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2025年7月3日木曜日

まんまことシリーズ ああうれしい

 まんまことシリーズ ああうれしい 畠中恵

 ふじのはな 高利貸の婚礼話

 おとうと 町名主見習の義弟を手伝う麻之助。猫探し

 ああうれしい ああ嬉しいと思わせてほしい それ名主の仕事?

 縁談いろいろ 縁談の相手探しを次々頼まれる麻之助。妙案を見つける。

 むねのうち 与力の屋敷の台所で高価なかんざしが消えた。盗人はどこに 

 だいじなこと 友人の屋敷で倒れた麻之助は何かを忘れた。

2024年11月4日月曜日

しゃばけシリーズ  なぞとき

しゃばけシリーズ  なぞとき 畠中恵

 何故佐助が怪我をしたか。長崎屋の手代と坂下屋の娘が恋仲になった。坂下屋の店が左前になり娘を金持ちのところに奉公に出し得た金で店を立て直そうとした。娘が長崎屋に逃げたので追ってきた父親が、桶を投げた。桶が小鬼に当たり元興寺に噛みつき、がごぜの爪で佐助が引っかかれた。手代は娘と江戸を離れた。

 何故 料理屋の娘・照の縁談が潰れたか。照の次兄が千住の宿屋へ養子に行く事になった。次兄が、実家から遠い、知ったものが居ないと愚痴を言う。照は次兄の頬を殴り、女はみんなそうだ。でも誰も何も言わない、と言った。照の縁談相手の母親が、男の頬を殴るような娘を嫁に出来ないと考えたようだ。内々のことを何故知ったのか。照の友達から伝わったようだ。また、相手は何回も縁談を断っていた。

 通町に賊が入ったどうやって入ったか。黒と白の二匹の犬が離れに来た。鍵が大好きな犬で、鳴家がおもちゃにしている長崎屋の古い鍵にご執心。黒い犬が長崎屋に留まった。白い犬、犬の飼い主を探す。通町の大きな油問屋の犬だった。犬の世話をしている竹藏が鍵を持ってくるように躾けしていた。一太郎行った時、竹藏たちは逃げていた。

 一太郎の枕辺に女が現れる。仁吉の結界を破れるのは何故。天ぷらが歩き出す。寛朝もやってくる。武家の間で流行っている夢見に付いて相談に来た。武勲が書く本から悪夢がでてきていることが分った。寛朝が払う。

 長崎屋の番頭二人と手代が辞める事になった。籐兵衛は、三人の相談役に一郎太を指名した。番頭は、袋物屋をしようと嫁にするつもりの十五才若い女を連れていた。彼女は、若い大工と見合いした。もう一人は、辺鄙なところで小さい店などいやだという。手代は、茶店を買うつもりで故郷にお金を送ると、店を買い、兄にやらせるといってきた。兄は金が無くなり借金を申し込んでくる。籐兵衛は、もういないと兄を追い返す。
 一太郎は、番頭の店で手代を働かせ、もう一人の番頭を、誰かと組んで大家株を持たせようとした。

2023年11月13日月曜日

いつまで

しゃばけいシリーズ22 いつまで 畠中恵 

 若旦那・一太郎は、長崎屋のために、薬升を作った。

 医者の火幻と場久がいなくなった。心配していた一太郎もいなくなった。
一太郎は五年後の江戸にいた。
薬升が盗まれ、長崎屋と同じ薬効の薬を扱う大久呂屋があらわれ、繁盛している。
籐兵衛は腕の立つ商人だが、一太郎を探すことに時を割き、対抗しきれていなかった。
 長崎屋の近所に店を出す用意をしていた。
 一太郎の許嫁・中屋の於りんは、回向院の団子屋で、夢と名乗って働いていた。大久呂屋は於りんに旗本との縁談を持って行っていた。
 於りんは、先の中屋の女将の話をし、旗本の覚悟を聞いていた。旗本は帰っていった。

 火幻と場久と一太郎は、火幻のところにいた以津真天の嫉妬のため、場久の影の世界にきてしまった。火幻や場久が人間の中で楽しく暮していること、火幻を仲間にしてしまった若旦那を許せなかった。

 一太郎は、深川の三人の僧を、現れた大日如来、寺に帰ってもすぐ若旦那の下にやってくる大日如来のおかげで火事から救った。一太郎は、三人の僧を助けるために五年後の江戸に送られたのだと思った。

 場久が残した通り道を探し、広徳寺の井戸から火幻と一郎太は元の所に戻る。以津真天は淋しいのだと気付いた一郎太は以津真天も一緒にと声を掛け、一緒に戻る。
以津真天は、火幻の家の二階で、掃除、食事の用意、薬研で薬草を刻んでいる。

2023年9月10日日曜日

おやごころ

おやごころ 畠中恵 

 たのまれごと 吉五郎に頼まれる。旗本の主が、嫡男の悪行のため家が滅ぶと愚痴る。嫡男の悪行を調べることになる。嫡男に悪行は無かった。金持ちの娘が次男と一緒に成りたがった。貧乏旗本は、嫡男を追い出し次男に後を継がせたかった。嫡男は家を出て書き役の株を買い書き役になった。

 こころのこり 三軒の江戸店の番頭が失せ物が出たと相談に来る。一件目、大阪から江戸へ嫁に来て間がない番頭の嫁が、本店から貰った祝いの簪を隠していた。江戸の生活に慣れない香に商家の嫁を紹介し、習い事でもすることを進める。
 二件目 紙問屋が旗本から預かった本を無くす。始めから本をすり替えていた。旗本は、本を譲れと言われたが譲りたくなかった。本を無くしたことにしようとした。
 三件目、売り掛け帳がなくなった。麻之助は誰かが、本店に送る飛脚の品物の中に売り掛け帳をいれた。番頭は自分から辞め、自前の店を持った。

