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2022年1月10日月曜日

藤沢周平全集 第二十一巻

 藤沢周平全集 第二十一巻 藤沢周平

  三屋清左衛門残日録 
 清左衛門は御小納戸の見習いから用人まで務め、先代藩主の葬儀、法事の後、隠居願いを出す。一年は残務整理、後任の教育を続け隠居した。52才。家督二百七十石は息子・又四郎が継ぎ、屋敷もそのまま、隠居部屋も普請組に建ててもらう。三年前に妻・喜和死去。
 道場に通い、保科塾に通い論語を学び、幼馴染と関わりをもちながら暮らす。
 藩主の願いで現政権の手助けをし、遠藤派に対抗する朝田派の争いに巻き込まれる。
 藩主の弟を利用した軍資金の調達、藩主の弟の毒殺、手を下した者の抹殺、それらを知った清左衛門等の抹殺と事件の隠蔽を阻止し、朝田派は失脚した。


  秘太刀馬の骨
 近習頭取・浅沼半十郎は、家老・小出帯刀に呼び出され、甥の石橋銀次郎が「馬の骨」を使う者を探索する手伝いを頼まれる。六年前の家老・望月四郎右衛門の暗殺に使われた技が「馬の骨」だった。馬の骨は矢野家・不伝流の秘太刀だった。
 銀次郎は矢野家の跡取りから、高弟と呼ばれた五人と対戦する。弱みをアラを探し、脅しを掛けて対戦に持ち来む。誰からも見付からなかった。
 半十郎の、小出への心証が悪くなり出す。
 江戸の藩主の側用人・石渡新三郎が藩主よりひと足早く国入りした。石渡が小出の客分に殺されそうになる。見付からなくて伯父の妾と逃げようとした銀次郎が殺されそうになり半十郎の家に怪我をして逃げ込んだ。銀次郎は伯父・小出帯刀の後ろ暗い行いを暴露する。
 六年前の望月の暗殺は誰か判らないが、暗殺されるように仕組んだのは小出だった。望月の賄賂の証言者だった商人が、石出の賄賂だったことを証言した。その商人を殺そうとした石出と刺殺者・赤松織衛を阻止し、石出を刺し、赤松を倒したのは「馬の骨」だった。半十郎と孫之丞は、矢野家当主・藤蔵を見たが、二人は秘事とした。石出が証人を抹殺に動く時、暗殺すべしの密命があったのだろう。石渡を通して殿からだった。


2021年11月23日火曜日

時雨みち

時雨みち 藤沢周平 

 帰還せず 隠密・半之丞は、まだ戻らぬ同僚山崎を探しに加治藩に戻った。鍛冶屋の婿に成り代わっていた。半之丞は死んでいたと報告すると山崎に告げるが、山崎は半之丞を殺しにきたので半之丞は山崎を殺した。

 飛べ、佐五郎 佐五郎は敵として十二年追われていた。国元では斬りあった理由が冤罪だったとわかり同情の声があがったという。佐五郎を追っていた男が病で死んだ。佐五郎は安心し、三年間世話になったとよに別れを告げた。とよは佐五郎を刺し殺した。

 山桜 野江は18才で嫁に行き、二年目に死別。一年前に磯村に再嫁した。舅は金貸しをし、市中に妾を囲い早く隠居し、蓄財に専念していた。磯村家に馴染まない。結婚せず一人暮らしていた伯母の墓参りの帰り、山桜の枝を折り取ってくれた武士・手塚弥一郎と出会う。出合は初めてだったが、彼からの縁談があったことを思い出す。母一人、子一人の家に嫁ぐことをためらった。今幸せかと言う質問を受ける。
 その年の暮れ、手塚弥一郎が諏訪平右衛門を刺殺した。諏訪は富農と組み農政に口を挟み、富農に有利な検見をし、私服を肥やす。長年の農政への干渉が百姓の強訴に繋がるが、諏訪は名家老の裔のため手出しが出来なかった。帰ってきた夫の手塚の悪口に野江が口答えをし、離縁となった。
 手塚は四月の藩主の帰国を待ち裁断を仰ぐことになった。獄中で丁寧に扱われているらしい。
 野江は山桜の枝を手折ってもらい手塚の家に行く。手塚の母が、磯村のような家に嫁がれたあなたやご両親を怒ってましたよと言う。野江は家に上がりながらここが私の来る家だった。もっと早く気づかなかったのだろうと思った。

