2018年7月31日火曜日

青い翅

青い翅 吉永南央

2018年7月30日月曜日

日記堂ファンタジー

日記堂ファンタジー 堀川アサコ

2018年7月25日水曜日

口中医桂助事件帖⑮ 毒花伝

口中医桂助事件帖⑮ 毒花伝 和田はつ子
 藤屋桂助は虫歯になり歯無しになった人々が生きる希望を失うことに心を痛めていた。
 品川で見付かった遺体は、千住品三郎という、桂助が歯を抜いた患者だった。
 品川では同じ頃、破傷風で死んだ男が見付かり、その遺体を焼いた男も不審な死を遂げていた。続いて投げ込み寺で見付かった八つの普請な遺体も、全員歯がなかった。
 美鈴といっしょになり佳という娘を持った剛次も遺体の身元調べをしていた。花簪売りの娘・蝶を調べ出し、剛次は勾引かされる。蝶が出入した料理屋の主・新吉が河豚毒で死亡した。新吉はフグ毒の研究日誌を残した。口を封じられるついでに研究の犠牲になった。
 勾引かされた剛次は地下牢にいた。彩と名乗る志保に逃げ道を教わり、逃げる時志保を背負って逃げた。志保を背の温もりで剛次を思い出し、桂助を思い出し、自分が志保であることを思い出した。剛次が目を離した隙に志保はいなくなった。剛次は家に帰った。
 南町奉行所同心・友田達之助が書いた覚書を持って、元御側用人・岸田正二郎を頼る。
 長州藩の支藩が異国に毒薬を売ろうとした。旗本・千住家は朝廷の医者を育成する役職・博士の古い医書を伝えている家だった。古医書の中に毒花伝がありその中にフグ毒があった。千住家を知った長州藩から話しがあり、速効性と特異性は認められたが、解毒剤が必要だった。その為に長州藩中屋敷で生きる望を失っていた歯無しの人々が試しに使われた。千住市左衛門と市之介は岸田と桂助に話し、医書を焼き、切腹した。
 市之介から志保が襲われて斬り殺されようとしていたところを助け、記憶が無いので綾乃と呼び試しの手伝いをさせた。医術の知識と手伝う技があった。失った記憶の中で「いしゃ・は・くち」の口中医桂助さんという言葉がでたことを知らせる手紙が届いた。
 志保が姿を消したのは自らの意志だと思っていたが、違っていたことがわかり、桂助は志保を探そうと思った。

2018年7月24日火曜日

見届け人秋月伊織事件帖⑧ 青嵐

見届け人秋月伊織事件帖⑧ 青嵐  藤原緋沙子
  見返り川 倉島藩の国許の側室・亀殿から江戸で開かれる茶会のために茶入れ「あけぼの」を送られることになった。茶入れと百両を運ぶ役になった小島周次郎と向井助十郎だった。途中、薬入りの酒を飲まされ奪われた。向井は岸壁から飛び降り自殺をし、小島は国許に報告に帰り牢に入れられ、切腹を命じられる。小島は向井が江戸で生きていることを知らされ、事の次第を探る為牢破りをする。倉島藩士は小島を探す。見届け人に依頼する。
 茶入れは亀殿の元に返っていること、向井は百両を持って江戸にいることが分かり小島の濡れ衣を晴らす。亀の方は座敷牢に入れられ髪を下ろし仏門に入った。国を追われていた小島と妻は二人で国許に帰った。
 青嵐 大阪から江戸に来て何も出来ない巳之助と出会った秋月伊織は巳之助のことが気になっていた。大阪で押し込みをし人を殺した盗賊・梶原十兵衛が江戸にいるらしい。百両の賞金が掛けられていた。土屋弦之助は探している。梶原を見付け張り込んでいる時、巳之助が現れる。仕舞屋の賄い婦に話しを聞くが詳しいことは何も知らない。賄い婦は巳之助の母親だと分かる。伊織は巳之助に母親のことを知らせ、押し込みの見張りをすることになっている場所を聞き出し、芝居をさせる。盗賊が千両箱を盗み終わり、巳之助が殺される寸前に出て行き捕まえた。
 伊織は実家に戻ることになった。家禄一千石目付け・秋月隼人正忠朗の弟だが、忠朗に子がないため養子になる。勘定奉行佐久間家の娘・奈緒との縁組も決まっている。

2018年7月23日月曜日

弥勒シリーズ⑧ 雲の果 

弥勒シリーズ⑧ 雲の果 あさのあつこ
 空き家と思われた仕舞屋が火事になり雨のため半焼になった焼け跡から刺し殺された女の遺体が発見された。何者か判らない女。調べて心の蔵の発作のような同じような死に方の事件が何件があることが分かった。
 遠野屋の大番頭・喜之助が亡くなった。残った物から喜之助の生国は分かる。羽馬藩。喜之助が残した帯の手掛かりと火事場に残った帯の残布が同じだったため、羽馬藩を調べる。
 羽馬藩は三十年前、山崩れで村が潰れた。城普請を言いつけれ、強盗団を作っていた。今ではそれぞれの生活をしていたが、盗賊団の頭が亡くなり、言い付かっていた養女・芳が順に病死に見える毒を使って殺していた。信次郎は遠野屋清之介の前で全て明らかにした。捕まえない。信次郎は明らかになればいいと思っている。芳は店を始末し作兵衛太にお金を残し、自分は焼け跡で切腹した。

