2016年12月24日土曜日

鈴の神さま

鈴の神さま 知野みさき
 鈴の神様1996 有川冬弥 14才中二の春休みを二週間、四国の高野町で過ごした。有川夏彦65冬弥の母方の祖父だ。会社を退職した後、先祖から受け継いだ土地で生活している。五年になる。冬弥はその頃、小さい時から習っていたピアノの国際コンクールの前に突き指し、コンクールをキャンセルしていた。クラッシックに懐疑的になり息抜きだった。
 祖父を夏彦殿と呼び遊びに来る小さな子供がいる。祖父は安那殿と呼ぶ。安那は山の天辺の神社の神様だった。鈴守だった。冬弥は安那の幼名・沙耶と呼ぶ。沙耶は甘い物が好きで、アイスクリームを食べ過ぎるとおなかを壊した。沙耶にはお目付け役兼家庭教師の楓殿が付いている。楓は神狐だという。全ての人に沙耶や楓が見えるわけではないらしい。声が聞こえているわけでもないらしい。
 二週間を過ごした冬弥は夏休みに又来ると約束して沙耶に別れを告げた。京都の倉貫家(祖母の実家の旧家)のピアノを高野に運ぶ手続きをするために京都へ行った祖父は電車の事故で亡くなった。
 父の仕事の転勤で冬弥はロンドンに引っ越した。
 引き出しのビー玉1945 去年の年の瀬塩野家は高野に疎開することにしていた。夫・斉に赤紙が来て斉がいなくても和30は、斉の友達の白石家に疎開を決めた。高野に来て妊娠に気付いた。和さんが安那と会っていた。安那は丸い物を集めていた。和さんはビー玉を買った。和は安之を生んだ。一年と三ヶ月ぶりに斉が帰ってきた。山の向こうに住んでいると言う安那に会おうとしたが見付からなかった。山の天辺の社で安那が拾っていた丸い小石がいっぱい落ちていた。安那ちゃんも来たのね。やすなと話すことがどれほど救いになったか。三人は東京に帰ることになった。
 ジッポと煙管1988 東京で俳優を目指している鵜木次郎38はあまりぱっとしない俳優だった。岡山の実家に帰ったついでに、姉が嫁いだ四国の高野町に行った。散歩に出て道に迷い行き着いた先の家に安那がいた。時代劇のセットに迷い込んだような家にいたのは鋳掛け屋の銀次と奥の美野と安那と楓だった。安那は鈴をきれいにしてもらっていた。銀次に煙管とジッポの交換を願われたが、マーネージャーがくれた・相棒がくれた・大切なパートナーがくれた物だからと断った。安那は雛屋のお菓子が土産にいいと教えてくれた。帰る前に鈴守さんを訪ねると山の上の神様だった。姉にお供えを頼む。岡山に帰った次郎に時代劇のオーディションが決まったと連絡が入る。東京に飛んで帰る。
 秋桜2005(1925)雛屋のお祖母ちゃん85才・美鈴、ひ孫と祭りに行く。八十年前に安那と会ったことを思い出す。京都の飴と屋台の飴を取り換えっこした。安那と楓、やっちゃんも生きていればおじいちゃんだと思う。ひ孫の美樹も安那に出会ったようだが・・・。安之も時々来ていた孫が祭りに来ている
 十四年目の夏休み2010 冬弥28はロンドンにいるゲームソフトの音楽担当、音楽ソフトを手がけている。高野の土地を売る話を聞いて東京に帰る。そして高野に行った。雛屋で土地の話や山の話を聞く。
 雛屋のお菓子を持って祖父がいた連翹荘に行く。京都にあったお祖母ちゃんのグランドピアノがあった。ハル叔父が冬弥にそんなに思い入れがあるならそのままにしておけばいいと言う。別荘にすればいい。安那がピアノの音に釣られて遊びに来た。沙耶は冬弥じゃな。とうとう夏休みが来たのじゃなと言う。
 冬弥が空港に着いた時、人気者になった鵜木次郎がいた。

2016年12月23日金曜日

立身いたしたく候

立身いたしたく候 梶よう子
 201512日 参照

2016年12月22日木曜日

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末①

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末① 平谷美樹
 鉢野金魚(きんとと)
 本能寺無念 戯作者
 春爛漫 桜下の捕物 薬楽堂の小僧・松吉が亡霊を見たという。興味を持った金魚は書いた物を見せに来たついでに大旦那・長右衛門と調べることにした。金魚は足跡を見付け、五尺二、三寸の侍が版木を盗みに来たという。夜、やってきた所を捕まえる。上杉家は藩の内状を書いた出版物の版木を書いた本人・北野貫兵衛に出すように言った。貫兵衛は売った薬楽堂に盗みに来た。上杉家から二十両を貰って燃やした。貫兵衛は薬楽堂で働くようになった。
 尾張屋敷 強請りの裏  戯作者・織田野武長は強請られていた。本名・加藤権三郎 
尾張藩士で尾張藩上屋敷侍長屋にすんでいる。犯人は尾張藩の中間だった。が、最初は武長の父親が、戯作者を辞めさせる為に脅しのつもりで強請り、動いたのが中間だった。同じことを中間が真似したということが真相だった。武長は迷ったが、父親が国許に帰ったため、結論を出さず、武士も辞めず、戯作者も辞めずにいる。
 池袋の女 怪異の顛末 書肆藤田屋故山堂では雨戸ががたがた鳴ったり、家鳴りがしたり怪異が起こり又兵衛は眠れない。金魚は又兵衛の不眠を見破り、無念と解決に乗り出す。本棚が揺れ、本が飛ぶ。人の通り道を見付ける。犯人・貞吉を捕まえる。怪異が起これば池袋から来た女中・みつの所為だと言って奉公にあがったみつを取り返せると思ったという。みつと駆け落ちしろと言う又兵衛に、貞吉はやり方を間違えた、許してもらえるなら親に話し正面から申し込みに来ると言い許された。納得出来ない金魚は、貫兵衛に頼む。池袋に貞吉もみつもいなかった。みつが言っていた巣鴨で、貞吉がみつを追いかけ回したのでみつの親が心配して藤田屋に奉公に出したことが判った。みつが父親の病気を理由に家から呼び出されていた。貞吉がみつを呼び止め殺そうとしたところで阻止した。
 もう少し書き込めと言われるのを無視して、金魚の処女作「春爛漫 桜下の捕り物」二が出版された。一巻は読み込まれた貸本に擬装され貸本屋が貸し歩く。
 師走の吉原 天狗の悪戯 吉原の妓楼松本屋で花魁・梶丿鞠の絵を描いた、絵師・東雲夕月が居なくなった。北町同心・本多が話を持ってくる。生きたがらない金魚を連れて吉原に行くと、金魚が元・梶丿葉大夫・附廻だったことが分かった。大松屋に落籍されたが五年で亡くなり、お金を貰って家を取り上げられていた。
 夕月の行方不明には梶丿鞠も関係していた。松田屋からこっそり出て揚屋町の裏茶屋に居た。金魚は夕月が書いた版下絵を見て謎を解いた。夕月は風景画を描きたくなった。書かせてもらえないために隠れた。白澤屋は夕月の仕事を減らすことにした。出来た時間で風景をかけば良いということになった。夕月は仕事に生き詰まり逃げたが吉原を出られず篭って居たことになった。
 

2016年12月21日水曜日

百万両の伊達男⑤

百万両の伊達男⑤ 横恋慕 稲葉稔
 桜井慎之介は、親から暴力を揮われ逃げ出した文吉を自分の長屋に住まわせる。
 火の見櫓に登り喚く高を下ろした。高は摺り師・藤十郎から千鶴を離して欲しいと頼まれる。藤十郎の家で藤十郎の兄弟子・宮蔵が殺されて見付かる。藤十郎が犯人として捕まる。慎之介の犯人探しが始まった。
 腕もないくせにいちゃもんともとれる注文を付けてくる宮蔵を煙たく思っていた彫師の松五郎が犯人だった。
 文吉の父母に昔の気持ちを思い出すように説得し、帰した。

2016年12月20日火曜日

大江戸木戸番始末(三)

大江戸木戸番始末(三) 千住の夜討 喜安幸夫
 両国に京傀儡一座がやってきた。三年前、一座は四ツ谷で興行していた。四ツ谷の商家・富駒屋に盗賊が入ったが手代が気付き手代が殺され、何も取らず逃げていた。
 杢之助には判った。三年前に招待され店で興行し、店の間取りを調べていた商家に両国で興行している今、押し入っている。両国の商家へ呼ばれ、間取りを知って何年後かに押し入るつもりだ。
 近所の彫金師・庄三郎は一座から仲間になるように言われていた。断っていたが子供を人質にされることを心配していた。富駒屋で錠前を開けるのに時間が掛かったのは庄三郎の父親・増造らしい。
 杢之助は捨次郎と四ツ谷の源造が手を組み四ツ谷の商家を張り込むよう仕組む。張り込みを一座の者が気付き、逃げるように仕組む。千住方面に逃げた一座の頭と副将格を殺した。杢之助を刺そうとした治助を増造は殺した。増造は商家の間取り図と鍵を開ける為の道具を川に捨てる。杢之助は増造を逃がした。
 杢之助は元盗賊白雲の一味だった。

2016年12月19日月曜日

大江戸木戸番始末

大江戸木戸番始末 両国の神隠し 喜安幸夫
 杢之助は天保七年極月の末、江戸を逃れ、小田原城下で置き引きが逃げてくるのに足をかけ店頭させ取り押さえた。置き引きをされたお店者と茶店のおやじがいた。杢之助は茶店で働くようになり、三ヶ月後、お店者の主・両国の薬種屋中島屋徳兵衛の勧めで両国の木戸番人になった。
 深川で子供が神隠しにあっていた。十日も経たずに帰ってくるという事件が起こっていた。近所の留吉がいなくなった。杢之助は中島屋の手代・紀平と女物の駕籠を手がかりに探す。探り出したのは、前の北町奉行・榊原忠之の下屋敷にいる認知症の奥方が孫が亡くなったことが判らず、孫に会いたがった。そのために子供を屋敷に連れ込んでいた。杢之助は屋敷から逃げ出した下働きの茂平と女中の由利を追ってから助けた。斬られた茂平を連れ込んだ医者・村井東按と中島屋徳兵衛で榊原に話を付けてもらった。東按が奥方の医者になり茂平と由利は東按の手伝いをすることになった。
 中島屋は芝浜に潮干狩りに行った。杢之助も参加していた。西国屋の船と一緒になる。西国屋の船が沈み始め、中島屋の船の面々が西国屋の船のみんなを助けた。杢之助は事故ではなく西国屋の娘の結婚に横槍を入れた口入れ屋鳴子堂の若旦那・与之市がやらせたことだと調べた。近所の岡っ引き・捨次郎の手柄になるように、実行者四人と与之市が捕まるように持って行った。

2016年12月18日日曜日

京都骨董ふしぎ夜話

京都骨董ふしぎ夜話 獅子ししゃも
 鸚鵡の愛 お嬢さん・光が京都の大学に行く為に帰って来た。「ばか」と言われる。六年前に「帰る日は迎えに行く」と言ったことを忘れていた天草に対する言葉だった。光はすごい風の中待っていたと言う。
 観世流シテ方能楽師・柳浦辰寿が持ち込んだ物の中の紅白の千鳥と柘榴の絵柄に歌を掘り込んだ櫛に、光は目を止める。能舞台の下の隠し部屋にあった櫛だった。柳浦は誰か父以外の人を思う人が有る母の気持ちの櫛だと言う。柳浦が子供の頃いなくなったお母さんの辰寿を思う心だと光は言う。まつのはもひさしき鸚鵡の盃にうつる十六夜かいちうの月 柳浦は舞台の下に置いた。
 少年Aと少女Bが盗品を持ち込む。居合わせた刑事・礼田と安東が捕まえる。柿右衛門人形の狛犬を預かりたいと師父・桃枝骨董店の店主・桃枝未之助が言う。
 呪いの古銭 光の中高の学友・樺山樹里が訪れる。弟・昌磨のお守りの元豊通宝が呪いではないかと言う相談をした。八亀芽衣さんから貰ってから悪いことばかり起こっているという。光は昌磨君も少なからず彼女をお好きなんだわと言う。樹里は光の言うことは信頼している。光はポルターガイストを止めたと言って帰って行った。
 狛犬、家路を行く 盗品の狛犬を預かることになった。師父・未之助が骨折した。狛犬を取りに来たのは、十年前、近くで働き、光を預かったりしていた東さんだった。売りたいと言うが預かることにした。
 安東刑事は浜松の三ケ日の出身だった。十八年前、光の両親が事故に遭った所だ。土砂災害に巻き込まれ師父の一人息子・祥之助は即死、意識の無い母・かおるから生まれた二千グラムで生まれたのが光だった。希望の光だから光ちゃん。報道されインタビューに答えていた。小学生だった安東刑事は知っていた。
 狛犬は帰りたがっていると光は言う。片方の狛犬は子供の父親・芳樹が持って行ったという。一年以上音沙汰が無いらしい。不幸の獅子と言う阿の方が見付かった。福岡から出ていた。礼田刑事に福岡で持ち主について調べて欲しいとお願いする。芳樹は事故で亡くなっていた。阿吽を子供が小学校に入るまで預かることにした。一年前、芳樹は骨董屋と売る売らないでもめ、階段から転がり落ち自宅に帰って亡くなっていた。骨董屋は獅子を持ち帰り、悪いことが続いたので売っていた。
 光は柳浦の櫛も狛犬も古銭のお守りも人の声が聞こえたという。物から声が聞こえる為、古い物に囲まれているから聞こえるのだと思ってここを離れたが、どこへ行っても聞こえた。祥之助はそのためにここを離れていた。
 天草は桃枝と名乗る前から犬に化けて桃枝家と共にいた。十八年前から弟子としているようになった。両親を持たずに光が生まれた時、師父に何かあっても天草が桃枝を継ぎ、光が不自由なく暮らせるように。師父に天草と言う名を貰い、金星と言う名を光に貰った。光は天草が二十年変わらないことで狐だと判った。
 冬の日の1995年 未之助は昔の日記を読む。桃枝の先祖・安倍泰成が岩にした狐の玉藻が天草の母だった。泰成のおかげで一番愛した人を殺さずに済み、天草も逃がして貰えた玉藻の言いつけで子々孫々を見守って来た。

2016年12月17日土曜日

私はいったい、何と闘っているのか

私はいったい、何と闘っているのか つぶやきシロー
 伊澤春男45 スーパーの主任 店長が急死した時と、新店開店時に店長かと思われたが、機会をのがす。内引きの定員を見逃したことで新店の一般店員になってしまった。
 電車内で痴漢と間違えられた子連れの女と結婚する。「小梅」一人のはずが沖縄に帰っている間にもうひとり増えていた。小梅が結婚することになった。小梅の父親から送られてきたチケットで娘二人と春男は沖縄へ行く。沖縄で乗ったタクシーの運転手が小梅の父親のようだった。
 息子・亮太は野球とサッカーをしている。キャチャーとゴールキーパーをしている。どちらも補欠だ。

2016年12月16日金曜日

大江戸木戸番始末〈二〉

大江戸木戸番始末〈二〉 贖罪の女 喜安幸夫
 杢之助は目立たぬように木戸番をしようと思うが、何事につけ知らん顔はできない。両国米沢町の木戸番になって三ヶ月になる。
 近所の長屋にすむ糸は、十年前に川に落ちた我が子の繋いでいた手を緩めてしまった。判っていて手を離した糸は自分が子供を殺したと自身番に自首する。杢之助は殺したことを認めて、子供に贖罪しながら毎日を生きよと諭す。
 隣町の金貸しがむき身のアサリを使いトリカブトで殺された。犯人は糸を自死にみせて殺し、金貸し殺しの犯人に仕立てようとした。杢之助は調べ、隣町の香具師の元締めを殺した。

2016年12月15日木曜日

怒髪の雷

怒髪の雷 鳥羽亮
 怒りの簪 片桐京之助は小伝馬町で首を落とした女・ゆきに簪を託され、だました男・源次を殺して欲しいと頼まれる。源次は捕まり、京之助が首を刎ねる。
 らくだの馬が死んだ 鼻摘み者だった男・馬が、結婚が決まった女の相手の男に身持ちが悪いようなことを言い、女は男に疑われたこと自体を恥、大川に身を投げた。長屋の皆でフグの毒を食べさせ、馬を殺した。友達の半次は見抜くが、長屋の衆の筋書き・フグを食べて死んだことを認めるしかない。
 不義の証 人を斬って情婦と江戸から逃げていた柊清十郎が帰ってきた。清十郎の女房・ふくを破落戸から守った平八郎はふくを注意していた。清十郎はふくが連れている子供の父親かと聞く。ふくの不義の証拠だという。ふくが連れている子供は清十郎が情婦と逃げた時んい置き去りにされた子供だった。

2016年12月14日水曜日

つぶら、快刀乱麻

つぶら、快刀乱麻 牧村一人
有村依子21才 山形から東京へ来たつぶらを自分の部屋に泊め、つぶらが兄さんと呼ぶ、桜庭廉を一緒に探す。つぶらの手にある光の剣が見える。
つぶら18才 鷹月流剣術三十二代当主 
鷹月賢秀 つぶらの父の弟、三十年前につぶらの父に負け、東京へ来た。喧嘩でプロボクサー番匠光浩の左手を切り落としてしまう。
番匠光浩 プロボクサーだったが、見えない剣で斬られたため、無いくても有るようにできることが判り、過酷なトレーニングで自分の無い左手で心臓をつかみ 殺すことができるようになった。ボクシングのトレーナーをしながら、やくざの殺し屋をしている。つぶらと戦い左腕を切り落とされる。名前を変えてホームに入る。やくざになり切れなかった間瀬が組から離れ面倒をみる。
桜庭廉 十三歳のつぶらに負け、東京へ来る。やくざに近付つつあったが、番匠を倒したつぶらと一緒に山形へ帰る。賢秀から裏の剣を託される。

2016年12月13日火曜日

まことの華姫

まことの華姫 畠中恵
 華姫 元人形師で現在腹話術師・月草が持っている木偶の姫様人形。
両国一帯を仕切る山越親分の十三才の娘・夏が華姫を気に入りつきまわっている。

2016年12月12日月曜日

京都骨董ふしぎ夜話②

京都骨董ふしぎ夜話② 獅子ししゃも
 桃枝未之助75才 鳴神小路にある桃枝骨董店店主
 桃枝光18才 天然大学学生 未之助の孫
 天草862才 桃枝骨董店従業員 狐
 狐のおまつり 伏見稲荷大社の還幸祭 天草は狐になって稲荷山へ行く。眷族しか入れない境界まで行く。母は九尾の狐だった。天草は毎年捧げ歌を歌う。尻尾のないばばさまが現れる。じじ様は照れ屋だこっそり見ているという。でたらめを歌っているという。願い事があれば一つ叶えてやると言われる。尻尾は力を蓄えた時九本になり、三千歳を超えると稲荷の神様がご苦労だったと尾っぽを取って下さる。眷族の任が終わるという。
 光は神学部のなゆ先生がアドバイザーをしているサークルにはいる。大学の友達が京町屋見学に訪れる。
 あなたにラブソングを バザーに集まった物を鑑定に光がなゆ先生を連れてくる。なゆ先生・瀬川那由他という。実家がお寺で歌って教える牧師さん。光は残したブローチから鬼の「きらい」声が聞こえるという。鬼の声ではなく妖の声が聞ける天草にも「きらい」が聞こえた。光はブローチに操られ横断歩道の真ん中まで連れて行かれる。未之助が鬼の声を聞く。ブローチはなゆ先生の物だった。先生をお父さんのようにしたっていた子が亡くなっていた。その子には光もなゆ先生を父親のように思っていたことがわかり、自分は一緒にいられないのにずるいと思ったということだった。ブローチを持ってなゆ先生の歌を聞く。かえでちゃんが向こう側へ導かれた。
 神様のかけら 京都府警六波羅署捜査三課の安東刑事と光と天草の三人で東寺の弘法市に行く。天草はカエルという天然石を磨いたような物に魅かれ一万円で購入する。光は「かえる」と言う声を聞く。平安楽市で同じ露店からおたまじゃくしのような形の同じような石を買った。光はこれは稲荷山の水晶でどこかの御神体だったと話す。礼田刑事に盗品の品触れをみせてもらった。城陽市稲荷神社の勾玉水晶の御神体だった。割れた物を磨いていた。仏像窃盗団が逮捕された。
 桃枝の先祖 八百年程前、安倍泰親 泰成兄弟の陰陽師が活躍。泰成の家系が桃枝を名乗る。泰成は石の声が聞け、操れた。泰成は天草の母親を石に封じた。
 浮世絵、海を渡る 外国のオークションで浮世絵を手に入れた。未之助の友達にヤモリの守宮さんがいる。
 天草は稲荷山に行き、ばば様に名前を貰った桃枝けに仕える家族と一緒にいる。願いでは無く宣言だという。願いは師父のギックリ腰が治りますように。じじ様も現れる。歌の意味は「らぶあんどぴーす」だという。

2016年12月11日日曜日

闇の平蔵

闇の平蔵 逢坂剛
 飛鳥山 八辻ケ原の人ごみの中で仇を見付け、飛鳥山で仇討ちの約束をしている場を長谷川平蔵が見た。仇討ち当日、飛鳥山に人が集まる。近くの料理屋の客も女中も見に行く。誰もいなくなった料理屋で料理屋の主人になっていた男が仇を討たれる。平蔵の与力がその場にいて奸賊として処理した。
 鎌風三蔵 盗賊三蔵の動きを見張っていた平蔵組は伝馬町辺りを歩き回るのを見ても狙いが判らない。風の強い日、火を付けた。犯人を追うが、間に入った加役・松平左金吾と与力に捕らえられる。藤堂家から秘宝を盗んだ三蔵も左金吾に捕まる。火を付け、どさくさに大名家に押し入っていた。左金吾を平蔵の鼻をあかしたいだけ。
 闇の平蔵 闇の平蔵と名乗り、役人を斬るという。集まった中の盗賊の用心棒を斬った。そして長谷川平蔵と名乗る。
 可久あるべし 闇の平蔵の集まりに出ていた女衒の周六は、阿古屋の長八おかしらに長谷川平蔵の顔を教えて欲しいと頼まれる。自信のない周六は可久にも声を掛けた。可久は平蔵を呼び出せるという。指定場所に来た平蔵を見て周六はあの時の平蔵ではないと言う。あの平蔵には小鼻にほくろがあったと言う。可久はあれは平蔵だという。捕物が始まる。周六は長八に殺された。長八は平蔵に殺された。闇の平蔵は長谷川平蔵ではなかった。
 あいやも半次郎 松平左金吾がかってに名前を使ったことをわびる為に顔合わせがあった。その席で、長谷川平蔵は可久を引き渡して欲しいという。手先を使わないという左金吾は了承する。
 半次郎が大和屋を狙っている。引き込み役は可久だ。押込む日が決まり可久は平蔵の同心・今永仁兵衛に教える。可久は平蔵の手先かもしれないと思われている。可久は認めていない。押し込みの日、半次郎は材木問屋の木曽屋に押込むという。可久は見張りに繋げる。船に乗り込んでから大和屋に行くことになった。大和屋の錠前が開いた時、安吉九郎右衛門と平蔵が現れ、半次郎は殺される。平蔵はどちらにも捕り方をださなかった。半次郎に独り相撲をとらせた。捕り方は出なかったから可久は手先ではなかったということになる。
 音締めの松 平蔵は町歩きの途中、子供たちが平蔵と音締めの松五郎になって福田屋の中を捕物ごっこで走り回るのを見た。その子供たちを見ている怪しげな小男を見た。平蔵は手先を使い、阿古屋の長八が盗みをする為に引き込み役の小男を探しているというお膳立てで小男を探す。小男は松五郎一味の引き込み役だった。長八が盗みをする日を知った松五郎は火付盗賊改め方に押込む日と場所を知らせる。平蔵は垂れ込み場所に何人か張り込ませるが福田屋にも捕り方を用意する。松五郎は長八が捕まっている間に盗みをしようとした。引き込み役の小男は自分の息子が引き込み役に使われていることを知り、捕り方と争う間に松五郎を殺し逃げる。子供は遊んでいるように見せて間取りなどを調べていた。
 
 
 

2016年12月10日土曜日

隠密同心〈ニ〉 黄泉の刺客

隠密同心〈ニ〉 黄泉の刺客 小杉健治
 処刑された六助の残した 時次郎には気をつけろ。七兵衛の言う才蔵は・・・・の意味を考える。町奉行所の者も知らない、隠密同心・佐原市松は飾り職人だ。長屋に住み浅利藩に入り込んでいる風神一族を探っている。
 長屋の怪しい住人・大道易者、大工の夫婦、浪人・成瀬三之助、新しく時次郎が入った。一組づつ調べていく。易者と大工の夫婦は関係がないことが判った。
 時次郎の所を訪ねてきた、六助と一緒に牢に入っていた男・欣三が殺された。欣三と連れっていた姿を隠していた増吉も殺される。
 時次郎が仕えていた瀬古七兵衛は襲撃され殺されていた。七兵衛は元御目付組頭で無役になり、屋敷替えし、隣の屋敷・浅利家を欣三と増吉を使って調べていた。七兵衛が殺され、欣三は牢へ、増吉は故郷へ逃げた。時次郎は襲撃で殺された女中の仇討ちを考えていた。押し込みが成瀬三之助だと思い込まされ成瀬を殺そうとしていた。時次郎から話を聞き、市松は成瀬を殺そうとする者に操られていると諭す。成瀬は密命で浅利家を出て長屋に暮らしていた。市松は七兵衛の屋敷にみんなが揃うように仕向け。時次郎は頭巾の武士の太刀筋を見て仇だとわかり討ち果たした。饅頭笠の男は消えていた。
 内与力・倉田惣兵衛と市松の繋ぎ役のつたと一緒になることを決めた。つたは隠密廻り同心・松原源四郎の密偵殺された仙介の妹だった。

2016年12月9日金曜日

天を灼く

天を灼く あさのあつこ
 天羽藩六万石 五百石大組組頭、執政入りは堅確と言われた伊吹家の当主・斗十郎が市中の商人と結託し、私腹を肥やし藩の財政を損耗せし罪により切腹した。
 妻・茂登子 
 娘・美鶴18才 小姓組頭今泉家に嫁ぐが父親の切腹後伊吹家に戻る。砂川村に住むようになり、昔帰りをするようになった茂登子が母でないことを口走り、柘植左京と双子で生まれたことをしる。
 息子・籐士郎 友達 郡奉行支配下・郷方勤め下士の次男・大鳥五馬と百石で無役の風見慶吾、未だ元服前
 柘植左京 捕らわれて以後斗十郎の世話をし、領内所払いになって砂川村に住むようになってからは左平と雑用を担った。父親は斗十郎、双子の美鶴は伊吹家に引き取られ、母方の柘植家で育てられる。母を早くに亡くし祖父に育てられる。柘植家は牢屋敷の番人、また藩の命令で刺客になることもある家である。
 