 盗み食い 助次郎は、腕が良く新しい物にも挑戦する根付師職人だった。助次郎は労咳だった。二年先輩の政太は、親方の技を忠実に伝える職人だった。親方の跡継ぎを匂わされていた。政太には将来を約束したみつがいた。助次郎が寝込み仕事が忙しくなったため、みつに助次郎の食事を頼んだ。仕方なく受けたみつだった。一月後、みつは政太に別れ話を持ってきた。政太と別れて助次郎の面倒をみるという。政太はわかったと言うしかない。政太は助次郎に親身な心配をしていなかったことに気付く。

 滴る汗 森田屋右兵衛は公儀隠密だった。城内で徒目付の鳥谷に茶を飲みながら城下に公儀隠密がひそんでいることが知れ手配をしたと教えられた。右兵衛は、刀を埋め、書付を燃やす。一度連絡を頼んだ下男を探し、寝込んでいる爺さんを殺した。鳥谷が能登屋が捕まったことを教えてくれる。爺さんが殺され根付の折れ端が落ちていたとも言う。右兵衛の亀の根付のしっぽだった。右兵衛は全身が汗にまみれた。

 幼い声 昔の長屋の少女

 夜の道 三才の娘がいなくなり十五年探している伊勢屋の内儀、結婚が決まったすぎのところにやってくる。すぎは伊勢屋に行く。何もおぼえていない。自分の子供が三才になった。思い出した。伊勢屋に走る。

 おばさん 夫を亡くし一人暮らしのよねは長屋の人に馴染まない。火事で焼け出された若い男が転がり込む。よねは元気になるが、男は一緒に住みたい女が出来て出て行く。

 亭主の仲間 店を潰した亭主は人がいい。人足をしている。人足仲間を連れてきた。二度目に一分貸して欲しいと頼む。ちょこちょこ付いてくる。安之助は仕事を辞めた。二日後一分の無心にくる。きくが留守の間に安之助がくる。辰蔵が金がないというと家捜しして荒れ狂って帰った。一月後夜中に誰かがきた。二人は出なかった。首を裂かれた猫がすててあった。これからどうなるのか。

 おさんが呼ぶ 紙問屋伊豆屋の下働きのさん19才は無口だった。自分からしゃべれなくなっていた。紙問屋へ紙の売り込みに地方から人がくる。廉七と民蔵という人がきていた。手代の庄次郎と民蔵が得意先にお金を使い廉七の邪魔をしていることを知る。廉七が帰る時、さんは一緒に連れていってくれと頼む。主人にさんのことを話しに行く廉七に付いていって民蔵と庄次郎のことを話そうと思うさんだった。

 時雨みち 昔の女に会いに行く

2021年9月28日火曜日

神谷玄次郎捕物控 霧の果て

神谷玄次郎捕物控 霧の果て  藤沢周平

 北の定町廻り同心・神谷玄次郎は14年前に母と妹を殺されている。仕事を怠けて小料理屋よし野に入り浸っていた。

 針の光 男が女を抱き寄せ、首筋に畳針を刺し、首を絞めて殺す。玄次郎は網を張り、現場を押さえて捕まえる。

 虚ろな家 菊屋の娘が勾引かされ五百両を要求される。同心・鳥飼の助をする玄次郎は、店の周辺を探る。玄次郎は銀藏に、五百両の運び役・鳥飼の岡っ引き・弥之助を尾けるように指示する。弥之助は菊屋の女中の実家に行く。弥之助と菊屋の主人との計画だった。左前の菊屋は五百両を本家から出させ、別けるつもりだった。

