2015年12月30日水曜日

拵屋銀次郎半畳記

拵屋銀次郎半畳記 無外流・雷がえし 上・下 門田泰明
 銀次郎は拵屋と呼ばれ、町人体だが、家禄五百石旗本桜伊家の嫡男だった。17才の時、書院番番士末席だった。大阪城在番になった父・桜伊元四郎時宗の不祥事のため、閉門になるが、曽祖父の代に家康公から頂戴した感状があるため、家屋、敷地供に減らされる事なく旗本五百石の身分と禄高は保証され、銀次郎の跡目相続も認められていた。
 亡くなった母の兄・和泉長門守兼行・旗本千五百石目付けより、老中から直接命令が出た。大阪、京都で大店を狙った火付け皆殺し、盗みが続発しているが一人も捕縛出来ていない五万五千両が奪われている。組織集団を探索し殲滅せよ。ということだった。
江戸でも巴屋が押し込みに合い付け火で燃えた。関連したように銀次郎の無二の親友・旅籠経営の長之助が殺された。剣客同心・千葉要一郎を調べていた岡っ引き寛七親分も殺される。千葉は銀次郎と同じような身の上だった。家が取り潰しになった時、千葉は千葉家に養子に入っていた。
 銀次郎が襲われる。目的は感状だった。千葉要一郎が首領だった。千葉を倒した時、命令を出す者が亡くなり、解体した。将軍だった。城の金蔵が空になりかけ金蔵を満たせと命令された。手段は任された。考えたのは千葉だった。動いたのは隠密草だった。
 長之助の父、大阪の香具師の大元締めが百人連れて長之助を手厚く葬った寺に礼を言いに来た。

2015年12月29日火曜日

お鳥見女房5

お鳥見女房5 巣立ち 諸田玲子
 ぎぎゅう 久之助は加納重五郎の従兄弟・久之助と綾の養父となる大御番組与力・永坂甚兵衛家からの帰り、近藤求馬に襲われた。もう一人の養子候補だった。甚兵衛は求馬を卑怯者だと言った。求馬を道場に誘う。
 珠世は恵以と綾を合わせた。
 巣立ち 久右衛門と恵以が出会い、足の革紐がひっかかった若鷹を助けようとする恵以と口論になった。二人は相手のことを知らない。水野家が米沢に領地替えになり和知も旅立つことになった。見送りに千住まで久右衛門が行く。恵以と顔を合わせわだかまりなく、和知を見送り、次左衛門と三人で矢島家に帰った。
 佳き日 久太郎と恵以は祝言をあげた。矢島家を仕切る珠世の従姉妹・登美が現れる。祝言を邪魔しようと御鳥見役見習いの妹・伊佐が現れるが、みんなの機転で何事も無く終わる。
 お犬騒ぎ 恵以は組屋敷に馴染めなかった。お犬索の子供が犬を苛めているのを見、怪我をした犬を取り上げ隠す。お犬索の子供たちが怪我をした犬を組屋敷に追い込む。
手負いの犬に誰も近づかない。恵以が水を飲ませ餌をやり首輪を掛けた。組屋敷内で恵以は栄えある者になった。お犬索が苛められていた犬をさがしている。源太夫に匿われた犬は稲垣家の物頭・岡田の役宅で子供を9匹産んだ。
 蛹のままで 小田原から源太夫の知り合いが、長崎に行く前に家を出た母を探しに来た。矢島家に居候する。母は半年前に亡くなっていた。息子に届く筈の無い手紙を毎月書き寺に残していた。賢次郎は藩命に背き異国へ行くかも知れない。
 安産祈願 多津は清土村の農夫・庄兵衛の離れで子供を産む。雪は多津が赤ちゃんに取られるような気がしていた。みんなが安産祈願を描いた絵馬を雪は男の子とぶつかり、川へ流してしまう。雪の母は雪を産み亡くなった。絵馬を奉納出来なかったことで、多津が亡くなるのではないかと心配する。珠世は雪にお産の手伝いを頼む。男の子が生まれ多門と名付けられた。ぶつかった男の子は川を探しまわり絵馬を見付け届けてくれた。
 剛の者 お鷹狩りの前日、鶴がみんな死んだ。久右衛門が昔、鶴を貸した亀戸村から廻してもらう事になった。久右衛門が頼みに行く。鶴は間に合った。久右衛門は亡くなった。

2015年12月28日月曜日

お鳥見女房4

お鳥見女房4 狐狸の恋 諸田玲子
 秋 君江が嫁いで矢島家に居ない。源太夫・多津夫婦も五人の子を連れて新居へ移っている。三巻がとんでいる。
 この母にして お鳥見役の久太郎は内密の役目を申し付けられた。鷹匠と鷹匠見習いの片柳村での実情を調べて知らせると言う任務だった。
 鷹匠たちの専横は目に余った。幼鷹に襲われそうになった子供のため鷹を打った親が縛め閉じ込められた。久太郎は解き放し、鷹匠の前で解き放しの願いを出す。同僚も7人の野回りも村人も続く。お構い無しになる。
 珠世は刈り取られる寸前の稲田に入り、稲を踏み荒らす若者をみた。従者もいる。鷹を飛び立て稲田を突き進もうとする。珠世は叱責した。若者は女だった。従者を連れて田畑に踏み込まなくてもいいでしょう。という。若者は畦道を行った。若者は老中水野越前守忠邦の鷹匠和知正太夫の娘・恵以だった。久太郎が断わった縁談相手だった。恵以の付き人・松井次左衛門は珠世の幼馴染みだった。
 久太郎は見習いが取れ、本役の鳥見役になった。珠世は恵以から鷹の尾鈴を貰った。
 悪たれ矢之吉 源太夫は稲垣家に仕官していた。源太郎は元服し嫡男として生活していた。源次郎は組屋敷の生活にうんざりしていた。矢之吉は源次郎たちと同じ農家の納屋で暮らしたことがあった。父親は身を持ち崩していた。源次郎は矢之吉に誘われる。火事場泥棒をしようとする矢之吉に背を向けた。探しに来た源太夫と源太郎に会う。久太郎と久之助もいる。
 久之助は一昨年久右衛門の形見という小袖を届けに来た娘・大番組与力加納重五郎の姪・綾と付き合っていた。
 狐狸の恋 馬庭念流栗林道場指南役・矢島久之助に綾の伯父・重五郎は加納家の親類の娘・旗本の側室・幾乃の身辺警護を頼んだ。怪しい人と思われたのは旗本の当主の弟だった。思い焦がれた者同士が生涯唯一夜の名残を惜しんでいた。弟は大名家に養子に行く事が決まっていた。幾乃は髪を下ろした。
綾は昔、久右衛門が隠密仕事で知り合った女の娘だった。二、三才の頃一緒に過ごしたことがあった。綾の母親に本気で惚れた。という。
 日盛りの道 君江は御徒目付・菅沼隼人と結婚した。このごろ隼人はお酒を飲んで帰ってくる。舅姑もいつもと違う。隼人が斬られて帰って来た時、白玉を持って実家に帰される。自分は余計者だったのだと思いながら君江は帰る。珠世に問われて話している間に、隼人が君江に扇子を託した事が分かり、君江は上役の上役、御目付けに扇子を届ける。礼をされ駕籠で送られて帰った。隼人は調べているうちに悪仲間に御目付け山内家の三男がいることに気がついた。菅沼の母と珠世の機転だった。捕り方が行く寸前だった。元道場の門弟だった。
 今ひとたび 水野越前守忠邦は老中を辞職、禄高五万石に減らされ隠居謹慎となった。久太郎は水野家の和知に会いに行った。水野が現れ、恵以を探す事を頼まれる。恵以が鷹を取り上げられると勘違いし鷹を連れて逃げ出していた。
次左衛門は鳥見役の家にいる恵以を屋敷に帰るよう説得してくれるよう珠世に頼みに来ていた。
 久太郎は初めて二人が会った所へ向かった。久太郎は恵以を抱きしめ二度と父御を困らせるな。拙者を心配させるな。という。恵以は屋敷に帰った。
 珠世は久太郎が決めた嫁なら誰であろうと喜んで迎えようと思った。
 別の顔 組屋敷の一軒の納屋で怪我の手当てを受けていた男が殺された。殺したのは稲垣家の新しく入った門番だった。殺された男も殺した男も押し込みの犯人だった。
 末黒の薄 久右衛門は組屋敷の前で捨て子を拾ってきた。母親が見付かった。いっしょに住んでいた浪人がいなくなり子供を育てられないと思って捨てたが、捨てきれなかった。浪人は藩から上意打ちを命じられ成し遂げて藩に帰っていた。久右衛門と久之助と阿佐は鷹を探すという口実で大名屋敷の中に入り、浪人だった男に会った。阿佐は私の事はお忘れください思いを込めて見つめた。阿佐は子供を連れ実家に帰った。
 綾は上意討ちの侍の話しを聞き、やはり自分の知っている久右衛門は十五年前に死んだのだと言い切り、久右衛門の昔の話を聞かなかった。
 菖蒲刀 久太郎は和知に、恵以を嫁に欲しいと申し込む、が断わられる。和知が襲われた。水野に怨みを持つ御鳥見役見習いだった。御徒目付の隼人と和知家家来・松井次左衛門が御鳥見役見習いの後見・寺田に会う。上役・内藤の顔を立て、寺田与五郎の養女となった恵以と結婚する事になった。
 久之助は綾と祝言を挙げ、二人で夫婦養子に行く事に決まった。

2015年12月27日日曜日

かってまま

かってまま 諸田玲子
 かげっぽち 伊夜 父親が旗本・成島家の嫡男の罪を被り牢死したため、成島家で育てられる。奈美江の産んだ娘・さいを自分の子として丈吉と育てる事になった。
 奈美枝 火事のどさくさに紛れて、修業僧・願哲と駆け落ちした。さいに珊瑚の簪を残す。
 だりむくれ 丈吉 7才のさいを旅をしながら屋敷や寺の襖絵を描いている。内藤新宿の喜兵衛を尋ねている間にさいを連れ去られるが、かやとさいの機転で返される。
 しわんぼう さい10 旗本成島家の要請で質屋の養女になっている。質屋を出、浪人・添田新右衛門と一緒に行く。
 添田新右衛門 従兄弟を成島家の嫡男に殺された。従兄弟の息子を育て揚げ、仇を討つために江戸に来た。お納戸組頭・成島城太郎を斬り、切腹した。成島家改易
 とうへんぼく さい14 掏摸のおせきと住んでいる。おせきの息子・周太郎は佐渡へ島流しになっている。おせきと岡っ引きの利平の仲を取り持ち居なくなる。
 おせきのとおころに島脱けした願哲が周太郎が死んだことを知らせに来た。
 かってまま おさい17 盗賊・鬼門喜兵衛の一味になっていた。隣の夫婦を護るためにおらくをを怒らせ家から出ないように仕向けた。
 みょうちき みょう 質屋・喜兵衛・盗賊鬼門喜兵衛の娘。願哲を助ける。
 さい 喜兵衛と一緒にみょうの前に現れる。
 喜兵衛と願哲は兄弟だった。願哲が奈美枝を連れて喜兵衛を頼った。喜兵衛は願哲に罪を着せ島送りにした。願哲は島抜けをし、奈美枝を探し、兄が盗賊であること、奈美枝を閉じこめ娘・みょうがいることを知った。願哲は兄を成敗するつもりだ。才にみょうを託し、喜兵衛を追った。
 けれん 十年後、さい30、引き手茶屋のお六と名乗っている。俵屋南北に人気作家になると世話を焼く。南北を娘が病気だと言い家に帰した日、片手の老人を殺し、吉原の女郎・みょうを身請けし、居なくなる。
十年前、願哲は喜兵衛を殺し損ね、願哲は殺された。片手の老人は喜兵衛だった。
 二十五年後、南北が、お六を題材にした芝居で当たった時、昔の反故にした紙を届けた老女の姉妹がいた。妹らしい女が珊瑚の簪を差していた。

2015年12月26日土曜日

剣客船頭13

剣客船頭13 みれん堀 稲葉稔
 沢村伝次郎は自分の船に乗った熱のある女・春のためにやくざ渡世の金次郎に十両を貸し、やくざの一家を潰し、助ける。金次郎は春と娘・君を連れ、やくざから足を洗うと大宮に帰る。
 千種の店近くで殺されていた五右衛門と五右衛門の友達・文四郎の家で見付けたおつやの死体。二人を殺した犯人を捜す。松田久蔵に頼まれた。伝次郎は自分にこの仕事は合ってると思う。犯人では無いと言われた文四郎を伝次郎は追い詰め、証拠を探り出す。
一度姿を見られるようにして長屋を出、見られないように戻り、見られないように出て行っていた。

2015年12月25日金曜日

浮世絵宗次日月抄

浮世絵宗次日月抄 命賭け候 門田泰明 
 妖し房 浮世絵師宗次が絵を描く予定で行った伏見屋の寮で内儀が殺されていた。伏見屋の先代の内儀の妹が旗本に嫁いでいた。伏見屋の先代は内儀の妹と関係を持ち子供が出来ていた。妹は死んでいた。三年前、伏見屋の主・善右衛門が倒れたころ旗本の息子・神崎善右衛門と入れ替わったようだ。宗次が暴き、お岡っ引き平造親分に告げる。寮の床下から伏見屋善右衛門の死体がでた。神崎家は取り潰し。
宗次は平造親分の女房が子供に乳を飲ませている所の絵を描く。
 舞の剣 旗本や大店に盗みに入り浮世絵を残し、皆殺しにして行く盗賊がいる。与力統括の大崎兵衛から探索を頼まれる。宗次の名を騙り、浮世絵を描いている者が居る事が分かる。次の狙いが分かった。料亭だった。宗次は中に張り込み、盗賊が入り込むと筆頭与力・飯田次五郎に知らせる。盗賊を叩きつぶす。
須田次五郎が男で一つで育てている娘の絵を描く。
 命賭け候 行き倒れの母娘を助けた。母親は死ぬ。娘・梅と宗次は暮らし始める。梅の身元を探って行くと、宗次の身元がわかった。だが、梅の身元は分からないまま、一度宗次の手元から連れ去られた梅が再び戻された。
宗次は 茶々(尾張・義直)→春(家光)→咲(尾張二代藩主・光友)→宗徳(宗次)である事を知る。宗次は梁伊対馬守隆房に預けられていた。
宗次の父は尾張藩二代藩主徳川光友、母は尾張藩付家老神坂家で養育された咲姫 家光の血を受け継いだ。家光は祖父に当たり、淀殿は曾祖母にあたる。

揚真流

2015年12月24日木曜日

素浪人半四郎百鬼夜行(5)

素浪人半四郎百鬼夜行(5) 夢告げの訣れ 芝村凉也
 誘う井戸 蓋をしても人を飲み込む井戸がある。聊異斎と捨吉と半四郎は立ち向かう。半四郎が連れていかれるのを、捨吉が聊異斎に身体は縛られても口は動くと言い、聊異斎が封じを解くため金剛経を反対に唱える。半四郎は刀を抜き、井戸の縁としめ縄を切る。みんなで井戸を埋め、更地にした。
 逢魔ケ辻 鎌鼬のように着物を切り裂かれる事件が起こる。何軒も起こり人が殺されるようになった。聊異斎は時間、場所、天気あらゆることから次に事件が起こる場所を割り出した。奉行所は多人数で張り込む。現れるが、逃げられる。誰にでも変化する事が分かった。もう一度割り出す。最後の機会と、半四郎が刀を抜く、半四郎対半四郎の戦いになった。斬り倒す。
 源内の軛 半四郎は火盗改に連れていかれる。田沼用人・井上寛司の声係りで助かる。しかし、田沼は三人を殺すつもりだ。龍穴を知ったからだそうだ。半四郎は聊異斎の住む家が何者かに襲われ、爆発する夢を見る。駆付けると家は跡形も無く燃えていた。二人はいなかった。松平定信側の者は二人が逃げるのを助けていた。二人が逃げた事を半四郎は知らない。

2015年12月23日水曜日

帳尻屋仕置(2)

帳尻屋仕置(2) 婆威し 坂岡真
 婆威しとは肥前で激しい夕立のこと
 婆威し 忠兵衛は流れて来る船で殺された金貸しの婆と若い島帰りの男の死体を発見する。騙りで金貸しの婆から全財産を巻き上げる者がいる。お金は油問屋蟇屋に集められ肥前平戸藩松浦家六万一千石の勘定奉行に渡り、賂に使われ、組頭から勘定奉行に目指すは江戸家老に出世した。蟇屋は平戸藩御用達になった。忠兵衛は蟇屋から三千両を盗み出し、分けて隠してあるお金を一ヶ所に集めさせてからから、やっつける。お金は奉行所の前に置いておいた。
 雨宿りの女 忠兵衛ははだしで雨宿りする女・おせいを助ける。対馬藩の朝鮮人参の抜け荷を調べていた幕府の隠密が証拠の書き付けをおせいに預けていた。忠兵衛は書き付けを手に入れ、おせいを助け出す。勘定奉行と御用商人をやっつけた後、口封じに忠兵衛を殺そうとしたお納戸役を殺した。
 殺しの代償 昔の忠兵衛と同じ手口の泥棒がいる。念仏小僧だ。念仏小僧が昔忠兵衛を裏切った仙次ではないかと調べていた。念仏小僧は盗みの他に娘を惨く殺された献残屋の主に頼まれて五人の侍を順に殺していた。見返りに盗みに入る家の情報を貰っていた。最後の旗本の息子の時、失敗する。忠兵衛は念仏小僧を助け出す。仙次を奉行所に密告したおつやだった。おつやは仙次は本当の悪になって大阪で盗みをしている。と言い残し上方に帰る。念仏小僧がし残した最後の旗本の息子を殺し、旗本を切腹、家は断絶に追い込む。

2015年12月22日火曜日

お鳥見女房2 螢の行方

お鳥見女房2 螢の行方 諸田玲子
 ちまき泥棒 多津が関口駒井町の栗橋道場で少年たちを教えている。秋はちまき泥棒が食べ過ぎてお腹を痛めたのを知り、内緒で薬を渡す。水晶の数珠を持ち逃げし仏壇屋を飛び出した丁稚のようだ。珠世は数珠代を払う。訴えは取り下げられたが本人は知らないまま逃げている。秋は一個の水晶玉を貰った。
 螢の行方 珠世は二十年会っていなかった幼馴染み・美弥と会う。珠世は美弥の駆け落ちの約束の文渡しをしていた。最後、美弥は来なかった。美弥は旗本の側室となり、次左衛門は大名の家来の養子になった。旗本の所領地へ行く美弥に何故来なかったのか尋ねた。次左衛門の文に間違いがあっても許す。と書いてあり何も無いことを信じていなかったから。と言った。
伴之助は無事と言う情報が入る。
 捨案山子 放生会の前に久右衛門は鰻屋の勘兵衛という男に会った。放生会で一緒に雀を放そうと約束したが来なかった。旗本の隠居・太田勘兵衛のようだ。役目を笠にきて阿漕な事をしたとの噂だ。水野忠邦に目を付けられ、家臣に殺されたようだ。
 緑の白菊 君江と多津と子供たちで菊見に出かける。君江は隼人を待っている間にもめ事に巻き込まれ茶屋の娘に伝言を頼まれる。行った先でお産が始まった。産婆を手伝う。赤ん坊は産まれたが、母親は死ぬ。茶店の娘と隼人が探して来てくれた。
家に伴之助の筆跡のような文が投げ込まれる。
 大凧、揚がれ 大凧を揚げている男と出会う。男は居なくなった子供を探して見付かるように名前入りの凧を揚げていた。男の子供は亡くなっていたが、認められないらしい。
 雛の微笑 珠世が祖母に贈られた雛人形を出す。祖母の婚家は小普請組頭だった。多津は沼津に行く決心をした。久太郎の結婚話があるようだ。老中水野のお声がかりで。当主が行方不明で今は止まっているらしい。
沼津藩主・水野忠義が亡くなった。鷹が襲い怪我から毒が入り三ヶ月後に亡くなった。鷹匠は自死した。伴之助の仕事は調べた地図を持ち帰るだけになった。明日出立という前夜多津が着き、街道は待ち伏せされている事を告げる。久次郎の味方女中を縛り、老爺を殺し、出立した。
 裸嫁 小十人組に嫁いだ幸江が裸嫁と言われたと婚家を飛び出してきた。持参金も無く花嫁支度も無く嫁ぐというのは熱心に望まれた証拠、褒め言葉だと言われる。松井家の奥様が籠を連ねて迎えに来る。二人目を懐妊した事を知らせ、籠で帰った。
久太郎は鷹狩りの時、水野忠邦の家来から、父親は沼津を出たと言われるた。
 風が来た道 珠世は親切にした掏摸に巾着を擦られた。伴之助からの文が入っていた。掏摸が捕まり珠世に返して欲しいという伝言があった。珠世はありがとうと伝えてという。
伴之助たち四人は杣人の案内で山越えをした。杣人を信じていいのか分からない。小屋を出たために追ってに見付かる。杣人に助けられ江戸に帰り着く。杣人は老中に仕えていた。珠世は伴之助に会う前に源太夫から伴之助が変わってしまったと教えられる。珠世は久右衛門もそうだったと話す。

2015年12月21日月曜日

お鳥見女房

お鳥見女房 諸田玲子
珠世40 御家人八十俵五人扶持、十八両の伝馬金を頂く鳥見役の矢島伴之助45の内儀
久太郎21 長男十人扶持伝馬金十八両を頂く見習い役
幸江23 珠世の長女、17才で百三十石の旗本小十人組に嫁いだ。息子・新太郎5
次男・久之助  隠居・久右衛門67
君江17才 珠世の次女
 千客万来 久右衛門を頼って浪人・石塚源太夫34が子供五人(源太郎10、里9 秋7 源次郎6 雪4)を連れて居候する。久次郎が道場で立ち合った娘・沢井多津を連れ帰る。多津は源太夫を仇と追っていた。珠世に敵討ちは預かると言われ、矢島家に居候する。
 石榴の絵馬 正月明け 源太夫の次男・源次郎が、吉原の元遊女・菊太夫に連れ去られる。見付けた時菊太夫は源次郎に抱かれて死んでいた。
伴之助に密命が下った。二月半ば沼津へ出立
 猫恋奔る 久保早苗36、同じ組屋敷に住む、三年前に夫を亡くしていた。早苗は組屋敷を出て、隠居生活をする相手を探しているようだった。久右衛門はその気になっていたが早苗は源太夫が希望だった。源太夫は断わり、早苗は王子村へ引っ越した。
 雨小僧 源太夫が連れてきた籐助が帰った後、お金が盗まれている事が分かった。籐助が雨小僧かと疑った。籐助はお金を返しにき、知り合いの蚊帳売りの話しをする。久次郎の友達・菅沼隼人に話す。捕まった雨小僧は蚊帳売りだった。籐助の盗みは珠世と源太夫しか知らない。源太夫は屋根の修理をした。
 幽霊坂の女 梅雨明け 三年前、火事で焼けた武家屋敷の養子・松原市之助が家督を継ぐ事になった。三年前から結婚が決まっていた市之助だったが、火事は市之助が女中に子ができ、女中を殺した時に起こしたものだった。市之助の許嫁・佐代が市之助を殺し、自分は井戸に身を投げるという事件が起こった。珠世は女中が佐代に乗り移り起こしたのだろうと思った。
伴之助の繋ぎ役の骸が見付かる。
 忍びよる影 源太夫に松前藩から仕官の話しがあった。多津に心を寄せる父親の弟子・南波与五郎が現れる。源太夫と多津は刀を交える。多津は父の気持ち自分の気持ちが判った。与五郎が手を出し源太夫に斬られる。多津は源太夫と松前に行く事にした。
 大鷹狩 久次郎は多津を思っていたが思いは適わなかった。次男でもあり、先が見えない焦りがあった。父親・伴之助の行方不明を知り、沼津へ行く。源太郎が伴之助の行方不明を知り、松前藩の仕官の話しを断わり沼津に行く。久太郎は大鷹狩で水野越前守忠邦の鷹を見、忠邦本人とも顔を合わす。獰猛な鷹だった。
年の暮れ一年が過ぎた。

2015年12月20日日曜日

ウェザ・リポート

ウェザ・リポート 見上げた空の色 宇江佐真理

2015年12月19日土曜日

風烈廻り与力青柳剣一郎(3)

風烈廻り与力青柳剣一郎(3) 八丁堀殺し 小杉健治
 与力が三人殺される。目的は一人、長崎屋の盗品買いを知り、強請りをしていた光岡征二郎だった。そのために元御家人、居合いの達人・葛城小平太を雇った。
 長崎屋惣右衛門が留守の夜に泥棒が入り十両盗まれた。伊助は、死にそうな女のため、お金が欲しかった。指物師の親方・英五郎は伊助を十日の期限をつけて逃がす。英五郎が捕まる。伊助のことは言わない。伊助は長崎屋の女将と与力光岡の関係を知ったと思われ命を狙われる。
 青柳剣一郎は、与力殺しの犯人と伊助を狙う者が同じ仲間と判り犯人を追い詰める。また、泥棒に殺されたと思われていた番頭を殺したのが女将だったことも判った。
 剣一郎の息子・剣之助は以前助けた娘・志乃と会った時、女中のおよねに、町方の与力では奥様(志乃の母親)は付き合いを許されないと言われた。

風烈廻り与力青柳剣一郎(2)

風烈廻り与力青柳剣一郎(2) 火盗殺し 小杉健治

2015年12月18日金曜日

Team・HK(2)

Team・HK(2) 殺人鬼の献立表 あさのあつこ
 佐伯美奈子が掃除に行った家に十数年前の知り合い・西園寺伊世子が住んでいた。暗く落ち込んだ雰囲気の家だった。夫が家出を繰り返し五年位帰っていないようだ。寝たきりで認知症ぎみの母親の看病をしていた。掃除をし、話しをし、少し明るくなり、前を向けるようになったようだ。母親が亡くなり、遠くへ越して行った。
 美奈子の娘・香音は伊世子の息子・淳也に明るくなるには掃除がいい。と母の清掃会社を進めた。二人は同学年だった。
 

2015年12月17日木曜日

夜逃げ若様捕物噺

夜逃げ若様捕物噺 夢千両すご腕始末 聖龍人
 文政五年 1822年
 下総三万五千石稲月藩次男・千太郎27は田安家ゆかりの由布姫19と祝言が決まった。祝言まで気ままに暮らしたいと夜逃げした。骨董屋・片倉屋に居候する。
 景徳鎮の謎 景徳鎮の壺に隠されていた手紙を脅しに使われていた夫婦を助け、文を燃やす。文は大奥に行く前に出された妻の友達の物だった。
 魔の夕景画 命を狙われている絵師が描いた絵を頼りに、辻斬りを捕まえる。旗本を隠居させる。
 猫は知っていた 商家の娘・公がお照が猫になったという。お照を探して欲しいのだ。お照を探している途中でお清の死体を見付ける。お清によってお照は呼び出されていた。お清の亭主がお照を呼び出すように言った男を強請り、お清は殺された。お照は公の父親の妾になっていた。
 思い出風車 片倉屋・治右衛門の義理母の連れ子・弟として育った・文次郎が殺された。ここのところ評判が良くない。文次郎の父親は盗賊の頭だった。八年前から盗賊の手下が店に入り込み、番頭になり店を仕切っていた。悪い商売をする番頭に従わなくなった文次郎は殺された。千太郎が暴く。
 稲月藩江戸家老の息子・佐原市之状が千太郎を探している。
 由布姫も志津を連れ町歩きをしている。

