風の市兵衛 弐 ㉞ 蝦夷の侍 辻堂魁
西蝦夷地アイヌの集落に、江戸の武士がいるという。元船手組同心、瀬田宗右衛門は、蝦夷の武士が十二年前に刃傷事件で義絶した、長男・徹だと確信し、唐木市兵衛に徹の捜索を頼む。瀬田家の後を継いだ次男の明が成敗され、瀬田家は改易の危機にあった。宗右衛門は、何も問わず義絶した徹の事件と明の事件に疑念を持っていた。徹から話を聞く必要があった。
風の市兵衛 弐 ㉞ 蝦夷の侍 辻堂魁
西蝦夷地アイヌの集落に、江戸の武士がいるという。元船手組同心、瀬田宗右衛門は、蝦夷の武士が十二年前に刃傷事件で義絶した、長男・徹だと確信し、唐木市兵衛に徹の捜索を頼む。瀬田家の後を継いだ次男の明が成敗され、瀬田家は改易の危機にあった。宗右衛門は、何も問わず義絶した徹の事件と明の事件に疑念を持っていた。徹から話を聞く必要があった。
風の市兵衛 弐 うつ蝉 辻堂魁
大岡裁き再吟味③ うつし絵 辻堂魁
大岡越前は、評定所で、関所破りの罪で裁かれる絵師・土田半左衛門を見た時、十五年前の旗本内藤家と倉橋家の事件を思い出した。内藤斎樹が倉橋弥八郎を斬り、発覚したため内藤斎樹は切腹し、事は収まっていた。
越前は、古風十一を呼び、土田半左衛門と、内藤斎樹と倉橋弥八郎のことを調べるように言う。越前は、半左衛門に、十五年前の斎樹を見たのだった。
越前をうるさく思っている町奉行・松浪と稲生が、老中・本多に越前の行為を訴えた。本多から聞いた吉宗は、越前を呼び内密に牢屋敷で問いただしたのは何故かと聞いた。越前は全てを話した。
半左衛門の磔は無くなっった。江戸十里四方追放となり解き放たれた。大岡様の御指図かと問う半左衛門に番士は老中かもっと・・・と答えた。
十一は倉橋家の用人から命を狙われた。倉橋家の噂が城内を巡っているという。調べていた十一が狙われた。
古風十一は、密猟者の家を潰し、年寄と幼子のいる夫婦・清吉を連れて行った鳥見役平河民部から夫婦を早く返して貰えるように大岡に頼んだ。
雇足軽八州御用 辻堂魁
文政十三年 1830年
乱菊 辻堂魁
大岡裁き再吟味② 山桜花 辻堂魁
奉行所を外れてからも大岡越前は裁きが気にかかる。十七年前、雑司ヶ谷村本能寺の若い下男・直介12才が折檻され殺され、山桜の下に埋められた。父親が下手人御免の願いを出し、皆お咎め無しと決した。その事件に疑惑が浮かぶ。大岡越前は、鷹匠の息子・古風十一に探索を命じる。
風の市兵衛〈弐 〉 ㉛ 春風譜 辻堂魁
風の市兵衛〈弐 〉㉚ 斬雪 辻堂魁
跡継問題に決着をみた越後津坂藩は、新たな江戸家老・戸田浅右衛門のもと財政再建に心血を注いでいた。
落暉に燃ゆる 大岡裁き再吟味 辻堂魁
大岡忠相は還暦を迎え、江戸町奉行から寺社奉行に転出させられていた。なぜか突然の気鬱に襲われた忠相に町奉行時代のある事件への疑念が芽生えた。「私の裁きは本当に正しかったか?」鷹狩りで出会った江刺・古風十一を使い真相の究明を始める。
五年前の米問屋高間屋の打ち壊し騒動の後、番頭が殴り殺されているのが見付かった。一ヶ月後、指物職人の与佐が殺しているのを見たと辻番の三人の番人が訴え出た。与佐が捕まり、拷問に掛けられ死罪になった事件だった。
三人の番人の行方は判らない。捕まえた同心・前波甚之助の行方もわからなかった。