 よめごりょう 麻之助の妻・和歌と結婚するはずだったと息巻く男・太助が現れた。麻之助が調べると、太助が結婚を申し込んだ琴が、結婚する前に三行半を頂戴と言った。太助が断ると琴は結婚を断った。結婚前に三行半を書いた男がいた。和歌に麻之助が書いた。和歌が安に見せた。安が琴に話した。太助は、麻之助を恨んだ。

 麻之助走る 和歌が解任した。麻之助は、前妻と子を、お産の時に亡くしていた。じっとしていられなくて走り廻っていた。神田祭りを派手にしようと用意している人を見付けてしまった。樽屋に伝えた。

 終わったこと 与力の娘・美衣につきまとっている男がいる。麻之助は男の正体を突き詰めてほしいと言われた。麻之助は、武家屋敷に入る泥棒を美衣がみたのではないかと思った。美衣には麻之助がいつも付いていた。みつからないため美衣を一人にし罠を張った。男は現れた腰紋入の煙草入れを引っかけていた。遠くからでも紋が見えた。

 おやごころ 子どもが産まれた。宗吾と名付けられた。
 縫箔屋の主夫婦は、妹を可愛がり、なんでもいうことを聞いた。姉・秋の許嫁を、妹・春が自分の婿にすると言った。秋は身を引き、妹が結婚し店を継ぐことになった。親戚になる大奥を引き、近所に暮す美代が、秋に大工との縁談を持ってきた。二親が、妹に泣きつかれ、姉を元の縁談に戻し、妹を大工に嫁がせると言う。男二人が縁談から下りた。
 麻之助は、美代に、茶道、華道、琴、武家奉公の心得など教えて暮さないかと提案する。秋を引き取りまず秋に教える。麻之助は美代を前へ踏み出させようとした。美代は明日を語っていた。

2023年8月25日金曜日

忍びの副業上下

忍びの副業上下 畠中恵 

 戦国の頃、天下に忍びの一族として名を知らしめた甲賀だったが、世が治まり徳川の配下となり武家の身分を得られ、忍びとしての勤めを失っていた。
 甲賀は忍びの技を失ってはいなかった。家伝の技を受け継いでいたが、役に立たず使う場もなかった。
 上忍弥九郎、蔵人、十郎等三人は、猫探しのため江戸城の屋根に上ったことで西ノ丸様・家基と出会い、甲賀が警護の役に付いた。
 西ノ丸様の廻りに見慣れぬ忍が現れても、守りか敵か見分けがつかないため、弥九郎は甲賀が西ノ丸の守りをすることを辞めた。組屋敷で長から謹慎させられた。

 弥九郎は曲玉を見、襲われている籠を助け老中・田沼意次と顔を合わせ、一ツ橋家とも顔を繋いだ。警護に付いたり、根来も紹介したり。
 西ノ丸様も行く鷹狩りの予行で、熊がでたり食中毒があったり、四人が亡くなった事件が起こる。
 甲賀は事件の背景と犯人を突き止める。四人死亡の犯人が分らないうちに西ノ丸が鷹狩りで体調を崩し亡くなった。籠に運ばれる西ノ丸を見た弥九郎は、西ノ丸が病気であることを認めた。
 
 豊千代を次期将軍にしたい一ツ橋家に呼ばれた弥九郎は、家基が病死であることを将軍に伝えて欲しいと言われる。弥九郎は、家基が病死であることも言うが、豊千代の小姓が鷹狩場でフグ毒を試したことも伝えると言った。弥九郎は、小姓・伊藤の首を落とした。一ツ橋家は伊藤が出奔したことにした。弥九郎が伊藤を殺したことは無くなった。

 甲賀の長は弥九郎になった。昼間は百人番所のお役目で真っ当な顔で生きつつ、闇の中で技を生かして生きていこう。主を持たぬ、真の主は我ら自身。

 

2023年7月20日木曜日

佐倉聖の事件簿 アコギなのかリッパなのか

佐倉聖の事件簿 アコギなのかリッパなのか 畠中恵 

 一度読んでいる。
 特別収録の「思い出した・・・」は前にはなかった?

 沙希・私は殺された。結婚半年、夫・秀夫と私の友達・夫の愛人・真紀子に。
 大学生の頃から片思いの秀夫は、硝子工芸の小さな工場で働いている。夢は硝子芸術で身を立てること。大学卒業から二年、秀夫は、プロポーズしてきた。裕福な妻が欲しいと。私には親から受け継いだ資産がある。
 真紀子は専業主婦が夢だそうだ。
 沙希は結婚前、余命一年と言われた。普通の生活を送りたくて、医者には口止めをした。親の代からの弁護士、私を可愛がってくれる弁護士には、家にビデオカメラを仕込んであることを言っておいた。
 私は、睡眠薬の入ったワインを飲まされ、風呂場で手首を切って自殺したようにされた。
駆けつけた弁護士、医者、警察と話し合われ、秀夫に部屋にビデオがあることを伝えられた。
 みんなが帰った後、秀夫と真紀子は24のビデオを見つけた。安心して二人は話している。
 真紀子が23個のビデオを持ち帰ろうとした時、帰ったはずの警察も弁護士も現れる。
 ビデオは押収され、少し窓が開いていたので、録音させて貰ったとも。
 秀夫と真紀子は連行される。

