2015年5月31日日曜日

陽炎の門

陽炎の門 葉室麟
 桐谷主水37 豊後鶴ケ江六万石黒島藩執政 妻・由布20才、主水の友・吉村綱四郎の娘。綱四郎は十年前藩主興嗣を中傷する落書を書いたとして主水により介錯され切腹していた。
 由布の弟・喬之助が父の仇討ちに現れる。十年前の事件を調べて行くと二十年前の後世河原の騒動も関係している事が判った。
 果たし合いの時、隠れていた事柄を公にし、現藩主興世を押し込めにすることになっていたが、興世は早瀬与十郎に斬られる。与十郎は主水に無理に斬らせて死ぬ。
 二十年前の後世河原で若者たちの乱闘騒ぎの後、世継ぎ時代の現藩主が小姓と共に覆面で現れ、倒れている者をめった打ちにした。止めに入った綱四郎は斬り合いになり一人を斬り、相手が若殿であることが解り、何も言えなかった。このことが一番の根っこだった。
  十年後、綱四郎は若殿の廃嫡を申請する。危険を感じた興世は綱四郎を罠に嵌め切腹に追い込んだ。罠に嵌めたのが興世だと言うことは執政たちは解っていたようだ。この事件で二人の家老が隠居し今の執政が出世したものだから、また藩主であるから何も言えなかった。
 主水は何もかも暴露し、現家老と隠居した家老を呼び出し協力させた。
 河原で斬られた者は片腕を無くし京で僧侶になった。次席家老の息子・与十郎の兄だった。乱闘騒ぎの後の若殿の行ないを皆は知らないため、綱四郎か主水が斬ったものと思われ、主水は憎まれていた。何もかも解った時、与十郎は気持ちの整理をつけ兄の復讐をしたのだった。

2015年5月30日土曜日

犯罪心理捜査官セバスチャン下

犯罪心理捜査官セバスチャン下 M・ヨート
 犯人は友達ヨハン・ストランドだった。母・ベアトリスは殺された少年・ローゲル・エリックソンの担任だった。ローゲルとベアトリスは関係を持った。それを知ったヨハンは関係を止めさせるため殺してしまった。ヨハンを庇うため、父親ウルフがいろんな工作をし、次々と殺して行った。次々と犯人と思われる人が変わるが、セバスチャンは的確に言い当てる。解散した。
 ビリーがセバスチャンの元彼女の現在の住所を突き止めてくれた。セバスチャンがその住所に行くと、アンナ・エリクソンは彼女には父がいるから帰るように言われる。隠れて娘を見た。ヴェニヤ・リトネル一緒に操作していた国家刑事警察殺人捜査特別班の一員だった。

2015年5月29日金曜日

海坂藩大全 下

海坂藩大全下 藤沢周平
 梅香る 志津は婚約を破棄され保科と結婚した。婚約破棄の理由も知らず、結婚も納得がいかない。怪我で男の機能を失った元婚約者の推薦の男が保科だった。
 泣くな、けい 妻・麻乃が亡くなってから、城からの預かり物の刀が無くなったことが明らかになった。麻乃の手で持ち出され商家の手に渡り、隣藩の武士の手に渡っていた。相良波十郎は謹慎になるので女中のけいに武士との交渉を頼んだ。一ヶ月経ち江戸まで行き刀を返してもらってきた。けいを嫁にした。
 泣く母 伊庭小四郎は生まれる前に父を亡くし、生まれてすぐ母は婚家を出、再婚した。道場に弟が入り、苛める兄弟子と木刀で試合をすることになった。小四郎は先に行き刀で戦う。怪我をした所に母が駆け付け、弟のために・・・と泣くが、小四郎は、母の為に・・と言う言葉を飲み込んだ。
 山桜 野江は一人目の夫は死に、再嫁したが家風に馴染めない。手塚弥一郎が自分のことを気に掛けていてくれたことを知った。弥一郎が奸物を刺殺した。獄舎に入った。野江は離婚される。母一人になった手塚けを訪れる。
 報復 柚木邦之助は次席家老・柘植の公金不正流用を直訴し、切腹と言う形で帰ってきた。下男の松平は下男を辞め、植木屋になり柘植の殿様に献上する梅の木を斧で切り倒す。
 切腹 二十年疎遠になっていた友・甚左が切腹した。と同時に使い込みなど不正を働いたと言う噂が流れた。助太夫は調べ、大目付に訴えた。証拠がいると追い返される。帰り、刺客が出る。殺したもの傷つけたもの家老のけらいだった。それが証拠になり家老は閉門になり甚左の濡れ衣は晴らせた。
 花のあと 以登は江口孫四郎と剣の対決をし、恋する。以登には許嫁がいた。江口にも養子話しが有り結婚する。江口の嫁・加世は藤井勘解由と不倫していた。奏者番になっていた江口は藤井の刺しがねで御役を失敗し、切腹する。以登は許嫁片桐才助の手を借り、藤井を殺す。
 鷦鷯 母が病気で婚期が遅れた品は金を借りている石塚家から息子・孫四郎の嫁にと言う話しが舞い込む。新左衛門は金で娘を売るような、息子の軽口も不快だった。近所で刀を振り回す輩が出た時、討っ手として孫四郎が現れ、きっちりかたずけた。ちょっと気に入った。
 岡安家の犬 家の飼い犬を友達たちに犬鍋にされた甚之丞22は刀を抜きそうになる。止められ、金之助に絶交を言い渡し、妹・八寿との婚約も破棄するという。金之助は他の男の八寿の縁談を壊し、二ヶ月かけ赤犬を探してきた。
 静かな木 布施孫左衛門は養子に行った次男が鳥飼勝弥と果たし合いをすることになった。孫左衛門は辞めさせるために、鳥飼の旧悪から現在の公金着服まで明らかにすると脅しを掛ける。事件がきっかけで政権が交代した。鳥飼中老の収賄疑獄が摘発された。
 偉丈夫 偉丈夫だがのみの心臓の片桐権兵衛は隣藩との境界についての百年来の話し合いに行くことになった。無口な権兵衛は藩祖の遺言の意志をん曲げるのなら一戦も辞さぬと言ったためか、不毛の論争は本年で打ち切りにすると申し入れがあって片づいた。