 父親の切腹の介錯をした刀を託された。刀の茎に父の潔白を証明する、五百両の金が出雲屋から川辺家老に渡された花押付きの証文が隠されているのを見付ける。津雲家老の受領書もあった。
 父の友人学者・御蔭八十雄に証文を託し、江戸の殿様に渡すよう頼んだ。刺客として現れたのは大鳥五馬だった。下士の次男からの引き上げ役職を望み津雲家老に加担していた。五馬はわざと籐士郎の刀に刺され死んだ。
 斗十郎は商家と執政を結びつけ陰で操っていた。そんな斗十郎に江戸の殿様から藩の内政を調べる命令が来た。調べられている執政者に罪を着せられた。
 籐士郎は山越えをして江戸を目指す。先生の囮になるつもりだ。五馬の敵討ち、生き延びること。天羽が変わるのをこの目で見届けるつもりだ。柘植と一緒に旅立つ。
 
 

2016年12月8日木曜日

クルト・ヴァンダラーシリーズ⑦

クルト・ヴァンダラーシリーズ⑦ 背後の足音 ヘニング・マンケル
 イースタ署の刑事・カール・エヴァート・スヴェードベリが銃弾を頭に受け殺される。
スヴェードベリは行方不明になったと訴える娘の母親の声を聞き一人で調査していたことが分かった。娘は外国に行っているとハガキが届いていたが母親は行方不明だと言い張った。五十日後娘を含めた三人の銃殺死体が見付かる。殺した後一旦埋め隠し、掘り出して殺した時と同じ状態に戻して見付かった。体調不良で一緒に行動していなかった一人も殺された。
 結婚式後、海岸で写真を撮っていたカメラマンと新郎新婦が殺された。
 ヴァンダラーは誰も知らないことを知っていることから手紙の盗み見を考え、郵便職員を調べる。スヴェードベリの知っている男が犯人だったため殺された。
 次に狙われたのは、ヴァンダラーだった。部屋で待ちかまえられていた。逃げるのを追いかけ、ヴァンダラーが捕まえる。
 ヴァンダラーは糖尿病と言われる。
 

2016年12月7日水曜日

お文の影 

お文の影 宮部みゆき
 2014年 1月20日 ばんば憑き参照
ばんば憑き
 坊主の壺 壺を描いてある絵の中に他のものが見える人が居る。
 ありとあらゆる疫病から守ってくれる、又無力な人々を守る知恵を与えられる。
 お文の影 影踏みをしていると人数より多い。亡くなった子供が影を置いていった。
 影が寂しがっている。
 博打眼 博打眼の退治の仕方をお稲荷さんの狛犬が教えてくれた。
 討債鬼 討債鬼を信じてしまった商家の主
 母と子は家を出、行然坊の妹が商家に入った。
 青野利一朗たち 三島屋 おちかに出てくる人たちだ。
 ばんば憑き 殺された人の魂を殺害者に移らせる。
 野槌の墓 人を殺した野槌を殺してくれと化け猫に頼まれる。
 
おでこちゃんも登場していた。

2016年12月6日火曜日

しゃばけシリーズ(15)

しゃばけシリーズ(15) おおあたり 畠中恵
 おおあたり 若旦那・一太郎は 当たりだと思うのはどんなことだろうと考える。若旦那の幼なじみ三春屋の栄吉は辛い味のあられを考案した。人気商品になる。許嫁の千夜と一緒になるかと思うが、栄吉はまだ修業を終える訳にはいかないという。千夜の姉・せつが京で暮らし、子供が出来た。京から手紙を預かって紀助が来た。せつの亭主が働いている櫛を作る親方の従兄弟で料理屋をしている。紀助と千夜が好き合い父親と一緒に京へ行ってしまう。
 長崎屋の怪談 才蔵という岡っ引きが行方不明になり、日限の親分が追いかけていたといわれる。土左衛門で見付かったと思った才蔵は生きていた。同心・岡安がお金を貰って辻斬りを見逃した。才蔵が辻斬りを追いかけ捕まえそうになる。辻斬りが捕まれば不味いと思った岡安は才蔵を堀に突き落としたのだった。岡安は切腹した。
 はてはて ぶつかって落としたたくさんのお菓子の代わりに貧乏神の金次は富くじを貰った。その富くじが当たった。二枚しか無いはずなのに三枚の当たりくじが出た。富くじを作っている職人がこっそり作っていた。
 あいしょう 白沢の仁吉と犬神の佐助が五才の一太郎の兄やになりたての頃、近所の米屋の子供・正五郎の誘拐騒ぎがあった。一太郎は正五郎を助け、近所の妖しが顔を出す。
 暁を覚えず いつも寝込んで接待できない一太郎だったが、大貞親分のお客さんを迎え、船釣りの接待を一太郎がすることができた。

2016年12月5日月曜日

法医昆虫学捜査官2

法医昆虫学捜査官2 シンクロニシティ 川瀬七緒
 葛西のコンテナ型トランクルームの一室で女性の全裸の腐乱死体が見付かる。借り手に不信を感じる捜査一課・岩楯祐也40は、何回も貸主のところに行く。そして突き止めたのは、彼らが、児童ポルノ中心のDVD販売、盗撮をしていることと、何日も前に倉庫に死体があることを知りながら自分たちの物を持ち出し、掃除機を掛け、現場を触ったこと。知らない間に死体を置かれていた、自分たちは知らん顔した。
 今回の岩楯の相棒はやる気があるのかないのか判らないような若者、小笠原の駐在所勤務希望の死体発見後、警察が到着するまでトランクロームを閉めきり、ハエが飛び回る中で我慢した巡査だった。その行動から岩楯は彼・捜査課勤務・月縞新巡査27を異例の指名をした。現場保存と昆虫学者がハエや蛆一匹たりとも無駄にしてはいけないと書いた報告書を読んだからと言う。
 赤堀涼子は、死体写真を見、蛆の成長が遅く、少ないことから死体が冷蔵保存されていたことを指摘する。倉庫近くのありの巣のゴミ箱から、性モザイクのハッチョウトンボの抜け殻と鷺草の種が見付かった。トンボマニアからハッチョウトンボの生存地を聞き出し福島県へ行く。誰も知らないようなところでハッチョウトンボを見付け、小屋を見付け、サギソウを見付け、血痕を見付け、ウジの死体を見付ける。指輪をした指の骨を見付ける。見付けた指輪から指輪の持ち主が分かり、持ち主から渡った人が割り出された。臓器移植コミュニティの元理事だった。お金を貰って順番をかえたりする為やめさせられていた。
 殺人現場の近くに心臓移植をした少女・瑞希が住んでいる。彼女が心臓移植をした頃に亡くなっている者の父母が二組いる。心臓移植の心臓を提供した少女の父親がいた。順番を変えて移植されたために自分の娘が死んだと思っている、二組の夫婦は瑞希と一緒にいた男・薮木も捕まえていた。瑞希の父親は殺されていた。ハエから死体があるパトカーのトランクを見付けた赤堀も捕まった。立てこもった納屋に警察が飛び込んで犯人たちを捕まえた。心臓提供者の父親は駐在さんだった。自分の子はまだ死んでいなかったと言う。前は葛西の交番勤務、児童ポルノを作っている者や、言いように使われている若い子らを知っていた。トランクルームに何がいれられているか知っていた。捕まれば良いと思い遺体を運んでいた。
 月縞は希望を本庁の一課に変えた。
 

2016年12月4日日曜日

知らぬが半兵衛手控帖1

知らぬが半兵衛手控帖1 姿見橋 藤井邦夫
 寒椿 足抜けした遊女・さよを半兵衛が助けた。労咳のようで養生所に預けた。養生所から抜け出し、姿見橋で男を待っていた。十年前、大沢竜之進が長崎へ医学を学ぶ為のお金のためにさよは身を売った。「十年後姿見橋で会おう」と言う約束の為にさよは足抜けしていた。半兵衛は大沢竜之進を探す。小沢竜之進は奥医師片山白道の婿養子になり、表御番医になっていた。大沢竜之進か判らない為、「半兵衛はこんな娘がいる」とだけ告げる。養生所に診察にきた竜之進はこっそり毒薬をさよに渡す。さよは毒を飲んで死ぬ。半兵衛は遊女屋の主に毒薬を竜之進に届けて貰い、身代金三十両を強請って貰う。三十両と薬の交換場所に半兵衛は現れる。江戸中の女郎に竜白のやったことを聞かせる。
 古傷 岡っ引きの彦造が十年前の亭主殺しの犯人・すずに似た女がいると言いに来た。京扇堂の内儀だった。半兵衛は十年前の事件を調べる。二十年前、すずの父母が殺されていた。父母を殺したのが、亭主・富吉だと知ったすずが、富吉を殺して、川に身投げした。たまたま通りかかった京扇堂の主に助けられ内儀になっていた。彦造がすずを強請にかかったのを見て、彦造を捕まえ、十手を取り上げる。すずは死んだことにした。
 波紋 花見客の中で、刀にしがみつかれて尻餅を付いた若い武士は、五才の子を斬り殺した。子供の父親・松井又八郎は自死し損なった妻を養生所に預け、長年離れていた剣道場に通い始めた。半兵衛は若い武士を探す。家紋の入った笄を落としていた。半兵衛は神明の平七の舎弟半次に調べてもらう。三千石の旗本矢部家の庶子で七十俵二人扶持・清水家に養子に入った清水祐之輔だと判った。表に出てこない祐之輔が出てくるように、笄があることを知らせ、祐之輔が清水家から矢部家に移るために屋敷を出る時を作った。半兵衛は松井に誰が犯人かを教えないが周り髪結いの房吉に聞くように言う。清水家から矢部家に移る時、松井は祐之輔を斬り、切腹した。半兵衛は半次に手札を渡した。
 汚名 片平慎之介は友達の袋物司「栄美堂」の主・徳右衛門を斬り、金を奪ったとされた。手代・幸助の言だった。栄美堂は徳右衛門の弟・徳次郎が後を継いだ。幸助が行方不明になり、徳次郎は内密に済ませようとしたが、番頭が半兵衛に相談した。幸助は死体で見付かり、片平慎之介が犯人とされた。徳右衛門を殺したのは徳次郎に頼まれた浪人者たちだった。その時、片平慎之介も殺したと思っていた。幸助が殺されたことで徳次郎が慌てた。片平は斬られて川に落ち助けられたが、二日後に亡くなっていた。所帯を持つつもりだった女・雪が医者に運び片平から聞き、生きているように見せる為幸助を殺した。雪は片平の名を使い百両持ってくるように強請る。雪が危なくなった時半兵衛が現れる。弥平次と手先に助けられ徳次郎は捕まり、逃げた浪人は南町の秋山久蔵にたたき伏せられた。北の知らぬ顔の半兵衛と南の剃刀久蔵の初めての出逢いだった。

新・剣客太平記(五)

新・剣客太平記(五) 不惑 岡本さとる
 文化八年 1811年
 峽竜蔵40才 
 祖父・中原大樹の衣鉢を継いだ左右田平三郎が竹中緑と祝言を挙げた。
 竜蔵は若月家んい呼び出され、剣術指南役になって欲しいと言われる。二十九年前、若月家の悪家老が我が子を藩主にしたいがために、雪姫17の殺害を企てられたため、我が長屋に匿い竜蔵も雪姫を守り、父・虎蔵が阻止していた。時々、ここへ来て語らって欲しいという願いも、剣術指南役として来て欲しいと言う願いも断り、息子・竜蔵が四十才になったころ声をかけてやって下さいと言い置き、以後いっさい関わりをもたなかった。竜蔵にも忘れよ。と言った。雪姫は四十になった竜蔵に声をかけた。
 竜蔵は剣術指南役になった。恒例の組対抗の剣術大会がある。雪姫の婿養子・左衛門尉より、書庫奉行配下も仕合に出ることを望んでいると言われた。人を見て法を説くと言う竜蔵により、六人が練習し、仕合に出る。書庫方には喧嘩早い・室井兵太30、身体の弱い・小林八弥26、背の高い・高瀬松之丞30、もうろく殿と言われる毛利禄左衛門60、国表勘定奉行の嫡男・野村勉三郎20余才、国表剣術指南役の嫡男・本多源内28の六人。源内は父親との仲が悪く、剣術を嫌い、人と接することを拒否している。
 仕合いは、五人出場して三人が勝てば一勝になる。一日目、書庫組は小姓組に勝ち一勝した。二日めまでの間に仕事で町に出た兵太は喧嘩に巻き込まれ骨折して帰る。兵太の代わりに禄左衛門が出ることになった。禄左衛門は最後の納戸組の対戦に掛けていた。相手は兵太の喧嘩相手、嫌みな寺田仙太郎だ。竹中庄太夫直伝の″秘剣蚊蜻蛉″を使い、仙太郎に勝った。納戸組に四対一で勝った。書庫組は結局二勝で最下位だったが、吹き溜りでも捨て所でもない。彼らは眩しかった。
 兵太の喧嘩を調べられ、仙太郎が破落戸にやらせたことだと分かり、蟄居を命じられた。
 江戸にやってきた源内の父・本多鉄斎と竜蔵と源内とで、若月家の飛び地・野州沢柿村へ行き、剣術指南と学問視察に行くことになった。沢柿村は源内が父親から離れた決定的な出来事があったところだった。八年前、沢柿村に剣術修業に来ていた源内は、国許の母親の容体が悪くなっても帰られず、鉄斎は予定通り宇都宮に行き、帰った時には母親は亡くなっていたのだった。
 左衛門尉は、源内に竹刀を握らすことが出来た竜蔵に、今度は親子の仲の修復を頼んだのだった。中に立った竜蔵の御陰で言葉のやり取りをするようにはなった二人だった。
 鉄斎に強請たかりの浪人から果し状が来た。鉄斎は一人で行く。竜蔵と源内は後をつけて行く。浪人は母の兄・鉄斎の親友・浅川礼蔵をだまし討ちにした者・藤沢基次郎だった。
道場破りにきた藤沢をやり込め、果たし合いに出向いた浅川を数を恃んで騙し討ちにしていた。八年前、妻の具合が悪いと聞いた時、妻の兄の敵が宇都宮にいると分かり土産に仇を討ちたかったのだった。五対一の果たし合いに竜蔵と源内も参加し、藤沢を倒し、源内は訊ねたかったことを訊ねる。蟠りが消える。母の子守歌と思っていた物が父の子守歌だったことも分かる。竜蔵の役目は終わった。江戸へ帰る。親子は国許に帰っている左衛門尉に報告をするために旅立った。
 

2016年12月3日土曜日

燦 〈8〉

燦 〈8〉 鷹の刃 あさのあつこ
 吉倉伊月が篠音を訪ねている間に、圭寿が襲われた。燦が銃弾を受け、圭寿は助かる。梟が刺客を襲った。刺客は自死用の毒で死んだ。
 前藩主・継寿の側室・静門院・於ようと吉が田鶴に来ていた。吉は於ようからあらゆることを教え込まれた。氷室峠で覆面の賊に襲われる。吉は賊にぶつかり革袋に入った飛礫を抜きとる。飛来した鷹を見て、吉と賊が「燦」と呼びかけた。賊は輿次だった。輿次は二人について行く。静門院は吉倉家の客だった。
 吉倉伊左衛門が燦が江戸へ行った後兎十の隠れ家を襲ったのは吉倉の命令だったと言った。美加子が言った「神波の宝を田鶴の全ての子のためにつかえたらよろしゅうございますね。」神波の宝を探したのだった。ために輿次がひどい目に遭い篠音が売られた。燦は伊左衛門を殺したく思うだろうと考え、圭寿と伊月が伊左衛門を庇う。
 君主・圭寿を狙った戸上蔵之介と手を組んでいた常陸屋宗三郎は、身の危険を感じ遊女・桔梗どころではなくなった。吉倉家老の秘事をさぐる。
 桔梗の身請けが無くなり桔梗・篠音は燦のもとに来た。燦と篠音を母・八重に会わし篠音を預けるつもりで吉倉の家に連れて行く。
 吉倉の家で於ようと伊月、燦と篠音と輿次が出会う。於ようは伊月に吉を圭寿の側室に召し出して欲しいと願う。奥を取り仕切る主たる女がいて秩序は保たれる。田鶴の安定をもたらすからという。
 常陸屋が吉倉家に主君への反逆があったという文があると脅しに来る。吉が宗三郎から紙入れを擦る。伊左衛門が美加子が自死した翌日、伊月と圭寿を入れ替えたという内容の圭寿の乳母の遺書だった。伊左衛門は真だという。圭寿が美加子の子燦と共に生まれた子だと。伊月は圭寿に告げないまま圭寿の陰で仕えるつもりだ。
 戸上は屋敷に火を付け、刺客を吉倉家に放ち切腹した。於ようが殺される。燦の母の形見の刀の鞘が割れ、薬草の調合方法を書いた紙が現れる。神波の宝か。
 圭寿は二十年田鶴を治める。新田開発、日図羅川五箇村の復興、治水工事、薬草栽培、藩校、療養所名君として名を残す。吉との間に三男三女五人の子は健やかに育つ。
 伊月は圭寿逝去後、四年生きた。没年慶応三年。

京都ぎらい

京都ぎらい 井上章一
井上章一 1955年 右京区花園妙心寺の南で生まれ、五才で右京区嵯峨、清涼寺釈迦堂の西側へ引っ越し育つ。現代宇治市民
 中華思想
 寺がホテル、精進料理
 京都の本山経営 全国の浄財が集まる。
 江戸時代、寺の敷地は広く山も含まれ景観が保てた。
 天龍寺と法隆寺

2016年12月2日金曜日

喜連川の風2

喜連川の風2 忠義の架橋 稲葉稔
 喜連川藩の御所様・藩主・喜連川左馬頭熙氏26才は隣国烏山藩・大久保近江守の頼みで去年洪水で壊れた橋の架け替えをすることになった。
 家老・本間壱岐守主税が命を受け、中老・伊藤竹右衛門に命じる。竹右衛門は天野一角に長者川の川普請と橋普請の差配を任せた。一角は与七郎と一緒に掛かる。村人と相談し橋は同じ所にかけ、洪水が起きないように川上に用水口を五ケ所造ることになった。橋は作事方・浅沼内蔵太と大工方・小森伝十郎が指揮してくれる。一角には金額も日数も判らない。竹右衛門は何もしない壱岐守を飛び越し御所様に伺う。壱岐守は日にちを二月十日と区切る。日がない。出てくる人数が少ないと言う一角に田畑のことでしなければならないことがあるという百姓。
 普請のことで手がいっぱいの一角に商家に押し入った浪人の捕縛の手伝いを通達される。
見付けた四人の浪人のうち、三人を捕まえた。一人は逃げたままだが一角は普請場に戻る。人手が少なく、皆に呼び出しを掛けるがなかなか集まらない。逃げている浪人が怖くて家を出られないという。手伝いに来ている庄助の家に浪人が逃げ込んだ。一角は清兵衛を連て行き清兵衛は女房を連れ出している間に浪人捕まえようとした。清兵衛が斬る。
 清兵衛には病気で寝ている母親があった。母親を看病する妹の気疲れが出ていた。清兵衛一人が働き、清兵衛の役の組の者からいじめを受けていた。清兵衛は真面目に働き、気働きも出来、差配も出来る。一角がいろいろ用いるのも組仲間にすればいじめの対象にもなった。普請を手伝う間に母親が亡くなった。一角のお陰で清兵衛も強くなった。
 御所様の視察中、危険がないように欄干をつけるようにと言われる。十日までにでき上がらないという者に御所様は日限りはないという。人数が足りないと言っている時、村の者が安心して暮らせるようになった。恩返しをすると村人が集まった。十二日、五本の用水の土手が切られ、堰を閉め、橋も完成した。
 御所様から、一角には褒美・三両が出た。一角は清兵衛に持って行く。清兵衛の組を変える。何もしなかった壱岐守は御所様からお叱りを受ける。

表御番医師診療禄〈8〉

表御番医師診療禄〈8〉 乱用 上田秀人
 矢切良衛は黒田藩と南蛮屋の抜荷に関する作業を見た為に命を狙われる。良衛は何も感づいてはいなかった。黒田藩士が四人で襲うが失敗する。出島に入れる遊女に頼み、南蛮人が出島内で良衛を襲う。ピストルの攻撃もかい潜り南蛮人を捕らえる。無かったことにしたい出島町衆は貸出禁止の医学書の写本を許した。オランダ商館側は、和蘭陀人医師を出島勤務にし、最新式の医学を教授し、江戸参府させ、良衛に面会の手はずをつける、その時、最新医学書を進呈すると約束された。早速医学書を写す。役所の良質な紙も貰い良衛は喜んだ。
 義父・今大路兵部大輔より長崎遊学の中止の手紙が届く。正式な使者が来るまでに良衛は筆写を三造は珍しい薬を買う。帰りの船も義父が手配済み。
 良衛の長崎遊学は二ヶ月で切られた。伝の方が毒でなないが何か子が出来ないようにする薬を盛られているのではないか。と考えたのが切っ掛けだ。矢切なら判るかもしれない。矢切の遊学を終えさせよ。ということになった。
 

2016年12月1日木曜日

I love letter

I love letter あさのあつこ
 半年間引きこもりだった17才の高校生・が、伯母・奈波睦美・むぅちゃん30の会社ILLで働くことになった。文通を業務とする会社だった。
 I love letter 夫を殺したという手紙が来てから滞っている女性の家に行った。女性は亡くなっていた。女性が書いてきた手紙の内容と違って穏やかな一生だったようだ。娘が最後の手紙を預かっていた。遺言はすべての手紙を焼くようにということだった。
 さよなら、ママ ぼくはママを殺そうと思います。で始まる手紙を貰う。彼の母親が階段から転げ落ち意識不明の重体だと新聞に出た。隣人と話をしていてむぅちゃんは「突き落としたのはあなたですね。」と言う。留守の時、少年を預かったり面倒を見ているのに、隠で悪口をいっていることが分かり少しぐらい不幸になっても・・・と思ってしまった。少年の名前で文通し、忍び込んでいた。目の前で、少年が帰ってきた母親に飛びつき母親は階段から落ちたのだった。むぅちゃんは録音していた。自首を勧める。お母さんの意識は戻った。
 幼なじみ 岳彦の幼なじみから十年ぶりに電話があった。絵梨の自殺を匂わす内容に驚くが住所は分からない。絵梨はマンションの屋上から飛び降りた。葬儀場から出て行き自殺しようとした少女・三浦愛佳に声をかける。君が絵梨を殺した。愛佳が絵梨の振りして岳彦に電話をしてきていた。同性愛者だったが、絵梨が別れてまともに生きたいと言い出したから悔しくて・・・。絵梨を突き落としていた。警察に一人でいけると言う愛佳。むぅちゃんは刑務所にもお客はいるという。
 こいぶみ 引退した元女優・吉村花世が恋文を探して欲しいとやってくる。二人で家を訪ねる。むぅちゃんは命を狙われた。「こいぶみ」と言う映画で息子を破滅させた女に復讐する役だったが評判が良く無く、引退に追い込まれていた。志保子役の女優は人気者になっていた。志保子役の女優とむぅちゃんは似ていた。吉村花世は精神鑑定を受けることになった。
 猫が鳴いている 二十八才の四年間引きこもりの男性・高村賢吾から手紙が来る。岳彦の手紙に後押しされ夜、外に出た賢吾が、玄関から血まみれの顔で飛び出しきた女の人を、家の中から出てきた男が腕を引っ張り連れて入るのを見た。目が合った女の人は助けてと言っているようだったと書いてきた。続けて、来た手紙には、口の周りが腫れた奥さんが、通りに向かって投げた紙だと、「助けて、殺される」と書いたくしゃくしゃの紙を入れてきた。出てきた男が彼女を引きずるように家に入れた。僕は人と話が出来ない。どうしたらいいのか。と書いてきた。むぅちゃんの知り合いの警察の人に連絡する。高村が吉野の奥さんを刺したということで警察に連行されたという情報が入る。手紙を持って警察に行く。吉野幸次が警察に呼ばれ、DVを認め、犯行を自供した。奥さんは意識不明のまま。高村さんは夜だけ出歩けるようになった。
 Lov letterの降る夜に 鈴森さんから、Love letterが欲しいという手紙が来る。だんだん強要になり、脅迫になる。岳彦はありのままに出来ないことを書いた。過去を振り返る手紙に戻った。手紙が来なくなった鈴森さんに梅雨前にはがきを出した。梅雨が明けた頃、鈴森さんの姪が最後の手紙を持ってきた。すてきなラブレターを貰ったと言っていた。
むぅちゃんが出してきた宝物のラブレターは むうちゃん だいすき せかいでいちばん すき たけひこ 五才の岳彦が書いた手紙だった。

2016年11月30日水曜日

クルト・ヴァランダーシリーズ 6

クルト・ヴァランダーシリーズ 6 五番目の女 上・下 
        ヘニング・マンケル 訳・柳沢由美子
 詩人で一人暮らしの元自動車販売業者・ホリゲ・エリクソン、花屋の経営者・ユンタ・ルーンフェルト、ルンド大学研究助手・エウフェン・ブロムベリと男性がむごい殺し方で殺されていく。板橋が折れ、竹槍が何本も刺してある壕に落ちる。何日も監禁し弱ってから木に括りつけられ首を絞める。口を締めた袋に入れられ湖に掘り込まれる。
 三人の共通点を探す。エリクソンの家から傭兵の日記が見つかる。調べるが関係ないようだ。三人の共通項は暴力を揮うということだった。
 エリクソンの壕の底から二十七年前に殺したと思われる・女性の骨が見付かった。ルーンフェルトの妻は十年前氷の割れ目に落ちて死んでいた。ブロムベリの妻は夫のDVを証言する。
 イースタ病院に謎の看護婦が現れる。三人目の被害者と関係がある入院患者・カタリナ・タクセルがいた。カタリナの少ない関係者の中から、容疑者・スウェーデン鉄道の車掌・イヴォンヌ・アンデルを割り出した。四人目の犠牲者の殺害を阻止するが、アンデルに逃げられる。エリクソンの家の望楼で捕まえるが、ハンソンの取られたピストルでアン・ブリット・フーグルンドが撃たれる。フーグランドは左腹を撃たれ、生死が危ぶまれたが、三度の手術を受け、回復する。
 アンデルは父親の暴力を見て育った。一年前、母親が旅行先のアルジェリアの修道院で、フランス国籍の尼僧が四人殺されるという事件の巻き添えで亡くなったが、アルジェリア警察当局にいなかったことにされたということを知った。このことが切っ掛けで、アンデルはひどい行為をしたにも拘わらず、捕まらない男達を罰し始めた。調べたリストには四十人の名があった。
 アンデルはヴァランダーだけに話した。母を殺した男を誰が探すのですか。に始まった。告白が終わり、ヴァランダーの手が離れた時、アンデルは自殺した。ヴァランダー宛ての遺書には母を殺した男は誰が探すのですか。と書かれていた。
  
