2022年2月27日日曜日

刀剣幻想曲

刀剣幻想曲 秋月達郎

末之青江 真柄直隆 備中青江 長物1394年〜1428年 古青江、中青江、末青江 
          白山権現・白山比咩神社

こぶ屋藤四郎 千利休 山城粟田口藤四郎吉光 八寸二分五厘  こぶ屋五郎兵衛が利休から貰った茶杓の名は藤四郎 こぶ屋は藤五郎に名を変える。短刀は千家に受け継がれた。

山鳥毛 上杉景勝  謙信愛用 備前 

へし切長谷部 黒田如水 姫路で秀吉から賜る 長谷部国重 秀吉死後、やっとの思いで九州をわが物にが、関ヶ原の決着が早かった。

泛塵 真田幸村 水の流れに刃を向ければ泛かびあがる塵すら両断できる。秀吉から賜ったか?真田信繁、大谷刑部吉継に気に入られる。上杉景勝の部隊に属し八王子城を陥落。

一期一振 徳川家康 粟田口藤四郎吉光 大坂城焼け跡より二振り見付かる。一振には吉光の額銘が入れられ、もう一振には葵紋が刻まれ越前国康継と入れられた。尾張徳川に伝わり孝明帝へ献上。山里御文庫の御剣庫に保存

にっかり青江 京極忠高 京極家は龍野から讃岐丸亀に移封。香川県丸亀市立資料館に所蔵

肥前忠吉 勝海舟 放光山神光院 大田垣蓮月に祈祷。坂本龍馬から岡田以蔵に渡りる。

三日月宗近 高台院 刀狩をすり抜け昭和二十六年新国宝の指定を受け、東京国立博物館に寄贈


2022年2月25日金曜日

江戸の雷神 

 江戸の雷神 鈴木英治

 七年前から火付盗賊改役の伊香雷蔵は、常に捕物の先頭に立ち町人に人気がある。

今、追っているのは五人組の盗賊、匠小僧と呼ばれる盗人、辻斬りだ。
五人組の盗賊は日暮れ店じまい寸前に押し入る。殺された者はいない。三ヶ月前から。
匠小僧は三年前から四十軒ほど盗まれている。
辻斬りは三人斬られた。

 雷蔵は一人で辻斬りを待つ。黒ずくめの盗人が現れたが逃げられた。辻斬りが出た。雷蔵と手合わせしたいために三人を斬ったと言う。雷蔵は土竜という秘剣を使う。辻斬りの向こう脛を斬ったが仲間が現れ担がれて逃げた。三人だった。誰かに雷蔵を殺すように依頼されたようだ。

 五人組の隠れ場所の密告があり内藤新宿へ行く。北町奉行所の捕手もいた。中から現れたのは雷蔵の兄・要太郎だった。雷蔵と一騎打ちになるが、要太郎が逃げ、立ちはだかった北町の与力・岩崎が殺された。要太郎は逃げた。押し込みの四人は殺されていた。

 雷蔵は火盗改の頭、先手組の頭も罷免になり無役になった。逼塞になった。伊香家の千六百石の家禄はそのまま、長崎奉行だった父残した蓄えが数万両あった。
要太郎は十年前家を出、五年後勘当されていた。四年前、父が亡くなり、その後、兄死亡と一緒に大阪へ行った者から伝えられていた。それが舞い戻り驚いた。

 北町奉行、奈古屋冬兵衛。雷蔵の幼馴染み。二千九百石の旗本。

 雷蔵は散歩に出て、子供に無体を仕掛けている男に会った。男から男児二人を助ける。その後、匠小僧が雷蔵の屋敷に現れる。子供を助けた礼を言いにきた。匠小僧は寺で子供を19人育てている。そのために盗人をしているようなので、雷蔵は辞めるように言う。罷免された理由を話し、要太郎を探すことを頼む。そのための資金十両を渡す。匠小僧はもう一軒だけ盗みに入り辞めると言う。匠小僧は三笠屋に忍び込んだ。強い用心棒がいて逃げ出した。

 雷蔵が師範代としてきている今枝道場に道場破りが来た。安斎六右衛門。仕合は雷蔵が勝ったが、強い。雷蔵は六右衛門をつける。六右衛門は四人の侍に囲まれこのままでは殺してしまうと思いかけた時、雷蔵が入り助けて逃げる。雷蔵の屋敷で江戸に住む者が幸せになるように悪いやつを懲らしめようと思っている手伝いをして欲しいと頼む。六右衛門は考えとくと言って帰る。
 六右衛門29才は、陸奥五本松四万五千石仁和家の使番だった。六右衛門が遣いに出ている間に妻・芳江は、殿・長茂に手込めにされ流産し亡くなった。葬儀を終えた次の日、長茂に会い、長茂が六右衛門を殺そうとした刀を奪い首を落とした。屋敷に帰り自決するつもりだったが、芳江の声に止められ江戸へ逃げる。長茂は松平伊豆守の実弟だった。仁和家に養子に入っていた。
 江戸の口入れ屋で三笠屋の用心棒になり、匠小僧を追い払い、二十両を手にした。口入れ屋から勝負してくれる道場を聞き、今枝道場に行った。雷蔵と手合わせした帰り、睦藩の追手に囲まれた。伊香屋敷に逃げたのだった。

 要太郎の居所を匠小僧が知らせに来た。荒れ寺で要太郎は、四人が止めるはずだった押し込みを続けるつもりだったこと。四人で押し込めば人を殺してしまうことになること、止めさせるために殺したことを話した。与力は刀を振った方に頭を動かし殺すことになったと言った。首筋に刀を当て自死した。

