2017年6月30日金曜日

開化鐡道探偵

開化鐡道探偵 山本巧次
 明治十二年挽夏 鉄道局技手見習いの小野寺乙松は、局長の命で元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。局長・井上勝の依頼で草壁は、京都ー大津間の逢坂山トンネルの鉄道建設中の工事現場で続発する不審な事件を調べることになる。工事は外国人の手を借りず日本人だけでしている。
 草壁と小野寺が現場に到着早々、仮開業間もない最寄り駅から京都に向かった工事関係者が転落死を遂げた。トンネル口に石が落ちてきたり、資材が倒れたりしていた。設計図の数字の書き込みを変えられた時もあった。火薬が一樽無くなったと探していると元に戻されたりする。鉄道反対派の村人が犯人扱いに腹を立て火薬倉庫の見張りをしていた男が一人殺され、一人が大怪我をし、鉄道で京都に運ばれ命が助かる。火薬は六樽盗まれる。火薬をまた戻そうと忍んで来た所、見張っていた草壁が現れる。盗んだ者も裏切り者と言い姿を現す。
 一連の事故を起こしていたのは工夫組頭・北山市助で命令していたのは工夫の束ねをしている稲村だった。設計図の数字を変えたりしていたのは、弟の借金を無しにすることで工事の妨害を要請された十等技手宮園だった。宮園は命令されたが妨害したくないため数字の書き換えもすぐ判る数字にしていた。火薬が一樽盗まれた時には、夜のうちに隠し場所からとり出し倉庫に戻したりしていた。
 宮園が火薬六樽も戻そうとした夜、隠した者・市助等と捕らえようとした草壁たちが揃い、市助たちは捕まった。みんなで火薬を戻そうとしたが樽は空だった。火薬がどこにあるか判らない。稲村は逃げていた。
 トンネル工事が終盤になり岩盤に火薬をセットすることになる。発破は成功する。岩や土のズリ出し用のトロッコを草壁が止めた。トロッコに火薬が積まれていた。稲村は首を吊って見付かった。稲村に命令していた黒幕が判らない。
 草壁は転落死した男から手がかりを掴む。神戸に行き、駅の切符を調べ帰ってきた。黒幕はアメリカの鉄道投資家の意を受けた神戸ブリッグス商会から工事を失敗させる話を持ちかけられた藤田商会で機械類の担当をしている矢島桂蔵だった。独立資金と後の商売の面倒を見ると言う口車に乗っていたようだ。
 後一日で貫通するトンネルを見ずに草壁は東京に帰った。

2017年6月29日木曜日

御用船捕物帖〈三〉

御用船捕物帖〈三〉 哀惜の剣 小杉健治
 百俵五人扶持、徒目付片平伊兵衛28は妻を斬り、上司・組頭棚橋甚蔵の首をはね、遺恨だと言い放ち自死した。朋輩・徒目付付並木重吾は現場に居、御目付・牧越後守景保の取り調べにも遺恨と言ったことを伝えるが、乱心ということになった。弟・伊之助は家を継ぐ事を拒否し、兄・伊兵衛の遺恨の理由を突き止めようとする。
 伊兵衛の命令で妻・登代の行動を探っていた中間・益蔵が殺される。並木重吾も乱心で落ちつくように言う。定町廻り・続木音之進の手先・船頭の多吉は伊之助を助け、情報の交換をする。登代を知っていた能登屋の主が殺される。
 登代は元々、牧越後守の側室だった。商人・能登屋の紹介で牧家の腰元になった。御徒目付組頭・棚橋の養女になって伊兵衛んい嫁いだ。牧との関係は切れていなかった。牧が町奉行の職に付くための賂金のため、登代を山城屋に斡旋していたことが判った。牧が次期南町奉行に就く事が決まっていた。
 全てを知った伊之助の動きを封じるために、山城屋は伊之助と暮らすふじを人質にする。
伊之助は組頭への出世を約束され牧に付いた並木重吾を斬る。牧の屋敷に乗り込み牧を追いつめる。音之進に助太刀され斬られ傷を負うが牧を倒す。山城屋の寮からふじを助け山城屋は自害する。牧は病死と届けられたため伊之助にお咎めは無かった。
  
 音之進は船手頭向井将監配下・津南治右衛門の次男だった。七年前、二十二才の時続木家に婿に入った。三年前正式に同心になり、二年後、定町廻り同心になった。多吉は音之進と同い年の昔からの知り合いで、音之進が使う御用船の船頭で、手札を貰っている岡っ引きではない。多吉が好きになった人がいた。音之進が許嫁と紹介された美鈴だった。音之進には内緒である。
 

2017年6月28日水曜日

まんまことシリーズ⑥

まんまことシリーズ⑥ ひとめぼれ 畠中恵
 わかれみち 八木清十郎の義母・由有は大倉屋の番頭四郎兵衛との結婚を決めた。江戸へ戻らない筈の横平屋の達三郎が舞い戻った。大倉屋は手を回し達三郎を追い出した。横平屋は大倉屋ではなく、同心・相馬小十郎が同心を辞めなくてはならないように仕向けようとした。人殺しが含まれていたため、横平屋は店を閉めた。由有のお祝いが執り行われた。大倉屋が「重ならない縁というのはあるもんだ」と言った。
 昔の約束あり 相馬吉五郎に蝶という娘が祖父同士が相談していた縁談の話をする。蝶は自分に持ち上がった侍・多村との縁談を断りたいために言い出した事だった。蝶のことを調べ出した清十郎の妻・安と相馬家の一葉と丸三の虎の三人が、多村の屋敷に一日閉じ込められたことで判明した。持参金付きで嫁に来た者を毒で殺していた。多村の家には三組の花嫁道具があった。
 言祝ぎ 麻之助の亡くなった妻・寿ずとよく似た相馬家の親戚の娘・このに三つの縁談が舞い込んだ。麻之助が三人を調べる事になった。金貸しの丸三から安い利子でお金を借りるため、地回りと揉めているので大貞の顔を借りたかった。大名の関わりの同心を相馬小十郎に変えたかった。
 黒煙 火事場で麻之助は双子の子どもを助けた。子供たちが産まれたことで曲がってしまった婚姻を元に戻した。双子の乳母が良縁を得、母親が帰ってきた。叔父・三次郎は破談になっていたかやと一緒になって分家することになった。破談になった藤本も一、二年待って三津との縁談を考えることになった。
 心の底 麻之助は料理屋花梅屋の娘・雪の許嫁・丈之助を探す事になった。丈之助は三島で盗賊に斬られ寺で寝ついていることが判った。探している間に鳴海屋には外の娘や息子が現れる。しっかりした番頭二人が店を辞めた。雪は破談にした。
 ひとめぼれ 吉五郎は養子に入った相馬家の娘・一葉と一緒になるものだと思っていたが、一葉は春四郎に恋をしてしまった。小十郎は一葉が誰と婚姻しようが跡取りは吉五郎だと宣誓する。春四郎は一葉から離れて行った。