2018年7月22日日曜日

三島屋変調百物語伍之続

三島屋変調百物語伍之続 あやかし草紙 宮部みゆき
 開けずの間 長姉の塩断ちが元で、家に行き逢い神を引き入れ、父母と五人の兄姉と義姉を亡くした末の弟の話。最期に母親が自分の命と引き換えに行き逢い神に出て行ってもらった。
 ちかと三島屋の次男・富次郎とで話しを聞き、富次郎は家から出て行く女の後ろ姿を描いた。
 だんまり姫 駿河の大名のお国様のしゃべらない姫様のおまる付き女中になったもんも声の女・せいの話。もんも声はあの世の者を呼んでしまう。現藩主の兄・一国は側室の子で父親は国家老だった。十才の時、国家老が藩が二つに割れることを苦にして孫に毒を盛る。悲しんだ側室は亡くなり、家老は切腹する。せいは亡くなった一国と話すようになった。一国を城から連れ出し解き放つ算段をする。大蜘蛛退治を演目にする人形芝居を呼び、武者人形の中に入れて城外に連れ出した。一国様は武者人形より大蜘蛛がいい我の入れ物と言った。諸国を巡り土地の禍を一身に集める形代になろう。恨みと悲しみを食らう。姫の声は戻った。
 富次郎は、右半分の大蜘蛛に乗った草笛をふいている男の子の背中を描き。遠景に海、雲の中に鷗を描いた。
 面の家 沢山の面が逃げ出さないように見張りをする娘・種のはなし。悪いことをしたものにしか見えない面。見える種は見張りを頼まれるが、面は種をお金で買収する。逃げるが知らないふりをしておけ。面たちは逃げた。火事があり、外に出れば番犬のような者はいっぱいる。面は見付かり封じられた。面が外に出ると禍が起ると言われている。種は面に齧られた足の指を針で浄められた。話しの後、三島屋の守り役・勝が種に古い柘植の櫛をやった。富次郎は櫛の絵を描いた。
 あやかし草紙 ちかを嫁に欲しいと言っていた越後屋の清太郎の縁談が決まった。
 瓢箪古堂の勘一の助言で、富太郎の描いた絵を入れる箱ができた。桐の箱で、厚手の美濃紙に貼り付けた絵を柵に挟んで縦にしまうようになっていた。聞き捨て筐。あやかし草紙と名付ける。
勘一は不思議話をする。貸本屋・井泉堂の持ち出し禁止の己の運命と寿命を知る本があった。瓢箪古堂の写本をしてくれる人が関係し、知ることになった。その人が亡くなり、勘一は井泉堂の主から、見せてあげると言われた。勘一は井泉堂には行っていないと言う。
 小さな婆さまが自分のことを話す。十五才で嫁いでから六度も嫁に行ったと言う。一人目は四年で死別。二人目はその弟、前夫への悋気で三年で実家に帰る。三人目は家作持ちの三男で五年で死別。四人目は風流人で二十四年で死別。五人目は四人目の夫の遺言で結婚。娘が身代狙いだと煩く、一年半で離婚。六度目は商家の番頭。七年と十ヶ月で死別。
婆さまは六人の顔がそっくりだったと言った。
 婆さまの長閑な笑顔と動じない物腰。同じよう人を知っている。
 ちかに川崎から手紙が届く。ちかが逃げ出した川崎、ちかの兄・喜一はちかの分の咎を背負って暮らし続けている。老いてゆく両親を助けながら逃げずに旅籠を続けていた。申し訳ないと思っていた。喜一が先月末に先夫との間に五つの子がいるえいを嫁に貰ったと書かれていた。えいのお腹に喜一の子がいると。
 ちかは黒白の部屋に籠り考えた。瓢箪古堂に行き、勘一に、井泉堂に行き、寿命を教える冊子の写本をしたでしょうと問い詰める。見届ける覚悟をしたので嫁に貰って下才と願った。祝言は一月二十日になった。
 金目の猫 百物語は富次郎が続けることにした。兄・伊一郎が三島屋にくる。伊一郎が不思議話をする。伊一郎が十才、富次郎が八才。三島屋がこの場所に店を構えて直ぐのころ。富次郎がお稲荷さんの木の上で子猫を見付けた。三島屋で飼えないので、近所の油屋で飼うことになった。まゆと名付けられ、三島屋にも来た。まゆが三島屋の二階の縫子の赤ちゃんの顔に上に乗りかっているのを見付けられ、大騒ぎになりまゆはいなくなった。
まゆの正体は三島屋の縫子・きんの生き霊だった。きんは縫子を続けたかったが辞めなくてはならなかった。代わりに行ったさとは三島屋の悪口を言いふらす。我慢できなかった。稲荷の木上で三島屋を見ていた。大騒ぎになった日、逃げるまゆは伊一郎の懐に飛び込み、いちの坊ちゃんごめんなさいね。猫がしゃべる。伊一郎はきんの長屋へ行き、きんのはなしを聞いて知った。きんは遠くへ行くところだった。
 祝言の日、小旦那・富次郎は、商人風の者に祝言は終わりましたかと声をかけられた。ご縁のあった者です。お幸せにとお伝え下さいと姿を消した。勝は小旦那を百物語の継ぎ手と認めたのでしょうと言った。
 