 ヴァランダーは父親とローマに旅した。楽しい一週間だった。ローマから帰って二人散歩し、関係が良くなったと思った。帰国後一週間、ヴァランダーの父死す。
 ヴァランダーはバイパ・リエバと住むための家や飼う犬をさがしている。

2016年11月28日月曜日

禁裏付雅帳〈三〉

禁裏付雅帳〈三〉 崩落 上田秀人
 禁裏付に就任し、一ヶ月、東城鷹矢は今だに何をどうすればいいか分かっていなかった。
 鷹矢は松平越中守定信から、家斉の実父・一橋民部卿治済に大御所の称号を下賜去れるよう朝廷の弱みを握るという密命を受けていた。
 武家伝奏広橋中納言前基は禁裏付は幕府の力と権威をみせつけるためにあるという。京都所司代から着任届けが出されていない。京都所司代戸田因幡守は田沼主殿守の残党だった。
 若年寄・安藤対馬守の命で旗本寄合二千石安藤信濃守の娘・弓江が鷹矢と婚姻することになったと京に来る。鷹矢は江戸に問い合わせする。
 温子が、松波雅楽頭の手配で行き帰りの行列の小者を整えた。用心棒代わりの家来も出来た。
 松平周防守の家臣が鷹矢の命を狙っていた。鷹矢が襲われた時、定信の家臣・霜月織部と津川一旗が現れる。
 

2016年11月27日日曜日

御家人無頼 蹴飛ばし左門 6

御家人無頼 蹴飛ばし左門 6 御首級千両 芝村凉也
 轡田との果たし合いで怪我を負いながら、動き、勝手ばかり言う三日日左門は、医者・道哲に日々の暮らしを送れるようにはしてやるが、以前と同じ進退が出来るところまで戻すのは諦めと言われ、大人しく養生している。
 お神楽一家から亀戸天神の掏摸の話を聞き、掏摸の親分と岡っ引きの関係を暴露し、掏摸を捕まえる。
 旗本二千二百石池端但馬守の若殿が辻斬りをしていた。奉行所からの命令で岡っ引きは手を引いた。左近は若殿につく家来の腕を切り落とし、若殿を斬り、頭を持ち去りる。頭と交換に要求した金額の半金を持ってきた腕を切り落とした若者に金をやり逃がし、髷と鼻を切り落とした頭を屋敷に返す。左門は検死に大枚をはたかねばならないだろうと笑っている。

2016年11月26日土曜日

知らぬが半兵衛手控帖 3

知らぬが半兵衛手控帖 3 半化粧 藤井邦夫
 半化粧 辻斬りの探索をする。辻斬りは部屋住みだった三男が養子に行き、息子が生まれて疎まれてのことだった。部屋住みの頃好き合っていた女・みなを捨てて養子に入っていた。みなを連れ出した平九郎は半兵衛に斬られて死ぬ。その背中にはみなが刺した傷があった。平九郎が辻斬りをした理由が判らない梶原家、半兵衛は評定所に届けた。梶原家は取りつぶされた。
 閻魔堂 閻魔堂で強請、たかりで嫌われ者の御家人・島田清十郎が殴り殺された。お目付けに頼まれ半兵衛が調べる。島田は自分が手込めにした娘が結婚を控えているのを知り、強請った。父親はお金を持っていき石を包んだ袋で殴った。その後、四人できた職人が殴り、誰が殺したか判らない、半兵衛は閻魔堂のたたりで亡くなったと報告する。
 ご落胤 職人太吉の息子・直吉が旗本三千五百石大沢修理に勾引かされた。直吉は大沢の息子だった。双子の弟で殺されるところをすみがもらい受け育てていた。徳千代が亡くなり直吉を勾引かしたのだった。半兵衛は取り戻す。大沢家は養子を貰い、千五百石になった。奥方の乱行のため、用人が奥様を斬り、切腹した。養子も家中取り締まり不行き届きで切腹。大沢家は取りつぶされた。
 風車 病気で力がなくなった絵師・文七が自殺仕様としたが死にきれず、妻が助けた。妻は自分が殺したという。文七の弟弟子が私が殺したと言い出した。妻を助けたいためだった。半兵衛は文七の自殺で終わらした。

知らぬが半兵衛手控帖 2

知らぬが半兵衛手控帖 2 投げ文 藤井邦夫
 勾引かし 呉服商「菱野屋」の主・平左衛門が勾引かされ三百両を要求された。菱野屋の内儀と若旦那・平吉はお金を出す気がないらしい。主が亡くなり、手代だった男を婿にしていた。勾引かしは狂言だった。平左衛門の恩人の息子を助けるために必要なお金だった。お金を渡し、居なくなるつもりの平左衛門に半兵衛はお金を取られて平左衛門も帰らないではこちらが困る。平左衛門に店の者が待ってるよと伝える。店は平左衛門で持っているのだ。
 残り火 半兵衛が手札を渡した半次の住んでいる長屋に病気の浪人・柴田平蔵がいた。北町奉行所の養生所廻り同心・神代新吾に頼み、養生所に入る。柴田平蔵は敵持ちだった。討っ手の成島源之丞は身を持ち崩し職人殺しで追われていた。桑名藩は源之丞を江戸から逃がしながら朱引き外で殺す。柴田は源之丞が生きている間に名乗る。半兵衛は桑名藩と掛け合い、職人の家族に見舞金を出す。柴田は病で亡くなり、娘・鈴は養生所で働きながら産婆になろうと思う。
 雨宿り 筆問屋「一風堂」の主が殺された。武家の内儀と一緒にいたという。素人の娘や内儀を斡旋する「蛍や」の板前・作造が、外で待っていた一風堂の主を殺していた。作造を殺人だけで捕まえ、名簿を燃やした。
  投げ文 鬼薊の清造一味がいつも逃げ込んで、消える長屋がある。半兵衛は探索で仲間を割り出した。盗賊一味に雇われている船頭の娘・ふくは新吾の母・菊枝干し物を届ける時、字を習っている。ふくが父親・久助のことを知らせる。子が訴えるのは親不孝とされる。親不孝でもいい、今のうちにお縄にしてもらい命を助けて欲しいと訴える。
押し入った越前屋から逃げた清造をいつもの長屋で捕まえるが、船頭を盾にする。船頭にふくの気持ちを伝える。久助は金を貰って船を漕いだだけだということで通した。
 

2016年11月25日金曜日

御刀番・左京之介〈二〉

御刀番・左京之介〈二〉 来国俊 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩の藩主・堀田宗憲のご落胤と名乗る者・和千代15が現れた。久能山東照宮別当代・応快と寺侍頭・黒木兵部が連れてきた。証拠の品・来国俊の小太刀があると言う。左京之介が呼ばれ、和千代を調べ、来国俊が本物か調べるよう言われる。
 応快の後ろに大目付・土屋主水正がいた。堀田家の留守居役・村上仁兵衛も土屋と通じていた。
 宗憲の正室・香の実家・水戸藩から和千代へ討っ手が送られていた。
 国元汐崎から亡くなった和千代の母・まゆの妹・ゆいが江戸に来ていた。京之介はゆいからまゆは和千代を仏門に入れ、汐崎藩の物議の種になってはならぬと言い残した多と聞く。東照宮別当もそのつもりだったが応快と黒木が和千代をお金に替えようとしていると言う。
 水戸藩目付け・望月蔵人たちが寛永寺の東照宮別当寺を襲った。京之介は和千代を別の場所に隠すことにした。別当寺を襲い、京之介が戦っている間に楓と佐吉が和千代を三田の聖林寺に連れてきた。京之介は応快から来国俊も奪った。黒木たち・風魔は水戸家を襲い人数を減らした。
 土屋主水正は水戸藩とも通じていた。水戸家家老・本田修理の命令で村上は宗憲に卒中に見える毒を飲ませた。
 京之介は村上が町駕籠で他出した時に襲い、首を刎ね首を持ち帰った。村上は行方不明になった。呼び出され黒木と対戦する。黒木を倒す。和千代を取り返しにきた応快も倒す。宗憲は引退して五才の千代丸が汐崎藩の当主になった。千代丸の将軍拝謁の日、江戸家老になる予定の村上がいないため、隠居した元家老・梶原頼母を家老に復帰させた。
 これ以上の汐崎藩への手出しは無用と望月蔵人を倒す。千代丸の後見は水戸藩だ。水戸藩の口出しに食い荒らされ、水戸藩に取り込まれる不安がある。
 京之介は和千代を久能山に送る。来国俊を、母と和千代を繋ぐ物として渡す。

御用船捕物帖〈二〉 

御用船捕物帖〈二〉 うたかたの恋 小杉健治
 続木音之進29 22才で船手頭向井将監配下・津南治右衛門の次男が続木家に養子に入った。妻・美鈴17才だった。三年前同心になり、二年前定町廻り同心になった。
 多吉 深川熊井町の漁師の子、音之進がいつでも船が使えるよう自腹で船頭として雇っている。泳ぎ競争の幼な馴染み。多吉が一目惚れした相手が音之進の妻になって現れた美鈴だった。多吉は隠している。文と多吉を結婚させようとする話がある。
 質屋「井村屋」に盗みに入る計画を立てている者がいる。元井村屋の手代・梅次郎、元軽業師・兵太、錠前破り・銀蔵、船頭・善吉の四人。銀蔵が身請け仕様としている遊女に金をせびる男を殺してしまった。銀蔵は捕まり大番屋に入ってしまった。
 鼻緒問屋「沢登屋」の主が殺された。沢登屋の内儀をかわいそうだと思っていた指物師卯助が捕まる。卯助は自分が殺したという。卯助は内儀に嘘を吹き込まれ、主を殺すように仕向けられていた。卯助は一回刺し逃げ、その後内儀の愛人に刺されて亡くなったのだった。卯助と銀蔵は牢の中で話す間柄になっていた。
 大名屋敷に付け火があり、牢に火が回りそうになり解き放ちがあった。みんな帰ってきた。卯助は音之進に、主を殺していないことを知らされた。また、銀蔵が帰ってきてから人が変わったようだと告げる。
 付け火は梅次郎たちだった。銀蔵の腕が必要なため銀蔵に似た男を替わりに牢に送った。男は火付け盗賊改め方に追われている助三だった。梅次郎たちは質屋に入り二千五百両を盗んだ。身請け金だと渡された遊女は、盗んだ金などいらないと断り、順々と捕まっていく。
 鼻緒問屋の主を殺した内儀の愛人は、自分が勝ってにやったことで内儀は知らないことだと言い通した。音之進は内儀にそうすれば店は助かると伝えた。内儀は主の妾の子を養子にし、母親も店に引き取った。
 

2016年11月24日木曜日

長谷川平蔵人足寄場 平之助事件帖1

長谷川平蔵人足寄場 平之助事件帖 憧憬(あこがれ) 千野隆司
 阿比留平之助25は父が亡くなり、北町奉行所の非常取締として四年務め、初めて出来た人足寄場定掛与力として赴任した。平之助は一年前に妻を亡くした。生まれて間もない平太郎は母・いくと妹・明乃17が育てている。
平之助は人足寄場を作った長谷川平蔵の甥だった。母が平蔵の妹だった。平蔵は五十才。お腹に凝りが出来、痛みを堪えて仕事をしていた。
 母親が危篤だと聞いた人足が逃げ出した。平之助は捕まえたが人足は死罪になった。母親は亡くなった。自分は何か出来なかったかと悩む。
 盗賊に船頭として雇われた癸助が人足寄場に送られてくる。盗賊との繋がりを調べるために目を離せない。癸助は誰とも交わらない。平之助は癸助の妹を調べる。妹の周りで盗賊たちが蠢いていた。人足寄場に繋ぎの者が送られてき、逃げる用意がされる。決行の時、船に乗り込む癸助を止めると、癸助は殺されそうになる。癸助は逃げずに済んだ。盗賊の仲間は捕まえたが頭の鬼洗いの鉦七は逃がしてしまった。癸助の妹は人足寄場に渡る船着場の前にある一膳飯屋おくにで働くことになった。

神様の御用人

神様の御用人 浅葉なつ
 萩原良彦24は亡くなった祖父の後を継いで神様の御用人になった。社会人野球をしていたが、膝を痛めて野球が出来なくなって会社を辞めた。今はアルバイトをしている。友達の藤波孝太郎は神社の跡取り息子なため、今は良彦の家の近くの大主神社で奉職している。宜之言書(のりとごとのしょ)に現れる神様の所に行き、御用を訊き、用足しをする。
 狐と抹茶パフェ 何が何だか判らないで行った先が方位神のところ。方位神は狐だった。昔は神祭りと言う行為により、人から感謝の心を奉納され神の力は補われていた。そして人は神から恩恵を受けていた。神と人はお互いを生かしめる。そんな関係だった。という。方位神の御用は日本人の子が再び神祭りに目覚め、神に畏怖と敬いを持つようにすることだったが、そんな難しいことは出来ない。パフェを食べたいだろうと言う事になってパフェを食べに行った。こんなことでは済まないという方位神・黄金は良彦のベットで寝ている間に良彦によって右前足の肉球で朱印を捺されてしまった。
 名言スランプ 奈良の葛城の一言主大神の所へ行く。御用のやり直しを要望する黄金は良彦に付き添って、神の話をする。一言主大神は中学生格好で、ゲームをする引きこもりになっていた。小さい時から見守っていた少女が失恋で泣きながらやってきたのに何も言ってやることが出来なくて、がっかりして、引きこもりになっていた。良彦は、あんたはそこにいるだけで、充分優しいんだ。だから彼女はここへ泣きに来た。それでいいんだと諭す。神様とインターネットを繋いでゲームをしている。
 竜神の恋 滋賀県の瀬田川の大神龍王から呼び出される。ボート練習をしていた大学生・結城に身体を踏まれおこっていた。瀬田川でボート練習をしないようにして欲しい。大王竜神は踏まれて昔の橋姫として出会った俵藤太秀郷を思い出してしまったことに怒っていた。天候が変わり結城のボートが荒れる川に残された時、竜王は竜神と化し結城を助けた。大神霊龍王は愛しい人の子孫を見守るのも永きを生きる神の特権と思うようになった。大神霊龍王の名を華という。
 ゆく年くる年 忙しくて黄金は良彦のところにいない。斜め向かいのお婆さんが亡くなり。若い夫婦と一人息子・岡田友弘の家族になった。根引松を飾る良彦の家に自治会長と思しき男性が来る。向かいの家んい根引松が無いことを言いながら帰った。良彦は孝太郎の手伝いをする。家族そろって新年を迎えたいと神様に願う友弘に福引きで貰った卓上ミニ門松セットを送る。家に帰ると友弘の両親が待っていた。夜、黄金と餅を焼いていると、昼間の自治会長らしき人が来る。大年神・歳徳神、新年に福をもたらす年神だった。
宜之言書の大年神の名は黒く墨が入り、門松と根引松を象った朱印が捺されていた。御用は岡田家に依代を飾らせ、福の神として岡田家に寄ることだったようだ。
 
こんな自分でも誰かの役に立つことがあるなら、祖父の『続き』を引き受けてもいいか。と思った。

2016年11月23日水曜日

法医昆虫学捜査官

法医昆虫学捜査官 147ヘルツの警鐘 川瀬七緒
 岩楯祐也警部補40才 
 岩楯の相棒・鰐川宗吾31才 本日づけでペアを組むことになった。メモ魔ノートにびっしり記録する。岩楯は一日の終わりにノートを見るのが日課になった。写真も残す。飴を常食する。
 火事後から焼死体が出た。乙部みちる・心理カウンセラー32才独身。損傷が激しく死亡日時が判らない。解剖すると球体に固まったウジが出た。
 法医昆虫学者・赤堀涼子准教授が捜査に協力することになった。赤堀は何故球体になっているか。何故焼け残っているか説明する。
 本来ならウジの成長で死亡日時が判るのだが、ウジの中に異様に早く成長しているものがあるため、彼女は成長之違いの理由を見付けようとする。
 岩楯たちはみちるの仕事関係・カウンセラーをしていた病院、以前勤めていた病院、学校で聞き込む。みちるは保険金めあての詐欺師に目を付けられていることが判明する。詐欺師も彼女を殺そうとしていたがひと足先に殺されていた。
 赤堀は、火災現場で蜂の子を食べた後の頭を見付ける。蜂の子の頭からコカインが出た。大きく育ったウジからもコカインが出た。コカインが含まれた蜂の子を食べたみちるの食道や胃を食べたウジが大きく成長していたと判断する。養蜂場の関係から奥多摩のしあわせ農場を調べに行き、コカイン栽培の温室を見付け、古井戸に落とされる。
 岩楯等はカウンセリングをしていた学校の先生の線からしあわせ農場に辿り着く。足に印をつけたハエを見て行方不明の赤堀がこのあたりにいることに気付く。銃まで出してくる農園の土地の所有者や代表を見て、逮捕した。赤堀は助けられる。
 中学校でカウンセリングしていた元中学生は家出して農園で働いていた。元先生が農園の代表で、農園で作った蜂の子を売り出す前に見本を持ってみちるのところに来た。お金のためにやっているコカインの栽培の話をしたために、反対し警察に連絡するというみちるを殺してしまった。犯行を隠すために犯人が放火犯だと思われるように駅北の放火を駅南で何回かやり、本格的に油を蒔き、みちるの部屋に放火していた。

2016年11月22日火曜日

日暮左近事件帖4

日暮左近事件帖4 化粧面 藤井邦夫
 吟味人 公事宿巴屋の主人・彦兵衛が背中を斬られ川に落ち一命をとりとめた。娘・りんが勾引かされそうになり、半年ぶりに江戸に帰った日暮左近に助けられた。
 彦兵衛の友人・武蔵国高坂藩勘定組頭松岡左平衛は五日前御役御免になりなくなっていた。高坂藩の留守居役・堀は公事宿大黒屋を使って、藩の公金で堀留川一帯を買い占め岡場所を作ろうとしていた。堀は心臓発作で亡くなり、大黒屋は髪が一夜にして真っ白になり涎を誑して見付かった。
 化粧面 小間物屋の清吉は父親が貸していた土地を売らなければ店を手放さなければならなくなると口入れ屋・政五郎を訴えた。政五郎の命が狙われる。店に火を付けられ襲われる。左近が助けた。政五郎の店に火を付命を狙ったのは清吉だった。清吉は北町奉行所に捕まる。
 流離い 活殺剣 上様御側衆の土屋家・五千石の旗本に陽炎が腰元で入っていることが判った左近は、陽炎の御用を助ける。陽炎は、土田家が預かっている、田安家の当主にしようとしていたる家斉の息子・豊丸4才を守っていた。豊丸の命を狙うのは田安家に頼まれた裏柳生だった。陽炎は秩父忍の後ろ盾が欲しいと思っていた。左近は裏柳生を倒し、家斉の寝所に忍び込み、豊丸を母の下に返すよう諭す。
 

2016年11月21日月曜日

日暮左近事件帖3

日暮左近事件帖3 愛染夢想剣 藤井邦夫
弥七が古証文で父親の借金を取り立てに来る梅次を訴えた。弥七が梅次を殺し、捕まり、北町奉行所吟味与力・青山久蔵から呼び出され、目黒白金村で神無月生まれで裏に観音像を彫った直径二寸の手鏡を持っている女を探すことになった。他に出世ばかり考えている鳥居耀蔵が探しているようだ。水野忠邦と鳥居耀蔵は伊予宇和島藩の取り潰しを狙い、二百年前の家紋付きのキリシタンの証拠を探していた。宇和島藩の元藩士柊右京介が話しを持って鳥居の元に走ったのだった。
 二百年前、宇和島藩のキリシタンの側室を預かった旗本・土屋家は代々キリシタンで側室の子孫を手厚く保護していた。手鏡を持った女を鎌倉の寺で見付けた左近は右京介を殺し、元の持ち主に返した。水野忠邦と鳥居耀蔵が宇和島藩の取り潰しを狙っていたということも教え、注意することを伝える。
 秩父忍のお館様が危篤ということで左近は陽炎と秩父に行った。幻斎は死んだ。
 

日暮左近事件帖2

日暮左近事件帖2 無名殺剣 藤井邦夫
 日暮左近 公事宿巴屋の出入物吟味人だが元は秩父忍の加納大輔だったようだが記憶がない。左近を兄の敵と狙う、秩父忍・陽炎から教えられる。陽炎も詳しく知らない。
 鍛金師・文吉が作った香炉の後金が貰えないと訴えたことで、巴屋は沼津藩水野家・老中水野忠成 家老・土方縫殿介と奥州白河藩隠居・楽翁・松平定信の暗殺に巻き込まれる。
 陽炎は松平家の要請で水野忠成を狙っていた。楽翁を出羽忍が守り、秩父忍の御館様・幻斎は楽翁の影武者をしていた。文吉の香炉は水野の企みで旗本から楽翁への贈り物で毒を仕込まれるように出来ていた。未然に防がれる。
 左近は七十才で病気の楽翁の元に忠成の首を届ける。楽翁は喜び死ぬ。土方縫殿介は忠成の影武者を立て、その後を乗り切る。
 秩父で陽炎と左近は出羽の仏と幻斎の闘いに出会う。陽炎の兄・結城左近は楽翁の命を狙いに行き、出羽の仏の催眠に掛かり、幼馴染みの大介と左近が闘う羽目になった。大介が左近を斬り、斬ったことで大介は記憶を失ったことが判った。左近は出羽の仏と闘い勝った。大介は日暮左近として生きることを選び江戸に帰った。

2016年11月20日日曜日

フランス人は10着しか服を持たない

フランス人は10着しか服を持たない ジェニファー・L・スコット
 パリで学んだ”暮らしの質”を高める秘訣
 人生はだらだらと過ぎてしまう。さまよっているうちに、いつのまにか人生は過ぎ去ってしまう。日常のつまらない雑用をする時でも、自分なりに工夫して楽しくやってみよう。五感を生かし心で感じながら生きて行こう。

2016年11月19日土曜日

鬼役《十九》

鬼役《十九》 予兆 坂岡真
 落首 皐月 家慶が主人設けをした。「隠れ坊主」が行なわれ屏風の陰に井垣玄沢が入った。火鉢や文机が投げ込まれた。井垣玄沢は大怪我を負い全身血まみれで運び出された。矢背家は玄沢の世話になっていた。平川門に家慶を非難する落首が書かれた。矢背蔵人介が書いた者を探している間に井垣玄沢の首が刎ねられた。小姓の藤木が設楽良周に頼まれて落首を書いたと告白状を残し自死した。薬種問屋の熊野屋を幕府御用達にさせるのを阻もうとする玄沢を排除したかったからだろうと書き残した。鳥居耀蔵は無実の玄沢を処刑したことが表沙汰になれば責任を問われるため告白状を揉み消した。蔵人介は良周と熊野屋を殺した。用心棒の印南作兵衛が虎の尾を踏んだなと言い残し死んだ。
 蔵人介は養子・卯三郎の師・斉藤弥九郎と手合わせをする。斉藤弥九郎は月影を披露する。卯三郎は秦光代の刀を十人抜きの祝いに貰う。脇差し「鬼包丁」を蔵人介は貰う。
 捨て犬 水無月 家斉の弓指南をしていたが七年前に逐電した鎮目健志郎と出会った。御下賜の弓を売っているのを見た。井口頼母を殺せば尾張藩に仕官出来ると言う。蔵人介は止めに行くが、頼母は鷲津甚内に鉄砲で仕留められ、蔵人介も狙われる。蔵人介を狙う、根来の鉄砲打ちに甲賀五人之者を束ねる総帥が犬丸大膳であること、蔵人介が五人之者の一人印南作兵衛を殺したために命を狙われるということを教えた。鎮目の仕官話は蔵人介をおびき寄せるためだった。鎮目の妻を人質に蔵人介と鎮目は呼び出される。妻を助け出すが舌をかんで死んでいた。鷲津甚内は鎮目の最後の矢で射殺された。鎮目は野上八太夫に殺される。鎮目の仇を討つため野上八太夫を妾宅で殺す。
 眉間尺 文月 鯨と衝突した清国の戎克が迷い込んだ。水夫たちは船倉に閉じ込めている。商人と密輸の品と思われる阿芙蓉を積んでいた。水夫頭・眉間尺と呼ばれる男が姿を消していた。
蔵人介は盗まれた阿蘭陀商館長からもたらされた「風説書」を取返すよう言われる。元奥右筆を問い糾す。勘定吟味役・井桁茂之、両替商難波屋に渡していたが、二人とも殺される。肥前屋藤吉が水野越前守忠邦に近付くために二人を殺したのだろうという。肥前屋に売りつけようとしたが断わられたという。盗んだ風説書の隠し場所を聞いている時、銛が飛んできて殺される。
 眉間尺は密輸相手の肥前屋藤吉に帰るための船を頼むと殺しを命令され、井桁と難波屋、元奥右筆を殺した。蔵人介を殺しに来た時、蔵人介は助け家に来いといい、命を取らなかった。家にきた眉間尺と水夫を志乃と州崎の網元の協力を得、船に乗せて送り出した。次の日、昨日の船が焼かれたと連絡がはいる。柱に縛られ鮫に囲まれた眉間尺を見付ける。死んだ。藤吉を殺す。藤吉は子龍という五人之者の一人だった。巌流の室田左五郎も倒す。国次が折れ、仕込み刃では小さすぎ、鬼包丁で倒した。犬丸の姿は消えていた。
風説書が帰って来た。尾張付け家老の成瀬正住が、尾張家の次期当主は支藩である美濃高須藩より迎えると言う確約が欲しいと言う条件を出してきた。先代藩主が亡くなった時、高須藩から当主を迎えるつもりだったが、田安家の当主になっていた斉荘に家督を付かせるように言明された。斉荘は家斉の十二男だった。

2016年11月18日金曜日

剣客旗本奮闘記 11

剣客旗本奮闘記 11 くらまし奇剣 鳥羽亮
 商家の子どもが勾引かされ大枚を脅し取られたようだ。言えば殺されると訴える商家はない。訊きに行っても何もないというだけ。そんな事件に旗本御家人がからんでいるようだと言う事で、糸川達が動く。御目付・大草に頼まれ青井市之介も力を貸す。
 千両の持参金を持って婿入りするもの、役付きになるもの順々に見付かる。辻斬りの犯人も仲間になっていた。みんな片づく。四件の商家が被害を受けていた。残されたものは家禄を失う。

