2020年4月28日火曜日

「鬼平犯科帳」の真髄

「鬼平犯科帳」の真髄 里中哲彦
 また、全編読みたくなった。
 2013年に完本池波正太郎大成4〜7で読んでいた。
 そうだ最後はおまさが誘拐されたまま途中で終わっていた。
 あれからテレビの再放送を見て題を見ると話が分かるようになっているが、テレビと本では細かいところが違う。筋を追うだけでなく、細かいところを読みたくなった。

2020年4月23日木曜日

鬼役〈二十八〉 黒幕

鬼役〈二十八〉 黒幕 坂岡真
 苦肉の毒 将軍家毒味役・矢背蔵人介は、蒸し鮑に烏頭の毒を感じた。新参の御膳所同心・内間源六が自白した。蔵人介は内間は捕まり目付けに訴えたいことがあるのではないかと考えた。蔵人介は調べる。誰かに導かれるように調べが進む。内間は兄弟で、津軽家の隠密だった父が探りだしたがために殺された仇を討つために、父の探りだしたことを調べ、仇が誰であるかを調べた。津軽藩の父の上役の重臣と商人・菱川屋利平と元津軽藩士現在幕臣・犬山軍兵衛が組み、御用船を難破に見せかけ、禁制の俵物を秘かに掠めとっていた。清国へ密輸し莫大な利益をあげている。六年で六艘にもなっていた。
 蔵人介は三人を倒したが、裏で利益を得ていた黒幕は分からなかった。内間の残された妻子と兄・源五を引き合わせた。
 おしどり 蔵人介は甘鯛を買いに行き、俵田三左衛門と出会う。元上総国久留里藩の藩士だった。十二年前、妻を辻斬りに殺され今は仇を探していた。
 甥を遺恨試合の果てに殺され、久留里藩の重臣の息子に果たし合いを挑んだ。重臣の息子・貝須賀忠弥は藩の鉄砲隊を連れてくる。見届け人・蔵人介はその場で俵田の妻・寿美を殺したのが忠弥であることを暴露する。忠弥もその時の事を話し、自分の父親と寿美の兄・佐久間が役人を使って隠蔽したことを話した。俵田を藩に居れないように画策したのも父親と忠弥だった。忠弥の撃ての命令に鉄砲隊は動かなかった。俵田は忠弥を倒すが、佐久間が鉄砲を放つ。俵田が倒れ、佐久間は自害する。
 公方様に初見を願う者が百名を超え目見得の儀式が催される日、奏者番の一人・黒田豊後守が頼りにしている久留里藩の重臣貝須賀大膳が厠で吐瀉物を吐いて亡くなった。
 柊侍 築後国柳川藩の留守居役・薦野作兵衛が、詰所に立てこもった。無理筋の普請御用の撤回の要求のため勘定奉行有田筑前守定兼さまを連れてきてほしいというものだった。年貢増収のため短い検地竿を使ったことを知られ、百姓の四万人の蜂起になったことで謹慎していた有田は夜、城中にやってきた。矢背も同席する。薦野が聞く。何故、津軽藩に決まりかけていた普請御用が柳川藩に変わったのか。柳川藩の名を出したのは誰か。有田が菱川屋と蜜月だったことは分かっている。分け前はいくらでしたと聞く。有田は黒幕の名を出す前に正気を失い部屋から出た。有田は蟄居になった。
 次の日、蔵人介は薦野から十六才の藩主・立花鑑備が亡くなった三才上の兄の替え玉で、江戸家老・原尻監物は鑑胤を藩主に付けようとしているために鑑備を殺そうとしていることを聞く。薦野は鑑備の命を護るために騒ぎを起こした。薦野は部屋を出た。
 鑑胤の母親の実父は御側御用取次、宇郷対馬守だった。津軽藩の黒幕も検地竿の黒幕も宇郷だった。柳川藩の石炭に目を付けたのだった。
 鑑胤が将軍御目見得の日、原尻監物と萩の方が殺された。
 側衆詰所脇の穿鑿部屋で宇郷と闇丸が死んでいた。
 薦野は切腹した。
 

