2016年1月31日日曜日

質屋籐十郎隠御用(四)

質屋籐十郎隠御用(四) 恋飛脚 小杉健治
 万屋に竹之丞の財布を質入れした大阪の掏摸・半助が殺された。籐十郎は財布から大阪の質屋の質札を見付ける。
 籐十郎は大阪の鴻池に返礼に行く。鴻池の娘・そのとの縁談があるが、籐十郎にはその気がない。おつやに待っていて欲しいと手紙を託す。
 蝮の吾平は鴻池がどこの商家にどれほど食い込んでいるか調べている。半助殺しの犯人を追いかけている。鴻池戸の江戸の根城「子鹿屋」を調べて奉行所にも手が回り、吾平は十手を返上する。襲われ半月以上動けなかった。
 籐十郎はおそのと好き合っていた徳太郎に頼まれたという一味に二度襲われる。鴻池と言う名を出さずに籐十郎を殺したかったようだ。仕組んだのは吉弥だった。籐十郎の用心棒・如月源太郎に助けられる。如月源太郎は大阪にいたことがあるようだった。
 籐十郎は大阪で、竹之丞が喜多尾太夫と心中事件を起こしたとされている事件を解明した。公卿(一条実冬)が喜多尾太夫を殺し、部屋に飛び込んだ竹之丞に鴻池が罪をかぶせた。そこから逃げた公卿を半助が追い、身元を突き止めた半助が鴻池を強請った。逃げた半助は江戸で殺された。証拠は竹之丞が質屋に預けた二重底の文箱の中の喜多尾太夫の文に書かれていた。鴻池善右衛門に全てを突きつけた。分家の庄右衛門がしたことで善右衛門が知らない所でされていたようだ。庄右衛門は裏鴻池に近く、半助を殺した吉弥は裏鴻池だった。
善右衛門は籐十郎をおそのの婿にし、裏鴻池と闘うつもりだったようだ。裏鴻池の力がつよくなり善右衛門は押さえきれなくなっているようだ籐十郎は思った。
おそのとの縁談はなかったことになり江戸へ帰る。

2016年1月30日土曜日

幕末繁盛記・てっぺん2

幕末繁盛記・てっぺん2 千両船 井川香四郎
 丹波屋の材木の貯蔵地を売り、直で材木を仕入れ、公共事業の橋を造り、借金を半分減らした。今まで助けてくれてた堺屋がはしごを外した。大阪の問屋仲間には戻れない。
物乞いから身を起こしたという喜多野千寿と出会う。物乞いしたら違った世界が見える。と教えられる。
太次郎は七菜香の借金二百両を払ったが、借金が無くなった七菜香は「淀屋」誠吉の所へお嫁に行った。 
幼馴染みのおみなに会った。
番頭の季兵衛はいつも鉄次郎の邪魔ばかりしたが、娘を堺屋に人質にされているような状態から鉄次郎が解放したので丹波屋のことを考えるようになった。
大坂城代・土屋から千石船百艘の注文。丹波屋も堺で船作りを始める。船はいらんということになった。船はどうにか売ったが抱えた材木が余ってしまった。
道頓堀から千日前辺りに町を作ろうとした。火事になって焼けてしまった。
鉄次郎は鉄の船を造ろうと思った。

2016年1月29日金曜日

便り屋お葉日月抄9

便り屋お葉日月抄9 忘憂草(わすれぐさ) 今井絵美子
 花卯木 山源の総元締が病気で寝込んでいた。八年前から消息不明の息子・源一郎を探して会えるようにして欲しいと頼まれる。百両を預かる。一緒に住んでいる君香は病気で寝ていた。
 はたた神 源次郎は父親の見舞いに行った。
戸田龍之介の道場仲間だった小弥太は重陽(九月九日)に桜木家に養子に入った。三月に赤児が産まれた。龍之介は小弥太が妻・登和に他に好いた相手がいて、今後もその男との関係を続けていくことに納得して養子に入ったことを知っている。小弥太とは養子に行ってから連絡が取れなくなっている。小弥太の腹違いの姉・三智に話す。
山源の総元締が亡くなった。源一郎を誘って通夜に行く。
 忘憂草 友造の妹・胡蝶・加代は二年前に死んでいた。伏見屋に身請けされた加代は伏見屋が左前になった時、二十両で絵草紙屋江戸一に売られた。加代はそのお金で伏見屋に頑張って欲しかったが、伏見屋は気力をなくし病気になって医者にも罹らず寝ていた。加代は江戸一の寮で気鬱になり労咳で亡くなった。伏見屋に加代が亡くなっていたことを伝える。
 雁が音 文哉の養女になったみすずの父親・伊佐治が島流しの原因になった娘・内儀になっている・萩乃が名乗り出なくて済みませんでしたと謝りに来る。伊佐治は島で目が見えなくなっている。今は篠笛で生活している。萩乃に、何か胸に抱えているようだが、坊のために強く生きろという。
伏見屋が亡くなる。加代の墓がある江戸一の庭に葬る。友造とお蝶の祝言は重陽に決まった。

2016年1月28日木曜日

お鳥見女房7

お鳥見女房7 来春まで  諸田玲子
 女ごころ 残暑が去る 石原家の長女・里が祝言を挙げた。小十人組に嫁いだ幸江の嫡男・新太郎は元服して来春からお役目見習いに出る。
綾は裏店に住む赤ちゃんを抱いた女・おとりと一緒に長屋に入る久之助を見、永坂家のために身を退くと書き置きを残し、加納家に帰る。話しを聞いた珠世はおとりを連れて加納家に行った。綾に君江の娘・久江の乳母になる紹介の礼を言った。また、求馬と夫婦になれるよう加納重五郎にお願いして欲しいという。おとりの子は求馬の子だった。求馬は養子にはいり、仕官もしていた。久之助と綾は余計な気を使いすぎて隠し事をしたことを反省した。
手あぶりが欲しい季節 久之助と綾は求馬とおとりの子供を育てることにした。求馬は喧嘩をし、役を解かれ、近藤家から勘当され、子供を置き去りにしておとりと出奔した。光之助と名付けた。
 新春の客 正月過ぎ 松井次左衛門が山形から来た。恵以の父、和知正太夫が亡くなり、遺書と形見の品を持って江戸へ帰って来ていた。もうすぐ出産の恵以に言いづらく、無事生まれるまでは伏せておこうと思っていた。矢島家に居候する。
恵以は女児を出産、沙耶(恵以の母親の名)と名付けた。久太郎が恵以に言わない前に登美から父親の死を知らされ、恵以は久右衛門の墓に参った。遺書を読み、私は大丈夫ですという恵以。
 社の森の殺人 松井次左衛門は仕官先を探していた。
久之助は見習いを終え、大番組与力となり一年間上方在番を命じられ、夫婦共々大阪へ出立した。
経師屋の内儀が殺され、みみずく売りのお婆さんが殺される。みみずく売りの婆さんは経師屋を殺した者を強請っていたようだ。しゃぼん玉売りの籐助が珠世に経師屋の内儀の死体が見付かる前の日に袴を洗っている侍を見たという。小普請から表火の番のお役に付いた妻が病気の侍だった。久之助に相談し、籐助が囮になった。籐助が首を絞められ川へ突き落とされそうになり侍は捕まった。経師屋の貢がせお役を得た。籐助は侍の妻女を思い涙した。
 七夕の人 矢島家に庄助がお礼に来る。昔、ちまき泥棒をして食べ過ぎ秋に薬を貰い、す数珠の一粒を置いて行った。珠世は数珠屋と掛け合い罪に問われないようにした。庄助は瀬戸へ陶器作りの修業に行く。王子の庄屋だったが、父の死後腹違いの弟が庄屋になり庄助は奉公に出された。庄助は姉の墓参りをして旅立つ。秋に恋心が芽生えた。
源次郎は娘に狼藉を働く輩を見付けて懲らしめて欲しいと依頼される。道場破りにきた赤越弁之丞を面通ししてもらい、勝負した。菅沼隼人が徒目付けとして捕まえて行った。
 蝸牛 与助が菊の鉢を届けてくれる。
旗本が多津の息子・多門を養子にするという。稲垣家の家老からの話しで断わるのは難しい。隼人に旗本を調べてもらう。異母弟に継がせようとする親類縁者と養子を希望する正室の養兄の間で争いがあった。夫を亡くし、子供を亡くした正室は自害した。家は取り潰された。
 鷹匠の妻 鷹匠・津村八右衛門は自分が育てた鷹を恩師の息子に上げる約束をしていた。鷹が素晴らしく、将軍家の目に留まりそうだ。その前に盗み出して送ってしまった。
伴之助は詮議を受けた。珠世は次左衛門に調べてもらい尾張の鷹匠の惣兵衛の妻に会う。
尾張から、逃げた鷹が迷い込んでいたと知らせがあり、捕まえてきたと久太郎と石川が鷹を持って来た。惣兵衛の息子・惣一郎が挨拶をした。母の手紙を渡す。鷹狩を見せてもらう。
正月晦日惣兵衛は亡くなった。妻・志野は寺に入る。お礼と報告にきた。志野と津村は不儀の関係だったことがあった。惣兵衛は許していた。
伴之助は隠居することにした。
 来春まで 桜の季節になっても籐助が来ない。少しの手掛かりを探して長屋を見付ける。病気の籐助を矢島家に連れて来る。少し動けるようになった頃、籐助はいなくなった。珠世は籐助が行かなければならない所へ行ったのだと思う。昔、お世話になった三河万歳の師匠の家族の所へ。