2022年2月23日水曜日

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末⑥ 完

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末⑥ 凍月の眠り  平谷美樹

 生ける屍 本所深川反魂の宴 旗本三家に妙なことが起こっている。二軒は死んだとされていた殿様が生きていた。埋められて後で生き返った。一軒は医者が診ている。魚屋が強請っている事がわかり、金魚は判った。三人はフグを食べた。毒に当たり二人は死んだように思われたが亡くなってはいなくて、蘇ったように見えた。生き返ったが正気には戻らなかった。
 金魚は旗本と話しを付ける。魚屋の強請りを止める代わりに本を書く許可を貰う。魚屋の強請りは命を取ると言う脅し、前と同じように魚屋として屋敷に出入りすること。

 本草学者 未練の訪れ 書林三河堂に二十五歳で亡くなった村木宗庵の蔵書がある。村木家から役立ててくれそうな人に売って欲しいと預かった。蔵を見つめる幽霊が出ると噂される。粋山に頼まれ無念が巻き込まれているようなので、金魚はこっそり乗り出す。三河堂の娘と話しをして、幽霊の話は宗庵の蔵書を売りたくなくて付いた嘘だと早く言うべきだと諭す。亡くなっている人の事だから父親のうるさく言わない。真っ白な留書帖は形見に欲しいと言えば良いと教える。
 粋山と無念には幽霊は見間違いだったと伝えられた。

 丑の刻参り 呪いの行方 丑の刻参りをしている女と会った。ぬいは田中平七郎という子供に読み書きを教えている同じ長屋の浪人と夫婦約束をした。平七郎は旗本の養子縁組みのはなしがありぬいの前から姿を消した。金魚と栄は平七郎に一泡吹かせる手伝いをする。
 ぬいが死んだ話しを作り幽霊を出す。平七郎がやっと誤った。
 無念が金魚に結婚を申し込む。金魚は頷く。

 雪女郎 凍月の眠り 吹雪の中薬楽堂の短右衛門の娘・けいが勾引かされた。けいの機転で駕籠を雇い降りた場所までは分かった。金魚と無念が辺りを捜していると六部の装束の童女が手招きする。童女が立ち止まった空き家にけいがいた。六部の装束の大人と子供の遺骸があった。外は吹雪、家の中でけいを温めるために金魚は裸で布団に包まる。貫兵衛と又蔵が二人を見つけた。吹雪は遠にあがっていた。
 幽霊はいるいない論争になった。金魚はいないと言いたいが、神も仏もないじぶんの力だけで切り抜けて行かなければ生きていけない。それが金魚の縁だった。けど仲間を頼れる。分からないと言っても良いんだ。


2022年2月21日月曜日

新・秋山久蔵 御用控⑫ 凶状持

新・秋山久蔵 御用控〈十二〉 凶状持 藤井邦夫

 凶状持 五年前、博打打ちの貸元を殺して江戸から逃げた男が戻ってきたらしい。貸元の舎弟舘に追われている。見付かれば殺されかねない。久蔵は探索を命じる。
 伊佐吉の動きを見、五年前の事件の真相を摑んだ。後継ぎになっている金蔵が千五郎殺しを企み伊佐治が殺し、金蔵は後を継ぎ、罪を擦りつけ伊佐吉の命を狙ったことが判った。伊佐吉の目の前で金蔵を捕まえた。金蔵と伊佐吉は死罪になった。

 守り神 金貸しが殺された。久蔵と神崎和馬、柳橋の幸吉たちが動く。
 久蔵の息子・大助は学問所帰りに浪人たちを角手や鼻捻を使って手玉に取った商家の内儀の下男に興味を持って後を付け扇屋香風堂の者と判った。内儀は元八丁堀同心の妻だったが、同心が亡くなり実家に戻った。同心が手札を渡していた岡っ引きが、奥さんを守って下男になっていた。
 幸吉たちの調べは香風堂に向く。内儀が金貸しと会い、返済を待ってもらえなくて店を取られそうになっている。下男を張り込み金貸しを襲ったところを捕まえる。久蔵は暴利を貪る高利貸の利兵衛も捕まえ、吊り上げられる利息に苦しむ者を助けた。香風堂も助かった。下男・彦六は笑みを浮かべて死罪になった。

 和泉橋 浅草寺で研屋・剣堂の主人が怪我をした。久蔵は脅しとみた。剣堂を調べていて和泉橋で辻斬りがあったをことを知る。殺人者は刀お使い方を知らないようだと見受けられた。剣堂から調べ、大名家当主の甥のようだ。もう一度辻斬りを行うとき、捕まえる。勘当放逐され浪人になり死罪となった。藩主も隠居した。

 目利き 向島の寺の運慶が彫ったと言われる観音様が盗まれた。手口から八年前に亡くなったと思われていた念仏の宗兵が浮かぶ。八年前の宗兵と現在の宗兵を追う。八年前、大百姓の市次郎に助けられ屋敷の下男として働いていた。市次郎が唐金の小さな観音様を持って大黒堂の隠居のところで卒中になって死んでいた。大黒堂に隠居は目利きで有名だが、偽物だと鑑定して安く買い、他の人に高い値で売ると言われていた。宗兵が隠居を呼び出した。宗兵が盗んだ観音像を偽物と鑑定し、十両で買うと言う。市次郎を知らないかと言う宗兵に偽物だというと倒れたので帰ったと言う。隠居を捕まえる。唐金の観音像は大黒堂にあった。大黒堂は闕所になった。隠居は遠島。盗まれた観音様は寺に返され、唐金の観音様は江戸十里四方所払いになった宗兵がもらい、修業僧宗念として江戸から旅立った。
 

 

2022年2月19日土曜日

〈通訳〉たちの幕末維新

〈通訳〉たちの幕末維新  木村直樹

 オランダ語だけでは通用しない。幕末のオランダ通詞たちは苦悩しながら日本中へ散って行った。
 欧米諸国との外交交渉、英語など新しい言語への対応や、維新後のありよう、激動の時代を語学力で生き抜いた姿。