2018年7月20日金曜日

鬼役〈二十四〉 白刃

鬼役〈二十四〉 白刃 坂岡真
 十六夜の月 橘右近が亡くなり密命はどうなるか。密命が下されるが、目の前で相手が殺される。信用されていないのか。間に就く家の主人・土田伝右衛門が勾引かされた。後ろ手に縛られ吊るされた伝右衛門を助ける。彼らは軒猿、元は上杉に仕えた忍び。刺客にされそうになっている壷井師古を刺客にさせないようにする。
 町奉行所斬り 橘の意志を継黒幕から命を受け、報酬さえ貰えばどのような密命も果たすと言う丸田川春満を殺す。壷井は加賀前田藩の書き物奉行の配下になる。
 矢背蔵人介は矢部駿河守を刺客から守るが、矢部は鳥居の奸計に嵌り町奉行を罷める。
 遺志を継ぐ者 密命により成敗した。家慶のお墨付きを持つ如心尼からの密命と蔵人介の友の仇打ちが同じ人物だった。次ぎに密命が下された時受けられるかどうか判らない。

2018年7月19日木曜日

浪人奉行〈四の巻〉

浪人奉行〈四の巻〉 稲葉稔
 彦根藩井伊家浅尾波之助は、堅物だったが幸運がすり抜けてこぼれ落ちてしまい人が変わった。貧乏下士に嫌気がさし、脱藩した。
 品川の外れで、すみたい所の住人を殺し、人を殺してお金を得る。
 岩城升屋の主人・九右衛門は品川で商人が殺されたことを知り、大阪に行った店の者ではないかと心配する。定次に見に行ってもらい、八雲兼四郎に犯人退治を頼む。八雲と定次っと、橘官兵衛は品川に行く。
 判っていたよりも多くの人が殺されていた。波之助の仲間が増えていた。漁師たちも彼らを捕まえようとする。仲間を捕まえ、波之助は兼四郎が倒す。みんなに送られ江戸へ帰る。
 兼四郎は居酒屋いろは屋を開ける。

2018年7月18日水曜日

妾屋の四季 

妾屋の四季 外伝 上田秀人
 秋の章 妾屋山城屋の用心棒・山形将左は吉原の三浦屋に売られてくる娘たちの用心棒のため白河まで行く。江戸中の妾屋を支配下に置こうと考えた惣名主・西田屋を山城屋と三浦屋が手を組追い落としたために、西田屋の忘八による意趣返しを心配していた。襲ってきた忘八を、山形は、女で稼ぐ商売ゆえ、身体を張って女を守るという信念で阻止する。
 冬の章 妾屋を廃業した伏見屋の客だった会津屋から妾の斡旋を頼まれる。山城屋昼兵衛は、飛脚の和津に会津屋のことを調べを頼み、会津屋にいる、公家の姫様と会津藩の若殿との関係を知る。会津屋が若い男女の恋を陰ながら支えていた。山城屋に妾を派遣することにした。
 春の章 津軽藩の用人が、国許からくる国家老次席のために妾を手配するため山城屋を訪れる。前にきた同僚と同じ妾を頼まれる。自分の優位を誇示するためだった。昼兵衛は、津軽藩士に襲われるが、妾の手配を拒んだ。
 夏の章 妾屋の相模屋が用心棒を借りに来る。八重と所帯を持った大月新左衛門が、昼間は和津に代わり仮眠を取って見張る。昼兵衛も大月も和津も何者かが盗みに入ることは承知していた。川崎屋の姑と相模屋が、婿に妾を持たせ妾も一緒に婿の貯めたお金を盗み追い出すつもりだった。山城屋は妾屋は店とのつき合いではなく旦那個人との付き合いだという信念だった。盗人を捕まえ、相模屋と交え店を潰したくなければということで、騙した婿に百両、山城屋に五十両を要求する。

2018年7月17日火曜日

剣客船頭(十九) 永代橋の乱

剣客船頭(十九) 永代橋の乱 稲葉稔
 沢村伝次郎の女房・千草の店の常連客・畳職人 為七が殺された。
 為七の殺されたわけを調べる。
 畳替えに行っていた剣術道場に二人の侍がやってくることが判る。二人が犯人かと思っていたが、犯人は借金の取り立てを頼まれた浪人が、人を殺すと口にしたことを為七に聞かれたと思い殺していた。為七を殺す所を見られたと思った男はもう一人殺していた。同心広瀬の助をして捕まえる。
 剣術道場の二人は、関宿藩久世家の元家臣だった。息子が家老の息子に剣術試合で勝った。許嫁と二人でいる時に斬り付けられ殺された。許嫁が家老の息子のほうが切りかかったと訴えてもねじ曲げられ、両家とも家督は半減、許嫁はあらぬことを言われた。二人は出奔し、家老と息子を殺そうとしていた。家老と息子が駕籠で屋敷に帰るところを狙う。ふたりが飛び出し家来を引きつけている間に、剣術道場の道場主・甲兵衛が家老と息子を斬った。甲兵衛は抗わないで家来に斬られた。伝次郎は二人を逃がす。甲兵衛は久世家の剣術指南をしていた。家老は久世家に良くないものと見ていたのだろうと二人は思った。家族を逃した岩槻で百姓をするつもりだと江戸を離れた。