 春の闇 奥州屋から銀藏に、娘の簪を探して欲しいと依頼があった。婚約者からの贈り物だった。見付からないまま、奉公人・増吉が殺された。玄次郎が調べ出す。投げ文があり簪は奉公人・幸介の行李の中から見付かった。幸介を増吉殺しの犯人だという投げ文が来る。玄次郎はそれを無視し、奥州屋を張り込む。娘の婚約者が投げ文を持って来たところを捕まえた。娘と幸介は駆け落ちを考えていた。増吉が娘の簪を拾い、婚約者に買い取って貰おうとした。婚約者は増吉に簪を幸介の行李に入れさし、増吉を殺した。幸介を犯人に仕立てようとしたが、捕まった。

 酔いどれ死体 御薦さんのような死体が見付かった。甚七だった。殺された理由が判らない。二十年前、勤めていた店の若旦那が主人になっていた。その頃付き合っていた女と今も続いていることを知られた主人が殺していた。お金を強請られたわけではないが、ただ酒を飲ました。甚助の酒は底なしの怖い酒だった。

 青い卵 長屋の一人暮らしの婆さんが殺された。誰も知らないはずの十二両と日ごろの小銭が無くなっていた。時々訪れるのは糸屋の隠居と孫。糸屋の隠居から教えられた小間物の行商をしている長吉が捕まった。長吉は殺し十二両を奪っていた。玄次郎は孫が掘っていたところを掘れば小銭が出るだろうと銀藏に言い置いてゆく。

 日照雨 米屋の鼻摘みの次男坊がめった刺しだ殺された。米屋の女中で何もされたことがないと言った祝言のため店を辞めたそのがいた。そのは重吉に手込めにされたようだ。玄次郎はそのの祝言の日「祝言に行け、逃げようと思うな。お上には慈悲もある。あとはまかせろ」と父親に言った。

 出合茶屋 青梅屋の内儀が、銀藏のところにこの頃誰かに見張られているような気がすると相談に来た。内儀が襲われ庇った小僧が大怪我をした。玄次郎が突っ込みながら聞き出す。出合茶屋で男二人と女一人の客を見ていた。巴屋に入った押し込みだった。浪人と職人だった。捕まえた。

 霧の果て 玄次郎は母親と妹が殺された事件を調べている。父親が調べていた事件絡みでその後同輩が調べようとして上からそのままお調べ無しの命令が出た事件だった。父親がやる気を無くし身体を壊して亡くなった。その頃を知っている者を調べ出して聞き廻る。祈祷を行っていた寺の関係で寺社奉行の寺社役同心に会いに行く。印南が玄次郎に会いに来た後、殺される。玄次郎は井筒屋は蔵宿師・御家人・村井にたかられていた。水野の妾になっている村井の娘を祈祷に誘い込んだ。祈祷だけに留まらず、色仕掛けだった。村井の弱みをこしらえた。そんなとき井筒屋の女将の付添女中・佐代が祈祷師に殺された。井筒屋は水野に頼んだ。祈祷料の半分を懐に入れていたこと。水野の妾が出入りしていたことが知られないようにしたかった。等判った。母親と妹を殺し、印南を殺した水野の家臣・鶴木右膳を斬った。水野の枕元に立つ。話をするが玄次郎は出て行く。顔も上げられない老人だった。