2022年2月17日木曜日

鬼の大江戸ふしぎ帖② 鬼がとぶ

鬼の大江戸ふしぎ帖② 鬼がとぶ 和田はつ子

 人の肝臓から作られる命救丹が盗まれた。数日後、高価な名薬は大川に流されていた。犯人の狙いは、命救丹より効果のある自分たちの命救丹とすり替えることにあった。取引の店に、新たな薬を試しに使ってもらい、取引場所を変えるというものだった。何故効果があるか、浅田玄九郎が扱うよりも新しい肝臓を使う。まだ、生きている肝臓を使うというものだった。
 渡辺源時は熊鬼の仕業と見立る。源時の使っている下っぴきの花吉は蚊蜻蛉鬼 なので、花吉を抜きにしようとしたが、花吉が可愛がっていた長屋の少女が犠牲になった。蚊蜻蛉鬼は熊鬼の手先だがこの度は敵対するという。隠れ家を見つけ急いだが穴の中の死体は焼かれた。熊鬼の首領は怪我をしていることが分かり、源時は華鬼の稀世が心配になった。花吉は熊鬼退治に必要な猫虎鬼のヒゲを玄九郎から拝借した。
 稀世のところに身重のぶんがいた。稀世はぶんを助けようと右手の甲から白蓮のような花が咲き蜜が出る。ぶんの身体が薩摩熊鬼になる。花吉が稀世の蜜の中に虎ひげを落としていく。薩摩熊鬼の首領は亡くなった。臨終を見届けて熊鬼はたちは去った。ぶんは盗賊のだった追いつめられて死んだということになった。
 
 鬼が飛ぶ 鼠鬼の婆が殺された。鼠鬼たちは四天王の源時が犯人だと言い出した。源時を知っている鼠鬼の小吉が庇ってくれるが相手は多勢だった。明日までに犯人を見つけることで猶予を貰う。百舌鳥鬼に化けた蟻鬼の瓢吉が犯人だと思われたが、瓢吉にはアリバイがあった。
 源時は、鼠鬼たちに犯人は百舌鳥鬼だと言った。源時は知らなかったが鼠鬼には心当たりがあった。婆は百舌鳥鬼を育てたのだった。鼠鬼によって百舌鳥鬼は殺された。

 鬼の呪縛 狐鬼には、大店を継ぐ若旦那は鼠鬼の娘を襲うと言う跡継ぎ式があった。雪の日に襲われた娘は神隠しに合ったと言われ、数日後に川で見付かったり首くくりなど自殺遺体で見付かることが多かった。狐鬼の方から源時は今年から辞めたいのだが息子は楽しみにしている止めて欲しいと頼まれ、鼠鬼からは何故こんなことが起こるのか調べて欲しいと頼まれた。知っていることを話せば鼠鬼の復讐が始まることが分かる源時は鼠鬼には話せない。
 源時は、息子・梅太郎が狙っている娘を守ることにした。梅太郎が殺された。真平が殺された。殺されたと思うだけで身体は無い。来ていた着物だけがのこされていた。源時が調べ、蟷螂蛇鬼だとわかった。蟷螂蛇鬼は鶉卵の好きな狐鬼を食べなければ三十歳で死ぬ。大奥の御台所彩の方が五年前にも同じことを起こしていたことを知り、網を張り捕まえ、大奥に戻した。

 鬼が恐い、人が恐い、

2022年2月15日火曜日

鬼役伝〈二〉 師匠

鬼役伝〈二〉 師匠 坂岡真 
 鬼役の矢背家、初代の物語
 江戸城門番だった伊吹求馬は、老中・秋本但馬守に剣術の腕を認められ、御前奉行支配同心に抜擢された。日々唯一無二の鬼役と呼ばれた南雲五郎左衛門の元で修業に明け暮れていた。
志乃を納得させ、矢背家に婿養子として迎えられなければ鬼役にはなれない。

 御役に必要な資質 剣術の技量 度胸と勇敢さ 冷徹さと不動心 正義に殉じる覚悟と密命を下される御方への忠心。目を掛けられた者はふるいに掛けられる。

 秋本但馬が、京洛北から連れてきた八瀬衆を束ねる首長の娘・志保。求馬に失ってはならないものは信義だと教えてくれた。敬うべき人だった。
 伊吹家も二十年前は御所の警備する内舎人だった。母は近衛家の女官だった。近衛家が御所から遠ざけられ京都所司代だった稲葉丹後守正通から幕臣に誘われた。父は正通を刺客から救ったことがあった。父も母も死んだ。母が死ぬ前に教えてくれた。

 求馬に命令を伝えるのは公人朝夕人・土田伝右衛門。

 赤穂塩の取引を調べることになった。囲い込みと売り惜しみで塩相場を吊り上げ高値で売り抜ける。調べの途中、風見新十郎と出会う。風見も鬼役の候補だ。塩を横流しするもの、目をごまかす者、隠し場所を提供するもの。日置を倒し風見の元に駆けつけた先に風見が倒れていた。厳起坊にやられかけた求馬を救ったのは志乃の弓だった。風見も命には別状なかった。塩は流され証拠は無くなった。

 一粒づつ笊に移す作業を続ける。次は鯛を腐るまで睨む。
 求馬の剣の師は青雲寺の慈雲和尚。鹿島の神官から臨済宗の僧侶となり鹿島新当流に禅と関係の深い無外流の抜刀術、金剛杖術が取り込まれている一風変わった奥義を修得した。

 南雲 烏頭毒で目が見えなくなった。
 南雲は一度しかやらぬと言い、綱吉公に供するのと同様の膳を食した。懐紙で鼻と口を隠し、一の膳、つみれ汁、平皿から小鉢や壺へと流れるように進む。平目の刺身、青鷺の煮物、車海老の付け焼き、胡瓜や根菜の酢の物。二の膳鱚の塩焼き、付け焼き鮎の塩焼き鱸に木の芽、置き会わせは蒲鉾、玉子焼、からすみ。美しい所作で食される。鯛の尾頭付き。形を崩さず背骨を抜き、小骨を取る。研鑽せよ。求馬は瞼に焼き付けた所作を繰り返す。