お鳥見女房6

お鳥見女房6 幽霊の涙 諸田玲子
 幽霊の涙 久右衛門の初盆、久右衛門の幽霊の噂、久右衛門とよく似た、幼馴染み・安木市兵衛だった。三日間矢島家に泊まり、昔話しをし、法要を終えて帰った。
久太郎に陰の任務が命ぜられた。彦根井伊藩と川越藩松平家の相模の海岸防備の様子を探る。
 春いちばん 正月前から登美が居候している。
阿部伊勢守下屋敷の火事の後、源太郎が尋常でない娘・波智を連れてくる。六日目、源太郎に兄と田舎に帰ると手紙を残しいなくなった。数日後、阿部家の郎党と侍女が心中したと久太郎と久之助が話していた。事実は解らない。珠世は侍女は波智だと思った。
久太郎は相模へ行ったり帰ったりしている。
 ボタモチと恋 夏始め、小日向の久之助と永坂けに夫婦養子に入っている綾が流産した。
夏盛り、里18が源太夫が縁談を片っ端から断わるので珠世に相談に来る。珠世は松前藩工藤伊三衛門の孫・三十郎と里が話しをする機会を、久右衛門の盂蘭盆会の時に作った。工藤と会っていることを頭ごなしに叱られた里は大雨の中家を飛び出す。鬼子母神で見付かり、珠世の執り成しで源太夫も納得。工藤家との縁談が整った。
久太郎は相模に滞在して時折一日二日帰ってくるようになっていた。久太郎は農家の下働きの治助に道案内をしてもらっていた。命綱を丸太に括られ、丸太は久太郎の身体を崖を引きずり落とした。
 鷹は知っている 秋、伴之助は御鳥見役見習い上がり・桜木恭兵衛と鷹調教を見た次の日、紀州家の鷹が逃げ、怪我人が出たことで、「遠慮」という軽い謹慎刑になった。恵以は知り合いに調べてもらう。調べ書きを桜木が矢島家に持参した。珠世は桜木に「自分の落ち度でこれから先のある若者にとばっちりが及んでは悔やんでも悔やみきれない」と言っていたと伝える。調べ書きは燃やした。伴之助は進退伺いを出すつもりだったが、遠慮も無かったことになった。鷹が自ら非を申し出て詫びたという。
久太郎は祖父・彦三と娘・波矢17で村から離れて暮らす二人に助けられた。誰かが殺そうとしたことを教えられた。
 福寿草 お正月にも久太郎は帰らなかった。登美が年頃の娘を集めて礼儀作法を教えている。
秋は、心をときめかせた男に口を吸われ、顔をひっかいて突き飛ばし孕んだと珠世に相談する。
久太郎は記憶が戻らない振りをしている。折れた足は引きずりながら支えが無くても歩けるようになった。同僚の石川幸三郎が探しに来た。二人の恩に対しこのまま出て行くことはできなかった。どう別れを告げればいいか。
 白暁 桃の節句 久太郎が二人に別れを告げようと思っている頃、源次郎が鳥見役の矢島久太郎を探しに来た。源次郎が危ない、久太郎は農家へ行く。治助に捕まっている源次郎、久太郎が飛びががったとき、波矢が治助を短刀で刺し逃げた。恵以が来た。久太郎は帰った。
久太郎は恩人の心を踏みにじったことに後ろめたさを感じていた。
 海辺の朝 更衣 波矢が治助に命令した者の事を知らせに来た。新式銃を開発している豪農だった。珠世は波矢に久太郎は厄介に巻き込みたくなくて何も告げずに立ち去ったという。探索はもうやめよとも。四家町の辰吉親分に波矢を見てきて欲しいと頼む。
君江は女児を産んだ。
六月 波矢が崖から落ちて亡くなった事を知る。久太郎と恵以には告げず、珠世は辰吉と相模へ行く。火事で孤児になった敏捷で腕白な少年・長太を連れて行く。彦三の小屋で一泊し墓に参る。恵以からもらった鷹の尾鈴を供える。長太は彦三について行く。

2016年1月27日水曜日

浮世絵宗次日月抄 

浮世絵宗次日月抄 半斬の蝶(下) 門田泰明
 麻倉文之助との死闘には勝ったが宗次も傷を受けた。
 傷が癒ええた頃宗次に入って来た情報は二百年も前の室町幕府八代将軍足利義政の正室富子と側室今参の局との確執が現在も続いているということだった。大月常安も滝沢蔵之助も足利一門だった。今参の局の血筋と思われる刺客集団に命を狙われているという。
 宗次が大切に思っている夢座敷の幸の両親、大庄屋・小野宮右衛門一家全てが居なくなっていた。夢座敷の幸のところもすべての者が居なくなっていた。
 闇之介が現れる。足利幕府の近衛軍内談衆の地位にあった大舘を名乗る。本名大舘三之介(やみのすけ)一年後には満冬を継ぐ。妹はお今。花畑で出会った大名の一行は御今様一行だった。
 第二の恩師・草想禅宗名誉僧正・雲円が亡くなった。養父梁伊対馬守の墓に幸の別れの歌があった。『秋芙蓉なみだの中に殿(あなた)を見てまた出会いたき明日ありと想うかな』
 宗次は足利氏縁の地・真光寺へ行く。今参の統率者は大舘三之介、日野富子の集団の統率者は小野宮幸だった。日野富子直系だった。宗次は争いを止めに行く。
 闇之介と宗次が戦い、宗次が勝てば日野富子に対する怨みを一切水に流す。闇之介が勝てば、宗次の四十九日が済むまで富子派との決着を延ばす。ということになった。宗次は揚真流最高奥義の一つ、半斬の蝶「目眩まし」で闇之介を倒した。宗次は介抱された。
 夢座敷は売りにだされていた。
  
宗次の父は尾張藩二代藩主徳川光友、母は尾張藩付家老神坂家で養育された咲姫 家光の血を受け継いだ。家光は祖父に当たり、淀殿は曾祖母にあたる。

2016年1月26日火曜日

大奥同心・村雨広の純心3

大奥同心・村雨広の純心3 江戸城仰天  風野真知雄
 家継暗殺のために、紀州と尾張と水戸の忍者が争っている。
 紀州は頭領・川村幸右衛門を失い、水戸は光圀の頃からの無阿弥(生島新五郎)もおけいも亡くした。尾張は吉通を亡くした。
 大奥同心は柳生静次郎が加わったが、志田小一郎が亡くなり、桑山喜三太も死ぬ。村雨広も大怪我を負う。
 絵島が吉宗と会い吉宗に傾いていることがわかり、代参の後、芝居を見、門限に遅れて帰るように仕組まれ、月光院や家継の側にいられなくなる。
 月光院と家継は将軍職の継承より、命の安全を選んだ。家継の代わりに吉宗の子供が江戸城に入った。半年ほど村雨広と綾乃と家継が旅をし、江戸郊外に住む予定になっている。