2015年12月16日水曜日

秋山久蔵御用控24

秋山久蔵御用控24 守り神 藤井邦夫
 邪魔者 南町奉行所定町廻り同心・神崎和馬が悪徳同心だという密告状が届いた。和馬の動きを見張る。和馬が通う一膳飯屋の娘・おこまを勾引かそうとする者たちにとって和馬は邪魔者だった。おこまは死んだ盗賊の娘だった。盗賊の隠し金が目当てだが娘は知らない。盗賊の仲間は捕まる。
 人違い 三千石の旗本の若様8が勾引かされた。二百両を持ち出かけたがぐるぐる廻って帰ってきた。一年前、若様と間違って勾引かされた家来の子供がお金を用意出来なくて亡くなっていた。殿様にお金を貸して欲しいと頼んだが断わられた子供の親が、若様を勾引かしていた。息子に詫びて欲しいと頼んだが逆恨みだと言われ犯人だと解ってしまい斬られた。若殿は帰って来た。家来は斬られ、命は助かったが死んだ事にし犯人死亡でけりをつけた。
 守り神 博打打ちの男が殺された。大店の旦那や若旦那を賭場に誘い遊ばせ、博打にどっぷり漬からせて金を吸い取るような男だった。五十両の借金を作ってしまった若旦那の母親が犯人だった。十五年前、夫が亡くなった時、再婚しなさいと離縁されていた。母親は離縁されてもずーと息子を見守っていた。夫を殺したのは自分だという。酒が入ると暴れる男を突き飛ばし、頭を打ち死んだのだ。昔のことは証拠がない、今回は江戸十里四方払いになった。
 腐れ縁 仲居をし、客からお金を借り、お金を手にすると手込めにされそうになったと騒ぎ出す。そんな手口で詐欺をする女・おゆうが弥平次の店・笹舟にきた。後ろに二千石の旗本の次男・黒崎裕次郎がいることが判明。おゆうがつけられている事を知った黒崎はおゆうを殺す。秋山久蔵は黒崎主水に掛け合い、勘当された裕次郎を斬る。

2015年12月15日火曜日

幻影の天守閣

幻影の天守閣 上田秀人
 工藤家は元四百石の知行地を持つ旗本だった。父の代で百石になりお目見え以下になった。 
 工藤小源太25は小普請から御天守番になった。初めての宿直の日にくせ者と出会い、三人を斬る。自宅待機になる。
 御留守居北野薩摩守忠則から天守台を狙った理由と狙った者の正体を調べることを頼まれる。小源太は命を狙われる。
懐妊した側室・お満流の方の代参時にくせ者から守ったことで五十石の加増を受け、御広敷添番になった。
 小源太は酒井雅楽守が宮将軍を立てるためにお満流の方の命を狙っていることを突き止め、酒井家分家伊勢崎藩酒井家下屋敷を潰す。大奥に忍び込んでいた紀州家玉込め忍を殺す。紀州藩家老は駿河大納言忠長の息子・新之助を次期将軍に押すが出来ない事と諭され紀州へ帰る。
 五代将軍は綱吉となった。家綱が亡くなると、工藤小源太は円明院様(お満流の方)付となり五十石加増、お目見え格になる。桜田御用屋敷に移る。円明院と姫は襲われ続けた。北野薩摩守が引退する事になり助けてやれなくなるので、娘・佐代姫8才が死亡、半年後円明院30才病死とされ、工藤小源太33の嫁となった。
 四百石小普請組、妻と三人の子供と穏やかに暮らした。
   
無住心剣術 流素 針ケ谷夕雲 相抜け 馬里谷円四郎

2015年12月14日月曜日

ぜえろく武士道覚書

ぜえろく武士道覚書 打ちて候上・下 門田泰明
 松平政宗は江戸へ行き、早苗の遺骨を高柳家の墓に納めた。
 堀田備中守・徳川光圀・杉野河内守・家綱にも会う。柳生分家宗重にも会う。生きていたのだ。松平政宗は命を狙われ続ける。政宗が邪魔だという。
 襲い来るのが、大和打滝一族と分かり、奈良へ行く。松坂の地で打滝一族の頭、柳生分家宗重と対戦し、宗重は死に、打滝一族は大和に帰った。
 打滝一族とは本能寺の変の後、伊賀越えは伊賀の手を借りた事になっているが、本当は打滝一族が道案内に立った。松坂の地で家康の家来によって皆殺しになった。それを知った家康は松坂に寺を建てた。ということになっている。打滝一族の徳川への仕返しだった。その前に立ちはだかったのが政宗だった。

2015年12月13日日曜日

口入れ屋用心棒32

口入れ屋用心棒32 三人田の怪 鈴木英治
 富士太郎を勾引かした犯人が、中指が人さし指より短いという特徴により徒目付け・山平伊太夫と分かるが、富士太郎が助け出された日に殺されていた。
 山平を殺した者、黒幕を探す。樺山家に泥棒が入ったことで、富士太郎は父の書き付けを探す。十年前の北国米汚職事件の真実を書いた帳面が見付かった。目付・安芸島伊豆守が大金を貰い、主犯を助け商人に責任を負わせ全て死罪にしたというものだった。
 山平を徒目付にし引っぱり上げた目付・黒崎欣之丞と安芸島が、次の大阪町奉行の候補に上がっていた。黒崎は安芸島を落とすため富士太郎の父親の筆跡を真似、書類を作っていた。筆屋も殺されていた。黒崎が犯人の証拠が無い。
 直之進は命を狙われている鎌幸の用心棒をしていた。鎌幸は黒崎の家来が三人田の刀を盗み持ち主を殺した所を見ていた。三人田の刀の偽物を作る。鎌幸は襲われ偽物の刀を奪われる。黒崎は偽物と分かるが、大阪町奉行になるために遠藤信濃守に贈ろうとする。次の間に直之進と富士太郎と珠吉と鎌幸が控え、贋の刀を持っていることで、遠藤の前で全てを暴き、黒崎を捕まえた。黒崎の家人・伝平が安芸島を殺そうとした時、倉田佐之助が捕まえた。

口入れ屋用心棒31

口入れ屋用心棒31 徒目付の指 鈴木英治
 樺山富士太郎が勾引かされる。
 父親の残した書類の在り処を訊ねられ拷問を受ける。
 湯瀬直之進と珠吉によって救い出される。


2015年12月12日土曜日

吉原裏同心(二十三)

吉原裏同心(二十三) 狐舞 佐伯泰英

2015年12月11日金曜日

入り婿侍商い帖 〈五)

入り婿侍商い帖(五) 関宿御用達2 千野隆司
 今年は豊作で米がだぶつきそうだ。米を少しでも高く売れるように、新米番船と銘打って新米を運ぶ船の競争をすることになった。六藩六船での戦いになる。
 角次郎は関宿藩木村屋の八千代丸に乗る。慣れた水主が行方不明になった。角次郎も船の帆の張り方向きなど練習する。
 始まってからもいろんな妨害があり離脱する船、遅れる船がある中、大黒屋の八千代丸は二位になった。
 一位になった店は新米が四倍の値段で売れた。一位には及ばないが大黒屋は五割増しで売れた。
 十月中旬おまきは男の子を出産する。

2015年12月10日木曜日

口入れ屋おふく

口入れ屋おふく 昨日みた夢 宇江佐真理
 口入れ屋「きまり屋」おふくの伯父・芳蔵と父友蔵45がやっている。二人は双子。芳蔵 おとみ夫婦、長男・辰蔵25は刀剣商に奉公。次男・彦蔵20がいる。おふくの母・おとよは亡くなった。
 慶長笹書大判 おふくは女中に入った八百屋で慶長大判を使ってしまおうと言う夫婦の会話を聞く。岡っ引きの権蔵に言う。八百屋の前で行き倒れになった侍姿の中間の持ち物だった。
 粒々辛苦 箸屋の主が伊勢参りに行き、女将は実家に帰っている。隠居の世話をしているおふく。箸屋の仕事人が辞めてしまう。残った者で箸を作るが売り物にはならない。主人が帰って来て立て直す。隠居さんがおふくに先代が作った箸をくれる。
 座頭の気持ち 診療所を開いている座頭・福市の内儀が出産のため実家に帰る。おふくは女中にはいる。一ヶ月余り働く。福市は代金を払わない。検校に訴える。福市は位を剥奪される。
 名医 近所の医者の所へ女中に行く。藪医者だと思っていたが患者に最後まで寄り添う医者だった。
 三日月 何の病気か分からない我が儘な娘の女中に行く。娘と言っても船宿に嫁いだが病気になり帰ってきていた。娘は死ぬ。買い物に出かけた先で、五年前おふくを置いていなくなったおふくの夫・勇次に会う。おふくと所帯を持つ前に結婚していた女がいたのだ。別れていたのでおふくと一緒になったが、女が病気になり勇次は女の所へ行った。子供がいた。
 昨日みた夢 八丁堀の同心の所へ女中に行く。同心の嫁は百姓の出ということで女中扱いだった。優しかった隠居が亡くなり、嫁はおふくと一緒に家を出、津軽に帰った。
勇次にやり直さないかと言われる。おふくは、五年間ケリがつけられなかったが、壊れた物は元には戻らない。と思う。
 

2015年12月9日水曜日

弥勒シリーズ6

地に巣くう 弥勒シリーズ6 あさのあつこ
 木暮信次郎が、島流し先から二十年ぶりに帰って来た徳助に父親と間違えられて命を狙われ、徳助は誰かに殺された。信次郎は狙われる前、料亭でしびれ薬を飲まされていた。
 二十年前、徳助を捕まえたのは信次郎の父・右衛門だった。遠野屋・清之介は信次郎が父親の過去の悪の部分を暴いていくのをみる。
 右衛門が残した書き付けを調べ、大名と商家と右衛門が抜け荷をしていたことがわかった。二十年前、船頭が抜け荷を知り、強請りにきた。船頭を殺すように徳助を操り、捕まえたのが右衛門だった。島から帰り右衛門を怨み、信次郎を殺そうとした徳助を殺したのは娘・料亭の女将。抜け荷をしていた商家も代替わりしてが、先代が生活を保護した料亭の女将と繋がっていた。女将は父親を殺したことに耐えられず、首を斬った。商家の主は自分の店を燃やし、夫婦で焼け死んだように見せかけ大名家に逃げ込んだ。料亭の女将の死を目の当たりにし、気がふれた。

2015年12月8日火曜日

ぜえろく武士道覚書

ぜえろく武士道覚書 一閃なり(下) 門田泰明
 松平政宗は紅葉屋敷に忍び込んだ者により毒の付いた刃で斬られ怪我をする。気が付いた時には所司代の命令で千秋や家人諸共雪山塾に移っていた。
 後水尾政仁法皇に会った後、東福門院・和子に会う。御所の母と思って欲しいと言い、父・秀忠からもらった刀・三日月宗近を政宗に渡す。
 女狐の雷造一味の押し込みを見付け倒す。一味の首領格が村山寅太郎だった。
 高柳早苗と江戸へ行こうとしたが、柳生宗重が現れ京に帰れと言う。早苗は宗重から政宗が親王であることを教えられる。宗重との戦いにより、政宗は怪我をし京に帰ろうとする。早苗は宗重に付いている楓と戦い相打ちで二人とも死ぬ。政宗は傷心で京に帰り、倒れ込む。胡蝶へ行くが誰もいなかった。千秋たちは雪山塾から紅葉屋敷に帰っていた。
 政宗は宗重と戦い二人とも倒れる。

2015年12月7日月曜日

京都鷹ヶ峰御薬園日録2

京都鷹ヶ峰御薬園日録2 師走の扶持 澤田瞳子
 糸瓜の水 常房総三州で採集し、江戸で分類し記録し標本を作っていた。
元岡真葛は延島杳山と小石川御薬園に行く。真葛は急病人を芥川御薬園に連れて行った。岡田御薬園の荒子の母親だった。必要な薬草を出してもらい飲ませた。母親は痛みが取れでて行った。養生所の門前で倒れ目を覚まさない。何を飲ませたかと役人が来た。真葛は養生所に行く途中で甘草を見付けた。水を飲ませ吐かせ、肉桂皮を煎じ飲ませる。母親は息子がいる薬園ではなく仲の悪い薬園で治療を受け治るのが申し訳なく、雑草でも食べ腹痛でも起こせば申し訳が立つと思い、雑草を食べた。それが甘草だったので大事になってしまった。
 瘡守 真葛は蘭山に五十年仕えた喜太郎と京都に帰って来ていた。東海道宮宿で、梅毒のため婚家を追い出されそうな佐和と出会う。夫・伊兵衛は佐和を離縁し名古屋で治療を受けられるようにしようと思っていた。真葛は効き目の激しい劇薬を使わず、煎じ薬と洗い薬を教え、千鳥屋が瘡病みの店と知れても良いではないかという。真葛は二人の遠縁になる医者にも自分の知っている事を伝えておこうと思った。
 終の小庭 喜太郎は娘夫婦と暮らす事になっている。娘は親戚に預けほとんど顔を出さずにきたため、喜太郎が来るのをを嫌がっている。と思っている。大津に、辰之助と又七が迎えに来ていた。喜太郎の孫・お栄が顔も知らないのに祖父を迎えに来ていた。娘夫婦は儲け話しに騙され三十両を払わなければならない所に追い込まれていた。が、買った土地代の証文と言うが本当の土地がある訳でも無し、喜太郎は証文を破いてしまう。娘の家の狭い庭に、置き土産の薬草が植えられていた。珍しい物もあった。
 撫子ひともと 匡の妻・初音が縁談をもってくる。真葛の元に蓮という少女がくる。妊娠しているという。相手は真葛の縁談相手・小笹玄四郎だった。玄四郎に貰ったと言う薬は堕胎薬だった。真葛は見合いをする。蓮が言うような人には見えない。真葛は蓮に会った。玄四郎の縁談を潰したかったから、妊娠していると言ったのですね。玄四郎を好きならば丈夫な身体を作り、あの方に相応しい女子になるように。という。
 ふたおもて 亀甲屋の当主・宗平は元加賀藩藩医だった。加賀でお世話になった、蔭山慍卿の妻・久を見付け京に連れてきていた。慍卿は旅の途中で亡くなり、久は飯盛女になっていた。久を連れてきたが、世や人を憎む頑なな人になっていた。宗平は久に瘡の王を飲まされ気を失う。久はお金を持って逃げた。
 師走の扶持 家令・田倉が真葛には叔父にあたる、母の弟・弾正少弼・棚倉祐光が一ヶ月咳病で寝込んでいるので往診に来てもらえないか。と言ってきた。真葛である事を隠して行った。当主・静晟は伏見家の二才の子を養子にする話を進めている。祐光の妻・滋野は自分の弟の子供を養子にしようとしている。棚倉家はお金に困り商家の滋野の実家に融通してもらっていた。祐光はずるずると仮病を使い、滋野の話しが進まないようにしていた。
 真葛の祖父・静晟は真葛の父・玄已の行方不明を死とは考えられず、刊行された蘭学書を片っ端から取り寄せ玄已が編者ではないかと探し続けている。真葛を旧弊な公家の娘に育てる事なく、医術を身につけられるよう、放逐された訳では無く、御薬園の娘として生活できるよう考えた温情だったことがわかった。真葛は二十年、静晟がため込んだ蘭学書を買い取る事にした。そして味噌も米も止めてもらう。まだ、静晟が本を買うようなら節季ごとに買い取ろうと思った。結構な金額になった。

2015年12月6日日曜日

京都鷹ヶ峰御薬園日録

京都鷹ヶ峰御薬園日録 ふたり女房 澤田瞳子
 元岡真葛23 半家・棚倉家当主従四位下佐兵衛佐・棚倉静晟の娘・倫子と医師・元岡玄已の娘。静晟に許されず医院を開院したが、真葛が三才の時倫子が死亡、玄已は真葛を藤林信太夫に預け長崎に行った。連絡が無いまま時が過ぎた。真葛五才の年棚倉家に連絡、年に一度米一俵と味噌一樽送られてくるようになった。薬草園で育ち、薬草、生薬の実学を吸収し、本草学、本道、外科、産科、児科、鍼灸の教えを受けた。真葛十四才で養父母を失う。そのまま藤林家の懸人として公儀御薬園で過ごす。
 藤岡匡 真葛十三才の時藤林信太夫の養子になる。藤林家六代を継いだ。匡21才 妻・初枝19才 息子・辰之助半年。一年後信太夫死亡52才、二月後信太夫の妻・民死亡
 人待ちの冬 棚倉の平侍・平馬が訪ねてくる。薬種屋・成田屋に奉公する娘・お雪に弟が会いに行っても会わせてもらえない調べてほしい。ということだった。成田屋は養子を迎え代替わりしてから薬の質が落ちたと取り引きを止めた店だった。成田屋から出てきた先代の娘・お香津の後をつけ、元日草(福寿草)を取りに来ると言って帰るのを見た。真葛は二条衣棚の薬種屋・亀甲屋の惣領息子定次郎に成田屋の事を聞く。もうすぐ鷹ヶ峰というところで慌てて引き返しす。平馬を成田屋に呼び、定次郎を連れ薬を持ち、成田屋に行く。遅かった。成田屋は主を含め7人が亡くなり、2人は真葛の手当てで助かった。お雪とお香津が昼餉に毒を入れていた。お香津は夫の粗悪品を売る商売を許せなかった。お雪と香津は捕まった。
 春愁悲仏 延島杳山28と出会う。本草学者・小野蘭山の愛弟子で蘭山が江戸へ行く時に一緒にいっていた。真葛の患者がこの頃来ないので見に来たのだが、患者は辻説法で、三尺の観音様を削って頂く削り片を飲むと痛みが取れると愛飲していた。真葛は萎れて帰る。杳山が欠片を調べると、観音様は降香という檀木で出来ていた。生薬として珍重され国内では採取されないため非常に高価な香木だった。
 観音様を彫った弥之助は加賀の海岸で拾った流木で作った。寺の下働きをしていた以蔵に騙され寺の本尊とそっくりの観音様を彫った。出来上がる頃、偽物を拵え本尊を売り飛ばそうとしていると訴えられた。弥之助は捕まり隠岐島へ15年流された。帰ってから五年弥之助は観音様を持っていなくなった以蔵を探していた。以蔵は説法僧になって観音様を削ってお金にしていた。以蔵は追いかけられ鴨川に逃げ溺れて亡くなった。
 弥之助は観音様の中をくり貫き杳山に香木の破片を渡し、観音様を背折って加賀に帰った。杳山は香木を真葛に渡した。
 為朝さま御宿 痘瘡時の痘瘡除けに坂田木綿を寝巻きにすると重くならないと言うようになった。
 医師にもう駄目と言われた子供が坂田木綿の寝巻着を着て治ったという。真葛が行った先の三男が治った子だった。医師は信太夫だった。今回は次男が痘瘡だが亡くなった。
 三男も亡くなっていた。助かったのは乳母の子供だった。母親が間違えたのを訂正出来ないまま八年が経った。代わったことを信太夫は知っていた。坂田木綿が痘瘡除けに使われ収入を得ていた。若き当主・実勲はこのまま自分の弟としていくという。
 二人女房 真葛は武家の夫婦と知り合う。気性が激しい妻と養子に入って一年の夫・高浜広之進夫婦。江戸から京都に来たばかりだった。が広之進には京に三年間放ったらかしにした妻・香がいた。香は目が不自由になり寺の御布施屋にいた。広之進は香を見にくる。出会ってしまう。また旅に出るという広之進にもう待たないから好きな所に行けと言う香。広之進は留守居役に致仕するという。城代の許可をもらうために国許に行った。妻も一緒に。匡はたぶん妻女が広之進の致仕を諌めるだろうという。
 初雪の坂 近所の寺の床下で生活している孤児・小吉が僧・範円を殺して逃げた。範円が毒芹で商家の隠居を殺した罪を小吉に擦りつけるため、捕まえて食事を与えていなかった。小吉は倉から逃げて範円を殺し捕まった。小吉の家は叡山に紙を納める大店・永倉屋だった。七年前に範円は永倉屋から三百両を借り返せないから火をつけた。小吉は範円の借用書を両親から受け取り逃げていた。家族な亡くなり小吉は範円を探していた。大事に隠していた借用書を持って匡は奉行所に行った。
 粥杖打ち 真葛は蘭山から房州、総州での採集に一緒に行かないかと誘われた。匡は反対する。断わりの手紙を書く。
 書肆・佐野屋の娘・お竹は医者になりたかった。誰も弟子にしてくれない。ために医者の弟子に近づいた。医者の弟子は野心家で典侍に取り入ろうとお竹に近づき子が出来た。弟子は姿をくらました。お竹は伏見宮様の子と言って大騒ぎになった。子供を生んだ後、山本亡羊がお竹を弟子にすることにした。
 真葛はなんの不自由なく学問を授けられた自分を省み、蘭山の旅に同行することにした。

2015年12月5日土曜日

道具侍隠密帳(三)

道具侍隠密帳(三) 獣の涙 早見俊
 能登川清兵衛は木暮十四郎と出会う。十四郎は御家人大下道場の師範代をしている。大下道場の門弟たちは、京塚長門守に騙され、火付けの犯人にされそうになる。屋敷で虎や熊、大蛇や鰐を飼う京塚は人を獣のエサにしている。清兵衛は熊の小屋にほり込まれる。
 大下道場の門下生を付け火の犯人にしようとしている時、町奉行所が出張る。逃げた京塚を追いかけ屋敷に行った清兵衛は、峰助が作った戦車で乗り込む。京塚は鰐のいる堀にはまる。
 大下が亡くなり十四郎は大下の娘・由紀と祝言をあげ道場を継ぐ事になった。

2015年12月4日金曜日

帳尻屋仕置(一)

帳尻屋仕置(一) 土風 坂岡真
 帳尻屋始末は琴引又四郎が中心で、仕置は口入れ屋「蛙屋」忠兵衛が中心か。
 入札御免 忠兵衛は三百人の侍を集める仕事を請け合う。出会った元御家人・浜崎伝十郎のおかげで三百人を集められた。別の口入れ屋山吹屋にみんな持っていかれてしまう。
 浜崎が殺される。浜崎が小普請世話役だった時、小普請組頭・柏木の命令で小普請金を使い、両替商の指南で米相場等をやらされ儲けた金を出世のために使い、柏木は小普請支配になっていた。浜崎は義父のため柏木を強請り十両を手に入れる。柏木の殺し屋になっていた義弟に殺される。忠兵衛は義弟と柏木を殺し、帳尻を合わせた。
 三百人の侍は帰って来た。忠兵衛の店から仕事に行った。
 なぐられ屋おぎん 御用金五千両が盗まれた。雨蛙の達五郎の仕業だ。勘定組頭・荒磯と同心・鶴田が情報を流していた。盗んだ金を達五郎の昔の仲間・道哲に盗まれていた。道哲は殺される。忠兵衛は達五郎と鶴田と荒磯を罠にかけ捕まえる。道哲の娘おぎんが持っていたお守りから五千両の隠し場所が分かり、お金も戻る。
 筏師の娘 忠兵衛の女房・おぶんは筏師の元締め・重蔵の娘だ。材木を独占しようとする材木問屋と儲けの上前を刎ねようとする作事奉行に楯突き、囲い込みを承知しなかったため重蔵は殺された。忠兵衛は囲い込まれた材木を大川に流しす。材木問屋の番頭は捕まり主と奉行は殺される。
 元盗っ人の忠兵衛は北町奉行所内与力・長岡玄蕃にこき使われていた。これが最後だといわれた。

2015年12月3日木曜日

私の記憶が消えないうちに

私の記憶が消えないうちに 吉田日出子

2015年12月2日水曜日

出世侍(一)

出世侍(一) 千野隆司
 藤吉18は上州新田郡長船村の名主甚兵衛の家に下男奉公していた。雑用、馬の世話、米作り、建物の営繕、荷運び、荷船の船頭役なんでもこなした。
 甚兵衛の娘おあきに文字を習った。おあきがならず者に襲われたことから自己流で剣の修業のようなことも始めた。
 利根川が氾濫しそうになった時、隣村の農民を説得し手伝いを頼み、手伝いの男が川に落ちたのを助けた。居合わせた領主・旗本八百石御鉄砲箪笥奉行永穗忠左衛門に付いて江戸へ出る事になった。
 江戸で若様・忠太郎に付いて学問所へ行き、庭で講義を聴く許可をもらった。忠左衛門に遺恨がある兄弟が馬で忠太郎を攫った時、そばにいた人の馬を借り追いかけ、忠太郎を救い出す。若党に取り立てられる。二本の錆びた刀をもらった。
 殿様の鉄砲箪笥奉行の仕事中、二挺の鉄砲が無くなる。夜の間に27挺の鉄砲が25挺になていた。このままでは切腹、家は御取り潰しなる。藤吉は用人見習いと怪しい人物を探し出し、商家に捕縛にいくが、鉄砲が見付からない。藤吉は井戸につるしてある鉄砲を見付ける。
 藤吉は中小姓になる。川端藤吉と名乗った。
 

2015年12月1日火曜日

禁裏付雅帳(一)

禁裏付雅帳(一) 政争 上田秀人
 東城鷹矢26五百石・使番だ。五畿内十国の巡検使に任命される。何の連絡も無いまま五畿内十国巡検使を取り消される。また呼び出しがあり公儀御領巡検使に命じられる。公家の弱みを見付けるという密命を受けた。
 京に出かけるが桑名と山城で命を狙われ、早々に江戸へ帰る。京都所司代戸田稲葉守忠寛が松平定信の介入を嫌い定信の命令でやって来る鷹矢を嫌ったのだ。戸田は田沼の
引きで所司代になったのだった。
 江戸に帰り、報告をした。後、禁裏付に任命される。
 

2015年11月30日月曜日

よい豊

よい豊 梶よう子
 安政五年 1858年 九月六日 初代歌川広重没 62才
 文久元年 1861年 三月五日 歌川国芳没 65才
 元治元年 1864年 十二月十五日 三代歌川豊国(初代国貞)没 79才
  
 清太郎・三代豊国の娘婿・二代国貞は三代豊国は何も言い残さず、亡くなり、弟弟子にすごいのがいるため四代を継ぐと言い切れない。明治になってしまう。豊国を名乗るが卒中で右手が利かなくなる。印刷機が入り、手摺りや彫師がいなくなる。