2020年4月21日火曜日

禁裏付雅帳〈九〉 続揺

禁裏付雅帳〈九〉 続揺 上田秀人
 禁裏付役屋敷に押し入り捕縛された南条蔵人は、身柄を京都所司代にあった。二条大納言は裏で操っていたことが露見することを恐れ、今は機能していない検非違使別当・勧修寺経逸を使い引き取り、南条の自宅で蟄居謹慎になった。
 東城典膳正を見張っている松平定信の家臣・津川一旗と霜月織部は東城の真意を確かめるため、南条家に押し入り、蔵人を拉致し東条家に連れてくる。困った東城鷹矢は駆仕丁・土岐の勧めでもう一人の禁裏付役人・黒田伊勢守の屋敷の前に放り出す。
 刺客業・砂屋楼右衛門のもとにいた浪は、土岐に助けられ主上に使えるため閑院宮家で行儀作法を習っている。桐屋利兵衛が浪を探している。
 東城鷹矢はお庭拝見をし、光格天皇に会う。光格天皇のあまり朝廷に負担をかけてくれるなと言う言葉を江戸に伝えると約束する。定信の家臣も言い負かしたし、定信に表立って敵対する覚悟を決めた?

2020年4月19日日曜日

長屋道場騒動記【六】迷い熊匿す

長屋道場騒動記【六】迷い熊匿す 芝村凉也
 間野生馬は仁蔵親分に頼み、自分たちが巻き込まれている大名のことを探ってもらった。同心・反町は、仁蔵に「お前は好きにしな」という言葉を掛けていた。恵比寿屋・与惣兵衛の頼みでもあった。娘・君は十河藩の姫様だと思われた。
 十河藩の先々代の殿様は身体が弱かった。嫡男が居たが身体が弱く、心配した殿様は養子を迎えた。嫡男が元気に育ち殿様に就いた。養子には三嶽藩の殿様になった。十河藩の殿様には妾の子・耕太郎がいたが実子と認められていないうちに殿様が亡くなった。三嶽藩の殿様の次男を養子にする話が起った。耕太郎は藩邸をでて跡目争いから身を引いたが、十河藩は二つに割れた。三嶽藩からの養子が十河藩の現殿様だ。耕太郎に付いていたのが剣術指南役だった生馬の父親・源心だった。生馬の父親から与惣兵衛が預かったのが君だった。二十年前の話だ。耕太郎が亡くなり源心は恵比寿屋を守り道場を開いた。
 十河藩の殿様は今、体調が思わしく無い。子供もいない。また三嶽藩から養子の話が起った。十河藩は揉めている。三嶽藩からきた家来の評判が良くない。三嶽藩へのお金の援助が多い。金食い虫になっていた。十河藩は二万一千石だが、名産は煙草、杉や檜を売り、牛を育て、銅山まであり財政は豊かだった。三嶽藩には養子に入ることは藩の存続がかかるほどの重大事だった。
 何者かが、与惣兵衛を狙い、生馬に真剣勝負を挑んでくる。十河藩の御国派は知ったところだ。十河藩には御国派と御為派に別れていた。三嶽藩の名を使い画策しているのは御為派か。三嶽藩の江戸家老と留守居役が君の存在を知った。姫だと思っている。
 生馬も与惣兵衛も大名家の凡を知った。
 生馬は千葉周作から、不安を晴らす助言を貰う。
 御為派は三嶽藩が動くように画策する。三嶽藩は君を勾引かそうとするが、生馬と千葉兄弟に阻止され捕まる。
 御為派は何か切り札を持っているようだ。
 
 