2016年1月25日月曜日

はぐれ名医事件暦

はぐれ名医事件暦 和田はつ子
 南町奉行所同心・倉本和之進は与力・中島嘉良に言われ、蘭方医・里永克生に骸の検分をしてもらえるように頼む。検分役は小田幸右衛門と二人になった。
 頭を鉈で割られた殺人が起こる。頭を割られて川に投げ込まれたり、毒をもられてから頭を割られたり、頭を割られて腹を割かれ肝臓を取られたりしていた。三番目は三千石の旗本の当主だった。病気の娘を抱えた浪人が自分が犯人だと書き残して切腹していた。娘も首を切られていたが、克生が助けた。浪人が犯人ではないと思ったため娘が生きていると話し罠を仕掛けた。犯人は娘を殺しに来た。旗本の次男だった。
 十五年前の事件を暴く。盗賊に入られて28人が殺され、娘・奈津が布団部屋で助かり、手代・祐吉が泊まりがけの使いに出ていて助かった。二人は夫婦二なり、商いを続けている。今まで人を殺していなかった天誅の治五郎という張り紙があった。
 奈津が気鬱の病に罹っている。毒をもられた。克生の手当てが早く助かる。奈津は短刀で殺された。恒造が土左衛門で見付かった。
 十五年前の犯人は娘の手引きによるものだった。祐吉と一緒になりたいために祐吉がいない日におこなわれた。祐吉もうすうすは気が付いていた。
 祐吉が十五年前のことを利用し、今回の殺人事件を起こした。奈津に娘が庭でマンダラケを育てていることを教える。奈津は心配で気鬱になる。十五年前、奉公人にマンダラケを使ったのは奈津だった。恒造を治五郎に仕立て、恒造が奈津を殺し自死したように話しを持って行った。祐吉は馴染みの女に唆されて奈津を殺した。恒造は本当に治五郎だったようだ。自分が人を殺していない証明をするために住み込んでいた。
 菊見会の近くの料理茶屋で損料の他に高利貸しもし、悪徳商人といわれている山吹屋嘉平が殺された。数之進、幸右衛門、克生が揃う。殺すことができた者は、廊下にいた番頭の新三、商談をしていた川越の富川屋治兵衛、庭んに迷い込んでいた和菓子屋のおいねの三人。三人はそれぞれ嘉平を刺していた。が、克生が調べた所、嘉平は刺される前に心の蔵が止まっていた。死んだ嘉平を刺していた。
 十年前、米問屋竹屋の5才の娘が勾引かされ身代金を払ったが、娘は殺されて見付かった。付いていた女中おてみが疑われ解き放たれて身投げした。竹屋の内儀・おこうは身籠もっていた子を産んだが難産で母子共亡くなった。主の徳兵衛も首を括って死んだ。この事件の犯人が嘉平だと調べた新三は、証拠を摑むために山吹屋に入った。新三はおてみの許嫁だった。治兵衛は徳兵衛の弟だった。おいねはおこうの妹だった。新三とおいねは江戸を出た。
 

2016年1月24日日曜日

立場茶屋おりき22

立場茶屋おりき22 一流の客 今井絵美子
 名残の扇 幾富士が伊織の世話を始めて八ヶ月になる。三月から白金猿町の寮で暮らしている。留守番の捨吉が作った椅子車で庭の散策もする。幾富士と伊織は祝言を挙げた。
 一流の客 近藤喜十郎が八年前からおりきに泊まれるようになりたいと思ってきたという。八年前は浪人だった。近藤道場の婿になり妻・綾香と一緒に来るつもりだったが去年亡くなった。と話す。一緒においでですよ。というおりき。
 残る秋 四人の子供がいる春次の所へ嫁いだおまきは早産で死産だった。
お京12は河北臨斎のところに絵を習いに行きながら家の用をこなす。
 巳待ち 与之助が托鉢僧になっていた。お真知が自死したことを知って墓の前で三日三晩語りかけていると住職に話しかけられ供養に身をささげることにした。
 おりきと巳之吉に夫婦になれという達吉に、巳之吉は女将と板前でいい。自分が亭主になればみんなの見方も変わってくる。という。

2016年1月23日土曜日

かもねぎ神主禊ぎ帳2

かもねぎ神主禊ぎ帳2 恵みの雨 井川香四郎
 恵みの雨 油問屋出羽屋の寛左衛門は元盗っ人だった。元の仲間が押し入るが盗んだ千両箱には石が積めてあった。
 別れなければならなかった女房と子供。女房は死んでいたが、娘・おゆりは新しい父親と裏の長屋に住んでいる。おゆりが寛左衛門の所にいる時に火事になる。おゆりを助けたいと願った時、雨が降り助かった。寛左衛門はおゆりに被さり見付かった。
おゆりの父親はたて直す出羽屋におゆりを奉公に出しても良いと許可を出した。
 怨霊狩り 四人の男が殺された。丹波が姫子島神社に来る前に、身重の女・おすみが夕立の後倒れて亡くなっていたことがあった。将棋倒しのようになり知らん顔して行った人達だった。おすみが孤者異(こわい)となって復讐させたものだった。おすみの夫長吉が捕まる。丹波はおすみの邪心を鏡に閉じこめた。おすみの兄が名乗り出た。
 産女の情 茶店伊呂波に置き去りにされた赤ちゃんがいた。それをきっかけに七年前に産んだ赤ちゃんの行方を探している成仏していない女が現れる。7才になった結を見付けるが育ての親・勘助から虐待を受けていた。結を助け出そうとするが、結は弟のために逃げる気は無いという。勘助の兄貴分・本当の結の父親に殺されそうになったとき、勘助は結を庇う。安心して成仏する。赤ちゃんの母親が帰って来た。
 屁の河童 日本橋に銅の精錬所ができ、排水のため水が汚染し始めた。スセリに河童が直談判にくる。場所を提供している寺社奉行所支配の大検使・ハ剣竜之介は銅吹所の伴左衛門と地金問屋播州屋と長崎奉行支配組頭とが抜け荷をしていることを突き止め、追い出した。


2016年1月22日金曜日

はぐれ名医診療暦

はぐれ名医診療暦 春思の人 和田はつ子
 里永克生 医者 十年ぶりに江戸に帰った。
 据物師小田孝右衛門 処刑人、刀の鑑定師八代目当主 妻・陽恵(はるえ)は倉本和之進の妹
 倉本和之進 南町奉行所定町廻り同心
 
 克生の診療所は歯抜きの患者ばかりだった。歯抜きをした子供の父親の舌岩を見付け手術する。両替屋善田屋松右衛門が両隣を買い養生が出来る診療所を建てた。
 若い大工が足の切断手術をし、居職の箱屋の仕事をすることにした。
 三楽亭遊平次は誰にも言わず、治療を拒んでいた痔瘻の手術をした。
 助手が決まった。三枝玄斎の娘・沙織。試験の日、二人の妊婦が来院した。沙織は心臓の弱った妊婦から死胎児を取り出した。三日陣痛に苦しんでいる妊婦は、克生が腹部を開いて胎児を取り出した。沙織は手術の助手をし、縫合もした。
 大名に造鼻術を施すことになった。克生は松右衛門に作ってもらうために横浜へ新しい器具を見に行くことが出来た。
 
大村益次郎に頼まれる。ヘボンの助手・フィルが殺された。殺した者を探し当てヘボン先生を安心させてほしい。克生は新妻シンディと三人の褥婦を死なせ患者が来なくなった医師ルークの殺人を暴いた。シンディはフィルが遠縁の叔父から入った遺産をヘボンの医療に投じることを恐れたのだった。

克生は十年前、ヘボンの西洋医術に触れながら、川崎の松山桂庵の許で治療法 薬草学を学んでいた。薬草園の世話をしていた娘・美和に惹かれた。桂庵と美和はコロリで亡くなった。克生はいたたまれなく、若さに任せ、女を求め、酒を求め、剣に慢心していた自分への罰だと思い、長崎へ行き、剣を捨て、酒を慎んで医療に邁進してきた。
 