2015年11月29日日曜日

風の市兵衛16

風の市兵衛16 秋しぐれ 辻堂魁
 唐木市兵衛は御徒組旗本竹崎伊之助の百両の借金返済をどうするか相談される。養子の伊之助は妾に使った借金を家とは別で考えているらしい。伊之助は両国の無頼の徒・観音の吉五郎と杯を交わした仲だ。市兵衛は札差し・橋本屋に利子を年6分で計算し直し、遊び人の三男・順吉に御家人との養子話しを持って行く。
 市兵衛は、札差し・橋本屋から、順吉の馴染みの茶屋の茶汲み女・お秀のお腹に子供ができ、元相撲取りの父親・鬼一がお金を要求しているようだから話しを付けるように頼まれる。
 市兵衛はお秀と鬼一に会い話しを聴く。鬼一は15年前、観音の吉五郎の父親たちに命を狙われた。突いた拍子に川にはまり襲った方が亡くなっていた。鬼一は江戸所払いになっていたが、妻と娘に会いに帰ってきたのだった。
 尾張家で鬼一は関脇又右衛門と最後の相撲をとった。吉五郎が仇討ちだと鬼一を殺しに来る。市兵衛は駆け付け、その場にいた竹崎伊之助を斬る。鬼一は亡くなる。お秀が納骨する時、相撲取りが集まってくれる。市兵衛は鬼一から預かった50両をお秀に渡す。
 橋本屋はお秀を気に入り、順吉と二人で御家人の養子になる話しを進めてくれるよう頼む。
 

2015年11月28日土曜日

浪人榊市之助

浪人榊市之助 宝剣始末 小杉健治
 文政六年 1823年
 信州高尾藩上松家七万石
 市之助は江戸屋敷で盗まれた「白鷺の短剣」を取り返すという密命を受けた。世継ぎの証明に与えられた物だった。盗賊白波郷太夫が盗んだと置き文があった。
 市之助は上司の妻と密通し、逃げたことになっていた。市之助は浪人になって江戸深川に潜伏する。深川芸者・小よしを介して連絡が来る。小よしも知らない事だったが、市之助に密命を下した国家老・平木主水は小よしの父親だった。
 市之助が白波郷太夫だと思っていた、献残屋・加賀屋清兵衛の店に泥棒が入り、二人が殺され短剣が奪われた。もともと白波に盗まれたとして次席家老・国枝甚左衛門一派の江戸留守居役・大島龍之介が加賀屋に預けていた。名を騙られた白波郷太夫が加賀屋から盗み出していた。全てを知っている加賀屋が邪魔になった大島は加賀屋を殺そうとする。市之介に助けられ、全てを話す。
 自分の正体を知られた下駄屋の隠居・白波郷太夫は小よしを殺しにかかる。父親から小太刀と柔術を習った小よしは白波一派五人を捕まえる。白波から短剣の隠し場所を聞きだしていた小よしは市之助に知らせ、市之助は短剣を上屋敷に届け、信州に旅立った。
 一ヶ月が経った。榊市之助は今度のことで武士がいやになった。と暇を取って江戸に帰って来た。

2015年11月27日金曜日

冷飯食い小熊十兵衛

冷飯食い小熊十兵衛 開運指南 小早川涼
 十兵衛に抱かれると心願がかなう。そんな裏商売をしている小熊十兵衛。貧乏旗本の末っ子の六男、生家を飛び出し長屋で生活している。
 奉公先の田沼龍介を老中にして欲しいと千代が来る。一年後、龍介が他家に奉公に出た千代が自死し、幽霊になって現れると言いに来る。龍介は千代は自死する筈がない。という。二人で幽霊払いになって西目家に乗り込む。
 幽霊は西目家の奥様・琴絵だった。幽霊琴絵は十兵衛に憑いて長屋にくる。琴絵はしゃべれない。離婚することが心願だという。
 用人は土蔵から琴絵の髪飾り等を持ち出しお金に替えていた。長屋に労咳の妻がいた。琴絵は妻から労咳を引き受ける。
 千代は琴絵に似ていたことと主が福寿草の根から毒を抽出しているのを見たために正妻になるよう言われていた。千代は断わっていたが、妾が知り、千代を殺していた。
全てが明るみに出た。千代を呼んで来てもらう代わりにもう少し琴絵がこの世にいることを許可したため、琴絵は十兵衛に憑いたままだ。

2015年11月26日木曜日

雇われ師範・豊之助2

雇われ師範・豊之助2 ぬか喜び 千野隆司
 永田豊之助 家禄三千石 父は永田備前守正直・北町奉行 三男で養子に行くのが嫌で下谷練塀小路の中西道場の師範代受託を伝えると、町道場の立て直しを言われた。門弟がいない町道場の師範代になった。子供三人、線香屋の隠居61、軽業師・千代丸25が門弟だ。千代丸は売られた姉・たえを探していた。
 金貸し・若 若の孫・稲荷鮨を屋台で商う文太郎の娘・美代19 豊之助は若の用心棒をしながら若の家に住み込み師範代をする。
 海産物問屋・越中屋が二人組の賊に襲われているところを助けた。越中屋が声掛けしてくれたおかげで14人もの門弟が入った。
 越中屋が何故襲われたか。誰が襲ったか調べていく。二年前に海産物問屋・相模屋の主が海産物問屋・安房屋の息子・彦太郎に殺されていた。その後のし上がったのが越中屋だった。越中屋を襲った二人組の賊は安房屋の元主と次男だった。長男が相模屋の主を殺したために闕所、十里四方追放になっていた。相模屋の主を殺したのは越中屋で、彦太郎は殺人現場に運ばれ匕首を握らされていたことが分かった。安房屋の二人の命が狙われ、襲ってきた所を捕まえ、二年前の事件も明るみに出た。
 越中屋のお声がかりで来た門弟はまたいなくなった。
 
 

2015年11月25日水曜日

ふるさと銀河線

ふるさと銀河線 軌道春秋 高田郁
 お弁当ふたつ いつもと同じように出かける夫が二ヶ月前にリストラされていることが分かった。一日夫を付ける。夫は房総半島を一周していた。自分のお弁当を持ち同じ電車に乗り、お弁当の時間隣に座って一緒に食べる。
 車窓家族 古びた文化住宅の二階の部屋、電車の窓から見える一室に暮らす老夫婦。部屋に明かりをつけてもカーテンを引かず、電車からそれぞれが老夫婦を見ていた。電車はいつも信号待ちで停車する。点検のため停車が長くなった日も、前日も部屋に電気がつかなかった事を気にする乗客が、いつも温かく見ていた事を話す。新しい照明が付く。
 ムシヤシナイ 大阪の駅そばの店長の所へ、東京の孫・中三が来る。東京の大学へ行き、就職し結婚し、親の所に寄りつかなくなった息子の子供だ。小学校の頃に勉強に追いまくられていた。一緒にいると父親を殺したくなる。と言う孫。ネギの小口切りをいっぱいする。包丁はネギを切る物、使い方が解ったからもう親を殺そうとは思わないよというおじいちゃん。孫は帰って行った。
 ふるさと銀河線 両親を亡くし兄と二人きりの星子、兄はふるさと銀河線の運転士をしている。高校を選ぶにあたって陸別を離れる決心がつかない星子。羽ばたく勇気・・・。帯広の高校を受験した。
 返信 陸別に来ている。という、15年前の息子からのはがきを持って陸別に来た老夫婦。息子は三年前に亡くなっていた。陸別は息子が来た15年前とは全然違っていた。月のない夜に、無数の星を見た時、息子を感じた。徹へ 二人で陸別に来ています。ここはお前に会える町です。と返信を書いた。
 雨を聴く午後 就職して証券会社に勤める忠。バブルがはじけてやり切れない。気が付いたら八年前、大学生の時に住んでいたアパートがあった。合い鍵を持っている忠は不法侵入する。ダイジョウブというインコ、安らぎを得られた忠は何度も侵入する。文章を読んでしまう。断酒に失敗して傷つけた夫への贖罪、孤独に耐え、弱さを自覚して必死でいきようとしていた。忠は鍵を川に棄てる。
 あなたへの伝言 みゆきは結婚し夫しか頼る人の無い生活をしていた。夫が仕事が忙しく寂しさをお酒で紛らわせていた。バブルが崩壊して家に帰った夫が見たのはみゆきの泥酔する姿だった。別居した。夫の乗る電車に合わせて白いソックスを干す。酒に手を出せばインコの世話が出来なくなりインコは死ぬ。そうならないように夫から送られたインコ。ソックスは今日も大丈夫の合図だった。アルコール依存症から立ち直った先輩、その人が姪の結婚式でアルコールを飲み前と同じになる。ショックを受けたみゆきにインコはダイジョウブを繰り返す。白いソックスを洗い窓辺に干す。今日は飲まない。
 晩夏光 自分が認知症になって行くのが分かるなつ乃。まだ分かるうちにノートに書きためる。息子に伝えたい事、した事、そのノートが何なのか解らなくなる。恐ろしかった時を過ぎ、今は晩夏光の様だと言う老母。息子と分からない男に話しかける。
 幸福が遠すぎたら 二千一年に十六年前のはがきが届く。大学時代の友人から、梅と桜と桃と三人で会う。36才。桃は銀行の法務室勤務、肝臓ガンが見付かり手術する、同時にC型肝炎のキャリアである事が分かり妻とは別居。梅の結婚式以来だねという。奥さんは、六年前の震災で初産のため帰っていた実家で亡くなっていた。桜は母に電話して言い出せなかった造り酒屋の倒産のことを話す。でも立ち直って見せるからと。

2015年11月24日火曜日

天女湯おれん3

天女湯おれん2 春色恋ぐるい 諸田玲子
 世間を騒がせている鼠小僧が捕まった。おれんは鼠小僧の味方だ。処刑された。天女湯に鼬小僧が進入。捕まえると与平の息子与吉だった。与吉は風呂焚きに雇われた。与吉が付き合っているおちよはお腹に子がいた。与平も与吉も承知で祝言を挙げた。次郎吉が生まれた。
 戯作者・為永春水が近くに住み、風呂に来る。取り巻きの旗本の息子に頼まれ、大谷一之丞の旗本に嫁いでいる幼馴染み・美弥を屋敷から連れ出し鎌倉の東慶寺まで送った。美弥は御役が欲しい夫に上役の床相手をさせられていた。
 おれんは市之丞の友達・深津昌之助と恋仲になる。昌之助は旗本の次男だが、兄が病気で昌之助が跡取りとなる。縁談が整いそうな昌之助におれんは養子を取る事が決まったと嘘を告げる。
 天女湯で出会った、薬種問屋の娘と上州の庄屋の三男との縁談がまとまった。庄屋の三男と言っていた忠三郎は盗賊の仲間だった。忠三郎は足を洗うつもりで婿に入ったが店があまりにもお金に困っていたので最後の仕事のつもりで盗賊に加わっていた。
 新村左近・国許に帰った武士が江戸へ帰って来た。

2015年11月23日月曜日

ぜえろく武士道覚書3

ぜえろく武士道覚書3 一閃なり(上) 門田泰明
 町中に一家を皆殺しにする盗賊団、女狐の雷造一味が出没。
 胡蝶の女将・高柳早苗に言い寄る村山寅太郎が現れる。早苗に祇園下町代になるよう話しがくる。
 松平政宗が出会った娘・津山早苗は32年前藩主青山和泉守に凌辱され書き付けを残し自死していた。早苗の父と許嫁が書面で幕府に訴え、後藩主に斬り付けた。青山は死なず、紀州藩お預けとなり六年後男の子を出産、母親は亡くなり、一ヶ月後青山も亡くなる。生まれた男の子が村山寅太郎だった。
 高柳早苗のために江戸へ行こうとした政宗だったが、お忍びで来た大老酒井雅楽頭忠清の二条城での護衛をすることになった。だが、酒井大老ではなく、将軍家綱29だった。政宗も正三位大納言・左近衛大将・松平政宗と名乗る。甲州一刀流華厳の構えの十六人の刺客が現れる。逆華厳の構えの政宗が十二人を倒し四人は自死する。家綱の腰元三人は殺されていた。二人は一緒に風呂に入る。用意してあった着物は徳川一門の家紋が染め散らされた着物だった。身分を聞く家綱に何も言わず家に帰る。政宗は菊の家紋の着物に着替える。
 政宗の屋敷・紅葉屋敷に家綱の護衛・唐木得兵衛の死体が投げ込まれた。

2015年11月22日日曜日

百万両の伊達男4

百万両の伊達男4 雲隠れ 稲葉稔
 桜井慎之介は仏壇屋「芳徳」の若旦那・長兵衛探しを請け負う。お勢とおふうという二人の女を探す。お勢が殺されて見付かった。長兵衛はお勢と結婚するつもりだったが、両親に反対されていた。お勢を殺したのは元亭主・今太郎だった。今太郎も自殺死体で見付かる。
 おふうを鎌洗の源七の元から連れ出し逃げる。源七一家に追われるのが面倒と思いかけた頃、源七の前栽問屋の完右衛門殺しが分かったため、沢嶋又三郎、多々良順蔵等町方に知らせ捕まるようお膳立てする。
 長兵衛は両親に殺されていた。揉み合い突いた拍子に箪笥の角で頭を打って。土蔵の横に埋められていた。慎之介は黙っていれば百両になるところが、御上に知らせ、二人は島送りになった。店は妹が継ぎ番頭が頑張る。
 おふうは心を入れ替え、お松と木更津へ旅立った。

2015年11月21日土曜日

おちゃっぴい

おちゃっぴい 大江戸八百八 堀川アサコ
 天涯孤独の刺青彫師・青治
 青治に片思いの剣術道場師範代・巴、
 巴を好きな岡っ引き桃助。
 怪人 ハシ小僧の盗品の隠し場所を背中に刺青した男が殺される。ハシ小僧の盗品をネコババし大店になった武蔵屋は財産の出所を隠すために生きミイラのご利益の話を作り、ごまかしていた。ハシ小僧は隠し場所を弟分の背中に彫っていた。そのために武蔵屋は男を殺した。6年前から、江戸に戻れば母親を殺すと脅して、桃助を隠し場所の洞屈に住まわした。行方不明だった桃助がもどった。
 太郎塚 十年前、結城屋の長兵衛は猪に刺され大怪我をした。丸薬で治った長兵衛に与茂吉は長兵衛の息子・太郎の肝で作った児干を飲ませた、と言った。現在、長兵衛は太郎塚を立て墓守をしている。店は弟の由十郎が継ぎ、跡取りがいないため、巴の道場にいる捨て子のシゲを養子にした。十年前、長兵衛が飲んだ薬は猪から作った丸薬で、太郎は与茂吉によって、道場へ捨て子だと連れてこられていた。
 雨月小町 百物語
 カタキ憑き 敵討ちを成し遂げた後、殺した仇の名を名乗り生活を乗っ取っていた。
 蝶の影 青治の生い立ち。加藤家用人の前で、杵屋が幕府御用達商人になる寸前に、青治が二十年前からの話しをする。旗本三千石加藤家は公家の後家さん・高辻雪子を子女の養育係りに京から江戸へ呼んだ。娘・鈴香、息子・千早6、女中、若侍二人が道中で消息を絶つ。若侍二人が雲助に主人一行を百両で売った。雪子は急死、鈴香は雲助親分の女房にされ、千早は江戸へ逃げた、女中は品川へ売られた。
若侍は商人になっていた。雲助は女房を連れて江戸へ来た。商人は雲助を殺した。殺した商人は首を吊った。もう一人の商人・杵屋は捕まった。鈴香は仇討ちをしたのか。青治と名乗ている千早は品川で姉に会い、見送る。
 

2015年11月20日金曜日

ぜえろく武士道覚書

ぜえろく武士道覚書 斬りて候(下) 門田泰明
 松平政宗が幕府に謀反を考えている中心人物と思われる右兵衛督正四位上・東明院春万呂36を倒した。連座して二人が自死した。ここに謀反の兆しはおさまった。
 京都所司代・永井伊賀守に政宗の身分を言い、京の町を騒乱に導く恐れのある勢力の中枢部を力でもって叩き伏せたことを話した。
 徳川の老中組は朝廷に手を出すために煽っていた。邪魔をした政宗を殺せという命令が出た。胡蝶の女将高柳早苗は命令を受けた長官、部下五人がいた。早苗は政宗を殺す気はない。懲罰班が現れる。政宗は江戸から来る懲罰班の八名を京の入口で待ち、傷付きながらも倒す。早苗の仲間に懲罰班が一人いた。政宗が仕合し倒す。
 辻平内22(後に無外流を起こす)が弟子にして欲しいと来る。
 政宗と同居する千秋は母親の妹だった。母は鞍馬最奥想恋院に住む華泉門院、政宗の剣法は想恋院守護剣法、師匠は夢双禅師だった。
 
 

2015年11月19日木曜日

御家人無頼蹴飛ばし左門3

御家人無頼蹴飛ばし左門3 殺人刀無常 芝村凉也
 三日日左門に金儲けの企てを阻止された赤鞘組の小頭・猿橋市之丞は副頭目の旗本・轡田兵庫に上納金を催促される。お神楽一家の縄張りを狙うが、轡田に策を横からとられてしまう。轡田はお神楽組の賭場に火盗改が踏み込む手筈をつける。が、左門に知らせる者がいた。お神楽組は事無きを得る。
 赤鞘組はお金目当てに商家の娘を大身旗本と婚姻する話しを進めていた。その場に踏み込んだ左門は大身旗本と思われて居るのは貧乏御家人であることを暴露し、商家の主が騙されるのを阻止した。
 賭場に火盗改が踏み込む事を教えてくれた亥四郎は轡田の用心棒に斬られる。父親の作った刀を左門に譲る。左門は刀を岩にぶつけ折る。最初からそうしておけば良かったと言いながら亥四郎は死ぬ。
 亥四郎は1に出てきたお神楽一家の客分だった男だ。左門を知ってお神楽一家から出て行った。

2015年11月18日水曜日

天女湯おれん

天女湯おれん1 諸田玲子
 石榴口の上に天女が舞っている破風を上げる、天女湯は商家の旦那に女を斡旋する裏家業もしていた。
 近所で辻斬りが起こった。同じ頃、天女湯の裏に浪人が隠れ潜んでいた。おれんは匿う。新村左近という亡くなった元恋人の名で呼ぶ。辻斬りの犯人が気になる。情報を持っている杵七10と探していると、犯人がおれんの家に押し込んできた。左近によって捕らえられる。辻斬りだけでなく、盗賊の仲間でもあたので盗賊の仲間も捕まった。
 大黒湯の主が天女湯に言いがかりを付けてくる。おれんの養父利左衛門が大黒湯から持ち去った盗賊の隠し金を探していた。おれんは知らない。庭を掘り返し探していたが見付からなかった。
 左近は藩の不正を調べていた。竹馬の友が追ってとして現れるが斬る。調べた事を殿様に知らせるため国許に帰る。最後の夜、二人は結ばれる。
 おれんの母は武家に辱められ自害した。犯人を植木屋の息子と決め事件を終わらせたのは吟味方与力・仁村左近の父親だった。仁村左近は次男となっているが、これがはじまりでは嫡男になっていた。
 岡っ引き・栄次郎は辻斬りに殺された松吉の女房・おきみと所帯を持った。

2015年11月17日火曜日

天女湯おれん

天女湯おれん0 これがはじまり 諸田玲子
 文政十二年 三月二十一日 神田佐久町河岸から出火した火事でおれんの養父・利左衛門は死んだ。おれんの元恋人・新村左近も利左衛門を助けに行き、怪我をしてその後亡くなった。
 おれんは利左衛門が持っていた土地と湯屋の沽券を使い、利左衛門の商家の友達や奉行所からお金を借りて、湯屋を建てる。
 裏の長屋の持ち主や大家も火事で亡くなり、長屋が建てられないと聞く。元の持ち主の質屋の娘は叔父に吉原に売られていた。おれんは娘を探している時に、弥助と出会い、与平夫婦と出会う。与平は元泥棒だった。叔父の所から土地の証書を盗んでいた。長屋の土地に幽霊騒ぎを起こし、みんなで野宿をし、間に町方が入った。役人が入ったことで裏質屋を営んでいた叔父はいなくなった。怪我をした質屋の番頭を探し出す。番頭に証書ヲ渡す。番頭は店の土地と質屋の権利を売り娘を助け出し、長屋の土地の権利を持って王子へ連れて行く。長屋があった土地にまた長屋が建った。弥助、与平夫婦、権助も長屋に移る。権助は佐渡の水汲みポンプを作り、湯船に水を入れる装置を作った。

2015年11月15日日曜日

風列廻り与力・青柳剣一郎

風列廻り与力・青柳剣一郎 札差殺し 小杉健治

2015年11月14日土曜日

棟居刑事の永遠の狩人

棟居刑事の永遠の狩人 森村誠一
 戦場カメラマン大城一成は留守宅で妻と7才の娘を殺され意欲を無くす。救命組織ライフリンクに接し、ボランティアが殺され、命を狙われだんだん戦場の感覚を思い出す。
妻と娘の事件を追っている棟居を知る。自分の未発表の写真のために家族が殺され、大城と間違われてボランティアは殺されたと思われた。棟居とボランティアが殺された金沢の刑事と新宿の牛尾は協力し合う。
 命を狙われないために、大城は売った家に置き去りにした写真を探す。転売された最終購入者が猫の写真があったため死んだ猫といっしょに買った墓に納めていた。
 アメリカが殺したと発表したイスラム過激派の主導者を写した写真があった。殺されたとされるよりも後の写真だった。その写真を公表したことでもう、大城を狙う理由がなくなった。
 妻と娘の殺人事件に、ひき逃げ事件が関わってきた。ひき逃げしたのは国会議員の息子で父親も同乗していたのではないかということが問題になった。事故を見ていたのが大城の妻だった。議員が見られた事で殺し屋を雇い殺したということだ。殺したのは殺し屋だった。

2015年11月13日金曜日

御家人無頼 蹴飛ばし左門2 

御家人無頼 蹴飛ばし左門2 助太刀始末 芝村凉也
 三日日左門が両国の見世物小屋で出会った弥彦源内と名乗る二村庸之助は、飛山藩から追ってがでていた。勘定方役人の時上役の公金持ち出しを知り、上役に闇討ちされ反対に斬ってしまい、脱藩していた。殿様が病気になり、正室の息子と側室の息子の相続争いがあり、不正をしていた江戸家老に対する国家老が庸之助の味方だったが、正室の息子が亡くなったことで庸之助が邪魔になり、正式な仇討ちとなった。庸之助に対して三十人もの助っ人の仇討ちとなり、左門と清十郎が庸之助の助っ人になる。町奉行所役人や見物人の前で、飛山藩の内情を暴露する。仇討ちは庸之助が勝ち、これ以後仇討ちは続けないことを宣言される。庸之助は姿を消す。
 左門が養父になり青砥家に養子に入った蓮助は、ならず者のような近所の御家人の意地悪に対し、知力で対戦している。よそよそしかった妻・智与との関係も蓮助が隠し事なく話す事で仲睦まじくなったようだ。
 智与の兄・清十郎が禅寺での精神修業を終え、江戸に帰って来た。左門に出会い、蓮助と智与へ未だ手出しを止めぬ事を聞き、荒神組の新上弾九郎と仕合をする。清十郎が勝つ。弾九郎はこれでおとなしくなる?
 蓮助は近くの御家人の子供たちに学問を教えることになった。実父・西原屋が敷地内に別棟を建てた。剣術も教えた方がいいだろうと左門が清十郎を連れてくる。

2015年11月12日木曜日

剣客旗本奮闘記9

剣客旗本奮闘記9 怨霊を斬る 鳥羽亮
 暗闇の旦那と呼ばれる殺しを請け負う元締めを突き止める。糸川俊太郎も傷を負ったため青井市之介を中心に動く。いろいろ話しを聞いた諏訪町の岡っ引き伝造も殺される。
 料理屋の二階を改造し隠れ家にしていた。牢人のような格好して賭馬の用心棒をしていた男が、殺し屋をするようになってから羽織袴の御家人の格好に変わった。駆け落ちした妻を亡くし生きる屍となった男が死に場所をさがして武士を狙う辻斬りになった。腕を見込まれて殺しを受けあうようになった。

2015年11月11日水曜日

ぜえろく武士道覚書

ぜえろく武士道覚書 斬りて候(上) 門田泰明
 寛文十年 1670年 京
 常森源治郎は二年前京都町奉行所が設置され、江戸から事件取り調べ教育方同心として出向していた。綽名を検視の源治 岡っ引き得二を江戸から連れてきていた。
 京の町で無差別な連続殺人が起こった。源治郎は身分の高そうな松平政宗に手伝って貰い解決する。犯人は阿蘭陀商館長の女と京都所司代筆頭与力との間にできた息子・大宮窓四郎と名乗っていた。与力は妻を持つ事が決まった時女に殺された。
 源治郎と政宗の知人・胡蝶の女将・高柳早苗は江戸から父親の仇を討つために京へ来ていた。父に小太刀を習っていた早苗は、政宗に習い始めた。仇は三人いた。そのうちの一人と寺の宝物泥棒として出会う。政宗は貴族が襲われているところに出会し、黒装束を斬った、その男が泥棒していた仇の一人だった。
  松平政宗の身分を源治郎は知らない。後水尾法皇が政宗の父だった。嵯峨宮武将親王の名を与えられた。政宗は法皇に会い、貴族が徳川に謀反を起こそうとしているようだと告げる。知らない振りをし、自分に全権を与えて欲しいという。

2015年11月10日火曜日

天衣無縫

天衣無縫 浮穴みみ
 天女妙耶は三保の松原に降りている間に羽衣を飛天という盗賊に奪われる。天に帰るために飛天を追う。二年前に家族、許嫁を飛天に殺された太一と共に江戸へ行く。羽衣の匂い、妙耶の良く聞こえる耳を利用し、飛天を見付ける。飛天の目的は太一の世話になっている叔父の菓子屋だった。手代が引き込みだった。太一が捕り方を連れて来て、捕まえる。
 羽衣を探し出す事が出来、妙耶は飛び立つが、江戸へ戻ってくる。

2015年11月9日月曜日

末世炎上

末世炎上 諸田玲子
 橘音近 大内裏の門の警備人が、行き倒れの髪奈女を助けた。髪奈女は貧民街の娘だが少年たちに攫われもてあそばれて記憶を無くした。乗り移ったように夢をみる。二百年前の小野篁等が出てくる、自分は吉子と呼ばれる。現世を忘れ吉子の話を聞いて、吉子の素性を調べて行くうちに、現在の放火事件の解決に行きあたる。烏羽玉が御導師を身を犠牲にして先祖の仇をうち吉子になっていた髪奈女を助けた。その時、髪奈女は元の貧民街の娘に戻っていた。髪奈女を吉子にならせ過去を見せたのは篁の笛の一部だった。
 守った東宮尊仁親王が後三条帝になり新東宮は後三条帝の皇子・貞仁親王になった。
 音近は東宮職へ移り、大進になった。従六位上になる。十年後少納言になった。
 在原風見 音近と知り合い大江匡房の元で御導師等の放火を防ぐ。蔵人になった。
 