2016年11月17日木曜日

秋山久蔵御用控 27

秋山久蔵御用控 27 夕涼み 藤井邦夫
 忠義者 皐月 浪人と旗本の息子の喧嘩の仲裁に入った者が死んだと思われたが、浪人と旗本は仲間で、徒目付組頭をだまし討ちにしていた。徒目付組頭は二千石の旗本の息子の悪業を調べていた。父親は五年前に普請奉行を一年で辞めさせられていた。再びお役に就こうと老中に運動をしていた。捕まった息子は父親に命じられたという。評定所から切腹を命じられ、父親は取り締まり不行き届きで切腹、家名断絶になった。殺された徒目付組頭も中間は旦那様の敵を討とうとした。
 夕涼み 水無月 袋物問屋の主・庄兵衛が孫と夕涼みをしていて、猪牙船の舳先に乗る、勘当した息子・文七を見た。弥平次に文七探しを頼む。文七は十年前、浪人・黒崎の娘・袖と駆け落ちしていた。文七と袖は長五郎が取手の織物問屋の主を殺す現場を見たために追われていた。黒崎が長五郎を殺す所を止め、長五郎は死罪になった。身を持ち崩した文七が立ち直ったのは袖のお陰と知った庄兵衛は、文七の勘当を解き、向島の寮で袖を養生させた。
 厩河岸 文月 厩河岸に政吉の大工道具と草履が揃えられていた。永代橋の橋脚に袢纏がひっかかっていた。遺体は見付からなかった。政吉は死んだと思わせ、許嫁の敵討ちをしていた。油問屋の若旦那の誘いを断わったことで勾引かされ手込めにされたため首を吊った。政吉は若旦那の取り巻き・遊び人と浪人は殺した。若旦那を囮にし政吉を誘き出す。久蔵は死人の政吉が人を殺せないから、妹を連れて江戸をでて行けという。若旦那は死罪、父親は押し込め五十日、店は戸締め百日となった。
 捕物出役 葉月 雲海坊が変化の鶴吉を見た。盗賊の東雲の酉蔵一味だ。探索が始まり鶴吉と一緒にいたりんが見付かる。鶴吉は宗匠姿で大黒屋の番頭に近付き、りんは大黒屋の主人に近付く。鶴吉の家に人が集まる。捕物出役となった。みんな抗った。怪我をし捕縛された。りんは自死した。質屋は故買屋の疑いで調べられた。狙われていたと知り驚いた。

2016年11月16日水曜日

哀歌の雨 

哀歌の雨 競作時代アンソロジー(哀)
 待宵びと 今井絵美子
堀平右衛門 妻・紀伊、栗山利安の三女、平右衛門は播磨に生まれ黒田長政の家臣・黒田二十四騎の一人。長政の遺言で、黒田長興が秋月藩主と認められるよう尽力し家老になった。周りに疎まれ、脱藩し、76才で小田原藩稲葉正勝に召し抱えられる。正勝が亡くなり正則になると周りに疎まれ、手打ちになる。
 栗山大膳利章 紀伊の兄。黒田長政に仕え、黒田藩家老、長政から家康の感状を預かる。忠之と側近倉橋十太夫の軍備の増強が目に余るようになった時、大膳は公儀に忠之の謀反を訴える。忠之の反逆の企ては無かったとされた。治世不行き届きに付き、領地召し上げ感状のため旧領をそのまま与えるという沙汰になる。大膳は盛岡に配流になった。
 風流捕物帖″きつね″ 岡本さとる
 商家の手代が女・きつに入れ揚げ、店のお金十両に手を付け川に飛び込み自死した。商家の主はきつに文句を言いに行ったが、きつを妾にするはめになった。南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎はきつの裁きを礼次に任せた。きつの家に下女・常を入れた。主はきつを捨て、常を妾にした。常はいなくなった。常は手代の母親だった。
 かえるが飛んだ 藤原緋沙子
 富田屋利兵衛は元は武士、二十五年前に御徒目付の次男・永四郎が養子になった。息子・清之助が十才の時から夫婦関係がない。千代は夫に忘れられない人がいることに気付く。二十三になった清之介は父も母もばらばらで家庭の温かみを感じないという。
美郷とへの未練を断ち切ったつもりだった。美郷は旗本三百石西尾蔵之介に嫁いだ。美郷を争い、仲間四人に打ち据えられた相手だった。蔵之介は長崎奉行配下となり単身長崎に行き、遊女に溺れ心中騒ぎを起こす。江戸に戻る途中で亡くなった。家は断絶、美郷は実家に帰っていた。
千代が倒れ、手足が不自由になった。清之助に嫁をもらい店を任せ、向島で二人で暮らす。女中と我が儘な感情の起伏の激しい妻の相手をする。
永四郎は美郷に会った。美郷と永四郎は一度切りの関係を持つ。もう会うこともないと美郷は再婚のため甲府に行く。利兵衛も看護を続けながら千代と上手くいっていたいた時があったと記憶をたぐる。穏やかになった。

2016年11月15日火曜日

闇医者おゑん秘録帖

闇医者おゑん秘録帖 あさのあつこ
 おゑんの祖父は浜に流れ着いた異国の男だった。医者だった。祖母は祖父を見張る役目・目付方の役人の娘だった。娘・瑞乃を産んだ。父は、祖父の弟子の一人で、上士で御家中組を統率する家の四男だった。ゑんが生まれた。兄三人が他界した父は実家に戻った。祖父はゑんに医術を教えた。疫病の死体が流れ着き、村に蔓延した。疫病の責任を祖父に押し付け、祖父母は首を落とされ晒された。母とゑんと未音と父の屋敷に逃げ、祖父を助けてと頼んだ。祖父を人身御供にした仲間だと解り、母は父を刺した。父が贖いのつもりで用意した道中手形とお金を持って江戸へ出てきた。
 春の夢 若旦那の子どもを妊った春、若旦那が大店の娘と一緒になるのに邪魔になった。子どもをおろすように言われたが、産むつもりになった春を若旦那は階段から突き落とした。必死にゑんの家まで来た春だったが、お腹の子どもは死んでいた。春はゑんの仕事を手伝うことになった。
 空蝉の人 大名の側室のところに連れて来られた。側室の子どもをおろしてくれと言われるが、妊娠していない。夜な夜な鬼がやって来るという側室の話を聞き、鬼の正体をつきとめる。御付き人・山路が曾我部を使ってやらせていた。側室になるはずだった山路なのに、町人上がりの阿澄が側室になり、自分がお付なのが気に入らなかった。
 冬木立ち 母親が結婚が決まった娘が他の男の子どもを宿したから始末して欲しいと娘を連れてやってくる。駕籠で来たため流産していた。娘の容態を気にしながらゑんは春に自分の過去を語る。娘の身体の中に胞衣が残っていたために容体が急変する。赤ん坊が怨んで私の命を取ろうとしている。という娘にゑんは、赤ん坊は怨みも憎みも知らない。赤ん坊を弔うのはあんただけですよ。という。春は闇医者と呼ばれ、人を生かす者になりたいと思う。

2016年11月14日月曜日

秋萩の散る

秋萩の散る 澤田瞳子
天平勝宝754年   阿部仲麻呂は船を変えたために35年振りに帰ろうと
 鑑真来日       したが失敗する。十七年後異郷で死亡
     凱風の島   大使・藤原清河、二十三年後異郷で死亡
            藤原仲麻呂の息子・刷雄(よしお)17一年で帰る。

天平勝宝756年   吉備真備は 阿児奈波(沖縄)に、二十年前に 高橋連
 聖武天皇崩御     牛養が建てたはずの石碑が無いことを訝る。
            吉備真備は太宰府大弐になり南島に行く。
     南海の桃李   石碑を立てれば貴重な石は盗まれる。
            標しを木にすることで朽ちた碑を新しくするために 
            島と島とに行き来ができることを良しとした牛養の考え
            を理解した。

             国立の官吏養成校・大学寮にいる、15才の吉田乙継
757年  夏芒の庭   と答本古志緒は、共に医学を業とする両氏は微妙な関係
 橘奈良麻呂の乱    であった。
            吉田家は帝一家のお気に入り、答本忠節は名医と評判。
            叔父吉田兄人により忠節が陥れられ拷問死した。
            兄人を許せない乙継は首を吊った。
764年 凱風の島
 藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱  六男刷雄隠岐に流される。772年都に帰る。

            石上朝臣宅嗣の元に、伯父の娘・志斐弖の息子・久世
           が訪れる。父は首王(聖武帝)現阿倍天皇(孝謙)の
     梅一枝   異母弟になる。
           宅嗣は母親が石上であると言うてくれるなと言う。
           身を守る事しか考えないで久世を傷つけた自分を反省し、
           久世の優しさは王者の器と思う。

770年         道鏡は下野の下野薬師寺の別当の任じられる。
 孝謙天皇崩御    十六年前に配流された行信がいた。
     秋萩の散る 道鏡は阿倍女帝ほど気の毒な女人を知らない。お守り
           せねばと思っていた。

              

2016年11月13日日曜日

クルト・ヴァランダーシリーズ 5

クルト・ヴァランダーシリーズ 5 目くらましの道 上下 ヘニング・マンケル
 夏の休暇を楽しみに待つヴァランダー警部。1994
ヴァランダーの目の前の菜の花畑で少女が焼身自殺をする。身元捜査が始まる。所持品はペンダントだけ
 隠居生活の元法務大臣が殺される。背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。ひっくり返したボートの下で見付かった。一人暮らしだった。
 画商が夏至祭のパーティ中に殺された。頭を割れれ、頭皮の一部を毛ごと剥ぎ取られていた。家族は妻と娘、娘は自殺した。同じ犯人だと思われた。二人に共通したことがないか調べられた。
 焼身自殺の少女の身元が判った。ドロレス・マリア・サンタナ。ドミニカ共和国出身
ヘンシングボリからイースタに来た事がわかった。
 ヴァランダーの父親の病名がアルツハイマーだと判った。父が秋にイタリアに行きたいと言う。ヴァランダーは行くつもりだ。
 駅前の工事中の排水管の中から、顔から後頭部まで両断され、塩酸で目をつぶされた、頭髪ごと頭皮を剥ぎ取られた男・盗品売買の死体が見付かった。家族は離婚した妻と警戒心の強い兄弟、旅行中の娘がいた。娘は三年前から精神病院に入っていた。
 四人目の犠牲者はヘンシングボリで起こった。二階の浴室で後頭部を斧で殴られ一階の台所で頭皮を剥がされオーヴンに頭を突っ込み火を付けていた。公認会計士だった。ヴァランダーはヘンシングボリの刑事と共同捜査をする。会計士の隠れ家を見付け踏み込むと外国人の少女が四人が閉じ込められているのが見付かった。殺された会計士の右腕ハンス・ロはゴール逃げた。
 斧で頭を割る、一連の事件の犯人は第三の被害者の14才の息子・フーヴァーだった。姉が精神に異常をきたした理由を書いたノートを見て、復讐し、頭皮を病院の庭に埋めることによって姉の病気が治ると思っていた。
ヴァランダーが姉と会おうとしていることを知り、姉を病院から連れ出す。ヴァランダーを殺そうとヴァランダーの家のクローゼットに隠れている時に、帰って来たヴァランダーとスヴェードがハンス・ロゴールの話をしているのを聞いた。ハンス・ロゴールが姉を最初に強姦した男だった。
 第一の被害者の家に隠れようとしたフーヴァーは、隠れていたロゴールを見付ける。駆け付けたヴァランダーの前にロゴールの死体が残り、フーヴァーが逃げた。雨の中、姉を乗せたモペットで走るフーヴァーは滑り姉は飛ばされ即死した。
次の日、夏休みを一緒に過ごすバイパがコペンハーゲンに着く。結婚を申し込むがノーと言われた。
新しい署長が来た。
ドミニカ共和国から父親が来た。違法だがペンダントを渡した。父親とイタリアに行った。
娘・リンダは将来を模索している。
 
 


2016年11月11日金曜日

妖国の剣士 4

妖国の剣士 4 西都の陰謀 知野みさき
 黒川夏野は国皇安良に会う。夏野を補佐として認めて貰うために伊織は国の第二の都・斎佳で理一位・本庄に夏野を会わせる。本庄は毒殺される。背後に恭一郎の父・大老の失脚を狙う、西原家の企みがあった。西原利勝は鹿島理二位を使い、稲森文四郎と組んで妖魔を使っ手人里を襲い、安良や大老を貶めようとしていた。
 夏野は蒼太と繋がった目から危険を察知し、阻止しようとする。夏野は稲森を倒し(たぶん)伊紗の娘を解き放った。稲森は山幽の森から奪った紫葵玉を弾けさせ洪水を起こした。蒼太は波が防壁にぶつかるのを防ぐために防壁を壊したため待ちい水が流れ込んだ。
 西原は鹿島が稲森を繋がりこんなことになったと申し開きした。
 襲撃の際、次から次へと妖魔を斬り伏せた恭一郎、防壁の上から援護した伊織、防壁倒壊後、三日三晩、他の理術師に指示を出しながら結界を張り直した伊織、理術師、都師、役人も町の人も伊織を褒めた。
 東都・晃瑠に帰ってきた。

2016年11月10日木曜日

妖国の剣士 3

妖国の剣士 3 老術師の罠 知野みさき
 途切れぬ記憶を携えて転生を続ける国王・安良が国を治めて、千八十三年。妖魔に脅かされていた人間が、安良がもたらした理術のおかげで落ち着いて暮らせるようになった。
 大老は政を司る国の重鎮 理一位の者が五人。
 
恭一郎と蒼太が毒入りの饅頭で命を狙われた。聞いた大老・神月人見は息子・一葉15才の跡目披露を行なった。恭一郎は蒼太を連れ、安良に会う。安良は蒼太が妖かしであることが分かったようだ。
 夏野は故郷からの帰り道、伊紗の娘を取り込み不老となった老術師・稲森文四郎に出会う。国王に成り代わろうと妖魔を取り立て村々を襲う稲森に立ち向かうふぁ取り逃がす。

2016年11月9日水曜日

妖国の剣士 2

妖国の剣士 2 妖かしの子 知野みさき 
 黒川夏野17 男装の女剣士 蒼太と目を共有している。理術を習うため樋口伊織の元に行く。剣道五段の侃士
 鷺沢恭一郎32 蒼太を養う天才剣士。山幽の女性を妻にしていたが亡くなる。大老・神月人見の庶子。後妻に疎まれている。
 蒼太 恭一郎と暮らす山幽の少年。妖かしから命を狙われている。十六才だが十才で成長が止まっている。人と暮らすために、伊織のお守りのおかげで少し成長しているように見える。
 樋口伊織 恭一郎の友。理一位の天才理術師
  
理術の才能を見出された夏野は、樋口伊織に弟子入りする。
蒼太は共に生きてきた恭一郎が弟・一葉と再会したことに複雑な思いを抱く。
蒼太は夏野の危機を予知し、夏野の元に急ぐ。妖かし・金翅の子どもを自身の子ども・佐吉として育てている術師・多紀と巡り合う。妖魔の襲撃をきっかけに佐吉は金翅の母のもとに帰って行く。妖かし・山幽の蒼太は恭一郎の子どもとして生きて行く場を手に入れた。
 

2016年11月8日火曜日

御刀番・左京之介 妖刀始末

御刀番・左京之介 妖刀始末 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩五万石、納戸方御刀番・左京之介は、藩主・堀田宗憲に呼ばれる。納戸方・多聞新八郎が御刀蔵から蓮華村正を盗んだ。村正を秘蔵していたことを将軍家に知られれば咎めを受ける。村正を取り戻せという命を受けた。
 国許で探ると、新八郎の糸を引くのは、汐見屋敷に住む、藩主宗憲の叔父・堀田憲正だと分かった。憲正の家臣・相良平蔵は裏柳生に繋がっていた。新八郎の剣を持った腕を切り落としたが、裏柳生の忍に刀を持って行かれた。村正を追って江戸へ向かう。
 忍から村正を取り返した。途中命を助けた裏柳生の忍・楓に助けられる。楓は草がいると言う。
 藩主・宗憲には憲正のこと、裏柳生のことを話、村正は始末したと伝える。裏柳生には、柳生家藩邸に隠したと伝える。
 京之介は、江戸に出て、柳生家下屋敷に行った憲正を上意打ちした。
 蓮華村正は三田中寺丁聖林寺に預けていた。聖林寺の住職・浄雲は左文字の作った刀に斬られた者を供養するため僧侶になっていた。
 汐崎藩の草は京之介の友・鳥見方組頭・島村甚内、兄妹だった。

2016年11月7日月曜日

青子の宝石事件簿

青子の宝石事件簿 和田はつ子
 相田宝飾店、二十四才の相田青子(おうこ)の実家だ。初代店主は勝海舟率いる遣米使節団の木村摂津守喜毅に仕え渡米し、摂津守が大統領夫人から贈られた五カラットのダイヤモンドに見せられて維新後は宝石商になった。
 青子は宝石の真贋が判る目を持っている。
 幼馴染みの光が、同級生であり就職先の社長の息子・片山に殴りかかり怪我をさせ警察に捕まった。青子は隣の新太と一緒に店のコンサルタント・小野瀬の助けを借り理由をつきとめる。片山はてあたりしだいに女の子に贋ダイヤの贈り物を光にさせる。中に青子たちと幼馴染みのフィギャアスケートの清水えりかがいた。光は本物を贈る。片山がえりかと会おうとするので阻止するために怪我をさせていた。父親に偽ブラと結婚を餌にナンパしまくる息子のことを話、告訴を取り下げてもらった。えりかにも伝えた。
 祖父が二千五百万円の宝石を買い、仕上げ売るつもりだった人が亡くなった。借金となった。最高級品のパライバの0.5カラットのリングとペンダントセットで百万円を十セット売った。見本に出した青子のパライバのピンキーリングも売れてしまった。
 ブルーホテル東京のカフェに勤めていた時の同僚・みゆきの彼が白血病だと分かった。みゆきは昔伯父に貰ったパライパを持っていた。青子はみゆきの持ち物から探しだし、五千五百万円で売り、みゆきの彼の治療費が出来、青子は五百五十万円の手数料を得、加工料が入った。
 小野瀬の知人・川瀬がオーストラリアからやってきた。豪のブラックオパール王だ。隣の新太の母親が学校の先生をしていた頃の生徒だった。近所に頻発する少女を狙う男を捕まえた。

2016年11月6日日曜日

リンカーン・ライムシリーズ9

リンカーン・ライムシリーズ9 バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディーヴァー
 送電システムの異常により電力が一つの変電所に集中し爆発的な放電が発生し路線バスを襲い死者一名が出た。事故ではなかった。電力網を操り罠を仕掛け、送電を五十パーセント削減するよう要求する。
 犯人は電力会社アルゴンクインの社員・白血病になったのは電力会社の所為と言う・レイ・ゴールトと思われた。ゴールトは犯人に仕立て上げられていたことが判った。社長・アンディと弟・ランダル・ジェッセンの共同作戦だと思われた。
 リンカーンが一人きりの部屋にリチャード・ローガン、通称ウォッチメーカーが入ってくる。ローガンは殺し屋だ。ローガンがゴールトに成りすましていた。ローガンの依頼されたのはアンディ・ジェッセンに濡れ衣を着せ長い間刑務所に入らなくてはならないようにすることだった。依頼者はグリーン・カルテルのメンバー副社長のボブ・キャヴァノーだった。アンディを業界から追い出し、アルゴンクインの株価を暴落させ、カルテルがバーゲン価格で買うためだった。ローガンはリンカーンを殺す為にニューヨークの仕事を請け負った。リンカーンの服を濡らし、ケーブルをライムに巻き付ける。ランダルがやったように見せる為の証拠の品を置く。リモコンを用意する。タウンハウスの電力は止められていた。誰もいないと思われていたがローガンは捕まった。ローガンはリンカーンの罠に嵌まった。
 ゴールトのアパートの近くでブラスキーは交通事故を起こした。撥ねた男は入院している。意識は戻っていない。彼はフレッド・デルレイの情報屋だった。デルレイは情報屋から連絡がなく金だけとっていなくなったことで彼を調べ始めた。事故で入院していること、ゴールトのアパートにいたのはゴートルでは無いことが判り、犯人を考え出す切っ掛けになった。
 ライムは手術を受け右手を持ち上げ、肘を曲げ、手首をひねって掌を見ることができるようになった。ワイヤーやコンピューターチップを埋め込んだ。

2016年11月4日金曜日

新・古着屋総兵衛 十二

新・古着屋総兵衛 十二 死の舞い 佐伯泰英
春の「古着大市」を控えて、川向こうの新居が出来、大黒屋一番番頭の鳶沢信一郎とおりんの祝言が行なわれ、秋の交易長を信一郎に決めおりんも行くことになった。二人の新居におりんの母、香が住み、女衆の教育をすることになった。
 古着大市を開くことに異議を唱えているのは、長岡藩藩主・老中牧野忠精だった。突然現れた二百年前のガリオン船に似せた新造船が現れる。
 試走航海中に新造船マードレ・デ・デウス号待ち伏せされ大黒丸の右舷が破壊された。
 総兵衛は 祖母から受け継いだ金剛石を売り、新しい船を買うつもりがあった。
 大市を終えた後、影様の九条文女が勾引かされた。

2016年11月3日木曜日

泣きの銀次・参之章

泣きの銀次・参之章 虚ろ船 宇江佐真理
 銀次38才 いち18才で薬種問屋「武蔵屋」へ嫁に行く。
 次は和平といい仲なのに和平が片足がないため、一緒になろうと言い出さない。和平は露舟と名乗り、藩邸の襖絵や屏風絵を書いている。
 銀次が和平に出入り禁止を言ったためか、和平は気味の悪い絵を描き、津軽の屋敷を出、行方不明になった。若い女をつけ回し、怪我をさせたり、殺しまで起きた。和平が犯人だと思われた。和平が見付かった。殺していないと言いながら、和平は首を吊った。
次は芳が昔世話になった尼寺で尼になった。
 和平が亡くなった後、女が殺され犯人が捕まり、和平が人殺しでないことが解った。
 勘兵衛が倒れた。しびれが残っているが役を退くだろう。五十になっていた。
 卯之助が倒れた。武蔵屋が美顔水を作ってくれることになった。店を大きくした。
 

2016年11月2日水曜日

続・泣きの銀次

続・泣きの銀次 晩鐘 宇江佐真理
 銀次28才 長女・いち 次女・次 三女・さん 盛吉3才
 二度の貰い火事で店が本船町の間口二軒の小間物屋になっている。卯之吉の店で作る美顔水を売っている。
 勾引かされた女が殺される事件が何件か起こっていた。銀次は空き家に括られている女を助け、また岡っ引きになる。
 旗本二人が犯人だった。銀次の弟分だった岡っ引き・政吉の飯屋が繁盛し料理屋になっていた。政吉は犯人に頼まれ情報を流していた。銀次を殺すために呼び出しにも手を貸した。政吉は自殺した。
 旗本を捕まえるために、知り合った松浦の隠居の手を借りた。
 犯人を探している最中に津軽藩の絵師の卵の和平と知り合う。助けた勾引かしをされていた女・菊は和平の兄・啓次郎と一緒になった。
卯之助は美顔水に芹の香りを付け、売り出し成功する。

2016年11月1日火曜日

泣きの銀次

泣きの銀次 宇江佐真理 三冊あったので再度読む
 銀次は小伝馬町の小間物屋、美顔水で有名の坂本屋の長男だ。18才の時、妹菊がむごたらしく殺され犯人を捕まえるために、北町奉行所定町廻り同心・表勘兵衛から十手を預かった。坂本屋は弟が継いだ。銀次は死体を見ると泣いた。
 犯人と思われた叶鉄斎を見張っていた銀次の師匠・弥助も殺される。銀次は弥助の娘・芳と一緒になるつもりだった。
 坂本屋が盗賊に狙われ、手代が毒入りの饅頭を持ち帰り、芳が配った。手代が芳には煎餅を持ち帰った。父親、弟夫婦も亡くなり、銀次は岡っ引きをしながら坂本屋の主人になった。番頭の卯之助が店をみてくれていた。
 鉄斎は学者で旗本の保護があったため捕まらなかった。犯人は鉄斎の弟だった。弟は勘兵衛が斬り、鉄斎は自死した。詳しくは女中の老婆が話した。
 芳がいなくなった。四ヶ月後、尼寺にいる芳を見付け、連れ帰る。

2016年10月31日月曜日

いつもおまえが傍にいた

いつもおまえが傍にいた 今井絵美子
 余命三年と言われ、書かれた自叙伝

2016年10月30日日曜日

忘却探偵シリーズ7

忘却探偵シリーズ7 掟上今日子の家計簿 西尾維新
今日子さんと男刑事さん
 掟上今日子の誰がために 御簾野警部 クローズド・サークルの中でペンションに泊まった一人旅の女性が殺された。10時30分から12時までに犯人を探す。自殺志願のカップルが死ねないまま時を過ごし、時間稼ぎのため殺人を犯した。
 掟上今日子の叙述トリック 二々村警部 推理サークルの男性が携帯電話の画面に「XYZの悲劇」を表示させ握りしめ、グランドピアノの下敷きになって死んでいた。ピアノは組み立てたのだろう。スマートフォンの中から保存された時刻が死亡推定時刻と殆ど一致している計算式を見付ける。今日子さんは一眠りし、計算式を解く。数字は「XYZの悲劇」のノベルス版のページ数と座標を表していた。一字一字文字を表す。名前が出てきた。
掟上今日子の心理実権 百道浜警部 次男が鉄扉で閉ざされた地下室で串刺しにされて殺されていた。母親が外で殺した赤ちゃんを鉄扉を壊した後で死体を持ち込んだ。
掟上今日子の筆跡鑑定 遊佐下警部 殺人事件の容疑者は絞られていた。ただその人物にはアリバイがあった。遊園地で脱出ゲームをしていたという。普通で二時間、いくら速くても一時間半はかかるという。一時間でクリアーしてもらいたいという依頼。今日子さんはスマートフォンの入力したキーワードの指の痕跡から協力者の存在を指摘した。

