2020年12月28日月曜日

若鷹武芸帖⑥ 黄昏の決闘

 若鷹武芸帖⑥ 黄昏の決闘 岡本さとる

 剣友・火盗改方同心・大沢要之助の頼みで居合の達人を探す。辻斬りが居合を使う。

 別式目の鈴が訪れる。居合を教える。鈴が船津家の中倉田之助を紹介してくれる。居合の技は見事だったが、病で亡くなる。故郷から江戸に来た父親・中倉平右衛門から居合を教わる。平右衛門は息子の残した書き付けから、船津家からの命令をし残したことが判った。国許で目付を斬った男が江戸に潜んでいる。男を斬るということだった。平右衛門が後を引き受ける。その男は辻斬りだった。

 大沢の調べたことを参考に男を見付け斬る。平右衛門は昔、同じように人を殺してしまった過去があった。今回は傷付け動けないようにした。船津家の国家老からの助っ人が男を殺す。男は、国家老や重職の使い込みを知った目付を国家老に頼まれて斬った者だった。助っ人は男に何も言わせないで斬るために来ていた。

 船津家の殿様は国家老を永遠蟄居にした。

 中倉平右衛門は編纂所に逗留した。

2020年12月27日日曜日

若鷹武芸帖⑤ 二刀を継ぐ者

 若鷹武芸帖⑤ 二刀を継ぐ者 岡本さとる

 公儀武芸帖編纂所で二刀を調べることになった。かって松岡大八は宮本武蔵に心酔し二刀流・円明流を追求していた。十年前、道場が寂れ閉めざるをえなくなり松岡は廻国に出た。稽古に没頭し娘・千代が池に行ったことを把握せず、沼地で見つかった千代は発熱し、身罷った。ために妻・八重と離婚したという経歴を持つ。

 大八は最後まで残った二人の門弟を探す。一人目、桑原千藏は、町人のまとめ役のようなことをしていたが、八重が働いている義弟の医者の難儀を救うため内緒で働き足に傷を負い、今では博打場の下駄箱係をしていた。千藏を救い出し書店を開く。

 二人目・小谷長七郎は二刀流を極め旗本の元で闇試合を行っていた。大八と試合することを願ったが、闇試合に敗れた者の弟との試合で半弓に狙われ怪我をする。鷹之介たちの前で試合には勝が、右腕は元のようにはならなかった。武芸帖編纂所は長七郎から二刀流の修練をきくことができた。今度は片手で立合える新たな道を探るという。

 大八は妻とも会った。娘・千代の墓に参った。

2020年12月26日土曜日

若鷹武芸帖④ 父の海

若鷹武芸帖④ 父の海 岡本さとる

 新宮鷹之介は若年寄・京極周防守から水術に目を向けるよう言われる。鷹之介は泳ぎができない。克服するため誰にも言わずに一人で練習する。水に慣れてきた頃、溺れる。助けてくれたのは海女の光だった。光は両親がいない。両親の所為で村人と付き合いづらくなり、網元に場所を確保され海女で生活していた。光に教えられ泳げるようになった。

 水術の編纂のため、水軒三右衛門の知りあいの、水術指南を夢見て釣具屋を始めた岩藏に会う。白波流水術。鷹之介は岩藏の教えで子供も頃からの海への教えを振り払われた。

 岩藏は水術教授をし、発熱し動けなくなった。そんな時、京極周防守が文書が見つかり佃島の沖合に二万両が秘匿されていると書かれていた。二万両を見つけて欲しいと頼まれた。岩藏が動けないが息子・ 沖之助が岩藏の考えた足ひれや水松明等を使って協力する。光も総動員で探し出す。引き上げの日、二万両を狙う者が現れる。鎖鎌の小杉杉蔵、手裏剣の春太郎こと富澤春の協力を得て、守り抜いた。

 二万両は嘘だった。幕府内の奸物を尾引出す囮だった。側衆・長妻伯耆守は捕まった。

 光を岩藏の水術を継ぐ者とし、編纂所預かりになり編纂所の女中になった。

2020年12月25日金曜日

若鷹武芸帖③ 姫の一分

若鷹武芸帖③ 姫の一分 岡本さとる

 公儀武芸帖編纂所頭取・新宮鷹之介は将軍・家斉から大奥の女中たちの薙刀指南ができる若い 女子を探すことを命じられる。

 二年前、九州の五万石の大名・藤浪家の十八才の姫さまが、殿様を篭絡し専横を極める江戸家老を御家に巣くう奸賊として薙刀で三人を誅殺するという事件があったことを知る。家は断絶した。姫は家斉の指図で自儘にしている。武芸帖編纂所のみなで姫を探すことにした。