2022年11月27日日曜日

しゃばけシリーズ こいごころ

しゃばけシリーズ こいごころ 畠中恵

 おくりもの 料理屋の三野屋が、はしかの子供が遊びに行き伊和屋の子供、主人の妹・沙江にもはしかを移してしまった。伊和屋にお詫びの品を贈りたいが何をすればいいか判らない。相談された長崎屋の若旦那・一太郎は、伊和屋を調べに行く。内向きのことを知ってしまった一太郎は、沙江の縁談をまとめ、主人の縁談をまとめるのがいいことに気付く。

 こいごころ 熱を出し寝込んでいる一太郎の夢の中へ、狐仙と呼ばれる妖狐・老々丸が現れ、立派な妖狐になると思われていた笹丸の妖の力が尽きかけている笹丸を、おぎん様に頼んで茶枳尼天様の庭に入れてもらえないかと言ってきた。広徳寺の寛朝の所へ連れて行く。金印を飲み込んだ狸を盗んだ者を見つけ出し狸を探す。祝いの席で笹丸を消えた。妖の力が失せた時、命が無くなる。老々丸は命の無くなる笹丸のために、以前に声を掛けられ親切にしてもらった一太郎に恋心を持った笹丸のために、最期に一太郎に合わせるために江戸に来たのだった。

 せいぞろい 長崎屋の主人が、一太郎のために誕生祝いをした。店の奉公人の夕餉に祝い物をつけお酒が一本付いた。離れの妖もする。食べ物を調達に行く妖がそれぞれの所で集まる妖を増やしてくる。河童、猫又、王子の狐、天狗。人数が多くなり過ぎて広徳寺ですることになった。賊が押し入り奪った金を奪われ、探し回っていると日限の親分が知らせに来た。日限の親分も参加する。三百両しか入ってなかった千両箱に、賊たちは大事な物を入れたのだろう。盗まれた千両箱を取り返しにきた賊を、佐助と二吉でが捕まえ、千両箱を盗んだのは賊の船頭だろうと教え日限の親分を奉行所へ追いやった。

 遠方より来たる 一太郎の掛かり付けの医者・源信が、引退する。誰が長崎屋出入りの医者になるか住民は見ていた。源信の弟子は、甥の黄源と信青がいたが、黄源は源信が品川に連れて行くことになり、信青は大阪の医師に預けられることになった。新しい医者は火幻と名乗る鳥辺野から来た妖の化前坊だった。僧装だった火幻に医者の着物と源信が住んでいた家を渡した。

 妖百物語 火幻が長崎屋出入りの医者に決まった。廻りの商家の主から顔合わせに、百物語の会に誘われた。火幻と一太郎と金次と屏風のぞきも誘われた。九十九で終わらせる話しを百までして妖を呼ぶという。四人は困った。出てきた妖が、親しげに四人に話しかけてきても困るし、自分たちの手に負えない妖が出てきても困る。途中で一太郎の具合が悪くなり四人で帰るという計画で会場へ行く。会場へ行くと商家の主たちを目の敵にする商家の次男三男が、山伏を集めていた。不穏の気配に一太郎が途中退場しようとすると、帰りの扉は反対側から閂が掛かっていた。扉の向こう側では若者たちの悲鳴が聞こえる。山伏は逃げ、怪異が若者たちを引きずっている。一太郎は寛朝のお札を持たせて小鬼たちを投げる。怪異にぶつかった小鬼は怪異にお札を張る。怪異は消えた。その後、百物語は禁止になった。一太郎は熱を出して寝込んだ。若者たちは怖がって出てこなくなった。

 

2022年5月14日土曜日

またあおう しゃばけ外伝

 またあおう 畠中恵
 〜しゃばけ外伝〜

 長崎屋あれこれ 長崎屋紹介 先代長崎屋の妻は皮衣という齢三千年の妖狐だった。娘・たえを守る妖狐・守狐が庭の稲荷にいる。鳴家という小鬼のような者たちがいる。
 若旦那・一太郎が暮らす離れには妖が集まってくる。兄やは犬神と白沢。碁相手な付喪神の屏風のぞき。借家には噺家は漠・場久。三味線を教える猫又・おしろ。貧乏神の金次もくる。近くの神社の鈴・付喪神の鈴彦姫も来る。
 広徳寺の僧・寛朝が弟子・秋英を伴ってやってきた。寛永寺の寿真の話が出る。寿真の弟子の黒羽は飛べなくなった天狗が人に化けている。二人の僧は妖封じが出来る数少ない僧だ。
 大黒天が遊びに来た。一緒にお稲荷様、生目神、橋姫もやってきた。宴会になった。

 はじめての使い 戸塚宿の猫又が、約束通り江戸の染物屋が出した猫又柄の手ぬぐいを沢山送ってくれた長崎屋にお礼をすることにした。白狐のきつね膏薬を持ってとら次と藤沢宿のくま蔵が行くことになった。二人ははじめての旅、江戸だった。
 保土ケ谷で二人は雲助に金も荷物も奪われる。雲助との交渉中、猫が口入れ屋大阿部屋の者に追いかけられているのに出くわす。皮を剥ぐことを聞いた二人は猫たちを逃がす。その場は雲助たちに助けられたが雲助たちは捕まってしまう。二人は大阿部屋に乗り込む。捕まる。大阿部屋は、泥棒の集まりだった。江戸で盗みをし、すぐ帰ってくる。二人が長崎屋にいくことを知って、一緒に行くことにする。長崎屋の前で、得体の知れない者にみんなやられる。二人は戸塚に助けを求めていた。大阿部屋は自分たちが窮地にたっているのに二人の心配をしていた。影の声が、もう江戸に来るな。己の宿で必死に働け。あんた盗賊には向かんよ。と言った。