2017年6月27日火曜日

恋仏 

恋仏 浮穴みみ
 るんは火付けに寄る火事で家も父も母も弟もなくす。植木職の叔父の世話になる。実家の蔵で恋仏を見付ける。突然視力を失う。霧がかかったように見える。
 親友・照の縁談が持ち込まれた。心引かれていた侍・三上だった。と思っていたら三上の兄42だった。照は結婚する。
 るんに好きな人が出来た。叔父の娘・蔦の許嫁・庭師の井嶋與三郎25だった。與三郎の作った庭が奢侈禁止令に触れ、江戸払いになる。蔦との縁組みは解消された。與三郎に一緒に京に行こうと誘われ、関係を持つ。その朝、部屋に捕り方に踏み込まれ付け火の疑いで與三郎は捕まる。目が見えるようになったるんは與三郎の無実を信じ、叔父のところに居れなくなり新しく新築された元の貸家に戻る。元は瀬戸物やだったが、叔父の好意で万年青や朝顔の鉢植えを売る。花の色や形で鉢を工夫する。
 與三郎が捕まった空き家の火付けは、興三郎の心変わりを感じた蔦が火を付け直ぐ消し與三郎の煙草入れを置いたことを証言した。度々起こっていた付け火の犯人は、るんが何でも相談する手習い所の女師匠・志麻だった。志麻は教え子がいやな縁談を断れないとか耳にすると付け火をする。ほら結婚しなくて良くなったでしょという。あの子たちのためだったのよ。火付けを白状したあと、獄死した。與三郎は帰ってきた。京へ行く。
 三上の屋敷が燃え、当主が亡くなった。照は隠居に気に入られているから、弟が後を継ぎ、照は弟と結婚するかもしれない。るんは照が何かしたのだろうかと不安になる。

2017年6月26日月曜日

毒草師④ 七夕の雨闇

毒草師④ 七夕の雨闇 高田崇史
 竹河流能宗家・竹河幸庵の毒死から始まる事件。幸庵は御名形史紋の助手・神凪百合と同じ、毒に耐性を持つ・解毒斎だった。御名形が興味を持つ。西田の会社に入った・萬願寺響子の願いで京都に行く。幸庵の親戚・機姫神社の星祭家の弟夫婦の娘・星祭文香の友達だった。
 幸庵が亡くなり、息子・敬二郎が毒殺される。第一発見者・星祭逸彦が焼身自殺をし、星祭雄輝が殴られて倒れていた。宇田川弘樹が殺され、社務員・墨之江定男が死に最後に文香の母・沙依が自殺した。毒は鵲だった。何代もわたり鵲に飲まされた毒が鵲の身体の中で特殊な毒を造り出す。

2017年6月25日日曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊳

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊳ 霧に棲む鬼 小杉健治
 剣一郎の妻・多恵の実父・西の丸お納戸役・湯浅高右衛門の長男・高四郎の病気見舞いをする。高四郎は剣一郎と多恵を結んだ弟だった。文七29は多恵と異母兄弟だと判った。剣一郎は文七の今後を考えようと思った。
 猫の蚤取りを仕事にする太一と出合い、太一は剣一郎の手伝いをする。
 口入れ屋の番頭が殺され、「と」組の纏持ちが殺される。口入れ屋の主が狙われ、剣一郎は三人の関係を調べる。十五年前まで、三人はつるんでいた事をつき止める。
 十五年前、「上総屋」の娘・しんは手代と駆け落ちした。子どもも産まれて落ちついた頃、庄吉は三人に襲われ川に流された。しんと子どもは連れ戻された。庄吉は死んだものと思われた。庄吉は十五年ぶりに江戸に帰り、しんは半年後に死んだと聞かされ子どもも死んだものと思い復讐をしていた。上総屋に火を付け押込もうとする男達と一緒に行動するが上総屋の長男が自分の子だと知る。現在の当主がしんの息子に継がそうと考えている事を知り火の中から大事な算盤を持ち出し捕まる。市中引き回しの最中、剣一郎の横に尼姿のしんを見出す。

2017年6月24日土曜日

鎌倉河岸捕物控〈三十の巻〉

鎌倉河岸捕物控〈三十の巻〉 嫁入り 佐伯泰英
 木更津の野地道場にいた林勘三郎は勘三郎になり金座裏の一員になった。
 円流小太刀の道場を開いている永塚小夜に、青物役所賄方・長沼との見合い話が持ち上がった。長沼を調べるうちに青物役所から品物が町の料亭に流されているということが判った。小夜の道場に来ている青物役所の書き役・三島平左衛門は一年前からの仕入れ帳の写しを造っていた。青物役所が仕入れた全てを記していた。公のものとの違いが分かる。政次は預かり町奉行所を通じて差し出した。長沼等が小夜や三島を襲って来た時取り押さえた。
 三島が青物役所の取締方になった。小夜と三島は祝言を挙げる事になった。
 豊島屋十右衛門の祝言のため京から花嫁一行が江戸を訪れた。仮祝言を挙げ、京で祝言を挙げるため、宗五郎夫婦、松坂屋隠居夫婦、豊島屋一行等、江戸組を交えて京へ行く。初めての旅客船で大坂まで行く事になった。
 

2017年6月23日金曜日

歴史探偵月村弘平の事件簿③

歴史探偵月村弘平の事件簿③ 「おくのほそ道」殺人事件 風野真知雄
 毒殺遺体が見付かる。警視庁捜査一課の刑事・上田夕湖が捜査にあたる。芭蕉に関係した地だった。芭蕉資料館で身元が判る。しのぶ文知摺でも遺体が見付かる。
 月村弘平は馴染みのウエスト・コーストのマスターを思い出す。犯人はマスターだった。
 殺された三人と福島の医者は四十年前埋蔵金を見付けていた。マスターは四人の馴染み客が、四十年前奥の細道の旅行後裕福になったことを知っていた。新聞で四十年前、強盗殺人があった事を知ったマスターは四人が強盗殺人の犯人だと勘違いし、殺していた。

2017年6月22日木曜日

口入れ屋用心棒㉟

口入れ屋用心棒㉟ 木乃伊の気 鈴木英治
 秀士館の敷地の祠から木乃伊が発見された。百年以上前のものだった。祠の裏から骨が見付かった。佐賀大左衛門の前の持ち主、四千二百石の旗本・山梨家に付いて調べる。
 山梨家の家臣が伊達家の家臣との喧嘩が元で山梨家が取りつぶしになった。評定所では山梨家有利のはこびになっていたにも関わらず、山梨家当主の友人・目付の定岡内膳が伊達家と組み当主を陥れ、当主が伊達の殿様を殴ったことにより取りつぶしになっていた。当主は下屋敷に火を付け自死した。家老・永井孫次郎が内膳の裏切りを知り、殺して埋めていた。永井孫次郎は当主の奥方と子どもと家族になっていた。
 富士太郎は永井孫次郎を定岡内膳殺しで捕まえるが、定岡内膳は病死になっているのでお構いなしとなった。
 直之進の妻・きくを見初め、勾引かそうとした旗本がいた。直之進は旗本の所業を暴いた。旗本の家臣・殿様のために死のうとした者は元山梨家の家臣だった。淀島登兵衛に託した。