2015年5月29日金曜日

海坂藩大全 下

海坂藩大全下 藤沢周平
 梅香る 志津は婚約を破棄され保科と結婚した。婚約破棄の理由も知らず、結婚も納得がいかない。怪我で男の機能を失った元婚約者の推薦の男が保科だった。
 泣くな、けい 妻・麻乃が亡くなってから、城からの預かり物の刀が無くなったことが明らかになった。麻乃の手で持ち出され商家の手に渡り、隣藩の武士の手に渡っていた。相良波十郎は謹慎になるので女中のけいに武士との交渉を頼んだ。一ヶ月経ち江戸まで行き刀を返してもらってきた。けいを嫁にした。
 泣く母 伊庭小四郎は生まれる前に父を亡くし、生まれてすぐ母は婚家を出、再婚した。道場に弟が入り、苛める兄弟子と木刀で試合をすることになった。小四郎は先に行き刀で戦う。怪我をした所に母が駆け付け、弟のために・・・と泣くが、小四郎は、母の為に・・と言う言葉を飲み込んだ。
 山桜 野江は一人目の夫は死に、再嫁したが家風に馴染めない。手塚弥一郎が自分のことを気に掛けていてくれたことを知った。弥一郎が奸物を刺殺した。獄舎に入った。野江は離婚される。母一人になった手塚けを訪れる。
 報復 柚木邦之助は次席家老・柘植の公金不正流用を直訴し、切腹と言う形で帰ってきた。下男の松平は下男を辞め、植木屋になり柘植の殿様に献上する梅の木を斧で切り倒す。
 切腹 二十年疎遠になっていた友・甚左が切腹した。と同時に使い込みなど不正を働いたと言う噂が流れた。助太夫は調べ、大目付に訴えた。証拠がいると追い返される。帰り、刺客が出る。殺したもの傷つけたもの家老のけらいだった。それが証拠になり家老は閉門になり甚左の濡れ衣は晴らせた。
 花のあと 以登は江口孫四郎と剣の対決をし、恋する。以登には許嫁がいた。江口にも養子話しが有り結婚する。江口の嫁・加世は藤井勘解由と不倫していた。奏者番になっていた江口は藤井の刺しがねで御役を失敗し、切腹する。以登は許嫁片桐才助の手を借り、藤井を殺す。
 鷦鷯 母が病気で婚期が遅れた品は金を借りている石塚家から息子・孫四郎の嫁にと言う話しが舞い込む。新左衛門は金で娘を売るような、息子の軽口も不快だった。近所で刀を振り回す輩が出た時、討っ手として孫四郎が現れ、きっちりかたずけた。ちょっと気に入った。
 岡安家の犬 家の飼い犬を友達たちに犬鍋にされた甚之丞22は刀を抜きそうになる。止められ、金之助に絶交を言い渡し、妹・八寿との婚約も破棄するという。金之助は他の男の八寿の縁談を壊し、二ヶ月かけ赤犬を探してきた。
 静かな木 布施孫左衛門は養子に行った次男が鳥飼勝弥と果たし合いをすることになった。孫左衛門は辞めさせるために、鳥飼の旧悪から現在の公金着服まで明らかにすると脅しを掛ける。事件がきっかけで政権が交代した。鳥飼中老の収賄疑獄が摘発された。
 偉丈夫 偉丈夫だがのみの心臓の片桐権兵衛は隣藩との境界についての百年来の話し合いに行くことになった。無口な権兵衛は藩祖の遺言の意志をん曲げるのなら一戦も辞さぬと言ったためか、不毛の論争は本年で打ち切りにすると申し入れがあって片づいた。