2015年11月8日日曜日

しゃばけシリーズ12

しゃばけシリーズ12 たぶんねこ 畠中恵
 跡取り三人 若旦那たち三人が、両国で仕事をして稼ぐ競争をすることになった。娘を持つ親が三人の出来を調べたかったようだ。一人は呼び込みを、一人は人捜しを、一太郎は見世物小屋で菓子売りをする。途中で、大貞親分と子分の意見の食い違いが表に出にらみ合いになり二人の兄やが飛び出し中止になった。
 こいさがし 母・おたえの友達の娘・於こんが長崎屋で花嫁修業をすることになった。見合いに興味を持ち付いてゆく。一組は、持参金目当ての御家人と料理屋の娘・尚の見合い、二組目は、河童の志奈に河童の青太郎と油屋の番頭の庄兵衛との見合いだった。御家人は相愛の水茶屋の娘と会ってしまった。ふたりがいる所を尚は見てしまい話しは無かった事になる。河童の青太郎は於こんにアドバイスを受け、志奈に甘い言葉を吐き嫁にする!と言えば志奈は嫁に行く!と納まった。庄兵衛とお尚が会い、二人は結ばれた。於こんはきつねだった。
 くたびれ砂糖 安野屋に三人の丁稚が入った。主と番頭たちはお腹を壊して寝ていた。薬を飲んでも良くならない。一太郎は薬を見て何かが混じっている事に気が付く。仁吉が薬を作り良くなる。医者になりたいのに菓子屋に奉公に出された文吉が身体を壊せば家に返されるだろうと思って持っていた薬を、いたずら心で隠した平太、叱られた事に腹を立てた梅五郎がその薬を混ぜていた事が分かった。梅五郎は店を辞めた。文助は医者の弟子になった。
 みどりのたま 青毛たちに河童の薬玉を狙われ、若旦那を助けた仁吉は川に落ち記憶をなくした。記憶を無くした仁吉は、仁吉を白沢と知っている老狐・古松と会う。古松は歳を取り過ぎ、茶枳尼天のいる神の庭に帰る力が無くなっていた。仁吉と古松は場久と出会い、佐吉や若旦那と出会うことが出来た。若旦那は河童に貰った薬の中から三日だけどんな病でも治すという薬を古松に飲ませる。稲荷の脇に神の道が開いた。おぎんが見える。古松は帰り、おぎんは一太郎におたえに宜しくと言う。白沢はおぎん様と言い、全てを思い出した。青毛たちは古松のために河童の薬玉を探していたのだった。
 たぶんねこ 見越しの入道が持って来た袋にはまり込んだ一太郎は幽霊の月丸と二人だけで放り出された。人殺しをした盗賊を見たため追われる。広徳寺に逃げ込もうとしている途中、兄やたちに見付けられ助けられる。盗賊は捕まる。月丸は広徳寺で出来ることを手伝うことになる。広徳寺には三途の川の銭があるためあの世に行こうと思えば銭に付いて行けば良い。と若旦那は言う。

2015年11月7日土曜日

しゃばけシリーズ11

しゃばけシリーズ12 ひなこまち 畠中恵
 ろくでなしの船箪笥 七之助と冬吉の祖父が亡くなり、息子(二人の父親・辰治郎)に船箪笥を形見に残し、中の物を七之助と冬吉に残してくれた。見た時は根付けが二つ入っていただけで長男も納得したが、祖父が亡くなると箪笥が開かなくなった。鉈で壊すことも出来なくてどうにか三人の手に渡った。一太郎がからくり箪笥を開けた。良い根付けが三つと江戸の土地の沽券が入っていた。
 箪笥の中に河童の壊れた甲羅の破片が入っており探していた河童の手に戻った。
 ばくのふだ 漠が人の夢を食べ、それを話しにして本島亭場久と名乗り噺家をしていた。妻を殺し一年もしない間に持参金付きの後添えを貰う男に幽霊の先妻が現れる話しだった。武士が自分のことだと場久を殺しに来る。幽霊妻は夫を連れて行ってしまった。直参の侍が魚釣りに出かけ行方不明になっていた。
 ひなこまち 雛人形の顔のモデルにするために、雛小町番付を出すことになったために、古着屋の着物が盗まれるようになった。一太郎は親子で振り売りしている古着屋と知り合いになる。全ての品物を盗まれ、上方屋が売っているのを見付け、屏風のぞきは盗み出す。上方屋の着物は盗んだ物で、寸法直しをするということで着物を手元に置き、また売っていた。上方に逃げる夜、若旦那は日限の親分に知らせ捕まえた。
 さくらがり 花見に広徳寺へ行く。壊れた甲羅の破片が戻った河童の代わりに禰々子がお礼に河童の秘薬を五種類持ってくる。若旦那は奥さんを大好きな武士と出会う。
 河童の秘薬 桜の花見で出会った武士の奥さんが若旦那に会いに来る。河童の秘薬を飲んだが何も変わらないと言う。その薬は何の薬か分からない。人生を賭けて飲めというものだった。場久と出会い夢の中だと分かる。夢の中には捨て子がおり、捨て子が誘拐され地震が起こり、屋根の上から落ちる。奥さんは子供を助けに走る。夢から覚める。奥さんに子供ができた。

宇江佐真理さん亡くなる。

2015年11月6日金曜日

火郡(ほむら)のごとく

火郡(ほむら)のごとく あさのあつこ
 新里林弥16才 二年前15才年上の兄・結之丞を亡くした。兄は背中を斬られ亡くなった。
 江戸から兄の剣術の弟子と名乗る、樫井透馬が現れる。家老の庶子だ。林弥の家に居候し、兄の事件を調べる。
 家老・樫井と中老・水杉頼母の権力争いが表に現れ、一晩で水杉派は潰される。林弥の道場の友・上村源吾は父親と切腹し母、妹共に屋敷に火を付死んだ。
 水杉は樫井家の皆殺しを命令し刺客を放った。樫井透馬を狙った殺し屋は林弥が斬った。殺気無く人を殺す、兄の時と同じだった。林弥の兄の友・兄嫁七緒の兄・林田清十郎だった。後、樫井家に走り、透馬の父を助ける。
 二年前勘定方の結之丞が勘定方の不正に気が付き殺されたのだった。

2015年11月5日木曜日

新・古着屋総兵衛(十)

新・古着屋総兵衛(十) 異国の影 佐伯泰英
 深浦の船隠しが蝦夷松前藩と英吉利の測量船に見張られていた。総兵衛は英語の親書を渡し、英吉利船を帰す。松前藩のことは大目付本庄豊後守義親に渡す。
 イマサカ号と大黒丸が帰った。
 

2015年11月4日水曜日

平成お徒歩日記

平成お徒歩日記 宮部みゆき
 真夏の忠臣蔵 両国・吉良邸跡→鉄砲洲・浅野上屋敷跡→高輪・泉岳寺
 罪人は季節を選べぬ引き廻し 小伝馬町→堀端→鈴ケ森→小塚原
 関所破りで七曲がり 小田原→箱根湯本→箱根旧街道
 桜田門は遠かった 皇居江戸城一周
 流人暮らしでアロハオエ 八丈島
 七不思議で七転八倒 本所深川
 神仏混で大団円 善光寺→伊勢神宮
 剣客商売「浮沈」の深川を歩く
 いかがわしくも愛しいまち深川

2015年11月3日火曜日

表御番医師診療禄6

表御番医師診療禄6 往診 上田秀人
 矢切良衛は寄合医師に転じ、長崎への遊学を認められた。
 京での宿泊場所を大目付松平対馬守に指示され、大奥山科の背後にいる者を探るように言われた。良衛に女忍びが付いた。
 名古屋の薬問屋に良衛から宝水を盗んだ吉沢がいた。良衛は気がつかない。
 良衛は師匠・名古屋玄医の病気見舞いに行き、公家・久我通誠の往診に行く。通誠から公家衆のいろいろと武家との繋がりを聞く。
 松平の指揮下の宿の女将は敵対している京都所司代・稲葉丹波守と繋がっていた。山科は袱紗屋→元権大納言・松木宗条→霊元天皇第四皇子・朝仁につながる。稲葉の小細工に寄って、良衛は第二皇子に繋がる愛宕が、山科と繋がると大目付に連絡する。良衛を襲った者が残した、山科から愛さまに送った手紙も同封する。
 京を出発した。

2015年11月2日月曜日

帰蝶

帰蝶 諸田玲子
 織田信長の正妻・斉藤道三の娘・信長から濃と呼ばれた人
 斉藤新吾利治・帰蝶の弟・信忠と共に二条城で亡くなる。 玄蕃助・異母兄
 帰蝶が心を寄せた人・京の商人・立入宗継 困った時帰蝶が頼る。何年かに一度しか会えない。
 信長が亡くなって26年、二十七回忌の阿弥陀寺で徳姫が心を寄せる人・異母兄・埴原左京亮と会い、立入宗継や松井有閑や、夕庵の話しをし、明智十兵衛尉や斉藤内蔵助の話になって、気がついてしまった。明智光秀の後ろにいた者に。でも責められない、帰蝶も五徳も左京亮も織田家の禍をもたらした一人だった。
 美濃衆、尾張衆

2015年11月1日日曜日

草雲雀(くさひばり)

草雲雀(くさひばり) 葉室麟
 栗屋清吾28才 媛野藩六万二千石の馬廻り役百五十石栗屋家の三男部屋住み、女中・みつを妻としたが、家督を継いだ兄から妾として子供は作ってはいけないと言われていた。
 道場の師範代仲間の山倉伊八郎は、同じ部屋住みだったが、実父は元国家老の国東武左衛門という事が知らされ、嫡男が亡くなったので妾腹の伊八郎が国東家の家督を継ぐ事になった。伊八郎は清吾に、剣術指南役を約束し、用心棒を頼みに来る。伊八郎に頼まれ、白木屋から三百両を借りたためみつを質に取られる。命を奪いに来る者から伊八郎を守り、伊八郎は派閥争いも切り抜ける。家老に就任するための執政会議の試問で父親の賄賂を裁けと言われる。伊八郎は切り抜けた。家老就任を認めてもらうために江戸藩邸に行く伊八郎について清吾も江戸に行く。帰ってくるとみつは白木屋の嫁になっていた。会わせてもらえない。伊八郎に家老の名を使って奪ってこいといわれる。みつは嫁になることを拒み、食事も食べずに清吾が来るのを待っていると教えられる。みつを取り戻した。

2015年10月31日土曜日

若さま十兵衛  若さま十兵衛・天下無双の居候2

若さま十兵衛・天下無双の居候 早見俊
 十兵衛・幕府総目付、将軍家兵法指南役・柳生但馬守宗矩の嫡男 柳生十兵衛
 関ヶ原の戦いから29年、寛永六年 1629年 徳川家光
 三年前、家光の勘気を被り蟄居になった。回国修業の後、江戸に戻り、日本橋の湯屋『富士の湯』に居候している。
 家光ではないかと言われる辻斬り退治をしたり、天狗になったように強くなって奥方を見返そうとした婿養子の旗本の事件を解決する。
 下野鹿沼藩・米倉備前守正影が毒殺され、旗本になっていた。犯人は医師戸と思われていたが奥様だったことを十兵衛が暴く。
 贋宮本武蔵が現れる。十兵衛と対決し剣士として死ぬ。

若さま十兵衛・天下無双の居候2 暗殺 早見俊
 柳生但馬守が命を狙われ、勾引かされる。十兵衛は父親を返して欲しければ、老中木崎備前守正行を暗殺するように言われる。
 木崎の息子と御前試合をし、息子を負かしたために、難癖をつけられ隠居に追い込まれた旗本の娘がやったっことだった。父親は切腹しそれで納めようとした但馬守だったが、木崎の用人南方九十郎が現れそれだけでは済まされなかった。娘も自害する。
 鼠と称する泥棒事件、商家の自作自演の泥棒劇を暴く。
 養子に行った弟が、実家の兄を化け猫騒動で狂わし、死に追い詰め自分の息子を旗本の跡継ぎにしようとした事件。
 薬種問屋筑後屋の息子を勾引かし、五百両を奪い、子供を殺された事件が起きた。薬種問屋の組合を作り、肝煎りになるために木崎への賄賂のための五百両だった。木崎は駿河屋から八百両貰い、あと二百両要求する。筑後屋は五百両を要求されたため、老中の土井大炊頭に訴えるといい、殺される。
 江戸湾に海賊船が現れる。十兵衛は木崎に海賊船を退治するために作る、所司代の束ねになって欲しいと頼まれる。所司代には浪人が集められる。十兵衛たち数人が残り、海賊をやっつけた時、駿河屋と南方が現れ、十兵衛を殺そうとする。十兵衛は生き残り、木崎は切腹する。
 

2015年10月30日金曜日

浅草料理捕物帖(一)

浅草料理捕物帖(一) 小杉健治
 浅草の一膳飯屋・樽屋の板前・孝助26才。本名・新太郎、十年前に食あたりで人が死に闕所になった・なみ川の息子だった。なみ川は文蔵が手を貸し闕所になり、そのおかげで文蔵が岡っ引きになったと聞き、江戸に帰り、文蔵の手下になって真相を聞き出そうとしている。父親は牢死。母も死亡。妹・新は親戚に引き取られた。
 越野十郎太26才。なみ川で十年前に伊予諸角家江戸家老・渡良瀬惣右衛門が食あたりで亡くなってから一ヶ月後、十郎太の父が闇討ちに遭いなくなった。惣右衛門がなみ川で亡くなったことは伏せられていた。去年、父の親友が亡くなる時、十郎太の父はなみ川の件で口封じされたと告げられた。真相を突き止めようと浪人になっていた。
 文蔵は十郎太の身元を気にしている。
 辻斬りが起こり、文蔵は犯人を捜している。怪しい男・塚次を十郎太が見付け、孝助が文蔵に知らせる。塚次を見張っていた下っ引きが塚次に殺される。塚次に接触した千代治を調べ、千代治の息子・蓑助が起こした事件と、千代治の長屋で起こった遊び人・安蔵と常次郎が殺された事件を知る。千代治は息子の仇討ちを考えていた。孝助と十郎太は千代治の仇討ちを寸前で止め、蓑助の汚名を晴らすことを約束する。千代治に手を貸していた二人を捕まえた。一人は盗賊改が追っていた盗賊の生き残りと辻斬りの犯人塚次だった。遊び人二人を殺したのは、一人目はおかみさん、死体を川に棄てたのは長屋の男たちだった。二人目は千代治が頼み塚次が殺していた。千代治は安蔵を殺したことにした。孝助は文蔵に知らせた。孝助は文蔵の手下になった。

2015年10月29日木曜日

古着屋総兵衛

古着屋総兵衛 初傳 佐伯泰英
 貞享五年 1688年 勝頼15才と光圀61才の出会い。光圀は大黒屋が隠れ旗本である事を承知のようだ。
 元禄三年 1690年 光圀隠居
 元禄四年 1691年 五代目総兵衛幸綱が亡くなる。勝頼18才が六代目総兵衛を継ぐ。西山荘を訪ねる。
 元禄七年 1694年 11月 綱條のお側用人になっている藤井紋太夫が、綱吉お側用人柳沢保明に接触し過ぎ、老中を招いての能興行の途中、光圀自ら藤井を殺す。小者と思っていた柳沢保明が厄介な相手になっていた。
 元禄十三年 1700年 光圀73才死亡 勝頼は駆け付け、遺書を受け取る。勝頼の母は水戸家の儒者の娘で光圀の養女となって勝頼を生み亡くなったことを知る。
出会ってから光圀との交流は深かった。

火花 

火花 又吉直樹
 僕・徳永・漫才師・スパークス・出会った時20才、相方の山下が結婚するためにコンビを解消し芸人を辞める。十年
 僕の先輩・師匠・あほんだらの神谷才蔵24才・


2015年10月28日水曜日

栄次郎江戸暦14

栄次郎江戸暦14 空蝉の刻 小杉健治
 矢内栄次郎は十万石渋江藩筒井能登守忠久の下屋敷の能舞台で三味線を弾いている時に、忠久が毒を盛られ倒れるのを目撃する。その後、水島忠四郎という能登守にそっくりな旗本の四男に会う。二人は双子だった。能登守は陰の弟がいることを知り、藩政を疎かにし、遊ぶようになり、家臣から藩主交代を計画されるようになっていた。弟は生きる目的もなく怠惰に生きていた。
 忠四郎は兄の身代わりになり毒とわかって飲みほす。栄次郎が助ける。忠四郎は自由になった。能登守は心を入れ換えた。
 呉服商は引退した。留守居役は切腹した。
 

2015年10月27日火曜日

ちょちょら

ちょちょら 畠中恵
 文政六年
 間野新之介は播磨の国、多々良木藩の江戸留守居役を拝命する。新之介の兄は留守居役であったが切腹した。もう一人の留守居役は家族を連れて出奔し、亡くなっていた。
 藩にお金が無く、留守居役が使うお金も無く、お手伝い普請を仰せつかっていた。
 印旛沼の開拓普請があるという情報を掴む。新之介はお手伝い普請を逃れる術が無く、全藩が逃れる術を探そうとする。殆どの藩が抜けた時、老中が全留守居役を集め、印旛沼の工事が無いことを伝えた。
 老中の手を借りて多々良木藩も脱けることが出来た代わりに、間野新之介は老中から他藩へ引き抜かれる。

2015年10月26日月曜日

ゆめつげ

ゆめつげ 畠中恵
 清鏡神社の神官兄弟・川辺弓月22・信行18。弓月は夢告をする。 
白加巳神社の権宮司・佐伯彰彦に青戸屋の息子だと名乗りを挙げた三人の少年の中から本当の息子を見付けることを頼まれる。
 三人の親の内二人が殺される。青戸屋の全財産を奪うために、倒幕派の浪士に拘束される。
 弓月の先の事を見る力でみんな抜け出ることが出来る。三人のうち、青戸屋の子供が分かる。青戸屋・幸右衛門の息子・信太郎と言う時と、ただ、信太郎と言う時では見えるものが違うということ。本当の信太郎が分かるが、青戸屋は三人の面倒をみる。
 浪士たちは捕まる。彰彦は神官を政治の道具にされ自分たちがどうなるか心配なため由緒があり夢告ができる弓月を京都へ連れて行こうとする。
弓月は将来も落ち葉を掃いている神官を視、京都へ行く事を辞め、そのままの生活を続けた。

2015年10月25日日曜日

しゃばけシリーズ

しゃばけシリーズ ねこのばば 畠中恵
 茶巾たまご 傾きかけた海苔問屋大むら屋の主人は長女のお秋を一太郎の兄・松之助と見合いをさせ持参金付きの養子にしようと計画する。お秋は殺される。大むら屋の主人夫婦は去年流行り病で亡くなっていた。お秋姉妹のおじ夫婦がやってきて主人になっていた。お秋は海苔料理百選を考えていた。殺しの犯人は番頭だった。
 花かんざし 一太郎は迷子の五才位の於りんを家に連れてくる。於りんは鳴家が見えるようだ。於りんの家は材木問屋だった。おじは正三郎、正三郎の許嫁は厚化粧のお雛さんだった。於りんの乳母が殺されていた。於りんの母親は正気では無くなっていた。母親は川に飛び込み助けられたが、それが元で亡くなった。
 ねこのばば 一太郎は猫又から、猫又になりかけている猫が広徳寺の寛朝に預けられたので助けて欲しいと頼まれる。一太郎は広徳寺で殺された僧の死体を見付ける。寺のお金を流用していた僧がお金を隠した部屋に猫がとじ込められていた。お金が必要になった若い僧たちは、お金を出してくれない僧を殺していた。一太郎は猫のいる部屋にお金がある事を見抜き見張り、僧たちを捕まえる。
 産土 佐吉が長崎屋に来るまでにあった話し。木偶人形が、お金と交換して人間の命を奪い人間になっていく妖から、若旦那を守れなかった話し。
 たまやたまや 三春屋の栄吉の妹・お春ちゃんに縁談がくる。若旦那・一太郎は複雑な心境だ。相手の献残屋の若旦那・庄蔵を調べに行く。庄蔵と一太郎は侍に捕まり、土蔵に閉じこめられる。一太郎は庄蔵のことが良く分かった。仁吉たちに助けられた後、お春ちゃんは、一太郎から貰って無くした煙管を見付けてくれたら結婚するという。煙管(あげた事のない煙管)を一太郎は庄蔵にお春ちゃんに渡してと託す。お春はお嫁に行った。
侍が探していたのは庄蔵の持っている煙草入れに付いている根付けの中の米粒ほどの細工物の雛飾りだった。お春はお嫁に行った。

2015年10月24日土曜日

風の市兵衛15

風の市兵衛15 夕影 辻堂魁
 唐木市兵衛は旗本から不祥の末息子・辰助が一月寺で普化宗に入宗、葛飾の蒲寺で廻行修業中だったが、今年の夏病気で死んだという噂が聞こえた。家族で行ける者が無く、代わりに本当のところを調べてきて欲しいと頼まれる。
 辰助は、住持の命で人殺しの手引きをしたことを悩み、寺社奉行に訴えでるため寺から逃げ出し殺されていた。
 市兵衛は葛飾でやくざの縄張り争いに巻き込まれる。為替手形相場で儲けを狙っている質屋の隠居、陣屋の役人波岡、やくざの十手持ちの文蔵、無法な普化宗蒲寺の看主・巡景は葛飾を仕切っている吉三郎が邪魔で殺していた。吉三郎の三人の娘を助ける。唐の殺し屋にされた娘・青も傷の手当てを受けていた。返弥陀丿介は青を心配して来た。
文蔵と三姉妹の戦いは三姉妹に軍配が挙がり、文蔵は吉三郎と金次郎の殺害で捕まった。旗本の訴えで寺社奉行が動き巡景も捕らえられた。波岡と質屋の隠居は賂を送り手心を加えたということで捕まった。
 弥陀丿介は青に求婚し、片岡信正の報告したが、青はその場から逃げた。弥陀丿介は二度と自分の元に青が戻らぬ事が分かった。
 

2015年10月23日金曜日

しゃばけ外伝

しゃばけ外伝 えどさがし 畠中恵
 五百年の判じ絵 佐吉が長崎屋に務めるようになった理由。佐吉が徳川の世になって東海道を旅している時、判じ絵を見付けた。五百年前のお礼がしたい、京橋に来て、佐吉へと言うような事が書かれていた。妖狐に誘導され長崎屋のおぎんに対面する。五百年前、仁吉の具合が悪くなりおぎん様が困っている時に佐吉が助けた。その時おぎんが佐吉と名付けた。今、お礼に佐吉に安定した住み場所を提供しようと言った。弘法大師が亡くなってからいなかった大事な相手を持てる。相棒も持てるだろうということだった。
 太郎君、東へ 徳川の時代になり、利根川の流れを変えようとした者がいた。坂東太郎は怒る。こすっからいことはするな。堂々と正面から挑め、と言う禰々子。荒川の蘇鉄河童を使って、杭を抜いたり普請場を荒らしたりする太郎を禰々子が追いかけた。利根川から会いの川に行くと思った太郎は大いに無理ををして太日川に向きを変えた。石や土石が動き、堤があらわれ川の流れが変わった。
 たちまちづき 広徳寺の寛朝の所に口入れ屋・大滝屋の主人安右衛門がいる。おかみさんは強くなれとやかましい。安右衛門が怪我をしている間におかみさんが口入れ屋の仕事をし、失敗する。親戚がやってきて、おとなしい安右衛門を辞めさせ自分の姪を大滝屋の女将に据えようとする。安右衛門は困りごとを大名や長崎屋を使い、事無きに納めてしまう。親戚には要らぬことだとはっきりいい、おかみさんは安右衛門を見直して帰って行く。乗っ取ろうとした番頭が二人を殺めようとするのを、寛朝は見抜く。
 親分のおかみさん 清七親分のおかみさんは寝込むことが多かったが、捨て子が舞い込み育てて強くなった。捨て子を拾った店に、夜、子供を迎えに人が来る。それが盗賊になる事件が多発していた。長崎屋にも捨て子があったことをきき、清七が行くと、盗賊は捕まっていた。長崎屋の捨て子は豆腐屋の子になった。
 えどさがし 明治20年長崎商会と名を変えた長崎屋では、鳴家や妖が若旦那を探していた。100年近くたってそろそろ会えるんではないかと探していた。それらしい新聞広告をみて仁吉が新聞社に行くと殺人事件が起こる。怪我ですんだが、妖の警官は生きていることは伏せておくことにした。命を狙われた新聞社の社員は、昔盗品を見付け、自分たちのものにしていた。未だ使ってはいけないことにしていた。一人、お金が必要になり矢立を持ち出した。その矢立が新聞広告を出し、盗品の蔵に仁吉が来るように仕向けていた。そこにいたのは屏風のぞきだった。

風かおる

風かおる 葉室麟
 佐久良菜摘23黒田藩郡方五十石 渡辺半兵衛の三女、3才の時、竹内佐十郎の養女になる。13才の時、佐十郎が女敵打ちに出るため、実家に戻る。16才(七年前)鍼灸医・蘭方医・佐久良亮に嫁す。亮より医療の手ほどきを受け診療する。一年前、亮は長崎に勉強にいく。
 渡辺誠之助 18才 菜摘の弟。菜摘の家の居候
 稲葉千沙16才 医師稲葉照庵の娘
 女敵打ちから帰って来た佐十郎は、昔の友・嘉村吉衛の妻・多佳が暮らす待月庵で寝込んでいた。女敵打ちの相手・松江に会い、女敵打ち・二人の駆け落ちが何者かに仕組まれていたことが分かり、果たし合いをしようと帰って来ていた。
 昔、多佳と佐十郎は結婚するつもりの二人だった。が、兄により多佳は嘉村と結婚した。佐十郎と嘉村が長崎聞役に着いた時、佐十郎は嫉妬のため、嘉村に辛くあたる。他藩の同役も苛めに加わる。他藩の侍のために嘉村は梅毒に罹ってしまう。嘉村や友達は佐十郎のしたことと思い、佐十郎に女敵打ちに出ないとならないように仕組んだ。友達は出世争いから落とすことも考えていた。嘉村はその後、長崎で亡くなる。友達たちは出世していた。そこへ佐十郎が帰って来た。
 菜摘は元義父だった佐十郎の果たし合いを止めるため真相を探り、相手を見付けようとする。真相に近づいた横目が殺された。凡の真相を突き止めた亮が長崎より帰る。自分を嵌めた者を討とうとする佐十郎に、多佳は全てを話し、嘉村の代わりに、佐十郎を刺し、その場を離れる。死に際を看取ることは出来ない。佐十郎が死んでから、菜摘たちに真相を話し、佐十郎の横で自死する。
 千沙に家老に繋がる藩医の息子との縁談が来る。断わるために長崎の亮の所へ行くという。菜摘も一緒に、誠之助も医師になる勉強をしようと決めてしまう。