2016年10月29日土曜日

日本地図から歴史を読む方法 2

日本地図から歴史を読む方法 2 武光誠

 
納得いかない図

2016年10月27日木曜日

クルト・ヴァランダー警部シリーズ 4

クルト・ヴァランダー警部シリーズ 4  笑う男 ヘニング・マンケル
 19931011日 弁護士グスタフ・トーステンソンが交通事故で亡くなった。
 イースタ警察署の犯罪捜査官 クルト・ヴァランダー警部は一年以上病気のため休職していた。職業人として社会で働くのは不可能で、病気退職を勧められた。
弁護士ステン・トーステンソンがヴァランダーを訪れ、父親・グスタフの死が事故死と思えないので調べて欲しいとやって来た。それでもヴァランダーは辞職するつもりだった。
ステン・トーステンソンが殺されたことを新聞で知り、復職する。
 事故で処理された父親の事件を調べると、弁護士事務所の事務員の庭に地雷を仕掛けられる。ヴァランダーの自動車に爆弾を仕掛けられる。県の監査係りも自殺に見せかけて殺されているようだ。
 容疑者はファーンホルム城の主、世界を飛び回っている社長、スウェーデンのいくつもの名誉博士号を貰っている、アルフレッド・ハーデルベリだった。警備員の元警官くると・ストルムが殺され、ヴァランダーは城に忍び込み捕まる。アルフレッドはヴァランダーをへりから落とすつもりだったので、弁護士の殺人など告白する。ヴァランダーは逃げ切り、自家用飛行機で逃げようとするアルフレッドを停め、捕まえる。
 

2016年10月25日火曜日

素浪人半四郎百鬼夜行〈八〉

素浪人半四郎百鬼夜行〈八〉 終焉の百鬼行 芝村凉也
 浅間山の噴火が始まる。
 聊異斎と捨吉が浅間山を噴火させると考える田沼意次が放った涸沼源二郎は田沼の命令ではなく、半四郎を殺すことに拘っていた。半四郎は左小手を切り落とされ追い込まれる。亡くなった志津と一緒に行ったもう一人の半四郎が現れ、窮地を救い、鉄砲玉や矢を抱き取り消えて行く。
涸沼は半四郎に崖から落とされ火砕流に巻き込まれる。「繰り返し」を使うが、何度繰り返しても状態は変わらなかった。田沼の家来・室尾と二瓶は聊異斎と捨吉が浅間山の噴火を止めようとしていると判るが、二瓶は涸沼に殺される。
 田沼を失脚させるため浅間山を噴火させようとした松平定信は服部半蔵の分身が大規模な噴火をさせようとしていることに気が付き、聊異斎と捨吉を助けようとした。服部半蔵は聊異斎の後をつけ、龍穴を見付け金の壁に自分を埋め込み、大規模噴火を起こさせようとする。
 捨吉は浅間山と同体になるはずだったが、半蔵のため浅間山が変わった。噴火口を目指す。
 榊半四郎の前に、中尾朔太郎が現れる。半四郎が東雲藩を脱藩してからの半四郎と関わりのあった者たちの不遇を嘆く。朔太郎は噴火口に行くという半四郎を見送る。誰も半四郎を悪く言うものはいなかったと言い残す。

2016年10月24日月曜日

次男坊若さま修業中 2

次男坊若さま修業中 2 願いの錦絵 千野隆司
 おいらのちゃん 橋端でちゃんを待っている子供を見付ける。父親は盗品を運んでいて捕まっていた。正高は調べ盗賊を捕まえ、盗品を運び、商家に渡すところを取り押さえ子供の父親がただ運んだだけのことを証明する。
 願いの錦絵 錦絵の版画彫師・留蔵が商人を殺そうとしているところを止める。留蔵が昔所帯を持とうとした女・喜乃が女主として頑張っている雑穀屋・片岡屋に、亡くなった主人の子供に千両渡すように書いた証文を持った男・口入れ屋上州屋の金兵衛がやってきていた。正高は子供が上州屋の子供で、片岡屋の亡くなった主人の子供でないことを証明した。
 文月の幽霊 刀が通っていた住職に斬り付けたという。住職・宗達が正武に会いに来た。正高が刀のことを調べることになった。旗本の仕官の口があると言い、十両のために妾になった娘が、兄・溝口の仕官が決まらないことで川に身を投げた。兄が宗達を恨んでいた。溝口が宗達を狙った。見ていた者に人は見えなかったようだが正高には見えた。溝口を連れ出した。妹が自死した理由は病気だったことを話す。正武は寺侍の職の口利きをする。

2016年10月23日日曜日

あきない世傳金と銀〈二〉

あきない世傳金と銀〈二〉 早瀬篇 高田郁
 幸 五鈴屋の女衆として奉公していたが、16才の弥生25日、四代目徳兵衛と婚儀を挙げる。子供と言われ、中途半端で放って置かれる。自分のことを鵺という。呉服商売の勉強する。
 徳兵衛 元文四年 1739年 水無月石垣から落ちて26日に亡くなる。
 惣次 徳兵衛の弟、次男。大店伏見屋の娘の養子の話が持ち上がる。徳兵衛が亡くなり、家を継いで欲しいと言われ、幸を嫁にすることを条件に継ぐことを承知する。

2016年10月22日土曜日

料理人 季蔵捕物控 31

料理人 季蔵捕物控 31 江戸あわび 和田はつ子
 アワビ料理を習いに来た海産物屋の富助が行方不明になる。行方を追っていると、瑠璃を盗み見していた要三が自死したようにみせて殺された。季蔵は猫が好きな者の集まりに遭遇する。季蔵がアワビ料理でもてなしの途中、玉木藩江戸家老・根元剛右衛門が九ヶ所も刺されて殺された。根元は藩の鮑玉の横領で私腹を肥やし、反対勢力を陥れて潰してきた。潰された元江戸家老の身内たちの仇討ちだった。富助は鮑玉を手に入れるために鮑玉役人を殺していた。役人の娘が富助の女房になって仇討ちしたのだった。
 根元は忍び込んだ盗賊に斬られたことになった。

2016年10月21日金曜日

みとや・お瑛仕入帖 2

みとや・お瑛仕入帖 2 五弁の秋花 梶よう子
 鼻下長物語 みとやの近所に吉原を退いた花巻花魁の店、お総菜の店・四文屋・はなまきが開店した。花魁だった花巻・花が母親と出した店だった。
 長太郎が仕入れた黄表紙に挟まれた錦絵を見た瑛は、景色に見覚えがあった。挟んであった黄表紙・鼻下長物語は早口言葉だった。
 長太郎の友達・寛平が一緒になろうとした中里が旗本に身請けされると言う。長太郎は花に頼み、旗本と早口言葉の勝負をし、中里・里を取り返した。寛平は里と幼馴染みだった。醤油屋の娘で父親が亡くなった後、店を番頭に乗っ取られ母親と行方知れずだった。寛平は探し回りやっと見付けたのだった。
 とんとん、かん 茂兵衛に頼み腕が太くならないように櫓を軽くしてもらった。瑛は船頭・辰吉に速さ勝負を挑まれる。辰吉の父親の形見を使って先輩船頭が押し込みをしたことで、茂兵衛が辰吉の祖父だと解った。辰吉は茂兵衛と一緒に安房へ行った。
 市松のこころ 辰吉は江戸に帰り、茂兵衛の代わりに柚木で船頭をし始めた。
 火事を出した人形屋・巴屋から市松人形を仕入れてきた。市松人形を見に来る男の子がいる。巴屋に市松人形を卸した人形師の息子・太助だった。二年前、川に落ちた太助を助けに来た姉が亡くなり、姉の髪の毛を市松人形に使っていた。川に落ちた市松人形を取りに助けが川にはまった。辰吉と瑛が太助を助け、市松人形も探し出した。
 五弁の秋花 みとやの裏の長屋で手習い塾をしている菅谷道之進が、花に女郎花の銀の簪を贈った。元花魁に女郎花の花の簪は失礼だと思う瑛に、花は女郎花は粟花ともいうが、その昔は思い花とも呼ばれていたという。
 はなまきに三次の姉が奉公することになった。品川から板橋に売られるところ、寛平の父親にお金を出して貰った。三次は銀の簪を作った職人の所に修業に行く。
 辰吉に錦絵の場所を探して貰うことにした。
 こっぽりの鈴 長太郎が仕入れた下駄が盗まれたものだった。瓦版で盗品を売っていると書かれたみとやは客が来なくなる。長太郎は自身番に連れていかれた。森山の隠居の口利きで牢送りにならず番屋から戻ってきたが、偉い人に罪を揉み消して貰ったと噂が広まった。長太郎に下駄を売った人を探そうとする。
 橋崩落後会った事が無かった幼馴染み・せんに会う。せんは盗まれた下駄屋の養女だった。橋を渡れない瑛をせんは橋に連れていく。せんを心配する八丁堀の同心・八坂を知る。せんが言う「昔、今度濱野屋さんに三つの女の子が来るから仲良くしてあげなさい」と。
 足袋のこはぜ せんの仕組んだことではないかという瑛に幼馴染みなのだから信じておやりと言う長次郎。長次郎と自分は兄妹では無いのではないかと思う瑛。
長次郎は左耳の後ろに黒子があった事を手掛かりに下駄屋の手代を探している。みとやを訪れた八坂からせんの話を聞く。小間物屋で店を見て回り盗人仲間を集めて仕事をする盗人の人相書きを見る。長太郎が探している手代だった。盗人・淳八が狙っていたのは寛平の店だった。小間物売りに扮して来たところを捕まった。店を救ってくれたのは長太郎だと余り布や帯締めを譲ってくれた。向かいの足袋屋から貰ってきた足袋は、五枚こはぜのせんのために作られた足袋だった。
下駄屋津山も狙われていた。淳八に土蔵を開けたのはせんだった。淳八に唆され瓦版に頼んだのもせんだった。瑛が橋を渡れないように父を失った船にせんは乗れない。せんを船に乗せ、母親がせんの為に作ってもらった足袋を見せる。
 瑛は辰吉と野新田に行く。自分が来たことがある、母親に手を引かれ、もう一人いたのが益次だったことに気が付き益次に手紙を書く。益次から返事が来る。瑛は母親の妹の所に養女に出されたが、妹が亡くなり後妻に子供が産まれたので瑛は返されたのだった。浜野屋への帰り道、絵師に声をかけられ、描かれたものだった。

2016年10月20日木曜日

新・酔いどれ小籐次(五)

新・酔いどれ小籐次(五) 柳に風 佐伯泰英
 秩父の雷右衛門を使って、老中・青山忠裕を追い落とすために小籐次を狙ってくる者がいた。七十六才で西の丸老中をしている美濃岩村藩松平乗保だった。本丸老中になりたかった。側用人の仕業にされた。
 武蔵国総統と三人の兄弟が秩父の雷右衛門を名乗って四宿で盗み殺傷を行なった。
 大目付朝比奈が下屋敷に踏み込む。逃げた親子を小籐次は打ち取る。二人の兄弟は望外川荘に討ち入った。駿太郎と森藩の小籐次の弟子二人によって打ち取られた。
 赤目小籐次、森藩の剣術指南役に就く。

2016年10月19日水曜日

十津川警部 捜査行

十津川警部 捜査行 阿蘇・やまなみ殺意の車窓 西村京太郎
阿蘇で死んだ刑事 第三セクターの南阿蘇鉄道を走るレールバスが爆破される。五人死亡三人が重体だった。死亡の中に刑事がいた。六十億の不正貸付をした銀行の貸付担当だった男がいた。犯人・林田は銀行員・平山の殺人を見、脅迫し、六十億の貸付のあと社長が持ち逃げしたように見せかけ社長を殺していた。平山はリベート一億円を貰ったが五、六億円を要求したため、林田が狙っていた。平山を殺人犯だと思っていた刑事が後をつけていた。刑事も一緒に時限装置で爆発させた。
阿蘇幻死行 十津川直子が九州旅行中に交通事故を起こしたと思ったが、死体がなく帰って来た。事故を起こしたと自首した男・原は先に事故で亡くなっていた人をとばしたとなり、直子が事故を起こしたのだと捕まった。十津川は直子と一緒に旅行した友達が原を使い、邪魔になった男を殺したことを暴いた。
小さな駅の大きな事件 テレビで見た原作はこれだった。鹿児島の日本最南端の駅で刑事が撃たれてなくなっていた。鉄道オタクが十分おきに写真を撮っていた。代議士の頼みで刑事は鹿児島まで届ものを届けた。そして殺された。
ある刑事の旅 捜査一課の若林の父親が亡くなったので鹿児島へ行った。父親と一緒に住んでいたと言う女の頼みを聞き、殺人犯にされてしまう。十津川が鹿児島で真犯人を見付ける。一緒に住んでいたと言う女が父親の死んだ病院の院長と組んで仕組んでいた。
西の終着駅の殺人 清水刑事が実家の枕崎に帰る途中のはやぶさの中で知り合った女が殺される。自分が秘書をしていた男は猟奇殺人の犯人だと解ったから命を狙われていると言い残していた。証拠が無いと言う。はやぶさで殺した犯人・広田のモンタージュを作り、手配した。広田を殺しに来た男・大沼と広田を捕まえた。

2016年10月18日火曜日

ソウル・コレクター 

ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー
 ライムの従兄弟・アーサー・ライムが、殺人罪で捕まる。
 アーサーとは大学入試時にわだかまりがあり、行き来が無かった。
 個人情報が書き換えられ、何個かの冤罪事件があることが判る。
 殺人事件の犯人作りを阻止された真犯人は、ライム等のチームに狙いを付ける。家族を不法入国者としたり、ライムの家の電気代を未払いにし、セリットーは麻薬検査で陽性反応が出、停職処分決定書が出された。
ライムはたちは個人情報サービス会社・SSDの社員をターゲットに調べていた。国土安全保障省から、捜査を続ければテロリストにSSDに大きな価値があることを知らせてしまうから、事件捜査打ち切るよう言われる。
 連絡も取れないままアメリヤは捜査し、犯人に捕まる。危機一髪のところ助けてくれたのは、二年前から、個人情報を書き換えられ人生を狂わせられた元医者だった。聞き込みに来た彼女を見張っていれば犯人に行き当たると考えたロバート・ジョーゲンセンに助けられた。
 犯人はSSDのガードマンだった。昔働いていた情報会社が吸収されていた。
 アメリヤの愛車・カマロはデーター書き替えられ、廃車になりエンブレム一つ残しスクラップにされた。
 ボーン・コレクターの三才の少女・ウォッチメーカーの少女・パムが高校生になってでてくる。アメリアの妹?娘?のように。
 ウォッチメーカーの犯人が、イギリスで殺人を成功させる。ライムに置き時計を残した。


2016年10月15日土曜日

さわらびの譜

さわらびの譜 葉室麟
 扇野藩勘定奉行・有川将左衛門は父子相伝の日置流雪荷派弓術の印可を娘・伊也に与えた。伊也は大和流の樋口清四郎を知り、好感を持つ。樋口清四郎と妹の初音に縁談が整い、許嫁に二年後に婚儀を行なうことになった。初音は伊也が清四郎を清四郎も伊也を思い合っていることを知る。
 有川将左衛門は藩主・千賀谷晴家の江戸での吉原通いを戒めていた。そのために江戸から殿の腹違いの兄・新納左近を呼んでいた。殿の腹違いの兄であることは内緒だ。そのため殿の側に付き将左衛門の家中の人気を疎ましく思う次席家老・渡辺兵部と側用人・三浦靭負は主席家老の老齢をいいことに、弓術指南・磯貝八十郎や鉄砲衆・井口泰蔵を使い、有川家を窮地に追い込む。将左衛門を江戸に送り、伊也は桟敷牢に入れられ、清四郎は謹慎、新納は弓で狙われ、有川家は火を付けられる。鉄砲衆に狙われた伊也を清四郎と磯貝が守る。
 晴家の心を入れ替えるため、伊也は千射祈願をすることになった。補佐に清四郎が就く。伊也は千射が成せたら、京へ行こうと決めた。初音と清四郎を見ていられないと思う。
 千射祈願成就した。渡辺兵部は家老職を辞し、隠退した。三浦靭負は大阪屋敷勤番になった。将左衛門は次席家老になった。新納左近は千賀谷姓になり所領をもらい、執政のひとりになった。左近は初音を妻に迎えたいと望んだ。晴家からお声がかりで樋口家との縁談は解消された。子が生まれたら日置流雪荷派を継ぐことになった。

2016年10月14日金曜日

白樫の樹の下で

白樫の樹の下で 青山文平
 村上登 佐和山道場へ通う。三十俵二人扶持小普請、竹光を差していたが、蝋燭問屋の次男坊・巳乃介から一竿子忠綱を預かる。
 青木昇平 登の幼馴染み、同じ佐和山道場へ通う。御入用橋等出水節見廻役の内与力を助け、下役に就いた。
 仁志兵輔 登の幼馴染み、同じ佐和山道場に通う。手柄をたてるため出没する辻斬りを捕まえるため待っていた。
 巳乃介が養子になり、小人目付になった。辻斬りの犯人を探索していた。
 登は兵輔の妹佳絵が好きだったが、小普請のため、昇平一緒になるものと諦めていた。佳絵と会い、佳絵が登を好きだと言った夜、佳絵は辻斬りに斬られる。
 仁志兵輔が殺された。巳乃介も殺された。
 昇平が辻斬りだった。付きまとっていた佳絵が登の話をもちだしたために殺していた。昇平が料亭に立て籠もり、徒目付組頭から頼まれた登は昇平と対峙する。終わらせてくれという昇平の言葉、佳絵のことはすまなかったという最後の言葉。仁志の仇を打つために最後の真剣での稽古をした。
 二十歳で隠居をさせられた一竿子の元の持ち主が、殿様に一竿子を見たいと言われた。売ってしまった一竿子をさがしていたのだった。登の前に現れた武士と戦う。仁志と巳乃介はその武士に殺されていた。昇平との稽古がなければどうなっていたか判らなかった。
明くる年、寛政元年 登は小人目付になっていた。 
 
 

2016年10月13日木曜日

クルト・ヴァランダー警部シリーズ 3

クルト・ヴァランダー警部シリーズ 3 白い雌ライオン ヘニング・マンケル
 スウェーデンの田舎で、不動産業者の女性が消えた。失踪か、事件か、事故か?ヴェランダー警部は足取りを追う。近くで空き家が爆発炎上、黒人の指と南アフリカの銃、ロシア製の通信装置が発見される。女性のしたいは農家の井戸から見付かる。
 南アフリカのボーア人で作られた秘密結社「兄弟の絆」はアパルトヘイト制度が崩壊しないためにある人物の殺害を計画し、スウェーデンにいる元KGBのコノヴァレンコの下に練習のためにアフリカ人殺し屋・マバシャを送った。銃が長距離弾であったことと殺人対象がマンデラであったことが理由だったが、マバシャはコノヴァレンコの黒人蔑視と自分たちに近付いた女性を殺したことに絶えられず、コノヴァレンコの下から逃げた。その時、指を失った。マバシャは自分を探す刑事に気が付き近付く。マバシャから聞いた事をインターポールを通じて南アフリカに送る。
 コノヴァレンコは刑事を見張ればマバシャを見付けられると思いヴァランダーを付け回す。ヴァランダーはマバシャを保護し、国外へ逃がそうとするがコノヴァレンコに殺され、ヴァランダーも狙われ、コノヴァレンコの仲間を撃ち殺す。ヴァランダーの娘・リンダが誘拐される。コノヴァレンコの仲間のタニアによって逃れたが、タニアは無残に殺された。逃げたコノヴァレンコを追いつめ、車爆発、炎上によってコノヴァレンコは死ぬ。
 スウェーデンに密入国させた漁師により、マバシャの後の殺し屋がツィキであること、暗殺日が六月十二日であることが判る。インターポールを通じて送る。ツィキは捕まる。
秘密結社のボスは娘に殺された。自殺したことになった。
 ヴァランダーは自己防衛とはいえ人を殺したことで鬱びょうになる。
 
 

2016年10月11日火曜日

12番目のカード

12番目のカード ジェフリー・ディーヴァー 訳・池田真紀子
ハーレムの高校に通う16才の少女・ジェニーヴァが博物館で調べものの最中に男に襲われる。機転を利かせ難を逃れるが、聞き取り調べの最中に博物館の館長が殺された。レイプ目的と思われたが、ジェニーヴァが、先祖の解放奴隷・チャールズ・シングルトンの関与した百四十年前の事を調べているために狙われたものだった。
 執拗に狙われる。本当に狙っているのが誰か判らない。
 百四十年前、チャールズは農園を持っていた。資産を有する黒人が命を狙われるため、隠していた。奴隷解放基金を盗んだという濡れ衣を着せられ捕まっているうちに、農園を取りあげられていた。農園はマンハッタンの一等地六万平方メートルあった。
 ライムたちは、チャールズの土地所有、濡れ衣を着せた張本人、を調べ出した。農園を土台にして現、サンフォード信託銀行が成り立っている。チャールズの直筆手紙、涙からDNA の検出、公的書類、訴訟の用意をする。
 和解金を解放奴隷の子孫に分配する チャールズ・シングルトン信託基金の設立準備をする。
 ライムの右手が動いた。
 

2016年10月9日日曜日

読売屋天一郎〈六〉

読売屋天一郎〈六〉 千金の街 辻堂魁
読売屋・天一郎は、病気になった遣手婆・稲の昔のことを調べ丹波青坂家の殿様になっている子のことをつきとめた。四十年前のことを知っている峯岸啓九郎に会い、稲のことを伝える。自分の母の子とを知った国許の殿様は母を引き取った。
やんまの公平の友達・弥作が吉原の八州屋の番頭の息子の替わりに殺された事を知り、公平は敵を打とうと吉原の首代菊蔵に呼び出し状を送る。天一郎も手伝い菊蔵を殺した。菊蔵等を皆殺しにしたのが誰なのか、分かっていない。
稲のことも読売には書かなかった。

2016年10月8日土曜日

立場茶屋おりき25

立場茶屋おりき25 永遠に 今井絵美子
木染月 里実が来る。先代おりきの孫になる。恵心尼に躾けされ生け花も大好き。
秋の行方 彦蕎麦のおきわと板頭の修次が祝言を挙げた。
おきちは吉野屋幸三と祝言を挙げた。女将修業に身が入らなかったおきちは里実が来たことを喜び、京都に行った。
蜜柑 六文屋のおさわが面倒見ていた十一が亡くなった。
永遠に 巳之吉は福治を後継者にしようとしている。

2016年10月7日金曜日

かけおちる

かけおちる 青山文平
 柳原藩 阿部重秀、中山籐兵衛、森田啓吾 鮭の種川、藩の興産
重秀の妻・民江が二十年前に欠落し、重秀は女敵打に出た。民江は死んだことになっているが、籐兵衛のところで預かって貰っている。婿の長英は江戸にいる。武人だが殖産、興産に変わった。養蚕技術の本の買い入れで騙され、騙した者を斬り、藩邸に戻り切腹する。国許の重秀の娘・長英の妻・理津は長英が畑違いの役についているためいつか切腹するようなことになると思っていた。長英が女敵打に出れば切腹するようにはならないと思い啓吾と欠落することにする。重秀が気付き二人のそんな話を聞き、重秀と民江も一緒に脱藩し、長崎へ行く。啓吾がまとめた鮭のこれからの事をかいた書物を籐兵衛に託した。藤兵衛は家老に差し出し重秀、啓吾の話をすると、長崎への視察ということにしてくれた。
 家老は温情ではなく、重秀と切れてしまったら困ると考えた。

2016年10月6日木曜日

ふたつぼし 弐

ふたつぼし 弐 中谷航太郎
 一年半後
 高杉玄之丞はお役を解かれ家禄二千石、役宅も追い出されていた。玄之丞は隠居状態。
 隆一郎は実地で剣の修業をしていた。矢萩兵之介の名前を使って。
 矢萩兵之介は漁師になっていた。人質事件が自分の船で起こり、人質を助けた事により居場所が分かってしまう。兵之介は父親と分かった高杉をねらっていない。隆一郎は兵之介と兄弟と知らず、殺すことを目的にして兵之介を探している。
 隆一郎は姉・志津を人質にし兵之介を呼び出す。倒れるまでとことん戦った。
 志津と伝一郎の祝言の最中に兵之介は旅に出る。隆一郎と落ち合いまた会う日を楽しみに南と北に別れる。

2016年10月5日水曜日

ふたつぼし 壱

ふたつぼし 壱 中谷航太郎
矢萩兵之介 神田の餓鬼大将。八才で父を亡くし、仇を教えて貰うために峯岸一鬼について賞金稼ぎをしながら剣の腕を磨く。
矢萩一郎太 兵之介の父親 町道場の師範代を務める浪人
高杉隆一郎 本所の餓鬼大将 五千石の旗本の長男 兵之介が野試合した相手。野試合の後父が殺されたが、兵之介は記憶がない
 兵之介は野試合から十年たち江戸に帰った。十年前の真実を知る。高杉家の長男が浪人の息子と相討ちになったことを知られないために駆け付けた一郎太は殺された。高杉側の人間だった峯岸は一郎太を斬った者を倒し、兵之介を鍛えるために旅にでた。
 隆一郎の父・玄之丞を狙うが失敗する。隆一郎を捕まえ、玄之丞を呼び出し、命を狙う。隆一郎が解放されたことを知った玄之丞は逃げる。峯岸は玄之丞が用意した弓矢によって死ぬ。高杉家の用人が兵之介の根付けを見、隆一郎の双子の兄弟であることを言い、兵之介が知り、母、姉の前から姿を消す。

2016年10月4日火曜日

警察庁α特務班

警察庁α特務班 ラプラスの鬼 六道慧
 夏目凛子 34才シングルマザーの刑事、
 渡里俊治 56才警察庁ASV 特務班の警部。娘を連続強姦殺人事件で亡くしている。
 桜木陽介 25才姉がレイプされた。雑学王
 長田弥生 30才監察医の経験を持つ鑑識員。科学捜査のスペシャリスト
 酒井明男 56才刑事
 井上友美 28才ハイテク犯罪対策総合センターを経て特務班へ
 木暮円香 48才精神科医
五年前と三年前に女児が連れ去られている。三年前に連れ去られた、酒井咲良のスカートが河川敷に段ボール箱に入れて置かれていた。酒井刑事の孫娘だった。
特務班は二十四年前の北関東幼児連続誘拐殺人事件と同一犯だと思っていた。
 犯人は別の事件で知った、青山香奈子の夫、青山良輝だった。良輝は、親のDVの犠牲になっている若者を自分が犯人だと自首させる。息子が犯人だと見せかけたりする。生活安全課の警察官と関係を持ち情報を得ていた。
 良輝の息子・勇輝は小学生の時、ベランダから落ちて高次脳機能障害になっていた。ベランダから落としたのは父親・良輝だった。それを見ていた良輝の母親は鬱病になり認知症になった。良輝の父親・洋二は一人目の事件の時に息子の犯行を知った。悩んでいるうちに咲良ちゃんの事件がおきた。洋二は私が殺して山に埋めたと良輝に話した。三度目を起こそうとしているので、殺そうと思ったが反対に殴られ入院した。警察に行けば家族を殺すと脅された。良輝の妻・香奈子に話した、自殺しようとしたが、今回、後、して欲しいことを託した。
二十四年前の事件と今回の事件の証拠集めに家族が協力した。
 三人目の幼児は保護され、一人目の幼児の骨が見付かった。咲良は中国に住む夫婦に託されていた。