 姫は家臣が始めた植木屋にいた。姫の閉ざした心を徐々に開けていく。姫を仇と狙う家老の親戚筋の男が姫を勾引かす。卑怯な試合を挑むが現れた新宮鷹之介により公平な試合となり姫が勝つ。姫は赤坂丹後坂の武芸帖編纂所に行く。家斉の御前で演武を披露し、知行三百石で大奥の女中達への武芸指南をすることになった。

 もともと家斉は鈴姫を引き立てる目論見だったようだ。

2020年12月24日木曜日

もっと知りたい源氏物語

もっと知りたい源氏物語 大塚ひかり

源氏物語を通して平安時代を知ろうと言う感じ。 

2020年12月18日金曜日

介錯人・父子斬日譚④ 剣鬼攻防 

 介錯人・父子斬日譚④ 剣鬼攻防 鳥羽亮

 一刀流道場を構える練達の青山庄兵衛が闇討ちに遭い袈裟懸けの一刀に斬り捨てられた。廻国修業から戻った嫡男の源之助が跡を継いだ。源之助は狩谷桑兵衛に助太刀を願った。桑兵衛の嫡男・唐十郎と師範代・本間弥次郎は源之助らと交流しながら仇を探す。

 闇討ちしたのは青山道場の近くに道場を建て直す杉浦道場の道場主の意向で師範代と食客の二人だった。道場主は仇討ちとか言われない前に青山源之助を殺そうとした。

 唐十郎等は杉浦道場の三人を倒す。杉浦道場は潰れた。

2020年12月16日水曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう ⑦ 

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう ⑦ 山本巧次

        妖刀は怪盗を招く

 貧乏長屋に小判が投げ込まれる。十手持ちのおゆうこと現在人の関口優佳は、鼠小僧の仕業かと思う。南町の鵜飼伝三郎は旗本四千五百石の久松丹波守の用人から、金二十両と村正の脇差を盗まれたと相談を持ちかけられる。優佳は現在で村正のことを調べる。宇田川も江戸にやってきた。

 鳶の角太郎は好きな春江が借金に困っていることを知り、春江の父親が使い込みを疑われ追い出された下野岩船藩に盗みに入り金を盗み春江の長屋に投げ込んでいた。久松家にも入っていた。四家に盗みに入っていた。犯人は分かったが村正は返ってこない。村正を追いかけ、調べる。

 角太郎が岩船藩に盗みに入るように春江の父・小橋紀右衛門に誘導されていた。久松丹波家の村正を盗むよう頼まれたのだった。小橋は金と仕官を手に入れようとしたが、殺され脇差を奪われた。宇田川の調べで蕎麦粉が見つかったことで粉挽き小屋を調べに行ったおゆうは小屋に閉じこめられる。おゆうは宇田川に助けられた。小屋は粉塵爆発が起きる。小屋跡から脇差、その他盗まれた物が見つかり故買商品の隠し場所だったことが判る。

 武家屋敷から盗まれたと届けがないため角太郎は放免されるが、江戸追放になる。父親の行状を知らされないまま春江は角太郎と名古屋へ行く。

 伝三郎は、おゆうが、自分がいた昭和二十年より未来から来ていることは判っている。宇田川も同じだろうと考えている。探るのは宇田川の方が尻尾を掴みやすいかもしれないと思う。

 角太郎の見張りをし、捕まらなかった二助は、同じ鳶だから自分にも出来るだろうと武家屋敷を襲って金を恵んで歩く角太郎の真似をしようと忍び込みの腕を磨こうと思った。本名の次郎吉・鼠小僧次郎吉の誕生だ。

2020年12月14日月曜日

お紗代夢幻草紙 鬼呼の庭

お紗代夢幻草紙 鬼呼の庭  三好昌子

 明和五年 1768年

 韓藍の庭 丁字屋の寮の隠し離れの鶏頭の庭の鶏頭を切り倒した。亡くなった長男・市松の意を聞き紗代がやった。紗代は庭師「室藤」の一人娘だった。丁字屋には市松、岩松兄弟と母親との蟠りがあった。市松は自分の宝物・柿の木の根元に埋めた岩松から貰った独楽を紗代にあげると言った。