2018年7月16日月曜日

はむ・はたる

はむ・はたる 西條奈加
 勝平12才は孤児だった。下は三才十五人の孤児が集まり、掏摸やかっぱらいをして食いつないでいた。勝平は頭分だった。同心・高安に捕まり、お上の裁きを受け、長谷部の婆さまが身元引受人になって三町に分かれで暮らすようになった。長谷部家で稲荷寿司を作り稲荷を売に行く。
 六年間、旅をしていた長谷部の次男・柾25才が帰ってくる。自分が紹介したために道場主の後妻に入り、師範代と一緒に道場を食いつぶし、師範代と逃げている女・蘭を追いかけていた。世話になった道場主に申し訳がなく、敵を討ちたいと思っていた。
 事件に遭遇しながら十五人は助け合い、柾に助けられたり、教えられたりしながら生活していた。
 蘭と師範代・相良隼人を見付ける。蘭を囮に相良を呼び出す。勝平は仇討と言う人殺しを柾にさせたくなかった。高安を呼ぶ。相良と柾は果たし合いをし、柾が勝つ。蘭は勝平の首に腕を回し、刀を突きつける。柾は隙を見て、蘭を斬り、勝平を助ける。蘭は死ぬつもりだった。
 白州で勝平は柾は自分を助ける為に蘭を斬ったと言い、高安も道場主の縁者も無罪放免を願い出たが、柾は敵討ちだと言い張った。江戸払いになった。三年位だろうという話し。

2018年7月15日日曜日

おれは一万石⑤ 無節の欅

おれは一万石⑤ 無節の欅 千野隆司
 正紀と正広は菩提寺の本堂改築の資金二百両を調達でき、世子の座を降りなくてすんだ。また、浜松藩先々代藩主の娘・暉を正室にしている三河吉田藩七万石の当主・松平信明が加わることになった。
 材木の調達は入札により檀家でもある高浜屋に決まったが、小佐越屋と建部と正棠が良からぬことを考えていた。
 山野辺は、材木の崩れを引き起こした小佐越屋を調べていた。綱を切ったものは殺され、浄心寺の改築の宮大工の命も狙われた。犯人は寺男・塚原だった。塚原は浜松藩士の息子で建部や小佐越屋と綱がっていることが分かった。
 高浜河岸で材木を調達に行く高浜屋一行に、下妻藩士や塚原や建部の家来・大田黒が同伴する。正紀は東国三社参りの許可を貰い、影で付きそう。高浜河岸で材木の崩れをお越し、いかだの綱を切ろうとされたり阻止し命の危機に晒されながら捕まえる。
 建部と正棠の不正の利益を得ようとしたことと、正紀と正広を世子の座から引きずり降ろそうとしたことがはっきりした。松平信明が間に入った。建部は切腹、正棠は藩主のままだが、実務は正広が行うことになった。塚原も切腹した。
 小佐越屋は山野辺が捕まえ、死罪、店は闕所になった。
 正紀と京は二人で浄心寺に行き、水子供養をした。京は立直ったようだ。
 菩提寺・浄心寺の解体が始まった。

2018年7月14日土曜日

おれは一万石④ 麦の滴

おれは一万石④ 麦の滴 千野隆司
 正紀が婿に入った高岡藩も、正広が世子の下妻藩も本家は浜松藩井上家六万石だ。昨年、藩主・正定が亡くなり十才の正甫が後を継いだ。実権を握っているのは江戸家老・建部陣内だった。高岡藩は二代続いて尾張から養子が入り、浜松は嫌っていた。下妻藩では正広は正妻の嫡子だが、藩主・正棠は側室の子・次男・正建を世子にしたがっていた。建部と正棠は二人を廃嫡するために策を巡らす。
 凶作に喘いでいるこの時期に菩提寺の本堂の改築をすることになった。本家からの命令だった。正紀と正広が造営奉行を務めることになった。費用は千二百両。六百両を浜松が分家は二百両づつ、残りの二百両は他の檀家から集めることになった。二ヶ月で用意しなければならない。
 正紀は物品の値段を逐一調べている房太郎に出会った。房太郎から大麦の値段が上がることを知らされ、正広と一緒に三百二十石買う。値が上がり売るために舟で運んでいる時、覆面の侍に五十石分を転覆させられる。
 足りない分を銭貨の高騰に掛けることにした。十組問屋の行司と一緒に勘定奉行所に行き、久世広民に会い、民の暮らしのために銀相場を下げなければならないことを説く。銀相場を下げる触れが出る。銭を売り、二人は二百両を作った。
 正紀の妻・京は懐妊していたが流産した。
 正紀の親友・高積み見回り与力・山野辺蔵之助は材木問屋・高浜屋の番頭が倒れた材木の下敷きになって骨を折った事件を調べていた。材木に掛けられていたいた縄が切られていた。切った男の似顔絵を作り聞き込みをしていた。 