2016年10月3日月曜日

針と剣 縫箔屋事件帖 風を繍(ぬ)う

針と剣 縫箔屋事件帖 風を繍(ぬ)う あさのあつこ
ちえ 16才 縫箔屋丸仙の一人娘 榊道場に通い榊道場の白竜と言われている。母・滝
仙助 40才 丸仙の主人・縫箔師、ちえの父親
芳澤一居 17才 旗本二千石の三男、母は女中だった。兄が後を継ぎ、もうすぐ子供が出来る。 佐竹道場に通う。
伊上源之丞 ちえの同門の兄弟子、五十石御家人・普請方 嫁に来いと言う。
 丸仙に一居が弟子を志願しにくる。何度も仙助に断われれていた。一居は刀を捨てるため榊先生に頼み、榊道場の師範代・佐原荘吾と手合わせをした。町人姿で絶縁され弟子志願に来る。大名に嫁ぐ姉の花嫁道具のなかの上布の帷子の刺繍に見せられた。世継ぎ争いに巻き込まれ姉が自死する時、その帷子を纏い、袖の一部を一居に届けられたこと、それが、仙助の仕事と知ったことなどを語った。一居は弟子入りを許された。
 丸仙の弟子・正造の娘・信が斬り殺された。四年前に五人の娘が斬り殺された事件の犯人と同じだった。
 ちえは神社で男・作助に襲われ取り押さえるが、一連の事件の犯人ではなかった。ちえは作助が持っていた匕首がきになった。匕首から娘殺しの犯人の動きが分かった。
 榊道場の師範代・佐原が犯人の疑いを掛けられ、自死する。榊道場も閉じられた。岡っ引き・仙五郎に話を聞き、源之丞とちえと一(居)で犯人を探し出す。知られていない武士の娘が二人殺されていた。娘・直江を誘い出したのが佐原だった。道場内に佐原の噂をばらまいたのが誰かと調べた。
 作助は、娘殺しの犯人とぶつかっていた。源之丞とちえは同門の八槻に作助がぶつかった男の顔を思い出そうとしていると伝える。作助が襲われ、下手人を捕まえた。八槻は佐原の知り人を殺して、罪を擦りつけようとした。
 誘い出しの手紙は八槻が直江にも佐原にも出していた。佐原に自分が行かなかったから直江が殺されたと思い込ませていた。四年前の事件も八槻だと白状した。
榊道場は無くなった。

2016年10月2日日曜日

渡り辻番人情帖

渡り辻番人情帖 吉田雄亮
 御家人の三男・浅井源三郎は商人の娘・千賀と所帯を持ち、辻番人となった。辻番請負人組合の辻番人の口入れ業〈吾妻屋〉の文蔵に年三十両で、もめ事の多い辻番所へ派遣されることになった。文蔵が辻番所の近くに休憩所がわりに裏長屋を借りてくれ、千賀が着替え等を届けて来る生活が二年になる。福役として為吉と一緒に。
 本所三ツ目橋 三ツ目通りに露店が並び、客引きが付きまとい無理やり買わせることが問題になっていた。辻番所の前の露天商を捕まえ、請け人を呼んだ。客引きをしなければ露店をだしてもかまわないことを伝えた。引き取りに来た六右衛門は、亀高新田の土地を借り、長屋を作り、青物を作り、露天商で働き稼いだ金を分け合って暮らしていた。一部は積み立てて病気に供える。百人近い人数がいる、六割が無宿ものだという。
 押し売りがために六右衛門が大番屋に入れられた。辻番所のお頭さんに相談しろという六右衛門のいうとおりお勝は相談に来る。深川番屋預けになった。源三郎の言う通りに動く、半月め、六右衛門は放免された。
 入江町の鐘 稲という老婆が店の前で腹痛を装って上がり込み、深更まで居座り駕籠賃・百文をせしめるということが五件起こった。店の主人に相談される。稲を見付けた。病気の娘と孫のためにやっていた。稲に働き場所を紹介するが来ない、そして店で百文せびる。源三郎は稲を捕まえ辻番所に捕まえておく。罰として十日間住み込みで働かせる。娘と孫世話は千賀がみていた。稲は働く気になった。
 花町賭場屋敷 源三郎は若い娘・久を数人の人相の悪い男たちから救った。屋敷で賭場を開いている、家禄四百石の旗本・乙部小七郎が久を見初め、自分の物にしようと、久の兄・友吉を捕まえ久を誘き出して捕まえようとした。友吉が庇い、久は逃げていた。辻番所を襲ってきた男を捕らえ、乙部の悪業を書き付けにしたが、その男は殺される。
火盗改役配下与力の天真正伝神道流浦辺道場の兄弟子・和田隆太郎に助けを求め、久を連れて友吉を取り返しに行く。火盗が賭場開帳の咎で踏み込み、和田は乙部を切腹に見せかけた。友吉と久を助けた。

2016年10月1日土曜日

新・問答無用3

新・問答無用3 遺言状 稲葉稔
 町年寄り・喜多村の相談役をしている柏木宗十郎は、山形屋の先代が残した何かの時は由蔵に相談しろという遺言状のことで相談される。
由蔵は書かれた所にいなかった。請け人も架空の人物だった。見付かった仕訳帳は不正の証拠のようだった。
 宗十郎は書かれている店、人物を探す。前に継ぎ役をしていた吉蔵に会う。吉蔵が手伝ってくれる。宗十郎とは別に、由蔵を探している者がいる。由蔵は不正で得たお金の隠し場所になっていた架空の店・那須屋だった。成田屋の番頭・彦蔵と篠山藩青山家の用人・津々井英蔵によるものだったが、加賀屋と駿河屋も参加し由蔵も網元の番頭を引き入れていた。その中から由蔵は二千両を持ち逃げし、追われていたのだった。
 由蔵は殺されてしまった。

2016年9月30日金曜日

入り婿侍商い帖(七)

入り婿侍商い帖(七) 出仕秘命1 千野隆司
 大黒屋の婿・角次郎の兄一家が文化四年(1807)八月十九日の永代橋崩落事故に巻き込まれ亡くなった。兄が死ぬ前に裏切り者が現れた、無念だ、と言い残したことと、兄が何者かに橋から突き落とされたことを知り、角次郎が五月女家に帰り後を継ぎ、殺された理由を突き止めようとする。
 兄の残した書き付けと、調べから、真岡の代官所と仙石屋助左衛門、勘定吟味役・畑山将監、勘定奉行・大久保忠信、田安家の誰かまで繋がって、不正をしていることが分かった。お召縮緬二千五百反の簿外品を江戸に運び込んだところを押さえた。不正品と認められ、織り元・三国屋、仙石屋、代官・御園生の関与が認められ、御園生は切腹、店は闕所、主人は遠島となった。
 兄が裏切り者と言った人物は見付からなかった。仙石屋以上の者の関与も証拠がなかった。

 

2016年9月29日木曜日

貸し物屋お庸4

貸し物屋お庸4 娘店主、想いを秘める 平谷美樹
 萱草の簪 浅草の芸妓・葛葉が萱草の簪を借りに来る。湊屋の本店の主人・清五郎に合う時に使うという。本店をあてにするなとも言われる。お庸は知人に作ってもらう。清五郎と葛葉の関係が気になるお庸は二人を付ける。お庸は自分が清五郎を好きなことに気付く。葛葉は簪を返す時、あたしはもう、清五郎さんに会うことはないよ。安心しなという。お庸は知らないが、葛葉は抱いてくれない清五郎より、西国屋の妾になることを選んだ。
 六文銭の夜 真夜中にお庸の店の前に裸の男の子と十人の死に装束の大人の男女が現れた。お庸の弟・幸太郎の家では家神になる修業中のおりょうが、幸太郎に六十文を持ってお庸のところに行くように伝えていた。男の子が川の杭に引っかかっているのを見付ける。遺体を引き上げ番屋に連れていくと、岡っ引きはお庸と幸太郎が突き落としたのではないかと疑う。男の子と十人の亡魂が現れれ、同心の月代を叩いた。お庸が亡魂の知らせで亡き骸を見付けたということを信じた。次の日、着物の礼に来た父母に、父母がしっかりしている姿を見せれば子供も成仏出来ると思う、という。後ろを絣を着た長七が付いて行っていることは言わなかった。
 秋時雨の矢立 湊屋の手代・松之助はお庸の店の助っ人だ。松之助の昔の仲間・蛇舅母(かなちよろ)の仁吉が、松之助の錠前破りの腕を見込んで誘いに来る。お庸を人質に取る。十年前、松之助の父親・丹波の秀蔵一味は江戸にやって来る途中品川で捕り方に囲まれ、逃げた。助けられた鵺の権兵衛一味に入った。秀蔵は見付からなかった。清五郎が現れ松之助を湊屋に引き取られた。話を付けた権兵衛は亡くなり二代目権兵衛になっていた。
清五郎と秀蔵にお庸と松之助は助け出され、奉行所から捕り方が駆け付ける。
 十年前、現権兵衛・寅之介が秀蔵一味のことを奉行所に知らせた。権兵衛を上方に誘い、毒殺してした。
 松之助に会わないで旅に出ようとする秀蔵にお庸は矢立を渡す。旅先から松之助に文を書けという。松之助を呼ぶ。二人はいい店主だと言い別れる。
 人形 瑞雲はおりょうに言われて百八体の人形を探し出し供養していた。
 初雪 美濃国大岡家の若様の付け女中にお庸が借り出された。十四才の小太郎と父親藩主の仲を取り持つ。また家来と若様の関係も修復する。庸は湊屋に帰る。下屋敷の家老・今田市右衛門が礼に来ている時に、陸奥国神坂家の橘喜左衛門がやってくる。何か力を借りたい時は相談するという。大岡家の相談は受けて、神坂家の相談は受けないということはあるまいという。お庸は喜左衛門の配下がお庸を探っていることを知らない。清五郎たちが牽制していることも知らない。松之助は清五郎に知らせに行く。

2016年9月23日金曜日

神田職人町縁はじめ

神田職人町縁はじめ しろとましろ 知野みさき
五年前、松平定信が老中となる
 咲 26才 万町の小間物屋「舛田屋」に煙草入れや財布を作って置いてもらっている。刺繍を刺す縫箔師だ。
 美弥 30才 舛田屋の主人 六年前に夫を亡くし店を継いだ。
 修次 錺職人
 咲は気に入った簪を見付けるが、高くて買わなかった。気になり次ぎの日に見に行く。半額になったので買う気になったが、修次が現れ、売れないという。身売りする姉のために欲しいという男の子のために、手直ししてやる。咲は簪入れを作る。
 修次に会う度、双子の男の子・しろとましろが現れる。稲荷の狐の化身だと言う。
 痴呆症の梅婆さんが言う、姉・藤が見付かった。姉妹の家は小さい時に離散していた。梅は漆器屋の女将、藤は料理屋の女将になっていた。昔の母親の思いでの料理を食べ梅は藤を認識した。梅の家のお月見の重箱は咲の父親元一の作品だった。見ることが出来た。
 女連れの修次に会う。
 修次としろとましろと咲が蕎麦屋へ行く。出会った大工の小太郎が咲の妹・雪が勤めている料理屋の仲居を好きなのだが何も出来ないと嘆いている。修次と咲はアドバイスをする。相手は雪の友達の伊代だった。手紙を持って行った咲に伊代は許嫁がいるからつき合えないという。雪は小太郎が好きだった。雪は立ち直れない。咲が一泊して話明かす。雪は小太郎が財布を拾ってくれたことを話す。小太郎は拾った財布の持ち主が好きになったと言っていた。小太郎は手紙を書くという。
 
 

2016年9月22日木曜日

もんなか紋三捕物帳

もんなか紋三捕物帳 井川香四郎
 紋三 おかげ横丁に住む。大岡越前から朱房の十手を預かる。江戸市中に十八人の子分がいる。三十半ば。
 光 紋三の妹 二十歳前後
 伊藤洋三郎 ぶつくさ洋三郎 南町奉行所の本所方同心
 鬼三郎 湯島天神下桶職人ばかりのうぐいす長屋の家主兼親方。四十過ぎ
 桶師鬼三郎 鬼三郎に将軍小納戸役の旗本・黒沼弥之介から岡っ引き・紋三の殺しの依頼が来る。鬼三郎は殺すに値する者か調べる。
 黒沼家の中間・蜂助が木場で刺され、浮いて見付かった。黒沼と蜂助は取り潰された大名の家来だった。蜂助の方が剣術も出来、頭も切れるが、黒沼は養子になり蜂助は中間だった。蜂助は奥方・多喜と関係を持ち、強請っていた。蜂助は多喜に殺されていた。蜂助殺しは永尋になってしまった。蜂助は黒沼の公金横領で強請っていたが、闇に葬られた。
 鬼三郎は黒沼を棺桶に入れ、妻の蜂助殺しと公金横領をお詫びするという紙を貼られ、門前に置いた。調べが入り、多喜は死罪、黒沼は切腹、御家断絶になった。
 冥土の客 大工の頭領・幸吉が納骨堂で首を吊って見付かった。自害とされた。娘は孫が生まれるし、仕事も次々とあるので自害では無いと言い張る。
 紋三は寺社奉行大検使・板倉の前で、作事奉行支配大工頭下役「大工棟梁」の坂田小五郎に嫌疑をかけ問い詰める。証拠が無いという坂田に板倉は屋敷を検めた。蔵から寺社修繕の裏帳簿を見付ける。紋三はこの家が空き家であり全部仕込みだったことを暴露し板倉は捕らえられる。板倉が寺社仏閣の改築や修繕に手抜き普請を命じていたことを幸吉は知り辞めて欲しいと訴えた。板倉は寺社奉行の堀部日向守が命じたと言った。
 堀部日向守が棺桶に入れられ見付かった。
 時は鐘なり 横川の鐘つき堂の鐘楼で撞木で頭を突かれて玄悦が死んだ。玄悦は遠州屋の主殺しの疑いが掛かっていた。紋三は幼馴染みの医者・村上浩次郎と玄悦が長崎で知り合い遠州屋と抜け荷し、遠州屋殺しで玄悦が捕まり、玄悦が抜け荷のことをしゃべるのを怖れて浩次郎が殺したとみていた。針がねで玄悦を吊り、叩き方が変わる時間に挟まれるように仕掛けていた。
 大岡の吟味の席に長崎奉行・脇坂も呼ばれ、遠州屋と玄悦殺しと抜け荷の取り調べが行なわれた。鬼三郎が集めた証拠を出してくれた。
 亭主殺し 呉服問屋「京屋」の主人・喜久平と女房・小夜が墓参りの帰りに襲われ勾引かされた。後に小夜は逃げ出して助けられたが、喜久平は見付からない。喜久平が小夜を見初め嫁に入り、半年で先代主人が亡くなっていた。仙台堀に老女が死んでいた。喜久平の実母・紺だった。喜久平は三才の時、目付・五百石・八郷五郎衛門の息子だが、紺の身分が低いため京屋に養子に出されていた。八郷家は養子にした琢磨を十五年前喧嘩で殺されていた。不正を糾すため普請奉行を追いつめ、妻子を殺すと脅され、琢磨を殺された。妻や喜久平に累が及ぶのを怖れ、追求を止めた。自分も呉服屋や喜久平と不正に手を出すようになった。それを小夜と弟・峰次が強請るようになった。喜久平の勾引かしは自作自演、喜久平殺しで小夜と峰次が捕まると考えていた。喜久平が勾引かされた時、強請りを止めるお紺を峰次が川に突き落とした。
 鬼三郎が棺桶に喜久平をいれ八郷家に運んだ時、中から現れた喜久平を父親がおまえが死ねば小夜達は処刑される。と言い殺そうとした。殺さなかった。八郷はあの時、お紺と喜久平を連れて家を出ればよかったかと想った。

2016年9月21日水曜日

励み場

励み場 青山文平
 知恵(ともえ) 父・成宮理兵衛 石澤郡に田畑を持っている。三人の支配人と九人の預かり人を雇うほどの小作を抱えている。姉、多喜30才三度離婚している。知恵は19才で嫁し、子供が出来なくて三年で出戻る。22才で笹森信郎27才と結婚し、三年前、信郎が前勘定所普請役になり、江戸へ来た。
 知恵は結婚の時、自分が理兵衛の子でないことを告げた。信郎は自分が名子だから武士にならなければならないと思っていることを告げた。
 知恵は五才の時、成宮の家に来た。「あの子は名子なのだ。」「あの子なら良いのです。」という父母の話を聞いた。六才の時、その母が亡くなり、もうこの家にいられないと思い家を出たが連れ戻された。人を見、検証し、十三才の時、弥吉に名子とはどういう者かと聞いた。昔、武家だった領主に仕えていた家来、領主が身分よりも領地をとって百姓になった領主の家来のことだと教えられた。
 笹森信郎は陣屋の書き役から元締め手代まで上り詰めた。武士になるために江戸へ出て勘定所の普請役になった。二年で支配勘定になるつもりだった。支配勘定は武士なのだ。そんな時、勘定の青木昌泰から久松加平を調べ、上本条村の視察を言い付かる。支配勘定を飛び越え声がかかることなど珍しい。昌泰は四年前、徒目付から勘定所に、支配勘定から勘定へ、御殿勘定所へ移るのも近いと目されている。
 信郎は上本条村の村を見、加平の話を聞く。加平が私財で開墾をし、御救い米を出し、百姓を助けたように言われているが、加平の下で働く名子・勘平が成したことだった。私財は勘平が作る肥料が生むものだった。勘平は家族共々焼き殺されていた。そして、肥料の中心になる、久松家秘技の塩哨が作れなくなっている。
 信郎は加平に信郎の故郷西脇村の堀越家の嗣子・英輔が亡くなった事を知らされた。信郎は報告書に有りにままを書いた。昌泰の言うように書けば、支配勘定でも徒目付けにでもするつもりだと言われた。信郎は致仕願いを出し、西脇村に帰り、新しい勘三になろうと思った。名子を識り、名子という境遇を己で始末できると思った。知恵が離縁を望むなら仕方がないと覚悟を固めた。
 知恵は信郎が武士になれないのは自分がいる所為だと思っていた。自分がいなければ婿の口が有り引きがあるはずと思う。子供がいなくて良かったと思った時、子供が出来た。子供を無くしてしまおうとするが、知恵のしそうなことを考えた理兵衛によって、多喜がやってきて阻止される。
 多喜は知恵が理兵衛の姪であることを知らし、名子は自分だと言う。知恵は信郎に子供が出来たことを言おうと思った。武家になるのに邪魔なら離縁してもらう。そうでなければ、別れるつもりはない。覚悟を決めた。
 弥吉は多喜の家の名子だった。多喜は自分が名子なのを知恵が知ったと思っていた。知恵が自分が名子と思っていることは知らなかった。多岐は理兵衛が一番好きだった。だから結婚しても帰ってくる。
 

2016年9月20日火曜日

初しぐれ

初しぐれ 北原亜以子
 初しぐれ おこう37才、三枡屋楠太郎45才・おこうの亭主の四十九日が終わった。おこうが17才の時、互いに惹かれ合っていた市之介と一緒になるはずが、姉が亡くなったために楠太郎といっしょにならざるをえなくなった。姉の息子・清太郎3才を育て、長女を17才で嫁に出し、次男15才の養子先も決まっている。十日後、おこうは市之介に会いに行った。知らないと言われた。迎えに来た清太郎に当たり前だと言われる。楠太郎が可哀想なことをしたと言っていたと教えられる。隠居して三枡屋から遠ざかろうと思う。
 老梅 おたかは隠居して一人で暮らしている。若い男・半次が時々訪ねてくるようになる。おたかは許嫁を亡くし、結婚した相手は三年で亡くなった。養子に入った五代目に三十で隠居させられた。十二年経った。
 海の音 文化五年、長崎奉行・松平図書頭康秀の時、阿蘭陀国旗を掲げた英吉利船が長崎に入り、人質をとり、食料の肉、水、薪、等を要求し帰って行った。奉行は切腹した。長崎会所の唐物目利見習いから一代年寄りになった忠兵衛、妹として育った楓。長崎のことを考えていた奉行が何故、死ななければいけなかったのか。
 犬目の兵助 天保七年、甲州、犬目村兵助、下和田村武七がはじめた打ち壊しを兵助の懐手みている手鏡。三百人が一万人に膨れた。兵助は途中で帰った。
 捨足軽 天保十四年、長崎警護の役目の佐賀藩には捨足軽がいた。火薬を入れた筒を體に巻き付け船に乗り込み自爆する。煙草屋のおちょうの婿になる予定の源太は戦闘態勢で出兵した。捨足軽は八十人もいた。煙草吸いの仲間の煙草に火を付けようとして爆発した。源太は二本の指をなくし、佐賀に帰った。おちょうはもうどこにもやらないと言う。
 アーベル ライデル ふみ22才は家具職人・芳次郎48才の後妻だった。漫画家志望だったが家具職人になる予定の息子・洋一郎17才がいる。大卒の俳優のような顔の岩沢賢吾が弟子になった。ふみのいとこ・ゆう子13才が遊びに来る。ふみは洋一郎が好き、絶対に知られてはいけない思い。
 入院中も江戸の町を歩いていた 

2016年9月19日月曜日

剣客春秋親子草6

剣客春秋親子草6 襲撃者 鳥羽亮
 神田豊島町にある千坂道場の若い門弟が「これは立ち合いだ」と次々に襲われる。道場破りも来る。
御小納戸頭取の千五百石旗本土屋家の出稽古が決まっていたが、橋渡しをしていた門弟が斬られ、話は消えた。
 本郷の神道無念流の利根崎道場が小柳町に引っ越すために、近くの千坂道場が邪魔だった。引っ越す前に潰そうとした。門弟に師範代とか幕府への仕官を餌に強要していた。
 籐兵衛は利根崎との立ち合いを望んだ。籐兵衛が勝った。
 門弟が帰って来た。土屋家の出稽古も決まった。
 

2016年9月18日日曜日

中條流不動剣〈二〉 

中條流不動剣〈二〉 蒼き乱刃 牧秀彦
 松平蒼二郎は父・松平定信の命令で塩屋隼人を斬らなければならない。蒼次郎の妻・澄江と仲間・辰次・丈之介・三五郎を守るために。なかなか手をださない蒼次郎を追い立てるように、定信の命令で塙源道は、蒼次郎も馴染みの、日比野左内の道場に通うしじみ売りの市松を勾引かす。道玄は蒼次郎に塩屋を殺すように強要し、蒼次郎は塩屋に市松を助ける為に果たし合いを申し込む。
 蒼次郎を探していた左内と条太郎は、蒼次郎を救いたい澄江たちと手を組む。御庭番から道玄や蒼次郎の居場所を教えられた左内等は市松を救いに行く。市松を救い出し塩屋と蒼次郎の果たし合いを止めに行く。蒼次郎は定信の下にいき、吉宗のお墨付きを寸断し、去る。

2016年9月17日土曜日

浅草料理捕物帖〈三〉

浅草料理捕物帖〈三〉 正直そば 小杉健治
 蕎麦屋「桔梗屋」で修業をしていた与吉は、どんどんつなぎを増やす店に見切りをつけ、独立して蕎麦屋「多幸庵」を出した。与吉はいつも蕎麦を残す常連客・作治のことを孝助に調べてもらう。桔梗屋の嫌がらせかと思っている。
 多幸庵で食中たりを起こした小間物問屋「白河屋」の旦那・左平衛が翌日亡くなった。多幸庵の客が来なくなる。孝助は自分の店の客に左平衛の死亡と多幸庵の関わりが無いことを話、多幸庵を救って欲しいと頼む。作治に残さず蕎麦を食べてもらうために研究した与吉の蕎麦は美味しく人気がでる。品評会で一位になった。品評会に推薦したのは作治で作治に目を掛けてくれるように頼んだのは、桔梗屋の主人だった。
 作治は信州善光寺前で蕎麦屋をやっていた蕎麦打ち名人だった。作治の店も蕎麦を食べて亡くなった人が出たために潰れていた。作治は蕎麦を受け付けない体質の人がいることを知った。
 孝助は白河屋の左平衛の死を調べていた。枕元の少量の白い粉が気になっていた。左平衛の勘当されていた息子・佐吉が帰って来て店を継ぐ。佐吉を調べた孝助は佐吉が下駄屋の主人を殺し、下駄屋に入り込みおすみと一緒に暮らしていたが左平衛がなくなり、おすみを殺して白河屋に帰ってきたことを調べ上げる。左平衛は佐吉が帰るように訪ねたが、別れたくないおすみは、佐吉が亭主を殺したことを左平衛に話したため、左平衛は佐吉を白河屋に戻すことを止める。そのために左平衛が蕎麦アレルギーと知った佐吉は、左平衛の後添え・おしまと番頭・沢太郎を仲間にし蕎麦粉を左平衛の顔に降った。そのために左平衛は亡くなっていた。
 佐吉はおすみ夫婦を殺した罪で獄門、左平衛は発作で亡くなったことに変わりがないが、おしまと沢太郎は白河屋を出た。
 多幸庵はそば殻の入ったお手玉を置き、初めてのお客様に握って貰うことにした。
 

2016年9月16日金曜日

魔術師 イリュージョニスト

魔術師 イリュージョニスト ジェフリー・ディーヴァー
音楽芸術学校の生徒、メイキャップアーチストと殺される。犯人は人に見られるが不思議なトリックで逃げられる。ライムは三人目の犠牲者・弁護士を殺される前に保護する。イリュージョニストの卵・カーラにイリュージョンの技術のアドバイスを受ける。
アメリヤは犯人を追いつめるが、川に逃げられる。
 リンカーン・ライムの部屋に犯人は警官姿で現れる。話をし、火を付けて逃げ、消防署に連絡した。
 犯人はエリック・ウィアーというイリュージョンパホーマーだと思われた。目的は自分のパホーマー生命を無くした火事の元を作ったエドワード・カデスキーへの報復だと思われた。セントラルパークで行なわれるサーカスを止め、観客を外に誘導するが、見込み違いだった。
極右組織の指導者を告発する検事補の命を狙っているように思われた。偽警官になり検事補宅に現れたところを捕まえた。彼はマンハッタン拘置所から看主を殺し脱走した。
 やはり犯人の目的はカデスキーへの恨みだった。狙いはサーカスのテント内で火事を起こすこと。カーラの助言で日時と方法を探り出したライムたちは、火事を見ようと近くにいた犯人を捕まえた。犯人はエリックの弟子だった。エリックのマジシャン生命が失われた時、自分のマジシャン生命も失われた。
 アメリヤ・サックスは昇進試験を受けた。今までにない点数の実地試験だったが、鑑識作業を邪魔する下院議員にマスコミの居る前で手錠を掛け、動き回らないようにしたことのため、横槍が入り、昇進できなかった。定職にせよ、と言う。サックスは巡査から三級刑事になった。黄色のカマロを修理に出す。真っ赤にしよう。
 カーラはカデスキーのシルクファンタスティークに入った。