 時迷の庭 明和六年 如月 備前屋の持ち家の庭から石を運んできた。備前屋の孫娘・珠がいなくなった。庭を作った紗代の今は亡き祖父と話し、庭から運んだ石を庭の橋の上に置く。祖父が言う通り川に飛び込み珠を見つけるが、珠は子供たちと楽しく遊んでいる。珠を抱きしめ川に飛び込む。無事備前屋の庭に帰った。

 人恋の庭 「庭封じのお紗代」と言われた。好古庵の隠居が庭が怖いと言って借家の借り手が出て行くと言う話をする。庭を見た紗代は、昔ここに住んでいた雪華堂の娘・梅を連れてくる。時期を過ぎた梅に白い花が咲く。梅は必ずここを買い戻すのでこの家を売らないでと頼む。

 魂消の庭 殺生屋敷の庭、柳が人を取り込む。紗代は命がけで柳を切った。紗代は雌株の枝と雄の若木を持ち帰った。柳との約束を守った。

 鬼呼の庭 室藤を継いで貰いたい清さん・清造の好きな女・蔦は、庭師をやめるように言う。紗代は鬼呼の庭で蔦の母・希久と会う。鬼とは亡くなった人の魂のこと。蔦が庭師を嫌う理由を聞く。希久は庭で怪我をして亡くなった。希久は木から落ちた蔦を庇い怪我をした。蔦の看病をしているうちに自分の怪我が悪化して亡くなったということを蔦に伝えた。蔦と一緒庭師「空木屋」の一人息子・源治が紗代に結婚をもし込む。鬼の庭の主・江様が亡くなった。

 言祝の庭 清造が蔦と祝言を挙げ室藤を継ことになった。紗代には岩松からの縁談もあった。紗代は鬼呼の庭の主になって欲しいと頼まれた。江様の孫・千勢があとを継げるようになるまで五年、あの世とこの世の境目を仕切って欲しいということだった。まだ力が足りない千勢と友達のいない千勢とこの庭を守ることにした。

2020年12月12日土曜日

長屋道場騒動記〈八〉 迷い熊笑う

 長屋道場騒動記〈八〉 迷い熊笑う 芝村凉也

 十河藩は、前藩主の隠し子・耕太郎の娘と思われている恵比寿屋の娘・君の取り込みを失敗っている。三嶽藩主の四男・頴志郎は十河藩に養子に行くつもりになっていたが、娘が現れ破談になることが許せない。恵比寿屋の君を見に行き、十河藩に君との婚姻を申し込む。大名と大名の婚姻となれば、千葉英次郎も手出しが出来ず、生馬たちは困ってしまう。

 耕太郎の隠居所で働いていた女中が見つかった。耕太郎の隠居所が武士団に襲われ、用人と奥女中の関夫婦が殺され、残った女の子が君だと判った。君が用人夫婦の子だと奉行所の記録に残し、藩主の血縁でないことがわかり収まった。収まらない三嶽藩の頴志郎は千葉道場に出入りする者を襲う計画を立てる。乳兄弟の側近により兄・藩主に連絡され座敷牢のような監視と拘束の中での生活になることになった。

 間野生馬が隠居所を構える前の隠し子ではと疑惑がわく。生馬は十河藩の御為派・江戸家老と上屋敷用人と御国派・相談役の老人と御納戸頭、千葉栄次郎と反町同心、恵比寿屋親子を集め、自分は十河藩の誰とも血縁でないと言った。名乗りを挙げても証明するものがなく騙りと言われるだろうということになった。十河藩の江戸家老、上屋敷用人は役を返上し、国許へ帰った。相談役は隠居した。東国の小藩から養子が来た。