口入れ屋用心棒㊱

口入れ屋用心棒㊱ 天下流の友 鈴木英治
 将軍家肝いりで日本一の剣客を決める御上覧試合の開催が決まった。沼里藩から湯瀬直之進が出場する事が決まり、直之進ときく、直太郎と倉田佐之助は沼里へ行く。
 沼里では盗賊が暴れていた。隠れ家も分からない、何も分からない状態だったが、二人は隠れ家を見付け捕まえる。盗賊の頭・玲観を逃し、湯瀬家の屋敷を襲われ、きくが人質になる。捕まりそうになった玲観は自死する。直之進は右腕を怪我する。
 直之進は東海大会で尾張藩の尾張柳生の新美謙之介にも勝ち、江戸大会に出る事になった。

2017年6月21日水曜日

吉原裏同心抄① 旅立ちぬ

吉原裏同心抄① 旅立ちぬ 佐伯泰英
 山口巴屋の玉藻の祝言の話が決まる。巴屋の板長・正三郎。
 吉原内の稲荷の賽銭泥棒が出る。神守幹次郎と吉原外の同心・桑原市松との連携で吉原甘味どころのゆうと父親を捕まえた。
 薄墨太夫の禿だった小花が新造の桜季になった。桜季の姉は吉原の火事のどさくさに人を殺し自分に見立て逃げ、神守に殺されていた。桜季に湾曲して伝えた者がいるようだ。桜季の幼なじみを捕まえ、桜季に本当の事を話した。
 薄墨太夫は身請けされ加門麻となった。麻は神守夫婦が住む柘榴の家に離れを建てて住む事になった。麻の母親との思い出の地・鎌倉へ三人で行く。麻の母親の行った寺は東慶寺だった。そのころの母の話を聞く。

2017年6月20日火曜日

手跡指南所① 「薫風堂」

手跡指南所① 「薫風堂」 野口卓
 雁野直春本名・春田直春20才は、春田家の次男だが、本人にも告げられず使用人夫婦に育てられた。春田家の奥方が亡くなり、直春ははじめて本当のことを知る。三千八百石の春田家に養子に入り、千二百石の石川家に婿に行くように言われる。石川家の娘・美雪を嫌うわけではないが、言いなりに養子に入ることを拒否する。
 浪人に辻斬り強盗に狙われた忠兵衛を助けたことで付き合いが始まり、忠兵衛の手跡指南所を継ぐ事になった。薫風堂と名付ける。沼田道場では師範代であり、儒学塾では塾頭である。

2017年6月19日月曜日

QED⑰ 伊勢の曙光

QED⑰ 伊勢の曙光  高田崇史
 明治になるまで天皇家は伊勢に参っていない。
 猿田彦や饒速日命のような男神を殺し、天照大神の女神に変えた。アマテルとアマテラス。
 猿田彦を殺したことを隠し祀る神社があり、ひっそりと八家で祀っていた。神社を有名にしようとした若い宮司が殺され、桑原崇・棚旗奈々も五十嵐弥生によって巻き込まれる。命も危ないめに会う。隠されていた秘密が現れる。
 明治神宮も怨霊の神社である事を確かめた後、崇は奈々にプロポーズした?。奈々は「はい」と答えた。
 奈々の妹・沙織は会社の同僚と結婚が決まった。

2017年6月18日日曜日

神様の御用人(3)

神様の御用人(3) 浅葉なつ
 天降るデザイナー 天棚機姫神 伊勢神宮で天照太御神の服を作っている。自分の織る服の人気が無くなった。自分の作った服を受け入れてくれる人の子を探して欲しいというご用。穂乃香が泣女のためにリボンを買うのを見た。私は何のために服を作っていた?「お前の作った服を着て喜んでくれる誰かのために」という良彦。私の服を着て喜んでくれる神のために長い間作っていた事を思い出して帰って行く。穂乃香に作ってくれた服に素敵な服をありがとう。とってもうれしいという穂乃香。私もうれしいですという天棚機姫神。
 一人角力 「大山祇の稲の精」がJAの服を着て稲元さんとして地元に溶け込んでいる。大山積神の眷族。御田植祭で神事として一人角力が行われる。精霊を相手に相撲をとり、二勝一敗で精霊が勝つ事でその年の豊作がやくそくされると決まっている。私を負かして欲しいというのが御用。知り合った少年は生まれてくる妹を護るために強くなりたいという。精霊は「この美しい人の子の世界を守りたかったんです」人の子を守るために強くあろうとした私が人の子に教えられた。
 童子の柄杓 貴船の高靇神(雨冠と龍の間に口が三つ並ぶがパソコンに無い)の御用は、降臨した時にお供をしていた童子に渡した鏡岩から作った柄杓を探して欲しいというものだった。童子の子孫八家は社家を辞めていた。高岡遥斗と出会う。遥斗は小さい時貴船で溺れ高靇神に助けられ恩返しをしたいと思っていた。良彦が御用人であることを受け入れられなかった。が協力する。遥斗の家が八家の子孫だった。高靇神は八家の子孫が見付かったことで納得した。(仏国童子 舌家)
 橘の約束 田道間守命は橘を持って帰り、神になった。穂乃香も一緒にオレンジクリームを挟んだシュークリームを作り、菅原伏見東陵の垂仁天皇の墓へ行き、垂仁天皇に渡した。垂仁天皇の命令で橘を探しに行き十年掛かって帰って来た時、天皇は亡くなっていた。二千年待ったという天皇。田道間守もやっとかなった。菓祖 


この本は語り部が良彦のことを次の御用人にはなしている話なのだが、良彦は宮司になってる?穂乃香がお母さん?

