2020年8月30日日曜日

居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯

居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯 坂井希久子
 家禄を継げない武家の次男坊・林只次郎は、飼っている鴬・ルリオが美声で鳴くためなき付けを生業にしている。
 美人女将・お妙の笑顔と素朴な絶品料理の居酒屋・ぜんやを見つけた。只次郎は妙と料理に癒され、鴬飼いの師でありお得意様であり、話し相手でもある太物問屋菱屋の隠居を居酒屋に誘う。
 ぜんやは一年前に夫を亡くした妙が一人で切り盛りし、夫の姉・勝が手伝っている。
 只次郎、菱屋の隠居、酒問屋升川屋の主人、売薬商俵屋の主人等が客になる。
 ぜんやの裏長屋に住む、駄染め屋が妙を襲い姿を消した。妙のことを調べていたようだ。
 父の上司・佐々木様一千石小十人頭から縁談の話をされる。佐々木家に頼まれ鴬を育てている関係で。只次郎は断る。只次郎は正規の話であれば父を通して来るだろうと思っている。
 

2020年8月28日金曜日

警視庁特殊詐欺追跡班

警視庁特殊詐欺追跡班 六道慧
 警視庁捜査2課特殊詐欺追跡班 通称・特サ
 片桐冴子、特殊メイク・小野千紘、武術・喜多川春菜、AIロボットがいる。上司として本郷伊都美警視が来た。
 詐欺師たちは捕まった。首謀者・天下人と思われた山本は自死した。追跡班は本当の首謀天下人は安藤ではないかと思っている。
 詐欺師たちに騙されそうだと思われたお年寄りたちは、首を吊って亡くなった友達の仇を討つために警察に通報したりしていた。

2020年8月26日水曜日

禁裏付雅帳〈十〉 決別

禁裏付雅帳〈十〉 決別 上田秀人
 闇社会で生きてきた浪を捕まえた東城鷹矢は、今上帝・光格天皇の意向を聞き、光格天皇の実家・閑院宮家に浪を預けた。宮家から禁裏の雑仕女として御所に入れる。浪を手に入れたい者は探っていた。鷹矢は松平定信から朝廷の弱みを探るよう言われているにもかかわらず、浪を江戸に送らなかった。老中の隠密・霜月織部と津川一旗、織部を殺して鷹矢は敵にまわった。津川は定信に報告し、定信は鷹矢を余が討つと言った。
 もう一人の禁裏付・黒田伊勢守の家臣が御所に仕丁に化け進入し捕まった。
 桐屋が雇った浪人が鷹矢の留守に屋敷を襲った。檜川と新しく雇った財部で守った。
 

2020年8月24日月曜日

拵屋銀次郎半畳記 汝想いて斬

拵屋銀次郎半畳記 汝想いて斬〈一〉 門田泰明
 床滑七四郎との戦いで負った深手が癒え、江戸を目指す。江戸に帰った銀次郎に、黒書院直属監察官大目付三千石という役を用意されていた。
 江戸の町に白装束の一団が現れる。銀次郎は怪我が直りきらぬうちに、将軍・家継に会う。
 銀次郎の叔父のもとに大阪から彩艶尼が、銀次郎に会いにやっ来た。

2020年8月19日水曜日

聡四郎巡検譚〈五〉

聡四郎巡検譚〈五〉 急報 上田秀人
 道中奉行副役の水城聡四郎は京から大阪に行く。多田屋雀右衛門に案内を頼む。
 江戸では、藤川義右衛門が義父・利助との戦いに勝利し、水城との戦いを始めようとしていた。水城の屋敷から聡四郎の娘・吉宗の孫・紬を勾引かす。
 大阪の聡四郎にすぐ帰るよう命令がでる。