 志乃の供で船頭をしながら不忍池で、桂昌院を護る。襲って来たのは額に犬の文字が入った浪人だった。求馬は隣家の松太郎に剣を教えている。松太郎が勾引かされ求馬は誘き出され洞窟で阿片をかがされ呪文を掛けられる。求馬の額に犬の文字が浮かぶ。捕まり浪人が収容されている牢に入れられる。洞窟まで誘って行った男・高垣が牢から脱してくれた。八代順斎の術を掛けられていることを教えてくれる。順斎の得手勝ってに使われる。米蔵を襲う計画のようだ。南雲がまやかしの術を解くには強い意志と痛みがいると言い、鉄火箸で腿を刺す。鉄火箸の片割れを手渡された。
 志乃が現れ密命を伝える。陰陽師を見つけ出し黒幕の正体を暴け。
 順斎に傀儡になることを強いられる。松太郎が木にぶら下がっている。志乃がつり下がる縄を切り、猿婆が松太郎を助ける。順斎も黒幕の名を告げずに死んだ。
 足利家の宗家喜連川家当主が、江戸家老に裏切られ屋敷をすてて秋元家に逃れてきた。求馬は喜連川家正室吉の方を救い出すと命令を受けた。喜連川家を乗っ取っているのは吉良家の息子・荒之助だった。母親は遊女と言われてきたが本当は公卿の娘・大奥を牛耳る御年寄りだった。黒幕は常磐。
 綱吉下向。前日、求馬は南雲に少量の毒を盛られ、薬を与えられる。薬の調合を教えられ、誰かを頼るな。おのれで考え信じた道を進め。安易に死んではならない。命を粗末にしてはならない。侍であることを忘れるな。侍とはいつなりとも死ぬる覚悟を携えた者のこと。と言われる。
 当日。捕まっていた浪人が開放され秋元家に集まる。綱吉は鉄砲隊を遣い撃たせようとする。南雲が綱吉に浪人を救っていただきたいと進言、諌言した。そして求馬に介錯をさせ切腹した。求馬は綱吉が浪人に直々会うという言葉を持って前触れに走った。綱吉は普段着で、すまぬ。みなに辛い思いをさせた。仁政とはなにかを考えると話した。浪人たちは帰った。
 常磐は求馬と志乃が密命を果たした。
 荒之助が秋元を襲った。黒部が殺された。求馬は黒部に言われた荒之助の丹田を狙った。荒之助は死んだ。黒部の死を告げに行った。が三行半をもらって妻女には告げられなかった。南雲がいつも買ってくれるという少女が千振を持っていた。これからは求馬が買うことになった。
 

2022年2月13日日曜日

満月珈琲店の星詠み

満月珈琲店の星詠み 望月麻衣
 〜ライオンズゲートの奇跡〜

 鮎月沙月 京都で生まれ、高校生から香川の母の実家に移る。三年の時オーディションを受けデビュー。三年前、不倫騒動が起こった。小学生時代の登校班班長・中山明里と会い、不倫謝罪会見を行う。二年後、マネージャー・高田聡とつき合い始める。

 沙月は、先月、プロポーズされた高田を、 母に合わせるため香川に行く。途中、ラジオから二季草渉が交通事故に遭い意識不明の重体とのニュースが流れる。
 沙月たちが家に着いた時、二季草のニュースを聞いた母・藤子が倒れ救急車で運ばれるところだった。

 八月の新月、三毛猫のマスターの元に海王星の遣い・サラが訪れ、満月珈琲店を手伝う。自分の気持ちを蔑ろにしてきた藤子、才能の限界を感じた作家・二季草の心の扉が開く。

 藤子には中学の頃から仲良しの男子・鮎沢がいた。東京からきたいじめられっこだった。藤子は剣道部でまっすぐだった。藤子は鮎川の持つ特別な雰囲気を異端と感じ排除しようとする人がいる反面、自分は護りたかったといいう。鮎沢の家の事情もポジティブに考える。鮎沢のピアノが引けることを表に出し、同級生の見る目を変える。高校も同じ高校に通い、大学は京都の大学へ進んだ。藤子は恋愛感情があったが、鮎沢の恋愛対象ではないことが分かっていた。就職してからも付き合っていたが、鮎沢から別れの言葉がでた。藤子は了承する。そして妊娠した。親にも連絡せず京都で産み育てる。父が亡くなり、母と一緒に暮らすことになり高校生になった娘・沙月を連れて香川に帰る。
 沙月がオーディションを受け、女優の道に進んだ時、鮎沢が訪ねてきた。沙月は私の子供ではないかと。藤子はきっぱりと違うと答え追い返す。

 藤子はトレーラーの満月珈琲店でラムネを飲む。レアチーズケーキを食べながら、二季草は藤の花の事だと教えられる。京都から香川にきて就職や生活が楽しくないのは、自分の心に正直に対応していないからだと言われる。

 鮎沢は中学の頃から書きためた小説があった。編集者になりたかったが、就職出来ず、親のコネで入った証券会社は合わなかった。誰かと付き合っても心が落ち着かない。そして藤子に会いたくなった。藤子と別れてから小説を書いていない。昔書いたものを推敲し文学新人賞に応募した。名前を藤沢渉をひねって二季草渉とした。結果作品は受賞し、映画化さらベストセラーとなった。これまで書きためた小説を推敲し二作目、三作目と世に出た。東京に移り住んだ。
 書きためた物がなくなってきた。学生時代の物を推敲していた鮎沢に新しいものを生み出す力はなかった。そんな時、オーディションで川田沙月を見た。自分にも家族ができるかもしれないという思いで香川を訪ねた。父親は他にいると言われてしまった。
 それからの十年は地獄だった。小説のストックが底を付いた。漸く書き上がった作品の評価は散々だった。赤信号だとわかりながら何も考えられずそのまま渡っていた。