十一の調べで三人の辻番が番頭を殺し、同心は金を掴まされたと判った。前波は自死した。全てが判ったところで今更何も出来ない。三人をどうにも出来なかったが、酒亭の五平は博打にのめり込み一年も経たないうちに借金が膨らみ酒亭を失った。道三郎は水茶屋の客ともめ刺された。表火之番衆・仲間広之進こと広助は何者かに惨殺された。誰かと口論になり斬られたと見なされた。
風の市兵衛㉙ 寒月に立つ 辻堂魁
公儀十人目付筆頭・片岡信正の命で越後津坂藩内定の最中、返弥陀丿介が瀕死の重傷を負った。信正は、譜代ながら跡継騒動を抱え、陰に御用商人の不審な噂が絶えない津坂藩の探索の続きを唐木市兵衛に託す。
津坂藩の江戸家老・聖願寺豊岳は藩御用商人と組み藩政を握っていた。津坂湊の香住屋と長浜湊の武井が手を組んでいた。長浜には朱雀家の采地があり津坂藩藩主鴇江伯耆守憲実の正妻・蘭の方は朱雀家から来ていた。十年前、朱雀家の遠縁から鴇江家に婿養子に入りお世継ぎに決まっていた。お世継ぎの松之丞が錯乱状態になり暴行し、家臣に斬られたことにより跡継ぎ問題が起こった。聖願寺派は朱雀家から養子を得ようとする。十年前、側室の阿木の方と生まれたばかりの若君を殺されると言う事件があった。御年寄役・戸田浅右衛門は助かった若君を死んだものとして真野分蔵夫婦に託し江戸へ逃がした。その若君を呼び戻そうとした。聖願寺が使っている影の目付・丹波一味が動き、若君を探し出し殺そうとしていた。
市兵衛は若君を探しだし、襲ってきた丹波を倒す。世継ぎ鴇江憲実が正式に幕府に届けが出された。
将軍が片岡信正の弟・唐木市兵衛の存在を知った。市兵衛は十俵の扶持を貰うことになった。旗本五千石広川家の養子縁組みの見合い話が進んでいる。
風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣 辻堂魁
唐木市兵衛は、大店両替商「近江屋」から、蟄居謹慎のお咎めを受けている川越藩勘定方の村山永正が改易になれば、永正と家族を江戸に連れてきて欲しいという依頼を受けた。
近江屋の若主人と母親は二十五年前に川越藩で上意討ちになり改易になった堤連三郎の家族だった。上意討ちに合い、傷を負った連三郎を助け、家族を江戸の商家に預けたのも村山永正だった。連三郎は家族と一緒に暮らすこともなく人足として働き一生を終えた。家族は近江屋の妻・季枝となり若主人・隆明となった。連三郎の死を知らされた季枝は、村山の現状も知った。川越藩・松平大和守は、転封を希望していた。そのために家斉の息子を養子にしたいと借用金を増やしていた。村上はそんな藩主に意見を言い、不興を買い蟄居閉門となっていた。
季枝は昔の恩を返すべく市兵衛に頼んだ。
市兵衛と宰領屋の矢籐太が川越に行く。娘・早菜と話しをする。謹慎が解けた村山は城で上意討ちに合う。大怪我を負って帰った永正は、得度を受け亡くなる。早菜を連れ江戸へ帰る。
追う必要はないという藩の命令に従わない横目たちが立ち塞がる。堤連三郎を上意討ちしようとした菅留吉等だった。市兵衛が倒し、江戸へ行く。
北町奉行所定町廻りの渋井鬼三次は、息子・良一郎が五才の時、離婚し良一郎は母親・藤が引き取った。藤は良一郎が八才の時、老舗扇子問屋伊藤屋に再縁した。良一郎は伊藤屋の跡取りと決まっていたが、良一郎は渋井の跡取りになりたいと言い始めた。渋井は伊藤屋の文八郎に相談する。文八郎は夏が終わるまでの猶予を願う。