神様の御用人(2)

神様の御用人(2) 浅葉なつ
 萩原良彦24才 社会人野球の選手だったが膝を壊し会社を辞めた。フリーター。神様の用を言い付かる御用人に任命される。祖父が御用人だったようだ。
 黄金 方位の吉凶を司る狐の姿をした方位神。良彦に御用を依頼し、内容が気に入らず御用の再履行を求めて良彦と行動をともにしている。神様への道案内 
 藤波孝太郎24才 良彦の幼なじみ、大主神社の権禰宜
 吉田穂乃香 大主神社の宮司の娘 神様が見える
 名湯の条件 少彦名神 小さな神様 大国主とともに日本の礎を築いた折り、大国主がいれてくれた温泉が心地よく至福のものだった。いろいろ温泉にいくが身体の芯までほぐれる湯に会えない。あの心地よさをもう一度味わいたい。という御用だった。伊予風土記
 スーパー銭湯で黄金とふざけ、他の家族に注意を受けながらにぎやかに良彦の作った掌の風呂に入る。ひとつの湯の中に、人の輪が出来、賑やかに、穏やかに誰かと労り合うことの出来る湯に入りたかったのだと気付く。スーパー銭湯巡りを始める。
 貧乏神の憂鬱 窮鬼 貧乏神が取りつく家を探して欲しい。というご用。貧乏神の取りつく家を見付けられなかった。年末ジャンボ宝くじを一枚残していなくなった。良彦はうれしそうに引き換えに行ったがはずれ券だった。
 彼女の涙 泣沢女神、人の悲しみを引き受けて泣く神様。千五百年入ったままの井戸から出して欲しい。昔は少しなら出られたが力が無くなり幼子の姿になってしまい出られなくなっていた。時々、穂乃香が持ってきてくれる花が外界との繋がりだった。井戸の水は涙っだった。「天眼」である穂乃香は友達がいない。一人で出せない良彦は穂乃香に手伝って貰う。外に出た女神は穂乃香を抱きしめた。何故外に出たかったか、穂乃香をこうして抱きしめたかった。宣乃言書に押印を押してもらう。
 夫婦の事情 須佐之男命の娘・大国主の妻・須勢理毘売が酔っぱらってやってくる。大国主の浮気が許せない、と。大国主が迎えに来て、須勢理、僕に優しくしてくれる比売はたくさんいるけど、僕を叱る事が出来るのは君しかいない。君は大勢の妻の中の一柱じゃない。僕にとって唯一無二の愛しい比売だ。といわれて帰った。
良彦は穂乃香と泣女のところにイチゴを届けに行く約束をする。

2017年6月16日金曜日

思い出のとき修理します

思い出のとき修理します 谷瑞恵
 仁科明里28才は、 津雲神通り商店街の貸家になっている「ヘアーサロン吉井」の老夫婦の孫と言う触れ込みで借りた。小学校二年の夏休みを過ごした家だった。後で分かったことだが、母親の結婚前に付き合っていた彼の実家だった。チェーン店化している美容室を辞め彼と別れて、母にも内緒で引っ越ししていた。
 前の時計屋さんに、「思い出の時 修理します」のプレートがあがっている。店主は飯田秀司28才。太一 津雲神神社でアルバイトしている大学生
 黒い猫のパパ 昔、パパという猫を飼っていた少女が商店街のパン屋さんと結婚する。彼女は顔も知らない父親を黒猫にダブらせる。父親はカメラマン名乗る事をせず、彼女を見守る。そこに黒猫が存在した。彼女の写真を入れたオルゴールを落とした事で明里が知る事になった。彼女の結婚写真をオルゴールに入れ、父親の手元に返す。
 茜色のワンピース 洋装店のハルエさんの頼みで秀司と明里は縁日のデートをする。ハルエの苦い思い出デートを塗り替える。姪の世話になることになったとハルエさんは商店街を出る。
 季節はずれの日傘 桃色の子ぶたのぬいぐるみを探す、十五年前に娘を亡くした母親と、桃色の子ぶたのぬいぐるみを探す小さい時に自分のために母を亡くした娘。母親は少女が桃色の子ぶたのぬいぐるみを抱いている姿を見、娘がぬいぐるみを見付けたからもう私は入らないと去って行く。ぬいぐるみを探す娘のために探していたのだった。
 光をなくした時計師 秀司の元かの・真由子が訪ねてくる。秀司がスイスでの修業中に兄と婚約する。兄がスイスに訪ねてきて二人は交通事故に遭う。兄は死亡、秀司は目を傷つけるが兄の角膜で手術し、見えるようになっている。その後会わなくなっていた真由子が来たのだ。兄の願い事を書いた絵馬を見た。弟が独立時計師になれますように。明里は秀司の髪を切りながら、新しい時計を作って欲しいと頼む。秀司は昔ヘアーサロンに来ていたはじめて時計の修理をした女の子に会いたかった。明里は自分では無いと思っていた。秀司を騙しているように思っている。
 虹色の忘れ物 明里はここの孫ではないことを秀司に話す。吉井のお婆さんがくる。お婆さんとの話で夏休みに一度だけ来たと思っていた明里だが、春休みにも来ていた事が分かった。母に、叱られ、お婆さんにももう来てはいけないといわれた事で封印してしまっていたことがわかった。おばあさんが預かっていた秀司が修理した時計も出てきた。お婆さんの息子・母の元彼が迎えにきた。二人の新しい時が始まる。

2017年6月15日木曜日

喜連川の風③ 

喜連川の風③ 参勤交代 稲葉稔
 四月二日、天童藩織田家が参勤のおり、喜連川宿に宿泊することになっていた。仙台伊達藩から同じ日に宿泊の申し出があり、了承してしまった。織田家は二万石、伊達家は六十二万石の大藩。伊達家に参勤交代の度に使って欲しい。倉橋与七郎は御所様の手紙を持って天童藩に行く。内容は知らなかったが、天童藩からは叱責も無く一日早く泊まる事になった。
 天野一角は忙しくなった。宿場調べをし、宿場全体の見栄えを良くする。障子の張り替え床几の手入れ、道普請をする。藩から低い金利で金を貸す事になった。藩の大工係が手伝った。料理の材料の調達、調理師の確保をする。喜連川の魚を使い、猟師に鹿、猪を頼む。宇都宮で料理人を見付け、喜連川に来てもらい講習もする。そんな中で、五、六人の破落戸を捕まえる。
 織田家が喜連川宿に着いた時、御所様がお迎えに出られた。宿泊代も喜連川藩が持つようだ。それが織田家への無礼に対する御所様の心使いだった。
 伊達家が喜連川に着く頃、烏山大久保藩から二人組の盗賊が喜連川に入ったとの連絡が入る。一角は追いかけ、捕まえる。
 伊達家の重臣らは満足して旅立った。家老たちから、この度は良くやってくれた。そなたらに無理難題を押し付け気を揉んだことだろう。助けがあったから役目が全うできた。感謝するとの言葉をもらった。
 料理人は喜連川宿出身の者だった。音信不通だった親子の顔会わせがあった。
 

