2019年7月30日火曜日

託された子は、陰陽師!? 

託された子は、陰陽師!? 望月麻衣
 〜出雲に新月が昇る夜〜
 久瀬学のところに、金森信治が5才の息子・タケルに危険が迫っていると預ける。
 信治は高校時代の親友だった。自殺しようとした少女を助け、追われている少女を匿い三人で一夏暮らした。学は少女・小夜子を好きだったが15才の彼女と関係を持てなかった。信治は小夜子と関係を持ち、学は見てしまった。二人は学の所から居なくなり、それ以来、6年間会ったことがなかった。
 学は薬科大の院生。父親は京都の大学の教授。高校生の時からマンションで一人暮らし。
 しゃべれないというタケルと二人で暮らす。学を好きだという高校3年生の宮下真美が、一人でいるタケルを視るようになった。政治家の娘・真美が誘拐されそうになった時、タケルが声を出し、誘拐犯だ!と暴く。タケルは口を封印していた。事情を話す。
 タケルは卑弥呼の末裔で皇室に仕える陰陽師一族だと話す。今のリーダー・大神子は私利私欲に走っている。大神子を座から降ろし、病が治った元の大神子・タケルの大叔母・雛子を再度大神子にしようとしていた。陰陽師の屋敷で学は小夜子に会う。学は徳が高く学ぶの廻りに結界があり小夜子もタケルも守られたのだと教えられる。
 タケルは大神子と術の掛け合いになり勝った。タケルは鏡術を使い、跳ね返した。タケルが大神官になることは決まり、覚悟した。出雲に行き、卑弥呼の時代の蟠りも解いた。解いたと同時にタケルは子供に戻った。何も記憶が無かった。
 タケルが学が父だ。と言ってくれたので、学は信治に許可を貰い、一年で二人を迎えにくることを誓う。
 真美は政治家になろうと思う。

2019年7月27日土曜日

長屋道場騒動記〔四〕迷い熊猛る

長屋道場騒動記〔四〕迷い熊猛る 芝村凉也
 間野生馬が先に関わった事件のため生馬を狙っている者がいた。十数人の浪人を動かし道場に押掛ける。生馬とたまたまいた玄武館の師範代・千葉栄次郎と二人で返討ちにする。
 栄次郎は生馬の道場へ稽古に来ていた。弟・多門四郎も一緒に行っていたが、栄次郎が水戸に行っている間は禁止された。
 千葉栄次郎との対戦を切望する二刀流を使う三田武右衛門は、水戸へ行く栄次郎に試合を挑む。栄次郎は三田を叩きつけ、乱心者にする。
 生馬を邪魔に思う誰かがいる。生馬の父親の代からのようだ。

2019年7月23日火曜日

弥勒シリーズ⑨ 鬼を待つ

弥勒シリーズ⑨ 鬼を待つ あさのあつこ
 大工の頭領と版木彫職人・菊八が酔っ払い喧嘩し、頭領を殴り殺したと思い込んだ菊八が翌朝首吊り死体で見つかった。頭領は死んではいなかったが、殺したと思い込んだ菊八が自殺したことで決着するが、同心・木暮信次郎と伊佐治は本当に自殺か疑っている。頭領・慶五郎と菊八の女房・はまの仲を調べたりしていた。一旦は手を引いた。
 慶五郎が殺された。首を裂かれ、五寸釘を打たれていた。信次郎と伊佐治はしらべに入った。
 遠野屋清之介は江戸の豪商・呉服屋八代屋太右衛門の隠宅に三百両の商い品を持って訪ねる。清之介は太右衛門の姪・ちやとの縁談を申し込まれる。清之介はその場で断る。太右衛門は遠野屋紅の仕入れ先、拵え方、全てを十万両で買うと言ってきた。清之介は断る。八代屋の隠宅で、りん・清之介の死んだ妻にそっくりな女を見る。
 八代屋は遠野屋の職人の引き抜きにかかるが、引き抜かれた職人はいなかった。
 国許嵯波にいる玄庵が現れた。りんを死に追いやった張本人だが、玄庵は清之介のために働いていた。今井国家老が病臥したことを伝えた。江戸家老沖山と八代屋は繋がっていた。
 太右衛門が、慶五郎と同じように殺された。
 りんのお付き女中・よえは清之介の敵だった玄庵が育てた殺し屋だった。言葉で人を殺す事が出来る。よえが慶五郎の家で働く女中・里を使って太右衛門を殺す、慶五郎で練習をしていた。里は気がふれたようになった。
 よえは育ての親・玄庵を殺し、玄庵が殺せなかった清之介と戦いに来る。清之介と戦い逃げた。元々いた清之介の兄の所へ行ったのか、行へは判らなくなった。
 ちやは後ろ盾を亡くし、行く所が無くなった。遠野屋の押しかけ女中になった。

