2020年2月29日土曜日

言い訳

言い訳 塙宣之
 〜関東芸人はなぜM-1で勝てないのか〜

2020年2月27日木曜日

この世の春上・中・下

この世の春上・中・下 宮部みゆき
 下野北見藩藩主・北見重興が強制隠居になり居城から別邸・五香苑の座敷牢に移った。重興は幼少期に父親から苛まわれ、誰にも言えないことから自分の内に別人格の者を作ってしまった。その者たちが頻繁に現れ家臣たちに不審がられ隠居に追い込まれた。
 藩医の三男・白田医師と元江戸家老・石野織部、御霊繰ができる刀自の孫・各務多紀、多紀の従兄・田島半十郎が重興を救うため重興に起ったことを調べ始める。
 重興が取り立て権勢をほしいままにしたご用人頭・伊東成孝は切腹したことになっているが、五香苑に捕らわれていた。成孝は16年前に村ごと根絶やしにされた御霊繰の里の住人だった。根絶やしの犯人と理由を調べるために重興に近づいていた。成孝から多紀が刀自の孫だと知らされる。多紀の母は幼少時に田島家に養女になっていたことを知らされる。
 成孝の証言から何人かの子供の勾引かし事件、里ごとの根絶やし事件のことが判る。
 三十年前の重興の父が北見藩の陰廻と北見藩の飛び地・明野領の北見一門を守る狭間を一つにしようとしたことが判った。潰されそうになった狭間の一人・桐葉の呪術によって父親が重興を苛んだ事実あきらかになる。
 明らかになり、白田医師に、多紀に事実を話すことで、重興の別人格が消えていった。
 重興は多紀と根絶やしにされた村跡に住むことにした。

2020年2月22日土曜日

新・吉原同心裏心抄1 まよい道 

 新・吉原同心裏心抄1 迷い道 佐伯泰英
 吉原遊廓の裏同心・神守幹次郎は表向きは謹慎だったが、元花魁の加門麻を伴い、京に修業に来ていた。
 行くところ行くところで京の有力者に遭遇し、島原で修業をする予定だったが、祇園で修業をすることに決めた。
 麻は一力で働き、幹次郎は祇園社に世話になることを決めた。

2020年2月20日木曜日

包丁人侍事件帖⓸ 

包丁人侍事件帖⓸ 料理番旅立ちの季節  小早川涼
昆布くらべ 富山前田家と薩摩藩との交流。富山と薩摩の交流を喜ばない水野忠邦・寺社奉行は、懐刀・大鷹源吾に交流者の殺害を命じていた。難破船から見付かった昆布から薩摩のうそを暴こうとするが、鮎川惣介がうそでないことを証明する。惣介の娘・鈴菜は源吾と一緒になることが決まっているので惣介は源吾の仕事が気になる。富山の朝次が知り合いとなり源吾とのやり取りが気になるが、惣介の幼馴染み片桐隼人によって収まった。
切支丹絵草紙 絵草紙に切支丹信仰が描かれていると絵草紙を書いた貸本屋の手代が奉行所に呼び出される。心証をよくするため筒井紀伊守の家来が手代に書かせた物だと分かった。
鈴菜の嫁入り 大鷹源吾は水野家の家来の身分のまま、長崎へ見聞修業に行くことになった。医者になりたくて医者修業をしている鈴菜も蘭学医につき医学を学ぼうと二人で長崎に旅立った。
 惣介の息子・小一郎は桜井雪之丞に付いて料理を習うことになった。

2020年2月18日火曜日

カカノムモノ3

カカノムモノ3 浅葉なつ
 〜呪いを欲しがった者たち〜
 生きることに前向きになり始めた碧に、従兄の涼は最後の詰めに入る。碧を前向きにさせた桐島に、ジャーナリストを使い負い目に思っている過去を突きつける。碧と連絡を取れにくくするために。碧を孤立するように。碧が
 涼はカカノムモノをまた子孫を呪いから解放するためには、魚に帰ればいいと碧に言う。
碧の死を意味する。律や桐島はもちろん碧は、けんか腰で話す伊吹大雅に相談する。
人間として生きることを選ぶ碧に対し、涼は、自分の中に大禍津日神を押し込めていた鏡を割る。涼を食うために戻ってくる前に桐島が自分を守っている鏡で涼を守る。碧は涼の穢れを飲む。涼は左腕と記憶を失ったが、命は助かった。
 碧は穢れを飲まないでいると魚になってしまうのは呪いではなく、人間として生きるのがつらくなれば魚になって帰れるという慈悲だったのではないかと思うようになった。
 