2020年4月14日火曜日

狸穴あいあい坂⑧ 嫁ぐ日

狸穴あいあい坂⑧ 嫁ぐ日 諸田玲子
 ツキエ 小山田家は無役になり、狸穴の坂上にあった屋敷から坂下の小家に引っ越す。香苗が生まれる。遠縁のお婆さまは亡くなった。
 幕間 結寿の夫・萬之助が風邪をこじらせ亡くなった。弟・新之助が家督を相続、御先手組へ復帰する。結寿は三才年下の新之助の嫁に請われる。結寿は香苗と祖父の所に戻る。
 花の色は 3年後、新之助が結婚。口入れ屋の弟・弥之吉は恋をするが、女・すみは逃げた。すみには夫がいた。夫から逃げていた。結寿は知らない間におとり捜査に加わっていた。盗賊を捕まえようと一緒に行動していた安岡が盗賊一味だった。妻木道三郎に助けられ、安岡を捕まえる。
 水と油 小者の百助の伯母が病気らしい。伯母のことを知っている吉原の山吹に会いに行くと山吹が殺されていた。妻木が担当していた。亀山楼を訪ねた結寿は殺しの原因と犯人を見破り知らせた。百助は伯母と別れができた。叔父は墓ができるとどこかへ行った。
 いらない子 小山田家に香苗7才を預けた。香苗は家を出たところで大道芸一座に連れられた。子供が5人いた。香苗は見つけ出された。道三郎と息子・彦太郎がいた。
 それぞれの道 ゆすら庵にサキチ、トビマルが預けられた。ヨウマは薬問屋に奉公に出た。ヤチは口入れ屋で行儀作法を仕込まれている。結寿は香苗を助けてもらったお礼に彦太郎に頼まれて家の掃除に行った。ヤチはりゅうが打ち首になるのは可哀想だと言って粽に毒を仕込んだ。りゅうは食べないで死んだ。サキチは五年前にさらわれた実家に戻った。心労で母親は亡くなり、父親も商家を手放していた。サキチを送った後道三郎と結寿は狸穴坂で二人の気持ちを確かめ合った。
 嫁ぐ日 下っ匹の乙吉が商家の若旦那殺しを自訴した。若旦那は乙吉の恋人・親分の娘・なみと縁談が整っていた。乙吉はなみが犯人と思っていた。乙吉が狸穴坂にいたことが判り解き放たれた。犯人は若旦那の仲間・商家の若旦那だった。
 結寿は八丁堀へ嫁いだ。祖父の祝いの宗仙の狸穴を描いた屏風の前で祝言を挙げる。

2020年4月11日土曜日

栄次郎江戸暦㉓ 致命傷 

栄次郎江戸暦㉓ 致命傷 小杉健治
 田宮流抜刀術の達人で三味線の名手・矢内栄次郎は、「江戸屋」の娘・糸に五年前に「守田屋」のおそめを巡って諍い、わたしの兄を殺してしまった清吉さんが戻って来る。父が仇をとろうとしている。父を人殺しにしないよう清吉を護って欲しいと頼まれる。
 栄次郎は清吉を匿った。五年前、許嫁だったおそめに江戸屋の欣三が横恋慕し、清吉と諍いになった。欣三が倒れた。頭を打って死んだ。その場で清吉の兄弟子・安蔵の提案で清吉は江戸を離れた。五年経ちほとぼりが覚めたようだと言う手紙を貰い清吉は帰って来た。
 清吉の行きそうな所には江戸屋の者がいた。清吉を探している者がいる。十手持ち・勘助の下っ匹・八十吉が清吉を追っていて殺された。清吉が殺したと追われるようになった。
 栄次郎は八十吉殺害犯人は清吉ではないと真相究明していて分かった。
 五年前の犯人も八十吉を殺したのも清吉ではなく安蔵だということ。安蔵はおそめと所帯を持って守田屋の婿養子になっていた。生まれたばかりの子供がいた。犯人は安蔵だと思うが証拠が無い。清吉に殺したと思っていた欣三が死んでいなかったこと。清吉が逃げてから欣三が立ち上がり安蔵が殺したこと。これは致命傷が額の傷だったことで明らかになった。それを見ていた八十吉に強請られていたために八十吉を殺したこと。
 清吉が捕まり、清吉と同心・木戸松次郎と岡っ引き・勘助に話す。清吉は、今まで八十吉を殺していないと言っていたが、欣三殺しも八十吉殺しも自分だと自白した。木戸同心がなかなか牢送りにしない。栄次郎は八十吉の言葉を持って安蔵に会いに行く。栄次郎が調べだした真相と証拠がないことと、清吉が自白したこと、安蔵とおそめに遠くから見守るから幸せになってくれという言葉を残したことを伝える。
 夜、安蔵が自訴してくる。一晩、清吉と大番屋の仮牢に留まり、翌朝安蔵は牢屋敷に送られた。
 自由になった清吉は、おそめに会い、江戸屋に行った。
 栄次郎は兄・栄之進と、破談になりかけていた兄の縁談相手の父親・旗本大城清十郎と会った。大身旗本の娘・美津には縁談の話がいくらもあるが、他家との関係が悪くなるようで、全くかけ離れたところと思い岩井文兵衛に相談したとのことだった。美津も気に入り栄之進も気に入っている。縁談が進むことになった。
 
 