2017年6月14日水曜日

次男坊若さま修業中③

次男坊若さま修業中③ 名月の出会い 千野隆司
 館山藩一万石藩主・稲葉正己の弟・稲葉正高17は隠居した祖父・稲葉正盛と共に中屋敷で暮らしていた。中西道場と儒学屋敷に通う。祖父が遠縁の広瀬清左衛門の娘・千代21の婿にならないかと言う。四月前に婿が亡くなり、跡継ぎがいない。修業中なので・・・と断る。
 正高が好意を持っている、遊女・たゑに身請け話があるようだ。
 同心・田巻を助け、祖父・正盛のアドバイスを受け、殺人現場を目撃した杉と弥助の命が狙われたのを護り、殺した御家人と商家の主を捕まえた。
 破落戸にからまれている魚油問屋常陸屋の跡取り・吉太郎を助けた。常陸屋は火を付けられた。正高は調べる。犯人に目星を付け、再度火付けをしようとした所を取り押さえる。
吉太郎はたゑを身請けしようとしている男だった。正高は何も出来ない自分を知っている。たゑは身請けされた。
 正高は法事や火事見舞いで千代に会った。
 千代に縁戚になる家禄二千石の中奥御番衆桐山新次郎の三男・新三郎25との縁談が持ち上がった。父親が兄弟だった。正盛に桐山新三郎の暮らしぶりを調べるように言われる。桃井道場での評判も市井での評判も良くない。相手の石高で態度が変わる。強請や美人局をする族を顎でこき使う。後ろで指示する等散々だった。広瀬家は断った。
 千代が勾引かされる。桐山は家にいて桃井道場の弟弟子にやらせていた。正盛が捕まえ、正高が千代を助け出した所へ、二人を斬りに桐山が現れる。千代がいなくなれば桐山が養子に入れるのだ。千代に婿を拒絶されたので殺す事にしたようだ。傷を負っている正高は千代に助けられどうにか桐山を捕まえることができた。一件は公にしなかった。桐山は切腹した。
 千代は礼に小袖を縫ってくれた。正盛は無理強いはしないが「修業は、婿に入ってからでもできる」と言う。
 

2017年6月13日火曜日

便り屋お葉日月抄⑩ 

便り屋お葉日月抄⑩ 友よ 今井絵美子
 娘・さとと、母親が病気で子持ちの靖吉との結婚を認めなかった仲蔵が、靖吉と二人で日々堂を訪れる。つわりが治まった頃、父親に連絡を取り行き来をするようになった。今では長女・ひろを我が孫のように可愛がっている。生まれた子どもに梅と名付けたと挨拶に来た。
 戸田龍之介の道場仲間・養子に行った桜木小弥太が行方不明になり、心配し龍之介は調べ出した。小弥太は蔵牢に閉じこめられている事が判った。三ヶ月近く閉じこめられ小弥太は抜け出し、本当んい行方が判らなくなった。菩提寺・弥勒寺に現れ、経緯を語り、桜木家からの追っ手を恐れ逃げていた。下城途中の上司・山之辺蔵人に狼藉を働き、伴侍に斬捨てられた。桜木は婿養子は病死、見ず知らずの男と言い捨てた。
 小弥太は登和の不義は承知で養子に入った。蔵奉行山之辺十郎左衛門と桜木がつるんで抜荷をしていることを知った。両家の結びつきを強くするため登和と、息子・蔵人の不義を称賛していた。小弥太は許せなかった事の結果だった。
 日々堂の風呂番・大男の朝次が川に投げられた犬を助けに川に入り、溺れて助けられたが、肺水腫になり亡くなった。
 

2017年6月12日月曜日

撫子が斬る

撫子が斬る
 星の降る夜    宇江佐真理
  「髪結い伊三次」床屋の株を買うつもりで貯めた手元金三十両を弥八に盗まれた。
 寒桜の恋     小笠原京
  「旗本絵師描留め帳」
 律義者      北原亞以子
  「慶次郎縁側日記」 慶次郎の住む隣の寮に入った空き巣はいる分を取り、残りを返した。
 池田屋の虫    澤田ふじ子
  「新撰組外伝・京都町奉行所同心日記」 新撰組の池田屋への討ち入りは池田屋の金子を盗んだ手代が起こさせたものだった。
 水雷屯(すいらいちゅん)杉本章子
  「信太郎人情始末帖」 信太郎の義兄が妾に騙されていた。
 花はさくら木   杉本苑子
  「江戸芙蓉堂医館」 高名な医者が治せなかった病を治した不動尊。宣伝に利用される。
 禁書売り     築山桂
  「緒方洪庵・浪速の事件帳」洪庵の若い時、福沢諭吉の父親
 茶巾たまご    畠中恵
  「ねこのばば」 しゃばけシリーズ 一太郎の兄・松之助の見合い相手、海苔料理、貧乏神
 初春の客     平岩弓枝
  「御宿かわせみ」
 惜別姫      藤水名子
  「覇王残影」 中国、後漢の隠密都尉
 雨上がり     藤原緋紗子
  「隅田川御用帳」 牡丹造り師・段七 娘の勾引かし
 急用札の男    松井今朝子
  「並木拍子郎種取帳」 八丁堀同心の弟
 鰹千両      宮部みゆき
  「初ものがたり」 双子の子ども
 地獄の目利き   諸田玲子
  「瓢六捕物帖」 牢に入れられ、事件を解決。
 狂女       山崎洋子
  「俥屋おりん事件帳」 おりんは留学する事を決心する。

2017年6月10日土曜日

QED⑯出雲神伝説 

QED⑯出雲神伝説 高田崇史
 墨坂のひき逃げ事故と、野川達夫のリゾートマンションでの密室での刀による八刀良子殺傷事件、残された幾何学模様が同じだった。出雲神流という団体の文様だという。事故現場では一個、リゾートマンションでは二個書かれていた。
「出雲の神々」という本を出している高校教師・雲居泰治の娘・麻也28才が行方不明になっていた。一週間後麻也は埋められ遺体で発見された。
 小松崎と中島智美が会いに行った野川が毒殺されていた。出雲神流の文様が三個書かれていた。
 崇と奈々が乗っているタクシーの運転手は事故で亡くなった墨坂の兄だった。占い師・稲瀬葵の所へ行くと彼女は自殺していた。警察と小松崎と崇たちは出会う。
 警察で五十嵐彩子を待っていたが来ない。崇は彩子の母親がいる月修寺の名前を出す。重要な事件関係者がいるかもしれないと言う。雲井泰治だった。
 墨坂がひき逃げされ名前を道路に書き込んだ。名前を書かれた野川が文様を上書きした。
 野川に誘われたと思って行った麻也は、弾みで良子を殺してしまった。麻也は飛び降り自殺をする。彩子が密室を作り、麻也のサインを例の文様に隠した。麻也の死体を運び埋めたのは彩子だった。麻也の生みの親・葵は野川を殺し、自殺した。雲井泰治が出雲は奈良にあったと言う墨坂と出雲生まれの良子たちを出雲神流などで煽っていた。文様は雲井の創作だった。
 相撲はもともと命がけで戦わされていた。『続日本記』の「天平六年734、(聖武)天皇観相撲戯」とあるのは日本各地の力の強そうな者を集めて自分たちの監視下に置くための試合。
出雲は元々奈良にあった。天皇家が追い出した。奈良の出雲は真ん中から侵略され南北に別れ細々と残っている。
 