 何も覚えていない涼は、郊外に診療所を開いた律と診療所に併設した住まいに一緒に住んでいる。
 碧は大学の近くのマンションに住み猫を飼い、大雅や桐島が訪れる生活をしている。加加呑む者の銅鏡を作る家・日名家の水琴が銅鏡ができたとみんなが集まった所へやって来る。

 

2020年2月16日日曜日

研ぎ師人情始末〈二〉 糸切れ凧

研ぎ師人情始末〈二〉 糸切れ凧 稲葉稔
  前に読んでいるようだ。
 荒金菊之助 八王子千人同心の家に生まれる。現在は研ぎ師。従兄弟の南町臨時廻り同心・横山秀蔵を手伝うことがある。
 志津 同じ長屋の住人 手習いを指導している。

2020年2月14日金曜日

稚児桜

稚児桜 澤田瞳子
 〜能楽ものがたり〜
 

2020年2月12日水曜日

わが殿 上・下

わが殿 上・下 畠中恵
 土井利忠 大野藩主。内山七郎右衛門を登用し、銅山の発掘、藩校の開設などの様々な藩政改革を断行し、藩の財政を立て直した。
 内山七郎右衛門 利忠から「内出の小槌」と言われながら殿の才覚に惚れ込み、利忠の無理難題を一手に引き受け、大野藩のために奔走する。
 内山隆佐 豪放磊落な気性。内山家の次男だが大小姓に取り立てられ、新たな一家を構え、七郎右衛門を支え続ける。
 内山介輔 内山家の末っ子。剣術の腕立つ大男。真面目に勉学を重ねる粘り強さも持っている。

 浅黄斑の勘兵衛と思い起こす。江戸初期の大野藩と江戸後期の大野藩。勘兵衛たちが藩替えで大野を去り、新たに入った殿様たちではあるが。
 
 

2020年2月7日金曜日

希望と殺意はレールに乗って

希望と殺意はレールに乗って 山本巧次
 アメかぶ探偵事件簿
 大手出版会社・講栄館の編集者・宝木啓輔が、伝説の編集者と言われる沢口栄太郎89才が話す、ミステリー作家・城ノ内和樹との探偵譚を聞く。

 昭和32年ごろの話。若い二人が事件に絡んだのは、城ノ内が、元子爵・奥平憲明の敷地内の借地に家を建て住んでいたことで、奥平家の明治維新までの領地・長野清田村の村長と村会議員が奥平家を訪れ、一緒に東京に来た村会議員が行方不明になったと相談に来たところに居合わせたことから始まる。警視庁の大塚警部と情報を交換する。
 行方不明だった原渕剛造が遺体で見付かった。国鉄誘致のための手土産・五十万円が無くなった。城ノ内と沢口は奥平家のお姫さま・奥平真優と清田村に行く。
 清田村のどこを線路が通るかで村を2分して揉めていた。通った後の観光地化のために名古屋から不動産屋も現れていた。聞き回る、城ノ内と沢口は不動産屋が連れている男達に襲われるが、真優が撃退する。不動産屋に家を貸していた大乃木も命を狙われる。不動産屋・折本が死んだ。折本は原渕の紹介で村を訪れていた。
 原渕と折本と代議士の村河は終戦間際、松代大本営から物資を盗み原渕の実家に隠していた。嗅ぎつけた憲兵を殺している。原渕は鉄道が通るはずということで折本を村紹介したが、代議士と折本は別ルートの応援に回っていた。原渕が気付き折本脅迫に回ったため、大乃木をアリバイ工作に使い、原渕を東京で殺した。折原が名古屋から東京に行くために村河が手を貸していた。アリバイ工作に利用した大乃木も殺されそうになった。警察から逃れるために折本は村人・片田に匿ってもらうが、崖から落ちるであろうルートを教えられ事故に遭い死ぬ。片田は元憲兵で殺された憲兵の友人だった。終戦後、清田村出身の片田は原渕を見張り続けていた。
 鉄道は清田村を通らなかった。村河は収賄で逮捕、政治生命は終わった。

