になる。
 四人は裏から逃げた。西野が着いて、蕪木の不始末を責める。蕪木は、八日も前に下知されているのに何故こんなに遅れたかと責める。西野は黙って帰った。

 九才で元締をする子どもの博打開催を見咎めた。父親の博打の借金のため身を売った母が病気のため看病に行くためのお金を稼いでいた。竹本は、杉作と一緒に母親の所に行く。
母親は死んでいた。雇い主の話を聞き、墓参りをして帰る。

 もうすぐ一年になろうとする時、啼きの道助を捕らえる機会が訪れる。多田は怪我を負い、竹本が、若い二人を倒す。蕪木は道助に殺され、竹本が二人を討った。

 蕪木が心配していた息子は、代官所手付に採用された。
 藩の執政が変わった。長吉は宇潟に帰る。竹本家再興、郡奉行拝命の内示があった。
 長吉は杉作に会いに行った。杉作は田で働き、古着の仕事を覚えようとしていた。
 
 
 
 

2023年10月22日日曜日

からさんの家 伽羅の章

からさんの家 伽羅の章 小路幸也 

 神野まひろ 20才 実の両親は離婚、父は再婚したが、新婚旅行中に事故死。再婚相手である義母の妹・神野ひろみの養女になる。高校卒業と、ひろみの結婚を機に、結婚相手の義祖母の家に住み、彼女・三原伽羅のマネージャーをしている。
 三原伽羅 74才 〈みはらから〉のペンネームで文筆家、詩人、画家として活動するアーティスト。まひろの義母の結婚相手・三原達明の母。
 永沢祐子 52才 十五年来の三原家の住人。ジャズシンガー。スナックのママ
 ヤマダタロウ 37才 三原家の住人。アーティスト
 野洲柊也 25才 三原家の住人 北海道出身、会社員
 水島レイラ 出版社編集長。新人の頃から三十年近くからさん担当。
 黒田晋 まひろの実母の再婚相手。建設会社社長。
 三原駿一 伽羅の兄の息子。刑事

 まひろがこの家に来て三年になった。
 一年掛けてまひろが書き上げた「匂い立つ 三原伽羅自伝」が売れた。ドラマ化され連続ドラマになった。現在の伽羅は本人が出演、この家で撮影され、まひろも住人もエキストラのような形で出演した。
 まひろが、柊也と付き合い始めて一年半。
 伽羅の乳がんの転移が発覚。副作用で身体や心がどうにもならないような治療はしたくない。普通に暮したいと言う。
 まひろと柊也と伽羅と三人で北海道へ行く。まひろは柊也の母親の盲腸での入院の見舞いがてらの顔合わせのために旭川へ。伽羅さんは、息子夫婦へ身体のことを話しに。 
 柊也の母親との話は自然父親の話しになる。柊也は父親を知らない。不倫だったようだ。男性は、子どもの存在を知らない。息子だと知らせないで合いに行くことには、反対はしなかった。 
 ひろみが、まひろを養女にした時。ひろみはまひろの母親と思ったことはないと言う。可愛い愛する姪っ子。まひろを母を亡くした可愛そうな子と思ったこともないと言う。
 祐子は駿一と一緒に住むことになった。    
 タロウがアトリエに使っている鉄工所の一部を音楽ホールにする。アトリエとギャラリーと音楽ホールと。設計は柊也がする。
 タロウの店ができ上がる日に、お店で、まひろと柊也の披露宴をすることにした。
 柊也は、母親が勤めていた会社を聞き出した。上司の名前も調べた。父親がどんな人か、迷惑にならないように会って来ようと思う。柊也は友人の仕事を借りて、まひろがインタビューの形をとって、七十になっている父親と話した。彼は柊也と似ていた。
  タロウの〈ホール〉のオープンの日、柊也とまひろの結婚式の日。
 〈ホール〉はギャラリーであり、ライブホールであり、カフェとバー。タロウの住み処であり、工房である。
 参列者は、達明とひろみ、柊也の母親・実里、実の祖父母・西野忠親と駒子、黒田晋、祐子と駿一、水島、タロウの兄夫婦と息子、二人の同級生、二人で誓いの言葉は、伽羅の詩を、まひろが自分の言葉にした。新婚旅行はパリ。
 三人の生活が始まった。 
 
 



2023年10月19日木曜日

からさんの家 まひろの章

 からさんの家 まひろの章 小路幸也

 神野まひろ 小学校一年生で、二宮静香ちゃんと仲よくなる前は、空想上の友達・アマド君と二人で遊んでいた。
 まひろの親は、岩崎亨・量子。まひろが生まれて離婚した。三才の時、亨が神野かえでと再婚。五才の時、二人は旅行中に事故死。かえでの妹・ひろみに育てられる。
 母親代わりの叔母が結婚する男性・三原達明の母・三原伽羅72才の家に住むことになった。高校卒業後決まっていた就職先が不祥事で駄目になった。伽羅さんの家の中のこと伽羅さんの付き人、マネージメントが仕事。伽羅さんは文筆家、画家、詩人いろんな面を持った人。