出雲大遷宮 平成二十年 2008年
桑原崇と小松崎良平、カメラマンの中島智美の三人で出雲に行く。中島智美は奈々の同級生中島晴美の五つ年下の妹。小松崎は三年前に二才の子どものある女性と結婚したようだ。奈々の話がでない。どうなってるのか。
 出雲大社でみんなが拝んでいるのは、出雲大社がやってきて追い出された、素鵞社、素戔鳴尊だった。

2017年6月9日金曜日

QED ⑮諏訪の神霊

QED ⑮諏訪の神霊 高田崇史
 1998年、棚旗奈々は桑原崇に諏訪の御柱祭に誘われる。崇は祭りの本質を探りに行く。
緑川由紀子と百瀬麻紀、崇の中学の同級生・鴨志田翔一の五人で回る。鴨志田翔一は三重出身で「出賀茂神社」の息子、学芸員で国立歴史博物館にも勤めていた、今は諏訪の新聞記者をしている。三人は住んでいる所が同じ区画だった。
 三人が住んでいる月見ケ丘は今、事件が起こっていた。赤江初枝が主導権を持って家割りをしたようだ。藍木辰夫は御柱祭で亡くなった。栗山寅藏が燕沢家の庭で殺されていた。次に黛功司郎と燕沢義夫が栗山家の庭で殺された。黛は首が落とされていた。赤江初枝が腹部を刺され重傷を負った。入院していた赤江が殺された。
鴨志田翔一が犯人と思われる。病院付近で鴨志田が目撃されていた。
 謎が解けないまま帰ろうとしていた二人が、引き返してくる。崇は諏訪の御柱の謎も月見ケ丘の真相も判ったようだ。
月見ガ丘の一軒の家で鴨志田が首を吊った緑川由紀子を助け救急車で運ばれた。翔一の家で話を聞いている時、赤江の家が燃え、全部終わったといいながら百瀬麻紀は死んだ。小松崎が来ていた。
 御柱で亡くなった藍木は事故ではなく殺されていた。娘と付き合う藍木を、父親に頼まれて燕沢と刑事・溝口がちょっとタイミングをずらした。藍木と親しかった赤江と麻紀の共犯で復讐をした。西で白で、北が黒、南で赤、東で緑川、生贄だった。赤江は自殺しようとした。麻紀が頼まれたが殺しきれなかった。後で病院で殺した。由美子を殺そうとしたのも麻紀だった。鴨志田が助けた。
 諏訪の祭りは、ミシャグチ神の旧地から生贄を引きずり出され、坂を転げ落とされ、冷たい川に潜らされ、彼岸へ送り出す船にのる。頭に三角形の紙が付けられる。御柱は生贄で怨霊。
 崇の気になる言葉・・今までに自分の命よりも大切だと思っていた人を一人失っている。俺自身も死にかけたことがある。

2017年6月8日木曜日

夜叉萬同心②

夜叉萬同心② 冥途の判れ橋 辻堂魁 学研M文庫→光文社文庫
 読んだことがあるような。
 崩落 文化四年 1807年 八月十九日永代橋が落ちた。権三は追っ手から逃げていた。背負っていた小葛籠を石と石の隙間に入れ、重しをし隠した。目印に鼈甲の櫛を石の間に差し込んだ。
 萬七藏41は七才で父を亡くす。父・忠弼は捕縛した兇徒仲間の意趣返しの闇討ちに遭った。翌年の秋、母・伝が倒れ亡くなった。母の実家・喜代川は本郷の私塾。元同心の祖父・清吾郎に育てられる。十三才で無足見習い、一刀流・富田道場へ通う。清吾郎の世話と所帯の切り盛りのため梅が住み込み出働く。三十五才で定町廻り、三十八才で隠密まわり方に付いた。去年から木挽町地本問屋・文光堂の息子・樫太郎18が手先になる。今年、樫太郎を小者にし、祖父の隠居所に暮らすようになる。
内藤新宿の菓子処に嫁いだ母の妹・由紀の孫・文13が萬家に来る。
 がえん太鼓 北町奉行所隠密廻り同心・萬七藏は奉行・小田切土佐守の内与力・久米信孝から、駿河台昌平橋内定火消・斉藤右近兵衛雇い万吉を探すことを頼まれた。樫太郎の前の手先・嘉助59才髪結と元掏摸の甲27長唄の師匠にも手伝ってもらう。万吉のことを調べる。永代橋が落ちた日、川の中で五寸釘を持った男が、まんきち、生かしちゃおけない、と刺されていたのを見た者がいた。万吉の死体は見付かっていない。
 樋口屋の娘・糸を追いかけ回していた万吉は、斎藤家火消しの空出の時、樋口屋義兵衛店を襲い、主人義兵衛に死に至らしめる怪我を負わせ、娘、糸を手籠めにした。侍もその他の火消しも笑っていた。糸は中条流の医者の処へ行っていた。糸と一緒になった惣助は五寸釘を懐に万吉をつけ狙っていた。川に落ちる人を落ちた、落ちた、と笑いながら見ている万吉に飛びかかった。惣助は捕まったが、万吉が殺害されたか不明、害意を持って襲った理由は最もなこと、惣助は江戸所払いになった。糸と母・竹は旅支度で惣助と板橋から旅立った。
 万吉の実家からお金を積まれた斎藤家与力・黒木傳次郎とがえんたちは惣助を殺しに来た。惣助は首を絞められる。戻った七藏とちょうど江戸に帰って来た永生藩士・鏡音三郎に助けられる。黒木傳次郎は斬首、火消し頭・統八は樋口一家暴虐の罪で敲きのう江戸追放、万吉の父親は惣助に百両を送り、隠居。惣助ら三人は渋川へ旅立った。
 前の本では惣助は殺された事になっていたと思う。何で殺してしまうのと思ったことを覚えている。記憶違いか。
 川向こうの女 9月下旬、大川河口に公儀番方徒組三番組・林勘助のなぶり殺しにされた死体が見付かった。林は永代橋が落ちた時、川に投げ出された妻・袈裟を探していた。袈裟は記憶を失い、柳家与一郎に助けられ、妻・尋として生活していた。十月、お腹に子どもが出来た。七藏は袈裟の父親を連れて尋に会う。尋は思い出すが、夫・林が殺された事を聞くが、尋のまま家に帰る。家を捕り方が囲む頃、尋は袈裟になり、与一郎の首を斬り愛宕山の本殿の前で自死した。袈裟に付いてきた飼い猫・倫は七藏に付いてきて萬家の一員になった。
 散茶女郎の小判 七藏は赤蜥蜴という盗賊を追うことになった。二月、四月、六月、八月
と偶数月に盗みに入り、皆殺しにして行く盗賊集団だ。錠前破りの権三が一味から逃げた事が分かった。権三が現れそうな吉原の常磐を張り込む。常磐の元に権三が現れた時、七藏が来るまでに権三を追う、赤蜥蜴の仲間が現れた。真吾は死んだ。権三は捕まった。赤蜥蜴の全容が明らかになった。旅芸人鬼座、音三郎が藩の命令で接触を図った私塾・麒麟堂主催者・池上麟斎と二人の門弟だった。鬼座と麒麟堂に踏み込んだがもぬけの殻だった。
 瓦版で真吾を殺したのが夜叉萬と知った鬼瓶は出刃亀と赤城とで夜叉萬宅を襲う。頭・鬼瓶に文を人質にされるが、倫が顔に牙と爪を見舞った。文が鬼瓶の腕を解き、鬼瓶の顔に一升徳利を叩きつけ鬼瓶は昏倒し捕まった。
 綾と一緒にいた音三郎も襲われた。三人を倒した。音三郎は藩に綾を妻にする許可を願い出た。しばらく待ようにということだったが、音三郎の気持ちは変わらない。
 権三の隠した小葛籠が取り出され千両が戻った。権三は八丈島送りになるかもしれない。