2018年7月13日金曜日

六花落々

六花落々(りっかふるふる) 西條奈加
 下総古河藩下士・小松尚七は二十七歳の時、藩の重臣・鷹見忠常の推挙で、藩医箕輪家の養子になり、箕輪良幹と名乗り世継ぎ・土居利位(としつら)25才の御学問相手になる。七人扶持
 長崎出島の通詞から幕府天文方役人になった佐野勘蔵の娘・多加音と妻帯。
 利位は大坂城代、京都所司代と役職が上がる。利位と忠常の名で雪の結晶の種類を絵に表した本を出す。尚七が主に研究し監修したものだった。身分が低く、名前を連ねることはなかった。
 飢饉のため民が貧困に喘いでいる時に何故こんな本を出すのか疑問に思った尚七だったが、本を送った他藩の殿様から寄付が寄せられた。
 忠常から民のことを知る、民から離れられない尚七を、殿様の近くに置きたかった、と言われた。京都所司代になった時、小松尚七の名に戻った。
 

2018年7月12日木曜日

カカノムモノ

カカノムモノ 浅葉なつ
 加加呑ム者 浪崎碧20才は人間の罪や穢れが身体のなかで大きくなった大禍津日神を銅鏡で吸収し銅鏡から吸い込む。大禍津日神を呑まないと魚になるといわれている。碧には右肩に斑がある。神との繋がりの証し。
 直毘の風 伊吹大雅20才は祭祀に従事する一族。気吹戸主神。大雅と碧は小学五年からの付き合い。大雅は碧への嫉妬でもう少しで大禍津日神が生まれそうなところまで行ったが自分でねじ伏せた。神直毘之神が現れて。
 一年前、桐島樹32才は碧を知った。桐島の中に大禍津日神を宿したが分離されることを拒否した。碧は先代の銅鏡を桐島に渡した。大禍津日神が暴走しないように。代わりに濁り人を呼び寄せる。碧にお前は人間だよと言った男。
 天底律 医者
 花ヲ喰ラウ 大禍津日神を宿すと思われた佐川優子に近付いた。優子より先に大禍津日神を宿した義姉に優子は刺された。死の直前に大禍津日神を銅鏡に吸い込んだ。きれいな甥っ子をどうするつもりだったか分からないが、碧は自分の言葉がきっかけで、優子が大禍津日神を宿したのではないかと考える。
 雨ノ楽園 高校生の碧、同級生が誰か友達の死を想像した。大禍津日神を宿した中原伸也。二人で葛藤をぶちまけた。伸也の蟠りは碧が呑み込んだ。伸也は忘れる。伸也は碧の葛藤は誰が受け止める?と考えた。
 碧は桐島にヒビが入った銅鏡を見せる。

2018年7月10日火曜日

浅草料理捕物帖〈五〉 明日の膳

浅草料理捕物帖〈五〉 明日の膳 小杉健治
 孝助は十一年前のなみ川
 料理番付作り、元板前染次が殺される。鶴の屋の道太郎
大喰競争鶴の屋  十字屋の十右衛門の還暦
 
 料理番付け表を作ろうとしていた元板前の染次が殺される。
 還暦の祝いを鶴の屋で開催しようとしていた十字屋の十右衛門が殺される。孝助が調べていると文蔵から別の事件の調べに移るように言われる。
 鶴の屋の隣に住んでいた十右衛門の妾から鶴の屋での開催を辞めようとしていると聞いた鶴の屋の道太郎は、十右衛門の妾と関係を持っていたことも知られてしまったので十右衛門を殺していた。
 犯人を知った孝助を、道太郎と十年前のことで繋がっていた文蔵と同心・丹羽溜一郎が襲う。三人は捕まる。丹羽はお役御免になる。
藩に復帰したと偽り、孝助から離れていた十郎太が、当時の藩の内情を話してくれる。十年間のなみ川のことが明白になる。
 十郎太の藩・伊予諸角家では、十年前、世継ぎを十四才の宗千代に決まろうとしていた。江戸家老・渡良瀬惣右衛門が反対した。渡良瀬は宗千代が殿の子でなく、青井彦四郎の子だと思った。追求された青井は留守居役・柴田金右衛門に相談し、渡良瀬と、十郎太の父親も殺された。その時、なみ川が使われ、河豚の毒が使われた。渡良瀬だけが死ぬと怪しまれるので別の客も殺され、なみ川は河豚を出していないので食中毒とされなみ川は潰された。
 最近になって殿が宗千代の出生を疑い遠ざけていた。青井は宗千代は殿の子供だと書き残し自害した。青井がいなくなったことで蟠りがなくなり世継ぎは宗千代に決まった。
 十郎太は父親の敵を討とうとしたが、柴田に頭を下げられ宗千代のためになされたことなので止めた。藩に帰参した。
 道太郎は鶴の屋を孝助に返した。孝助は妹・新を呼び寄せ女将にした。
 
 