 またあおう 長崎屋の主・籐兵衛のお供で金次と屏風のぞき・風野が、連に行った。面白い書や巻物、絵を見せあう。急に天気が崩れ突風で屋根が飛ぶ。二人は付喪神たちをできるだけ助けたが、傷を負っていた。付喪神を修繕できるのは長崎屋だけだとできるだけ預かって帰る。みんなで修繕する。草双紙の引き込まれる。桃太郎の本だが話が違う。金次やおしろたちが話を聞くと、桃太郎や鬼や村人らが年月が経ち付喪神になって仲良くなった。鬼が農民になっていた。もう戦いをする気がないという。
 直しが終わって大亀屋に草双紙を返す。また借りる約束をして返す。以前よりきれいになったと帰って行った。鬼ケ島にいる皆で芝居をするよう提案していた。世間に知られている桃太郎を演じていた。

 一つ足りない 九千坊河童は中国のぐっと奥に棲んでいた。寒さと飢えに見舞われ仲間を守るため東へ海を越えてやってきた。九州に住み始めた。猿が河童を襲ってきた。九州の河童の一団は東に向かった。九千の河童を受け入れてもらえるか心配している時、流されている河童を助けた。禰々子の一の子分・杉戸河童だった。眠った禰々子を猿が勾引かし、人間に捕らわれている。飲めばどんな相手とでも話せる秘薬を持ってこいと言っている。九千坊が持っている秘薬だった。九千坊は禰々子を助けに人間の屋敷に潜り込む。捕まるが、そこに禰々子はいなかった。守りが厳重な倉を見つけた。戦いが始まった。声を聞いた禰々子が目を覚ます。猿と人間が悪さをしていると思った禰々子と、中国で飢えた時から仲間を庇い己を諌めてきた九千坊は、遠慮なく戦った。二人は相談した。坂東太郎も参加し、築後次郎の側の水天宮に頼み領主に住む許可を貰い落ち着き、猿から青玉を回収していくことになった。九千坊は九州に帰った。河童たちは恩義を感じ水天宮の使いとして役に立つようになった。

 かたみわけ 寿真が亡くなり、寛朝も亡くなった。寛朝から妖退治を引き継いだ秋英から一太郎に文が来た。寛朝の形見分けということで護符が貼られた物をいくつか渡してしまった。その中で逃げた者がいた。それを探して欲しいと言う。見える者が探し出してきた。寛朝の最期の弟子・寛春が、三途の川へ流される袋に入れられている。秋英は、鬼よけの護符と交換に寛春を助けた。今まで寛春が無事でいられたのは寛春が妖が見える子だったからだ。秋英は己が支える側に回ったことを得心した。
 

2022年1月16日日曜日

御坊日々

御坊日々 畠中恵

 明治二十年 
 二年前、冬伯は、一旦廃寺になっていた東春寺を建て直し住職になった。檀家は残っていない。玄泉という弟子がいる。
 廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ大変な時期に先代住職が突然亡くなり若い冬伯では支えきれなかった。 冬伯は相場師に預けられ地味だか損をしない相場師になり寺を建て直した。
 冬伯は今も師僧の死の真相を追い求めている。

 色硝子と幽霊 料理屋八仙花の女将が、売り上げが落ち込んでいる八仙花の立て直しについて相談に来る。八仙花は以前に色硝子にしていた。息子が建て直しを迫る。そのために幽霊まだ登場させた。女将の夫は、相場に手を出している。今は止めているが教えてもらえないかということだった。冬伯は相場に固い損をしない相場はないのだと言う。幽霊で人が来ているのならそれを売りにすればいいと言った。後の手紙で女将は知らせてきた。
 幽霊の芝居をすることにした。夫と二人で庭に花を植えることにした。継ぎは嫁に店をつがせることにした。

 維新と息子 老舗紅屋北新屋の跡取り・昌太郎が相談に来る。昌太郎が生まれる時、同じくして産気付いた小間物屋井十屋の妻が助けを求め、北新屋でお産をした。井十屋の妻・マサが亡くなった。二人の赤ちゃんの世話を北新屋の者がしていた。北新屋の妻・与志江が乳をやろうとして大女将が赤ちゃんを差し出すと、井十屋の子だと言った。大女将が抱いていた子を昌太郎として育てた。与志江は総領息子・昌太郎を可愛がらなかった。大女将が亡くなり与志江は井十屋の文吉を探し始めた。昌太郎は自分の子供がもうすぐ産まれる。それまでにこの話しをきっちりしておきたかった。文吉が見付かり北新屋に現れた。
 昌太郎は文吉を自分の子だと言う母を見て、自分が小間物屋井十屋をやっていく。文吉の借金も自分が払うと言った。自分が失いたくないのは、妻・加乃と生まれてくる赤子だからということで、亡くなった井十屋の供養をしていくと言った。代言人をたて、証人を探し、証文を交わし役所への届けでた。北新屋と井十屋は全く関わりがないことを約束した。
 昌太郎は西洋小間物屋を始めた。

 明治と薬 冬伯は師僧から漢方の処方を受け継いだ。雨の中、冬伯の兄弟子・今は隣の神社の宮司になっている敦久が具合を悪くしてやってきた。冬伯は十数年前、僧から神職にさっさと変わった敦久を許せなかった。冬伯は敦久が師僧・宗伯の傍にいれば宗伯は死ななかったと思っている。
 貧民窟から元警官の西方に聞いたと、公園の設計図を出せとやってきた。設計図は金になると言うがこの寺にそんな物は無い。言っている間に、頭以外の者が、寺の所有物を持ち去った。薬草や薬研やくすりの調剤道具から重箱、書物等。頭・辰馬は冬伯の言葉を聞いた。貧民窟から出ようと思った。
 敦久は、師僧が神職になるよう言ってくださった。妻子がいて路頭に迷わなくて良いように。神職になり見習いとして遠い神社に行った。ことを話した。
 辰馬が寺の道具を見付けた。師僧の日記もあった。