2017年6月7日水曜日

あやかしとおばんざい〈2〉

あやかしとおばんざい〈2〉 完 仲町六絵
 山野直文・まどか双子の兄妹はブログで「ふたごの京都妖怪ごはん日記」であやかしたちを物語に書き、挿し絵をつけて掲載している。読まれることによってあやかしたちの命を長らえさせることが「語り手」の仕事だ。お礼に食べ物を貰っている。
 きのこの舞姫 東大路でヤナギマツタケをとっている時、西日本で増えている毒きのこを制御するためにベニタケ明神が菌(くさびら)神社で英気を養っていることを聞く。ベニタケ明神はカエンタケが増えすぎないうちにオオゴムタケに似た新種を作るという。直文はきのこの物語を書く事になった。泉鏡花が書いたのは「茸の舞姫」「くさびら」
 直文の同級生・大塚信助と、今出川通りを東に行った吉田山の向かいの「からくさ図書館」に行く。館長と滋野に合う。館長はククリ姫が化けているうさぎにウィンクした。お互い現世の存在ではないと分かっているという合図。
 花送が、咲きたかったと未練を残した花々の魂の花を鴨川の川べりで花器に生ける。人目に触れさせてはなの未練を晴らす。花送は「からくさ図書館」を知っていた。花送は草木有情庁の冥官とつながりがある。草木有情庁は草木動物の魂の循環を司る。人間の魂の循環を司るのが閻魔庁だという。二人は閻魔庁の冥官だ。
 直文とまどかとくくり姫は花送のゲストハウスの従業員の狸の案内で夜中の吉田山に行く。茜と時子、安倍晴明と篁が蹴鞠装束の鞠水干と鞠袴で蹴鞠の練習中だった。人数が足りず仲間に入る。くくり姫も少女姿で。アリ、ヤアと落とさぬよう蹴り続ける。きのこの物語のヒントを貰う。
 直文は「きのこの神様」で、きのこの神様に頼まれて、新しいきのこのために、生える場所が確保できるように蹴鞠を頑張る村人の話しを書いた。きのこがいっぱい殖えてくさびら神社にちいさな宝物殿ができた話を児童向きに書いた。まどかは蹴鞠をする神主を書いた。
 ベニタケ明神から各種のきのこが届き、阿部晴明から、良い与祝をする者にと「吉野の柿酒」が届いた。
 狸怖いか、可愛いか 四国から少女の狸・讃岐小春が、子どもも楽しめる狸のはなしを書いて欲しいとやってくる。大学の江戸文化史の岩下教授から烏丸御池を北に上がった児童書専門店を紹介される。「子と古都ブックス」。岩下教授は、狸は正体がばれたら死ぬ。とおもっている。岩下教授が小学生の頃、狸が化ける練習をしているという岩場に何度も見に行った。そこで二匹の老いた狸が死んでいるのが見付かったため、自分たちが見に行ったために狸が死んだのではないかと思ってしまったらしい。直文は狸は正体がばれたぐらいでは死なないをテーマに「わが輩は狸である」でいろんな狸の話を書いた。まどかは狸の絵を書く。鏡花は怖いイメージにという依頼で「狸囃子」(から「陽炎座」に変更)を書いた。
 讃岐からみかんの蜂蜜を貰う。狸が養蜂をしている。岩下教授の研究室に「一族の若い者が世話になりました。讃岐」と葉っぱの手紙入りのみかんが届けられた。
 龍の子を祝う 大塚信助が「月刊 小説風雲」で新人賞の佳作に選ばれる。
 鏡花が「海神別荘」を書き、一緒になれた、和歌山の海龍・ウシオと琵琶湖の龍・ビワノそして生まれた息子・シズク5。三人がゲストハウス「花送」に来る。シズクはまだ深く潜れない。シズクの友達のイルカがシズクに見せたい物があると海底に誘う。ウシオがきつく許さん!と言った所為かシズクが人間の言葉をしゃべれなくなった。子どもが元気でいられる話を書こうと思う。「からくさ図書館」でヒントを貰う。金沢のころころ餅。父親が書いた二人の生まれた時のホームページを見る。与祝だった。
 新宮に行く。神倉神社に行く。ウシオとククリ姫に魂だけ海中に連れて行かれる。イルカがシズクの代わりにウシオを見せたい物に案内してくれる。千年以上前の難破船だった。
 直文は「船を助けた龍」を書いた。シズクという龍が徐福船団が風がなく困っている時に船を押し、東に流れる海流に乗れるようにした話。ビワノの読み聞かせでシズクは龍の名前シズクだって!と声が出た。物語の御礼とシズクの快気祝い、パエリア、牡蛎のアヒージャカニペーストのオープンサンド
 直文は卒業後の就職先に「子と古都ブックス」岩下教授つながりで京都の出版社ムラサキノ出版を紹介される。
 
ヒトヨタケの味噌汁
きゅうり、油揚げと会わせて葛粉入り吸い物・・・・・とうがんと同じか
賀茂トマト、すりおろして冷製すーぷ・・・・・・・・すりおろす、どうやって
 水気を切ったヨーグルトとオリーブオイルを載せる。
賀茂なす、輪切りにして焼き、味噌田楽
きのこのキッシュ〈山科茄子、ベーコン、タマネギ〉
トウモロコシのかき揚げ・・・・・・はねないか
栗の棹菓子
金沢おでん(香箱ガニの甲羅にカニの身、味噌、卵を詰めて蒸す)を入れる。