2015年10月22日木曜日

剣客旗本奮闘記7

剣客旗本奮闘記7 霞を斬る 鳥羽亮
 御納戸衆が殺された。青井市之介は叔父御目付・大草主計に頼まれ御徒目付・糸川俊太郎と共に調べる。御納戸組頭と御納戸頭が出世のため幕府御用達の商人にお金を要求し、出さなければ御用達を替えるという。替える商人からもお金を取っていた。組頭のやり方に反対した御納戸衆が殺されたようだ。呉服商には、御用達を降りろという要求から長男を勾引かされ、店の乗っ取りを要求されるようになっていた。市之介たちは子供を保護し、子供を勾引かしていた商人の三男を、町方同心に引き渡し、調べ挙げたことを御目付けに報告する。
 いつもなら、出世のために賄賂を贈る相手にまで手が届かないが、今回は御側衆・吉沢伊勢守紀久が病気と言って休みを取った。もしかして隠居かも。何かが変わるかも。

2015年10月21日水曜日

鬼役16

鬼役16 一命 坂岡真
 子守り侍 矢背蔵人之介は直太郎という少年に出会う。直太郎は尾張先代藩主の子供だった。伊勢崎新が直太郎を育て守っていた。尾張藩は藩主も代わっていた。誰も知らないはずなのに命を狙われるようになる。裏切られ敵対する者に知られ、伊勢崎は殺される。蔵人之介は裏切った長手助左衛門を討つが、預けられた手紙には田安家への養子に入ることが記されていた。直太郎は田安家に入った。
 鷹の羽 辻斬りの犯人として捕まった船形満は、蔵人之介が跡継ぎにしようとしている卯三郎が兄とも慕う人だった。弟の仇討ちをしようとしていた。松浦家留守居役の鉄砲密輸を調べていた長崎奉行の隠密、密輸を知った船形満の兄、見てしまった商家の主、夜鷹が辻斬りとして殺されていた。松浦家留守居役、韮沢検校、町奉行所吟味方与力、小普請奉行が結託して入れ子捜査をしていた。卯三郎は鬼役を次ぐものとして船形の仇を討つ積もりで、留守居役を斬った。
 藻塩草 望月宗次郎が身請けされた夕霧が不幸だと聞いて帰って来た。夕霧がどこにいるか調べているうちに夕霧の妹分の狭霧が毒殺される。狭霧は贋書きをさせられていた。拒んだために殺されたようだ。同じ仲間に宗次郎が家慶から落胤である証拠にもらった、定家の小倉色紙を狙われる。大奥の敷島までもが現れる。夕霧の居所を調べていた幇間も殺された。吉原の楼主、面番所の同心、小文字屋の灘文が仲間だった。夕霧を東慶寺に訪ねる。夕霧は剃髪していた。宗次郎の母親が三年前まで東慶寺にいたことを伝える。名前は英月。

2015年10月20日火曜日

しゃばけシリーズ10

しゃばけシリーズ10 やなりいなり 畠中恵
 七之助の縁談が整った。相手は千里だった。かなめの許嫁は亡くならずに済み、婚礼を挙げる。
 こいしくて 橋姫が結界を解いてしまった。そのために通町近辺にいろんな神様が集まった。橋姫様がどうしてそんなことをしたのか。恋しい神様と出会うため。恋しい神様とは誰だろう。時花神だ。時花神は姫を救うために姫に会わず橋を渡って遠くへ去った。
 やなりいなり 長崎屋の離れに幽霊が現れる。身元が分からないが、亡くなった噺家を探すがいないようだ。死にかけた噺家を探す。堀にはまり気がつかない噺家が見付かった。猪吉は師匠の娘さん・小よしの身体の調子が悪いので、自分のありったけを質に入れお金を作って長崎屋の薬を買うつもりだった。長崎屋の近所ではしごを持った変な人たちを見た。その人たちに堀に掘り込まれたという。三日後、長崎屋に押し入った盗賊は待っていた妖や一太郎に捕まる。仁吉は小よしに会い病状を診て薬を渡す。猪吉は身体に戻り目を覚ました。
 からかみなり 籐兵衛は大きな雷が鳴った日、雷獣に出会う。籐兵衛は迷子だと思い、家に連れて帰る。家はバシバシ電気が走る。ぐるぐる回し遠心力で遠くへ放り投げる。雲が包み込み連れて行った。
 長崎屋のたまご 逢魔時雲から青い玉と百魅が落ちてくる。たまごから九十九魅が生まれ、迎えにきた一魅と五十魅と九十八魅と九十九魅と百味は帰って行く。
 あましょう 五一は親友の新六の妹と結婚するはずだったが、五一は破談にして房州に行ってしまう。妹の結婚相手が決まったが、花嫁道具のお金がない。新六は持参金付きの相手と結婚することにし、その持参金を妹の結婚資金にすることにした。五一が現れ、自分の所為で新六が好きでもない人と結婚することに我慢出来ない。自分が集めていた硯等を渡すからそれを売って結婚資金にし、持参金目当ての結婚を止めるようにいう。でも新六は相手のあばたなど気にしていなかった。本当は持参金などいらないと思っていた。持参金目当ての結婚ではなかった。五一は病気で死にそうなのだ。生き霊だった。

2015年10月19日月曜日

わるじい秘剣帖1 わるじい秘剣帖2

わるじい秘剣帖1 じいじだよ 風野真知雄
 愛坂桃太郎58才 千五百石の旗本、目付だった。隠居して三年。妻・千賀60才。息子・仁吾
 仁吾の子・桃子と出会う。母親は芸者・珠子。珠子は仁吾に手切れ金50両を要求していた。
 桃子を一目見て可愛いと思い、珠子が仕事をしている間、料亭で桃子のお守りをしながら待っている。家に帰るのが面倒になり珠子と同じ長屋に住むようになる。珠子や桃子の身辺に禍が起こらないように、長屋の人を観察する。元同僚・朝比奈留三郎と一緒にいろいろ調べる。
 強請っている者を見付け長屋に住めないようにして長屋を出た後に住み着いた。
 珠子が出ている料亭で盗みに入ろうとしていた盗賊を捕まえた。
 近くに屋台が置きっぱなしになっているのを調べて、銀座の窓から銀の持ち出しを見付け捕まえる。南町奉行筒井和泉守が現れる。南町奉行所も張り込んでいた。《鬼殺しの桃太郎》を知っていた。同じ長屋の棒手振りの伝次郎は奉行直属の密偵だった。

わるじい秘剣帖2 ねんねしな 風野真知雄
 孫が可愛くてしかたのない愛坂桃太郎は桃子をおんぶしてどこでも出かける。人目など気にしない。
 薬種問屋の主殺しの犯人を調べ挙げ、伝次郎に伝える。内儀と番頭が捕まった後、南町奉行からお礼・二両を貰う。顧問という形で協力することになった。
 料亭の雛人形の顔が変だ。姫人形の顔がどんどん悲しそうになって行く。桃太郎は若夫婦の秘密を探り出した。婿養子の主の子でない長男のところへ、婿養子の外で出来た隠し子である娘が嫁に入った。女将はかなしい。料亭の本店から独立したがっている。主夫婦に本店の大旦那が人形を送っていたのだった。おまえたちの考えてることは知っている、とね。三井清左衛門に頼まれていたので伝えると、お礼が十両だった。
 長屋の浪人三木鷲五郎は姫路藩の江戸家老だった。藩から追い出されていた。門から入れない。もう一人の家老が銀山を堀出そうとするのを、三木は止めた。考えの違いだった。桃太郎が調べると、三年も過ぎ、形成が変わってきているからと門から入るのを手伝う。入ってしまえば江戸家老のまま、銀山経営も失敗しているので返り咲いた。
 三井の育てていた二十鉢の盆栽が一晩消えた。桃太郎が探ると、錺職人の親方の横暴が明らかになった。無慈悲な親方から年季が明けた三人の職人が独立する資金にするために自由に出来ない簪を盆栽の鉢に隠していた。外に持ち出したのだ。
 長屋に越後屋の手代が二人で住んでいる。二人の手代の持ち場の反物が切られていた。三井清左衛門に頼まれ調べると、娘がやっていた。娘は男にやらされていた。だが男の正体が分からない。三井・越後屋の信頼を落とすための嫌がらせだろう。
 他にどんな嫌がらせがあった?聞いてしまった桃太郎。

草刈り 中途半端

2015年10月18日日曜日

しゃばけシリーズ9

しゃばけシリーズ9 ゆんでめて 畠中恵  
 弓手(ゆんで・左手)
 長崎屋の若旦那・一太郎の兄がお咲と結婚し小間物屋・青玉屋を開いた。お咲に子が出来てお祝いに行く途中、生目神かなと思った者の後を追ったために、帰るのが遅くなり、長崎屋の近所で起こった家事の対処が出来なくて、屏風のぞきを地下蔵に入れられず、離れを潰されてしまった。何人もの職人に屏風を預けるが、直して貰えず、最後の職人が途中で亡くなり、屏風が行方不明になてしまった。四年経った今でも一太郎は屏風を探している。
 一年前には、小乃屋の七之助さんに近江から千里さんというお嫁さんが来ることが決まった。千里さんといっしょにかなめさんが江戸に来、帰りがけに一太郎は「江戸に嫁に来てもいいと思っていますか』と問うた。
 二年前には、狐と狸と七之助と冬吉と栄吉と寛朝さんと大勢で飛鳥山に花見に行った。
 三年前には、大雨になりみんなが上野に非難した時、利根川の禰々子河童・おねが現れ、神社の宝と言い張っていた玉を龍に帰し、雨降りをとめた。
 が、しかし、生目神は四年前に若旦那が追ったはずの生目神かなと思った、市杵嶋比売命を一太郎の前から消した。新しい日が始まった。屏風のぞきは元気にいる。まだ松之助(お咲の子)も生まれていない。
 七之助の結婚はどうなった? 一太郎はかなめを知らない?

2015年10月17日土曜日

しゃばけシリーズ8

しゃばけシリーズ8 ころころろ 畠中恵
 長崎屋の若旦那・一太郎の目が見えなくなった。
 十二年前、一太郎が12才の時、奇麗だなと思ったお沙衣の母親の目が悪く、生目社を再建するべく、七宝を集めたことがあった。その時に見た生目神をこの度も見た後、目が見えなくなった。みんなで生目神を探す。
 仁吉は妖が見える万次という少年を寛朝がいる広徳寺に連れて行った。母とはぐれて成仏出来ず母を探して人形に代わってしまった女の子を鳴家の持っていた一文銭で三途の川まで案内した。
 佐吉は生目神に会えるかも知れないと思い妖が付いた箱枕で寝て夢の世界に入った。自分を置き去りにした男を食い、鬼になった女がいた。佐吉は女・おたきを助けられたと思う。
 生目神を生け捕った広徳寺で問答を始めた。一太郎は生目神が人間不信の様な気がした。周りの反対を押し切って神と結婚した女が神が少し留守をした間にいなくなっていた。女はどうしたと思うか。という質問に一太郎は菩提寺の過去帳を見ればいい。と答える。神様の時間と人間界の時間が違ったのだろう。一太郎の目は見えるようになった。

2015年10月16日金曜日

燦6

燦6 花の刃 あさのあつこ
 闇神波の騒動を公儀に悟られぬよう処理するために一ヶ月以上経った。闇神波と通じていたのは大殿・常寿だった。鷹・九鬼姫の仇討ちだった。圭寿が自分の子ではないのではないかと疑っていた。
圭寿は山内兵庫之助から話しを聞き、山内に瑞和に家督を譲り隠居する心積もりしておくようにいう。瑞和に江戸表を総べる心と実を伝える。死んで償えることなどない。まだまだ、しなければならないことがある。と言い置く。
 お吉と孤児たちが、ごろつき紛いの遊び人に襲われ、怪我をした。燦はみんなを探し、静門院の屋敷に預けた。静門院・於ようはお吉を侍女にし、子供たちの面倒をみる。お吉は怨みに振り回されて生きるのは愚かだという。お吉は伊月と圭寿の身分を知った。
 圭寿の正室が決まる。大井藩十万石高頭重明次女・輝子8才だった。正室が居なければ国許に帰れない。洪水で大変な国許に早く帰りたいために出立十日前の婚儀に決まった。国をたて治さなければならない。薬草の栽培も考えている。
 薄ケ原鷹丸が書いた「神波碧空伝」の挿し絵ができ上がった。
 圭寿たちは国に帰って来た。
 燦は山中の住み処に帰るが、篠音も興次も居ない。そして、毒が塗られた飛礫に襲われる。

 
父入院

髭麻呂 

髭麻呂 諸田玲子
 髭麻呂 藤原資麻呂24才 検非違使庁に勤める看督長という下位の官人 顔立ちがおっとりしているため、髭をはやしている。母は宮中に務める女官 兄・公麻呂は近衛府の武官で中納言家に婿入りしている。
 雀丸 髭麻呂の従者 捨て子だった。12才~15才
 梓女 髭麻呂の恋人 祖母と母の三人家族 祖母は調香師、母は音を頼りに装束を作る服飾デザイナー 二人が居るために髭麻呂は婿に入る決断ができない。髭麻呂は二人のお気に入り。
 楓館の怪 楓の御方が殺され宝玉が盗まれた。蹴早丸が殺して盗んだことになった。本当は楓のところに通う式部卿が、他の女の娘が舞姫に選ばれたためお金が入り用で楓に無心をしたが、争いになり転んで頭を打ち亡くなった。宝玉を盗んで行ったということだ。梓女の助言で式部卿が宝玉を売ったと思われる商人のところに行くが蹴早丸が先に奪っていた。髭麻呂は蹴早丸の捕縛を命令される
 女心の怪 梓女が宮中の女官になった。髭麻呂が忍んで行き、部屋を間違う。帰る時女官がその部屋に入るのを見た。部屋の女官・初音が殺された。梓女は初音が殺されるのを阻止するために宮中に入っていた。歌会で「世のなかに絶えて初音のなかりぜば 春の山里のどけからまし」と読み山里を捕まえた。
 月夜の政変 花山天皇が蔵人・藤原道兼と右大臣・兼家の騙しで19才で出家した。髭麻呂は護衛に付いた。騙しを知っていても何も出来ず護衛兵と見ていた。後で護衛兵は蹴早丸だったことが分かる。道兼と満仲の宝玉を縫い付けた石帯を強請りとっていた。
 かけがえのないもの 満仲の孫・安麿10才が殺された。孝王丸と常頼も勾引かされている。蹴早丸の仕業と言われた。検非違使の長・尾張義久が次は我が子・義継という。雀丸が義継の代わりに囮になり、蹴早丸に勾引かされる。蹴早丸のところで大勢の孤児たちと働いていた。二人もいたが帰らないという。安麿は蹴早丸ではないという。髭麻呂は安麿を殺した犯人を追う。
 烏丸小路の女人 正月に孤児たちの所から帰った二人がまた戻ってきた。孤児たちの小屋を打ち壊された。髭麻呂は孤児たち四十人を自分の家に引き取った。安麿の死の理由をさぐっている。安麿の母・三の御方に安麿が情事を覗き見したために殺されたのかも知れないことを知らせた。三の御方は自殺した。
 笙と琴 尾張義久から義則の娘との結婚を強いられる。蹴早丸の御陰で縁談は無くなったが、目の前で琴が盗まれ、笙で昏倒させられた。琴は十八年前に謀反の為太宰府に左遷された源高明の持ち物だった。
 香たがえ 三の御方の情事の相手を見付けるために梓女の祖母の手を借り、宮中で香を清める香たがいをすることになった。密会相手は道兼だった。犯人でもなかった。梓女に言い寄る道兼に髭麻呂は自分の妻だと抜刀する。安麿殺した犯人を捕らえたら婿になるという。
 鬼法師の正体 ある時は義則の家人、ある時は借家の大家、ある時は商人、丹波の蔵は盗品の山だった。髭麻呂は蹴早丸が現れるといい、検非違使を動かし丹波の屋敷を囲う。蔵は空っぽだった。髭麻呂の兄・近衛武官の藤原公麻呂が左大臣・源雅信の命令で丹波を召し捕りに来た。丹波は盗賊・鬼法師。盗品は尾張義則の屋敷に運び込まれた。盗品を押収したことを伝える。丹波は捕まった。
梓女の祖母は孤児たちに丹波の屋敷の見張りを頼み、蹴早丸が丹波の蔵に目をつけたと噂を流した。思った通り丹波は義則の屋敷にお宝を運び込んだ。雀丸が髭麻呂の母に伝え、左大臣の耳に入れた。左大臣は高明の従兄弟だった。安麿は丹波が三の御方と道兼の表衣を盗んだのを見たために殺された。
蹴早丸は高明の屋敷に火をつけるのを見たために勾引かされ遊女屋に売られていた高明の娘・明子を探し出し、隠していた。蹴早丸は高明の家人の息子・佐藤春道だった。春道は高明の娘・明子を連れて若狭へ帰った。
髭麻呂は婿になった。
孤児たちは満仲の領地摂津に住むことになった。
雀丸は髭麻呂の息子・藤原小麻呂になった。
髭麻呂は


2015年10月15日木曜日

とびきり屋見立て帖

とびきり屋見立て帖 千両花嫁 山本兼一
 千両花嫁 御道具・とびきり屋という店を三条木屋町に持った真之介は元居た茶道具商・からふね屋に千両箱を結納金の代わりに置いて、お嬢さん・ゆずを略奪してきた。とびきり屋の番頭、手代、丁稚、女子衆を立ち合いに三三九度の盃を交わした。
千両箱を芹沢鴨等が持ち去ったことを聞き、取り返しに行く。真之介は何も出来ず、ゆずが御座敷で桜茶の桜の出身地当てをして、千両を取り返す。
 金蒔絵の蝶 元芸子の小梨花は室町の千倉に嫁いだ。姑に苛められるが頑張っている。姑は他に言い立てることも無くなり、花嫁道具に文句を着ける。真之介夫婦は道具を見に行く。蒔絵の上等の道具ではあるが落ち着いた千倉にはぴったり来ない。ゆずは道具を売ったからふね屋に行き、自分のために作られた落ち着いた花嫁道具を千倉に運び込む。金蒔絵の道具はからふね屋に行った。
 皿ねぶり 坂本龍馬から買い付けたぼろぼろの鎧謐の中に天正大判が十枚入っていた。真之介は返しに行く。一枚を貰い、坂本と勝海舟を下宿させることになった。夜、勝を狙って侍が押し入った。店の者は、あっちこっちと渡り歩いた者たちだったが、力を合わせて店とゆずを護った。
 平蜘蛛の釜 高杉晋作が平蜘蛛の釜と上書きがある箱を坂本に渡して欲しいと持ってくる。ゆずが真之介に伝える前に、近藤勇に売ってしまう。真之介がとり戻しに行くが、近藤は売ってしまっていた。相手はゆずの許嫁だった茶道の家元の息子だった。ゆずは棗を二つ用意し本物を当てたら嫁に来ましょうという。息子が本物とした棗を偽物だといい、壊してしまう。平蜘蛛の釜の破片が入った箱を返してもらう。棗はどちらも偽物、箱だけが本物だった。
 今宵の虎徹 十三本の虎徹がある。本物は一本だけ。近藤が店に来る。これが本物だと自分で選んで持ち帰る。その虎徹が折れる。近藤が怒鳴り込んできた時、今度は折り紙のついた虎徹を渡す。偽物だった。手代・俊寛が本物の虎徹を当てた。
 猿ケ辻の鬼 武市が坂本に会いに来るが留守だった。武市は姉小路公知を攘夷に引きつけておくための贈り物を探していた。真之介は何か良い物はないかと相談される。武市と一緒に来た薩摩の人が般若の面を買った。ゆずは坂本から姉小路公知に蒸気船に乗せるのに言い贈り物は無いかと相談される。ゆずは真之介に真之介から貰った、源氏物語五十四帖の絵柄の特別小さな貝合わせがいいという。真之介はゆずから貰った遠眼鏡を出す。二人はそれぞれに何も見付からない。人の心を動かすのは人の心しかないという。姉小路公知は軍艦に乗った。開国派になったようだ。公知が殺された。花を供えに行くと般若の面が落ちていた。
 目利きの一万両 真之介は赤ん坊の時、知恩院の三門に捨てられていた。辻が花の守り袋があった。辻が花染めはなかなか無く高級品である。同じ柄の布を見付けた。出所を調べると茶道家元に出入りする表具師だった。真之介は自分の出生をしりたかった。
茶道家元の息子とからふね屋の息子と表具師の息子が、勤王派の巣窟に一緒にいたために壬生の新撰組に捕まっていた。真之助は芹沢と一万両と三人の解き放ちを賭けて勝負する。八人が剣術の試合をして一位、二位を当てる。真之介は勝ったが芹沢は三人を放そうとしない。近藤が三人を帰せという会津候のお達しを持って帰って来た。
家元の床の間の掛け軸の絵の古田織部の着ている小袖の模様が辻が花の真之介の守り袋と同じだった。からふね屋が「捨て子のおまえを包んであった裂や」といった。
からふね屋がとびきり屋に来た。「許すも許さんも、おまえら、もう一緒に住んでるやないか」といった。
もうすぐ祇園さん

2015年10月14日水曜日

まんまことシリーズ4

まんまことシリーズ4 ときぐすり 畠中恵
 朝を覚えず 大名のお抱え医師の弟子が作る薬を飲み、老人や、病気の者がなくなった。何日も寝たままの者が出た。麻之助は薬の量や渡す人を見て、薬を試していると考えた。医師を呼び出し酒やつまみに薬を塗り食べさす。自分も食べる。薬を欲しがる人で試すのは止めてくれという。
 たからづくし 清十郎に縁談が持ち上がる。清十郎は丸三の所に逃げ込む。清十郎に好きな人が出来たが相手は武家娘で決まった人がいた。吉五郎は盗賊を追っている。戸を開けてしまった手代は盗賊を入れてしまったことを悔いて、盗賊の一人を放さなかった。麻之介は盗賊の集合場所と渡された巾着の模様から、場所を特定し盗賊は捕まった。
 きんこんかん おきん、お紺、お寛の三人が、団子屋、汁粉屋、煎餅屋の小さな店を出す。三人が吉五郎に言い寄る。何故か。麻之介は大きな店を出させてもらう条件が吉五郎に美味しいと言わせることだと見抜いた。吉五郎が美味しいと言えば儲かると考えた者がいた。利用されたのだった。男は店を出させた者を妾にするつもりだった。三人の女は妾のことを知り断わる。丸三の助けで三人で一つの店を出した。
 すこたん 仲良しの商家が、店が近くになったことで仲たがいをする。息子たちも一人の娘を好きでもないのに取りあう形になる。麻之介は違う商家の息子と一緒になるように芝居をする。
 ともすぎ 吉五郎の様子がおかしい。今まで友達がいなかった丸三は友達と言ってくれる吉五郎を心配する。吉五郎は知りあいの娘に小太刀を教えていた。娘の結婚相手から、武家の賄賂の仲立ちをしている金貸しを探して欲しいと頼まれる。丸三は探し行方不明になる。丸三の手代が丸三に隠れてやっていたことだった。丸三は自分の蔵に閉じこめられていた。
 ときぐすり 麻之介の猫・ふにを助けてくれたのは捕まった盗賊に拾われ育てられ、飯炊きをしていた少年・滝助だった。袋物を縫う息子を亡くした数吉の手伝いをして隠れて暮らしていた。残った手下が滝助の所へ来た時に捕まえた。滝助と盗賊のやり取りを長屋のみんなが聞き、滝助を助ける。滝助は長屋で暮らす。

2015年10月13日火曜日

髪ゆい猫字屋繁盛記4 髪ゆい猫字屋繁盛記5

髪ゆい猫字屋繁盛記4 望の夜 今井絵美子
 梅雨の月  五月 魚竹は売りに出された隣の魚安を買うことに決めた。跡地を「竹とんぼ」と言う朝と昼の飯屋にすることにした。竹とんぼをお多福のおてるに任せる。
 気の晩 鹿一はおたみと佐吉に後悔するようなことはないようにと言われ、父親の見舞いに行く。一ヶ月後、死を見取り、野辺送りをし、埋葬をして帰って来た。
 草の息 五月、およしが男の子を出産。嘉平と名付ける。おたみの夫・今は亡き、尾神の親分の名前だ。
 望の夜 八月 猫字屋の常連客・亀松の女将・お蓮の過去が分かる。お蓮を落籍してくれた旦那は三年会えないまま亡くなっていた。

髪ゆい猫字屋繁盛記5 赤まんま 今井絵美子
 秋麗 山女 赤まんま 神渡し 九月~
 九月五日 竹とんぼが開店した。
 九月二十日 佐吉とおきぬの祝言だった。おきぬは猫字屋で家事をこなす。
 お蓮は立ち直ったようだ。
 錦絵の絵師・菱川瑞泉は嘉平にお乳を飲ませているおよしの絵を描く。
 木戸番小屋の伊之吉とおすえが育てている兄妹の三番目・お梅4が熱を出し、吐き、八丁堀の道玄のところに運ばれるが、次の日に亡くなる。二週間経っても兄・松太郎7、竹二郎5が元気がない。妹が亡くなった所為だと思っていたが、おすえの元気がないことが原因だった。おゆきが助ける。
 喜三次と交代で手習い塾をする高倉の妻の容態が良くない。喜三次は自身番を離れられないので、前に知り合った衣笠睦之介に頼んだ。高倉の妻が亡くなった。
 喜三次は前に、衣笠睦之介の妻・菫を一ヶ月見ていないと言うことを聞き訪ねていた。菫は旗本に呼ばれ、犬に飛びつかれ預かっていた反物を駄目にしてしまい、お金を返すまで預かりになっていた。喜三次は旗本の屋敷へ行き、旗本の次男が犬を調教し、反物にかぶりつくようにされていたことをあばき、菫を連れ帰っていた。
 自身番の前に子供がおきざりにされた。木戸番小屋の伊之助夫婦に預ける。亡くなったお梅と同じくらいのお寿々と言う女の子だ。手掛かりを探して住んでいたところに行くが母親・お苗は戻っていない。

2015年10月12日月曜日

居眠り磐音江戸双紙1

居眠り磐音江戸双紙1 陽炎の辻 佐伯泰英
 またまた読み始める
 明和九年 1772年 四月 
坂崎磐音27才・河出慎之輔28才・小林琴平27才は江戸から豊後関前へ帰って来た。
磐音は琴平の妹・奈緒と祝言を挙げる予定。慎之輔は琴平の妹・舞と結婚している。
 河出慎之輔28才江戸から豊後関前に帰った日、叔父から妻・舞が不義密通を犯していると聞き、手討ちにする。慎之輔の友・舞の兄・小林琴平は慎之輔と慎之輔の叔父を殺してしまう。磐音は本当の事を妹・伊代から聞き、琴平に告げようとするが、琴平は舞の不義の相手と言われた、山尻頼禎をも殺してしまう。磐音は上意討ちで琴平を倒す。
 九月 磐音は関前に居られず江戸に来た。
長屋の大家・金兵衛に紹介され宮戸川で鰻裂きの仕事を見付けた。用心棒を必要とした両替商・今津屋にも雇われた。今津屋は老中・田沼意次の発案・南鐐二朱銀の流通をさせるのことに頭を痛めていた。磐音は両替商行司・阿波屋を敵に回し、貨幣政策に対する謀反を明らかにし、贋南鐐を表に出すことによって今津屋を助けた。

