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2025年2月11日火曜日

それでも空は青い

 それでも空は青い 荻原浩

スピードキング 藤島が死んだ。脳腫瘍
 父の影響で野球を始めた。ボーイズリーグで広島カープに入ることを目指して野球をする。五年生でレギュラーになった。父親が死んだ。ボーイズリーグに行けなくなり野球をやめた。中学で野球部に入り、ピッチャーを目指した。県立高校に入り野球部に入った。同じ一年に藤島がいた。投げる藤島を見て三年生の顔が引きつった。自分は野手になった。
 三年の夏、甲子園に行った。自分は、スタンドにいた。一戦一負。藤沢はドラフト四位でプロに行った。自分は、軟式野球部がある住宅設備会社に入った。
 藤島は四年め一軍に出場した。3回3分の2、被安打5 死球1 5失点
 五年目の大晦日、藤島に会った。休校になった中学校で三日間藤島の相手をする。
 六年目、ローテーション入した。11勝3敗防御率2.82 スピードキング藤島
 正月の練習を頼まれたが、断った。ずーと後悔している。
 翌年14勝、翌々年13勝
 九年目に故障した。翌年トレード。二年後、金銭トレード
 三十才で中継ぎ、三十五才でアメリカ。三十七才、中南米で、百マイルの球速を記録。日本の独立リーグでプレーするために帰ってきた。

 別れて暮す子どもに会いに行き、藤島が死んだ。キャッチボールしようと誘った。娘とキャチボール。

 妖精たちの時間
 卒業して二十周年の同窓会が案内がきた。十年前、羽振りのいい商社マンだった。3か月後に結婚式を控、絶好調だった。今、会社も変わり、離婚もした。桜井が来ると聞いて出席。
 桜井はオーストラリアからの転校生だった。始め、桜井に憧れの目を向けていた女子が、輪の外に放り出した。桜井は二人の時に妖精をみたことがあると言った。話さない間に帰った。二次会に行く途中、桜井に会って二人で別の店に行った。
 現代の自分を話す。桜井は輪の外に放り出したバスケのキャプテン江嶋優菜のことを話した。二人で暮していた。桜井の留守にお風呂場で酸性の洗剤と次亜塩素の漂白剤を混ぜて事故で亡くなった。誰もゆうの話しをしなかったと嘆く。
 悪酔いした彼女を介抱し、飛んでいってしまいたくなったら、電話してくれと電話番号を教えた。

 あなたによく似た機械 無口で何も話さない夫・拓人。いつも同じ物を食べる。
 結婚式が迫ったある日、家具を買いに行って交通事故にあった。3週間入院し、その後後遺症に悩んでいる、拓人はロボットかと思い始める美純。ロボットは美純だった。

 僕と彼女と牛男のレシピ 上林康祐は、バイク事故で入院した時の担当の看護婦さんと付き合っている。康祐はバーテンダー。彼女はバツイチで七才年上。徐々に間を詰めてきた。彼女の小学二年生の息子・牛男と動物園に行こうと誘う。野球が好きだと聞き、グローブを買う。牛男は潮だった。野球に誘う。
 もし新カクテルでグランプリ取ったら式を挙げようという僕に、彼女は、だめでもいいよと言ってくれた。

 君を守るために 田辺奈緒は、犬・ムクゾーを飼い始め、犬を見ているために見守りカメラを買った。映ったのはベットで寝ている男だった。家に帰る怖さのために後輩の杉原に一緒に部屋まで来てもらった。鍵を替えた。置き土産のDVDを見つけた。そして見つけたのは、同級生の本村だった。が、彼は先月、失恋して自殺していた。
 本村を呼び出し話す。ベットに寝ていたのは本村ではない。二人でDVDを見直し男が杉原だと断定した。杉原が来るだろう今日、本村に化粧を施し、杉原が見た瞬間消えるように頼んできた。昼、杉原が震えながら帰ってきた。
 本村の話を聞く。すきな子のつきまといをして、彼氏に橋から突き落とされた。ATM
でお金をひき出した時、隣にいた。奈緒は少女の名前で本村が殺された日付、状況、ATM
こと、本村の血が付いた指の跡が付いたパンツも同封した懺悔をしている文章を送った。
 男は逮捕された。本村は現れなかった。抱き上げたムクゾーが、本村と同じ笑い方をした。