2015年5月28日木曜日

海坂藩大全 上

海坂藩大全 上 藤沢周平
 暗殺の年輪 葛西馨之介の父は22年前、暗殺に失敗し、亡くなっていた。父が失敗した暗殺が馨之介に廻ってきた。馨之介は暗殺はしたが、頼んだ人たちが襲ってきた。父の死が理解できた。馨之介は助かるか?
 相模守は無害 明楽箭八郎は14年間海坂藩に潜った御庭番だ。将軍家血筋の廉姫と藩主嫡子新七郎に何か起こらないか、藩主の弟・相模守を見張ることだった。相模守を失脚させ帰って来た。海坂藩の江戸屋敷で失脚したはずの息子を見る。箭八郎は御庭番であることを知られていた。箭八郎が帰るのを確認して藩政をひっくり返した。箭八郎は海坂藩に戻り相模守を殺した。
 唆す 安政 神谷武太夫は百姓一揆を使嗾したことで海坂藩を追放された。今江戸で武太夫は町人に暴動が起きる種を蒔く。
 潮田伝五郎置文 潮田伝五郎は女神と崇める七重の不義の相手井沢勝弥を斬り、その場で切腹する。七重汚されるのが嫌だった。七重は井沢を殺した伝五郎を憎んでいた。
 鬼気 藩の強い者の話しになった。噂ではと名前があがった細谷がどれほど強いか帰りを襲おうとした。用意と睨みで逃げ出した。
 竹光始末 小黒丹十郎一家が仕官願いで海坂藩にきた。上意打ちの討っ手になる。逃げるつもりだった男は丹十郎が竹光なのを知り果たし合いをする。丹十郎は小太刀を使うのだった。仕官できた。
 遠方より来る 三崎甚平のところに大阪攻めの時に知り合った曽我平九郎が訪ねてきた。妻・好江に文句を言われながら世話をする。が、平九郎がごろつきに土下座をするのを見て仕官の話しはなくなった。平九郎は姿を消した。甚平は足軽15人を束ねる小頭になる。
 小川の辺 戌亥朔之助は佐久間森衛の討っ手に選ばれる。森衛は意見書を出し、謹慎を命じられていたが、妻・田鶴と脱藩した。森衛は友達で田鶴は妹だった。朔之助は奉公人・新蔵を連れて行く。田鶴は兄の言うことは聞かないが新蔵の言うことは聞く。行徳で森衛を倒し、田鶴は新蔵に預けた。
 木綿触れ 絹ものを着てはいけないお触れが出た次の日、友助の妻はなえは実家で羽二重の着物を着た。結婚前に目を付けられた中台に見られ、呼び出しを受けた。帰って着てから二日目、はなえは自死した。中台を斬り、友助は腹を斬った。
 小鶴 神名吉左衛門夫婦の家に何も話さない女が来た。小鶴と言い、夫婦は楽しく暮らした。一年たち、隣国から夫・寺川籐三郎が来た。父母が夫婦喧嘩中に父が母を殺し父が切腹した。が、本当は父に小鶴・光穗が斬り付け、光穗を庇うため切腹したようだ。寺川は自ら癒えるのまでじっくり養生させると帰って行った。

2015年5月27日水曜日

犯罪心理捜査官セバスチャン上

犯罪心理捜査官セバスチャン上 ローセンフェルト
 セバスチャンは母が亡くなり40年ぶりにヴェステロースに帰って来た。心臓がえぐられた少年の死体が見付かり、セバスチャンが元いた国家刑事警察の殺人捜査特別班が捜査していた。セバスチャンは30年以上前に自分の子が産まれていたかもしれないことを知り、アンナ・エリクソンを探すために元の組織の仲間に無理やり入る。