 お宝と刀 冬伯が、徳川の埋蔵金を見付け寺を建て替えたというような噂が流れた。埋蔵金を出せと刀を持った二人が寺に来る。徳川の埋蔵金は持って逃げることが出来ない金。
 西方を探し埋蔵金に付いて聞く。埋蔵金が何なのか考える。
 辰馬は芝居の仲間に入った。冬伯を狙った二人も刀を持てない者に教えるために芝居仲間に入った。大山は斬られ役をしている。

 道と明日 外務大臣に話しを聞くことになった。今の外務大臣が、昔、寺を立ち退きにして公園を造ろうとしていた。外務大臣は、公園の反対運動をしていた住職が亡くなったことを知っていた。もともと病だったが養生せず反対運動をして無理そした。大臣が部下の知り合いの相場師に若い僧を預けた。公園は計画が遅れ銀座煉瓦街建設の話しが出、消えていった。
 二つ目の埋蔵金は幕府が貯めたお救い米だった。もう一つあるという。お救い米を売り街を作った。
 もう一つを見付けた。町名主たちが積み立てていた。冬伯たちは、内務系大臣に外務大臣の街計画のことを教えた。大東京改造の計画は幻になりそうだと噂が流れた。
 

2022年1月3日月曜日

もういちど

もういちど 畠中恵 

 まだ田植えも終わらないのに暑い。雨が降らない。暑くて弱った廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若旦那・一太郎を少しでも涼しい根岸に連れて行こうとした。船が転覆し一太郎は助けられたが赤ん坊になっていた。水神宮様が薬を下さった。苦そうで赤ん坊の一太郎は飲めそうにない。赤ん坊だが、一太郎の記憶はそのまま、何もしゃべられないが、一太郎はわかっていた。
 一太郎は星の玉を持っていた。代替わりをする星だった。ひびの入った天の星に水神宮の水薬を掛けた。玉は一気に上へ消えた。一太郎は寝て起きる度に大きくなった。一郎太は元気な子供だった。根岸の勘助と出会う。人買い事件を解決し、薬草を摘み干しておけば長崎屋が買うことになった。また種を蒔いて増やすことも考えた。
 一太郎が、すぐ大きくなるので引っ越しする。
 両国で浪人から剣術を習う。たいそう丈夫だ。道場破りと一太郎の師匠が勝負する。一太郎は見たかったが二人の兄やに抱えられ遠ざかった。
 長崎屋に帰ると、栄吉の見合い相手がいた。娘の父親が一太郎の巾着袋を間違って持って帰っていた。中に蒼玉が入っていたので一太郎は探し回る。娘の実家・如月屋の番頭が持ち帰ったと考えた一太郎は番頭の長屋で見付ける。番頭は逃げた。蒼玉は取り返したが巾着に入っていた十両あまりは持っていかれた。番頭は自分の店を持ちたかったようだ。
 商人を追い掛け回す深編み笠がいるようだ。深編み笠のために一太郎が寝込むことになった。誰が何のためにしていることか調べる。豊島村の龍の石を代官が持っていってしまった。山口屋から旗本に贈り物にしようとしていた。それを取り返すために深編み笠をかぶり村人が探していた。山口屋が旗本に渡そうとした時、小鬼たちが持ち上げた。玉が浮いているように見えた旗本は、こんな石いらないと言って落とした。
 二度と走り回れないと一太郎は涙を流した。

2021年6月27日日曜日

まんまことシリーズ⑧ いわいごと

まんまことシリーズ⑧ いわいごと 畠中恵

 こたえなし 富くじで得た十五両の使い途を巡り三人の男たちが揉めている。一膳飯屋で働いている五郎太はみつと一緒になって屋台店をすることになった。小間物の行商をしていた六蔵は白粉屋の娘と縁組が決まった。七助は自分の五両と五郎太と六蔵から三両借りいちの借金を返済して一緒になることになった。

 吉五郎の縁談 北山与力の娘・紀乃との縁談が決まった同心見習い・相馬吉五郎の御用箱から血塗れの刃物が出て来た。吉五郎の縁談は破断になった。刃物は紀乃に縁談を申し込んでいる旗本・川端が奉行所の中間に金をわたし入れさせたものだった。川端は若隠居になり弟が跡目を継いだ。

 八丁堀の引越し 同心から吟味方与力へと出世した相馬家。大倉屋の質問は何故、元吟味方与力は辞めさせられたかだった。赤羽屋から賄賂をもらったことが理由だったが、調べた結果、賄賂を贈ったのは奈加川屋だということが判った。奈加川屋は中追放になり赤羽屋はこっそり返された。

 名指し 町名主と跡取りが亡くなり継ぐ者がいなくなった四町を新たに引き継ぐ町名主はどこになるか決められず、とりあえず麻之助が助けていた。町名主・西森金吾の娘・和歌が手伝ってくれた。四町は両国と揉めていた。子供の団子で揉め始めたことだから、麻之助は屋台の団子で話を付けた。
 町年寄が出て来て、なかなか返事をもらえなかった雪との縁談が白紙になった。
 四町は麻之助の高橋家が町名主になることに決まった。

 えんむすび 雪との縁談を白紙にした町年寄・樽屋は麻之助に縁談を持って来た。届いた三つの縁談はどれも怪しげな事情を抱えていた。一人は武家奉公希望で相馬家が決めた。一人は好いた相手と一緒になれるよう清十郎が世話をした。一人は大名の側室の話をことわるために商家との縁談を大倉屋がまとめた。西森金吾が和歌に麻之助さんに嫁いではどうかという話が纏まった。