 ダブルトラブルギャンブル 十九年前、双子で生まれた。礼と仁。そっくりな二人。
はじめて気が付いた。四年生の夏休み、ラジオ体操の皆勤賞を狙っていた仁は、最後の日、熱を出した。礼が仁の出席カードを持って体操に行った。皆勤賞は遊園地の招待券だった。
ピーナッツパーク。
 九月、礼のクラスで分数のテストがあった。50点以上取れないと昼休みのサッカーが禁止される。仁がテストを受けた。礼は国語が得意、仁は数学が得意。
 中学校に入った。仁が入ったサッカー部はマラソン大会で三十位までに入らないとサッカー部に入れなかった。礼は前日から学校を休み、五キロの途中で交代した。ぎりぎり二十九位だった。
 大学を諦めていたが、母親が三年生の時、行きたいのなら行きなさいと言った。仁は理系の国立大。礼は奨学金制度が充実している私立大。同じ大学に二人とも願書を出し、二人ですり替わって試験を受けた。二人とも大学に合格した。
 私大に入った礼は、最高。理系に入った仁はレポートに追われ最悪。
 礼はコンビニの女子に声を掛け、ライブに誘う。バイトで行けなくなった礼は仁に代わりを頼む。ライブの後、翌日も会う約束をする。行く用意をする仁に代わり礼が行く。礼は話しがかみ合わない。礼は気付いた。礼とデートしているが、彼女は仁が好きなのだ。
 礼と仁は殴り合った。カードでも決まらなかった。
 今度、地元で三人で会って、今までのことを正直に話すことにした。場所はピーナッツパーク。

 人生はパイナップル 人生はパイナップルと言ったじいちゃんとキャッチボールをする。じいちゃんの人生を聞く。台湾でパイナップルの缶詰めを作っていたじいちゃんの父親。じいちゃんは中学生の時、甲子園に出場した。控のピッチャーだった。エースとして出場しようと思った年、突然中止になった。軍事教練で手榴弾を投げさせられ肩を壊した。「自分の頭で考えない馬鹿になるなよ」と言った。じいちゃんトスバッテングしながら、三年先、十年先の練習をしろと言った。自分のことは自分で決めろ。そしたら後悔しない。野球の強い商業高校か普通の県立か迷って、普通の県立高校に進んだ。三年生四回戦で負けた。父親がじいちゃんの遺景を持ちスタンドにいた。
 大学四年、先発ではじめて勝ったウイニングボール。就職は食品加工会社。

2025年1月13日月曜日

海の見える理髪店

 海の見える理髪店 荻原浩

 海の見える理髪店 
 海辺の小さな町に店を移し、十五年になる理髪店に僕は予約して行った。お任せという僕に店主は職業を尋ねる。本や、雑誌のデザインをしている。前髪を掴み、頭をなで回し髪形を決めた。彼は鋏を使いながら生まれた時からの来し方を語る。映画俳優が、常連さんになった。二度目の結婚をした。子どもが出来た。弟子を引き抜いて独立するという従業員を殴り殺人者になった。無理に離婚したと話す店主。最後に僕の頭の古傷が、ブランコから落ちた時のものだという話しをする。お母様はご健在ですかと聞く店主。ええ。僕は来週、結婚式があると話した。

 いつか来た道
今会わないと後悔すると弟・充に言われ実家に十六年ぶりに帰った。何しに来たのという母。母親は中学の美術教師を辞め、画家になった。弟が産まれた翌年に絵画教室を始めた。姉が亡くなり期待は私に集まった。美大を落ちて普通のOLになった。二十六才で家を出た。三年後父が亡くなる。学校はどうしたの。課題は?と聞く母。「吉田さん、絵が出来た」色とりどりの模様。これは私の娘、子どもだったのに亡くなった娘。青は充。黄色は、杏子。下の子。美大に通ってる。画家になるの。背景の緑はパパ。いつもみんなの後ろにいるの。また来るからと言った。
 