ヘボンの所にいた時、虫垂炎の手術で亡くなった遺体を開腹し死因を調べたことがある。その時の夫が刀を片手に乗り込んできた。養子に入って間がなかった男は浪人になっていた。目の前で虫垂炎の手術をする。大事な女が病に罹っても助けられなかったと言う話をする克生に、刀を振り降ろした。お前も俺も、死に場所を探していたんだな。二人の弱い心を斬った。診療所を出て行く。

松右衛門親子が犬や、猫になった。克生は謎を解く。犬と猫が飼われて居る家の犬と猫若い娘が狙われる事件が続いた。旗本・藤井策之介だった。八年前の妻の死が関係する事が分かり藤井と話し、松右衛門と話し、松太郎にも話し元に戻った。藤井は自死した。

克生は心臓の手術をする。たまたまの成功であの手術のことは忘れてくれという。

コロリを水とニンニクで乗り切り倉本和之進と三枝沙織は祝言を挙げた。
この本は 大江戸ドクターの改題したもの

浅草料理捕物帖(二) 

浅草料理捕物帖(二) 市太郎ずし 小杉健治
 市兵衛ずしの土産の寿司折りのコハダを食べた二人が毒死する。売っていた市太郎は人気が出かけた所なのに、仕事をすることを止められる。
 居酒屋で一人毒死者がでる。雲間の虎一の釈放を要求する投げ文があった。釈放しないと毒死者がでるという。虎一を釈放し見張るが動きがない。虎一には覚えが無い。虎一は牢に返される。
 孝助は十郎太の助言で、敵の目的は済んでいるのかも知れないと考えた。亡くなった三人を調べ、土産の寿司を買った男が関係していることを摑む。
 献残屋でコハダを食べた旗本は無理難題を押し付けても主は何も言えない立場だった。主は追求され自死した。主が旗本を殺したのだった。
市太郎の前に土産の寿司を買った男・籐次郎があらわれ、鮪の海苔巻きを鉄火場で売るように手配してくれ、注文を聞いてから握ったらいい等と教えてくれた。市太郎ずしという名で店を始めた。孝助に市太郎は籐次郎のことを言わなかった。
 
 十郎太は献残屋の主は、伊予諸角家の誰かから籐次郎のことを聞いたのだろうと思っている。伊予諸角家の藩医だった谷翔園が十年前に藩籍を抜けていた。十年前のなみ川の食中毒はとりかぶとではないかと思っている。孝助は文蔵の信頼を得て十年前の両親の店の事件のことを調べたいと思っていた。
 

2016年1月21日木曜日

剣客春秋親子草 

剣客春秋親子草5 遺恨の剣 鳥羽亮
 幼女誘拐事件が起きた。里美の母の実家・米問屋「藤田屋」の菊が誘拐され二千両を要求された。
 三人の娘の居所が判り、彦四郎、里美も一緒に救出する。
 女衒の辰蔵が中心になっていたようだが、目黒の旦那の正体がなかなか分からなかった。
 十五、六年前に千坂道場の近くに道場を建てようとして、目障りな千坂道場へ乗り込み籐兵衛にやられて道場を建てられなかった、柴村宗七郎だった。またまた勾引かしで得たお金で近くに道場を建てようとしたのだった。

札差高田屋繁昌記3

札差高田屋繁昌記(三) 兄の背中  千野隆司
 新五郎の若旦那修業が始まって半年。
 兄嫁のお鶴さんが、米俵の下敷きになりかけた五才の娘の親・伊勢屋の助けで町屋に住み金貸しを始めた。
 桶の金魚 依田半之助は家禄百五十俵の御徒組頭として堅実に暮らしていたが、賭場に通うようになる。高田屋に五両の借りがある上に十両の借金の申し込みをする。新五郎はいかさまをするためのサイコロを押さえ、半之助に見せ、賭場行きを止める。金魚を育て金銭を得る算段をする。
 闕所の品 家禄百二十俵の闕所物奉行・川崎小源太が娘の結婚支度金のため四十両を借りにっくる。新五郎は断わる。闕所品の競りで、不正を頼まれ引き受ける金子の受け取りを書く寸前、新五郎は止める。闕所の競りは正しく行なわれた。
川崎の獣肉を捌くアルバイトをすることでお鶴から四両を借り、十両で支度することにした。
 長崎留学 家禄八十俵の評定所書物方の末次弥太郎が息子が長崎へ医学の勉強に行くための資金四十両を借りに来る。伊勢屋がこれから伸びようとしている方のお手伝いをしたいと安い利子で三十両を出してくれた。

新五郎はお鶴との結婚の可能性が無いことも無いと分かりうれしい、

2016年1月20日水曜日

新・神楽坂花咲堂2

新・神楽坂咲花堂2 湖底の月 井川香四郎
 魔境の女 油問屋「淡路屋」二人の娘と「天下一川島肥前守左之吉」という鏡職人。
 介錯剣法 高積見廻りの成仏御用の里村孝之進は亡くなった人の縁者を探している。
亡くなった男の妻と娘を見付けたが新しい父親が、合わせたくないようだ。
過日、娘が里村に話しに来た。亡くなった父親と母親の兄は親友だった。家老の不正を見付けた二人は証拠を見付け、江戸家老に訴えようとした。が母の兄が不正をしたようにされ、切腹になった。父親は藩主に訴えたが、藩主は見て見ぬふりをしていた。不正の金は藩主の若年寄になるための賄賂に使われていた。幕府に訴えたが、岩槻藩主は若年寄になった。父親は世捨て人のようになった。母は娘を抱いて川に飛び込もうとした時に今の父に助けられたのだった。
 咲花堂が渡し損ねた同田貫正国で殺されたと思われていた、中間と老婆は匕首と包丁で殺されていた。中間を殺して奪った同田貫正国を売り払っていたのは、老婆が捨てた息子だった。また老婆・母親を殺したのも息子だった。息子曰く、殺してくれと母親に頼まれた。
 浮夜船 綸太郎の姉・美津は、覚兵衛が勘八に浮世絵師・岩橋籐十郎を殺すように命令しているのを聞いてしまう。籐十郎はあぶな絵を描くために結婚を迫る娘を次々に捨ててきたために狙われるのかと思われた。覚兵衛に殺すように言ったのは猿屋町会所見廻り与力・室田左之亮だった。猿屋町会所は旗本のための貸付会所。
籐十郎が室田を見、兄の仇という。室田は養子になっていた、籐十郎と顔を合わせる前に殺そうとしたのだった。籐十郎は仇討ちのために一生を費やしたくなく脱藩していた。
室田は会所での不正のため切腹になった。
 湖底の月 天平十五年 743年 大仏殿の大木を探した樵・絽安と田の民愛良が結婚を控えたその日、二人は盗賊により引き裂かれた。
何度も生まれ変わり、お婆ちゃんと赤ちゃんだったり、戦う敵同士だったり。
綸太郎は円面硯を持って来たとっかえべえの広吉の夢の話を聞く。円面硯を持って行った「藤屋」の娘おけいも同じ夢の話をする。
広吉とおけいは絽安と愛良だったことを確信する。

浮世絵宗次日月抄 

浮世絵宗次日月抄 半斬の蝶(上) 門田泰明
 目黒養安院の花畑で、亡霊のような大名の若様一行と出会う。
 高松藩下屋敷で、闇之介に出会う。二百年前の墓だという立て札を見付ける。古い屋根の下、屋根裏部屋に死に装束の遺骸7体を見付ける。
 墓の立て札を書いた学者と道場の者が皆殺しに会った。
 闇之介につけ狙われる。
 宗次は柳生新陰流を使う、若様お付の侍・麻倉文之助に斬り付けられ、傷を負う。