 いわいごと ついに祝言を迎える麻之助に元縁談相手・雪が相談にきた。雪も縁談がまとまった。雪の持参金の土地の沽券状が無くなったので見つけて欲しいとのことだった。麻之助は雪の縁談相手夏月屋に行き話を聞き、沽券を持ち出した者、箪笥に隠した者が要ることがわかった。麻之助はすべて話沽券状を見つけて雪は式を挙げた。

 麻之助と和歌も式を挙げた。

2020年11月28日土曜日

いちねんかん 

いちねんかん 畠中恵 

 長崎屋の主・籐兵衛と女将・たえはおきの・たえの母ぎんの招待で別府温泉に行く。

 若旦那・一太郎が、色々小袋に入れ取り合わせた藥袋を売り出したらどうかという案を出した。大番頭の忠七が大乗きで話を進めた。町名主の手代に五十両を持ち逃げされた。手代の行き先は突き止められるが、若旦那は表沙汰になると余所に迷惑が掛かることになるので、持ち逃げされたことは終わりとする。藥袋は作るつもりだ。

 京の十丿川屋の番頭が、紅餅の買い付けに来た。貧乏神・銀次が番頭は偽物だと見抜く。番頭は偽の送り状で着いたばかりの紅餅を余所に送ってしまう。長崎屋の者が荷を追うが、荷は長崎屋の手を離れていた。若旦那は紅餅をあきらめ、偽番頭の手に渡るのを防ぐため川に荷を沈めろと背中を押した。

 西から江戸へ疫病が入ってきた。長崎屋には「香蘇散」という疫病に効く藥がある。長崎屋に疫鬼達が来た。疫病神が来た。疫鬼は自分たちが疫病を流行らせたと言う。疫病神は自分が運んできたと言う。若旦那を殺した方が正しいということでやり合う。鳴家たちは大国主命に助けを求める。大国主のところに来ていた大禍津日神様が長崎屋にやってきて疫鬼と疫病神を連れて行った。大禍津日神様こそ日の本全ての災いを統べる方だと言う。

 大阪の薬種の大店・椿紀家から親交を深めたいと申し出があった。本店椿紀家の娘婿を選んで欲しいと言われる。椿紀家の若旦那は疫病で亡くなった。次に罹った娘は、長崎屋の藥を飲んで助かったのだった。候補は大阪両替椿紀家の次男、京紅椿紀家の次男、京の薬種椿紀家の四男だった。若旦那は江戸両替商椿紀家で、一緒に住み、選んだのは京の紅椿紀家の三男・昌三だった。昌三は江戸椿紀家で奉公していた。

 もうすぐ二人が帰ってくると頼りがあった頃、長崎屋に押し込みが入る。佐助と二吉が離れに閉じこめられた押し込みの上に天井板を落として捕まえた。

二人は帰って来た。


 

 

 

2020年11月18日水曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵 

 加筆修正とあったが、どこが加筆でどこが修正されたか分からなかった。

2020年7月29日水曜日

華姫シリーズ② あしたの華姫

華姫シリーズ② あしたの華姫 畠中恵
 月草は腹話術を使う芸人だ。月草が使う人形は、真しか言わないと人気のる華姫とあだ名される姫様人形だ。
 両国を仕切る地回りの頭・山越の親分の娘・夏と仲良しだ。夏の姉が亡くなり、許嫁だった正五郎の跡目がなくなった。跡目争いが起る。夏は一人娘になった。兄・春太郎が現れる。春太郎は山越の親分の後を継がないという。
 秋丿助が現れる。店も者だった。本当の秋丿助は武士だった。偽の秋丿助は、八丁堀の青木直正は山越の息子だと振られたくなければ、自分を秋丿助と認めろという。偽秋丿助は本名がばれて山越の跡継ぎはなくなった。
 夏は大変だ。

2020年2月12日水曜日

わが殿 上・下

わが殿 上・下 畠中恵
 土井利忠 大野藩主。内山七郎右衛門を登用し、銅山の発掘、藩校の開設などの様々な藩政改革を断行し、藩の財政を立て直した。
 内山七郎右衛門 利忠から「内出の小槌」と言われながら殿の才覚に惚れ込み、利忠の無理難題を一手に引き受け、大野藩のために奔走する。
 内山隆佐 豪放磊落な気性。内山家の次男だが大小姓に取り立てられ、新たな一家を構え、七郎右衛門を支え続ける。
 内山介輔 内山家の末っ子。剣術の腕立つ大男。真面目に勉学を重ねる粘り強さも持っている。

 浅黄斑の勘兵衛と思い起こす。江戸初期の大野藩と江戸後期の大野藩。勘兵衛たちが藩替えで大野を去り、新たに入った殿様たちではあるが。
 
 