 遠くからから来た手紙
 今日も残業夕飯いらないという夫に、遙香を連れて実家に帰りますと連絡して実家・静岡に帰った。義母は温泉旅行。二駅離れたところに住んでいる。
 元の私の部屋は、三か月前から弟夫婦が使っている。六年前に亡くなった祖母の部屋・仏壇がある和室に入る。すぐに来るかと思っていた夫・孝之は土曜日まで来れないという。
孝之とは中学時の付き合いで初恋の相手だった。卒業を待たず、転校した孝之と短い間の手紙の付き合いだった。四年前の再開で、お互い独身が分り、遠距離恋愛が始まり成就した。中学時の手紙を、自分の机の引き出しから回収する。
 昔の手紙を読む。変わった謎のアドレスから手紙調の文が届く。梨畑の手伝いをする。毎晩届く手紙調の文面は、祖父の戦地から祖母への手紙だった。謎のアドレスに、ありがとう私はもう平気と送る。どこに行くのだろう。土曜の朝、孝之に連絡せず、東京に帰る。孝之からの手紙は一通を残してごみ捨て場所に捨てる。君が好きです。僕とつきあってください

 空は今日もスカイ
 茜は小学三年生。二か月前に街から今のところに引っ越した。自分で英語の勉強をしている。今日は海に行く。神社で森島陽太に会う。二人で海を目指す。雨が降ってきた。お地蔵さんで雨宿りしているとおばあさんが、子供用の黄色い笠を貸してくれる。海岸に着いた。ブルーシートを家にしている男性・ビッグマンに声を掛けられ泊まる。朝、ビッグマンが警官に捕まる。茜は、その人は悪くない。何もしていない。森島の背中は痣だらけだった。ふくしの電話番号を手のひらに書いて貰った。
 
 時のない時計 
 兄夫婦と二世帯住宅の一階に一人きりになった母から、四十九日が終わって手渡された父親の形見分けの故障した腕時計。商店街の外れの古めかしい時計屋に行く。修理の間、彼の家族の歴史を聞く、そして自分の過去を振り返る。一万八千円。失業中の自分には痛い出費だった。時計の針を巻き戻したいと思うことあなたにもあるでしょう。と言う時計屋。辞表を叩きつけた自分を考え、いえありませんと答える。その時計偽物ですよという店主に、父親に高級品は似合わないと思う私は、そうですかと嬉しそうに言った。
 
 成人式
 夫婦は、十五才の一人娘を交通事故で亡くした。生きていれば来年成人式だ。振り袖の案内が来るようになった。テレビを見なくなった。二人は、これでは駄目になると考え、成人式に出席することにした。髪を黒く染めストレートにする。レンタルの振り袖を選ぶ。手の甲にハンドクリームを塗り、手袋を嵌める。父親は真っ赤な羽織を着こなすために五キロ減量し五センチウエストを細くする。金髪に染める。当日、振り袖姿の妻と羽織姿の夫は、電車で会場に向かう。文化センターの前で、驚くか呆れるか笑うか。容赦のない囁きが飛んでくる。招待状が無いから入場許可が出ない。鈴音の中学校時代の友人・郁美に会う。郁美が友達を集め、招待状を出し、十三人、三人は忘れたと十枚の招待状を受付に出す。
市長の挨拶を聞き、教育長の話を聞く。終わった後、郁美ちゃんが、鈴音の原寸大の写真を出した。みんなで写真を撮る。父はカメラで美絵子と鈴音だけの写真を撮ってからロングにする。


2018年4月7日土曜日

極小農園日記

極小農園日記 荻原浩
 極小農園日記 Part1秋冬編
   私もソラマメ作ってみようかな。今年はもう遅い。
   蕪はどうやって食べるのだろう。
 極狭旅ノート
   新幹線でのお弁当にあこがれ、気分が悪くなり乗物酔をすることを思い出したことを思い出した。そうだ、あの時は後ろ向きに座ってしまったのだった。進行方向向きに座らねばならない。
 極私的日常スケッチ
 極小農園日記Part2 春夏編
  今年も畑を耕してしまった。キュウリ、トマト、オクラ、ゴーヤ、青じそ、ブロッコリー。去年より増えてしまった。