2016年1月19日火曜日

新・問答無用2

新・問答無用2 難局打破! 稲葉稔
 大八車に載せた酒樽が転げ、足の指を無くした路に償い金を出さない、酒問屋と車屋の間に入る事になった柏木宗十郎。路の代わりに江戸に来た貞助に償い金と詫び状を出させたが、貞助は車屋の左平が殺され、疑いを持たれ帰れなくなった。宗十郎は左平を殺した犯人を捜す事になる。
左平の友達・半七を探していると女が殺されて見付かり、宗十郎の命が狙われ、探していた半七まで殺されて見付かる。半七が質屋に押し込む事を考え、左平を誘った。左平が断わるので半七は左平を殺した。押し込む計画があった質屋の主が半七を殺し、計画を知っていた女を殺し、女の死んだすぐ後でてきた宗十郎を狙った。質屋の用心棒を捕まえた。

幕末繁盛記

幕末繁盛記 てっぺん 井川香四郎
 四国の別子銅山の採鉱夫・鉄次郎は周りの人から追い出される。
大阪で材木問屋の人足をする。番頭を助けたことで、店に雇われ丹波屋の手代として働く。金毘羅船の中で増川仙右衛門に言われた、男が本気で怒るのは、一生に一回か二回と言う言葉を何度も思い出し我慢する。
丹波屋の主人が亡くなり、鉄次郎は跡継ぎになった。三万両の負債があった。

2016年1月18日月曜日

髪結い伊三次捕物余話

髪結い伊三次捕物余話 竃河岸 宇江佐真理
 空似 伊三次によく似た居酒屋の亭主が殺しの容疑で捕まる。龍之進30才は武家で怪しい者がいるのに調べないで伊三郎を下手人にしてしまえば話しは早いと考えているのかと喜六や上役にいう。武家の馬廻り役の者が白状した。龍之進の妻・きいは伊三郎の疑いが晴れて喜び、伊三郎と伊三次がすれ違うのを見て喜んだ。
 流れる雲の影 生後一年の栄一郎を負ぶってきいはどこにでも行く。きいたち姉弟を捨てた母親を許せないきいだが、商家に入れてもらえないで亡くなった主の死を悼む、息子、娘、孫をみて許す気になった。伯母から漁師と再婚していることも告げられ安心する。
 竃河岸 不破友之進の岡っ引き・増蔵が引退する。龍之進が本所無頼派の首領だった旗本・薬師寺次郎衛を岡っ引きにしたいと言う。次郎衛は今、竃河岸で子供相手の駄菓子屋をしている。昔の捕まえ損ねた相手だ。仲間の許可を貰おうとするが、昔次郎衛の仲間だった喜六は反対する。喜六と次郎衛が会い、次郎衛は喜六は昔のことを無かったことにしている。自分はやった事は認めて付き合ってくれる龍之進と付き合う。という。
 車軸の雨 次郎衛は父親から勘当されていた。死に際でも次郎衛を跡継ぎにしなかった。叔父の息子を養子にした。次郎衛は増蔵のところに岡っ引きの勉強に行く。誰も使わない正吉を次郎衛は下っ引きとして使うことにする。次郎衛の女房は芸者だった。昔、龍之進から遠ざけるために、お文に日本橋を追い出されていた。浜町河岸で次郎衛に会って一緒に暮らしている。次郎衛が屋敷に帰り、捨てられたかと心配時、お文に信じろと言われる。
 暇乞い 茜がいる松前藩の下屋敷に、三省院鶴子の五男・松前藩家老・蠣崎昌年・絵師が滞在した。昌年は伊与太を呼んだ。伊与太は浮世絵ではない本画に近い。と言われ褒められ、絵筆と絵の具を貰った。弟弟子・芳太郎が眼を掛けられ山水画を描いているらしい。芳太郎が絵の具・濃べろと筆を盗んでいた。伊与太は国直の所を出た。行く所がない伊与太は北斎の所に行く。伊与太は残っていた絵の具を北斎に置いて行った。北斎に貰った結髪亭北与と言う名で信州に行く。国直は芳太郎が伊与太の絵の具を盗んだ事を知った。
 ほろ苦く、ほの甘く 国直はお文に伊与太が信州に行ったことを伝えた。伊与太は茜に絵で信州に居ることを伝えた。結髪亭北与の名で。茜は世の中の流れに身を任せることだけは決してするまいと誓った。北斎は引っ越した。

松前藩が梁川に領地替えになるのは文化四年1807年、その前に寛政十一年1799年に東蝦夷を取り上げられる。

みんなこれ以上年を取らないのか。残念。もっとみていたかった。

出世侍2

出世侍《二》 出る杭は打たれ強い 千野隆司
 川端藤吉は家禄八百石の旗本で御鉄砲箪笥奉行の永穗忠左衛門の屋敷で禄四俵一人扶持の中小姓となっていた。
 若殿忠太郎に付き添い、講義を聞かせてもらい、弓も一緒に習い始めた。屋敷内に弓の稽古場を作った。初心者の大会に出、二人組で一番になった。
 永穗家の家宝の茶入れと茶碗を盗まれた。探すよう覚助と藤吉に命令が出た。象牙と鉄製の爪楊枝から犯人にたどり着き、茶入れは取り戻したが、茶碗は割れてしまった。藤吉が奉行所犯人を連れて行っている間に、覚助が茶入れを取り戻し、藤吉が茶碗を割った事になっていた。
 覚助が養子に行く話しが持ち上がり、後釜に入る予定で薗枝又次郎が来た。
 お久万の命が狙われた。藤吉は理由を調べる。殺人事件の相談を見たようだ。お久万が出かける警護をする。捕まえた。お久万を守り町方に渡す。屋敷に帰ると薗枝が一人で守ったように言われていた。お久万は知っている。
 小笠原家に使いに行った時、不審者を見た。何者かを調べた。小笠原家の千寿姫が攫われた。藤吉はハヤタに乗り探す。この前の不審者を調べ勾引かされている場所を特定する。船で逃げる犯人を駆けている馬上から弓で射る。千寿は助けられた。
 先手弓頭を務める家禄二千二百石の小出長門守直孝の屋敷で五俵二人扶持の中小姓になることになった。

2016年1月17日日曜日

はぐれ同心闇裁き9

はぐれ同心闇裁き9 追われ者 喜安幸夫
 松平家馬廻り三百石・石塚俊助は美芳という三味線の師匠を妾にしていた。事を無かったことにするために、美芳を殺そうとする。美芳だけを殺すと分かり易いと思い、まず夜鷹を殺す。夜鷹禁止令が出ているため、龍之助は殺しが無かったことにする。美芳を殺しに来た石塚を殺し、死体を始末した事を松平家に知らせる。
夜鷹に仕事を与え、隠し、神明町に集まる女義太夫三十人を隠す。松平家に命を狙われる美芳と女義太夫の師匠を江戸から逃がす。
やんごとなき血筋と言って江戸に入ってきた神主姿の占い師が田沼の隠し子でない事を松平家の倉石俊造の前で明らかにし、江戸から逃がした。彼らは絹物の仕立て屋だった。
龍之助は増上寺門前まで自由に動かせるようになった。
 

2016年1月16日土曜日

はぐれ同心闇裁き8

はぐれ同心闇裁き8 強請りの代償 喜安幸夫
 自分の妾・カエと娘・おマキが強請られていると思い室町の商家の主が牢同心を襲う所を押さえたのが取っ掛かり。カエは強請られていると言い、商家の主にお金を出させた。
マキが松平家の六百石勘定方・山際主膳の妾になり、カエは松平家に言われたくなければお金を出せと強請った。山際はカエを斬り付けた所を龍之助に押さえられ、妾のカエと別れ話のもつれで斬り付けた。ということで納めた。カエは松平の医者に毒をもられ殺された。がおマキのことは隠す事が出来た。

はぐれ同心闇裁き7

はぐれ同心闇裁き7 口封じ 喜安幸夫
 南町の隠密同心・飯岡市兵衛が抜け荷を調べている事に気がついた龍之助は、このまま進めば捕縛まで日を置き、具合の悪い物を取り除いてから捕縛に行く事になると予測し、市兵衛と合わせ、夜のうちに市兵衛は室町の本店に、龍之助は神明町に捕まえに行った。千石船は逃げた。大名・旗本柳営には影響しないよう商家の者はすぐに処刑された。
松平家から飯岡に送られた者が抜けにの朝鮮人参だったため飯岡は松平家に狙われる。龍之助には分かるが、本人は分からない。
小田原に着いた千石船の船頭たちは捕まり、飯岡と龍之助が受け取りに行く。龍之助は松平には注意をしていたが、小田原藩も松平家に協力し、唐丸籠で送られていた船頭が襲われ、飯塚も船頭も殺される。