沢口が調べると、六十過ぎの城ノ内と真優の並んで微笑む画像が現れた。

 

2020年2月5日水曜日

秋山久蔵御用控⑹ 忍び恋

秋山久蔵御用控⑹ 忍び恋 藤井邦夫
 忍び恋 勇次が知り合った母子は、賭場荒らしに遭い貸元が殺された事件の最中に浪人を殺し、江戸所払いになっている代貸しの妻子だった。代貸し・弥七が賭場荒らしの首領の浪人を追って江戸に帰ってきていた。秋山久蔵たちは浪人を捕まえ、弥七に妻子を連れて江戸を出るように促す。
 人別帳 元盗賊の隠居・幸兵衛が死んだ。久蔵は大助を葬儀に派遣し、岡っ引きの隠居・弥平次は葬儀に行く。幸兵衛は医者に殺されていた。医者を脅迫した盗人がいた。幸兵衛には盗賊人別帳を持っていると言う噂があった。久蔵は盗人と医者を捕まえた。人別帳を思われた綴冊子を手に入れた。黒沢への気遣いと近況、江戸に住む盗賊のうわさ話が書かれていた。
 色事師 大助は同心神崎和馬の妻・百合江が男と会っているのを見た。その男・蓑吉が殺された。蓑吉は色事師だった。百合江の知り人が蓑吉の餌食になりそうなところ、百合江に相談し、百合江は蓑吉に同心の妻だと言い、近づかないように言った。手を引くつもりの蓑吉を浪人の仲間が殺していた。浪人は御家人の娘の養子になるつもりだった。娘に近づく色事師仲間を捕まえた。
 地廻り 十五年前久蔵が暴いた旗本大野家の事件の時、久蔵に殺された大野家の家来の息子・香川又四郎が地回りの用心棒になっていた。又四郎は地廻りを乗っ取っていた。大野は切腹していた。忠義者の香川一家は父親亡き後、大野家を追い出されていた。母と妹を亡くした又四郎は大野家を仇と思っていた。大野家の家臣を殺していた。大野家は又四郎を先代の菩提寺で殺すつもりで罠を仕掛ける。しかし又四郎は現殿様・大野徳之助を斬り捨てた。又四郎は地廻りの親分に殺される。大野家は断絶になった。

2020年2月3日月曜日

江戸怪談を読む 皿屋敷 

江戸怪談を読む 皿屋敷 横山泰子他五名
 幽霊お菊と皿と井戸

2020年2月1日土曜日

京に消えた絵師 狂花一輪

京に消えた絵師 狂花一輪 三好昌子
 福知山藩御用所右筆方、木島龍吾は叔父の元で成長した。隠居している先代藩主は、龍吾に実の父・兵庫の捜索を命じる。隠居部屋の襖に極楽浄土を描く約束だと言う。兵庫は出奔後、京で水墨画の絵師・浮島狂花として生きていたが、贋作事件を起こし行方知れずになっていた。
 龍吾は生まれつき色が見えなかった。龍吾は兵庫が妻を失い熱病を患い色が見えなくなっていたことを知る。同じ世界を見ている父に会いたくなった。育ててくれた伯母以外に龍吾の目のことを知る人はいなかった。一緒になって一年の妻・華乃にも踏み込めない壁を感じ、気鬱になって実家に帰っている。離縁の話が出ている。
 京で狂花の弟子たち五人を訪ねる。狂花は贋作事件後の牢留めで弱り、出牢後亡くなっていた。弟子たち一人一人に残された一服の掛け軸、龍吾に残された絵もあった。全部を合わせ見、極楽絵の下絵だと判った。また、兵庫と龍吾の目に色は見えないけれど、命の光が見えていることが判った。兵庫は蛍として表し、龍吾は星と言っていた。
 華乃とは離縁になっていた。先代が再縁が整うのを懸念して腰元としていた。目のことを話、二人は再婚する。
 四人の弟子と亡くなった五葉の替わりに養女になった富貴と五人で極楽絵を仕上げ届けられた。先代は無数の小さな星がきらめく水墨画の襖に囲まれて亡くなった。