2019年5月30日木曜日

百貨の魔法

百貨の魔法 村山早紀
 風早の星野百貨店 開店50周年。願い事をかなえてくれる猫がいる。隣にホテルを合わせ持つ。
 空を泳ぐ鯨 三月 エレベーターガールの松浦いさな。就職一年。
 十年前の桜色のテディベアを直して欲しいと持ってきたバイオリニスト・サクラさん。滅多に家にいない音楽家の母が、海難事故に遭い亡くなった母が、娘・サクラに渡したかったものだった。いさなと芹沢結子が話を聞く。
 贈答品を扱う佐藤健吾が引き受ける。
 芹沢結子は新設されたコンシェルジュだった。
 シンデレラの階段 星野百貨店の次期社長が決まっていない。社長は二度結婚して二度離婚している。杉江まり子・創業時からの美容サロンの店長・星野百貨店のドンは、次期社長に、太郎現社長の子供を推しているらしい。
 百田咲子は二十年前に星野百貨店の地下一階の百田靴店を開き店長になった。咲子は母が亡くなり、芸能活動を止めて店を継いだ。咲子は芹沢結子を昔から知って居たような気がする。
 夏休みに屋上のステージで開く子供のど自慢大会の出場者の靴を選んだ。。グループの仲間とうまく別れていなかった。シンデレラ・ウイング。ツインボーカルだった杏が風早のFM局にゲストで出て、連絡とってないけど勝手に友達のままだと思っていると言っていた。
 咲子は昔の広告を思い出す。あの少女が大きくなったら芹沢さんのような人になるんじゃないかなと。
 夏の木馬 星野百貨店六階本館から連絡通路を渡った先の別館、時計・宝飾・贈答品を扱うフロアマネージャー・佐藤健吾。少年の頃、この百貨店の屋上に母親に置き去りにされた過去を持つ。お子様ランチの果物の種を花壇に埋めた。健吾が勤め始めた時、花壇に種たちが育っていたことに驚いた。花壇の世話をする竹田フローリストの跡取り息子・健太郎が、祖父が自分の植えた種が育っていたら驚くだろうと言って育てていたと言った。健太郎に健吾は自分が植えた子供だと話した。回転木馬が撤去されることになった。健吾は思わず母さんとの待ち合わせの目印がなくなってしまうと口走る。
 芹沢結子が祖父から贈られた時計の電池交換を頼みにきた。健吾は彼女の祖父がその時計を手にした時のことを思い出す。カンパラノ・コスモサイン。文字盤に星座盤をあしらった美しい時計だった。
 倒れた老婦人が、星野百貨店・宝飾フロア・佐藤健吾と書いたメモを持っていたと連絡があった。子供の頃、健吾が贈った玩具の指輪をつけた母だった。一緒に住むことになった。
 健吾と母が写った写真が見つかった。広報部で百貨店の歴史をまとめる作業をしていた。
 精霊の鏡 別館二階の「風早郷土資料館」勤務・早乙女一花。一花は高校生の時、絵のコンクールに応募し、佳作になったことがあった。風早の街の百貨店の絵だった。優勝したのは同級生だった。自分に失望し絵を描かなくなった。彼は画家として活躍していた。彼が、一花の描いた絵に感動した風早にやってきた。偶然一花と会う。一花は屋上で彼と花火を見る約束をした。魔法を使う美容部員・豊見城みほさんに、化け方を教わった。一花は時刻に間に合わなかった。雨も降っているが彼は待っていてくれた。年越しの花火大会の約束をする。
 豊見城みほは、芹沢結子にあなたは佐倉ユリエの娘さんと尋ねたい。
 幕間 孫娘を心配しながらひとりの老人が、病院のベットで人工呼吸器をつけて横たわっている。十数年ぶりに再会した最愛の孫娘に悪かったと謝りながら。
 百貨の魔法 コンシェルジュ・芹沢結子は、定年退職をした鷹城慎吾夫妻の案内をしている。二人は昔、この百貨店で結ばれた。「お利口くん」と「福の神ちゃん」と呼ばれた二人だった。ひそかに百貨店の人々から愛されていた。離島の病院の一人娘の福の神ちゃんは医者になった。離島に帰るつもりで、慎吾と別れるつもりだった。クリスマスに帰る二人にサンタさんのドアマンは福引き券をプレゼントする。二人は三万円分の花屋の賞品券が当たり、深紅の薔薇の花束を買った鷹城はプロポーズする。妻は離島の産婦人科医をし、夫は世界中に橋を架けていた。ドアマンは花屋の娘と結婚した。
 結子はバレリーナだった。病気になり手術をし、バレリーナで無くなった頃、祖父が倒れた。二十歳で祖父の腕時計を継いだ時、百貨店を継ぐことも覚悟した。まり子がお試し期間の提案をする。偽名でコンシェルジュとして入ること、住まいはホテルにすること。結子は日本に帰った。
 星野百貨店の社是と企業理念の一部をフランス語で綴ってある。大理石に刻まれた誓いの言葉魔法の呪文のように玄関ホールのシャンデリアに照らされ輝いている。