2016年1月15日金曜日

お鳥見女房3

お鳥見女房3 鷹姫さま 諸田玲子
 雪夜の客 向かいの空き地に建った屋敷の若夫婦がお付き合いをしない。雪の夜女が訪ねて追い出される。珠世は一晩泊める。声を掛けてきた古谷は、女との関係を打ち明ける。妻がいない日に夫は女と会っていた。息子がその夜に亡くなっていた。珠世は女はもう、会いに来ない。忘れなさい。子供を亡くした奥様はつらいのだから。と諭す。
 鷹姫さま 老中水野越前守忠邦の鷹匠・和知正太夫の三女・恵以22才との縁談が持ち上がる。久太郎は身分違いということで断わった。恵以が希望したようだ。婚家のつてで出世したいと思わない。和知本人に言う。
 合歓の花 君江が好きな菅沼隼人の縁談が整ったと久之助と道場仲間が話しているのを聞いてしまう。隼人が久之助の誤解を解いている頃、君江は泣きながら歩いている所、怪しい老婆と一緒の所を目撃され、居所が解らなくなっていた。珠世は菅沼の伊和と結婚の話を決めていた。君江を見付けた隼人は送って行った時、君江を嫁に欲しいと言った。
草雲雀 久太郎は再び恵以に会った。恥をかかされたという恵以に、久太郎は嫌って断わったわけではない。矢島家の嫡男として思う所がありという久太郎に恵以は勝負を挑む。
久右衛門の家を探して娘が来る。久右衛門は死んだと思っているようだ。渡されたのは古い着物だった。久右衛門が考え込むようになった。久之助は家の様子を窺う綾と話す。久右衛門が役目で甲府にいた時のはなしだった。久之助にも少し分かるようになった。話せるようになったら話すということにした。久右衛門は玄太夫に話した。役目で斬らなくてはならない男に斬る段に妻子を頼むと言われた。罪滅ぼしだったか、見過ごしに出来なかった。共に暮らした。このまま暮らそうか。適わぬ事だった。敵に襲われ深手を追い、九死に一生を得て江戸に戻った。母子に危難が降りかからぬよう死んだ事にした。と言ことだった。久右衛門は墓に一緒に入れて欲しいと着物を源太夫に託した。
 嵐の置き土産 嵐がやって来た。水があふれ、源太夫親子と母屋の庄兵衛が一晩過ごした。ずぶ濡れで男が入り口に立った。珠世は庄兵衛の勘当した長男・庄吉だと思った。次の日死んで見付かった。悪党の一味だったが、庄兵衛は庄吉だと思ったようだ。
 鷹盗人 御鷹屋敷の飼育中の鷹が3羽盗まれていた。鷹狩りでは鷹を狙って弓を射られた。木から落ちて肋骨を折り頭を打ち気が付かない。こっそり伴之助が助けている。佐吉14才で父は御鳥見役で五年前に役目先で亡くなっている。母親は再婚したが新しい父親に馴染まない。母親・幾久が伴之助に相談にきていた。足に縄を付けた鷹を二匹捕獲した佐吉は治り、剣道場へ通うようになった。
 しゃぼん玉 因縁を付けられた、稲垣家物頭岡田の息子・左金次は手合わせをするのに素手で好きなように打ち込んでください。という。シャボン玉売りの藤吉がしゃぼん玉をとばしながら子供を三四十人連れて出てくる。若者たちは二度と顔を出すなと駆け出して行った。源太夫は稲垣藩に仕官が決まった。
 一輪草 源太夫は稲垣藩下屋敷に引っ越しした。君江は結婚した。珠世の従姉妹の登美が世話をやき、整えてくれた。登美は学問所勤番組頭に嫁いでいた。夫は亡くなりなさぬ仲の娘が婿をとっているようだ。

2016年1月14日木曜日

料理人季蔵捕物控29

料理人季蔵捕物控29 えんがわ尽くし 和田はつ子
 百合根を売りに来る清美が殺された。夫・源七も殺されて見付かった。二人を弔った川勝亭の女将・舟が勾引かされる。犯人は首を吊り、舟は近くの小屋で見付かった。舟を取り合っていた商家の主の一人・徳兵衛が殺され、死体を見付けたもう一人の両替商の助左衛門が捕まる。舟が徳兵衛に二百両の借金があることが分かり舟が捕まる。季蔵は、舟の夫・絵書きの菊田が行方不明になった熱海を調べに行く。
 源七、菊田、徳兵衛、助左衛門の過去の繋がりがわかる。五人で質屋に押し入った。六人の予定が止めようとした菊田を崖から突き落としていた。話しをしてくれた熱海の引退した岡っ引きともう一人、頭分・祐助がいた。今は川勝の菩提寺の和尚に成りすましていた。本当の和尚は殺されていた。祐助は捕まった。
 徳兵衛と助左衛門は菊田を殺してしまった罪の意識から舟を助けていた。菊田は記憶を無くし新たな生活をしているのが見付かった。舟は川勝亭を出、助左衛門と一緒になる。
 瑠璃は季蔵が持って行った山百合を飾った。季蔵が持って行ったものだから。元気になりつつある。
 料理は百合根料理、昆布〆料理、熟柿の季節です。

鬼役17

鬼役17 慟哭 坂岡真
 天保十年 1839年霜月
 近衛家の頼みで津軽下屋敷の池の浮き床の上で蔵人介は能を舞う。津軽の米を横流しする商人と用人の首が飛んだ。横流しの証拠をつかむために商人の用心棒になっていた平内は藩に復帰した。津軽の当主は松平信明の五男になった。
 卯三郎は男装の娘を助け仇討ちの助太刀をすることにした。
 鳥取藩池田家の鏡野新兵衛が斬られ、斬った名和数之進が旗本二千五百石の赤岩家へ逃げ込んだ。名和は江戸所払いになる。鏡野の兄妹(兄は病気妹は卯三郎が助けた娘)は六郷で仇討ちをする。志乃、幸恵、蔵人介、卯三郎も手を貸す。娘は国許へ帰った。
 本丸側御用取次ぎ・郡上院伊賀守と葛城惣次の、池田家と家斉の娘・泰姫との婚礼を潰すための策略だった。
 五年前に薩摩藩の抜け荷を見逃した幕府。蔵人介の実父・叶孫兵衛が昔の上役に薩摩藩家老・調所笑左衛門への書き付けを預かる。西国屋と勘定奉行・阿久津、御庭番の束ね役になる寸前の神園半太夫、郡上院伊賀守が、薩摩の抜け荷を利用し私服を肥やす様が書かれていた。蔵人介は郡上院も殺した。
 孫兵衛は死ぬ。蔵人介は孫兵衛が薩摩から出国するために利用した子供だった。蔵人介も思い出していた。
 
 
 
 

2016年1月13日水曜日

楠の実が熟すまで

楠の実が熟すまで 諸田玲子
 大阪北東部楠葉村の中井利津21は隠密御用で禁裏役人の不正を見付けるために、禁裏口向役人御取次ぎ衆・高屋遠江守康昆32所へ嫁に行く。別の方法で調べていた者が三人殺されている。楠の実が熟するまでに調べなければならない。
 高屋家の老僕・忠助が殺された。女中のなかも殺された。
 利津は分かったことを書き送り、それを元に役所で調べていた。証拠の品の在り処も連絡する。
 「父倒れる」の手紙で実家に帰った利津は、知らない間に三下り半を貰っていた。
 康昆の母方の叔父・万屋の石上伝兵衛が大元だった。刺客は康昆の弟・右近だった。伝兵衛が利津を殺しに来た時、右近は助けに来た。相討ちになる。康昆が右近に利津を守るように頼んでいた。千代丸(康昆の息子)を頼むと言い残し右近は死ぬ。
 康昆は不正を知っていながら目を瞑っていた罪で遠島、子供は14才で中追放になる。利津は千代丸を引き取る。楠葉村は中追放の地になる。