2016年9月13日火曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎34

風烈廻り与力・青柳剣一郎34 砂の守り 小杉健治
 身元不明の三人が相次いで殺される。
 犯人は仁村道場の師範代をしていた神村左近だった。左近は浅間藩有坂家家臣・大村源一郎だった。信州一帯の出没する信州山岳党と名乗り盗みをする一団を捕まえた源一郎は、盗賊の中心に国家老と大目付、さらに城下両替商の千曲屋が居ることを知った。連判情を手に入れ殿に訴えようとしていた。国許で襲われ、江戸でも襲われていた。
 青柳剣一郎は神村左近を捕まえ、殿様が参勤交代で江戸に出てくるまで牢の揚がり屋で保護することにした。
 青柳剣一郎は知り人の仁村道場の道場主の見舞いに行き、娘・るりの相手に良い青年・高岡弥之助22がいると言われる。高岡弥之助は左近に型稽古の大切さを教えられ、辻斬りの犯人が左近でないことを思いながら調べていた。剣一郎の調べや捕物に手を貸す。神田明神でるりと出会い、名も知らないで、互いに一目惚れをしていた。弥之助が剣一郎を訪ね、再会する。剣一郎も多恵も弥之助を気に入った。
 るいの縁談・小普請支配旗本の及川辰右衛門の息子を断わった。弥之助は小普請だった。御番入りがかないそうだったが、果たせなくなった。弥之助の小普請支配は及川辰右衛門だった。剣一郎は弥之助に 自棄になって大事な方向を見失うな、日頃の修練が大切だ。なにがあろうと平常心を保つのだ。我が心を鍛えよ。と忠告する。

2016年9月12日月曜日

取次屋英三2

取次屋英三2 がんこ煙管 岡本さとる

2016年9月11日日曜日

取次屋英三

取次屋英三 岡本さとる
 文化二年 1805年
 秋月英三郎 大阪住吉大社鳥居前の野鍛冶の息子、江戸京橋水谷町で手習い道場をしている。
 又平 元渡り中間
 松田新兵衛 英三郎の剣友 共に岸裏伝兵衛の門下 

2016年9月10日土曜日

寅右衛門どの江戸日記

寅右衛門どの江戸日記 人情そこつ長屋 井川香四郎
 取り潰された二万三千石越後四条藩主・与多寅右衛門景清30が、駒形長屋に住むようになった。
 奉納芝居で地元の評判の良くない五郎蔵親分を手なずけ、芝居に出し、悪事を止めさせ不法の借金証文を破いて捨てた。
 木曽屋の若旦那が父親の留守に材木札を発行してお金を集めた。そのお金を目当てに盗みに入ったカマイタチの竜一を捕まえた。寅右衛門が見抜いていた。
 居酒屋に忘れた五十両がなくなった。必死で金集めをしていた伸太が酔ってお金を盗まれないように隠したことを忘れていた。思い出して良かった、良かった。
 借金のかたに大工から大工道具を取り上げる大家。
 町名主・徳兵衛の息子・藤吉が臥煙になっていた。火事場泥棒・カグツチ雷蔵一味にされてしまう。藤吉がカグツチの雷蔵を捕まえた。
 四条藩は再興された。寅右衛門は長屋を去るが、新しい従姉妹を殿様に据え、長屋に帰ってくる。寅右衛門は影武者だった。

2016年9月9日金曜日

あっぱれ毬谷慎十郎

あっぱれ毬谷慎十郎 虎に似たり 坂岡真
 播州龍野藩を追放され江戸に来た。強い相手と闘うことを夢見て道場破りをする。女剣士・咲に敗れ、咲の祖父・一徹の丹波道場へ押しかけ弟子になる。
 黒天狗が打ち壊しをしていた。米屋を狙い相場を引き上げ札差しが儲かる。元勘定奉行、蔵奉行、札差しを懲らしめる。
 笹部右京之介が瀧野藩主・老中・脇坂中務大輔安董を狙ってきた時、慎十郎が対峙し、北辰一刀流の奥義・七曜剣を使う右京之介を倒した。慎十郎は安董の威風をさすがと思った。

2016年9月8日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎32

風烈廻り与力・青柳剣一郎32 善の焔 小杉健治
 大伝馬町で付け火が続いた。牢屋敷の解き放ちが目的かと思い入牢中の関係者を調べる。
 付け火の狙いは小伝馬町一丁目に住む錺職人修次の所にいる、兄弟子だった麻吉だった。麻吉は中風で半身不随、言葉も思うように喋られない状態で修次のところにいた。
隣の為五郎が付け火を目撃し怪我をしたことで青柳剣一郎が修次と麻吉を知るところとなる。麻吉は倒れた時の記憶が無く、忘れているが、善行の人で知られている「小町屋」の主人・沢治郎が、孝太郎が自訴したこと、内儀が亭主殺しに加担したことはなしているのを聞いていた。思い出す前に麻吉を何とかしたかった。修次が麻吉に辛く当たり、あまり面倒を見ない。麻吉は這って水を飲み、便所へ行く。所帯を持つはずだった親方の娘・くみは自分のものだ。と麻吉を怒らす。麻吉は憎しみから死を考えなくなり、殺すことを考え動かす努力をする。修次の狙い通りだが、沢治郎は焦り、麻吉を小町屋の寮に迎え、火を付け殺そうとした。
 麻吉は助けられ、小町屋で聞いた、孝太郎のはなしを思い出す。修次の気持ちも分かった。修次のおかげでここまで治り動けるようになっていたことが分かった。修次の辛さも理解出来た。麻吉は仏門に入った。
 剣一郎が入牢者を調べた時、孝太郎の話と弟・孝助を聞いていた。疑問に思うことがあったので納得がいった。孝太郎に、孝助が、相馬屋を殺し十両を取ったように言った者がいたのだ。孝太郎は弟を守るために自分がやったと自訴していた。
 何も証拠が無い。剣一郎は沢治郎に、自分は何も知らない。麻吉のことも一太がやったことで自分は関係ないといえばそれで通るという。沢治郎の本当に善の部分を知っている。沢治郎の善と悪に問う。沢治郎は相馬屋の内儀との不倫を相馬屋に知られたことが原因だと自白した。
 

2016年9月7日水曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎29

風烈廻り与力・青柳剣一郎29 まよい雪 小杉健治
 鉄次と弥八が佐渡から放免されて帰って来た。
 鉄次は会いたい女・きみを探す。おきみを探し根津遊郭へ行く。おきみは見付からないが身請けにお金がいる。盗賊の誘いに乗る。根津のおきちかと思われた女郎が仲立ちになり繋ぎをとれ、弥八の居所を知るが会えない。一回目の押し込みは人を殺さなかった。次は火を付けて押し込み、抵抗されれば殺すという。弥八の居る荒物屋の主人・卯平に南町の青柳剣一郎に伝言を頼む。強風の夜、この付近に付け火がある。鍋町の「加賀屋」が襲われる。加賀屋の下男は賊と通じている。と伝える。
 弥八は佐渡に一緒に佐渡送りになった時助がいる。時助を助けたかったら江戸で言われたことをするようにと言われて佐渡を放免されていた。命令は与力・山吹吉五郎と妾・おきちの殺害だった。おきちは鉄次の探している女だと判った。山吹を殺そうとした時、青柳剣一郎に捕まる。
 青柳剣一郎は山吹を公金横領の内定していたため、妾宅を見張っていた。佐渡支配組頭・幸山宅次郎と赤木屋が手を組み、江戸に運びこまれる金銀をくすねていた。約定が盗まれ、約定を手に入れた山吹は強請っていた。人足寄場から山吹に佐渡へ送られた弥八と時助は幸山が仕組んだ佐渡逃亡に乗せられ、放免するかわりに・・・と山吹殺害になったのだった。
 盗賊の火付けは阻止し、加賀屋に押し入ったところを捕縛した。
 山吹は証拠の提出をし、隠居。赤木屋は悪事は露顕したが命が助かる道は時助の放免しかないと手紙を書く。赤木屋光右衛門は隠居した。佐渡金山は老中より佐渡奉行を通して関係各所に注意、不正防止の監督強化
 弥八は卯平の店を継ぐ。鉄次は江戸所払いになり、おきみと加賀屋の本店に行く。
 剣之助は吟味与力見習いをしている。


2016年9月6日火曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎22

風烈廻り与力・青柳剣一郎22 冬波 小杉健治
 金貸しの使用人・多助が主・善兵衛を殺し、おこうの家に逃げ込み、おこうを人質にし、二階に立てこもって喚いていた。静になって四半刻、同心が梯をかけ二階に上がるとおこうは目隠しされ、猿ぐつわをかまされ、両手足を縛られていた。多助は自分で腹を刺して死んでいた。剣之助は違和感を覚えた。廊下の向かいに押し入れを開けた。天井板が少しずれて黒っぽい着物が見えた気がした。
 多助が善兵衛を殺し、立てこもった後、自害したとされた。
 剣之助は納得がゆくまで調べることにする。剣一郎は文七に剣之助の調べを助けてやって欲しいという。文七と剣之助は個人的な付き合いが始まる。
 見廻り中、いつも「備前屋」を見ている男・政次がいることを大信田新吾から聞く。政次が男をつけているのを見、政次をつける。男は備前屋にはいり、政次は自分の長屋に帰った。茶道具屋「懐古堂」の主人が殺されて見付かった。備前屋からの帰りだった。政次が疑われる。懐古堂の殺しには関係が無いようだが、政次は何かを隠しているようだ。
 善兵衛を殺したい者、おこうを知っている者、を探していると、長屋に住む、母親が病気のおたまが浮かんできた。好き合っている砂吉がいる。善兵衛からお金を借り、女衒がおたまを連れて行くことになっていた。善兵衛が亡くなり、善兵衛のおかみさん・おすなに返済期日を延ばして貰い、返済は五両でいいことになっていた。おすみにおたまと砂吉のことを訊くと目に涙をためてくって掛かられた。砂吉の罪を暴いてもおたまを不幸にするだけだ。何の証拠もない。剣之助はこれ以上の調べを止める。
 剣一郎は、商家の旦那がいかさま博打に手を出し自死している事件を調べるように言われる。胴元に部屋をかしていた東條廉太郎が殺された。東條が会っていた商人太田屋を調べ、一緒にいた男は備前屋の番頭だった。備前屋を調べると先代の息子は勘当され、内儀と娘は内儀の巣鴨の実家に帰ったという。巣鴨に実家は無かった。
やはり、最後まで調べようと剣之助が調べると、長屋に住むお房とおたまが備前屋の先代の内儀と娘だった。政次は備前屋の息子・豊太郎だった。おこうの所にお房とおたまは居たことがあった。豊太郎が善兵衛を殺し、多助を殺したのだろうと考えた。
 備前屋の番頭が賭場の中盆の忠助で、主人が胴元の惣兵衛だった。旗本・勝山谷右衛門と惣兵衛が組、豊太郎をいかさまに引っかけどんどん金を貸した。勝山が中に入り、豊太郎を勘当し、惣兵衛を養子に入れ、備前屋を乗っ取ったことが判った。
 備前屋に人が集まり賭場が開かれる日、剣一郎は一計を案じた。豊太郎を備前屋に入り込ませ、豊太郎を捕まえに捕り方が入り、賭博を見付ける。惣兵衛は捕まる。東條は備前屋に強請りをかけていた。勝山の家来に殺された。懐古堂は止めようとした。
 政次・豊太郎は金貸し・善兵衛を殺したのは自分だと自訴した。剣之助はケリがついている事件だと取り合わなかった。別の形で罪を償えと。
 剣一郎は政次に江戸を離れ、五年紙の仕事について学んでくるように言う。まっとうになって帰ってこい、備前屋に戻れるようにすると言う。政次は酒田に旅立った。
 勝山は家来を斬り、切腹した。
 剣之助は見習いがとれ、本勤並になった。

2016年9月5日月曜日

からくさ図書館来客簿〈第五集〉

からくさ図書館来客簿〈第五集〉 仲町六絵
 月下の想い 閻魔庁第七位・八瀬の大将がふくろうに化身してやって来る。
図書館で野鳥を書いても良いかと学生が電話をしてきた。上村松園親子展で道なしの少女に話しかける電話をしてきた学生・古川青一に会う。図書館へ連れて来る。青一の偽書は「花鳥佳人」。道なしは事故で亡くなった画塾の先輩・菅野雪枝だった。青一に取り憑いて美人画を描かせて欲しいという。篁の提言で二人で弁乳母の下絵までを書くことになった。月下の想いという題の下絵が出来た。青一は冥府に行く雪枝に下絵に彩色した絵を渡す。青一の絵は色がおとなしい。月夜が背景だからビビッドにとアドバイスを貰った。青一から雪枝の記憶は無くなっている。
 親王のアキナケス 二人で春に剪定鋏を買った「山城正光」に刃物油を買いに行くと道なしがいた。店員・有馬34才には虎が見えていた。虎に触れた時子の掌に「たかおかしんのう」の文字が浮き出る。有馬を図書館に誘う。高岳親王は799年生まれ、67才で天竺に行く途中で亡くなっていた。日本から来ていた遣唐使にペルシアの商人から買い求めた、アキナケスと呼ばれる短剣を託した。密林で道なしになっていたところ、異国まで冥官が迎えに行き、今は閻魔庁第五位の冥官になっている。もし、短剣が見付かれば、高知県清瀧寺に生前建てた石塔にと言う。
 有馬が虎を従えて図書館に来る。虎が61才で亡くなった山城正光の刀匠・黒崎になった。有馬の偽書は「刃のめぐり」。黒崎は作刀技術を記した巻き物「百刃取揃」の「波斯国不動短剣 アキナケス」を作ろうとしていた。有馬から記憶が消される。有馬は「史学雑誌」を借りて帰る。黒崎との話が夢の中のように残っていた。
 八瀬童子 東京からおじいちゃんの生まれ故郷八瀬に行く少女・緒方瑞希がやってきた。年を取った祖父が13才の時、秋元神社の赦免地踊りで会った秋元神社に祀られている老中秋元喬知に会って来てくれという。手紙を託された。
 瑞希は京都の宿が解らず道を訪ねた。篁・時子・茜・晴明・太田・八瀬童子たちは少女と道なしを見ていた。瑞希をゲストハウスに送りながら後ろの武士に話しかける。秋元と聞いて瑞希は「五十年位前、私のおじいちゃんに、自分だけの手柄ではない。自分だけが祀られるのはいかぬ。と言いましたよね。」と言い始める。気になったが、他の人には見えなかったから無視してしまった。老い先が短いからほうっておきたくないと、手紙を預かってきましたという。秋元は近衛様も家宣様もご恩がある。なのに自分だけが神扱いではあの世に行けんという。篁らはだいたいの事は摑めた。
 瑞希の偽書「日本の弓術」。燈籠飾りに東照宮の猫と雀の同じ意匠がが乗って讃えていることを見付けた。八瀬の祭りに行く。秋元は徳川家への感謝のしるしかと納得した。
 瑞希の記憶は消された。近藤様も家宣公も八瀬で尊敬されていた。お寺で恩人の名前を読み上げて供養している。燈籠の猫と雀が東照宮の写しであること。手紙の封が切られ、秋元但馬守と書いてある。瑞希は東京に帰る。
 月下の想いが完成した。青一から発表会の連絡が来た。
 千五百年を冥官として過ごした八瀬童子は退官する。その後、古い天人たちの語る思い出を採録しながら天道で過ごすことにした。
 時子の背が延び、掌から梵字が現れ、一枚の紙になった。
 
 

2016年9月4日日曜日

からくさ図書館来客簿〈第四集〉

からくさ図書館来客簿〈第四集〉 仲町六絵
 からくり山鉾 安祥儀を持たないと決めた時子を武者修行に出す。篁は過保護と言われるくらい心配する。茜は額田王だった。数万の兵を鼓舞して死地におくり出した事を悔いている。
鳥類学研究所の蜂須賀から祇園祭の鷹山鉾の復元計画を知る。紹介された文化財修復会社の社員・車折美保が図書館に、吉野太夫を連れて来る。美保の偽書は「欠けた半面」。修復師は、国宝や文化財の仏像を作られた当初の姿に戻さない。仏像がたいせつにされてきた長い時間も保存する。鷹山鉾は文化財ではない。灰屋紹益と吉野が考えた仕掛けが後世まで続くか心配で、現世を離れられなかった。鷹山のからくりの振り付けも仕組みも、知っているから職人さんに教えとうてと言う。鷹匠が腕を上げると、鷹が翼を広げる。犬遣いは両手を上げて、つながれていた犬が後ろ足で立ち上がる。後ろにいる樽負いがつまみ食いしょうと粽を口元に持って行く。お囃子衆の中にからくり手を隠す。冥府の工房で文書を作り、見付かった文書だと復元工房に送る。
 猫と睡蓮 菓子職人・本庄雅也が、金魚屋のアルバイト店員・江藤沙央里と菓子・金魚琥珀を持って来る。冥府に持って行く。晴明は花押を書き入れる術式を作っていた。金魚屋の高橋宗介と宗介に付いている冥官と「伴鳥記」を書いている鳥部と晴明が食べるのだろう。
 ゆみはら書房の社長が道なしになって図書館に来た。半年前、古書店主・弓原35才で自動車事故に巻き込まれ亡くなっていた。古書を売却する古書店の割り当て等を書いた遺言書を書き、篁に託す。時子が弓原に擦れ、現れた文字が「もねとしもがも」だった。弓原は冥府の小部屋で飼い猫のキジ虎猫が見付かるまで待つ事になった。キジ虎猫・モネは草木有情庁に探してもらう。
 湖北に眠る 山吹・太田が道なしに憑かれた青年がいることを知らせに来る。篁と時子は下鴨神社の矢取神事に出る青年を見に行く。旅行社の青年・吉政25には観音様の腕を抱いた少年が憑いていた。湖北の観音さん版図を企画している。時子は修行に山吹の所に行く。吉政を連れて湖北の観音めぐりをする。排仏毀釈の折り寺荒らしから集落を護るため観音様の腕を切った神社の息子・久志が現れる。久志は警戒して吉政に憑いていた。
 排仏毀釈で切り落とされてしまったが守り継がれた右腕とする。和紙で装丁した朱印帳を作る。一年中いつでも拝観出来る。何年ぶり何十年振りでも歓迎する。久志は冥府へ行き、吉政の意識は途切れた。
 何度でも、何十年ぶりでも、お帰りなさい。のキャッチコピー。記念品に散華を用意した。
 古本市でキジ虎猫を連れた弓原が目撃された。篁と時子は弓原を見送る。
 時子は蔵書が増えて閉架にする本の閉架目録に、一冊ごとに感想文か紹介文を付けることにした。

2016年9月3日土曜日

からくさ図書館来客簿〈第三集〉

からくさ図書館来客簿〈第三集〉 仲町六絵
馬琴の謎かけ 白石良純の母校・鞍馬口高校で講演し図書館に来た大塚信介は、道なしの曲亭馬琴を連れてきた。信介の偽書は「歴史がたり武者がたり」。信介は、八犬伝はリズムをつけて読むといいようにルビがふってあるように思い、放送部の人に読んでもらう。馬琴は南総里見八犬伝を朗読してほしかった。信介は時代小説で佐藤四郎兵衛忠信を書きたいと思っていた。
 時子は、魂を否応なく天道へ送る安祥儀を持つ許しが出た。どんな道具にするか考える前に持つか持たないかで迷っている。
金魚と琥珀 篁は菓子職人の青年と出会う。二度目の出会いの時、青年・本庄雅也に道なりが付いていた。雅也は菓子・金魚琥珀を作ろうと思い金魚を見に大和郡山に帰り、金魚屋さんの前の社長が憑いた。菓子や陶芸の本を探しに図書館へ来た。亡くなっている金魚屋の社長・高橋宗介が、卒中で倒れた時、最後に聞いた言葉が、死と財産を望む妹の言葉と弟の怒声だったため、家族の事を忘れていた。篁は怒鳴られたのは宗介ではないことを説明し道なしを天道に連れて行った。雅也は金魚琥珀のヒントを貰う。
 記憶を無くした道なしがいる事を教えてくれた、山吹茂は太田道灌だった。
わたの原 隠岐の図書館司書・御堂有紀が、からくさ図書館を見学にきた。道なしの匂いがする。有紀の偽書は「隠岐の国逍遥」篁は隠岐に行く。篁が「隠岐自然抄」を書くのを手伝ってくれた阿児奈だった。図書館の本を船で運ぶ有紀に「本を捨てろ」と言う阿児奈。本を読むと隠岐を出て行ってしまう。人が少なくなる。有紀も本を読み、連れ帰った恋人が隠岐を出ると一緒に出て行くに違いないという。恋人が隠岐で頑張ろうとしているところを見せ、天道に送る。
 時子は篁が書いた本物の隠岐の国逍遥を読んでいる、阿児奈を羨ましいと言う。
 時子は安祥儀を持たない事を決めた。

2016年9月2日金曜日

エンプティー・チェア

エンプティー・チェア ジェフリー・ディーヴァー
 リンカーンは手術を受けるためにノースカロライナ州パケノーク郡に来た。16才の少年・ギャレットが看護婦・リディアを誘拐している事件の捜査協力を要請された。
ギャレットはメアリーをどこかに監禁していた。今はリディアを連れて逃げている。
 アメリヤとルーシーはギャレットを追い、順次リンカーンに情報を送りアドバイスを貰い、ギャレットを捕まえた。リディアは保護したがメアリーは見付からない。
 ギャレットは人殺しもしているように追求されるが、否認する。アメリヤはギャレットを牢から逃がし、一緒に逃亡する。アメリアが逃がさなければギャレットは殺される所だったが、それは誰にも判らない。起こらなかった。
 途中殺されそうにもなるが、アメリア側は警察だと思い、警察側は自分たちがアメリアたちに狙われたと思った。リンカーンはアメリアを追跡する方だ。暴発でアメリアは保安官・ジェシー・コーンを殺してしまう。

2016年8月30日火曜日

こはだの鮓

こはだの鮓 北原亜以子
 楽したい 上州の山陰の村の男・夏三。13才の時、江戸に出て裏通りの金物屋の入り婿になった小作人の三男が帰って来たのを見て、江戸に憧れる。23才の時、江戸に出る。塩売りをして、女に言い寄られる飛脚を見、飛脚になる。言い寄られはずが、女に手を出す飛脚はおまえかと怒鳴られ、殴られる。今は蕎麦屋の出前をしている。そして大阪に行きたいと思っている。金持ちの入り婿になる夢を見て。
 こはだの鮓 作兵衛は鮓売りの与七から売れ残ったこはだの鮓を貰った。うれしくてしょうがない。一個食べ、二個食べ、作業をしながら食べる。
 姉妹 祇王、祇女、仏御前三人がおまろに語りかける。入道のお気に入りの祇王、妹の祇女、祇王の座を奪った仏御前、誰かに座を奪われ、三人が尼になる。胸の内をおまろに話す。
 十一月の花火 椅子職人の芳次郎、妻・ふみ、息子・洋一 漫画家になりたいと言ったが椅子職人になっている。妻・ゆう子 晶子を産んだばかりだ。洋一に召集令状が来、戦地に行く。洋一は自分の命と引き換えに子供を助けてくれと祈っていた。帰れないと思うから絵を描いた手紙を送ってきた。変亥之と言われた職人のふみの父親は自分の作った硯箱が値打ちがないようにあしらわれているのを見た。大通りを渡ろうとしてトラックに跳ねられた。焼夷弾を落とされて燃えてきている。成田に疎開するという。芳次郎は反りの合わぬ時代へ足を踏み入れるような気がした。
 たき火(本所界隈1)澄の父親・弥吉は職人気質の瓦職人だった。たちんぼの義一を手伝いに使っていた。澄は義一が好きだった。中学中退だが、たちんぼだから好きだと知られたくなかった。義一の結婚が決まった。相手は反対されたが、たまたま知り合った時、たちんぼだっただけと言ったそうだ。頭を殴られたような衝撃を受けた。
 泥鰌 (本所界隈2)中学に行きたかったが、勇は家族のために奉公に出た。薮入りで帰ってみると小さな子がいた。可哀想で見ちゃ居れなかった。一年預かることになっているがもらってしまいたいという。
 ママは知らなかったのよ 団地に住む家族。息子・幹男は付属を受けると言う。構っていないと言いながら、子供の全てを知っている。気になっている母親。幹男は女学生にお金を落とした。どこどこまで歩いて行くと言い、バス代を貰っていた。女学生の内で有名になっていた。
 新撰組、流山へ 近藤勇は何故、流山で捕まったのか。

2016年8月29日月曜日

立場茶屋おりき24

立場茶屋おりき24 幸せのかたち 今井絵美子
 葉桜の頃 多摩も花売り三郎が来る。二人目の子・おりんを背負っておえんが山に入って花を取ってくる。
三婆の宴が復活する。世代が変わり、お庸と弥生と七海の息子・金一郎の嫁の久野になった。
お吉と潤三が京へ旅立った。お吉の双子の絵師になった三吉が京で筆屋の娘・琴音と祝言を挙げるので祝いに行った。
 十一 八文屋に浅蜊を売りに来た少年・十一15が倒れた。おさわは素庵のところに連れていく。
真田屋のこずえと同じ病だと知り、先が永くないことを知る。おさわは、陸郎の看病が出来なかった変わりに十一の看病をしようとする。小康状態になったので八文屋に連れ帰る。
 幸せのかたち 茶屋の女中頭・およね亡き後、おくめが女中頭的な存在になっていた。おなみはお春を注意した。おくめはおなみにそれは自分の役目だと言った。おなみはおくめが見ていないから自分が注意したのだという。おりきは二人に、二人で力を合わせて茶屋を守り立ててほしいといった。
 おなみに縁談があった。昔好きだった男だった。おかみさんが亡くなりおかみさんを忘れられないが、小さな子供のためにおなみなら来るだろうという男の考えだった。おなみはもう昔のおなみではない。立場茶屋おりきのおなみだ。行かないと言いきった。
 潤三が独り帰ってきた。おきちは京から帰りたがらなかった。
 幾千代は幾富士の所に行く。伊織が幾富士に頼りきり、幾富士も世話をするために生まれてきたような顔をしていたという。
 河鹿宿 妙国寺の住持から一人娘・里実17を預かって欲しいと頼まれる。調べてみると、先代おりきの孫娘だった。先代おりきが追い出された庄屋のおりきが産んだ息子・國哉が手を付け、手切れ金を渡し縁をきらされた娘・里江が産まれたばかりの里実を抱いて尼寺に保護されるが、里江は半年で亡くなる。亡くなる前に父親は生麦村の中庄屋白金屋の旦那だと言い残した。生まれたことを國哉は知らない。里実は恵心尼に育てられた。恵心尼は73才で、鎌倉の英勝寺に引き取られることになっていた。達吉は里実を迎えに行く。達吉は先代おりきに恋い焦がれていた、生涯の思い人。老いた達吉にこの娘を支える使命ができた。