2015年5月25日月曜日

藤沢周平全集21巻 

藤沢周平全集21巻 
三屋清左衛門残日録 清左衛門52才 妻三年前に死亡 家禄百二十石から二百七十石、御納戸役から用人へ。新藩主になり引退、江戸屋敷から国許へ、屋敷はそのまま隠居部屋を建ててもらう。息子・又四郎 息子の嫁・里恵
醜女 先代藩主の一度の手付きの娘に藩主の死亡と同時に自由の身になっていたのに、連絡が途切れていた。子どもが出来た二人が一緒になれるようにする。町奉行・佐伯熊太
高札場 隠居した安富源太夫が昔、結婚の約束を反故にした女に謝りながら腹を切った。源太夫は自分の所為で彼女が不幸だったと思っていたようだが、彼女は何とも思っていなかった。
零落 金井奥之助。清左衛門と同じような身分だったが、藩を二分する政変時、清左衛門は山村に付き、金井は朝田に付いた。金井は浅田派の御納戸組頭の娘と祝言を挙げた。この時は朝田が勝ったが三年後、遠藤が筆頭家老になった。金井は二十五石になっていた。磯釣りに行き海に突き落とされそうになる。
白い顔 21才の時、雷、夕立の一緒に非難し、抱き寄せていた娘の娘・多美21才を見た。多美は酔狂で苛む性癖の夫から逃げ離縁になっていた。夫は未練があった。清左衛門は平松与五郎27才を紹介し結婚した。平松は百石、御兵具方で、清左衛門が通う中根道場で後輩の指導をしている。
梅雨ぐもり 末娘・奈津が窶れている。夫・杉村要助の浮気を疑っていた。要助は役目で茶屋で浅田派を見張っていた。半月後、茶屋で正体がばれた要助は斬り合いの喧嘩になり傷をし、役目を終えた。ただの喧嘩さわぎで納められた。
川の音 川の中州で立ち往生していた親子を助けた。みよは見張られていた。清左衛門も浅田派の黒田欣之助に近寄るなと脅される。みおは野塩村の大地主・多田宅に朝田家老と藩主の弟・旗本石見守が訪れたのを見ていた。清左衛門はおみよに忘れよという。黒田にはおみよに何かあればとことん調べると言い放つ。
平八の汗 幼いころの道場仲間・大塚平八に頼まれ間島を紹介する。平八は間島に息子の処分を軽くしてもらっていた。そのために清左衛門は遠藤派の集まりに顔を出すことになった。
梅咲くころ 十五年前、殿様のお声がかりで奥方のお気に入り女中の松江17才の危難を救った。女遊びで名を売っている若者との不義だった。内密に事を納め松江に梅の枝を送った。引退した松江には、縁談が持ち上がっている。清左衛門は、野田家は火の車で松江の持参金四百両が目的だろうと教える。縁談は断わった。清左衛門は安西佐太夫に松江を嫁にとけしかける。
ならず者 昔、御納戸役の不正の為家禄を半減された半田は冤罪だった。半田の下役が商家と一緒になって罠を仕掛けていた。半田は子どもの薬代の為高利のお金を借り、返済のため商家から賄賂を貰っていた。清左衛門は上手い解決方法を探す・・・。涌井の女将に元板前のならず者が出入りしていた。清左衛門は追い出す。
草いきれ 幼いころの道場仲間・吉井彦四郎は清左衛門と一緒の時に雷にうたれて亡くなる。勘定奉行で引退した小沼惣兵衛は19才の妾を囲っていた。
霧の夜 中根道場で師範代だった成瀬が御勘定目付けを退き、惚けていると言う噂だ。成瀬は浅田派に見張られ、清左衛門に遠藤派の頭株に合わせてと頼みに来る。間島に取り次ぎ江戸藩邸で毒を盛るという話しを聞いたことを話す。
夢 清左衛門は小木慶三郎に謝っている夢を見る。25、6才の時殿様に聞かれ、小木の結婚のことを、上士の宮内と縁を結びたいが為に先妻を離縁し宮内の娘と結婚すると言う噂がある。と言ったことがあった。立派すぎる小木にけちを付けたっかった?競争心?二年後、小木は左遷された。自分の所為か?と言う気持ちがあった。小木の先妻は密通していた。左遷の理由は重職の意見取り次ぎにあたり越権の行為があったということだった。
立会い人 現道場主・中根弥三郎は三十年前、納屋甚之丞と試合をし、先代の娘と祝言をし、道場の跡継ぎとなった。甚之丞が試合の申し入れをしてきた。清左衛門は立会人をする。弥三郎が勝った。肝心なところで目を瞑ってしまいどう勝ったか判らない。見せたくなくて清左衛門は立会人を頼まれたのだろうと思った。
闇の談合 江戸の石見守が毒を盛られて亡くなった。朝田派に寄るものだと判明。自分の次男を藩主の養子にしようと、若殿を殺そうとする石見守が邪魔になった。江戸から新用人・船越喜四郎が朝田派の失脚と穏便な政権交代との話しを付けにくる。浅田派は諦めた。遠藤派も了承した。
早春の光 金井奥之助が死んだ。中風で倒れた平八は歩く練習を始めた。毒を盛った黒田欣之助は殺された。同じく黒田と行動を共にした村井寅太は安富忠兵衛を襲い小屋に閉じこもった。清左衛門は浅田派が藩に村井の口を塞いで貰おうとしている。村井を殺してはいけない。と主張する。村井は捕まり、口書きを取った。
涌井の女将は生まれ故郷に帰った。

