桜風堂夢ものがたり2 時の魔法 村山早紀
優しい怪異 桜風堂を継いだ月原一整は店を広げ、カフェコーナーを作ることにした。7月オープンする。桜風堂が属する銀河堂書店から助けに人が来る。一整は少女を見る。一度二度と会う度に、幼稚園児ぐらいから小学三年生位に成長する。誰かに似てると思う。声を聞くとあ、聞いたことのある声と思う。
卯佐美苑絵は、母親・茉莉也と前日に来る。一整が苑絵に四月の魚の絵のお礼に送ったショールを見て、村おこしの為の織物工場を引き継ごうと考えた。
苑絵が帰った日、少女は、頑張ってねお父さんと囁いた。
秋の旅人 桜風堂元店主の孫・透。透は中学生。桜野町から中学に通う、音也と風太は仲良しだった。透のクラスに転校生が来た。その日台風が桜野町を通った。中学から帰るバスが停止になり、夜のバスで帰ることになった。転校生の少女も同じバスだった。妙音岳登山口で降りた少女・葛葉千晶は、封印された龍が蘇ると言われる物語の、蘇る龍を封印するためにやってきた。透は彼女と弟と一緒に、不思議な話しを聞きながら山の上の湖に行った。わたしのこと覚えていてねという彼女はそれ以後学校にこなかった。
時の魔法 十月 苑絵が一人で桜野町へ来た。予定の時刻になっても現れない苑絵を心配してホテルを訪ねた一整は、苑絵が行方不明になっていることを知る。鍵の掛かっているはずの向かいの部屋にいる苑絵を見つける。一整は、あなたをひとりぼっちにさせない。ずっとそばにいると言う。苑絵が、どこにも行かないと言ったことがプロポーズであり返事になった。苑絵は戦後、この部屋で短い期間過ごした寂しい画家と会っていた。少女だった彼女に、薔薇の絵を描いた。
十年が経った。一整と苑絵の間に梢が生まれていた。透は、東京で学生生活を送りながら、図書館や、文化のポータルになる場所を作りたいと思っている。音也は音大在学中からヴァイオリニストして世界中を旅し、桜野町に休みに帰り、エッセイストとしてベストセラーを続けて上梓している。風太はペンションを継、ネット古書店、便利屋をしている。
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