2015年5月28日木曜日

海坂藩大全 上

海坂藩大全 上 藤沢周平
 暗殺の年輪 葛西馨之介の父は22年前、暗殺に失敗し、亡くなっていた。父が失敗した暗殺が馨之介に廻ってきた。馨之介は暗殺はしたが、頼んだ人たちが襲ってきた。父の死が理解できた。馨之介は助かるか?
 相模守は無害 明楽箭八郎は14年間海坂藩に潜った御庭番だ。将軍家血筋の廉姫と藩主嫡子新七郎に何か起こらないか、藩主の弟・相模守を見張ることだった。相模守を失脚させ帰って来た。海坂藩の江戸屋敷で失脚したはずの息子を見る。箭八郎は御庭番であることを知られていた。箭八郎が帰るのを確認して藩政をひっくり返した。箭八郎は海坂藩に戻り相模守を殺した。
 唆す 安政 神谷武太夫は百姓一揆を使嗾したことで海坂藩を追放された。今江戸で武太夫は町人に暴動が起きる種を蒔く。
 潮田伝五郎置文 潮田伝五郎は女神と崇める七重の不義の相手井沢勝弥を斬り、その場で切腹する。七重汚されるのが嫌だった。七重は井沢を殺した伝五郎を憎んでいた。
 鬼気 藩の強い者の話しになった。噂ではと名前があがった細谷がどれほど強いか帰りを襲おうとした。用意と睨みで逃げ出した。
 竹光始末 小黒丹十郎一家が仕官願いで海坂藩にきた。上意打ちの討っ手になる。逃げるつもりだった男は丹十郎が竹光なのを知り果たし合いをする。丹十郎は小太刀を使うのだった。仕官できた。
 遠方より来る 三崎甚平のところに大阪攻めの時に知り合った曽我平九郎が訪ねてきた。妻・好江に文句を言われながら世話をする。が、平九郎がごろつきに土下座をするのを見て仕官の話しはなくなった。平九郎は姿を消した。甚平は足軽15人を束ねる小頭になる。
 小川の辺 戌亥朔之助は佐久間森衛の討っ手に選ばれる。森衛は意見書を出し、謹慎を命じられていたが、妻・田鶴と脱藩した。森衛は友達で田鶴は妹だった。朔之助は奉公人・新蔵を連れて行く。田鶴は兄の言うことは聞かないが新蔵の言うことは聞く。行徳で森衛を倒し、田鶴は新蔵に預けた。
 木綿触れ 絹ものを着てはいけないお触れが出た次の日、友助の妻はなえは実家で羽二重の着物を着た。結婚前に目を付けられた中台に見られ、呼び出しを受けた。帰って着てから二日目、はなえは自死した。中台を斬り、友助は腹を斬った。
 小鶴 神名吉左衛門夫婦の家に何も話さない女が来た。小鶴と言い、夫婦は楽しく暮らした。一年たち、隣国から夫・寺川籐三郎が来た。父母が夫婦喧嘩中に父が母を殺し父が切腹した。が、本当は父に小鶴・光穗が斬り付け、光穗を庇うため切腹したようだ。寺川は自ら癒えるのまでじっくり養生させると帰って行った。