2019年11月10日日曜日

てんげんつう

てんげんつう 畠中恵
 てんぐさらい 長崎屋の若旦那・一太郎の許嫁・りんがいなくなった。りんの養家・中屋の誰もがいなくなった。りんは実家・にいた。中屋の後妻によって後妻の実家の医家の借金のため、家具一切を取られていた。後妻は息子・初吉を置いて離縁されそうだ。仁吉に恋する天狗姫・花風は仁吉と結婚するために二百年前に散らばった薬を探し出すという試合を挑んできた。若旦那は薬師如来に薬を分けてもらい、花風のインチキを暴く。
 たたりづき 母親・仙狐が岩屋に入れられたのは若旦那の祖母・ぎんの所為だと考えた仙太狐は、若旦那の知りあいに祟ったと言う。知りあいを辿った先は、真正寺の僧・東山だった。孤児だった東山が仏具屋山川屋の先代の息子だという当代が、東山に店を継いでもらいたいという。山川屋の親戚に命を狙われる東山を守り、殺そうとする者を捕まえる。山川屋は親戚に店を売り、真正寺に寄付をし、自分も西山と名乗り僧になった。
 恋の闇 仲人の内儀が山姥だ。という騒ぎの中、仲の悪い札差の娘と息子が、結ばれた。山姥は姿を消した。
 てんげんつう 未来がわかる力を三太から譲られた若者が、長崎屋の若旦那が元に戻してくれるとやってくる。一郎太は寛朝の力を借り、てんげんつうの目から光る物を取り出し広目天のところに届けてもらう。若者は河童の店で、河童と人との橋渡しをし、人相手の仕事をすることになった。
 くりかえし 桜の木に毛虫がいっぱい繁殖した。一太郎は植木屋を調べる。植木屋の新種開発が根本に合った。不合理を突いた一郎太によって、職人の待遇が変り毛虫退治がなされた。
 

2019年4月7日日曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵
 つくもがみ戦います 出雲屋の付喪神が拉致された。付喪神たちはみんなで逃げ出し、探していた十夜等に会えた。両国で見世物小屋の元締め、口入れ屋をしている阿久徳屋だった。阿久徳屋の息子は春夜。
 二百年前 旗本・蜂屋が旗本・篠崎を連れ、声のする「大江戸屏風」を預かって欲しいとやってくる。家康から貰った物でどう仕様もないという。屏風は付喪神になっているが話をしない。蜂屋の根付けの鼠が屏風に入っているようだ。阿久徳屋の付喪神・阿真刀と青馬と文字茶も入っている。出雲屋の付喪神も入り込む。阿真刀たちは阿久徳屋が壊して付く喪神で無くなった加羅刀と素素女を見付けた。二百年前の江戸城内にある「大江戸屏風」を見付けた。十夜にいろんな物を屏風に入れてもらい、代わりに付喪神たちは出雲屋に飛び出た。屏風は自分の物だと言っていた御家人・八田は屏風から飛び出た物を見て気絶し、要らないといった。付喪神たちはいろんな物を持ち出した。加羅刀たちも出てきた。大判も持ち帰った。
 悪の親玉 十夜は拾い子だった。本当は紅が見付ける前に阿久徳屋が見付け、夜の字を付けた名前の紙を持たせて、拾ってくれそうな人がいる所に置いたのだった。阿久徳屋の息子・春夜もその一人だった。
 春夜が阿久徳屋が、五日間帰って来ないと助けを求に来た。春夜の付喪神と出雲屋の付く喪神が幽霊が出るという旗本・山白家に行く。幽霊だと思われたのは兄妹を亡くした姫様が泣いていたのだった。阿久徳屋は殿様に会って話をし帰ってきた。
 見つかった 十夜や春夜や八夜が襲われた。屏風から持ち帰った大判のせいかと思われたが、三人と同じ捨て子だった阿久徳屋がもっている阿真刀と加羅刀のためだと思われた。
 つくもがみ笑います 阿久徳屋の本当の名は、久徳屋阿喜夜。
 阿久徳屋の持っている加羅刀の定紋と阿真刀の替紋から播磨の大名と判った。
九曜紋の殿様に百年前に武家のために作られた何かが付喪神になっているはず、何かを見付けて欲しいと頼まれる。付喪神たちは考え、徳川家の菩提寺で百年君を見付ける。障壁画だった。
 こゆりに好きな人がいる事が判り、市助と十夜は失恋

2018年10月15日月曜日

しゃばけシリーズ⑰ むすびつき

しゃばけシリーズ⑰ むすびつき 畠中恵
 昔あった人 広徳寺の寛朝から付喪神になった蒼玉を見せられる。貧乏神・金次は二百年以上前の戦乱の世に出合った若長の話をする。若長は若旦那・の前世だという。蒼玉は若長の元に辿り着いたのだ。金次は買い取り蒼玉は若旦那の元に落ちついた。
 ひと月半 若だんなが仁吉と佐助と一緒に箱根に湯治に行ってひと月半になる。自称、死神と言う者が三人集まる。白三郎と紅四郎と黒次郎。黒次郎は守狐だった。白三郎は長崎屋の近くの川で亡くなった船頭の幽霊だった。橋に捕らえられて、代わりが来まで成仏できなかった。白三郎は河童を代わりにしようとしていた。河童はいやがった。紅四郎たち死神は白三郎を強引に橋からはがし歩き始めた。白三郎は消えた。
 むすびつき 鈴の付喪神・鈴彦姫の鈴がある五坂神社には星ノ倉宮司という神社の道具や飾り物を作るのが上手い職人がいた。五十年前に亡くなり、材料の金が無くなり、五坂神社はお金に困り、鈴彦姫の鈴が売られようとしていた。若だんなは星ノ倉宮司の書き残した物を調べ、金を探し出す。鈴の脇の小さな鈴たちが金の塊だった。五坂神社は金細工等を造れるようになり鈴は売られることがなくなった。鈴彦姫は若だんなが星ノ倉宮司の生まれ変わりだと思っていたが、星ノ倉宮司は金のことが心配で今でも幽霊としてこの世にいたことで生まれ変わりでないことが判った。
 くわれる 若だんなの所に許嫁の於りんと一緒に、もみじと名乗る悪鬼が来た。三百年前に若さんは困ったことがあればおいでと言ってくれたと言う。もみじは一緒にきた青刃と無理矢理結婚させられると、親から逃げてきていた。若だんなの幼馴染み・安野屋で修行中の栄吉が、元兄弟子・雪屋が持ってきた味噌饅頭をヒントに作った味噌団子に嫉妬してもみじと於りんを誘拐した。二人を返して欲しければ団子を作るなと言ってくる。若だんなは広徳寺にいることを見抜き寺に行く。勾引かされたと思っていない二人がいた。
 こわいものなし おしろたちが住む一軒屋の近くの長屋に病気の笹女が住んでいた。笹女が飼っている猫・ダンゴは猫又だった。おしろを通して長崎屋の薬を渡していた。笹女の隣に住む夕助はダンゴと笹女の話を聞き、人が生まれ変われることを知った。生まれ変われるなら死ぬことが怖くないと言う。若だんなは転生の話を寛朝にして貰うために船で広徳寺に行った。船上で女の子を攫い売に行く男と会った。夕助は女の子を助ける。広徳寺に着くと、広徳寺の僧と神宮寺の僧と神職が揉めていた。夕助は巻き込まれ亡くなった。大物主・祭神が現れ、夕助の輪廻転生を約束する。蝶になり魚になり夕助は早く生まれ変わる。若だんなは九官鳥になった夕助を笹女の所に預けた。