からくさ図書館のメンバーが登場したため頑張ってしまった。長くなった。

2017年6月6日火曜日

女錠前師 緋名

女錠前師 緋名 数えからくり 田牧大和
 商家大門屋の姉妹、妹・よしが殺されたことになっていたが、殺されていたのは旗本・三井家の次女・彩だった。彩は座敷牢で生活していた。座敷牢の鍵をつくるために緋名が呼ばれる。緋名が呼ばれた時には、彩は殺され、座敷牢にいるのは大門屋の姉・きみだった。
 三井家の長女は母親に殺されるという、長男・靖之進により、大門屋に生まれた時に預けられていた。それが、妹・よしだった。
 きみの恋人・文吉は真相に近づき殺される。
 姉妹の事を心配している振できみに近付き、きみを身近に置くために彩を殺しきみを勾引かしたのは靖之進だった。
 彩を装うきみが歌う数え歌で、真相が判った。緋名の弟子を装い、旗本屋敷に入った隠密同心・榎康三郎が靖之進を座敷牢に閉じこめた。靖之進は切腹した。
 

2017年6月5日月曜日

雇われ師範・豊之助⑤

雇われ師範・豊之助⑤ 泣き虫大将 千野隆司
 来栖道場の師範代・永田豊之助の父親は北町奉行備前守正直。長男は三千石の永田家を継ぎ、次兄は千六百石の富本家に養子に入っている。富本家の縁者・普請奉行水沢京之輔の頼みで、北町の定廻り同心・北山参次郎と二人で二日続いた嵐の時に崩れた小日向水道町の白堀の石垣を調べる事になった。見回り時、崩れるようには見えなかった。
 長崎奉行候補一番の水沢京之輔を追い落とすために、候補二番の石川寿三郎と、石川が長崎奉行になると品物を回してもらえるという算段をしている肥前屋が口入れ屋・鮫崎屋
を使い石垣を崩したことが判った。殺されようとした職人を助け、指示した侍が落とした鉄扇を持っていた事で判明した。口封じに走った石川家の者を捕まえた。水澤は長崎奉行に決まった。
 来栖道場の三人の門弟が十二才以下の試合に出る事になった。優勝は一人一俵の米だった。梅太は入ったばかりで、泣き虫だが、休まず練習に来る。準優勝になる。
 水澤家の二人の家来が門弟になった。

2017年6月4日日曜日

辻番奮闘記

辻番奮闘記 危急 上田秀人
 斎弦之丞は松浦家の辻番だ。見回り中、襲われている武家を助けるため、襲っている侍の足を斬った。御家が大事ならば首を突っ込むなの言葉を残し逃げる。足を斬られた侍は自死した。襲ったのは寺沢藩士、襲われたのは松倉藩士だった。九州の天草一揆の責任逃れ、藩存続のためだった。松浦藩も松平伊豆守に国許の蔵を見られてしまい、巻き込まれる。
 江戸家老滝川大膳は弦之丞を連れ、酒井讃岐守に全てを話しに行き保護を願う。
 寺沢藩士と揉め、命を落とす所だった町方・相生を助けた。
 一揆が終わり、松倉の所領は取り上げ、身は森家預かり。寺沢家は天草領四万石を取り上げ、唐津は残った。寺沢は松倉だけの責任にすることを松浦に邪魔された。寺沢家が松浦家に押込み、隣の松浦家の塀を壊す。御目付けを松浦に入れる。相生が助けられた恩を返す、と見られてはいけない物を隠すことを奨める。何も無くすんだ。
 老中、酒井讃岐守と土井大炊守が大老になった。
 二年後、平戸のオランダ商館は閉鎖、長崎の出島に移った。

2017年6月3日土曜日

御徒の女

御徒の女 中島要
 貧乏くじ 十七歳 文政十三年(1830)長沼栄津 二年前に父死亡。兄・史郎24。御徒・七十俵五人扶持。治助・父に命を助けられただ働き同然で住み込み奉公をしている。娘が身請けされ芝で小料理屋の女将をしている。
隣の水嶋家の次男・又二郎が御徒目付浅田家に養子に行く。
史郎の結婚が決まった。三千石の旗本に嫁ぐ予定が役者との関係を噂され破談になった百五十俵の御家人向井家の紀世。
養子に行って三ヶ月の又二郎から伊勢参りに行こうと誘われる。
 船出 二十一歳 天保五年(1834) 二年前水嶋家の長男・穣太郎は貸本屋の娘・蕗を嫁にしていた。栄津は御徒・國木田義三28に嫁ぐ。縁談が持ち上がった時、又二郎に二年待ってくれと言われる。
 悲雨 二十三歳 天保七年(1836) 娘・春が生まれる。味付けに文句を言いながら嫁に食べさせる義母・千代。千代が栄津を見込んで嫁にしたことを知る。
 紅の色 二十八歳 天保十二年(1841)長沼家は鳥居耀蔵の屋敷に出入りしいい暮らしをしている。治助の娘・りんが治助の死を知らせに来た。翌年の春、栄津が懐妊した。
 ふところ 三十二歳 弘化二年(1845)昨年の暮れ千代58が亡くなる。春10才、息子・千之助4才。又二郎が実家水嶋家の嫁、姑喧嘩の仲裁を頼みに来る。断る。水嶋家の姑・和江が来る。頭を下げるように言う。昨年、鳥居が罷免された長沼家は潰れはしなかった。
 神無月 四十二歳 安政二年(1855)春は御徒田代清兵衛と結婚。長沼家は札差の息子を養子にして長沼家の家督を譲り渡した。千之助14は剣術を習い始めた。道場の師範代は、水嶋家の三男・利三郎だった。利三郎は國木田の家に何度か来る。義三と話しが弾む。十月二日地震が起こり、一度庭に出て助かった國木田家の三人だったが栄津が刀を取りに家に入り助けに入った義三が亡くなる。利三郎が助けに来た。
 江戸の土 五十五歳 慶応四年(1868)徳川は駿府に移る事になった。安政五年コロリがはやり寝込んだ利三郎の看病をした。千之助は利三郎を支えにした。金杉村で百姓のような生活をしている利三郎を頼る。田代清兵衛は妻子と母と駿府へ行った。

2017年6月2日金曜日

超辛口先生の赤ペン俳句教室

超辛口先生の赤ペン俳句教室 夏井いつき

江戸しぐさの正体

江戸しぐさの正体 原田実

2017年6月1日木曜日

刺客が来る道

刺客が来る道 風野真知雄
 佐山壮之助は信夫藩の奇草園で植物の管理をしていた。近所に住む松田無風が殿様の勘気を被り付き合いの合った壮之助も藩に居られなくなり江戸に出た。国許の高山彰吾により、殿様の勘気は溶けるが、江戸にいる殿様の弟により刺客が送られる。刺客二人は倒す、三人目は生活の糧となる木の彫り物での金儲けの方法をアドバイスする。
 壮之助は万年青を育てたり、朝顔を育てたり、冬に茄子を育てたりしながら生活する。と土地を手に入れ庭を作る。刺客かと思った高山彰吾が来る。刺客が来ない事を知らせに来た。
 二十年後、明治五年、高山彰吾が遊び来る。