2020年8月17日月曜日

薬師・守屋人情帳 朧月夜の怪

薬師・守屋人情帳 朧月夜の怪 青木祐子
 守屋真26才 渋谷に暮らす。師匠・桂川甫周
 朧月夜の怪 橋のたもとで怪我人を見付け家に連れて帰る。傷を縫い合わせ成功した。彼は札差で大口や差辰、女房の浮気相手を殺し、女房と逃げていることになっていた。守屋は手形を用意してやる。夫婦で会う日を決めていたようだ。だが、守屋には判った。殺されたのは差辰。男の怪我は女房にやられたものだった。女房の目的は差辰の金子。二人が会った時、女房は男を殺そうとして男が女房に怪我を負わせていた。守屋は男を逃がす。女の怪我を治す。
 七十五日目の瓦版 瓦版屋の音也がいなくなったと売り子の綾が探していた。大奥に入ることになっている如月屋の娘の素行調査をしていた。綾は如月屋で殺されたのではないかと思っていた。守屋は如月屋で音也の傷の手当てをしていた。落ちかけた中指をつなげで添え木をしていた。三ヶ月たっていた。手は少しずつ動くようになっていた。如月屋の娘は男に別れ話をし、殺されそうになったところを音也がかばい、傷つけられた。如月屋に呼ばれ守屋が手当てし、摺り師・岩太郎の世話になっていた。音也は世話をしてくれた女・伊代を女房にし、子が宿っていた。
 料理茶屋の女 
 毒を摘む 服毒死の心中死体がみつかった。守屋の所にきた子供疑似兄妹と話していて、殺しだと判った。医塾で同窓だった男が宗方に養子に行き、江戸で開業名医と評判になりつつある男。宗方聖次郎と手を組み土地を人から取り上げる生駒屋。生駒屋のことを調べていた男が心中した男だった。竹藏にやらせた。兄妹が頼りにしていた竹藏だった。竹藏は宗方に言われ、兄妹を殺そうとした。奉行所前で自首し服毒自殺をした。兄妹は助かった。親のいない兄妹を翔太の母親のところに手伝いに行かせた。調べは宗方までは行かない。

2020年8月15日土曜日

黒崎警視のMファイル 

黒崎警視のMファイル 六道慧
 警視庁幹部の醜聞が書かれた黒崎警視のMファイル。刑事部の灰嶋輝明はファイル奪取の密命を帯びてチーム黒崎に潜入する。神野の娘・麻梨絵と結婚することになっている。
 チーム黒崎のメンバー。黒崎悟郎警視、白井光彦警部補、灰嶋巡査長、阿藤幸夫巡査
 チーム黒崎では、国家未来戦略特区・新明区の最高機能を備えたマンション・ツインタワーのコンシェルジュの任務についていた。潜入捜査だった。
 新明区では、不可思議な事故、新聞記者の行方不明等事件が起っていた。臓器売買に赤子売買が行われ、血液製剤の研究のための血液のプールがあった。特区推進委員会とツイン製薬の間の脱税談合の不正の証し。委員長・木暮は逮捕された。
 灰嶋は黒崎の意向で白井警部補から、Mファイルと思われるUSBメモリを渡される。どう使うかは任せると言われた。チーム黒崎の部署・警視庁証拠品保管係。保管しているのは情報だ。灰嶋は上司・神野に渡せないでいる。

2020年8月13日木曜日

百万石の留守居役〈十五〉 布石

百万石の留守居役〈十五〉 布石 上田秀人
 加賀藩前田家当主・綱紀に越前松平家家老が会いに来る。綱昌の書いた詫び状を返してもらうためだった。詫び状は江戸に送られていた。
 加賀前田藩の反勢力が本多政長の嫡子・主殿を神輿に担ごうと近づいている。主殿は長政の隠居願いを出し、家督相続願いを綱紀に提出する。綱紀は預かりとしている。
 江戸の長政は綱吉に越前松平綱昌の詫び状を提出する。そして、自分が江戸にいる間に息子が隠居願いを出したことを報告する。綱吉から帰国が許される。
 江戸城蘇鉄の間で紀州家留守居役沢部修次郎が長政に話す。琴が嫁いでいた水野志摩介が亡くなった。跡目を弟・辰雄が継いだ。琴姫を辰雄の正室に迎えたいという。
 

2020年8月11日火曜日

わが家は祇園の拝み屋さん12

わが家は祇園の拝み屋さん12 望月麻衣
 〜つなぐ縁と満月に降る雨〜
 東京に厄神・禍津日神を放とうとする「凶星」のリーダーは、小春に西洋星術を教えてくれた川瀬だった。川瀬の父は霊力が強く、陰陽師の組織で活躍したが突然力が無くなり組織から追放され亡くなった。力が無くても陰陽師家に生まれた者は組織の幹部に納まっている。陰陽師の組織を潰したかった。千歳は禍津日神を一条戻橋に封じた藤原保親の子孫であり安倍晴明の生まれ変わりだった。宗次朗の菓子作りの師匠・谷口の父親の幼馴染み・藤原千賀子の孫だった。川瀬が千歳の力を利用していた。小春は千歳を説得する。千歳は止めようとするが、川瀬の祝詞で厄神は解き放たれる。小春と澪人と千歳が、若宮を呼ぶ。九州の大直日神、奈良の大直日神、京都大直日神のエネルギーを東京に集め天に昇って行く。
 千歳は祖母に会えた。谷口は父と和解した。小春も澪人も京都は帰る。