2018年6月7日木曜日

明治・妖モダン

明治・妖モダン 畠中恵
 明治二十年
 煉瓦街の雨 銀座四丁目の派出所の近くにある牛鍋屋「いろは」は原田巡査や滝巡査の行きつけの店だった。主は百木賢一、通称百賢。妹のみなよが女学校に行きながら手伝っている。みなよを好きになった金持ちの下谷が翡翠のブロオチをプレゼントした。そのブロオチが泥棒の証拠になる。下谷はみなよを皮に流した。原田は下谷を鎌鼬に見せころした。
 赤手の拾い子 原田と滝のいる派出所に、拾い子だという子どもが届けられた。届けられた時は三才ぐらいだったが、二人がいろはに連れて行った時には六才ぐらいになっていた。おきめという子はダイヤモンドを持っていた。翌日おきめは十才くらいになっていた。ダイヤモンドを持っていることが知れ親と名乗る者た多い。丸加根が我が子だと言って帰らない。そのうちに十六才くらいになる。丸加根が連れて帰ることを阻止しようとした赤手が傷を負う。おきめが行きだがっているのだ。丸加根はダイヤモンドを持たず、おきめを連れ帰り嫁にした。ダイヤモンドを持って行くが幼女のおきめと嫁になったおきめは別の者だと言い張る。赤手はおきめ即ち鬼女だろうと言う。もう自分たちは来ないから決して人を傷つけるな。と言い置く。きめはあんたたちは誰?と言うが返事は無かった。
 妖新聞 新聞に妖たちが戻ってきたと記事になった。五人が一遍に死んでいた。調べていた原田に呼び出し状がきた。原田は首を斬られた。五組の殺人の犯人は服毒自殺をした。しかし滝たちは犯人を殺した者、殺人の仲立ちをした者を探した。新聞記者だった。鎌鼬の原田は新聞記者を殺し、川に流した。鎌鼬の原田は本当の原田巡査の身体を時々借りていた。妻と生まれてくる子どものために原田巡査になった。
 覚り、覚られ 選挙に勝つため「さとり」を探している者がいた。赤手が行へ不明になる。警察がさとりを探していると言いふらしたかった。さとりがいることが前提で、さとりの予言があったと言う話しを作って当選しようとしていた。さとりを男だと言う青山に高はさとりは山神、山の神。古女房を山の神と言うでしょう。さとりは女、男と言った青山は落選するでしょうね。
 花乃が死ぬまで 滝駿之介を探す、四十くらいの夫人・井沢花乃が派出所に現れた。滝巡査と同姓同名だった。十五才の花乃が好きだった滝は書生だった。親の言いなりに三度結婚し、自由になって昔の恋人・滝を探し始めた。花乃には身内がいない。亡くなった夫の遠い親戚が花乃の財産を狙っていた。花乃を派出所の近くに高と一緒に住まわせ匿う。花乃を狙う者を誘い出す。昔、滝と会ったことのある辰次郎は年を取っていない滝を化物と呼んだ。空き巣が仲間割れで殺し合い転んで頭を打って亡くなったことになった。花乃は滝が人ではないと知ったが滝の側で暮らす。

2018年5月18日金曜日

百万の手

百万の手 畠中恵
 音村夏貴は時々過呼吸の発作に見舞われる中学生。親友・日野正哉の家が火事になり両親を助けようと飛び込み三人が亡くなった。携帯電話から正哉の声がしてふたりで火事の真相を調べる。夏貴の父親は亡くなり、母親と二人家族だが、母親の婚約者・東が現れる。夏貴の家も燃え、正哉の携帯も燃える。
 夏貴と正哉が生まれたのは四神市の四神病院、産科が有名な病院だった。正哉は人口受精で生まれていた。正哉の親の凍結受精卵で生まれた女児・片岡和美がいた。正哉の父は和美とのDNA検査をしていた。それらの証拠品を燃やすために日野家に火を付けられた。片岡家は東京に引っ越した。誰かが知らなかった人に教えている。中学生・田崎が自殺した。父親は柴原医師を恨んでいた。
 夏貴は柴原の始めて成功したクローン人間だった。柴原は田崎に殺された。
東と夏貴は柴原のデーターを入れたDVDを手に入れた。柴原の成功の断片を知っている赤木は柴原のデーターを欲しがった。柴原の研究だと知っている夏貴たちを病院の地下研究室で殺そうとする。水をかけると燃える液体をまかれ火の海となる。赤木も死ぬ。
 赤木の暴走を見ていたのは院長、他産科の医者達だった。夏貴たち親子の死を願い、DVD
を狙っていた。夏貴たちは逃げ出した。
 正哉の墓の前でDVDを砕いた。