2018年7月9日月曜日

御刀番・左京之介⑩ 小夜左文字

御刀番・左京之介⑩ 小夜左文字 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩の藩主・家憲17才に縁談が持ち込まれた。信濃国松代藩真田家の十五才の三の姫・彩姫だった。
 左京之介は調べに行く。彩姫は馬に乗っていた。何者かに襲われ、近臣は怪我をする。京之介は彩を助け、聖林寺に匿う。京之介の妻・ゆりと楓に守られ台所仕事や縫い物をする。京之介は彩の手紙を持って真田家留守居役望月左兵衛に会う。
 真田家は正室の一の姫・琴と側室の二の姫・小夜のお家騒動が起っていた。信濃闇猿と甲斐闇猿の戦いがあった。琴は松平定信の次男を婿にする予定だった。沼津藩土方縫殿助の影目付けも動く。土方が付いた江戸家老・矢沢主膳が殺される。側用人・宗方外記に恩を売り近付く土方。土方の介入を嫌った目付け頭・相良が宗方を殺した。相良は信濃闇猿の頭・琴姫付きの老女・浪路を殺そうとするが失敗する。
 京之介は共倒れを狙いながら、琴姫に手を貸す。
 琴姫は汐崎藩の上屋敷に移り、身分を告げずに家憲に会う。
 京之介の向かってきた信濃闇猿と戦い浪路を倒した。
 家憲は屋敷に帰った彩に縁談の申し込みに行った。
 真田家のお家騒動に紛れて殺された御家人が奪われた小夜左文字を、京之介は御家人に返却するよう頼んだ。もし売る気持ちがあるなら汐崎藩が買い取るということも付け加えて。

2018年7月8日日曜日

切り絵図屋清七⑤ 雪晴れて

切り絵図屋清七⑤ 雪晴れて 藤原緋沙子
 絵双紙本屋「紀の字屋」を切り盛りする清七は元々は勘定組頭・長谷半左衛門の次男。正妻・多加の子供ではなかったため多加と長男・市之進に苛められ長谷家を出ていた。
 半左衛門は、勘定吟味役・佐治長門守の秘密裏の命を受け旅立つ前に、清七の次男の届けを出していた。
 清七は佐治に呼ばれ、半左衛門が襲われ生死が判らないことを告げられた。勘定奉行・谷田部貞勝の不正の証拠探しに行ったことを告げられ、父親探しに飛騨へ行くことになった。
 飛騨で清七も襲われる。父と一緒にいた桑井が見付かるが記憶を失っていた。不正を書き付けた書類を衿に隠し持っていた。父親が生きていることが判る。半左衛門は不正の証拠固めに伊豆にあると思われる谷田部の別荘に行ったようだ。
 清七も不正の塊のような谷田部の別荘で父を見付け、捕まっていた父を助け出し江戸へ帰る。証人は徒士目付けに託す。
 多加が亡くなっていた。死ぬ前には清七への態度を後悔し、市之進に兄妹手を取りあって長谷家を守るようにと市之進に言い残していた。
 

2018年7月7日土曜日

法医昆虫学捜査官

法医昆虫学捜査官 紅のアンデッド 川瀬七緒
 捜査分析支援センターに技術開発者とプロファイルと法医昆虫学の三人・還暦間近の波多野光晴、広澤晴美43才、赤堀涼子36才が配属された。
 死体無き殺人事件が起った。三人・遠山夫妻とその客の手の指が残された。
 虫の湧き具合から三人の指の裁断時間を割り出す。昆虫学者の赤堀が出した答えと解剖医の出した答えとでは十日も違った。また赤堀は一本だけ虫の量が少ないことに疑問をもっていた。
 広澤は過去にも殺人を犯している。同じような犯行現場があり未解決の事件があったはずだ都分析する。
 岩楯祐也と鰐川宗吾は二十三年前の事件、血まみれの現場に残された足の指、見付からない死体の事件のあった家・橋爪家に行く。同じような間取り同じような家だった。
 赤堀は虫の少ない一本の指の持ち主は偏った菜食主義かもしれない。栄養の偏りのために虫が余り寄り付かず繁殖も少ないのだと割り出した。この指は犯人だとも言う。
 一ヶ月以上経ち、毒虫・やけど虫が発生した。二十三年前の事件現場もおなじだった。何も調べないで駆除されていた。赤堀は発生源を調べて行くうちに床下の隠れ井戸に気がつき遺体が出た。遺体を調べるのはやけど虫を駆除してから。二十三年前の現場の家に行く。錯乱した今回の犯人がいた。
 菜食主義の料理教室を開いている宗方君江の息子・大和27才。被害者・遠山は動物に関係するものを全て寄せ付けない大和のことを思って治そうとしていた。ケーキに動物性の物が入っていたと言われた大和は反射的に遠山を殺してしまった。殺したことを相談された君江は現場に行き、血だらけの現場で三人の指を切り残した。井戸の存在を知っていた遠山の妻によって遺体をビニール袋に包まれ遺棄されたのだった。
 君江が何故そんな工作をしたか。二十三年前に橋爪家の奥さんを殺したのは君江だったから。橋爪と不倫の関係にあった君江は妻に離婚を迫り殺してしまった。反撃に遭って指を切り落とされていた。妻の足の指も切り落としていた。帰った橋爪は妻の遺体を古井戸に隠した。君江の息子・大和は橋爪の子供だった。大和は母親の用意するものしか食べられなかった。橋爪の家の床下から骨が見付かった。
 遠山の妻は夫の支配から逃げたかった。通報出来なかった。大和への感情移入。大和を見捨てることができなかった。