蘭方医・宇津木信吾3

蘭方医・宇津木信吾3 奸計 小杉健治
 文政十一年 1828年 7月
 岡っ引き欣三親分は12年前の押し込みで手込めにされ自殺したおそでに犯人を捕まえると誓っていた。一人の左腕に三つの並び黒子がある。おそでが言った手掛かりだった。信吾の患者・板吉を疑っていた。板吉の左腕は何かを消すように火傷をしていた。欣三は病気で長く生きられないことが分かっていたので焦っていた。板吉と欣三の下っ引きが殺される。犯人は板吉を居候させている古着屋の主人だった。仲間を捕まえ白状させる。黒子のある者もいた。欣三は亡くなる。
 上島漠泉の娘・香保と結婚すれば出世できるということが嫌で断わっていた縁談だが、香保に奥医師・桂川甫賢の弟との縁談が持ち上がり信吾は婚約解消となった。信吾は香保が好きなことを思い知る。シーボルトが日本地図を持ち出そうとしていたこで、シーボルトにいろんな品物を渡した人物が調べられる。上島漠泉も含まれた。桂川家から縁談は解消された。漠泉は屋敷・財産の没収も覚悟している。信吾は漠泉に香保を託された。
 高野長英が幻宗の施療所に来た。


2015年10月11日日曜日

綺良の桜

綺良の桜 今井絵美子 
 綺良は子供の頃、盛岡藩初代藩主の庶子・彦六郎にお嫁さんになると言った。
 綺良の父親は藩主・利直のお側用人で三百石だった。が藩主が重直になり、三十五石になる。
 藩主のお声がかりで彦六郎は家臣の娘と結婚する。
 綺良は南部鉄器を作る鋳物師と結婚し子供ができるが、半年で亡くす。
 49才の時、殿様になった彦六郎に茶釜を届け、話しをする。正室にできなかった綺良を側室に迎えることは出来なかった。という。
 火事で夫を失うが、鋳物師・縫殿の名跡を継ぐ。

2015年10月10日土曜日

しゃばけシリーズ7

しゃばけシリーズ7 いっちばん 畠中恵
 いっちばん 老舗の大店の次男が掏摸をしているようだ。日限の親分は証拠が無い、別人に渡す方法が解らないで悩んでいた。妖たちが若旦那のプレゼントを探し回っているうちに、取った物を隠している所と、仲立ちをする犬と、匂いを見付けた。
 いっぷく 誰かが鳴家を探しているらしい。近江に本店がある唐物屋・小乃屋と西岡屋と廻船問屋・長崎屋で品比べをすることになった。長崎屋だけ情報を与えられない。小乃屋の息子・七之助が情報を教える。鳴家(やなり)を一匹捕まえて一太郎に会いに来る。言いにくそうに妙な事を言う弟の話しをする。弟は一太郎と一緒に三途の川の手前から帰って来た冬吉だった。鳴家を探していたのは、弟の言うことを信用した七之助だった。品比べで点数を取ったのは西岡屋だったが売れたのは長崎屋で次が小乃屋だった。
 天狗の使い魔 一太郎は信濃山の六鬼坊という天狗に勾引かされた。修験者・八坂坊が亡くなり、友達がいなくなった。八坂坊が連れていた管狐・黄唐の世話をしたいのだが、王子の狐の所から出ない、拒まれる。若旦那と引き換えに黄唐を渡せと迫った。一太郎は黄唐と話し、王子を離れられないことを知った。六鬼坊が黄唐の所に遊びに来ることは構わない。話しをできるように話しを付けた。
 餡子は甘いか 美味しい餡子を作れない三春屋の栄吉は安野屋で修業をしている。後から入った八助が手伝っているのに栄吉は店にも入れてもらえなくなって、菓子を作りたいという気持ちになれなくなっていた。もう辞めようと思った時、蔵から砂糖や粉が無くなっていることに気付いた。八助が盗んでいた。栄吉が好きになっていた番頭の娘・おくみが仲良くなっていた八助の友達彦丸も仲間だった。八助が捕まり、注文の菓子を作るのに栄吉も入れてもらえた。栄吉はやっぱり菓子作りは辞められない。好きだ、と思った。
 ひなのちよがみ 厚化粧をしていたお雛が薄化粧になった。火事で焼けた店はたち直ったが、店のやり繰りは大変だった。お雛は白粉袋に千代紙を使い人気が出る。千代紙を仕入れた店・錦屋志乃屋の次男・秀二郎がお雛に求婚する。お雛の許嫁・正三郎は一太郎に泣きつく。仕入れを番頭がするようにすると、同じような袋を志乃屋が売り出す。正三郎は新しく紙入れを作り、当たりくじを引いた人にプレゼントすることを考えついた。厚化粧の三人の中から、お雛を見付けることが出来なかった秀二郎はお雛への求婚を取り下げた。

2015年10月9日金曜日

樽屋三四郎言上帳

樽屋三四郎言上帳 男っ晴れ 井川香四郎
 町名主「樽屋」の若旦那・三四郎23才は家督を継いで三ヶ月。将軍・吉宗に年賀の挨拶に行き、吉宗と話しをする。
 三四郎は”百眼”という裏の務めのことを知る。三四郎は裏や表は嫌い、大岡越前や吉宗に利用されるのは御免だ。という。
 三四郎は無宿の者を集めて向島に町を作る中で、百眼に支えられていることを知る。

髪ゆい猫字屋繁盛記3

髪ゆい猫字屋繁盛記3 十六年待って 今井絵美子
 初花 商家の家内が主人の弟と不義をし、主人を裏切っていることが辛く自殺する。弟も後追い自殺をする。おたみの髪結いの兄妹弟子・おしんが死ぬ。
 十六年待って 魚竹のおゆきの父親・竹蔵は昔の恋人と再会した。再婚を薦められる。妻・おかねの17回忌の相談に行き、住職からおかねの手紙を渡される。おかねは16年たったら再婚しても良いよ。と言う内容だった。
 春の雷 おきぬは兄・丑松のために辛い思いをする。怪我をした理由は丑松が小女に手を出したからだった。居酒屋でおきぬの昔のことを混ぜ返され、おゆきは表情が無くなる。佐吉はおきぬを嫁にすることを家族に話す。
 おたみはおぎんの形見を花魁・千種太夫に渡す。千種に母・おはなとおぎんとおしんの話をする。おぎんは髪結いの師匠、おはなとおしんはおぎんの娘
 卯の花腐し 猫字屋で働き始めた鹿一の所に女が訪ねてくる。母親と10才の鹿一と妹を置き去りにして父親と一緒に逃げた女だった。父親は妹を連れ出し売っていた。探し出した妹は7年前に亡くなっていた。鹿一は父親を許せない。父親はもう長く生きられないらしい。
 おたみは瑞泉におてると菊之助の話をする。


2015年10月8日木曜日

裏江戸探索帖3

裏江戸探索帖3 刃引きの男 鈴木英治
 朝比奈徳太郎28才は、仕官の話しが潰れた大名・信州小諸一万五千石・牧野家の藩主康時から脇差しを貰う。牧野家留守居役から康時の勾引かしを知らされ、救い出すことを頼まれる。犯人豪之助は農民だった。税を徴収する役人を斬り、牢に入っている間に家族、村人多数が餓死していた。敵討ちのため、国許の家老と商人を洞窟の入り口に蓋をし閉じこめる。殿様を餓死させるつもりだった。徳太郎に見付けられ、豪之助は自死する。康時に礼をと言われ、善政を願う。
 山内修馬は商家の妾・摩伊の用心棒を頼まれる。摩伊は盗賊の元情婦だった。久岡勘兵衛と手を組み、おとりで摩伊が勾引かされ、隠れ家で盗賊を捕まえる計画を立てる。修馬も手を貸す。隠れ家で全てを捕まえる。
 勘兵衛は修馬の徒目付のお役御免には誰かの作為を感じるという。勘兵衛は今も調べているらしい。

2015年10月7日水曜日

百万両の伊達男3

百万両の伊達男3 雪辱の徒花 稲葉稔
 櫻井慎之介は水野越前守忠邦の家来を名乗る武士に水野出羽守忠成を失脚させようと持ちかけられる。ために御用金を狙うことにした。仲間が皆殺しにすることに驚き、仲間が自分とお松を殺そうとしたことに腹を立てる。お松と慎之介は仲間を見付け出し三千両を取り返す。慎之介はお目付けにお金を渡し、礼金を貰うことにする。礼金三両だった。

2015年10月6日火曜日

まんまごとシリーズ3

まんまごとシリーズ3 こいわすれ 畠中恵
 おさかなばなし 置いてけ堀に河童が出るはなし。姉が嫌な縁談を断われず荒れた弟がたまたま置いてけ堀で刀を振り回しお金を手に入れた。お金は返した。川崎の商人が二年前に川崎の置いてけ堀で亡くした子を江戸で探していた。
 お江戸の一番 趣味の会・書道の連と川柳の連、どちらが一番か両国の見世物小屋の人の入りで決めようとした。他の連から嫉まれるほどの人気、双方の頭がお目当ての茶屋の娘は我が物には出来なかった。もともと茶屋の娘狙いだった。
 御身の名は 清十郎の町入用のお金をくすねた番頭の話。お寿ずの幼友達の嫉妬。
 おとこだて 夫の暴力のため離縁して欲しいが持参金を返せないために離縁してもらえない女のために不倫の噂を作り離縁されるようにしようとした、弟の友達。
 鬼神のお告げ 鬼神のお告げの番号の富くじを買い、本当に当たった話し。富くじの不正を暴く。当たった男に孤児院への寄付をすることを約束させ不正をしていた。
 もうすぐ出産を控えていたお寿ずが早産した。女の子は生まれてすぐ亡くなり、半月後寿ずが亡くなった。女の子は咲と名付けられた。
 こいわすれ 麻之助は縁談が潰れて自殺しようとした娘を助けた。娘と相手の男と男が前に付き合っていた女と家族が集められる。男が母親の言いなりなのが分かって、二人の女は納得して別れる。
 いつも寿ずに話しかける麻之助が、寿ずの死後初めて泣いた。

2015年10月5日月曜日

口入れ屋用心棒29

口入れ屋用心棒29 九層倍の怨 鈴木英治

2015年10月4日日曜日

渋沢瑛一の東京事件簿

渋沢瑛一の東京事件簿 偽装強盗 六道慧 
 ご算用日記の昭和版
 昭和三十七年 1962
 渋沢瑛一21 父親が連帯保証人になった三千万円の借金のため大学を諦め、二年間町工場を渡り職人のように転々とし、四月から曙信用金庫に勤める。やくざ絡みの会社への融資を断わり、中小企業特別支援課、別名お困り課に移動。
 母方の生田家に伝わる古文書を見付ける。
父・敏之50鉄工所社長 母・芙美48 兄・崇史26都市銀行の頭取令嬢と結婚し小沢家に婿入り
 友人・同僚・山田光平、恋人?婦人警官中里千春 父親が大きな製紙会社の社長で市議会議員
 信用金庫から今月中に二億円のノルマを課せられる。八百屋の惣菜売りのための改装の為の費用、土地を買いアパートを建てる人、工場の資金繰り、貯金などノルマ達成。
 一億円の仕事、サイコロの一億円になる仕事。

2015年10月3日土曜日

幽恋船 

幽恋船 諸田玲子  
 杉崎兵五郎47才 禄高千七百石の旗本寄合中川御番所勤務
 夜、中川番所前を通る鎌倉からやって来たたけ17とつるを保護する。たけは自分の父母のことを知りたいと言う。
たけは、夜、自分の意識が無いままに行動することがあるという。たけが兵五郎の伯母・鈴尾を殺した容疑がかかる。つるがやったことだった。兵五郎はたけの濡れ衣を晴らすために調べ、身を勾引かされ隠されている所を探し回る。飯田藩はたけが持っているかも知れない昔の悪行の証拠の書き付けをさがしていた。持っていたつるの祖父は、大名を強請ろうとして殺された。たけはつるに変な行動ををとることがあると、おもいこまされていた。たけのぬれ衣をはらし、一緒になる

2015年10月2日金曜日

出世花 

出世花 蓮花の契り  高田郁
 文化三年 1806年三月火事
 ふたり静 火事の後行方が判らなくなっていた遊女・てまりが記憶を無くして数珠師の家で暮らしていた。痴呆の母親に嫁と思われ看病していた。母親が亡くなり三味聖・正縁が仏を洗い清めるのを見て、全てを思い出す。遊女であったことを引け目に感じるてまりと歳のことを気にする数珠師・与一郎寄り添って帰って行く。
 青葉風 文化四年 1807年 彼岸 火事で焼けた日本橋店が新しくなった桜花堂で、お縁は半年暮らすことになった。桜花堂の女将・お香はお縁の生みの母だが、公にはなっていない。養女にしたかった娘だ。お得意さん・遠州屋が桜花堂の最中を食べて亡くなった。一緒に食べた人たちが、味がおかしかった。という。仙太郎は牢に入れられる。お縁は味がおかしかったのは遠州屋が棗の葉のお茶を飲み、最中を食べたため、甘さを感じなかったことを証明し、仙太郎は帰ることができた。
 夢の浮橋 しっくりいっていなかった仙太郎夫婦がお縁がいることで、上手くいかず、お染が実家に帰ってしまった。お腹に赤子がいることを知ったお縁は仙太郎をお染に逢わそうと深川に行く。永代橋が落ちる。定町廻り同心・新藤松乃輔に頼まれ、お縁は遺体の処置をする。仙太郎は深川のお染が心配で見に行きお腹に子供がいることを知り、やり直すことを決めた。お縁は三昧聖として生きて行くことを決める。
 蓮花の契り 青泉寺で湯潅をし荼毘に伏すことを禁止され、正真と正念が寺社奉行に連れていかれる。二人が帰って来ても沙汰待ちで門は閉じられていた。正念の実家・富澤藩から跡継ぎになるよう誘いが掛かる。正念の姉あやめの子を抱いたことで心が揺れる。正念とお縁が夫婦になり子を為すことが出来ると誘う。二人で元老中の母親・ふみの湯潅をし、ふみの生涯を思い、二人は男と女として契るのではなく、仏の弟子として共に生きたいと思った。正念は還俗しないことを決めた。青泉寺はお咎めなしとなる。
 正縁は桜花堂の寄進で戸塚村に庵をむすぶことになった。
 

2015年10月1日木曜日

鬼の大江戸ふしぎ帖

鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える 和田はつ子
 鬼が見える 大江戸「町」物語 風 2015年4月26日参照
渡辺源時は妹の勾引かしがあってから鬼が見えるようになった。事件を解決する。
 鬼の声 源時は四天王だが、悪い鬼しか退治しない。鬼と心で話しができる。噺会に行くと席亭の主も、妹・お福の友達も、鼠鬼や兎鬼だった。源時が使う下っ引き・花吉は蚊蜻蛉鬼だった。穂家屋の主が寮で死んでいた。死んだ理由が分からなかった。疑われたのは辛く当たられていた克次だったが、克次は借金を返済してもらい、今は顔を衝立で隠した噺家・希朝になっていた。穂家屋の主は鴬鬼だった。娘を売られ、孫にまで手を出そうとしていることを知った同じ鴬鬼の大番頭に殺されていた。
 源時は祖父の残した書き付けを見る。海老屋の初孫が死んで生まれた時、祖父・八兵衛は死ぬ間際の女から四天王になったら巻き物を渡して欲しいという言葉と共に赤子を託された。八兵衛は源時のために道場に通わせ渡辺綱の末裔を探した。同心だと分かった時、同心株を買い、海老屋の跡取りにするのを諦めた。巻き物には鬼の種類や特性が書かれていた。
 鬼の饗宴 食い逃げをしている権太郎・狼鬼を希朝・時鳥鬼が助けていた。権太郎が怪我をしているのに出会い、稀世に治療を頼む。楽田狼太の知り合いだった。権太郎と美優兄妹が楽田と住むようになる。楽田は盗賊のような狼鬼の宿命が嫌で抑えた生活をしているが、兄妹は自然に生きようと誘う。兄妹は自由に盗賊紛いのことをして生きてきていた。権太郎が殺された。殺したのは仏の安っさんと呼ばれる定町廻り同心・原本安次郎・兎鬼だった。三ヶ月前、医者の勉強に長崎に旅立った弟が権太郎兄妹に殺されていた。原本は美優に噛みつかれ死ぬが遺書が見付かり自死とされる。美優は逃げた。
 鬼が匂う 源時は屏風の向こうの希朝が見えるようになる。
弱い鬼に光米を食べさせて強くし、強い鬼と戦わせるのを見るという遊びを金持ち鬼がしているらしい。時鳥鬼の希朝と狼鬼の楽田が利用される。間際源時が希朝のお腹を押さえ、トカゲを吐き出させ、助ける。源時は鉄砲で撃たれる。稀世の縫合で止血はしたが高熱の状態が続いた。三日目看病する稀世の手の甲から芽が出て花が咲いた。源時の額にかざされた手から密が落ち、源時の熱が引いた。稀世は希少な華鬼だった。

2015年9月30日水曜日

まんまことシリーズ2

まんまことシリーズ2 こいしり 畠中恵
 こいしり 麻之助の祝言の日、八木源兵衛は卒中で倒れた。祝言は日延べされる。卒中で倒れた源兵衛は、昔関係のあった二人の女性が、今幸せかを気にする。麻之助と清十郎は二人を探す。二人は源兵衛を見舞った。麻之助と寿ずの祝言が行なわれた。
 みけとらふに 八木源兵衛がなくなった。見習い同心・相馬吉五郎が三匹のねこを連れてきた。変な猫の噂を調べると、詐欺が見付かり、縁魔蔵の台座に詐欺で集めたお金が見付かった。清十郎が「みけ」を吉五郎が「とら」を自分の猫を「ふに」と名付け飼うことにした。
 百物語の後 百物語の会を開き、懐を狙う者がいた。娘を連れていかれた男が麻之助や清十郎たちの力を借りて娘の消息を掴む。百物語の会の床下に埋められ、白骨遺体で見付かった。
 清十郎の問い 麻之助の元に、勝守を落とした人が二人くる。見付かったのは一つだけ、どちらも自分のものだと言う。寿ずの関係者とお由有の関係者だった。旗本と結婚したくない女は貰った勝守を川に棄てていた。結婚出来なくなるのがいやな商家の手代は持っていた。旗本との縁談は壊れ、手代と上手くいくかも知れないね。麻之助は寿ずとお由有のどちらの味方をした?と聞かれる。
 今日の先 命が短いことが分かり遊びに連れて行って欲しいと商家の主が現れる。病気では無いことが分かり、弟の借金を払ってやり、跡継ぎも決まった。
 せなかあわせ 恋文が見付かる。麻之助と寿ずは誰が書いたものか調べる。書いた人は亡くなっていた。住職に手紙を渡す。
 

2015年9月29日火曜日

しゃばけシリーズ2

しゃばけシリーズ2 ぬしさまへ 畠中恵
 ぬしさまへ 仁吉に来た恋文騒動 火事のためにお嬢さんと女中の立場が逆転してしまった。いつもはお嬢さんの為に手紙を代筆する女中が、仁吉に出す手紙の代筆をしなかった。お嬢さんは女中の好きな仁吉に好きでもないのに手紙を出す。待ち合わせの場所で揉めて、お嬢さんを殺すことになってしまった。
 栄吉の菓子 栄吉の菓子を買ってくれる隠居が栄吉の菓子を食べて死んだと言われた。一太郎は死因を調べる。殺しと思われるようにした自殺だった。箪笥のからくり戸の奥に書き置きがあった。
 空のビードロ 一太郎の腹違いの兄・松之助が奉公していた店・東屋という桶屋が火事になり焼き出された松之助が長崎屋にくる。
 四布の布団 一太郎の布団がすすり泣く。五布の布団を頼んだのにと注文と違った物が来たと布団屋に言いに行く。隣の部屋で番頭が死んでいた。一太郎は番頭が亡くなった場所を探し、階段から落ちたということを見付ける。布団を作る娘たちがしかられて泣いていたのだった。
 仁吉の思い人 仁吉の好きな人は妖だった。彼女は三千年前に好きな人と出会い、鈴を貰った。彼は人間なのですぐに亡くなる。でも何百年かすると出会う。亡くなってもまた出会う。一度はすれ違いで死んでいた。最後に出会い一太郎の祖父母になった。彼女は皮衣様だった。
 虹を見し事 一太郎の命を狙う暗紅という妖が来る。外に出るなという兄やの言うことを聞かないために妖たちは一計を案じる。周りから、妖がいなくなる。一太郎は誰かの夢の中と考える。暗紅を捕まえるための罠だった。暗紅は捕まる。一連の中で合わない話しがある。調べると女中のおまきが帰っていた故郷から江戸につくまでに殺されていたことがわかった。

2015年9月28日月曜日

狸穴あいあい坂3

狸穴あいあい坂3 心がわり 諸田玲子
 結寿は妻木道三郎の面影を消せずに暮らしている。
 小山田家にお婆さまの遠い親戚だという柘植平左衛門が訪ねて来、居候している。
 大火事があり、道三郎の妻は足に大怪我をした。妻から離縁を言うが、道三郎は引き止めている。結寿が懐妊したことが分かる。
 柘植は泥棒だった。元旗本の若殿が主犯で柘植は家来だった。小山田の庭に盗んだ物を隠していた。盗品を掘り出し出てきた所を捕まえるつもりだったが、お婆さまが人質になり、掘り返した後殺されそうになる。平左衛門がお婆さまを庇って殺される。犯人・若殿は捕まり、盗品は返される。
 小山田万右衛門は万之助に家督を譲ることを許される。盗賊の一味を居候させてしまった咎で、小普請に格下げされた。万右衛門は切腹を考えていたが、廻りの者の機転で幸左衛門と共に出家した。
 結寿は溝口の家で子を産むことになり実家に籠もる。口入れ屋ゆすら庵の次男・小源太から小山田家がゆすら庵の近くに屋敷替えしたことを聞く。実家の継母から子供が生まれれば離縁すると言われる。
 結寿は家を出た。狸穴坂で歩けなくなった。人に助けられゆすら庵で赤ん坊を産んだ。会ってもくれなかった万之助だったが年の瀬には小山田家に落ち着いた。弟・新之助は幸左衛門の所にいる。
 子供の名は香苗、結寿の亡母の名前だった。

2015年9月27日日曜日

狸穴あいあい坂2

狸穴あいあい坂2 恋かたみ 諸田玲子
 春の雪 旗本から出火した。辞めさせられた女中が疑われる。道三郎に探してもらう。火付けは奥様だった。女中はいろいろ知っている長屋の女を毒殺した。火付けも自分だと言っている  
 鬼の宿 初夏 宗仙の俳諧仲間の屋敷が火事になり一人死亡した火事見舞いに行く。結寿も一緒に行く。道三郎が隠密で張り込んでいた。火事になったのは住人・後室・吉也の恋人が盗賊の仲間で離れに仲間を連れ込んでいた。死亡したのは恋人で隠していた盗品を持ち出し家を焼いたのだった。盗賊は捕まった。
 結寿の縁談が決まった。
 駆け落ち 15年さがした仇討ち相手が見付かった。母親が駆け落ちした相手だった。姑に苛められていた母親を連れ出していたという事が分かった。母親が死ぬまで放さなかった息子の着物を見せられる。殺せないで帰った。結寿も駆け落ちすると廻りに迷惑がかかることを知らされる。
 星の坂 別れを言うために八丁堀へ行く。道三郎に姉から送り込まれている縁談相手がいる事を知る。結寿と彦太郎は、易者になって張り込む道三郎に会う。盗賊の女を捕まえるが、彦太郎が人質になる。交換して放された女を百介が追い、盗賊を捕まえた。屋台で食事をする。結寿は狸穴坂で道三郎を思い出し、幸せになる、と言う。キスして別れる。
 恋の形見 何もない母の形見、探そうと思っていると父親が、文箱と遺髪を掘り出した。
 山桜桃の木の下に道三郎に初めて会った時と別れの日に着ていた納戸色の結城着物を埋める。
 お婆さまの猫 御先手組与力・小山田万之助と結婚した。火盗改方を兼任しない。お婆さまの猫がいなくなった。連れ出したのは髪結いだった。逃げた猫は吝嗇で知れた旗本のもとにいる事が判る。お城の猫が逃げ、探している噂を流し、向こうから出してくるのを待った。道三郎を忘れられない。祝言の時も初夜の床でも道三郎を思い出し泣いた。
 月見船 組頭の奥様・千里に雪見に誘われた。千里は幼馴染みが甲府に行くので忍び会うらしい。途中、千里の夫が倒れたと連絡があった。結寿は船で出ているということにして、船宿を探す。文を書き障子の隙間に差し込んでもらう。千里は道を誤る所だったと告白する。見舞いに行くと、良き奥様だった。万之助は船に乗っていなかっただろうという。
 盗難騒ぎ 小山田の次男が刀を質に入れたと大騒ぎ。養子先を探し中だ。近くの旗本家にも盗難騒ぎがあったと思ったら取り下げたり。旗本にも次男、三男がいる。旗本の中間が疑われる。中間を入れた口入れ屋の信用がなくなる。結寿の祖父が世話になっている口入れ屋だ。いろんな情報を道三郎に流す。道三郎が盗賊一味を捕まえた時、小山田家の刀と旗本の刀を渡してくれた。盗品の中にあれば厄介のことになる。
 結寿は次男・新之助に、次男は思うようにいかぬとお思いでしょうが、思い通りにゆかぬは次男だけではない。という。ない人などいない。お婆さまの年になるとかけがえのない思い出になるようです。
 彦太郎に道三郎が再婚したことを知らされる。