2015年5月23日土曜日

藤沢周平全集13

藤沢周平全集13
闇の歯車
 佐之助は伊兵衛に押し込みに誘われ仲間に入る。胸を患う他人の妻と駆落ちした浪人・伊黒。結婚が決まって別れたい女がいる布団屋の若旦那・仙太郎。お酒を飲むこずかいにも事欠く年寄り・弥十。
 伊兵衛は同心に目を付けられていた。押し込みは成功するが、押し込み先で佐之助と伊兵衛は女中に顔を見られた。女中は佐之助の以前の同棲相手だった。佐之助は伊兵衛が女中を殺そうとするだろうと思い、女中を守る。伊兵衛が女中を殺そうとする時を待っていた同心に捕まる。女中は佐之助を見てないと庇った。
 伊黒の妻は病気で亡くなり、女敵討ちと相打ちで死ぬ。仙太郎は別れようとした女に殺される。弥十は孫娘が攫われようとしたのを身を呈して阻止し、傷を負う。中風になり寝たきりになる。
 佐之助にはお金は入らないが、おみねが帰ってくる。ちゃんと働こうと思った。
 

2015年5月22日金曜日

藤沢周平全集13巻

藤沢周平全集13巻 
人間の檻 獄医立花登手控え
 帰って来た罪 命が尽きる患者・彦蔵が三十年前に磯六が子供を攫い殺した事を登に言う。佐兵衛が磯六に似ていると言う。岡っ引き・藤吉に相談する。子供を連れ去ろうとする佐兵衛を捕まえた。
 見張り 牢の中で作次は、叩きの刑で出た二人が浅草の直綿問屋三好屋に押し込む相談をしているのを聞いた。もう一人とりぞうを誘うらしい。作次は登に伝える。作次は牢を出て殺された。登はとりぞうを知っていた。押し込みに来た仲間になったとりぞうを投げとばす。とりぞうは真面目に働いている。
 待ち伏せ 牢から出た者が三人続けて殺されかけた。犯人の目的は次の馬六だった。馬六の娘の嫁ぎ先の多田屋は五年前に押し込みに遭っていた。手代が手引きしていた。手代は博打場で馬六に顔をみられているため馬六と顔を合わせたくなかった。
 影の男 喜八は牢を出る前に店のお金を盗んだ事になっている甚助は無実だと言う。本当に盗んだ房吉は殺されている。喜八は房吉の女房の情夫だった。甚助は島送りになる十日前だった。
 女の部屋 大黒屋の女房が商談中に男に襲われた。駆け付けた手代の新助が男をころしてしまった。新助は島送りになった。
 別れゆく季節 登は黒雲の銀次を捕まえるのに貢献したため兼吉に命を狙われる。豆腐屋のおあきも手を貸したと思われ攫われる。柔術道場の友人・新谷に助けてもらい、おあきを救いだす。兼吉は銀次の弟だった。登はおちかと結婚し叔父の後を継ぐことになった。その前に大阪へ医学の勉強に行く事になった。

霧の果て 神谷玄次郎捕物控
 十五年前、父親が取り組んだ事件のせいで母親と妹が斬り殺された。そのあと、父親は気落ちし、病気になり亡くなった。上から調べにストップが掛かっていた。
 玄次郎はどんな事件だったかから調べ始めた。母と妹を斬ったのは御側衆水野播磨守康方に付いている鶴木右膳だった。
玄次郎は鶴木を斬り、水野に会う。年を取っていた。