2015年5月25日月曜日

藤沢周平全集21巻 

藤沢周平全集21巻 
三屋清左衛門残日録 清左衛門52才 妻三年前に死亡 家禄百二十石から二百七十石、御納戸役から用人へ。新藩主になり引退、江戸屋敷から国許へ、屋敷はそのまま隠居部屋を建ててもらう。息子・又四郎 息子の嫁・里恵
醜女 先代藩主の一度の手付きの娘に藩主の死亡と同時に自由の身になっていたのに、連絡が途切れていた。子どもが出来た二人が一緒になれるようにする。町奉行・佐伯熊太
高札場 隠居した安富源太夫が昔、結婚の約束を反故にした女に謝りながら腹を切った。源太夫は自分の所為で彼女が不幸だったと思っていたようだが、彼女は何とも思っていなかった。
零落 金井奥之助。清左衛門と同じような身分だったが、藩を二分する政変時、清左衛門は山村に付き、金井は朝田に付いた。金井は浅田派の御納戸組頭の娘と祝言を挙げた。この時は朝田が勝ったが三年後、遠藤が筆頭家老になった。金井は二十五石になっていた。磯釣りに行き海に突き落とされそうになる。
白い顔 21才の時、雷、夕立の一緒に非難し、抱き寄せていた娘の娘・多美21才を見た。多美は酔狂で苛む性癖の夫から逃げ離縁になっていた。夫は未練があった。清左衛門は平松与五郎27才を紹介し結婚した。平松は百石、御兵具方で、清左衛門が通う中根道場で後輩の指導をしている。
梅雨ぐもり 末娘・奈津が窶れている。夫・杉村要助の浮気を疑っていた。要助は役目で茶屋で浅田派を見張っていた。半月後、茶屋で正体がばれた要助は斬り合いの喧嘩になり傷をし、役目を終えた。ただの喧嘩さわぎで納められた。
川の音 川の中州で立ち往生していた親子を助けた。みよは見張られていた。清左衛門も浅田派の黒田欣之助に近寄るなと脅される。みおは野塩村の大地主・多田宅に朝田家老と藩主の弟・旗本石見守が訪れたのを見ていた。清左衛門はおみよに忘れよという。黒田にはおみよに何かあればとことん調べると言い放つ。
平八の汗 幼いころの道場仲間・大塚平八に頼まれ間島を紹介する。平八は間島に息子の処分を軽くしてもらっていた。そのために清左衛門は遠藤派の集まりに顔を出すことになった。
梅咲くころ 十五年前、殿様のお声がかりで奥方のお気に入り女中の松江17才の危難を救った。女遊びで名を売っている若者との不義だった。内密に事を納め松江に梅の枝を送った。引退した松江には、縁談が持ち上がっている。清左衛門は、野田家は火の車で松江の持参金四百両が目的だろうと教える。縁談は断わった。清左衛門は安西佐太夫に松江を嫁にとけしかける。
ならず者 昔、御納戸役の不正の為家禄を半減された半田は冤罪だった。半田の下役が商家と一緒になって罠を仕掛けていた。半田は子どもの薬代の為高利のお金を借り、返済のため商家から賄賂を貰っていた。清左衛門は上手い解決方法を探す・・・。涌井の女将に元板前のならず者が出入りしていた。清左衛門は追い出す。
草いきれ 幼いころの道場仲間・吉井彦四郎は清左衛門と一緒の時に雷にうたれて亡くなる。勘定奉行で引退した小沼惣兵衛は19才の妾を囲っていた。
霧の夜 中根道場で師範代だった成瀬が御勘定目付けを退き、惚けていると言う噂だ。成瀬は浅田派に見張られ、清左衛門に遠藤派の頭株に合わせてと頼みに来る。間島に取り次ぎ江戸藩邸で毒を盛るという話しを聞いたことを話す。
夢 清左衛門は小木慶三郎に謝っている夢を見る。25、6才の時殿様に聞かれ、小木の結婚のことを、上士の宮内と縁を結びたいが為に先妻を離縁し宮内の娘と結婚すると言う噂がある。と言ったことがあった。立派すぎる小木にけちを付けたっかった?競争心?二年後、小木は左遷された。自分の所為か?と言う気持ちがあった。小木の先妻は密通していた。左遷の理由は重職の意見取り次ぎにあたり越権の行為があったということだった。
立会い人 現道場主・中根弥三郎は三十年前、納屋甚之丞と試合をし、先代の娘と祝言をし、道場の跡継ぎとなった。甚之丞が試合の申し入れをしてきた。清左衛門は立会人をする。弥三郎が勝った。肝心なところで目を瞑ってしまいどう勝ったか判らない。見せたくなくて清左衛門は立会人を頼まれたのだろうと思った。
闇の談合 江戸の石見守が毒を盛られて亡くなった。朝田派に寄るものだと判明。自分の次男を藩主の養子にしようと、若殿を殺そうとする石見守が邪魔になった。江戸から新用人・船越喜四郎が朝田派の失脚と穏便な政権交代との話しを付けにくる。浅田派は諦めた。遠藤派も了承した。
早春の光 金井奥之助が死んだ。中風で倒れた平八は歩く練習を始めた。毒を盛った黒田欣之助は殺された。同じく黒田と行動を共にした村井寅太は安富忠兵衛を襲い小屋に閉じこもった。清左衛門は浅田派が藩に村井の口を塞いで貰おうとしている。村井を殺してはいけない。と主張する。村井は捕まり、口書きを取った。
涌井の女将は生まれ故郷に帰った。