2019年5月27日月曜日

介錯人・父子斬日譚 悲笛の剣

介錯人・父子斬日譚 悲笛の剣 鳥羽亮
 大名旗本から切腹の介錯を請け負って糊口を凌ぐ居合道場の道場主・狩谷桑兵衛三十半ば。嫡男・唐十郎16才。師範代・本間弥次郎二十半ば。「介錯人・野晒唐十郎」の若い頃のの話か?
 徒目付組頭の大原家の家臣が盗賊の仲間五人の内の一人だったと知れ切腹となった。桑兵衛が介錯した。残り四人が次々と商家を襲い殺しもする。大原の上役・お目付増田彦兵衛の依頼で探索んい加わる。喉を斬る特異な技を遣う武士がいた。
 お納戸役人の息子が出世したさに上役に賂を送るために盗賊に加わっていた。剣道道場の建て直しのために盗賊に加わっていた道場主がいた。桑兵衛悲笛の剣を遣う道場の食客を倒した。唐十郎は道場主を倒す。

2019年5月24日金曜日

藍染袴お匙帖⑫ 藁一本

藍染袴お匙帖⑫ 藁一本 藤原緋沙子
 藁一本 唯一の身内の弟・梅之助を医者にするため、阿漕な金貸しをし仕送りをする姉・咲。咲の急病を治療し知り合った。梅之助は修業先の京から逃げ帰っていた。梅之助に手を差し伸べた桂千鶴だったが、梅之助は千鶴の名前を使い附子を手に入れ、殺人に手を貸していた。千鶴は衰弱した梅之助を助け、自首する梅之助に衿に一分金を十枚程縫い込んだ肌着を着せる。梅之助と咲は思いを話す。梅之助が手に入れた附子で殺されたのは姉弟の父を陥れ自殺に追い込み成り上がった商家の主だった。
 桜狩 母親の病の治療し知り合った初を通して知った田楽の屋台を出している巳之助。千鶴は彼が元は訳ありの侍だと思った。
 菊池求馬が昇進して大坂在番になるらしい。千鶴も御目見得医師に推挙されているらしいことが伝わる。
 医者が二人殺された。辻斬りのように見える。二人とも御目見得に推挙されている医師らしい。火盗改の手先になっている清治や五郎政の手を借りて他の推挙されている医師を調べる。千鶴も狙われる。助けてくれたのは巳之助だった。腕のたつ浪人は巳之助の兄の敵だった。巳之助は仇討が出来、初を連れて国許に帰った。浪人を雇っていたのは名前だけの医者、大店の娘と結婚しようとしていた若い医者だった。
 求馬は千鶴に妻にしたいから大坂から帰って来るまで誰とも結婚しないでもらいたいと言う。

2019年5月23日木曜日

口中医桂助事件帖⑯ 完

口中医桂助事件帖⑯ さくら坂の未来(さき)へ  和田はつ子
 桂助は妹・房の付添で横浜で虫歯治療の見学をする。旗本の嫡男の虫歯治療に行き、虫歯になっている子供の歯を全て抜いた。永久歯にも虫歯があり、抜くしか手がなかった。アメリカのエーテルでの麻酔技術とドリルでの虫歯を部分的に取り除く治療があることを知った。
 横浜で阿片密売をしている男が殺された。男を敵と狙う使用人に成りすました三人による殺しだった。桂助は犯人に判ったことを告げる。犯人は置き手紙を残して居なくなった。桂助も隠された事件のことを言わないで帰った。
 江戸で阿片のよると思われる普請死が多発していた。調べていた金五が付いている同心・友田達之助が心中を装って阿片で殺された。友田の遺体が岸田正二郎の屋敷に運ばれた事で、鋼次と金五は岸田の関与を疑う。岸田は桂助の出生の秘密を知っている。岸田が藤屋に桂助を預けた。
 岸田の屋敷に呼ばれた三人は、岸田と桂助の養父・藤屋長右衛門から事件のあらましを聞く。長右衛門は家康の時代に植木屋から商家に替わった忠義の商人の元締めの子孫だった。忠義の商人の子孫たちの中に不平不満を持った者がいた。繋がり特権を利用して阿片を広めていった。老中たちに二代前の御側御用を勤めた岸田が頼りにされ、藤屋たちが忠義の商人であることを知った岸田が探索を手伝うことになった。全てを語った二人、裏切り者の西陣屋は阿片を呷って死んだ。
 慶喜からの阿片を日本入れるなという手紙を見る。
 志保は岸田に保護され、小石川の薬草園にいた。二人は祝言を挙げた。
 虫歯の治療をした旗本の縁で、桂助夫婦と鋼次の家族は、虫歯治療を勉強するためアメリカ行きの船に乗った。
 入れ歯師・本橋十吾は、桂助から日本の入れ歯は物が噛めることがすごいと褒められたと聞き、自分の技術を受け継ぐ人を作るために弟子をとり始めた。