2016年8月28日日曜日

大江戸飛脚便

大江戸飛脚便 倉阪鬼一郎 
 安政四年 
 江戸屋という飛脚問屋 芝浜松町の江戸府内を走る町飛脚だ。同じ江戸屋という定飛脚問屋もある。定飛脚の江戸屋が韋駄天の町飛脚と手を組んだ。千蔵率いる千屋が江戸屋の看板を貰った。千蔵の飛脚屋には裏の顔があった。
 江戸屋の隣は元飛脚と元娘飛脚をしていた夫婦が営む、あし屋という飯屋がある。走る者達の為の食事どころだ。
 信吉が由比宿と興津宿の間で殺され、三十両が盗まれた。敵を討とうと思い、犯人を探す。地獄耳の仁吉は町で話しを拾って来る。紅蝙蝠屋の二人の飛脚が信吉を殺していた。
蝙蝠屋の二人を駿河に誘き出し殺した。
紅蝙蝠屋は二人を殺したのは江戸屋だとして江戸屋に火付けに来た。そこに網をはり、町奉行所は捕まえた。紅蝙蝠屋は同じ飛脚問屋だが殺し屋でもあった。裏の帳簿が出た。
裏に雁坂峠の山海上人がいた。

2016年8月27日土曜日

蘭方医・宇津木新吾4

蘭方医・宇津木新吾4 別離 小杉健治
 文政十二年 1829年 一月末 長崎から戻り松村幻宗の施療院で治療をはじめて一年。血を吐いて倒れた商家の主が運び込まれた。主は紙問屋・美濃屋の翫右衛門だった。労咳で先が短いと御目見医師の永井秀法に言われていた。高野長英は胃潰瘍だという。新吾も同じだった。
 翫右衛門は殺し屋に人殺しとわかるように殺して欲しいと頼んでいた。殺し屋に依頼を止めるよう頼もうとするが、殺し屋の頼み口が殺される。殺し屋は翫右衛門を狙いに来る。阻止した新吾に殺し屋・源次は依頼人が翫右衛門だということを尋ねにくる。源次は病気になった遊女・おこまを身請けするために殺し屋になった。身請けしてからは永井秀法に高い薬代を払うために殺し屋をしていた。新吾はおこまを幻宗のところに連れていく。おこまは肺炎だった。おこまには旅に出ると言って源次は自首した。翫右衛門は秀法の往診を断わり、後添えと子供を家から出した。子供は秀法の子であり、現在も秀法と関係が続いていることを知っていたから。秀法は誤診ではなくわざと労咳だと言ったのだった。
 高野長英は密偵だと思われる間宮林蔵に見付かりそうなので江戸を離れた。秀法の誤診のことも内幕が解っていたようだし、医術のことももっと教わりたかったと新吾は思った。
 上島漠泉から貴重な本が届く。シーボルト事件に巻き込まれ、表御番医師の役目を取り上げられた。屋敷や財産の没収は無かった。漠泉は町医に鳴ると言う。香保を妻にという新吾に香保は、夫になる人間はそれなりの富と名声が備わってないと嫌なのです。と言われてしまう。義父・順庵は新しい縁談を持ってくる。表御番医師・吉野良範の娘・園だった。そして香保の桂川甫賢の弟との縁談が復活したという。香保は父親の復権のために桂川家と姻戚関係になる。元の屋敷は桂川家が買い取り桂川家が預かっているだけだと言われる。香保への思いが増すばかりだ。園に会う。良範の家は漠泉の家より小振りであるが、別荘があるらしい。良範は幻宗のお金に興味があるようだ。間宮林蔵に漠泉の家を訪ねてみよと言われ、元の屋敷へ行くと、酒問屋が改築をしていた。芝の家を訪ねるとこちらには誰も来なかったと言われた。漠泉と香保はどこへ行ったのか。

2016年8月26日金曜日

八丁堀剣客同心19

八丁堀剣客同心19 みみずく小僧 鳥羽亮
 押し込みが続いた。内蔵の錠前を破られ、四人で有り金ごっそり盗んで行く。見た丁稚がみみずくのような顔だったという。
 五、六年前、錠前を破って金を盗むみみずく小僧がいた。大店を狙い、千両在っても百両か二百両しか盗まない独り働きの盗っ人だった。三年前、奉公人に発見され怪我を負わせてから、盗みに入っていない。足を洗ったと思われていた。
長月隼人 南町奉行所隠密廻り同心 妻・たえ、息子・菊太郎数え5
天野玄次郎 南町奉行所定町廻り同心
矢口利三郎 北町奉行所定町廻り同心
松坂屋は二人が殺された。一味に手だれがいる。隼人は南町奉行・筒井紀伊守政憲から探索に加わるよう言われる。斬り口から飛燕斬りを使う、増川浅右衛門が浮かぶ。増川を調べ、仲間を割り出す。増川を調べている時、増川等に襲われる。石を投げて助けてくれたのはみみずく小僧だった。次々に四人の塒を突き止める。みみずく小僧が隼人に近付き、百助はもぐりの政と呼ばれる独り働きの盗っ人だという。もぐり込んで身を隠す。店が開いている時にもぐり込み、夜になって仲間を引き入れる。と話し、離れて行った。
 順々に捕まえて行く。増川は隼人が闘い、飛燕斬りを破り倒した。どうしてみみずく小僧を真似たか、同じ盗賊なのに、みみずく小僧が世間でもてはやされ、上手く足を洗って堅気の顔をして暮らしているのが気に入らなかった。

2016年8月25日木曜日

喜連川の風

喜連川の風 江戸出府 稲葉稔
 天保七年 1836年 秋
喜連川家十代藩主・喜連川左馬頭熙氏25才は名君の誉れ高い。
喜連川藩は五千石、領内の村は十六村。喜連川家は清和源氏の流れを汲む足利将軍家を祖としているから、家格は十万石、参勤交代の義務が無い。城普請、街道の整備、川普請等の賦役も免除されている。
 全国的な飢饉のため熙氏は、備蓄米を貧しい者たちに配り、金蔵は空っぽになった。下級武士の不満が爆発しそうだ。天野一角は下級武士の話を聞き回ろうとした時、江戸へ密書を届ける命を受ける。
 天野一角 上士ではないが八石取りの下士のなかでは中居格 四年前26才の妻を亡くす。息子・清助6才と 七石の同心・松本唯之助26才と徳助の三人で江戸へ行く。
 江戸定府は留守居役・森本作右衛門、添役・山川丹兵衛、右筆・柿沼大四郎 石橋英太郎の四人だった。密書の内容は肥後熊本藩細川家から一万両借りることだった。みんなで顔繋ぎに細川家に行く。
 石橋の案内で上野に行き、殺人事件に巻き込まれる。石橋が犯人の疑いを掛けられる。一角と唯之助と徳助は町中を歩き回り犯人を探す。一角は森本より細川藩の内情を探る命を受ける。唯之助と徳助は町方役人に協力し犯人を挙げる。一角は細川藩の留守居役の側衆・橋谷勘兵衛に近付き、藩の内情を聞こうとする。
 細川藩と宇土藩のもめ事が起こる。宇土藩の藩士が細川藩の藩士・古賀を斬った。二人は捕まったが仲間三人は逃げた。細川藩の藩士四人が宇土藩の三人を見付けて斬ろうとしていた。一角と唯之助は橋谷に知らせ、逃げている三人と狙っている二人を取り押さえる。宇土藩邸を見張っていた二人も取り押さえられる。細川藩と宇土藩で話がついていたことを四人のために大事になるところだった。
 留守居役・森本はこのことを公にしないために一万両を借用したいと話を持って行くつもりだったが、一角は恐喝まがいの借金は辞め、喜連川藩を担保にただ借金を申し込むのが良いという。一角は牢に入れられる。
 一万両借りたいことを初めて細川家に伝える。
 御所様(喜連川藩の殿様)は手紙で留守居役でまとまらなければ熙氏自らお願いに上がると言うことを伝えてきた。森本は細川藩に伝える。一万両を借りる事が出来た。
一角と唯之助と徳助は森本の手紙を預かり喜連川に帰る。

2016年8月24日水曜日

からくさ図書館来客簿(第二集)

からくさ図書館来客簿(第二集) 冥官・篁と陽春の道なしたち 仲町六絵
 リボンと人力車 「人力車 いだてん屋」の車夫・宇井隼人は 観光案内のため図書館を訪れた。明治の女学生の格好の幽霊が現れ、車夫を辞めよと言う。相談に図書館を訪れる。隼人が作った偽書は「今様都名所図絵」幽霊は対馬藩京都藩邸に務め、御一新後は京都勧業場に務めた人の娘・毬だった。父を恨む者が人力車に乗っている毬を襲い、毬を守ろうとした車夫・杉野24才と共に殺された。杉野は古傷が痛むのを我慢して走っていたので、現世に留まり身体を壊している車夫を見付けると辞めるよう声をかけるようになっていた。夜の哲学の道を隼人は毬を乗せ走る。毬は天道へ行く。隼人の記憶には篁の親戚の子が病気療養に行く前に人力車に乗りたかったというように置き換えられた。隼人は手術を受け、リハビリに励むことにした。
 小猿の宝物 安倍晴明が子供の姿をした式神に荷物を持たせて図書館にやってくる。安倍晴明の生まれは921年、篁は802年。冥官としての経験年数は篁のほうが百数十年多い。にもかかわらず晴明は閻魔庁第三位、篁は十八位と地位は逆転している。上官は閻魔庁にいるのが普通なのだ。古書を持ってくる。閉架式にすることにする。時子に次ぎの術を考えるように言う。
 臭覚を失った香木店の娘・曜子に織田信長のお小姓・本多藍丸が付いているのを見付ける。秀吉よりも顔がかわいらしいので小猿と綽名を付けられた。図書館で開香の会をする名目で曜子を図書館に呼ぶ。曜子の偽書は「名香六十一種名寄せ文字鎖」藍丸は信長公の女と蘭奢待を守れと言う命で本能寺から逃げた。蘭奢待を瓶に入れ井戸に投げ入れそれがために天道に行けないでいた。式神が見付けてきた。図書館で蘭奢待を聞く。準備中に曜子の口から臭覚を失った理由を聞く。曜子は蘭奢待を聞くことが出来た。記憶はなくなった。
蘭奢待は香が好きで地蔵盆には近所の子供に香を聞かしているお寺の住職にあげた。藍丸は天道に行く。
 篁は師であったが時子に癒されていたことを認識する。
 瑞垣 時子を天道へ導いき、篁を冥官に推薦した茜・閻魔庁第十四位が西陣に縄張りをし、現世赴任になった。六花と言うかんざし屋を開いた。茜は篁を「過保護な母親みたいな男」と評する。時子は黒方を聞き、小さい時を思い出す。賀茂の大神からの伝言。
 花生けに芸術的なセンスを持つ花梨は時々幽霊を見る。花梨に道なしが付いていることを知った茜は図書館に行くように仕向ける。舞妓・梅ふゆの幽霊が花梨に竹の花入れを壊して欲しいという。花梨の作った偽書は「崑崙草こんろんそう」だった。梅ふゆは記憶を無くしていた。時子は梅ふゆに触れと途端、掌に「瑞垣」の文字が現れた。花入れは瑞垣という名で、梅ふゆの不注意で傷つけたものだった。瑞垣に花を入れ、梅ふゆは必ず花を生けた姿でかざるのならこの世に残ってもいいと天道に行った。花梨は記憶を消す時、幽霊を見る力も消して欲しいという。花梨の花を活ける天賦の才と繋がっていた。花梨は花をきれいだと思う心だけ残された。
 鳥めずる若君 五月三日、下鴨神社で流鏑馬神事が行なわれる。
 鳥類研究所の蜂須賀は、ユリカモメの群れと旅をしているという鳥部と子供の会話を聞く。平安時代からの鳥の動きを話す。蜂須賀が図書館へ行く。偽書は「京都鳥類図譜」時子の掌に「じょんぐうるど」の文字が現れる。蜂須賀は道なしの鳥部からユリカモメ等鳥類の生態を聞く。鳥部は鳥達の姿を書き残したいと言う。鳥部に閻魔庁の冥官の監視つきで図鑑を編む場所と道具を与えられた。鳥部と話していた子供は一言主様。斎院時代に見た一言主の真似をして、時子は術を得た。
 記憶を消された蜂須賀だが、鳥部が書いた一冊目「伴鳥記 一」を図書館で読む。
 安倍晴明の母は狐ではなく賀茂氏だった。
 

2016年8月23日火曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎21

風烈廻り与力・青柳剣一郎21 秋雷 小杉健治
 剣一郎は、19才で亡くなった兄が年を取ったような雲水姿で現れた幻覚のようなものを見、墓参りに行った帰り、一緒にいると心が安らぐ女・くみに会った。自分のことを青痣与力と知っているのか知らないのか判らないが、雨太郎と呼び、何も聞かない。
 盆の窪を畳針のような物で差され殺された遺体が見付かるが、身元が判らない。名乗っていた名前も住まいも出鱈目だった。人ごみの中で殺された男も身元が判らない。また、盆の窪を刺された遺体が見付かる。火盗改めの密偵・虎吉により霞の陣五郎の手下だと判る。虎吉が陣五郎の手下・出雲の佐吉に殺される。植村京之進、只野平四郎等は殺された場所、通り道などから陣五郎の隠れ家を探す。
 くみの家に度々訪れる。くみは弟・正助を探している。五年前、小田原で錺職人をしていた正助は江戸の小間物屋に誘われ江戸に出た。一年半後に五両、半年後に五両送ってきた。その後、音信不通になっている。くみは妾をしている旦那に三ヶ月の猶予をもらって江戸に来たと話す。
 正助は陣五郎一味になっていた。錠前を開ける腕があった。初めての仕事は手間取り起きてきた手代を一人殺した。二度目の仕事は簡単に錠前を開けたが犬が啼き、皆殺しにした。馴染めない正助は逃げたため、処刑された。止めを刺すはずの幹太が、止めを刺さず、括った縄にも切れ目を入れていた。川に棄てられたが助かった。自分の人生を狂わせた陣五郎一味に復讐していた。次の押し込み先と日付を書いて火盗改に密告した。
 青柳たちも調べだし、捕り方を配置する。火盗改は忍び込んだ一味を殺して行く。青柳は逃げた佐吉を追う。川辺の船で陣五郎は殺されていた。佐吉は青柳たちに捕まる。追ってきた火盗改に、捕らえて吟味します。殺してしまっては事件の真相を明らかに出来ないという。正助は文七に連れられ、姉・くみに会いに行く。くみは旦那を殺していた。匿ってくれた料理屋のおかみさんに三ヶ月の猶予をもらっていた。小田原に帰り裁きを受ける。
正助は翌日奉行所に出頭した。佐吉も隠れ家、金の隠し場所を自白した。







 剣之助と志乃の祝言を挙げようと思うが、脇田清十郎が妻女を離縁した。るいと志乃は仲がいい。本当の姉妹のようだ。るいにも縁談があるがるいは断わる。

2016年8月22日月曜日

からくさ図書館来客簿

からくさ図書館来客簿 冥官・小野篁と優しい道なしたち 仲町六絵
小野篁は京都でからくさ図書館の館長をしながら、天道に行かず現世に残っている道なしを天道に送る冥官の仕事をしている。五十二才で死亡したが、現代二十七、八の姿をしている。配流先隠岐のことを書いた「隠岐自然抄」
滋野時子は内親王・二代目斎院だ。(伊勢神宮に仕える未婚の皇女を斎王と言い、賀茂の斎王を斎院という。)二才で任じられ四才で終わった。十八歳で死亡し、千二百年天道で暮らし、三ヶ月前から篁の助手をして図書館で働く。篁は時子の祖父・滋野貞主の臣下で、時子の師であった。
 桜守 樹木医になったばかりの恵理子は十年、小滝村の「二つ龍」の名を持つ桜を護ってきた。もう限界と思うが村人から残して欲しいと言われている。図書館で篁に言われ取り上げた本は恵理子の取り巻く全てが記された本、偽書が出来上がる。「日本の巨木 第一巻 桜」桜の木を四百年守ってきた鎧武者 森島盛兵衛を納得させ天道へ送る。盛兵衛はもう二つ龍を休ませてやって欲しいという。二つ龍の枝を接ぎ木することにした。三月まで守って欲しい。篁は盛兵衛を天道に送るのを三月まで待つことにした。
恵理子の記憶を消す。
 うまし国 道なしの焦げた匂いのする小森を追って行くと、公園で鳩を捕まえようとした。上官の安倍晴明の名を出し話を聞く。小森は何者かに身体を乗っ取られ高い食材を買い集めたり野生動物を捕食しようとしてしまうという。小森の魂が作った偽書は「伊勢 四季の味覚」小森の全てが現れる。道なしは十二年前に上七軒のレストランで八十九才で亡くなった食道楽の老人だった。顔は牡鹿になっていた。繊維業界西の重鎮 望月響太郎だった。篁は施餓鬼会をし、小森は十二年匂いだけで何も食べていない望月に牡蛎料理を作る。図書館は篁の作った縄張りなので中では食べられる。望月は小森の苦手な野菜と果物の料理の上手い店をスマートフォンに入力する。望月は天道に送られ、小森はレシピ以外の記憶を消された。
 葵祭 小さな神社の巫女のアルバイトの研修に行き、十二単の姫様に声を掛けられた沙耶は図書館に来た。沙耶の祖母が五十年前に葵祭の斎王代を務めた。篁は束帯姿で沙耶の相手をする。沙耶の本は「葵祭」。沙耶の祖母・が代わりに務めた斎王をするはずだった人。七日前に亡くなったが、斎王に未練があり斎王代姿でさまよっていて、縁切り寺の毒気のために動けなくなっていた。聡子という。篁が敷き石の毒気は消した。時子の斎院時代を再現し、時子の話をする。時子の冠を貰い、行列を再現する。聡子は葵桂の冠を頂き天道へ行く。沙耶は記憶を消され、葵の葉をお守りに貰う。
 時子は初めて術が使えるようになった。双葉葵の葉をいろんなものに変えることができる。
 迎え鐘 白石良純・建築学を修めたいけれど家が寺のために僧にならなければならない。京大のインド哲学科に通う。良純が父親に幽霊が現れる茶碗を託される。調べるために図書館に来る。茶碗は流れ潅頂に使う柄杓だとわかる。妊ったまま亡くなった女性の供養するものだった。良純が現した偽書は「鷹ヶ峰の匠」だった。おくみの父が行なっていた千日の流れ潅頂は父親が亡くなったため、あと十三日を残して途絶えていた。百何十年も器に縛りつけられていた。良純が残りの十三日をすることになった。良純が六道沈皇寺の鐘を搗き、おくみは天道へ行った。良純のおくみの流れ潅頂の記憶は残された。
 良純は四年後、建築学科に入り大学院二年が終わってから僧堂に行ってもいいかと父親に話す。寺の駐車場と離れの土地に納骨堂と茶室を作ろうと提案する。
 
時子は貞主が建立していた慈恩寺に葬られた。埋葬から四日後、篁が慈恩寺で経をあげていると時子が現れる。時子に手向けた歌を詠む。 泣く涙 雨と降らなむ 渡り川 水まさりなば 帰りくるがに 道なしになりそうな時子が篁に願う。斎院だった時子を寺に葬ったからじじ様は罰を受けるかもしれない。じじ様を守って。二百年前に飛鳥にいた茜が時子を迎えに来る。ここで篁の記憶を消すはずの茜が、冥官の素質がありそうだからと言い記憶を残した。閻魔庁に冥府の官吏として推薦された。篁は現世に生きながら冥官となった。

2016年8月21日日曜日

出世侍〈三〉

出世侍〈三〉 昨日の敵は今日も敵 千野隆司
 川端藤吉は家禄八百石の旗本永穗忠左衛門の屋敷を出、若殿・忠太郎と姉・松姫、若党、中間に見送られ、千手弓頭・家禄二千二百石の旗本小出長門守直孝の家臣になった。三俵一人扶持から五俵二人扶持になり、二刀を差し、弓を持っている。
 殿様・小出直孝42才 奥方・房39才、嫡男・直義17才、次男直正15才。
 用人・杉野 補佐役・堀越、中小姓・都築大三郎、藤吉は中小姓だ。藤吉を含めて七名。若党は五名。中間は八名。顔を合わす全てが冷淡だった。三頭の馬のうち、マツヒコの世話を命じられる。直義がマツヒコに乗る日、馬に猫いらずを盛られた。
 丸岡藩の殿様の返書をもらって帰る途中、揉めているお婆さんを助け、返書を掏摸取られる。婆さんから破落戸、浪人、深編み笠の侍と書状が渡る寸前、藤吉は返書を取り返した。あの侍は都築だと思った。
 小笠原の千寿姫から 達者であれば重畳 と菓子と手紙が届く。
 流鏑馬の試合に出る人選のための試射の前に弓を隠される。忠太郎と伝吉が探してくれる。六番だった。
 都築が世話をしている馬のヤヨイに異常がでた。世話を押し付けている弥吉の所為にする。馬の事を知らない弥吉に代わり、藤吉が医者が来るまでの一晩ヤヨイの足を冷やす。
中間の言で門番が食事を運んでくれた。医者がきて適切な処置を褒めて帰る。
 増上寺への将軍参詣の日、藤吉は境内の警固を命じられるが、使いに出た先で三人の侍の付け火を見付ける。三人に傷を負わせ、火を消すが境内には入れなかった。堀越から警固に加わらなかったことを攻められ、役を解かれ、蟄居になった。町奉行所与力・平田一之進が奉行からの書状を届けに来た。杓子定規な働きではならぬ、状況に応じた働きが良ということで、明日から奉公に励めということになった。与力の手伝いで三人を見付けた。旗本に次男、三男だった。
 藤吉は直正の共をして遠出の命が出た。隣村の妹に会いに行くと妹は村を離れて行方不明だった。都築が落馬し、怪我をした。流鏑馬合戦出場のため藤吉は呼び戻される。雨が降り利根川を渡れない。急いでいる次吉と協力する。堀越に妨害されるがどうにか間に合う。流鏑馬当日四本を居抜き、五人で十九本で一位になった。家斉公からお褒めの言葉を貰った。藤吉は十俵二人扶持になった。

2016年8月18日木曜日

帳尻屋仕置【三】

帳尻屋仕置【三】 鈍刀 坂岡真
 忠兵衛が仲間にしようと見込んだ荒岩は殺された。
 自分の子をお役に就けるために、下役を罠に嵌める上役・柚木新兵衛の帳尻を合わせた。

2016年8月17日水曜日

日雇い浪人生活録(一) 

日雇い浪人生活録(一) 金の価値 上田秀人
 御側御用取次・田沼主殿頭意次は、大御所・吉宗から遺言として幕制の中心を米から金に変えるよう言われ、御庭番・明楽飛騨を付けられる。
 浪人・諫山左馬介は日雇いで、夜逃げした商家の後片づけをしていて、帳面を見付けた。その帳面のおかげで、雇い主・両替屋・分銅屋仁左衛門と左馬介は意次の協力をしなければならなくなった。

2016年8月16日火曜日

赤毛侍幻九郎

赤毛侍幻九郎 沖田正午
北町奉行・宗岡安芸守景勝の私邸に宗岡景九郎が長崎から訪ねてくる。景勝が長崎奉行であった時、阿蘭陀商館の娘との間に出来た子供だが、景勝は正式には認めない。
赤尾幻九郎と名乗り、奉行所の悪党退治の手助けをすることになった。
 何も摑めていない盗賊一味「桃猫」を捕まえるために、酒田柿右衛門の大皿を皿回しに使い、おびき出す。御頭は大倉屋の下男・作造だった。柿右衛門の大皿はもともと作造が持ち込んだものだった。

2016年8月15日月曜日

金メダル男

金メダル男 内村光良
 東京オリンピックの年に生まれ、いつでも何でも一等賞をめざした秋田泉一の話し

2016年8月14日日曜日

口入屋用心棒34

口入屋用心棒34 痴れ者の果 鈴木英治

2016年8月13日土曜日

ちくま日本文学全集17 泉鏡花

ちくま日本文学全集17 泉鏡花
 天守物語

2016年8月12日金曜日

石の猿

石の猿 ジェフリー・ディーヴァー 訳・池田真紀子
 密入国斡旋業者・蛇頭・ゴーストを拿捕するために、連邦捜査機関と警察の合同捜査班は船の居場所を突き止め追っていた。ゴーストは船を爆破させ船を沈めた。密航者を船倉に閉じ込めすべてを殺すつもりだったが、十二名が助かった。
 チャン一家とウー一家、ソニー・リーとジョン・ソンと若夫婦が救命ボートで岸まで来た。別の救命ボートに乗ったゴーストが皆を殺すために追いかける。岸近くでソニー・リーとジョン・ソンと若夫婦はボートから投げだされる。
 チャン一家とウー一家はチャイナタウンまで行き、住まいを見付ける。ソニー・リーは保護され、中国の警官だと名乗り、リンカーン・ライムの仲間に入る。若夫婦はゴーストに殺された。漢方医ジョン・ソンはゴーストに殺され、車のトランクに入れられ放置され、ゴーストはジョン・ソンを名乗り、サックスに助けられ保護され、漢方医としてアメリア・サックスに近づく。ゴーストは必要にふたつの家族を殺すために追いかける。ソニー・リーは自分の着眼点からゴーストに近づき、ジョン・ソンに成りすましていることに気付くが、殺されてしまう。
 ソニー・リーの殺害現場の証拠からゴーストの成りすましが判り、逮捕される。
 サム・チャンとウー・チーチャンは亡命が認められる。一人助かっていた赤ちゃん・ポーイーはウー家の養子になった。沈んだ船体の中から船長が助け出された。
 ゴーストは中国政府から反体制活動家を船に乗せ洋上で船を爆破させすべての者を殺すことを頼まれていた。逮捕後、中国へ帰そうとする国務省のウェブリー相手に、アメリカで裁判を受けさせるか、大量殺人犯を政治、および経済的な理由から釈放したという事実を公表することになるか、どちらいいか突きつけられ、中国へ帰すことはなくなった。