2015年5月21日木曜日

用心棒血戦記2

用心棒血戦記2 破邪の剣 鳥羽亮
 葵十三郎は彦里藩飯田相模守に次男房之介19才を殺す事を頼まれる。白須賀宿と境川の間で死闘は行なわれた。

2015年5月20日水曜日

八州廻り桑山十兵衛7

八州廻り桑山十兵衛7 たどりそこねた芭蕉の足跡 佐藤雅美
 野州真岡の六斎市 政次郎と勝兵衛が売り、繁蔵が買った繰綿が古河に二駄届いていない。十兵衛は三分の一づつ泣く事でけりを付けたが、真岡で勝兵衛が繰綿を売っているのを見た。勝兵衛の猫ばばが発覚した。
 加納幹三郎は下谷広小路の二階建ての一軒家を借り、十兵衛の娘・八重と祝言を挙げた。
 代官・川崎平右衛門は十兵衛に真岡の陣屋の手代・小川万蔵の不正の調べを頼んだ。万蔵は辞めようと思うので千六百両の穴埋め金を返して貰いけりをつけようという。
 蓑笠軍兵衛 戸田の渡しの不名誉譚 栗林軍兵衛は宝光寺再建大般若積立金講を始め振りくじを売り、八十五両を持ち逃げした。戸田の渡しで川止めに合い捕まった。
 死罪覚悟の入墨者の自訴 飴屋久兵衛は香具師に入らない。茂左衛門が飴師を引っこ抜いている。ごまのはえ・小吉を庇った久兵衛は捕まる。小吉は久兵衛を助けるため自訴してきた。
 大盗っ人籐八と三人の爆睡 石州津和野四万三千石亀井大隅家の中間に雇われた籐八は役人と中間が居眠り中、百両余りの小玉銀を持って逃げた。雲助等に巻き上げられ籐八は亀井大隅家に帰る。十兵衛はやたら銀を持っている馬子等に合い銀を集めて行く。亀井大隅家の事件を聞き、大隅家に持って行く。大半のお金が返った。
 たどりそこねた芭蕉の足跡 小川万蔵がどんな人物かを聞くために尾花沢に行く。土蜘蛛の九二蔵は八州が追いかけてきたと思い逃げるために夜盗を働き、捕まる。十兵衛は一味を江戸へ連れ帰る。
 この金よく一家を支持するに足りるか 木賃宿で博打をし、百姓は自修見舞金を無くしてしまった。村人には渡したと報告する。見舞い金を出した者はお咎めを受けた。村人が自訴しようとしたので見舞い金を渡していない事を打ち明けた。
 三度の火事と多生の縁 名門幸三郎家の追い落としを狙う、助右衛門と彦五郎は火事の中書き付けの束を持って逃げる。七左衛門は助右衛門を殺してしまう。新吉は頑張って七左衛門を捕まえるが、新吉は札差しを狙った掏摸仲間と分かり、江戸の牢に繋がれた。
 牢で二度火事がおこり、二度とも回向院に帰った新吉と七左衛門は刑が軽くなり中追放となった。二人でやり直す事にした。
 手代・小川万蔵の復讐 十兵衛は手代の小川を調べるように、上司川崎にいわれる。
小川の言い分は三十七年前に貸した三十両が、今では二千両になる。ということだった。

2015年5月19日火曜日

用心棒血戦記

用心棒血戦記 鳥羽亮

八州廻り桑山十兵衛6 

八州廻り桑山十兵衛6 六地蔵河原の決闘 佐藤雅美

2015年5月18日月曜日

紫匂う

紫匂う 葉室麟
 黒島藩六万石
 郡方五十石 萩蔵太の妻・澪30才 澪は結婚して十二年、17才の時に契りを交わした幼馴染み葛西笙平が濡れ衣を着せられ、国許に護送中に逃げた事をきき、心配する最中、笙平を見かけ助ける。
 家老・黒瀬宮内の商人より賂を受けた証拠を持つ笙平は殿様の母親・芳光院を頼る。澪と蔵太が助け芳光院の所に送り届ける。
 澪は恋する相手は蔵太以外にいない。と思う。
 
円光寺 菩提山 心極流 西行寺 北谷 大飯 鋤沢の湯治場 竹井巴山 大峰山 尾根川 雫亭 大西村 坂田村 篠村


ヒマワリ種まき
 

2015年5月17日日曜日

なめくじ長屋捕物さわぎ(一)

なめくじ長屋捕物さわぎ(一) ちみどろ砂絵  都筑道夫
 砂絵かきのせんせー
 よろいの渡し 何人もの岡っ引きが付けていた人魂長次を一人の女が川に飛び込み泳いでいる間に渡し舟の中で女に化けさせ弱みを握られたため逃がしてやった、岡っ引き房吉。
 ろくろっ首 若旦那が女物の着物を着て首なし死体で見付かった。若旦那は発狂しての自殺だった。身元を隠すために番頭が魚屋に首を切ってもらった。 
 春暁八幡鐘 商家の娘の裸が見たいがために、商家の風呂桶の盗みを頼む絵描き。
 三番倉 
 本所七不思議
 いのしし屋敷
 心中不忍池
くらやみ砂絵
 不動坊火焔
 天狗起し
 やれ突けそれ突け
 南蛮大魔術
 雪もよい明神した
 春狂言役者づくし
 地口行燈

2015年5月16日土曜日

「土佐日記」を推理する

「土佐日記」を推理する 佐藤省三
 大津 浦戸 宇多 大湊 奈半 室津はどこか?
 紀貫之はどこに泊まったか?