狸穴あいあい坂

狸穴あいあい坂 諸田玲子
 狸穴坂で結寿17は隠密廻り同心妻木道三郎27と出会う。結寿は火盗改方与力の娘だった。御先手組の屋敷を出て、元火盗改の祖父と住んでいた。妻木道三郎には彦太郎という息子がいた。妻が亡くなり、姉夫婦に預けていた。
 ムジナのしっぽ 40年前の葵小僧捕縛の時、妻が火盗に取り調べられ、犠牲にされた娘の死に目にも会わせてもらえなかった中間が、結寿の祖父・幸左衛門の前で孫・結寿を痛めつけ見せてやろうとした。道三郎は中間を追っていた。結寿が中間に捕まった時飛び込み、幸左衛門が捕まえた。道三郎は幸左衛門に捕縛術の門弟にして欲しいというが、町方なので断わられる。
 涙雨 乳母が旗本の家から子供を連れ去る。結寿と道三郎は木母寺で乳母を捕まえる。道三郎は赤ん坊を旗本に返し、女を東慶寺に入れるように手配する。
 割れ鍋のふた 火盗改同心・奥津貞之進の姉・佐代に、掛け軸の盗難を相談される。道三郎が捕まえた男の女房は文句ばかり言っていたが、捕まった男をみて抱きあって泣く。佐代は好きな人がいながら結婚したので、夫婦仲は上手く行っていないと言う。結寿は全部吐き出せという。二人は解りあえた。
 ぐずり心中 火盗の娘と植木屋の息子の心中が見付かる。道三郎は殺したのは娘で娘は自死だと思うが、火盗改が調べもせず、男が殺した心中で片付ける。
 遠花火 宗仙先生が好きになった水茶屋の女将は盗賊の一味だった。昔、奉公していた旗本に手を付けられ放り出された。その旗本と旗本と関係のある商家を狙っていた。
 ミミズかオケラか 結寿は彦太郎を誰の子かは内緒で預かる。幸左衛門と仲よくなる。弥之吉はおとりが川にはまった所を見ていた。火事よけの札をいたずらっ子に川に投げられそれを拾おうとしてはまり、亡くなった。父親が捕まり弥之吉は勇気を出して見たことを告白する。
 恋心 火盗改同心・早川求馬の妹・鈴江18は貞之進が好きだ。鈴江は貞之進の名前で呼び出され、勾引かされ、陵辱された。結寿も捕まる。道三郎が助けに来た。火盗が捕まえた盗賊の残りだった。
 春の兆し 鈴江を預かっているところに彦太郎が来て、鈴江は元気になる。貞之進は鈴江と一緒になろうと思っている。彦太郎を養子にしようと思っていた一行がやって来る。鈴江と貞之進が、結寿と道三郎になって応対する。幸左衛門に孫娘を助けたのは妻木だから粗略に扱わないようにと言葉を残して帰った。
 道三郎も捕縛術を習えるようになった。


2015年9月26日土曜日

まんまこと

まんまこと 畠中恵
 神田古名主・高橋宗右衛門の息子・麻之助22才
 真面目で勤勉だった麻之助は、16才の時、お気楽な若者に変わった。好きだった2才上のお由有が幼馴染み・清十郎の父親・古名主・八木源兵衛と一緒になったから。このことは廻りの人にも知られていない。源兵衛はお由有のお腹の子の父親になった。麻之助はこの子の父親になってくれる?と聞かれた時、答えられなかった。その時のお腹の子は幸太6才、清十郎の弟だ。麻之助は可愛がっている。
 まんまこと お腹の子は麻之助だという商家の娘が現れる。商家の娘の許嫁が急な病で亡くなった。コッソリ付きあっていた許嫁の弟の子供だった。次男が商家の跡継ぎになり、条件のいい娘からの縁談が沸き上がり、兄の許嫁など邪魔になった。麻之助はみんな(弟の縁談相手)を集め、全てを明らかにする。娘はかなり年上の人の所に子供と共にお嫁に行った。弟の縁談は破談になった。
 柿の実を半分 質屋の主・小左衛門に娘だという女・お紺が現れた。家族がいない小左衛門は淋しさから作り話しと知りながら受け入れる。親戚が承知しない。麻之助はお紺が小左衛門の娘でないことを証明し、二人を夫婦にした。
 万年、青いやつ 麻之助の三人組の一人・同心・相馬吉五郎が麻之助に縁談を持ってくる。廻りはみんな乗り気だ。縁談の相手・野崎寿ず20には病気の好きな人・水元又四郎がいた。寿ずは麻之助を又四郎に会わし、縁談に乗った振りをして又四郎と会えるようにして欲しいという。名前のない万年青の芽の鉢の持ち主を見付ける。自分の物だというのは二人、本当の持ち主は、いつも賞をとる商家の主の万年青を栽培している植木屋の若い職人だった。新種を小さく切って芽を出させた。仕事を辞める時その鉢をもらって行く。
 吾が子か、他の子か、誰の子か 松平家の家臣で百石の大木田七郎右衛門が八木幸太は自分の孫だと言ってくる。麻之助たちは七郎右衛門の孫を探す。孫はいなかった。見付かったのは七郎右衛門の娘だった。母は矢場の女だった。七郎右衛門がその後どうしたか判らない。
 こけ未練 水元家に行くことになっているがなかなか足が進まない。お女中の迷い犬・狆・こりんを拾う。結婚に踏ん切りのつかない娘・おしんを助ける。
 水元又四郎に『寿ずを頼む』と言われる。
 静心なく 寿ずが又四郎が亡くなったことを麻之助に告げにきた。
 幸太が勾引かされた。源兵衛が卒中で倒れる。寿ずが縁談を断わりに来た。女手が欲しく寿ずも巻き込まれる。源兵衛の裁定に不満を持っていた料理屋の息子と母親の仕業だった。裁定の意味も息子を庇った父親や源兵衛の行動の意味も知らず、今回知らされた息子と母親は納得する。勾引かしはなかったことにした。
 寿ずとの縁談は二人が断わっても決まってしまった。
 

2015年9月25日金曜日

箱館奉行所始末3

箱館奉行所始末3 密命狩り 森真沙子
 慶応二年 1866年 三月
 支倉幸四郎は、三年前、藩役人を三人斬り殺し逃げている松前藩勘定目付だった藩士・久留津辰之助25才を討伐するよう命令される。
 幸四郎は、馬名人・小野儀三郎、山を良く知る陶芸家・蒲原彦次郎、独眼の猟師・半蔵、アイヌ語が分かる・巴御前と五人で山に入る。
 途中、久留津が三人を斬ったのは、アイヌの女に対する役人の態度に腹を立てたためということが分かり、討伐するのを躊躇う気が出てきた。また、久留津はアイヌに慕われていた。
 鹿取りの罠に掛かり、彦次郎は死ぬ。半蔵はアイヌの矢に首を刺され邪魔にならぬよう自死した。久留米が銃で幸四郎を狙った時、巴は銃口の前に立ちふさがり死ぬ。幸四郎は、久留津を斬る。
 久留津の言い付け通りアイヌの青年が幸四郎たちを逃がしてくれた。
 小出は江戸に帰ることになった。

2015年9月24日木曜日

箱館奉行所始末2

箱館奉行所始末2 小出大和守の秘命 森真沙子
 慶応二年 1866年 正月 支倉幸四郎もうすぐ25才
 新庁舎の小屋に付け火があった。アイヌによるもののように見せかけたところもあるが、犯人は、役人・沼田だった。五稜郭の普請時に二重帳簿を作り、未だに商人との癒着が続いているということで、捕まる前に自死した。火事は書類を焼いてしまいたかったという。幸四郎は沼田の質素な屋敷を見、調べても金使いも荒くなく、誰か後ろにいると思われるが、お金がどこに流れているか分からない。
 幸四郎は、アメリカの領事・ライスが「自分の孫はライスの息子だ。」という山越に強請られている、といいう相談を受ける。幸四郎は山越を調べ、子供を調べ、結果、フランスが後ろにいることをつきとめる。山越の娘はアメリカ領事館の家来の子だった。山越は本土に帰っていた。ライスはその子が見付かったら自分が育てるという。
 幸四郎は女に命を狙われる。女ではなく、役者だった。商家の主が自分の不正を調べられていると思い、先回りして殺そうとしたのだった。
 孝四郎は倒幕浪士・門馬豪助を国事犯として護送して江戸に帰った。左絵とのことが明らかになり、結び目を解かなかったことで人生は変わる。運命だったのだと納得する。
 絵師・平澤屏山と知りあう。屏山が描いた女は、門馬がしもやけの薬を渡してくれと頼んだ女だった。幸四郎が会いに行くといなくなっていた。

2015年9月23日水曜日

箱館奉行所始末1

箱館奉行所始末1 異人館の犯罪 森真沙子
 元治元年 1864年 7月 支倉幸四郎箱館着
 支倉幸四郎23才 五百石の旗本 許嫁の長岡左絵がいたが、左絵の父親に娘から遠ざけるために箱館行きにされたような気がしていた。一年半後、箱館奉行・小出大和守31才が外国奉行・柴田剛中から引き抜いたことを知る。長岡左絵が嫁いだ事も知る。
 支倉幸四郎 小出大和守秀実の配下・支配調役
 出仕挨拶に昼寝し、遅れる。
 突進してくる馬車から女を救う。異人は幸四郎に笞をふるい額を掠った。奉行に叱責され幸四郎はどこの国の誰かをつき留める。幸四郎は今までの自分は通用しない。と分かった。プロイセン領事館から照会の名前に心当たりはないと言う返事がきた。シュナイダーを調べまわる。米人・ハワードに見届け人を頼み、シュナイダーに謝罪を要求、断わられたので、笞で打ち返した。正式に訴えて頂きたい。という。居ない者は訴えられない。
自分で我が身を守る。受け身ではいけないことを肝に銘じる。自分の流儀を持つ。
 元治二年 1865年 4月 慶応となった
 留学生としてロシアに行くことになった志賀浦太郎は知らない間にロシアの密偵になっていた。日本を離れるに際し、支倉を次の密偵にするように言われた。らしい。二人で商家・能登屋と亡くなった役人を調べる。密輸を疑い張り込んでいる時、小出奉行は能登屋を取り押さえた。亡くなったはずの役人とお奉行は密輸を調べていたのだった。志賀のロシアへの留学はなくなった。
 しゃべることが出来ないが頭のよさそうな子供を助ける。飯炊きのうめに預ける。
 英吉利人によりアイヌの墓から骨を盗まれる。十三体分は返った。以前の三体は本国に送られている。小出は取り引きしない。ただ、返されるように突っぱねる。

2015年9月22日火曜日

料理人季蔵捕物控28 第二幕

料理人季蔵捕物控28 第二幕 夏おにぎり 和田はつ子
 おき玖は南町奉行所同心・伊沢蔵之進と祝言を挙げた。
 季蔵は忙しくて瑠璃を診てもらえなくなった寺田先生に代わり、岡野玄良に瑠璃を診てもらうことにした。瑠璃は季蔵を季之助と呼び良くなったようだ。
 玄良は次期老中と思われている瀬戸備中守を亡き者にしようとする一派の仕掛けに掛かり、殺しに利用されていた。季蔵に毒殺を阻止され、季蔵に尋問される前に仲間と殺し合って亡くなった。後ろで糸を引いている者はわからなくなった。
 

2015年9月21日月曜日

読売屋天一郎【5】

読売屋天一郎【5】 笑う鬼 辻堂魁
 「末成り屋」の売り子・和助25の所に娘・お慶が転がり込んでいた。娘を狙った権太郎たちが斬り込んできた。和助はお慶を逃がすが、和助は捕まる。天一郎はお慶の話を聞き、和助を探し助け出す。
 お慶の名は真矢・材木商朱雀屋の娘だった。後妻・津多が自分の産んだ子を跡取りにしたく真矢を殺そうと頼んだ。津多は大和小平家七万三千石の隠居・了楽の口車に乗り、五百両以上を用立てていた。了楽は四十という若さで贅沢好きのため隠居させられていた。
 末成り屋の後ろ盾になっている座頭・玄の市は元小平家の家臣だった。目が不自由になり藩を離れていた。三十五年振りに会った友達・内海信夫に藩のため百両を貸した。が内海は了楽の金使いを諌めたため、元青木十郎右衛門・現九柳典全に殺された。玄の市は内海の仇を討つ。
 朱雀屋の当主は病気療養のため寮に移った。津多は主の介護に付く。店は真矢が継ぐ。番頭の太兵衛が中心になりやって行く。真矢が弟を育てる。真矢は和助に朱雀屋に婿として来てくれるように言うが、和助は断わる。

2015年9月20日日曜日

婿同心捕物控え3

婿同心捕物控え3 踊る女狐 早見俊
 文化九年 1826年
 先手弓組み同心・火付け盗賊改方同心・桐生直次郎26才は、商家に入り稲荷から油揚げ一枚を盗み『女狐のお陽参上』の書き付けを残すお陽を捕まえることになった。
直次郎は箱根で捕まった、地蔵の権太を引き取りに行くが、逃がしてしまう。
 南町奉行所定町廻り同心・向井庄之助・直次郎の道場仲間は、足をくじいたお久美と知りあう。お久美はお陽だった。捕まえる。お久美に油揚げの盗みをさせていたのは権太だった。権太を取り逃がし行方不明になる。
 凶悪犯の悪鬼の兵五郎一味を追いかけいる。兵五郎の情報が投げ文で知らされ、手下が捕まる。直次郎の実家・布袋屋に兵五郎が押し入ると知らされ、火盗改が兵五郎を捕まえる。
 権太は兵五郎に押し入られ皆殺しにされた大阪の商家の息子だった。兵五郎の仲間に入り捕縛されるように火盗に情報を流した。仲間に入るために大金を隠してある稲荷を探している風を装ったのだった。
 

2015年9月19日土曜日

幕府役人事情2

幕府役人事情2 ちょっと徳右衛門 稲葉稔
 八十石御先手弓組与力・浜野徳右衛門32才 
 初鰹 組頭・可児宗之助の屋敷での剣術試合に代理で出場、個人戦は負けたが、勝ち抜き戦では徳右衛門が四連勝で可児組みの勝ちになった。
 上士と下士 息子・慎之介たちは、手習い所で旗本の息子・万次郎に苛められていた。万次郎は家では兄たちに苛められていた。徳右衛門は万次郎の父親にありにままを話す。父親は万次郎に謝らす。
 分不相応 近くの一膳飯屋に人質をとってたて籠もった若者がいた。元奥右筆の妾の息子だった。妾と手を切った父親を呼んで来い。と言い募った。親は来なかった。
 小平次の迷い 小平次は徳右衛門の中間になって7年になる。友達から金儲けの手伝いを頼まれる。悪計だ。徳右衛門の優しさにふれ断わろうと思った。
 消えた手文庫 慎之介の手習い所の先生から、手文庫が盗まれたので内緒で調べて欲しいと言われる。可能性を考え、博打場へも行き斬りあいまでして探す。先生の一言で傷ついた生徒の盗みだった。先生は父親と子供の前で、自分の一言を誤る。
 

2015年9月18日金曜日

新・剣客太平記(二)

新・剣客太平記(二) 師弟 岡本さとる
 筆の便り 竹中庄太夫が代筆した少年・金太の母親・おさよが行方不明になっていた。半次と猿三に探してもらう。金太と一緒に暮らそうと言う男の言葉に騙され、売られそうになっていた。竜蔵はおさよを助け出し、お山の東三と言う博打打ちに話を付けた
 夫婦剣法 十年前に、竜蔵の助けで仇討ちを成し遂げ国許に帰っていた黒鉄剣之助が江戸定府になった。尾長雄三郎に因縁をつけられ試合することになった。今まで逃げ回っていたのだが、妻・蔦の助言も有り、竜蔵の助けも有り試合に勝つ。
 墓参り 父・虎蔵の墓参りに行き、昔、虎蔵がやくざから助けたおせいと出会う。やくざから助けてもらいながら、虎蔵が亡くなったことを聞き、もっと悪い奴と手を組んでしまっていた。二年前虎蔵の墓を知り、後悔していたが抜け出せなかった。母・志津に言われ、虎蔵と同じように、おせいを救い出し、大目付・佐原信濃守の屋敷の女中奉公に出した。
 刀狩り 未熟な者が、おだてられ己の名声に酔っているそんな者が、試合を挑まれ、負ければ刀を取られる事件が五件続いた。竜蔵は井中剣峰と名乗る者・野田鉄次郎を探し、試合を挑む。竜蔵は勝ち、話しを聞き、取った刀を一軒一軒返させる。最後の旗本・直心影流・森山伝之助の時、竜蔵は助け船を出す。野田鉄二郎は百姓をするつもりだ。たまには道場に遊びに来いと誘う。

2015年9月17日木曜日

しゃばけシリーズ6

しゃばけシリーズ6 ちんぷんかん 畠中恵
 鬼と小鬼 通町で火事が起こり長崎屋は燃えてしまう。若旦那は三途の川の手前から冬吉少年と共に帰ってくる。
 ちんぷんかん 広徳寺の寛朝は妖退治で高名で、相談事に対応している。秋英は9才で出家し、広徳寺に入ったその日に寛朝の弟子になった。秋英22才、狸が本の中に引きずり込まれる相談に来た。秋英は閉じこめられた本から助けられ、若旦那の言葉で、自分が妖を見ることが出来ると知った。 
 男ぶり 一太郎の母・おたえの婿取りの話し。おたえには好きな人がいた。その人のために、商家で起こる卵事件を解決した。解決したことにより、おたえはその人との縁談がなくなった。藤吉はいつも褒めてくれる。褒め言葉におたえは気持ちよくなる。おたえは藤吉と一緒になった。
 今昔 一太郎の腹違いの兄・松之助に縁談がある。松之助が良いと思ったのは米屋の玉乃屋の妹のお咲だった。縁談は姉のおくらとだった。お咲が姉の命が狙われて居ると相談に来る。離れに匿い調べる。陰陽師が式神を使っていた。身体が弱いおくらは自分がいると妹に迷惑になると思い、陰陽師に自分を殺すことを頼んでいた。若旦那は姉妹に両親と話し合いをするように薦め、家に帰す。
 はるがいくよ 桜の花びらから生まれた小紅がいる。花が散ってしまえば小紅は消える。どうにかして桜の花を留めたいと思うが出来ない。何千年生きている兄やたちにとって、自分は小紅と同じ立場であることを知る。

2015年9月16日水曜日

しゃばけシリーズ5

しゃばけシリーズ5 うそうそ 畠中恵
 若旦那・長崎屋の一太郎は箱根に湯治に行く。
 山神の娘・お比女に会う。頻発する地震は比女の震えで起こっているが、比女は気がついていない。昔話しの、山神が怒り湖を潰し村を潰したと言う話しも比女が怖さによって引き起こしたことなのだが、山神がしたことになっている。
 地震の揺れが自分の所為で起こることを知った比女は、地下水道の栓になっている朝顔の蔓を切ろうとした武士がいたことによって起こる禍を防ぐため比女は自分の髪を使う。
 比女は地震をコントロールできるようになった。

2015年9月15日火曜日

しゃばけシリーズ4

しゃばけシリーズ4 おまけのこ 畠中恵
 こわい(狐者異) 妖しが、近寄ると廻りに禍が起こると近寄らない。職人が飲むと腕が上がる薬をもっている。欲しがった者は怪我をし、火付けをし、犯罪者になってしまった。
 畳紙 顔に厚く化粧するお雛さん。夢の中(と思っている)の屏風のぞきとの会話で祖父母から愛され心配してくれていることを知り、化粧を薄くする。
 動く影 妖しを写す鏡が持ち出され、鏡が表に現れた。一太郎が五才の時、子供たちの間で、動く影の噂があった。子供たちは元を探しに行く。栄吉が居なくなり、栄吉を見付けた時、鏡・飛縁魔も見付かる。
 ありんすこく 吉原から病気の禿を連れ出す。切手を手に入れ、準備を整えたが、失敗。結局、佐助と仁吉が塀の向こうへ投げる。
 おまけのこ 真珠の櫛を嫁入りに持たそうとした天城屋だった。盗もうとしたものがいた。櫛を作る職人が殺され、犯人の手に渡る前に鳴家が護り持ち逃げした。娘は狙われるような高価な物はいらないという。鳴家を探し真珠は戻った。
 

2015年9月14日月曜日

函館奉行所始末4

函館奉行所始末4 幕命奉らず 森真沙子
 慶応二年 1866年
 支倉幸四郎23才 五百石の旗本 函館奉行所支配調べ役として蝦夷にいる。小出大和守秀実奉行のもとにいる。
 新奉行・杉浦兵庫が函館に着き、奉行交代の後、小出は樺太に行くように命令されているが、話し合いの相手はもう樺太にいないので、江戸に帰り、ペテルブルクへお使節派遣を進言するつもりだという。幕命奉らず。

2015年9月13日日曜日

見習い同心如月右京3

見習い同心如月右京3 かなしみ観音 早見俊
 文政六年 1823年 八月
 幻の女 佐々木信吾は苦しんでいる女を出会い茶屋で休ませた。信吾は寝てしまい、目を覚ますと信吾の脇差しで男が死んでいた。信吾は目付に捕まる。信吾が女と思ったのは男だった。出会い茶屋の主人と一緒に美人局をするつもりだった。出会い茶屋の主人が邪魔になり男を殺したのだった。
 あの世からの文 五年前に亡くなった娘・お雪から手紙が来たという。高級料亭の双子の娘・お幸が、死んだお雪のことばかり考えてる両親に、こちらを向いて欲しいためにやったことだった。
 お隅登場 後妻に入った商家の主人が吝嗇化でまるで女中に来たみたいなものと思い、主人を殺してしまう。右京が見破る。
 七体の観音像 盗賊の引き込みがコッソリ作った鍵を、仏師に頼んで観音像の台座に引き出しを作ってもらい納めた。仏師は七体作り、自分のところに鍵を置いておく。盗賊は観音像を盗み、右京が調べることになる。盗賊は贋鍵を持って盗みに入る所を捕まる。仏師は自分が商家に入り千両盗み出すが、右京に見付かり、右京の剣に倒れる。
仏師は元侍だった。上司が賄賂を受け取っているのを知ったため、両替商と上司に罠に嵌められ藩を出た。その両替商の鍵だった。

2015年9月12日土曜日

見習い同心如月右京1

見習い同心如月右京1 予言殺人 早見俊
 文政五年 1822年 師走
 予言殺人 金貸しをしている商家の主が、右京やお美弥が信吾が張り込んでいたにも関わらず、予言通りに死んだ。予言が大丈夫だったと朝湯に入り心臓発作でなくなった。氷室の氷が運び出されていたのを見て右京は犯人を下働きの兄妹と見破る。主が入ったのは水風呂だった。兄妹はお金を借りたため死ぬ嵌めになった親の敵討ちだった。
 毒は剣より強し 道場で我が物顔の師範代を道場主の妻が毒殺した。妻は前から少しづつ毒を飲み、正月の席で同じ大杯の酒を飲んだ。師範代は亡くなり、妻は大丈夫だった。右京が暴いた時、妻は自死した。
 白髪頭に悪人無し 盗賊になり三千両を寮に埋め亡くなった息子を盗賊社会に引きずり込んだ盗賊の首領をおびき出すために、写経をしてくれる、白髪頭の男を募集する。
やって来た男の首を締め首つりに見せ殺す。右京が訪ねると自供した。
 隠密には向かない男 仕事熱心な隠密。おまえは隠密に向かない。と言われ、町人の中で暮らすことを命じられる。長屋の者を見張れと言うことだと思い、手習い塾の浪人を見張る。みなで由井正雪のお芝居の練習を謀反の相談をしていると勘違いし、忍び込む。出てきたところを長屋の女に見られ、女を殺してしまう。右京は決闘で隠密を倒す。

2015年9月11日金曜日

御家人無頼蹴飛ばし左門

御家人無頼蹴飛ばし左門 憂き世往来 芝村凉也
 御家人・三日日左門の近所に禄を減らされた兄妹が越してくる。
 荒神組の頭目・御家人・新上弾九郎は兄を盗賊一味に引き入れ、押し込み先で殺し、御家御取り潰しにし、妹を手に入れようと考えた。
 赤鞘の御家人・猿橋市之丞は吉原の田中屋と法恩時一家と手を組んで、兄を役付きにするにはお金がいると妹に身を売ることを薦める。
 左門は二組を阻止し、兄は寺預けにし、妹には学問だけに身をいれたい商家の息子を養子にした。
 青砥家の父親が切腹した原因の大番五番組の新任に強制の酒席で苛めの張本人をこらしめる。
神楽一家にわらじを脱いでいた男が左門を見て逃げ出した。

2015年9月10日木曜日

立場茶屋おりき20

立場茶屋おりき20 由縁の月 今井絵美子
 由縁の月 幾富士が呉服屋京藤の半身不随の息子・伊織の世話に行く決心をした。年末最後のお座敷で由縁の月を踊る。三味線は幾千代だった。
 初扇 真田屋の源次郎と高麗屋の姪・育世の婚約が整い、式の日取りが決まった。煮え切らなかった源次郎がおりきとの会話で気持ちを決める。
 幾富士からの扇の贈り物が、幾千代に届く。
 はかな雪 あすなろ園の武蔵の父親が帰って来た。戸口で倒れそのまま死ぬ。
 こうめの亭主・鉄兵の母親・おすわが訪ねてくる。再婚相手に邪険にされた鉄兵は母親の所と行き来がない。おさわとこうめは母親の気持ちを汲む。
 春疾風 とめ婆さんは五月に後を頼み、夜中に静かに死ぬ。
 疾風が吹き荒れた日、おみのの兄・才造が海に出て帰らなかった。おみのは兄が夢まくらに立った、という。
 京の三吉から吉野屋の幸右衛門の亡くなったことを知らす手紙が届く。

2015年9月9日水曜日

棟居刑事の『人間の海』

棟居刑事の『人間の海』 森村誠一
 梁山荘という古いアパートに住む、易者・松江勇作のところに山上グループの社長の娘・山上かおりが同居することになった。父親・喜一郎はかおりが人間不信であり被害妄想だという。が本当にかおりは狙われていた。梁山荘の住人で護る。
 棟居は、何者かが運び込んだ病院で刺殺され亡くなった入江牧子の事件を調べていた。事件現場も運び込んだ人物も解らない。
 信用金庫の現金輸送車を狙った犯人が一億円を持って逃げるのに失敗し、たて籠もる事件が起きた。かおりを人質に警察と交渉している犯人が撃たれ、事件は解決する。松江は狙われたのはかおりだったという。梁山荘の住人で退職した棟居の先輩刑事との繋がりで光った窓の住人・岡野真澄を調べると、ホテルで殺されていた。
 岡野真澄が関係していた5年前の交通事故を調べ、今売り出し中の歌手桐原良彦が浮かび上がる。良彦の以前のアパートから硝煙反応が出、事情徴収を受ける。入江牧子を病院に運んだのはかおりだった。良彦は別れたくても別れてくれない牧子を殺すつもりだった。良彦は、刺された後道に飛び出た牧子を、かおりが車に乗せた時、自分の顔を見られたと思ったため、かおりを殺そうとしていた。
 岡野真澄を殺した犯人は、5年前の事故の同乗者であり、真澄に就職先を世話し、その後もつき合いのあった男だった。