2018年7月6日金曜日

おいち不思議がたり④ 火花散る

おいち不思議がたり④ 火花散る あさのあつこ
 いちは身重の滝代を助け、長屋で赤子を産む。滝代は十助と名付け外出し斬られて死ぬ。十助の命を狙われていると思ったいちは、薪炭屋吾妻屋に預ける。
 滝代は大名の側室で懐妊し、命を狙われた。子供を守る為に逃げだしていた。誤魔化すために赤子を産んだ後晒を巻いて子供がお腹にいるように見せて殺されたが、追っては近付いてきた。吾妻屋に押し込み殺そうとするが、仙五郎や助っ人の石上喜之助と三原徳次郎らが阻止した。
 吾妻屋は店をたたみ田舎に越した。

2018年7月5日木曜日

幻想郵便局 

幻想郵便局 堀川アサコ
 就職浪人中のアズサはなりたいものがわからない。特技が探し物と書いて山の上の郵便局にアルバイトが決まった。登天郵便局の花畑にはこの世からあの世へ行く門があり、通る人の名前が届く。
 アズサは門を通ることができない島岡真梨子に出会う。他の人には見えないがいつでも好きな時に現れる。誰が犯人か真梨子は知らない。真梨子を殺し火を付けたのはアズサが通う食堂の主・エリさんが再婚を考える相手・村下だった。真梨子を殺した証拠は村下の娘が父親にプレゼントしたブレスレットだった。真梨子が死ぬ間際村下からもぎ取っていた。村下は妻も殺していた。
 アズサは郵便局で木簡に書いた起請文を探して欲しいと頼まれる。神様との契約書だという。廃虚のドライブインの壁の中から木簡を見付けた。
 郵便局を造る前にあった社を壊し狗山比売は隕石に化け落下し、博物館に閉じこめられていた。話し合うことをせず封印したままになっていた。狗山比売は弱った封印を抜け出し郵便局を潰した。
 真梨子は別の門を通ってこの世からいなくなったようだ。
 一年後、廃虚のドライブインが郵便局になっていた。

2018年7月4日水曜日

上野池之端 鱗や繁盛記

上野池之端 鱗や繁盛記 西條奈加
 末は十四才で池之端にある鱗やに奉公にきた。従姉の軽が嫁に行った後がまに入ったが、鱗やは料理屋と聞いていたが、連れ込み宿だった。軽もいつの間にか姿をしていた。
 養子に入った若旦那・八十八郎だけは熱心だった。主人・宗兵衛も内儀・日出も娘・鶴も使うだけで店にも出ない。
 末と甲は料亭桜楼へ女中見習いに行く。板長・軍平に昔の鱗やを思い出させ、料理を作らせる。義母・日出のお金を使う役者を利用し、鱗やの料理を広め、料理屋 鱗やを復活させる。
 鱗やは水戸に本家を持つ料理屋だった。江戸のどうしようもない若旦那・宗兵衛を預かった。宗兵衛は鱗やの娘・都与を好きになる。都与を嫁に乞うが都与は板前と結婚して江戸に店を持つ。宗兵衛は水戸の鱗やの主と都与の兄妹を殺し、火を付ける。犯人は判っていない。この時、一人助かったのが八十八郎、七才の竹之助だった。犯人の顔を覚えているが誰だか知らなかった。助けた者と菩提寺の住職は竹之助が生きていることが分かると命を狙われると思い、名前を変え、江戸の商家に養子に出した。
 宗兵衛は都与を諦めず、江戸に帰り、鱗やの主人に薬を飲ませ川に突き落とす。都与を手込めにするが、都与は自殺する。誰もいなくなった鱗やの主人に納まり、何もかもしっている女中を内儀に納めた。宗兵衛の妾は都与に似ている。軽も宗兵衛に言い寄られ逃げた為殺されそうになった。川で流されていたところを助けられていた。
 八十八郎は三年前、宗兵衛を見て思い出し、調べ、復讐しようとしていた。軍平と甲を一緒にさせ、店を建て直すことにしてみんなの働き口を決め、宗兵衛と日出と鶴を焼き殺そうとする。末が止める。が役人に捕まる。宗兵衛の旧悪が表に出、宗兵衛は斬首、二人は島流し、八十八郎も流罪になった。闕所になった。
 軍平と甲は芝居町の近所で料理屋を始める。四年目鱗やの名を使うことを許された。三年後、須江が女将になる。上野池之端の店が売りに出され須江は思い切って買う。
 あれから八年若旦那が赦免になって帰ってきた。