2015年5月15日金曜日

新・神楽坂咲花堂

新・神楽坂咲花堂 取替屋 井川香四郎
 咲花堂の若旦那・綸太郎は二年ぶりに江戸に帰ってきた。今回は姉・美津が付いてくる。
 元の店は「波奈」という茶店になっていた。
 「紅鳥」という施しをする泥棒がいた。
 骨董品の偽物を作り、本物と取り替える泥棒がいた。
 綸太郎は加賀藩別邸という庵に住まわせてもらったが、ここは偽物の焼き物を作り、骨董の保管場所でもあった。
 裏の長屋に住む親子は、明石藩江戸家老の考えで、虎徹の贋ものを焼いていた。
 綸太郎がうろついたことで、取り替え屋は逃げ、加賀藩の別邸も刀の鍛冶場も爆発し燃え、証拠もみんな無くなった。
 取り替え屋の総元締め「辰巳屋」の主・唐左衛門が秀吉の隠し金を狙っていたので、綸太郎は贋絵図で近江に引っ張り出し、全財産を使わすつもりだ。「お宝人」を狩る天下泰平と波奈の手を借りた。波奈は紅鳥のようだ。波奈が近江にいったので、咲花堂を元の場所で開いた。
南町奉行所定町廻り同心・長崎千恵蔵は上様のハトコ・松平少将と名乗り旗本屋敷に乗り込んでゆく。同じ道場で学んだ朝倉と妹・日菜を助けるために。
内海弦三郎は奉行所の金に手を出してお役御免になっていた。

2015年5月13日水曜日

風塵の剣(七)

風塵の剣(七)   稲葉稔
 文化六年 1809年
 小早川彦蔵は故郷河遠へ里帰りした。彦蔵を保護してくれている村木籐十郎が暗殺された。籐十郎が次期藩主に推していた若様雄之輔も鉄砲で殺された。藩主・成瀬隼人正義嗣が参勤交代で江戸を出発後、江戸家老・横山三右衛門、国家老・長谷川内記等が押す貞次郎が亡くなった。
 義嗣が国入り時に農民が何百と集まり直訴した。と同時に、横山三右衛門と長谷川内記を村木籐十郎と雄之輔暗殺の首謀者として捕縛した。その時、駿河の代官がやってくるように手配した。彦蔵の計画だった。河遠の農民を助けるためには、雄之輔亡き後では天領にするしかないという考えだった。思わぬことに藩主義嗣も病で亡くなった。
 彦蔵は絵師として生活し、勉強会を開き、勝麟太郎を教えるようになる。

2015年5月10日日曜日

源氏物語の男たち

源氏物語の男たち 田辺聖子
 ミスター源氏の生活と意見
 ミスター・光源氏、ミスター・夕霧

2015年5月9日土曜日

山月庵茶会記

山月庵茶会記 葉室麟
 宝暦二年(1752年)正月 柏木靭負(ゆきえ)は16年ぶりに豊後鶴ケ江の黒島藩へ帰国した。16年前政争に破れ、妻・藤尾が自裁し致仕し京に行き茶人となった。妻の死を納得するために帰ってきた。
 16年前に靭負が国役免除になるように老中松平乗邑に働き掛けたことを隠密が調べ始めたため、殿・黒島興長の命により靭負の重臣に成ることが阻まれた。殿からの密書を藤尾が見てしまい、靭負に何も言えず死んでいったのだった。
 靭負はまだ、隠密(草)がいる事を知り、隠密として未だ生きている者と隠密を脱けようとするものと対峙させる。隠密を脱けようとした靭負の養子・清三郎が残った。

2015年5月8日金曜日

質屋籐十郎隠御用3

質屋籐十郎隠御用3 赤姫心中 小杉健治
 役者が死んだ。辻斬りにあったと言われたが、本当は贔屓筋の妻女と密会中に自死したのだった。
 籐十郎に大阪鴻池の末娘との縁談がもちあがる。

2015年5月7日木曜日

夜叉萬同心2

夜叉萬同心2 冥土の別れ道 辻堂魁
 文化四年 1807年 八月十九日 永代橋崩落
 萬 七蔵  樫太郎 梅 文 倫が加わる
がえん太鼓 永代橋が崩落した時に殺されそうになっていた火消し万吉に付いて調べる。火消し訓練で、火消し仲間、与力、同心も一緒にある商家に押し入り、主を殴り、娘を犯した。主は死に、娘と結婚した惣介が万吉をつけ狙い殺していた。捕まるが理由がわかり江戸所払いになる。江戸を出た娘と惣介と母親を斎藤家火消屋敷の者が追いかけ殺そうとした。七蔵が行き、止めるがひと足遅く、惣介は殺される。与力は斬首、頭は打ち首獄門、火消しは遠島になった。
 川向こうの女 永代橋の事故で妻が亡くなったとされる御公儀番方徒組の林勘助が責められた痕跡を残し海に浮いて見付かった。勘助は妻をさがしていた。妻・袈裟は生きていた。七蔵が乗り込んだ時、記憶を無くした袈裟に阿片を使い妻にしていた男が首なし死体で見付かった。袈裟は勘助との思い出の場所で自殺した。
 散茶女郎の小判 七蔵は赤蜥蜴と言われる残忍な押し込みたちを探している。仲間と思われる男を張り込み、殺しに来た、赤蜥蜴の仲間を殺してしまった。それを知った赤蜥蜴の首領は七蔵の家に殺しに来た。首領を捕まえる。