2016年1月11日月曜日

秋山久蔵御用控25

秋山久蔵御用控25 始末屋 藤井邦夫
 棄て子 長月 秋山家の前に五ヶ月位の男の子の棄て児があった。香織が秋山家に来る前の友達・ゆみ・扇屋の娘・旗本の側室になっていた。子供共々旗本の奥方に追い出されていた。旗本が倒れた。弟が当主になれば奥方が出て行かなければならないため、子供を欲しがった。ゆみは元家来が一人で守っていた。ゆみが香織に託したのだった。旗本は弟が当主になった。
 始末屋 加納左門は、因縁を付けてきた身を持ち崩した旗本を尋常の勝負の果て殺してしまった。久蔵は胡散臭さを感じ見張る。二度目もあった。一度目は道場の同門で他家に養子に行った千原大次郎に頼まれ兄を殺した。大次郎の出世に兄の素行の悪さが影響するから。二度目は商家の若旦那を悪の道に誘い込もうとする旗本を殺した。千原大次郎は頼んだ事が明るみに出ないよう、左門を殺しに来る。秋山は捕まえた。左門は商家の主に頼まれた事は言わなかった。
 失踪者 女房・おあきがいなくなった飾り職人がいた。おあきが勤めていたお店の主・忠兵衛が居なくなった。御数寄屋坊主・桂木道春が殺された。二人が殺していた。道春は忠兵衛におあきが忠兵衛のこどもだと思い込ませ強請っていた。お互いに道春を殺したと言い合っていたが、道春の業状の悪さが明るみに出、道春は処罰を受けたことになり二人は釈放された。
 呉服橋 北町同心の久坂弥十郎はおゆりを手込めにしようとした。止めに入った仲居を殺してしまった。同心は殺しをもみ消した。仲居の夫は病気で子供が7才だったため、我慢した。子供が12才になった今、おゆりに子供を託し、仇討ちを仕掛け、相討ちになった。

2016年1月10日日曜日

交代寄合伊那衆異聞23

交代寄合伊那衆異聞23 飛躍  佐伯泰英
  東方交易はベンガル号を得た。
 横浜の拠点を焼かれ、黄大人が殺された。座光寺籐之助は江戸へ帰り、老中安藤の用人・棚倉を討つことで黄大人の仇を討った。
 籐之助は日本が自分を必要とするまで日本を離れ、交易で力を貯めておくことにした。

2016年1月9日土曜日

時代劇ここにあり


時代劇ここにあり 川本三郎
 時代劇映画 またたびもの映画の魅力 たった一人で生きるやくざや武芸者が、強敵に向かって行く。その孤立した戦いに感動を禁じえない。

本書は股旅もの中心の極めて偏った時代映画論である。 川本三郎言

2016年1月8日金曜日

烈風廻り与力・青柳剣一郎7

烈風廻り与力・青柳剣一郎7 女形殺し 小杉健治
 田丸屋友右衛門が人殺しと付け火の罪で市中引廻し、斬首になった。剣一郎はもっと調べて欲しいと言ったが、役目違いだと聞いてもらえないまま、刑が執行された。
 友右衛門と違った証言をした手代が殺され、孝と秀次郎が会っていたと思われる家を借りた事になっている、元孝の同僚・おきみが殺される。大阪屋も狙われる。
 孝と意見が合わず勘当になっている長男・友太郎が捕まり、否認しても聞いてもらえない。友太郎が江戸払いになった喧嘩の相手・才蔵を調べると、妹・お弓に無体なことをしたと斬り殺された。友太郎を匿った女を調べると、材木の下敷きになり亡くなっていた。誰も証言してくれる人がいなくなった。友太郎は罪を認めてしまった。
 才蔵を屋敷に入れ、若党にし、斬り殺した御徒衆・殿村左馬之助は、無役から御徒衆になっていた。友太郎の引廻しの後、お弓は殿村の世話になる事を承諾し短刀を持って身体を差し出す。そんなお弓に殿村は真相を語る。
 田丸屋の後添えになり貢がせていた孝の相手は殿村だった。秀次郎が脅迫してきた。友右衛門が不義密通の相手の秀次郎を殺すという筋書きだったが、才蔵が寮番まで殺した上に、誤って燭台を倒してしまった。手代が脅迫してきた。友太郎にお房を近づけ、おきみに大阪屋の仕業と言わせおきみを殺した。そして才蔵もお房も殺した。お弓は兄の後を追って自害するという筋書きだ。隣の部屋から剣一郎と御徒目付組頭・原田宗十郎が現れた。告白を全て聞いていた。剣一郎は殿村を捕らえる。
 友太郎の斬首は中止された。引廻しの朝、吟味与力がお奉行に中止を申し出、老中に申し出将軍の裁可を求めぎりぎり間に合った。田丸屋は再開した。


25cm位にまで育った金魚がいなくなった。二匹は形なし、一匹は身体三分の二程残っていた。鼬だろうか。きっちり蓋をしていなくてごめん。

2016年1月7日木曜日

烈風廻り与力青柳剣一郎6

烈風廻り与力青柳剣一郎6 夜烏殺し 小杉健治
 押し込み先は皆殺し、狙うは千両以上、そんな盗賊夜烏の十兵衛が、五年前青柳剣一郎によって仲間を捕らえられた復讐のため帰ってきた。八丁堀の鼻をあかし大仕事をやってのけるつもりだ。わざと見付かるように動き、踏み込むと関係の無い人の集まりだった。など翻弄される。
 五年前、十兵衛が逃げ込んだ時に助けた、剣一郎の幼馴染みが軍師に就いた。剣一郎を憎む二人がくっついた。学問も剣でも剣一郎を上回っていた続源次郎は剣一郎と同じ次男坊という立場だった。源次郎は剣一郎の兄が亡くなり跡取りになってから敵視するようになっていた。
若い同心・木内清十郎は人質をとられ、奉行所の情報を流したり、押し込み先を間違いの方に導いたりと利用される。
妻・多恵の情報網から押し込み先が分かり、夜烏の十兵衛一味は捕縛される。

2016年1月6日水曜日

烈風廻り与力・青柳剣一郎5

烈風廻り与力・青柳剣一郎5 七福神殺し 小杉健治
 悪名高い豪商を狙い、誰も傷つけない。盗むのは五百両以内。七福神の面を着けた七人の盗賊が現れた。剣一郎は御奉行から捕縛の命令を受けた。
 次々と盗賊の一味と思われる者が殺されて行く。仲間の顔を知っているのは市兵衛と喜八だけで後は誰も名前も顔も知らない者の集まりだった。高砂屋に押し入った時、喜八は声で知られてしまう。次に押し入るつもりだった油問屋浅野屋に知られてしまった。浅野屋は市兵衛を知っており、喜八に聞き出した七福神の仲間を用心棒に殺させる。市兵衛は腕のいい貧乏人でも丁寧に診てくれる康安という医者のためのお金を集めていた。寄付を募るが相手にもしてくれなかった店に盗みに入っていた。七福神の仲間はみんな康安の世話になった人達だった。
高い治療代を取り、貧乏人は診てくれない道拓という医者の息子の嫁が浅野屋の娘だった。康安の評判が良く、道拓の患者が康安のところへ行くようになっていた。
高砂屋は息子が血を吐き、康安に診て貰ったことと、喜八を殺すという事を聞いたことで、剣一郎に浅野屋がした事を全て話す気になった。市兵衛も殺され、七福神の中で残った三人の顔も名前も知られている。三人は自首をしようとした。御奉行と相談して剣一郎は三人を江戸から逃がす。浅野屋に命令され殺していた伏木為三郎を捕らえ、浅野屋も罪を認めた。