 一緒に住んでいるのは、金属アート作品を造る・ヤマダタロウ35才。
 スナックのママ・永沢祐子50才
 建築学科の学生・野洲柊也23才

 まひろは、からさんの話を聞きながら、からさんの自伝を書くことになった。

 まひろの母親のことで、建設会社社長・黒田晋が来る。まひろの実母・西野量子の現在の夫。量子がすい臓ガンで長くはないと言う話。まひろは、柊也と柊也と一緒に病院に行く。
 量子は、まひろが幸せなことを喜び、自分の決心が間違いなかったと喜ぶ。
 あかちゃんを産んでも愛情が湧かない。自分が育てると不幸になると思い、離婚したと話す。まひろの写真を入れたロケットを肌身離さず携帯していた。
 量子が亡くなった。告別式で、量子の父母・まひろの祖父母に会う。
 お正月に訪ねる約束をする。

 居間とからさんのアトリエの改装をし、まひろの書斎を作る話になった。タロウ君の部屋の防音もしようという話になった。

 

 

2023年10月16日月曜日

隠居おてだま

隠居おてだま 西條奈加 

 嶋屋徳兵衛は糸問屋屋の六代目だったが、還暦を機に隠居した。
 妻・登勢は、嶋屋に残り奥向きを支えている。
 隠居所の午後開かれる手習所「豆堂」の師匠を務める。

 徳兵衛は隠居したが、孫・千代太が持ってくる事に対処するため忙しい。
 千代太の友達の母親、その廻りの人たちの生活が安定するように、組み紐屋「五十六屋」を始めた。
 子供たちに読み書きを教えるため豆堂を始めた。
 子供たちが小遣い稼ぎが出来るよう、子どもたちの王子権現案内を支援している。

 末娘・楽が、錺職人と一緒に住み、子どもが出来た。事を知った長男、次男、登勢、各嫁等は父親・徳兵衛は絶対許さない、楽を勘当するに違いないと思い込み、みんなで思案する。

 錺師・秋治が楽との関係を明かさず、徳兵衛に会いに行き、売り出したい帯留を見せ、売り出しに手を借りることに成功する。徳兵衛は秋治も帯留も気に入り応援する。
 秋治と楽のことを知った。それ以上に家族が、知っていたにも関わらず自分だけ知らずに廻りに乗せられていたことにショックを受ける。自分が頑固なためと分ってはいるが。
 徳兵衛は、自分が独り嶋屋から出ることにした。家族と会わないようになった。

 登勢が嶋屋を出て、一人暮らしを始めた。

2023年10月14日土曜日

空也十番勝負〈十 〉奔れ、空也

空也十番勝負〈十 〉奔れ、空也 佐伯泰英

 京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和室生寺向かう一行と同道することになった。隠居は室生寺の修繕費用五百両を持っていた。

 途中、柳生新陰流正木坂道場で稽古に加わる。その有り様に違和感を抱き、室生寺に向かう。柳生家の 

 姥捨の里で待つ重富一家と眉月姫一行は、龍神温泉に行く。

 空也は、室生寺の奥の院で独り修業するため隠居たちと別れる。隠居の共・康吉と柳生藩中小姓末席の入江欣也と江戸での再会を約束する。

 江戸には、柳生の里に着いたという空也からの便りと、又兵衛からと室生寺座主和佐又修光からの手紙が届けられていた。

 空也は室生寺から大台ケ原を目指す。大台ケ原の雪道を走る。檜の老木の洞に寝起きした。干し肉をしゃぶりながら木刀を振る。
 日出ヶ岳の山頂で佐伯彦次郎と会った。雪が晴れた未明の勝負を約束する。
 現か虚か判らぬ岩場のぬるま湯に入り、届けられていた食い物を食べる。三日程続いた雪がやみ、翌未明、日出ヶ岳に向かう。
 彦次郎は十両なくても家斉から拝領した修理亮盛光。空也は己の身を斬らして彦次郎の身を絶った。彦次郎に伴う鷹・千代丸を操る老人・伴作がいた。空也は肩口から血をたらしている。
  
 寛政十二年 1800年 年が明けた。
睦月の懐妊が知らされた。
一ヶ月かかり、杖に破れ笠を被った空也が姥捨の里に着いた。
五日眠った空也は、走っていた。
二十一日に紀ノ川河口湊に到着する船で江戸に帰ることになった。
空也は高野山奥の院に三日籠った。
空也は、剣術の研鑽は、眉月を幸せにすることと通じていると信じていると眉月に言う。

2023年10月12日木曜日

脳科学捜査官真田夏希⑱ アナザーサイドストーリー 

脳科学捜査官真田夏希⑱ アナザーサイドストーリー 鳴神響一 

 上杉がかって愛した五条香里奈の妹・紗里奈が、県警に辞表を出して行方をくらました。紗里奈は、独自の見解を持ち優秀な鑑識課員だった。同僚たちから妬まれ疎まれていた。上杉は北アルプスで彼女を見付け、根岸分室の部下にする。

 上杉と紗里奈、夏希と小川とアリシアが、会う約束をする。待ち合わせ場所で夏希は誘拐される。夏希と一緒にいた小川も拉致される。
 上杉と紗里奈、アリシアは夏希と小川の後を探す。
近くまでたどり着いたアリシアは、夏希のティッシュを辿り家が判る。
かもめ★百合のファンだった。逮捕される