2015年5月6日水曜日

表御番医師診療禄5

表御番医師診療禄5 摘出 上田秀人
 矢切良衛は、伊賀忍を治療したことで御広敷番に異動させられ伊賀忍が大奥で襲われたことを調べることになる。将軍綱吉の手を借り、伝の方の部屋に毎日通うことになる。行儀作法係りんお山科の火の番十六夜が怪しい思った時、大奥で十六夜に襲われ、取り押さえる。
 勘定頭・萩原重秀が伊賀者を動かし、山科のため込んだお金を調べていたのだった。伊賀忍が見付けた。伊賀忍は良衛が大目付の命で大奥を探っていることを山科に伝えた。
 良衛の弟子として入り込んでいた吉沢は良衛が大切にしている宝水と呼んでいる眠り薬を盗み出した。薬の行き先は半井出雲守だった。


2015年5月5日火曜日

首切り浅右衛門人情控3

首切り浅右衛門人情控3 安政くだ狐 千野隆司
 安政五年 七月 江戸でコレラが流行る。
 コレラで死んだ人の棺桶の中から、殺された男の死体が見付かる。
 コレラを治すという三人組の祈祷師が現れる。
 莫連娘の仲間の一人がコレラで死ぬ。お房もコレラに罹る。
 お房が探していた、三年前の火事で行方が判らなくなった許嫁櫛職人の吾助をみんなで探す。
 祈祷師の一人が吾助のようだ。祈祷師が秩父三峯山から替えって来た文平を殺し護符を手に入れ、文平の死体を棺桶に入れた事も判明した。吾助にお房が探していることを伝える。吾助はお房が火事で死んだものと思っていた。
 祈祷師たちは大黒屋に押し込み千両を奪う計画をたてる。吾助は押し込む寸前に逃げ、仲間に傷付けられるが、お房の所へ行く。浅右衛門に押し込みの事を告げ、祈祷師は捕まる。
 お房は助かり、吾助は五十叩きの刑ですむ。

2015年5月4日月曜日

首切り浅右衛門人情控2

首切り浅右衛門人情控2 莫連娘 千野隆司
 安政5年 五月 志乃一周忌 吉豊20才 在吉18才 吉亮5才 真吉1才
 莫連娘 常次郎は捕まっても仲間のことを言わなければ女房・咲を請け出してくれるという約束だったが、約束を果たされていないことを知り、錠前開け名人朋蔵を捕らえて欲しいと言い残し死んで行った。二人の武士も仲間だという。常次郎は逃げる時に火事で怪我をしたお新を助け捕まっていた。浅右衛門は吉豊を連れ聞き廻る。
 お新は身内がいない女ばかりの莫連仲間の一人だった。お新たちは助けてくれた常次郎のために咲の身請け金を作ろうとしていた。
 お新たちに、常次郎が畳替えをした旗本と印判屋の朋蔵の見張りを手伝ってもらう。旗本と朋蔵が繋がり、尾行していたお新が捕まり、連れていかれた小屋で千両箱が見付かった。旗本は闕所、咲は身請けされ、寺に入った。
 ぬれ衣 六月 種痘所の医師・池田多中が、接種する牛痘痂の量を故意に増やしたとして捕まった。浅右衛門は川路聖謨に池田のことを相談される。
 種痘を受けて亡くなった人を調べる。あばずれ娘たちに手伝ってもらう。怪しい男は殺された。握っていた根付けから犯人は蘭方医で初の奥医師になりたい長谷川亮鐸の弟子杉浦と判明した。杉浦は池田が罪人になれば師・伊藤先生に累が及び奥医師にはなれない。長谷川を奥医師にするのが目的だった。杉浦の犯行を知り、強請ってきたので殺していた。
 やませ風 浅右衛門は一膳飯屋で娘・おしなが叔父をいたわっているのを見た。叔父は三枡屋の主人・市兵衛だ。市兵衛が借金の督促にきた越中屋を殺して捕まった。一人でやったと言うが、越中屋が持っていた借用証文を入れた風呂敷包みが無くなっていた。浅右衛門は調べる。
 市兵衛はおしなが殺したと思い身代わりになっていた。市兵衛を憎んでいたおしなが情夫玄七と組み、おしなが刺した後玄七が留めを刺し、おしなが風呂敷包みを奪い、稲荷に隠していた。玄七は稲荷の風呂敷包みを取り出し、逃げる時に川にはまり死んだ。全てを知っても自分が殺し風呂敷包みも自分が隠したと言い、おしなを助けた。