2018年7月3日火曜日

峠うどん物語上・下

峠うどん物語上・下 重松清
 峠のてっぺんにあった長寿庵が十四年前から峠うどんと名を変えた。峠うどんを経営する二人の孫・淑子が産まれた年。長寿庵の前に市営斎場が出来た。手打ちのうどんで繁昌していた店がお通夜や葬式に参列したひとのための店になった。中学生になった淑子は店を手伝うようになった。両親共に教師だ。
 かけ、のち月見 親戚の顔も知らない従兄が暴走族で事故で亡くなった同級生・大友がいた。どんな顔でお葬式に出るの?淑子の父親・和也の同級生のお葬式もあった。やたら騒ぐ父親。同級生はお葬式で大泣きしていた人をみて驚いた。黙って卵を入れたうどんを食べて帰る。みんなが帰ってからまいっちゃうね。たまんないよ。と言う父親。
 戦争で焼かれた町、水害に襲われた町、祖父は苦労して蕎麦打ちの修行した。母も苦労して大学を出た。母親の兄は定時制で勉強した。
 二丁目時代 母親の幼少期の想いで
 おくる言葉 三年生の十月からの臨時の先生へのおくる言葉を離任式で言うことになった二年生の淑子が、学校の良いことを月別に先生に教える。また見にきて下さいと。やんちゃな若いお坊さんがお世話になった先生の葬式でせっかく作った巻紙を読めずただ大声で泣いた。
 トクさんの花道 霊柩車の運転手・トクさんがテレビで静かな運転を披露した。
 メメモン 父親の教え子が夏休みの研究に斎場見学をした。研究課題は変わったが、彼女の祖母の亡くなった時、淑子の祖母・駒子はみんなで葬式の写真を選びなさいと諭され実行した。
 柿八年 大水害の時、修業中の祖父・修吉が柿の葉うどんを作って振る舞った。おいしいと言われたが今作ると不味かった。
 本年も又、喪中につき 近所の医院の先生、癌の奥さんを看取っている。息子は医療センターの先生で最後には入院した。先生は自分の患者さんが亡くなると喪中のハガキを出す。駒子は大きい病院で見てもらわないとという客を追い出す。
 わびすけ 修吉の幼馴染みのやくざの親分が引退した。修吉のうどんを食べにきた。約束だった。
 立春大吉 大友君が高校入試を前にうどんの修行をしたいと言い出した。駒子は首にした。逃げては駄目。柿の葉うどんを出し、大型バスを斎場に乗り入れるみやま亭のバスが、雪の日に斎場まできた。駒子は危ないとみやま亭に電話を入れる。バスは道路を塞ぎ動けなくなった。みやま亭の営業方針はマスコミに批判される。移動できなくなった人に小鉢うどんを出す。
 アメイジング・グレイス 試験の日、淑子は修吉にアメイジング・グレイスのCDを頼まれる。わびすけさんが亡くなった。修吉は葬式に行かず、予約席を作ってうどんを作る。試験の日、淑子の同級生が飛び降り自殺をした。小学校は違う学校で中学校も同じクラスになったことがない同級生。迷った末、お通夜に行く。おじいちゃんの作ったうどんを食べる。

2018年7月1日日曜日

イタコ千歳のあやかし事件帖2

イタコ千歳のあやかし事件帖2 魔所 堀川アサコ
 改題 これはこの世のことならず たましくる
津軽に暮らす千歳19才は目が見えない。十七才で林檎栽培試験所に勤める男と結婚した。半年で夫が死亡した。千歳は夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになった。千歳は世話役の幸代と姪の小学生の安子と暮らす。
 魔所 誘拐された三男・恭三の恋人芳子を探しに行き、芳子は見付けたが同じ場所の長持ちの中の養女・多津の遺体を見付けた。恭三が用意された身代金を持ち逃げするため見付かった多津を口封じのため殺害したと白状した。長男・庄太郎は恭三の責任をとって芳子と一緒になるという。庄太郎は毒で芳子を殺そうとした。千歳が阻止し、庄太郎が多津を殺したことを暴く。庄太郎と多津は関係を持っていた。昔から、出来た兄は不祥の弟の尻拭いをしてきたことになっていた。本当の不祥の息子は誰だったのか。
 これはこの世のことならず 息子を亡くした母親は人形を置いて息子の結婚式をする。売れなかった画家が亡くなり、息子は父親の描いた選ばなかった未来という絵を探す。好きな人と結婚しなかった娘はいつまでも忘れられず、二人で貸本屋を営んでいるつもりになる。時々女将がいる時々開いている店。イタコに不思議なことが起る日といわれた夫婦はその日、十年前に二人の子供を「私が目を離した隙に死なせた」とどこかに行ってしまった娘に会った。
 白い虫 大柳家の女中シエ17才が、小学校の同級生の栄子と出会った。栄子に苛められていたシエは願いが叶うと言われた白い虫を飲まされた。シエは飲まれなくて誤魔化し捨てた。次の日、みんなの憧れ花枝が亡くなった。白い虫がはい出たのをシエは見たことを思い出した。花枝の亡くなった後、みんな花枝のことは忘れた。栄子は花枝にソックリだった。栄子が急病で亡くなった。シエは栄子が念じたのは花枝よりも完璧な淑女になってシエに見せつけることだったと理解した。願いが成就し虫に食い殺された。
 小学校の時、シエは勘七さんのお嫁さんになれるように唱えた。今、勘七と結婚を考えてる、本当にあの時白い虫を飲まなかったのだろうか。シエは不安になる。
 馬市にて オシラ様の馬の神様が消えたと連絡を受け千歳は農家・石村家を訪れた。馬市を訪れ、埋められた頭の骨を見付ける。石村の主人・臼作の浮気相手の頭であること、身体が畑にあること、亡くなったのは石村家の納屋で自殺であること。遺体を隠したのは臼作でありオシラ様の馬の神様と一緒に埋めたあげていること。を見抜いた。