2016年1月5日火曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎4

風烈廻り与力・青柳剣一郎4 刺客殺し 小杉健治
 大北藩のお家騒動にならないように藩主、藩士が動いた話し。
 大北藩の若様は乱暴だった。殿様は騒動が起きないよう庶子・祥吉を亡き者にするよう側近・波多野に命令した。波多野は婿・波多野左源太を離縁し、祥吉を斬って帰れと命令する。左源太は剣一郎と同門だった。左源太は江戸に来た。 
 大北藩供番頭・中井十右衛門は祥吉の面倒を見ていた。祥吉を寺に隠し、自分の息子・大助を祥吉の母親と共に逃げ廻らせる。大助は祥吉として死ぬように言われている。大助は剣一郎の息子・剣之助が塾の同門で、娘・るいが心を寄せる相手だった。大助は病気療養中ということになっていた。
 剣一郎は大北藩の藩士と思われる者が殺された事件を追い、左源太が関係していることを掴む。左源太が祥吉(大助)を殺しに来た時、仕合する。左源太の絶命剣が破れた、子供は斬れない、自決しようとする。剣之助は祥吉に大助が身代わりになって死のうとしていることを話す。祥吉は大助のところに行く。剣一郎は祥吉の髷を切り、証の小刀を左源太に付いている隠密に渡す。隠密は髷と小刀を持って帰った。
 殿様は全て解って、祥吉が死んだ事を認めたようだ。左源太は無事帰参した。

2016年1月4日月曜日

はぐれ同心闇裁き5

はぐれ同心闇裁き5 斬り込み 喜安幸夫
 水茶屋のおこんのところに松平家勘定方・青木与平太が藩の公用金を使って通っていた。おこんには水野家の馬廻りも入れ揚げていた。気が付いた青木は松平家を出奔し、水野の家臣・置田右京之介を殺そうとした。水茶屋に立て籠もり行列を狙う。青木を龍之助は斬る。おこんを不信に思った置田は水茶屋に来た。現れた龍之介に刀を抜いたため取り押さえられ、水野家へ渡され切腹した。青木が不埒な行ないをしたことを知っているおこんと店の主夫婦が松平家に狙われる。夫婦とおこんを別の所に逃がそうとしたが、おこんは遠回りをし、逃げ切れたと思った夫婦を襲う。分けられた金額が気に入らなかった。おこんがモエを刺し、唐八がおこんをさしたことで逃げられなくなった。お甲と伊三次は三人を殺した。龍之介が逃がしていた事が分かってしまうから。松平家の思う壷になった。

2016年1月3日日曜日

はぐれ同心闇裁き4

はぐれ同心闇裁き4 老中の迷走 喜安幸夫
 家斉15才が将軍に就く 天明七年 1787年 四月 田沼意次三万七千石になっていた。
 松平定信27才が町方鬼頭龍之助を使って田沼の隠し子を探せと言った。献残屋甲州屋を通して会い、龍之助は命令された。
 沼津藩水野忠友は田沼意次の四男を養子にしていた。老中を罷免されてから廃嫡していた。沼津の庄屋が殿様に直訴するために江戸へ来た。松平藩の中間に親切にされる。龍之助が松平定信は直訴を理由に水野の殿様を陥れようとしていると話す。今年は豊作だからもう少し頑張れ、沼津に帰るよう言い、街道騒ぎに紛れて高輪まで送る。
 天の声を聞く修験者が人気だ。松平家は抹殺しようとしている。定信が養子に入った白河藩松平家の庶子・松平貞周だった。貞周は定信の手前死んだ事になっていた。龍之助は川越へ貞周を逃がしたが松平の中間と中間組頭二人を殺さなければならなかった。
 意次は報告に行った左源太に龍之助に充分注意するようにと言った。

はぐれ同心闇裁き3

はぐれ同心闇裁き3 因果の棺桶 喜安幸夫
 天明六年 1786年
 青松寺の前で死にそうな老婆が棺桶に入って金集めをしている。付いてる若者と娘が世が世ならと言ったのを、松平家の新しい大番頭・加瀬充次郎が聞いてしまった。松平家では田沼には外に隠し子がいるらしい事は分かっていた。男か女かはわからない。もしかすると棺桶を使って金集めをしている者がそうかも知れないと思った。三人を捕まえたら引き渡すように町奉行に言った。
 捕まえられたら違っていても殺される、と思った龍之助は三人を逃がす事を考える。老婆が亡くなった。二人を探す、松平の中間たち、龍之助は加瀬の前で二人に生国を聞く。二人は陸奥白河の出身だった。関わりがあるのは松平だった。情報の違いを咎められ中間・岩太は折檻された。
 盗賊かちりの千造と赤猿の百助が江戸に入ったようだ。探索するように命令が出た。かちりの千造は折檻された岩太を誘い、松平の情報を貰い、出入り先甲州屋に押し込む算段をする。千造たちの動きを掴んだ龍之助は押し入った時、岩太が情報を漏らした事にして盗賊を捕まえた。龍之助は岩太の通報で捕まえられたと報告する。
 左源治とお甲が田沼に事の顛末を話しに行く。

2016年1月2日土曜日

はぐれ同心闇裁き2

はぐれ同心闇裁き2 隠れ刃 喜安幸夫
 北町奉行所同心溜まりで噂になっている。寺社門前町に鬼頭龍之助は悠然と岡っ引きを道案内に町廻りをしている。
 献残屋甲州屋右左次郎から松平家の情報を得、左源次とお甲は十三年前の母親の闇の仇討ちを成し遂げた。自分の脇差しで侍は殺された。松平家は内々に事を納めた。
 左源次を連れて田沼下屋敷に行き、左源次に田沼の殿様が父親だと告げた。田沼屋敷で刺客を撃退した。
 だらだら祭りの最中に田沼家家来を陥れる策が巡らされていた。大松の弥五郎が掏摸の動きがおかしいと知らせてきたことで発覚した。田沼の家来が嵌められる事は未然に防いだが、掏摸のおまきは殺された。逃げた仲間も追われている。お糸も殺され、残った掏摸仲間二人と左源次とお甲で松平家足軽大番頭・久島治五郎を殺し、掏摸二人を江戸から逃がした。
 将軍が亡くなった。田沼は老中を罷免された。松平定信は老中になった。
 田沼家で初めて部屋に通される。意次は何もしてやれなかった。すまぬ。血筋であることを秘匿せよ。という。

2016年1月1日金曜日

はぐれ同心闇裁き1

はぐれ同心闇裁き1 龍之介江戸草紙 喜安幸夫
 鬼頭龍之介は母・多岐の実家乾物問屋の浜野屋の世話で母と二人芝で武家のように育てられた。学問と鹿島新當流の室井道場へ通う。
 二十代の頃、小仏の左源太と不逞の輩を見つけ出してはやっつけていた。無頼だった。
30才、母が亡くなる。室井玄威斎から田沼意次が父親だと聞かされる。自分の道は自分で切り開け。母からの遺言は「お蔵米三十俵二人扶持 鬼頭家」だった。
 下屋敷で意次に会う。母への詫びと自分への言葉掛け、蟠りは解けた。左源太から離れ、同心になり、おとなしく過ごし、三年が過ぎた。
 白州で左源多を見た。島流しになった。次の日流人船が出た。相良藩下屋敷に行き左源太の赦免を願い出る。左源太が言い残した峠のお甲を訪ねる。仕組まれたように感じる左源太の事件を調べる。左源太は半年で赦免になった。三年ぶりに父と会う。
 左源太を神明町の岡っ引きにする。町奉行所の手が入らない寺社地で親分と渡り合い、左源太が捕まった賭場の話を聞く。左源太を島へ送った仇を討つ。
 隠密同心が賭場を開き、取り締まりをし、芋ずる式に土地の親分を捕まえ息のかかった親分を置き江戸の闇を牛耳る。それが隠密同心を束ねる与力の考えだった。与力・田嶋重次郎と筆頭同心の佐々岡佳平太は殺して海に流した。行方不明になる。
 龍之助の担当区域が新橋から金杉橋にかけての一帯になった。左源太を正式に岡っ引きにした。
 小仏峠で左源次の母親を殺した武士を見付けた。白河藩松平家の二人だった。二人は打ち壊しが起こる細工をしていた。
 将軍が倒れたと噂が流れた。