2015年5月3日日曜日

首切り浅右衛門人情控

首切り浅右衛門人情控 千野隆司
 安政4年 1857年 正月
 浅右衛門七代吉利40半ば 長男・吉豊17才 次男・在吉17才 三男・吉亮4才
四男・真吉2ヶ月 妻・志乃真吉を産み産後の肥立ちが悪く寝込んだまま。
 形見の簪 娘を身請けするために押し込み捕まった男・梅次郎の斬首を執行する前に、話した。捕まっても仲間のことは言わない。その代わり娘を請け出すことになっている。請け出されたか心配だと言う。仲間の名前も言う。浅右衛門は分かったと答える。浅右衛門が仲間の首を落とし、娘を身請けする。
 身代わり 二月 長谷藤の娘・おそのが遊び仲間の旗本・橋本耀四郎の名で呼び出された物置き小屋で、ならず者・角次がおそのに乱暴しようとした、やって来たおそのの許嫁吾助が角次を殺してしまったという事件が起きた。
 浅右衛門の前に、おそのが殺し、吾助は身代わりだという女が現れた。吾助はおそのが刺した匕首を自分が押し込んだから殺したのは自分だと言う。
 全てを見ていた耀四郎は長谷藤を強請っていた。浅右衛門は耀四郎の首を刎ねた。吾助も刑を受けた。
 脇差 米屋竹田屋の主人・臼兵衛が、米問屋であり金貸しの柏木屋の主人・薪右衛門を殺し刑を執行された。殺人に使われたのが上等の脇差しだったため浅右衛門は調べた。殺人にまで臼兵衛を追い詰めたのは借金取りの柏木屋ではなく、柏木屋に恨みを持つ鶴亀屋勒三郎だった。竹田屋が潰れるという噂を流し、借金を返せなくし、所有する脇差しを与え、臼兵衛の妻子の面倒をみることを約束していた。
 音無しの剣 三月 残忍な強奪事件を起こした浪人が斬首される前に、仲間は高柳又四郎だと言い置いた。浅右衛門の知人だ。そんな人では無いと思いながら探す。高柳も本当の辻斬りを探していた。吉利の目の前で高柳は本当の辻斬りを捕まえた。
 似た女 借金し、店を潰され、亭主を亡くし、我が身も危なくなったおちかは、備前屋を殺すため誘いに乗るが、失敗、捕まり、斬首刑となった。仇を討ってと叫んだ。おちかと共に備前屋を襲った菅野六郎太は逃げ、備前屋を呼び出す。浅右衛門は備前屋の用心棒をおびき出し、六郎太は備前屋を殺す。六郎太は奉行所へ行く。
 おびえる夜 受刑者・為造が浅右衛門に約定の件宜しくお願いしますと言った。牢名主・五郎蔵と同心・滝田五十五郎から話を聞く。為造はおまきに唆されて木曽屋を襲いおまきにお金を全て渡した。という。
 おまきの好きな木曽屋の手代・惣助は博打の借金を店のお金を流用していた。おまきは穴埋めのお金を為造を使って作り助けた。惣助が主人の妹と祝言を挙げ番頭になることを聞いて惣助を刺し殺した。
 蝉の音 五月 兼次郎は俺を売った者もこの世からいなくなる。と言い処刑される。誰かが殺されると思い浅右衛門は調べる。
 兼次郎は商人を襲い、金を取った現場をおそのに見られ捕まっていた。兼次郎の兄は自分も顔を見られたかもしれないと思い、おそのを襲った。浅右衛門はおそのを助けた。
 志乃が亡くなった。

2015年5月2日土曜日

仕舞屋侍 

仕舞屋侍 辻堂魁
 九十九九十郎 元御小人目付、もみ消し屋
 七12才 九十郎の家の下働き、子供なので断わるが、料理が上手く、良く働き居座る。
 龍之介 元下役の息子、父親が死んだことで九十郎は仕事を辞めた。
 夫、山同心・三屋半次郎を殺された照が、追い剥ぎに会ったとされているが、調べ直して欲しいと来る。浪人だった照の父親は、拾ったお金を猫ばばした疑いで入牢され拷問を受けた。後に商家の主の家でお金が見付かり解き放たれたが、落としたお金を取ったと騒いだ商家の主を斬り、切腹していた。
 三屋は、若い修行僧が会っていた娘を料理茶屋で殺した事件を調べていた。本当に殺したのは寛永寺の高僧だった。と共に、女を集め法尼の格好で男の相手をさせる寺がある事も露見した。三屋が邪魔になり殺したのは三屋の上役だった。

2015年5月1日金曜日

新・古着屋総兵衛九

新・古着屋総兵衛九 たそがれ歌麿 佐伯泰英
 大黒屋・総兵衛は栄橋の架け替え時に船隠しの引き込み口を大きくし橋を二重にし向こう岸の地所に通じるようにするつもりだ。野分きが来、予定も狂ったが、大工の棟梁と息子の来一郎が秘密を教えられ鳶沢一族に入った。二重床の橋が出来そうだ。
 浮世絵師・喜多川歌麿が、家斉を揶揄するような作品を書いたため、始末するように命令される。歌麿を探し出し、屋敷ごと作品を燃やし、無かった物とする。歌麿は奉行所に行く。
 野分き後、飛ばされた衣類を洗濯し、近所の大名家や、困っている人にただで分けることを柳原の土手の古着屋へ進める。古着屋たちには、後に大黒屋が古着を卸す約束をする。