2015年5月23日土曜日

藤沢周平全集13

藤沢周平全集13
闇の歯車
 佐之助は伊兵衛に押し込みに誘われ仲間に入る。胸を患う他人の妻と駆落ちした浪人・伊黒。結婚が決まって別れたい女がいる布団屋の若旦那・仙太郎。お酒を飲むこずかいにも事欠く年寄り・弥十。
 伊兵衛は同心に目を付けられていた。押し込みは成功するが、押し込み先で佐之助と伊兵衛は女中に顔を見られた。女中は佐之助の以前の同棲相手だった。佐之助は伊兵衛が女中を殺そうとするだろうと思い、女中を守る。伊兵衛が女中を殺そうとする時を待っていた同心に捕まる。女中は佐之助を見てないと庇った。
 伊黒の妻は病気で亡くなり、女敵討ちと相打ちで死ぬ。仙太郎は別れようとした女に殺される。弥十は孫娘が攫われようとしたのを身を呈して阻止し、傷を負う。中風になり寝たきりになる。
 佐之助にはお金は入らないが、おみねが帰ってくる。ちゃんと働こうと思った。
 

2015年5月22日金曜日

藤沢周平全集13巻

藤沢周平全集13巻 
人間の檻 獄医立花登手控え
 帰って来た罪 命が尽きる患者・彦蔵が三十年前に磯六が子供を攫い殺した事を登に言う。佐兵衛が磯六に似ていると言う。岡っ引き・藤吉に相談する。子供を連れ去ろうとする佐兵衛を捕まえた。
 見張り 牢の中で作次は、叩きの刑で出た二人が浅草の直綿問屋三好屋に押し込む相談をしているのを聞いた。もう一人とりぞうを誘うらしい。作次は登に伝える。作次は牢を出て殺された。登はとりぞうを知っていた。押し込みに来た仲間になったとりぞうを投げとばす。とりぞうは真面目に働いている。
 待ち伏せ 牢から出た者が三人続けて殺されかけた。犯人の目的は次の馬六だった。馬六の娘の嫁ぎ先の多田屋は五年前に押し込みに遭っていた。手代が手引きしていた。手代は博打場で馬六に顔をみられているため馬六と顔を合わせたくなかった。
 影の男 喜八は牢を出る前に店のお金を盗んだ事になっている甚助は無実だと言う。本当に盗んだ房吉は殺されている。喜八は房吉の女房の情夫だった。甚助は島送りになる十日前だった。
 女の部屋 大黒屋の女房が商談中に男に襲われた。駆け付けた手代の新助が男をころしてしまった。新助は島送りになった。
 別れゆく季節 登は黒雲の銀次を捕まえるのに貢献したため兼吉に命を狙われる。豆腐屋のおあきも手を貸したと思われ攫われる。柔術道場の友人・新谷に助けてもらい、おあきを救いだす。兼吉は銀次の弟だった。登はおちかと結婚し叔父の後を継ぐことになった。その前に大阪へ医学の勉強に行く事になった。

霧の果て 神谷玄次郎捕物控
 十五年前、父親が取り組んだ事件のせいで母親と妹が斬り殺された。そのあと、父親は気落ちし、病気になり亡くなった。上から調べにストップが掛かっていた。
 玄次郎はどんな事件だったかから調べ始めた。母と妹を斬ったのは御側衆水野播磨守康方に付いている鶴木右膳だった。
玄次郎は鶴木を斬り、水野に会う。年を取っていた。