 君は、生馬には前に生馬から借りた母親の形見の懐剣があることを思い出した。本当は血筋ではないかと思ったが、生馬はそれを選ばなかったということだ。



2020年12月10日木曜日

早房希美の謎解き急行

早房希美の謎解き急行 山本巧次

 遮断機のくぐり抜けは大変危険です 遮断機が下りているのにくぐり抜けしていると思われるブザーが、黒岩4号踏み切りで作動する。障害物検知装置がさどうするたび、運転手は電車を止める。毎回夜九時。四回五回と重なるうちに運転手は機械の誤作動と認識し電車を止めなくなる。武州急行鉄道の営業企画課に勤務する早房希美は現場の検査に立ち会う。大きな犬が通っていた。元警視の祖父に相談する。交番巡査と一緒に現場を張り込み、甥が電動車いすの伯母を事故死させようとすのを阻止した。

 雨の日はお足元に充分ご注意下さい 駅横の階段から落ちた男が、駅員に突き落とされたと言った。希美は調べる。大手印刷会社に勤めるサラリーマンが、不倫を疑われた妻に背を押された事件だった。希美は夫脱サラして小規模印刷会社を買おうとしていることを知り、相手の女性と本人と妻を合わせて話しをまとめる。

 危険物の持ち込みはお断りしております ストーカー被害を訴えた女性。上司からの別れ話の果てだった。女性は人質を取り車両に立てこもる。運転手と車掌の機転で取り押さえられる。

 痴漢は犯罪です 痴漢のされた犯人のあっさりさに疑問を持った希美は、その時間にあった不動産会社の三千万の金庫破りの犯人だと思った。不動産会社のある駅に痴漢犯人の逮捕のため止めていた覆面パトカーのカメラに写っていると思った希美は、祖父に話す。希美の考えた通り、あっさり痴漢を認めた男がリュックを背負って不動産屋から出てくるのが移っていた。希美の思った通り、近くのコンビニから三千万を実家に送っていた。

 特急のご乗車には特急券が必要です 特急券を持たないでのる女性と特急券を二枚買って乗る男性。三十分違いの特急で、三回もあったことを聞いた希美は興味を持つ。希美も同じ切符を買って乗る。男の隣の空いた席に掏摸が来て逮捕される。ずっと動きを見ていた希美は参考人。そして男性と特急券の話をして女性と合わす。五年前からだとダイヤ改正があったため二人は違った列車に乗ることになってしまった。

2020年12月9日水曜日

紅雲町珈琲屋こよみ⑧

 紅雲町珈琲屋こよみ⑧ 初夏の訪問者 吉永南央

 紅雲町で親切な人と評判の五十過ぎの男が、小蔵屋に来て「良一です」と名乗った。村岡家の女中だった丹野キクの息子・学として育ったという。草は詐欺を疑った。

 草は一ノ瀬と一緒に米沢へ行く。草はキクに会う。キクは学がぐれた時、芸術を愛する両親の息子ということを彼の支えにしたことを話した。学本人には草が実母ということは、本当のことだった。キクは息子に本当のことを話した。学から謝りの電話があった。

兄が宇佐木眼科、弟が薬局を開いている兄弟だが、弟がアル中だった。弟が小蔵屋で何かする度に兄が謝りに来る。草が亡くなったという誤報を読みショックを受けた弟は、草の引き裂いた着物の片袖を額に入れ新潟の病院に入院した。

一ノ瀬と久実は、知人のマンションを一年借りることができた。一年のお試しになっている。一ノ瀬は久実に内緒で実家の仕事を助けている。久実は山に行っていると思っている。

小規模マンションの一階に店を構えるもり寿司は、客が減り、怪しげな会社や団体の販売や集いに利用されている。子供を宿した妻・江子は店を辞め、一階に内科と眼科クリニックが入るマンションに変えた。

戦争画を描いた父親を恥ずかしいと感じていた石井は、長野のに引っ越したが、もりマンションに入りたいと連絡してきた。江子が別居していた部屋が空きしだい帰ってくることになった。


2020年12月5日土曜日

江戸は浅草〈三〉 桃と桜

 江戸は浅草〈三〉 桃と桜 知野みさき

 桃と桜 真一郎に人殺しの疑いがかけられた。疑いを晴らしながら、高利貸しの二重取り立てをさせていた商家を暴く。

 花残月 京都の錠前師・忠也が守藏の弟子になりたいと訪ねて来る。真一郎は商家の内儀の浮気を調べていて、一年に一ヶ月蚊帳を売りにいい男・弥彦が来ることを知る。弥彦は五年前、言い交わしていた結が借金の穴埋めのため商家に嫁いだことから近江の蚊帳作りの職人になっていた。結を近江に連れて行こうと一年に一月、江戸に来るが、結は会ってもくれない。今年で最後と思っていたが、真一郎は、来年なら結はだれにも迷惑が掛からず近江に行けるようになると言う。次の卯月も来い。弥彦は忠也と帰って行った。