2020年4月5日日曜日

あきない世傳金と銀〈八〉 瀑布篇

あきない世傳金と銀〈八〉 瀑布篇 高田郁
 幸たち五鈴屋の者は小紋染を町人の物にしようと頑張っていた。他の店も小紋染を手がけるようになった。
 麻疹が蔓延し商いは停滞した。
 八代目にしようと思っている賢輔に養子の話がくる。賢輔を慕う、幸の妹・結に両替商音羽屋から結婚話が来る。どちらも断るが音羽屋は手を引かない。
 五鈴屋に公儀から上納金千五百両を命じられる。相談に行った両替商の蔵前屋で紹介されたのは、本両替屋の井筒屋三代目・保晴だった。保晴は五鈴屋五代目徳兵衛こと惣次だった。上納金の支払いに頭を使え、悪い奴ほど阿呆なふりが上手いから気いつけよとアドバイスする。五鈴屋にの跡取りとは関わりを持たないということも。
 前例のない上納金の三分割支払いを認めてもらった。一回分五百両と献金分を支払った。お金を借りた場合の利子分を献金として払う。
 八代目が周助に代わる承認を得た。賢輔は未だ若く九代目に付けるための道を付ける。
 新しい男柄の小紋の型紙ができ上がった。朝、結が堪忍の書き置きを残して型紙とともに消えた。
 

2020年4月4日土曜日

お鳥見女房 別れの季節

お鳥見女房 別れの季節 諸田玲子
  勝手に7で完にしていた。2016年1月28日に戻りを取り消す。何故完にしたのだろう。
この本を見た時うれしかった。諸田さんのもう一冊、狸穴あいあい坂も一緒に見付け飛びついた。久しぶり。

 嘉永六年の大雪 鳥見役の久太郎たちは鷹匠たち一行と合流し大雪の中、お鷹狩りの鷹を八王子に運ぶ。途中で大雪で立ち往生し、探し当てた避難場所は博徒の隠れ賭場で博徒に捕らわれた。珠世は博徒の首領が呼ぶ近藤周助と話を付け次期道場主の島崎に助けられ鷹を無事八王子に運んだ。
 大鷹の卵 春過ぎ、大病の後、三河に帰った藤助の作った刺し子の巾着を十ほど持って沙耶の三才のお祝いに親方の息子・乙吉が来た。
 護国寺の喬木に大鷹が巣をかけた。恵以と秋は大鷹の巣を見に行き、悪ガキと言われる捨吉と元木勇五郎を見る。捨吉を捕まえている同心から元木は捨吉を助けた。元木は安藤長門守の家来で寺社奉行の小検使に抜擢され、家柄見た目性格非の打ち所の無い若者だった。秋は元木との縁談を断ったところだった。捨吉兄妹は元木の紹介で石屋に預けられた。梅雨の頃、元木は妬まれ足を引っ張られお役を解かれた。秋は元木との結婚を決めた。
 乙吉が藤助そっくり格好で藤助のかわりに一日だけしゃぼん玉売りをやった。乙吉が藤助に沙耶に見せてやるように言われていた。捨吉とちか兄妹も招き、秋の縁談が決まった祝いもできた。
 黒船 浦賀沖に黒船が四隻来た。源次郎は浦賀へ行き、品川へ行き、象山塾へ行き、源次郎は自分が成すべきことが分からない。
 御殿山 綾が男児・新十郎を生んだ。永坂家の義父の甥の息子・光之助4才を養子にしたいという話があった。元々永坂家を継ぐ予定だった義父の甥が残して家出した赤子だった。綾と久之助は自分たちの子として育てていた。綾が出産のため矢島家に行っている間に話の養家・片岡家に連れられていた。片岡家を一人で出た光之助は御殿山が切り崩され打撃を受け揉めている元締めに連れて行かれた。判之助と恵以は光之助を探し出した。元締めはどこの子か探すつもりだった。片岡家は探しもしなかった。元締めは訴えられ島送りになった。光之助は養子に行かなかった。
 天狗の娘
 別れの季節 源大夫、多津夫婦、雪、源次郎、多門が小田原に帰ることになった。源太郎の祝言が終わり、稲垣家家臣になった。源大夫は隠居し、小田原の石塚家を継ぎ大久保家の家臣になる。鷹狩りに見せられた多門は将来帰ってきて矢島家に養子に入ると言った。