2019年7月18日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊺

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊺ 宵の凶星(まがぼし) 小杉健治
 青柳剣一郎は将軍家に献上されたはずの加賀友禅の極上反物を持った岡っ引きに追われる男と遭遇する。泥棒と思われる男が殺され、反物の出所は不明。
 剣一郎は義弟の西ノ丸御納戸方の湯浅文七郎に協力を頼む。文七郎に御納戸から献上品を持ち出したという濡れ衣を着せられる。文七郎の同僚と上司の横流しを疑った時、同僚が殺され、文七郎が殺したことにされる。
 剣一郎が、西ノ丸御納戸頭・高木哲之進、御納戸組頭・大木戸主水、御納戸方・松倉太一郎が、献上品の目録を改竄し横流しをしていたことをつきとめる。献上品の隠し場所を暴き、証明しようとするが、大木戸主水が息子が後を継ことを条件に一身に罪を背負って自刃した。剣一郎が高木の元家臣の関係を突き詰めても認めず、その裏にいるであろう老中・磯部相模守には決して届かなかった。高木も関係を認めなかったが、元家臣や側室の身内が関係していたことで、職を取り上げられ小普請入りした。剣一郎は老中・相模守に、大木戸が残した隠された一切を告白した書置きと老中が書いた誓約書を盾に、大木戸家の存続を願った。

2019年7月16日火曜日

禁裏付雅帳八 渾沌

禁裏付雅帳八 渾沌 上田秀人
 東城鷹矢の許嫁として江戸から来た弓江が勾引かされた。京の闇を牛耳る戦闘集団「四神」。鷹矢と家臣・檜川は助けに行く。弓江を助け出す寸前、土岐仕丁が現れ、今上帝の禁裏付に手を出すなの命を携えて現れる。闇の頭・砂屋楼右衛門の帝に対する雑言を許さず土岐が砂屋を殺す。砂屋も仕える浪も元は貴族だった。
 砂屋に鷹矢の抹殺を頼んだ桐屋利兵衛は、禁裏付が商人を無礼討ちにしたと噂を流す。

2019年7月14日日曜日

むちゃの勘兵衛日月録20

むちゃの勘兵衛日月録20 落暉の兆し 浅黄斑
 越前大野藩の御耳役・落合勘兵衛は身重の妻・園枝を連れ帰郷した。大野に流れる風説に驚愕する。無茶の勘兵衛ではなく、無駄の勘兵衛という。それは上司・江戸留守居役・松田への誹謗だった。誰が何のために流した噂か調べる。津田家老一派だった。
 娘は凛と名付けた。
 勘兵衛は妻子を大野に置き、江戸へ帰る。
 松平直堅家では引っ越し時に、越前福井藩から言い掛かりを付けられていた。怪我の治療費に二百両の請求をされたが、勘兵衛が、怪我が嘘であることを明らかにし、解決した。
 松田の情報網・老中・稲葉正則が、大老・酒井忠清のために加判の列から除くため、大政参与となった。松田は情報網を失い、次の情報源を探していた。
 5月5日、総登城の後、御三家、大老、老中計9名でお世継ぎの話になった。酒井雅楽守忠清の進行で有栖川宮幸仁親王の将軍の話が出た。堀田備中守正俊が反対し、綱吉を立てる。御三家の三人が賛成し、何も決まらぬまま散会した。その後、堀田は家綱から世継ぎについては堀田正俊の思うようにして良いと書かれた書面を手に入れた。綱吉は家綱と対面し書面を与えられた。
 6日 諸大名に家綱世継ぎに館林宰相綱吉に決まったことが発表される。
 7日 綱吉が江戸城二ノ丸に入る。
 8日 家綱亡くなる。