 掏摸たち 親子の掏摸と知り合う。真一郎は掏摸を止めさせようとするが、母親・のぶは捕まる。病気でもあった。娘・苑は掏摸をしていないと訴える。のぶは止めよう抜けようと思うが抜けられなかったと言う。

 青行灯 百物語の会をすることになった。真一郎は用意をしながら多香を助ける。多香は昔なじみ・志乃の夫・太輔と子供の仇討ちを助けようとしていた。多香は伊賀ものだった。志乃は太輔を騙し、利用し殺し、志乃を殺しに来た酒問屋巽屋の隠居・善次郎を狙っていた。志乃は助かったが、お腹の子供は死んだ。善次郎は佐渡金山から金を盗み、大阪へ、大阪から酒樽仕込み江戸へ、江戸の反幕派に渡していた。善次郎は佐渡にいた。志乃に子供が出来た時、抜けようとし殺された。真一郎は殺すことを考えないで捕まるように考える。あるという連判状を探し、太輔が残した証書を用意し、家中の者が、野次馬が集まり、大騒ぎになるよう事を起こした。おびただしい血、白骨そして連判状に、金の横流しの証拠。志乃の仇討ちは終わった。志乃を助けてくれた夫婦の元に帰った。百物語も成功した。

2020年12月3日木曜日

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣 辻堂魁

 唐木市兵衛は、大店両替商「近江屋」から、蟄居謹慎のお咎めを受けている川越藩勘定方の村山永正が改易になれば、永正と家族を江戸に連れてきて欲しいという依頼を受けた。

 近江屋の若主人と母親は二十五年前に川越藩で上意討ちになり改易になった堤連三郎の家族だった。上意討ちに合い、傷を負った連三郎を助け、家族を江戸の商家に預けたのも村山永正だった。連三郎は家族と一緒に暮らすこともなく人足として働き一生を終えた。家族は近江屋の妻・季枝となり若主人・隆明となった。連三郎の死を知らされた季枝は、村山の現状も知った。川越藩・松平大和守は、転封を希望していた。そのために家斉の息子を養子にしたいと借用金を増やしていた。村上はそんな藩主に意見を言い、不興を買い蟄居閉門となっていた。

季枝は昔の恩を返すべく市兵衛に頼んだ。

市兵衛と宰領屋の矢籐太が川越に行く。娘・早菜と話しをする。謹慎が解けた村山は城で上意討ちに合う。大怪我を負って帰った永正は、得度を受け亡くなる。早菜を連れ江戸へ帰る。

追う必要はないという藩の命令に従わない横目たちが立ち塞がる。堤連三郎を上意討ちしようとした菅留吉等だった。市兵衛が倒し、江戸へ行く。

 北町奉行所定町廻りの渋井鬼三次は、息子・良一郎が五才の時、離婚し良一郎は母親・藤が引き取った。藤は良一郎が八才の時、老舗扇子問屋伊藤屋に再縁した。良一郎は伊藤屋の跡取りと決まっていたが、良一郎は渋井の跡取りになりたいと言い始めた。渋井は伊藤屋の文八郎に相談する。文八郎は夏が終わるまでの猶予を願う。

2020年12月1日火曜日

京都寺町三条のホームズ15

京都寺町三条のホームズ15 望月麻衣    

  〜劇中劇の悲劇〜

円生は世界の富豪が認める画家になった。小松探偵事務所の二階に下宿することになった。円生は絵を描いていない。

葵は陶芸を始める。ホームズへのマグカップ。ホームズと円生の湯飲み。葵の演出で円生の展示会を開くことになった。 

女流作家・相笠くりすが、昭和初期の京都を舞台に清貴と秋人をモデルにした小説を書いたと原稿を持ち込む。エラリー・クイーンの「Yの悲劇」を基にした「華麗なる一族の悲劇」だった。清貴が探偵で秋人が書生。ホームズは感想で、葵さんを登場させて欲しいと言うが、くりすは探偵は孤高でクールであってほしいと思っている。