 鮎沢は霧の中で故郷の海岸を歩いていた。外国人にプレッツッルを差し出され食べる。本のことを話し、才能なんて枯渇しないのです。井戸水のように呼び水を入れポンプを押せばあふれ出てくるのですと言われる。鮎沢は自分の呼び水は彼女だと思った。

 藤子は訪ねてきた鮎沢に、沙月の父親は別にいると言い切った。鮎沢は帰っていく。ラムネの瓶を持った藤子は走り出す。海岸にいる鮎沢を見つけた。言いたかったことを言い合い、ラムネを飲んだ。鮎沢君は男の人しか愛せないというが、私はたくさん愛してもらった。恋愛感情は大きな愛の中の一つでしかない。藤子はずーと見ていた鮎沢のことはみんな知っている全部ひっくるめて私はあなたを愛してる。

 沙月と高田が香川に向かっている車の中で、二季草渉の新作が海外で映画化が発表されるニュースが流れた。家に着いた。家が変わっていた。壁は白く塗り直され屋根はオレンジ、庭には花が咲いていた。出迎えてくれたのは母と二季草渉だった。それから沙月の出生の真相を聞くことになった。

2022年2月11日金曜日

修学旅行は世界一周

 修学旅行は世界一周 吉田友和

 ゲーム好き、アニメ好きの「オタク」高校生の仁科カケルは、修学旅行として、一人で世界一生に出ることになった。普段引きごもりがちな彼にとって、初めての海外が世界一周とは、暴挙tともいえる大冒険だが、オンラインゲーム上の親友・BOBの誘いに乗ってしまった。

 BOBのお膳立てで始まった旅行、注意書きを送ってくれ、航空券を買ってどこへ行くかなど、カケルの要望を踏まえたうえで細かくプランを考えてくれた。世界一周のゴールはBOBの住むニューヨークになっている。

 旅行が始まると、隣の席になったオサナイサヨとともに行動する。彼女も世界一周航空券で最初の行き先はバンコクだった。

 インドのバラナシからは一人だ。同じホテルの日本人ムラカミマイに案内してもらう。ガンジス川を見る。死を待つ人の家でシャルマンさんと会い、マイの誕生会をする。シャルマンさんが亡くなった。葬式に出席、火葬場で焼き、灰をガンジスに流す。

 イスタンブール 日本に行きたい少女・泊まったホテルの娘さん・ヤスミンが案内してくれる。

 パリ 高校のフランス語の先生の妹さんの迎えで、先生の家に泊めていただく。先生の妹さんは15才・エマ、先生の家は宮殿のようだ。父母は世界を飛び回っているのでエマにはメイドさんのような人がついている。エマはアニメマニア。ジャパンフェスティバルに行く。エマのコスプレは注目された。
 彩世から連絡あり、パリで会うはずだったが、エマが貧血で倒れ救急車で運ばれ、会う時刻に行けなかった。

 ロンドン ユーロスター内でイギリス留学中の日本人と会う。ユーチューバー。動画を撮っていた。小鳥遊首里さん。たかなししゅりと読む。ナッシー。ユースホステルに泊まる。ドミトリー。同部屋は大道芸人だった。出身はペルー。ひいおじいさんは日本人だという。
タブレットが盗まれた。ナッシーにホームパーティに誘われる。タブレットが戻ってきた。ホテルの清掃員が捕まった。顔認証でロックを解除して自分の所有物であることを証明した。

 ニューヨーク BOBと会った。彩世だった。

 ゲームにログインし、BOBと話す。もう一度世界一周したいね。行ってみる。春休みなら時間とれるかな。承諾してしまった。
 

2022年2月10日木曜日

あらすじで読む名作歌舞伎50選

あらすじで読む名作歌舞伎50選 利根川裕

2022年2月9日水曜日

湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ⑤

 湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ⑤ 十三夜の巻 中島久枝

 プロローグ 仲居の蕗34才 ちょっとした一言から大事なことに気づく。情報を聞き集め真理にいたる。蕗は上手に隠している。如月庵の草花を育てるのは蕗の仕事。客間に飾られる花は蕗の丹精したものだ。
 蕗は椿の根元に小判が入った壺を埋めている。地面に砂をまき砂が乱れていないか毎日確認している。十年前、壺は女中をしていた店の隠居の隠し金だった。火事になり隠居を手代に預けたあと壺を掘り出し奪って逃げた。五十両あった。店は火事で焼けた。蕗は帰らず炊き出し場で、松に誘われ如月庵で働くようになった。

 姑の残した玉手箱 紅葉と梅乃が見つけた倒れ人が、宗庵の元で回復し如月庵で働くことになった。柏という。蕗について仕事を覚えることになった。
 布団屋・岡本屋の隠居夫婦が亡くなり三年あまり看病していたおかみのきみがぼんやりしてしまい如月庵に休みに来た。きみは姑の言っていた辰五郎という名前と、使い道のわからないお金があることが気掛かりだった。誰も辰五郎を知らなかった。きみから話を聞いた梅乃は辰五郎を探す。
 昔、岡本屋で女中をしていた亀が嫁いだ先の鳶の親方が辰五郎だった。四十年前、姑が富岡八幡宮の祭礼に行き、出会った亀夫婦の所に寄っている間に永代橋が落ちた。辰五郎に会わなければ命はなかったと盆暮れの挨拶が続いていた。十年前鳶の辰五郎が火事で焼けどを負い、仕事が出来なくなってから稲から金子をいただくようになった。という話しだった。稲は店で気を張って、亀のところでは気を休めていたようだ。
 きみは迷いが晴れたと晴れ晴れとして帰って行った。