2019年5月22日水曜日

吉原裏同心抄〔五〕 夢を釣る

吉原裏同心抄〔五〕 夢を釣る 佐伯泰英
 吉原の用心棒・神守幹次郎は姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯し客と床入りしているという噂を聞く。噂は本当だった。老舗引手茶屋浅田屋が潰れた。
 吉原の女用心棒・嶋村澄乃が捕まえた二人の掏摸を、吉原面番所に詰める南町隠密廻り同心・村崎季光が護送中に奪われる。二人は殺されて見つかった。二人が中山道を荒らし回る盗賊・赤城の十右衛門一味に加わったと言う情報を得た幹次郎は、二人が吉原で捕まったことを重要視する。漠然と三日の内に質屋・長楽庵に賊が押込むと考えた幹次郎は、謹慎を命じられている村崎を連れ出し一緒に張り込む。潰れた浅田屋に入り込んだ賊は長楽庵に忍び込む寸前に村松や吉原会所に捕まる。吉原面番所に村崎以外の同心が来ることを拒んだ幹次郎等は、掏摸を逃がしたのは十右衛門の情報を得るためだったと奉行に伝える。村崎は面番所詰めのままになった。
 幹次郎は南町定廻り同心・桑平市松の手を借りて、金貸しと話し合いを付け、浅田屋の沽券を取り返した。
 幹次郎は七代目四郎兵衛から八代目を継いでくれないかと打診されていた。幹次郎は廻りの人々の同意を得、吉原会所八代目四郎兵衛を継決心をする。

2019年5月21日火曜日

剣客旗本春秋譚②

剣客旗本春秋譚② 鳥羽亮
 剣友とともに
 呉服屋の主人と手代が殺される。青井市之介も叔父・御目付大草の要請で友・糸川俊太郎と共に探索する。
 呉服屋の幕府御用達になるかなれないかが掛っていた。二番手の呉服屋の次男が遊び人で、剣道道場の立直しを願う剣客を動かして最有力候補の呉服屋の主を殺めていた。繋がっている御納戸役人も調べ、大草に報告し、剣客は青井と立ち合う。

2019年5月20日月曜日

無農薬野菜づくりの新鉄則

無農薬野菜づくりの新鉄則 山下一穂
 農業塾の塾長が教える! 家庭菜園で有機栽培する最新ノウハウ

家庭菜園 やさしい有機栽培入門 佐倉朗夫
 有機栽培を初心者にもわかりやすく徹底解説
 50種類の野菜が作れます。
 
からだにやさしい有機野菜づくり 加藤義松監修
 堆肥・鶏糞・カキ殻石灰・ぼかし肥。
 4つの有機肥料が土に力を与える。

2019年5月13日月曜日

京都寺町三条のホームズ・10

京都寺町三条のホームズ・10 望月麻衣
  〜見習い鑑定士の決意と旅立ち〜
 真城葵 大学2年生の5月 二十才の誕生日に家頭清貴が計画したどこに行くか判らない旅行は、超豪華寝台列車・七つの星での九州旅行だった。
 大麻事件に関わっていた雨宮史郎が現れる。宮下香織の姉・佐織の恋人・画家の米山の盗まれた作品・葵と清貴がモデルの「枝垂れ桜と鴬」と恋人佐織を思い描いた「鼠」を落札したジウの娘・イーリンと一緒だった。イーリンの大学で起った四人の死とイーリンの友達の間で起った出来事の謎を解き、2作品が清貴の手に渡された。
 葵と清貴は結ばれる。今まで清貴は欲しくて堪らないものを手に入れると熱が醒めていた。葵に対しても自分でも不安が在ったようだが、不安は拭われた。将来、家頭邸を一階にカフェコーナーがある美術館にしようと思っている。手伝って欲しいと言われる。将来の結婚のプロポーズされ指輪を貰う。
 円生から列車に薔薇の花束が届く。
 香織は清貴の父親に好きだと告白しようとしたが、店長に一番思っているのは亡くなった妻。私を想ってくれる人を一番に想ってあげることは出来ない。二番手であることを前提にその人を受け入れられないと言われてしまう。
 