2019年7月12日金曜日

神様の御用人8

神様の御用人8 浅葉なつ
 案山子が見た空 宣之言書に現れた神の名・久延毘古命。古事記に一度だけ現れる歩くことは出来ないがあまねく天下のことを知る案山子のこと。眷族として梟の富久と蟇の謡が付く。知恵の神は世の英知を手にし、驚くことも感心することも無くなった。美しいと思っていた空さえ見飽きて、この世にいなくてもいいだろうと思うようになり引退したいと言い出した。神様の御用人・萩原良彦は、久延毘古命を自分の家へ連れてきて、朝ご飯を作らせたり、JAの稲本・稲の精霊に聞いた市民農場で田植えを経験させる。久延毘古命はもう少し人の子の営みの中で新しい世界を共に見、新しい感情にも出会いたい。と思うようになった。
 真・大和屋金長伝 狸大明神の狸の金長が、消えかけている狸たちのために「阿波狸合戦」の話を集め、我らに読み聞かせて欲しいという。良彦が本を集め、一冊を読み終えると狸たちの身体が、元に戻っていた。門外不出の「大和屋金長伝」に接して、良彦は三人の男の手によって作られ、一人の女によって広められたことを気付いたか?良彦と一緒にいる方位神・黄金には判った。
 世は変れども神は変らず 時代ごとに人の求める神となってその度に自らの顔を描き替えていた八幡大神が、今の時代に相応しい八幡大神の顔を描いて欲しいと言う。良彦は偶然見付けた八幡様の元にいた僧侶が絵師になって描いた絵を八幡さまに見せる。誰を描いたか後世の人には判らない男性の絵。僧侶でも貴人でもなく何の変哲もない男の絵、「世は替わると雖も、神は替わらず」。世の中は変っても神は変らない。八幡大神は八幡大神らしくあればいい。八幡大神を描いた絵だった。
 おまけ・恐怖のドライブその後 良彦は穂乃香の大学入学祝いに何をプレゼントしようか迷っていた。穂乃香は大学生活に慣れるために、父親の絵のことで知り合った松下望に付いてバーベキュー会場に来たが、やはり馴染めなかった。一人で帰るバスの中で、須勢理毘売の運転する真っ赤なオープンカーを見付ける。バスから降りる穂乃香とオープンカーから降ろされる良彦。良彦は穂乃香に名前入りのボールペンを貰う。

2019年7月10日水曜日

親子十手捕物帳 

親子十手捕物帳 親父の十手を受けついで 小杉健治
 辰吉は、十手持ちだった父・辰五郎と折り合いが悪く、家を飛び出していた。忠治親分や妹・凛に心配されながら、仲直りを拒み続けて数年が過ぎていた。
 引退していた辰五郎だが、相談をうける。茶問屋・駿河屋の若旦那・彦太郎の外に出来た子供を五十両を出して引きとることになったが、その女のことを調べて欲しいということだった。
 辰吉は賭場の揉め事が原因で人殺しの嫌疑をかけられる。辰五郎がこっそり調べ、辰吉の嫌疑を晴らす。殺されたのは、駿河屋の次男・彦三郎だった。辰五郎が調べていくうちに、子供の父親は彦三郎だと判明。彦太郎は知っていた。彦三郎を殺したのは番頭だった。駿河屋の財産の半分は俺のものだという遊び人になった彦三郎が駿河屋のためにならないと感じたからだった。岡っ引きではない辰五郎は、駿河屋に番頭を数年、江戸を離れたどこかの寺で彦三郎の供養してまた駿河屋にもどしたらどうかと提案した。駿河屋は、女に呑み屋をやらせた。
 辰吉は忠治の下で岡っ引き修業をすることにし、家に戻った。
 

2019年7月8日月曜日

大江戸監察医

大江戸監察医 鈴木英治
 無宿人・仁平36。人足寄場で同心・見矢木牧兵衛に医術の腕を見込まれ、薬種問屋・和泉屋の息子・和助の治療を頼まれる。和助が介抱に向かい、仁平は大店の預かり医師として隠居所で無料医療所を開く。
 動物の死骸を置かれたり、喧嘩を仕掛けられたり嫌がらせを受ける。老舗呉服問屋の婿が舅が病で倒れ、死がすぐに訪れることを前提に金使いが荒くなり賭場で借金をこさえた。仁平が診、持ち直されると借金の返済が出来なくなるため人に頼み仁平の手を使えないようにしようとしていた。
 牧兵衛の要望で、元小石川養生所の医師・貫慮を雇うことになった。検死をすることになった。
 和助の父・和泉屋の主人・和兵衛が倒れた。顔色が灰色、顔に水玉のような斑点ができた。仁平は何を処方すればいいのか判らない。死なせるわけにはいかない。

2019年7月4日木曜日

深川二幸堂菓子こよみ〈二〉

深川二幸堂菓子こよみ〈二〉 知野みさき
 光太郎と孝次郎
 やくざ者のご用達といううわさが流れる。
 孝次郎が火事の後、世話になった母親のような人・弥代45才が亡くなる。
孝次郎は弥代に暁音を紹介する。結婚したい人として。暁音は今のままで良いと言う。断られた?
 草笛屋から太吉と八郎が追い出されてくる。王子で余一が一人でやっている菓子屋に二人が入ることになった。隣の茶店と力を合わせたり、光太郎と孝次郎が工夫する。
 光太郎に思いを寄せる吉原の遊女を好きな、草笛屋の若旦那の遊び仲間の土佐屋の若旦那松弥は光太郎憎しで、葉に縁談を嗾けたり、縁談がまとまらないと分ると、光太郎が好きな葉の息子・小太郎を勾引かす。小太郎を助け出し、光太郎と葉は一緒になる。