 酢いかの災い 毎朝、紅葉は一心館道場に通う城山晴吾を見送るために掃除をしている。隣には11才の真鍋源太郎がいる。新しく石塚守之助が加わった。明解塾も一緒に行っている。源太郎の御徒組だった父が亡くなり、昨年、勘定奉行の叔父と養子縁組みをした。源太郎は立派になろうと頑張っていた。
 菓子屋のご用聞きの太一が金を猫ばばしたという理由で店を辞めさせられた。
 近所の子供相手のおばあさんが店番をしている駄菓子屋で、万引きが起こる。
 源太郎が体調を崩し休むようになった。守之助と喧嘩をしたようだ。
 道端に駄菓子が捨ててある。
 梅乃と紅葉は源太郎が心配で調べて見る。
 源太郎は守之助がお菓子をとるところを見、注意したところ源太郎の袂にも入っていた。守之助は源太郎の養父に言うぞ、養子の話しがご破算になるぞと脅され家来になることを強いられた。真鍋の父が怒り裏切られた気持ちになられることが怖かった。家来になって盗みは出来ないから棒で打たれ、出て行くことが出来なくなった。見舞いに行った紅葉と梅乃と晴吾に、私は卑怯でした。父と母に話します。と言った。
 紅葉と梅乃は守之助が万引きしたあと、問い詰める。守之助は他の塾に変わった。
 全てを父母に話した源太郎は、これからは帰されるなどと考えるな。ここがお前の家だ。自分に正直になれ。自分に恥じるような行為をしてはならないと諭された。源太郎は駄菓子屋のおばあさん、一心館の館長、明解塾塾長に詫びた。
 宇一郎も駄菓子屋のおばあさんに息子が迷惑をかけたと詫びをいれたらしい。

 鴻鵠の志 江戸で医者になるために勉強していた大名の御殿医の息子・慎太郎が、塾を辞めて国許に帰る迎えが来るまで如月庵で待つために泊まりに来る。慎太郎は家が医者だから医者になるというだけで特に成りたいわけでもないらしい。
 宗庵が慎太郎に手伝えと呼びに来る。食中毒の十人、酔って喧嘩し血だらけの二人、ぼやで火傷を負った三人、心臓が痛いと一人、宗庵と桂次郎と園だけでは手が足りない。医術をかじった慎太郎と紅葉と梅乃が手伝いに行く。二人は浴衣、襁褓、包帯の洗濯、水くみ、身体ふきと仕事をこなす。宗庵は慎太郎にこんな医者もいるんだよと言う。
 慎太郎は塾長に謝りもう一度勉強したいと言い出した。自分は物覚えが良いだけで医者としては何も出来ない、学んだこともどう役立てていいのか判らなかったと反省した。
 田辺塾に復学したした慎太郎は、たびたび宗庵の元で手伝いをしている。

 富士を仰ぐ村 室町後期、京が荒れ家を焼かれ楽師の主を失い、駿河に移り住んだ、源博雅の流れをくむ楽家の子孫・南藤右衛門と息子・奏太郎がやってきた。
 普段は、地元の神社や寺で雅楽を奉納している。熱田神宮で江戸の楽家の人・原家と一緒になり江戸へ誘われた。奏太郎が明後日、笙を奏で家長の許しがでれば推挙いただける。ということだった。
 奏太郎は指が動かなくなった。奏太郎は晴れがましいまぶしいものではない、暮らしの中にある雅楽を奏でたい暖かいきもちで笙を吹きたいと思うようになった。奏太郎は帰って行った。

 エピローグ 蕗は柏が気になって夜、眠れなくなった。柏が蕗の壺を堀起こした。逃げようとした柏を、杉次と桔梗が阻止した。
 柏は出て行った。金は隠居の孫に返した。
 

 

2022年2月7日月曜日

北の御番所反骨日録〈三〉蝉時雨

 北の御番所反骨日録〈三〉 蝉時雨 芝村凉也

 着任挨拶 裄沢広二郎と同僚の来合轟次郎が大奥の騒動に巻き込まれ傷を受け定町廻りの役目を休むに中たり、裄沢は「来合の怪我が治って原職に復帰するまでの短期間の代理」として裄沢は定町廻り、来合の持ち場を拝命した。
 亥太郎が裄沢に手札が欲しいと言ってきた。亥太郎に案内されて行ったのは隠れ淫売を商売にしている曖昧宿だった。亥太郎はまともに言えないところで銭を払わず女を抱き飲み食いしたと言いふらすと脅した。裄沢は亥太郎に縄を打て!と与十次に命令する。若い与十次が動けない。三吉が現れ取り押さえ、与十次のはっぱを掛ける。亥太郎を捕まえ、困ったことがあれば室町さんに相談しろ、俺は臨時の代役だからと言い置く。亥太郎をこのままにしておくと、牢を出た亥太郎によって娘たちに被害が及ぶと思った。
 三吉は北町奉行所で小者のまとめ役をやっていた。捕物の稽古指導を任され信頼を得た熟練の小者だった。やむにやまれぬ事情で奉行所内で盗みを働き奉行の情けで捕らわれてはいなかった。盗みを看破したのが裄沢だった。三吉は裄沢に恩を感じていた。裄沢の手伝いをしたいと言った。
 亥太郎は猪吉という名で赤坂で悪事を重ね死罪は免れないようだ。

 畑の死人 来合の指示で時々髪を整えてくれていた銀次が毎日来てくれる。
代官所と町奉行所の境界の畑で死体が見付かった。地主の角口の若旦那・正治だった。
 この辺りの畑は本百姓が土地を担保に借金し金を返せず丸ごと質屋の所有になった。質屋は田畑を所有しても活用が難しいので町家にしたいと代官所と町奉行所に願いがだされているところだった。入って来なくなる年貢とか、町家になったら流れていく人によってでる空き家とか町入用費の負担と礼金、裏金のおねだりなどいろいろ問題が生じていた。近くの大名家から火除地になっているので近くまで町家になっては困ると言われて二割を畑のままにすることで了承されていた。
 三吉が大名家の下屋敷用人が米相場の借金を払ったと言う話しを持ってきた。裄沢は大名家からの火除地の話しは、正治が用人に持って行ったはなしではなかったか。用人は入った金の正治の取り分を渡さず借金の払いに使ってしまい正治を殺すことになったのではないかと室町に話した。室町は証言を集め奉行に話し、目付が動いたようだ。用人は切腹した。
 質屋は面倒になり近隣の富農に売り渡たした。農地として残った。角口には室町が話した。
 裄沢は三吉に手札を渡した。