2019年5月9日木曜日

超高速!参勤交代

超高速!参勤交代 土橋章宏
 享保二十年初夏 八代将軍徳川吉宗の時代、一万五千石の岩城湯長谷藩に隠し金山嫌疑がかかり、老中から「五日以内に参勤せねば藩を取り潰す」と無理難題をふっかけられた。八日はかかる六十余里を実質四日で走破しなければならない。殿様以下七名で江戸城本丸をめざす。
 内藤政醇 陸奥国湯長谷藩一万五千石の殿様
 雲隠段蔵 戸隠流の雇われ忍者
 松平信祝 老中。遠江国浜松藩七万石の藩主
 
 五日で着かないように公儀隠密、御庭番、百人番所の精鋭部隊が立ちはだかる。江戸城で政醇は金ではなく、鉄の一種だったと言う。老中筆頭松平輝貞は不確かな情報で騒ぎを起こしたと信祝を罷免する。
 政醇は吉宗に利用されたと気付く。

2019年5月7日火曜日

御刀番・左京之介⑪ 無銘刀

御刀番・左京之介⑪ 無銘刀  藤井邦夫
 五人の沼津藩藩士が惨殺された。妖刀村正に似た無銘刀を遣う凄腕の剣客の存在が浮かび上がる。汐崎藩御刀番頭・左京之介は度重なる襲撃に怯える沼津藩藩主・水野忠成の懐刀・土方縫殿助から助けを求められる。京之介は背後にいる人物を探す。水野忠邦と判り土方は影目付を使い浜松藩を襲う。罠だった。沼津藩上屋敷を凄腕の剣客・黒崎精一郎が襲う。京之介は駆けつけるが、土方も藩主・忠成も深手を負う。
 汐崎藩に嫌がらせをしていた水野忠成が失脚したため、汐崎藩は安泰になった。藩の役目は一新されたが、京之介は御側役を辞退し、御刀番に留まった。

2019年5月5日日曜日

浪人奉行六の巻

浪人奉行六の巻 稲葉稔
 中野で米商人一家惨殺刹される事件が起った。同じ浪人九人が、江戸内で博徒連中を襲う。浪人奉行を名乗る八雲兼四郎たちは中野の襲われた商人を調べる。
 浪人九人は元々青梅の宿に居たことが判る。江戸を追われ青梅へ帰る途中の浪人を待つ。兼四郎は九人が使い手と知り、定次を江戸府内の聞き込みに回す。
 浪人の首魁・山颪の甚右衛門は、神尾響一郎を探していた。中野の元犬屋敷の後地桃園に名前を変えて住んでいた。神尾は甚右衛門に見つかり殺される。追ってきた兼四郎は、九人と戦う前に、仲間の橘勘兵衛を気絶させ一人で対し、九人を成敗する。
 神尾は一緒に住む女に甚右衛門に狙われる理由を話していた。五年前に神尾は甚右衛門と一緒に五千両の御用金を奪おうとした。神尾を怪我をした甚右衛門を土手から蹴飛ばし独り占めしていた。御用金は崖から落ち神尾が手にしたのは七百両だった。甚右衛門は神尾が大金を持っていると思っていた。
 兼四郎は女から話を聞くが、自分は中野の商家に押し入った者を探しているだけだと言い去る。女は響一郎の上で自害した。
 兼四郎はいつものように「いろは屋」を開く。

2019年5月1日水曜日

闇御庭番〈一〉 裏切老中

闇御庭番〈一〉 裏切老中 早見俊
 「闇御庭番江戸城御駕籠台」改題
 菅沼外記(青山重蔵) 家慶に仕える公儀御庭番 菅沼流気送術の使い手
 家慶と水野忠邦の命令で、中野石翁を罠にはめ追いやることに成功したが、口封じのため命を狙われる。死んだことにして葬儀も終わらせるが、直接家慶に会い、水野と御目付け・鳥居耀蔵の悪政に立ち向かう闇の御庭番になる。