2019年7月1日月曜日

京都三条のホームズ・11

京都三条のホームズ・11 望月麻衣
 あの頃の想いと優しい夏休み
 序章 夏、ホームズこと家頭清貴は後一つの修業を残して夏休みに入った。円生と梶原秋人が蔵に来る。円生の持ってきた柿右衛門様式のマイセンの話。葵は焦る円生に絵を描くことを奨める。円生は2年前のことを葵に謝る。葵は謝罪にレ礼を言う。
 天の川と青い星々  清貴休みに入って三日目 蔵で店長・清貴の父・作家と清貴と葵の三人で和歌の話。小野小町の花の色は・・・。自分は衰えたと言える彼女は強い。
 清貴の高校時代の先輩が来る。永観堂へ行く。大学を卒業し、大手建設会社に就職したが仕事に行けなくなって勤続2年で退社していた。つき合っている彼女に結婚して彼女の両親のやっているペンションを再就職の場にしようかと思っている。清貴は永観堂の元の持ち主、藤原関雄の句を紹介する。奥山の 岩垣もみじ ちりぬべし 照る日の光 見る時なくて   もみじが美しく色づきながら光を浴びずに散ってしまう。我が身も世間の栄光に欲することなく世を去るだろう   
 清貴は葵をほぼ婚約者と紹介する。
 蔵のショーウインドウに 彦星に 恋はまさりぬ 天の川 へだつる関を 今はやめてよの掛け軸に、黒薩摩焼の花器に青もみじと白桔梗を生けることにした。
 月夜の宴 三ヶ月前 大丸京都店の店長が、先斗町の御茶屋「井関」で婚約の祝いをして下さった。婚約のお祝いと称した「御茶屋体験」、おもてなしのプロフェッショナルに触れる勉強会だった。
 家頭邸で「お疲れ様会」が開かれた。バルコニーで「月がとても奇麗ですね」と言う清貴に夏目漱石の引用かなという葵。日本人は「アイ・ラブ・ユウ」を「月がとても・・・」と訳せよといったエピソード。清貴は言う。前に言ったのは斎藤家の後継者選びの日だったことを告白。清貴は、 あの月に行ってみたいですね  と言う。
 似て非なるもの 蔵での「勉強会」。柿右衛門、柿右衛門様式、マイセン、シャンティイー、チェルシー、ウースター。清貴は円生にも見せたいと言う。
 宮下香織は葵に、店長・家頭武史は清貴に、店長と香織の楽しいがお互い傷付け合ったお付き合いの相手の名を伏せて話をする。香織は彼を好きだったが、異性として見ていなかったことに気付いた。心から慕い尊敬していたことが分った。店長は香織の気持ちを分っていながら楽しみたくて、異性を感じないよう振る舞っていた。
 無自覚な少女に愛を持って行動に出た、ひかるの君。心から愛していないから行動にでず、距離を取り一緒にいることを望んでいた店長。お互いが傷つけたことを悔いていた。葵も清貴も二人に、そんな人にはきっと素敵な友人がいて心を癒して貰えるだろうとアドバイスする。
 掌編 家頭誠司の憂鬱 清貴と葵が別れていた時のこと。陰気臭く、どんよりしてたまらなかった。
 円生の独白 円生の絵を贋物と初めて見破った清貴、その彼が選んだ彼女・葵が好きになる。何故あんなのから、なかなか良え子やな。心眼があり包容力がある。豪華旅行で変ってしまう葵に懸念を持つが葵は変らなかった。利休に指摘される。円生は清貴の彼女が好きなのだと。絵を描くことを奨められた日、盾にしたことを謝ったが、葵は盾にしたことに対してはホームズが止めることを分って盾にしたことを分っていた。葵に贈った誕生日プレゼントに対して、全力でホームズを煽っている。ホームズへのいろんな思いを早く燃え尽きてというように感じたという。本心を言い当てられる。ホームズに愛されて魅力的に輝く葵が眩しい。
 あの頃の想い ホームズは、葵が夏休みが終わることを寂しく思っていなさそうなのが残念に思う。葵は修業に行ってもホームズは蔵に帰ることが分って嬉しい。ホームズは円生をあずかることにした。
 葵が初めて蔵に来た時、古美術に興味があり良い目を持った大きな可能性を秘めた少女。ここで働きませんか。二度と会えなくなるに違いない。
 葵は一番弟子です。円生には譲らない。清貴は僕のパートナーです。
 北山デート 植物園の年パスをプレゼントした時の気持ち
 
一巻の私の記憶が違っている。もう一回読む。