 怪盗 深川の材木問屋の金蔵に泥棒が侵入した。鍵を開けた形跡がない。小さな窓から入ったようだ。鉄柵が取れる。千両箱を盗まれていた。
 裄沢は三吉に、軽業師、力持ち、猿使いがいる見世物小屋を捜してもらった。鳥ノ山紅玉一座が見付かった。山王社で興行を打っているので山王社辺りを受け持ちの佐久間に詳しい調べを任せる。
 佐久間は一日目、無造作に岡っ引きに話し、二日目に行くと座頭、作家、裏方の男三人、軽業師三人、力持ち二人、猿回し十五人がいなくなっていた。裄沢は持って逃げていないかも知れない盗んだ金が見付かればいいがと思う。
 夜、裄沢の前に座頭が現れた。自分たちの邪魔をした裄沢を見届けようとしたらしい。怪我をさせ勤めにでられないようにしようとする座頭だったが、ちょうど歩く練習をする来合が来合わせ座頭は逃げた。
 来合と

 蝉時雨 裄沢は備前屋を通じて錦堂から内所事の相談を持ちかけられた。一人息子の治吉が突然羽目の外し方が度が過ぎるようになった理由を探って欲しいと言われた。
 治吉は手代の清二が、父親の隠し子であることを知り、清二に店を継がせようとしていると思い込んだ節があることがわかった。
 岡っ引きの伊助が治吉を錦堂に連れてきて、裄沢が治吉の誤解を解くことで話しが決まった。
 裄沢の足を引っ張りたい内与力古藤、同心佐久間、与力寺本、同心大竹、見延等が、集まって相談していた。裄沢が錦堂に行かれないように邪魔をして相談事を失敗させようとした。出かけようとしている裄沢を止め、古藤様の火急の用と呼び出す。古藤は二刻待たされた。現れた古藤の話しは至急ではないため、自分が行かなかったため重大事が起こっていたら覚悟せよと言い放って出かける。
 治吉は死んでいた。清二が付き合っている女中に手を出し、清二が向かってきた拍子に治吉は転んで頭を打った。清二と女中は逃げていた。
 裄沢は出処進退は奉行に委ねる。古藤は、奉行の小田切に、定町廻りを呼び出す程の用とは何だったのか。二刻も掛かる用とはなんだったのかと聞かれる。裄沢が行かなかったばかりに死人が出たことを聞く。即答出来ない古藤に長屋で大人しくしておれということになった。
 本当の所は、治吉が錦堂に帰ったのは、昨夜、事が起こったのは前日の夜だった。三吉から与力、同心の集まりの話しを聞いていた裄沢は、二人を逃がすための用意の時間稼ぎのため悪意の所業を利用したのだった。古藤は屋敷の留守居に廻され、裄沢は三日の謹慎になった。古藤に組した者は誰か調べるように。
 裄沢が帰ってきた。
  

2022年2月6日日曜日

風烈廻り与力青柳剣一郎 55 

風烈廻り与力青柳剣一郎 55 恩返し 小杉健治

 十五年前、一家心中を止めてくれた恩人を助けたい。と建具職人の茂助に懇願され男を調べ始めた。
 市兵衛は十五年前、狆を繁殖させていた。七年前、狆を買った大名家で急死し、信用を無くし廃業した。半年前に番頭だった男・格太郎が殺された。格太郎を殺してしまったと平助が首を吊った。市兵衛は息子・市太郎を探している。

 狆を買った大名は佐高家だった。七年前、何者かが奥方に毒を盛ろうとした菓子を狆が食べ死んだ。用人は毒死の事実を商人を使って隠蔽した。知っていた二人が強請り殺された。市兵衛は市太郎が仲間ではないかと捜していた。佐高家ではまたまた次期藩主に挙がりそうな若殿問題が起きていた。
 美濃屋の若旦那の子だといわれていたきよのお腹の子が佐高家の殿様の子らしい。きよの命が狙われる。剣一郎はきよを助ける。襲ってきたのは四人、そのうちの一人市太郎はきよを護った。

 茂助は離れ離れになっていた市兵衛夫婦を逢わせた。市太郎も戻ってくるだろう。
 きよは佐高家で子を産むことになった。

2022年2月5日土曜日

きりきり舞いのさようなら

 きりきり舞いのさようなら 諸田玲子

 十返舎一九、女房のえつ、娘の舞、舞の亭主で一九の弟子の今井尚武、舞と尚武の養子の丈吉、葛飾北斎の娘で居候の栄は火事で住むところを無くした。逃げる途中で、朝日稲荷の狐の置物を持った老婆と一緒になった。焼継屋の為助の母親だが、為助の居所がわからず一緒にいる。
 北斎の知っている空き家に落ち着く。仕事の無い尚武は、誰にも言わず、隠密同心の手伝いをしていた。挙動不審の尚武に舞が質問し、応対したことでやっと証拠を見つけ出した抜け荷の首領を捕まえ損なった。そして二軒長屋の隣の住人が抜け荷仲間であり盗人であることが判明した。盗賊仲間も捕まえた。差配をしていたつやも仲間だった。つやにはみんな世話になっていた。つやは逃げたが海で転覆したという情報が入った。本当につやかどうかは判らない。
 