2015年9月8日火曜日

連鶴 

連鶴 梶よう子
 慶応三年 1867年11月15日 坂本龍馬死す
 桑名藩藩主松平定阿敬は会津藩藩主松平容保の弟のため会津藩と共に行動する。
 桑名藩藩士・早見丈太郎26才 弟・早見栄之助24才 丈太郎は海外に目を向け、英吉利語を習い、英吉利語で軍艦の本を書くぐらい勉強したが、桑名藩であり跡継ぎであることで自分は藩と共にと思っていた。栄之助は商家の養子になることになり、横浜で外国人と取り引きがある関係で薩摩藩と手を組んでいた。
 丈太郎は鳥羽・伏見の戦いで目が不自由になる。大阪で敗残兵と薩摩兵として兄弟が顔を合わせる。栄之助は薩摩を離れ、丈太郎と共に桑名に帰る。桑名は恭順の意を示した。
 桑名には連鶴という折り紙がある。丈太郎は二十歳前に道場で坂本龍馬に「四羽の鶴が連なる「風車」を折って渡したことがある。坂本龍馬は死の時それを持っていた。斬った人も連鶴を知っていた。兄弟が別れる時、嘴と尾が反対向きの連鶴を丈太郎が栄之助に渡す。家老は理想だと言いながら、百羽の連鶴をお婆様に折って見せて頂いたという。これからを二人で見ようという時、丈太郎は「風車」を折る。栄之助は、棄てたように見せていた連鶴を、兄に渡す。
 

2015年9月7日月曜日

爆笑問題の日本史原論

爆笑問題の日本史原論 爆笑問題
 縄文時代 卑弥呼 大化の改新 平安時代 鎌倉幕府 室町幕府 信長・秀吉・家康 忠臣蔵 薩長同盟 大正時代 二・二六事件 

2015年9月6日日曜日

素浪人半四郎百鬼夜行(四)

素浪人半四郎百鬼夜行(四) 怨鬼の執 芝村凉也
 正気ではなくなり、廻りの者を殺して行く事件が起こる。半四郎の長屋の三次を助け光の玉が半四郎に入り込む。半四郎は自分を動かす力に対抗し池に浸かる。愛崎から渡された妖刀で玉を壊す。
 自分に悪さをする者を、凍らせる力を持つ娘がいる。そんな力を持っていることは本人も知らない。親切にされたご隠居さんの家に押し込みが入り、押し込みを殺すが、ご隠居も殺してしまう。みんなに囲まれた娘を半四郎は抱きしめる。娘は消えた。
 東雲の浦山の隠居が煩く、浦山の中家老は引退を押し付けられ、実家に帰ってしまう。次男は徒目付になり屋敷も代わり、婆は孫の世話をさせられる。とうとう婆は正気を失い、火を付ける。東雲藩の屋敷うちが灰になり、婆は火の玉となり江戸に向かい飛ぶ。聊異斎は江戸に着くまでに修験者と協力して倒す。半四郎に合わせればもっと力が強くなることを恐れた。
 

素浪人半四郎百鬼夜行(三)

素浪人半四郎百鬼夜行(三) 蛇変化の淫 芝村凉也 
 男を殺して逃げた女が、蛇巫女・斎姫女に匿われる。後捕まり、斬首になる。夫に心を残して死んだ。
 伊勢屋の親戚益田屋の主の変な病を治して欲しいと頼まれる。聊異斎と半四郎と修験者・儀海坊と捨吉とで、トウビョウを使い他人を苦しめていた男にトウビョウを入り込ませる。トウビョウ使いを使っていたのはカカ様と呼ばれる奥山を取り仕切る香具師の元締めの後妻・真薙子だった。益田屋の息子・孝之助は真薙子に捕まっていた。真薙子は昔の大蛇、神だった。孝之助を慕い、生け贄のつもりだった。大蛇の尾を斬り、蔵の地下の龍穴から助け出す。
 真薙子はトウビョウ使いを飲み込み、夫に心を残して死んだ女の首を飲み込み、力を増幅させると共に、正気に戻らなくなっていた。真薙子をそうさせようとする、誰かがいるのだ。娘・斎姫女は真薙子の中に入り自分が押さえ込んでいる間に、加賀美典膳に斬るように頼む。加賀美は蛇神の見守りだという。蛇行剣で倒す。一本の火柱が立ちいなくなった。

2015年9月5日土曜日

素浪人半四郎百鬼夜行2

素浪人半四郎百鬼夜行(2) 鬼心の刺客 芝村凉也
 東雲藩主鷹羽鬨春は浦山の婆にせっつかれまたもや神之木二郎左(榊半四郎)を討つことを命令する。江戸家老戸田美作は浪人を雇うが半四郎は防ぐ。北町奉行所臨時廻り同心・愛崎哲之進は東雲藩鷹羽家上屋敷用人森本外記に会い、半四郎に手を出さぬよう釘を刺す。半四郎に果たし合いを依存だ桟崎と対する時、綜武流 浮船を使う。
 伊勢屋の寮で起こる怪奇な現象を調べることになる。伊勢屋の主から逃げたい妾が始めた怪奇現象だった。女中だった妾と一緒になってもいいなと思っていた主から目を掛けられていた手代が手伝っていた。半四郎は主を欺き、産土神の所為という。妾と手代が円満に伊勢屋を辞められるよう考える。二人は騙したまま出て行くことはしなかった。半四郎も伊勢屋に謝る。
 狸が化けている噂のある御使僧・御龍和尚を調べることになる。聊異斎は化けた者であることを暴き、殺そうとするが、半四郎は我が身をかけて止める。悪さを成す者ではないということで。本当の御龍和尚は何年も前に亡くなっていた。代わりの者が和尚になっていることを本山・建長寺は知っていた。しばらくして亡くなった和尚は狸だったが、手厚く葬られた。
 紀尾井坂あたりで勾引かしが何件も起こる。明るい結界を作り、中に取り込んでいた。半四郎が入り込み影退治する。後に何体もの骨が現れた。

2015年9月4日金曜日

見習い同心如月右京2

見習い同心如月右京2 宿命剣 早見俊
 文化六年 1823年5月
 如月右京26才 半年前兄・右門が亡くなり蘭学者になるつもりで長崎留学より帰ったばかりの右京は見習い同心になった。如月家の長屋に住む小者矢吉の娘18才を小者にする。右京は南町奉行所筆頭同心佐々木信吾に付く。
 八才の子供が次々に殺される。蘭学者工藤伊織の息子三四郎は下総船橋城主松林伊勢守の息子だった。側室雪が、正室から命を狙われ、お腹の子供共々伊織と一緒になり、隠れていた。
今また、三四郎の命を狙われ、同じ産婆により出産した子供が二人殺された。三人目は商家の主が実の子供可愛さに実子でない長男を殺していた。産婆が自殺し、二人の子供を殺したように見せかけていたが、三四郎を殺しそこねたため、松林家の家老の放った隠密の正体が露見した。奥山の花村一座が隠密の隠れ蓑、桔梗は桐生一族の七代目だった。
 右京は西洋剣の名手だった。

2015年9月3日木曜日

しゃばけ

しゃばけ 畠中恵
 廻船問屋長崎屋の若旦那・一太郎は身体の弱い17才。一太郎の薬を集めているうちに薬種問屋を立ち上げ、今では一太郎が任されている。一太郎は廻りを妖しに護られている。もう少しで付喪神になれたのを邪魔された墨壷が生き返る薬欲しさに人に乗り移り人を殺めた事件を解決するために、一太郎は自分の出生の秘密を知った。
 祖父・伊三郎は妖と知っておぎんと一緒になった。娘・一太郎の母・おたえも妖は分かる。父は養子に入った。母が子供を欲しがり、祖母が茶枳尼天(だきにてん)に願い、死者の魂を蘇らせる神の薬を貰い、生まれてすぐに亡くなった子供を蘇らせた。それが一太郎だった。おぎんは茶枳尼天のお側に仕えている。
 一太郎が5才の時に祖父が一太郎のために付けてくれた妖が、犬神の佐吉と白沢の仁吉だ。屏風のぞき、見越しの入道、蛇骨婆、野寺坊 鳴家等がいる。
 一太郎には母親が違う兄がいるようだ。近所の幼馴染み、菓子屋の栄吉、妹・お春

2015年9月2日水曜日

歌舞伎から江戸を読み直す

歌舞伎から江戸を読み直す 田口章子
 歌舞伎は恥と情の世界

2015年9月1日火曜日

為吉 北町奉行所ものがたり

為吉 北町奉行所ものがたり 宇江佐真理
 奉行所付中間 為吉 為吉23 呉服屋摂津屋の息子だった。5才の時押し込みに会い、両親、祖父母、手代、女中が殺され為吉一人が助かった。母親の妹・おせきに引き取られ育てられた。おせきの連れ合いは儀助という岡っ引きだった。儀助は為吉に邪険だった。12才の時米屋に奉公に出る。他の奉公人と喧嘩になり自身番に行く。坪内半右衛門50に会い、坪内の下男として働いた。年番方与力の誘いで、17才で北町奉行所の中間となった。
 摂津屋を襲ったと思われる青蜥蜴が捕まった。青蜥蜴は摂津屋を襲っていないという。為吉が池にはまったために辞めさせられたネエヤは青蜥蜴の姉の娘だった。その娘は摂津屋を辞めたあと自殺していた。青蜥蜴が摂津屋を襲った理由だと思われた。
 下手人 磯松 旅籠「大黒屋』の飯盛り女だった磯松の母親は乳飲み子の磯松を置きざりにした。大黒屋の女将・おりそが自分の子のように育てた。が、磯松も小僧として働くようになった。おりそが寝込むようになり、主は若い女を妾にした。おりそは裏の離れで亡くなる。妾の妹が若旦那のおかみさんになる。
 磯松は頭を使えといわれ、主ののど元を火箸で突き、出刃で妾を刺し、男衆三人を刺した。磯松18は捕まる。為吉は磯松と話し、磯松は頭を使えと言われるのを嫌がることがわかった。
 見習い同心 一之瀬春蔵 春蔵14、見習い同心になり神谷舎人42臨時廻り同心に付くことになった。同僚のあら探しばかりしているように言われている人だった。奉行所で不祥事が起こらぬよう、耳の痛い事をいう悪役がいるのだ。という。神谷の妻は父親の不祥事の犠牲者だった。そんなことが起きないようにしていた。
 与力の妻 村井あさ 二十年前、あさの兄の突然の死であさが養子を貰うことになった。金兵衛・年番方与力だ。長男・信一郎 次男・斧次郎13 長女・静江15 次女・ゆりがいる。あさの許嫁だった棚橋は吟味方与力だが、今回死罪になったものが冤罪ではなかったかということになった。金兵衛が尽力をつくし冤罪でないことを証明した。そんなことから二十年前の話しになり、棚橋が金兵衛にあさの養子になって欲しいと頼んだことが分かった。もう一人の養子の話しは二十五才くらい年上だったのだ。
 岡っ引き 田蔵 田蔵42才。大根河岸に一茶という水茶屋の主であり、岡っ引きだった。祖父も父も北町奉行所の同心に十手を預かっていた。父親は両親と弟たちを火事で亡くした娘・おつるを田蔵19才の嫁にするつもりで家に引き取った。祝言を挙げてまもなく、おつるに先を見る力があることがわかる。おくみが生まれ、父母が亡くなる。おくみは六才の時から母親の手伝いをし、巫女のように座っている。神様は繁盛だった。
おみと14才がいなくなった。為吉はおつるに相談に来る。田蔵と二人でおみとを見付ける。為吉はおくみを一目で好きになり、坪内に相談し、養子に入ることになった。
 下っ引き 為吉 為吉は田蔵の娘婿になり、六年勤めた奉行所を退いた。呉服屋の反物が盗まれる事件が続いた。呉服屋の手代と田蔵の下っ引き・竹次の仕業だった。二人は少年時代の悪仲間だった。竹次は牢内で死んだ。田蔵の家族は辛い冬を過ごしてが、翌年、おくみの懐妊がわかった。

2015年8月31日月曜日

歴史探偵・月村弘平の事件簿2

歴史探偵・月村弘平の事件簿2 縄文の家殺人事件 風野真知雄
 古代史研究家・米田が縄文土器と埴輪の合体したような土器を見付けたと発表した。出版記念パーティの日に殺される。同じ頃縄文時代の遺跡・青森の山内丸山遺跡でも殺人が起こる。
 米田の隣の部屋の老女・山内丸山遺跡で殺された人の母親・縄野美津子が、箸墓で首を絞められ見付かる。死んではいなかった。
 13年前、美津子は夫の浮気相手を河豚毒で殺していた。その息子・修介は母親の日記を見、父親が縄野欽吾であり、母が美津子に狙われていたことを知った。日記と一緒に縄文土器と埴輪が合体したような土器があった。修介は親戚の古代史研究家に相談する。
 米田と修介は美津子を殺人で脅迫し、お金を要求した。山内丸山でお金を渡すことにし、息子が行った。その前に東京で美津子は米田に会い、夫が女の為に縄文土器を削って作っていた、下半身が縄文土器で上半身が埴輪の土器を見付け、米田を殺してしまった。息子に連絡し、息子は修介を殺そうとするが反対に殺されてしまったのだった。修介は美津子を殺そうと箸墓へ連れて行くが、美津子と話しをし、美津子が殺されてもいいと思っていたため、殺し切れなかったのだった。
 米田の死体発見者になった月村弘平は最後まで、上田夕湖にアドバイスを送り解決した。
 密室に思えた米田のマンションも米田の部屋と隣の美津子の部屋の隠し扉があるだろう事も教えた。
 夕湖は大滝の結婚しようの言葉に対して、本気か冗談か分からないまま断わる。

2015年8月30日日曜日

鬼役15

 鬼役15 手練 坂岡真
  矢背蔵人介が橘右近から下された密命は真壁八郎左衛門を殺すことだった。調べて行くうちに真壁は悪を調べて行くうちに手を汚さなくてはならなくなっていた。また、娘の目を治療のためお金が必要になってしまったのだ。蔵人介は代検使・岩室軍兵衛が黒幕なのをつきとめ、仏具商大和屋と雇われ浪人・月夜野兎之助を殺すが、真壁は斬らず斬ったことにした。
雪白対決 嘉祥の儀に使用される砂糖をめぐって、讃岐国高松藩と阿波国徳島藩が対決した。十年前蔵人介は砂糖の判別を依頼され讃岐の砂糖の干菓子に毒が混ぜてあるのを見抜いた。徳島藩蜂須賀の家臣により企てられたと判明する。大目付は蜂須賀家の御膳所頭が自死し、国許次席家老が砂糖問屋に尻を掻かれたと判断した。蔵人介に密命が下った。
 また、砂糖対決をする。またもや蜂須賀家の次席家老と砂糖問屋鳴門屋となった、元次席家老の息子が手を組み、幕閣に賄賂をばらまきやらせ審議を行なった。彼らは鬼役の影の仕事を知っていた。蔵人介は調べ出し、次席家老、鳴門屋を殺し、嘉祥の日、鬼役の影の仕事を漏らした罪で御小納戸頭取・園部土佐守富茂は心臓発作のようにみせて殺された。砂糖は阿波の物が使われた。
 鎌鼬の女 若い女の勾引かしが頻発していた。勾引かされそうになった女を助けた蔵人介は憎まれ彼らに捕まってしまう。人足寄場が悪の巣窟になっていた。同心から与力まで仲間になっていた。捕まった女は女寄場にいた。誰も正体を知らない鎌鼬の三次が頭で頭の情夫おりょうの手引きで蔵人介は逃げ、三十人を倒し女を助ける。同心、与力までは捕まったが、三次は見付からない。蔵人介は始めに助けた女の父親が三次だと見抜いた。

2015年8月29日土曜日

「元禄」を見てきた

「元禄」を見てきた 風野真知雄
 隣の部屋の住人・遠山博士のタイムマシーンの威力が強く、巻き添えで江戸時代、松の廊下事件の当日に来てしまった良介30才。
 一年九ヶ月・浅野浪人討ち入りを見届けるまでを江戸で過ごし、タイムパトロールに捕まり元の世界に帰る。
 帰った時、行ったことを忘れているが、一ヶ月後付き合っていた涼子と婚約する。涼子曰く「江戸の男の匂いがするから』江戸時代涼子の先祖と思われる人に会っていた。

2015年8月28日金曜日

むかしばなし

むかしばなし 只野真葛 校注・中山栄子
 天命前後の江戸の思い出

2015年8月27日木曜日

包丁人侍事件帖2 

包丁人侍事件帖2 大奥と料理番 小早川涼
 あんずという町娘が当たり屋の的にしたのが源吾が乗って走っている馬だった。目の当たりにした鮎川惣助と片桐隼人は隼人の屋敷にあんずを運び込み大鷹源吾と知り合う。
 大鷹源吾は水野和泉守の家来で、大奥の御末・あらしが殺された事を調べる途中にも現れる。あらしの殺人は側室・お美代の方の多聞・千登勢だった。

2015年8月26日水曜日

葛の葉抄

葛の葉抄 永井路子
 あや子、江戸を生きる

2015年8月25日火曜日

四十郎化け物始末1

四十郎化け物始末1 妖かし斬り 風野真知雄
 歴史探偵・月村弘平の先祖の話しというので読んでみた。前に読んでいた。
 月村四十郎 浪人、カラスに付きまとわれている。易者に死相が出ていると言われる。お金がいるため用心棒よりお金になる、妖かし退治の話しにのる。
 妻・静は労咳で寝ている。本をいっぱい持っている。息子・良太郎は医者の卵で長崎に蘭学の勉強に旅立つ 娘・絹25才は結婚して6年、実家に帰ってくるが呼び戻される。
 四十郎が師範代をしている道場の婿・友人の井田清蔵が化け物退治の話しを持ってくる。
 燃える顔 血みどろ風呂 笛吹く夜叉 狐火宗匠 妖怪坊主 霧の手と解決して行くがすべて人間の為せる技だった。心に闇、人が化け物
 友達に預けられた物を狙い、命を狙われる。鳥居耀蔵の弱みだった。最後に北町奉行遠山左衛門尉景元が出てくる。
 死相が出てると言われたのは、易者の四十郎に対する嫉妬心からだった。

2015年8月24日月曜日

四十郎化け物始末2 3

四十郎化け物始末2 百鬼斬り 風野真知雄
 月村四十郎は化け物退治で有名になる。カラスは相変わらずついてくる。
 閻魔のざるそば 首洗い屋敷 化け猫が足を食う 百鬼夜行を追え
 閻魔のざるそばは遠山奉行の盗賊の見張りだった。暴いた四十郎は捕物を手伝う。深川に密偵が隠した大砲を見付けて欲しいと頼まれる。そのため、鳥居耀蔵配下に見張られる。大砲の隠し場所を妻・静の助言で見付ける。

四十郎化け物始末3 幻魔斬り  風野真知雄
 赤い闇 骸骨の過去 枕元の人 海坊主 のっぺらぼう 
 薩摩屋総左衛門の赤いカラスの夢か幻かわからない悩みを解決し、今までの借金百両がなくなった。
 遠山奉行から奇譚調べ同心の誘いを受け同心になる。

2015年8月23日日曜日

剣客船頭12

剣客船頭12 どんど橋 稲葉稔
 沢村伝次郎は、朝流れてくる女の死体を引き上げる。同心・中村直吉郎に助を頼まれる。流れてきた死体は飛び込みの様に見えた。女が訪れていた旗本は、括られ、妻と養子の子供が殺されていた。旗本の言う話しと聞き込みと時刻が合わない。旗本の話は嘘だった。女は旗本の妾だった。妻がこんな家潰れてしまえと養子を殺した。殿様は逆上する妻を殺した。そこへ来た、女・おたえと男・忠七に頼み殿様は縛られた。泥棒が入ったようにするために。帰り道、殿様が可哀想だと言うおたえに我慢出来なくなった忠七はおたえを川に突き落とした。
 伝次郎は刀を振り回し遊び人を殺そうとしている若者を止めた。竜太郎は仇討ちをしようとしていた。伝次郎は竜太郎を家に泊め、後見をする。茂平次を一緒に探し、仇討ち寸前、止めに入り、町奉行所同心・中村に引き渡す。自分で殺さいほうがいい。息子のように思う、伝次郎と父親のように思う竜太郎。竜太郎は丹後宮津に帰って行く。

2015年8月22日土曜日

ベトナムの桜 

ベトナムの桜 平岩弓枝
 瀬戸内海の島・高取島には名家が二軒ある。国司に代わり政務を執る目代の家柄の高取家と小野家だ。当主は京の九条家の用人の家来で用人の姪と結婚していた。
 高取の長男・大介28才 次男・次介23才父も母も亡くなっていた。小野家の長女・奈美19才 次女・比奈 比奈14才は大介がすきだった。
 大介が行くつもりだった茶屋船での航海に次介が乗り込んで行ってしまった。大介は奈美との婚礼の日、花嫁奈美は九条家の若君と逃げた。目代を母方の親戚宮野覚兵衛に乗っ取られ、家を追い出された。大介は長崎に行く。
 長崎で騙され毒を盛られた大介を孝慶和尚と長崎奉行所配下、谷文四郎が助けてくれる。仏弟子修行と剣の修行と二年が経ち大介は逞しくなる。
 大介はイスパニア船で次介を探しに広東へ旅立つ。ホイアンの日本人町で次介に会う。一年が経ち、二人で日本に帰る日、次介が世話になった日本人が亡くなる。次介は後で帰ることにし、大介だけが船に乗った。日本は海外から帰った者を日本の中に入れない政策に変わっていた。大介は長崎近くの島に降ろされ長崎の孝慶和尚を訪ねる。両親の法事の為に島に帰る。
 大阪で大介が持って来た積み荷を売り代金が入った。
 小野家は姉妹二人になっていた。船遊女になっていた。奈美は大介に会った日、自殺した。比奈と大介は高取島に帰った。大介は京で官許を得、目代になった。比奈と結婚した。二年後男子が生まれ、次介と一緒にいた良吉が次介の便りを持ち帰った。ホイアンの日本人町で暮らす、別れの手紙だった。布で作った桜の花びらを本物の花びらと一緒に撒いてほしいという手紙。
 谷文四郎は幕府の日本人を海外に置き去りにする方針に腹を立てキリシタンになった。昔、筒井筒の許嫁が、親の都合で村上水軍の村上家に養女に出され別れていたが、村上淳姫となった許嫁は父親を探し、文四郎を探していた。長崎で大介が手紙を届け二人は会えた。二人は心中した。

2015年8月21日金曜日

口入屋用心棒30

口入屋用心棒30 目利きの難 鈴木英治
 湯瀬直之進は佐賀大左衛門から剣術道場の師範代のはなしをもらった。倉田佐之助と沼津家当主真興の弟房興の警護役の川藤仁埜丞を誘った。大左衛門と会う日、大左衛門は目を斬られる。直之進は大左衛門の警護に付き、佐之助は大左衛門が三ヶ月前からこちらに会った人に会い、犯人を捜す。
 岩清水家の用人・三船象二郎は、佐賀に刀の鑑定を頼みどれを贈り物にするか選んでもらった。岩清水家は若年寄・遠藤信濃守に関の孫六を送る。信濃守が眺め飽きた頃、御箪笥番・波多野展兵衛に偽物と取り替えてもらった。波多野が象二郎を呼び出し、信濃守が刀を見、佐賀に鑑定を頼もうとしていることを伝える。象二郎は鑑定が出来ないように佐賀の目を斬った。象二郎に付いている小者が波多野を殺した。
 佐之助は象二郎に会い、遠藤に会い、象二郎が怪しいと睨んだ。本物の刀の持ち主を殺しに来た時に阻止し、遠藤に会わせた。象二郎は自死した。象二郎の若党も自死した。
 佐賀の目は、少し見えるように回復した。失明は免れた。

2015年8月20日木曜日

吉原裏同心22 

吉原裏同心22 夢幻 佐伯泰英
 吉原の座頭・孫市が殺された。孫市はこつこつ貯め金を持ち歩いているという噂があったが、孫市は亡くなった母親が世話になっていた女中のために駄菓子屋を買っていた。吉原を辞め駄菓子屋の辺りの按摩の縄張り権を買い、一緒に住もうと考えていた。
 孫市を殺したのは、喜の字屋の仕入れ方の肩書きを利用して妓楼や茶屋の物を盗んでいた正太郎こと牧造だった。神守幹次郎は牧造が幹次郎と薄墨太夫がキスをしていたのを見たことを知ったので、捕らえる事無く、殺した。

2015年8月19日水曜日

居眠り磐音江戸双紙49 新・酔いどれ小籐治2

居眠り磐音江戸双紙49 意次丿妄 佐伯泰英
 意次が亡くなる。意次が残した柳生永為ら七人が松平定信よりも坂崎磐音のところにくるようにし向け、打ち払う。
  
新・酔いどれ小籐治2 願かけ 佐伯泰英
 小籐次を黙ってお参りすれば願いが適う。という噂が広まり、さい銭が投げ込まれお祈りする人が後を絶たない。寺社奉行から神社仏閣以外でさい銭を貰いお祈りしてはいけないと注意されるが、小籐次はさい銭は自分の物にせず、お救い小屋の寄付にすることを町奉行所に届けていた。
 そんなことで儲け、小籐次の名声を落とし、小籐次を庇護する老中青山忠弘を失脚させようと企む者がいた。小籐次を望外川荘のおりょうから放し、おりょうを我が者にしようとした芽柳派の季庵こと同朋頭塩野義佐阿弥だった。おりょうと駿太郎が成敗する。
 おりょうは芽柳派をもう少し小さな規模にすることにした。
 駿太郎は赤目小籐次が自分の父でないことを教えられる。確かめることはしなかった。

2015年8月18日火曜日

御広敷用人大奥記録(八)

御広敷用人大奥記録(八) 柳眉の角 上田秀人
 吉宗は、竹姫へ手出ししたのは、館林藩主・松平右近将監清武の指示か、江戸家老・山城帯刀の独断か見極めるよう水城聡四郎を使いに出す。
 紅は大奥へ行き、竹姫に悪さをしようとした天英院に仕返しをすると天英院に告げるだろう女中に聞かす。耳に入り何をされるか気が気でない状態にするだけで良い脅しだった。
 水城聡四郎と大宮玄馬と伊賀忍者・山崎伊織は吉宗が竹姫と婚姻する下準備のため京に発つ。途中、郷忍・藤川義右衛門たちに襲われるが撃退する。

2015年8月17日月曜日

せっこの平蔵道場ごよみ2

せっこの平蔵道場ごよみ2 ちぎりの渡し 早見俊
 盛岡藩南部家から上覧試合にでる四人を預かり手ほどきをする。優勝する。決勝戦の相手の津軽藩士・峰山は、千葉周作に付いていた。峰山から試合前に相手・菱沼源吾を襲い、手傷を負わせたと聞いた周作は峰山の腕を木刀で打ち据えていた。周作は津軽藩の剣術指南を辞める。
 峰山は浪人を集め、平蔵と周作と津軽藩士を襲おうとした下斗米秀之進を殺そうとする。門人を人質にし、三人を呼び出す。三人が浪人たちを叩きのめした後、町方が来る。浪人たちは盗賊もしていた。
 江戸川千斎と言う学者と知り合い、四十年前に悔恨を残した女に対し千斎の思いに一肌脱ぐ、お由は千斎から貰った二百両で同郷の女を身請けし、一緒に郷里に帰る。
 徳三郎の恋の相手・お貞の行方不明の旦那を探し出し、良くない仲間から救い出す。奉行所に出頭する。そして盗みをする浪人集団が捕まった。