 火事から一年経った。一九の葬儀が行われ、香典が集まる。香典の金で朝日稲荷の祠を元の場所に建てた。為助を探した。為助の息子が現れる。為助は亡くなっていた。息子も大火傷だった。為助の弟が見付かった。老婆・りんは引き取られた。一九は元気だ。稲荷の祠のために自分の葬儀をだしたのだった。


2022年2月4日金曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑧

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑧ 山本巧次
 〜ステイホームは江戸で〜
 
 東京でコロナが蔓延する。関口優佳は江戸にいる。
 
 子供が攫われ数日後に何事もなく戻ってくるという事件が続いている。岡っ引き・源七の息子・健太がいなくなる。健太も帰ってくる。健太の兄・栄一の記憶で犯人は捕まる。犯人に命じた男・萬吉に命令していた女房・廉は殺されていた。勾引かし事件が、殺人、そして信濃屋の跡継ぎ問題に繋がる。
 材木問屋・信濃屋の主人・道久の三才の孫捜しをしていた。先妻の弟・吉次郎と、従兄の子・嬉一が子供を連れて名乗りを挙げていた。廉も連れて行く子供を探していたのだった。
 廉の爪の中の血液検査から廉を殺した犯人は店のことを心配した信濃屋の大番頭だとわかった。
 優佳は子供二人と道久のDNA検査を、東京の宇田川に頼んだ。宇田川は優佳の持ち込んだあらゆる者のDNA検査をした。そして判った事は、子供二人と道久との親族関係は無い。子供一人は、吉見藩江戸詰勘定方・由木藤十郎であることだった。
 理詰めの問いで、大番頭は自白し、子供の一人は捨て子だったと白状し、もう一人の子供に対しては父上はどこ?との質問に由木の膝に手を置いたことで明白となった。
 ゆうは道久の後妻・佳と二人になり確かめる。道久の嘘だったことを。嘘の孫を仕立てた連中に孫などいないと放逐するつもりだった。ゆうは道久に会うが、道久は物事を考えられるような状態では無くなっていた。

 道久が亡くなったあと闕所になるだろう。佳は捨て子だった子供を育てることにしている。
 由木は藩のために三千両のために子供を出した。鵜飼伝三郎の口添えで三千両を融通してもらえた。鵜飼の本名は由木正臣。昭和二十年、先祖の話しを聞かされていた。藤三郎は先祖だった。
 

2022年2月3日木曜日

わが家は祇園の拝み屋さん 14

わが家は祇園の拝み屋さん 14 望月麻衣
 〜渓谷に散る紅葉と陰陽師の憂鬱〜

 秋深まる京都、桜井小春のところに藤原千歳が訪ねてきた。祖母・千賀子 と京都に住むことにした。千歳は小春と賀茂澪人の仲を承知でプロポーズする。澪人は動揺する。

 三善朔也は審神者頭・澪人の片腕として陰陽師組織に一員になった。

心霊スポットで実況動画配信をしている、面を付け、巫狐の格好をし、陰陽師・阿部晴明の生まれ変わりを名乗っている者たちが危険だと考えられた。
 天ケ瀬ダムで青龍を呼び出してしまう。彼等を探していた澪人たちは、若宮の手助けもあり青龍を静めた。巫狐の正体は水城静流だった。 小春の祖母・吉乃の知り合いの孫だった。
 
 澪人は、上賀茂の賀茂邸に暮らすことになった。
 
 学園の幼稚舎の敷地の四隅に霊符と塩が入った陶器が埋めてあった。

 

2022年2月2日水曜日

野村のイチロー論

野村のイチロー論 野村克也

 変わることを恐れない
 一目見て「ええ選手やな・・・」
 イチロー攻略法はあるか
 もしイチローがヤクルトに来ていたら
 持ってるいる男
 イチローが憧れた天才
 攻・走・守全て一流はイチローだけ
 イチローを認めなかった私
 中心なき組織は機能しない
 マスコミ軽視はファン軽視
 WBC で芽生えた変化
 チームが勝たなければ意味がない 

2022年2月1日火曜日

九代目長兵衛口入れ稼業〈三〉

 九代目長兵衛口入れ稼業〈三〉 陰の将軍、烏丸検校 小杉健治

 江戸で人材斡旋業を営む幡随院長兵衛。大前田栄五郎を勝五郎といって匿っている。
 代官手付けの筒井が引き渡せといってくる。長兵衛は断っている。
 筒井も奉行所の役人も手が出せないという烏丸左団次というのがいる。言い噂を聞かない。呉服屋から反物を騙し取った。旗本の名を借りて騙す。料理屋で暴れる。父親が家斉お気に入りの烏丸検校だから手が出せないという。捕まえても解き放ちになる。長兵衛は左団次の邪魔をする。
 長兵衛は左団次に会いに行く。悪者だと思えない。左団次の横に大江直二郎という侍がいた。
 勝五郎を出せと栄五郎が殺した丈八一家の二人が来る。長兵衛は左団次に勝五郎を匿って貰う。丈八一家の二人が殺される。
 幡随院に決まりかけていた護岸工事の請負が、改めてやり直すことになった。左団次の嫌がらせかと思った。
 左団次が悪さを仕掛けた、旗本、商家、札差、関係がないか調べ上げる。御納戸役の旗本が、献上品を横流しし、献上品を手に入れた商家から左団次たちが騙し取っていたことが判った。献上品は城に返された。
 烏丸検校も若い頃、無体な借金取り立てをしのし上がったと言われているが、噂を流したのは惣録を競う早川検校だった。烏丸検校を親の仇と狙う大江直二郎も、早川検校に育てられたが、親を殺したも同然の借金の取り立てをしたのも早川検校だった。
 丈八一家の二人を殺したのは、筒井だった。二人から勝五郎を渡すことで五十両受け取っていた。勝五郎が左団次に匿われ渡せなくなったことで金を返せと言われ殺していた。五十両は小普請支配に回っていた。護岸工事見直しを頼んでいた。長兵衛に見とがめられた筒井は切腹した。