2020年8月9日日曜日

黙(しじま)別所龍玄シリーズ

黙(しじま)別所龍玄シリーズ 辻堂魁
 妻恋坂 龍玄七才の時、父・勝吉と「おなつの店」へ行った。龍玄は四才の十之助と遊んだ十六年後、出家した慈栄の首を刎ねた。慈栄は十之助だった。龍玄はなつに会いに行った。
 破門 龍玄は大沢道場にもうすぐ十才で入門。十二才、昌平黌に通う。十三才、元服。
 十四才の時、十九才の旗本の息子たちに嘲りからかいの稽古試合を強要され、相手に頭を割る怪我をさせる。旗本は龍玄が卑怯で愚劣な振る舞いで息子に怪我を負わしたと言う。証明のため、新番衆の使い手と試合することを求める。龍玄を痛めつけたかった。龍玄は平然としたかまえで打ち負かした。
 十六才、めったに道場へ行かなくなった。
 十八才、罪人の首打ち役の手代わり、勝吉の手代わり、試し斬り刀剣鑑定をした。
 十九才、切腹場の介添え役、介錯人をする。父親没
 二十才、百合を妻に娶る
 惣領除 龍玄は平井喜八に介錯を頼まれる。
平井喜八は嫡男・伝七郎が、同朋頭奥山春阿弥の娘・満代を手籠めにし身籠らせたことで切腹させられた。伝七郎の否認は無視された。その後、満代の相手が市村座の役者だと喜八の耳に入った。真意を確かめ伝七郎の満中陰の法要を終え、春阿弥を討った。屋敷に帰り、龍玄の介錯により切腹。妻・文乃は喜八の書状と喜八病死の届けを出す。
 喜八病死。二男・和之介が平井家を継ぎ出仕が決まる。
 春阿弥の嫡男が同朋見習い、娘は落髪し出家が決まった。
 十両首 烏金の金貸しお庫が、龍玄を訪ねてくる。身体が大きいだけが取り柄の十二才年下の夫が牢にいる。たぶん打ち首になるだろうから龍玄に頼む。怖がりだから暴れると思うが、私がさよならと言っていたと伝えて後のことは任せてと言って大人しくさせて楽に逝かせてやってほしいと願った。
 夫・郡ちゃんは元侍・竹下郡次郎。郡ちゃんは龍玄から庫の言葉を聞き、お庫さあーんとよんで首を刎ねられ死んだ。庫は大枚を叩いて郡ちゃんの首を貰い、弔った。どちらが先に死んでもさよならを言って弔う約束だったと言う。

2020年8月7日金曜日

湯島天神坂お宿如月庵へようこそ

 湯島天神坂お宿如月庵へようこそ 中島久枝
 プロローグ 梅乃15才 姉・園と二人暮らしだったが、園が働いていた油問屋から出火した火事で姉は行くへ不明となる。如月庵の女将・松に誘われ如月庵で働くことになる。
 悪戦苦闘の部屋係 はじめての部屋係の担当は幽霊を書こうとしている画家・遊斎だった。見た物しか書けない遊斎に奥さんの亡くなる寸前を書いた絵。奥さんの残してくれた絵を描いた。
 雪に涙の花嫁御寮 明日祝言を挙げる花嫁・琴一家が一泊する。男・幸太郎は前の許嫁・千香と付き合いが続いている。琴は千香を呼んだり、真っ白の掛け下着を汚したりする。子供の頃からの女中に諭され、素直な気持ちで祝言に臨んだ。千香にも迎えに来た男がいた。所帯を持つことにした。
 和算楽しいか、苦しいか 十才の源太郎は叔父真鍋宇一郎の所に養子に行く。和算が大好きな源太郎だが、和算を封印される。梅乃は真鍋に和算をさせてやって欲しいと頼むが、真鍋には考えがあった。源太郎は諭され、納得して真鍋の家に行く。
 一人寂しい、河童の子 孫が見付かったと喜んで食事に来た薬屋・小川堂の連れてきた孫は、梅乃と一緒にお救い小屋で過ごしていた鮒吉だった。小川堂の孫とは元々は娘で三十年の前の話だった。みんな鮒吉が孫でないことは承知だった。鮒吉は知らなかった。小川堂が、働く場所を紹介してくれた。鮒吉は園らしい娘がいるところを教えてくれた。
 エピローグ 鮒吉が教えてくれたところに園はいた。園と同輩の篠の介護をしていた。篠は好きな人のために店の裏口を開けたため、盗賊に押し入られ火を付けられ皆亡くなったことに耐えられず心を病みしゃべれなくなっていた。園は隠れて助かり篠を助け出した。盗賊の一味・篠が好きになった佐吉が園を探し回っていた。もう捕まると言うところで町方に取り押さえられる。梅乃の先輩・紅葉も如月庵に来る前、篠とおなじだった。紅葉は人に知らせ盗賊が捕まった。逃げた佐吉に追われていた。
 園は篠の世話をしながら、医師の手伝いをしている。梅乃は如月庵で部屋係をしている。
 

2020年8月5日水曜日

新・居眠り磐音④ おこん春暦 

 新・居眠り磐音④ おこん春暦 佐伯泰英
 妹と姉 おこんが今津屋で働く前。黒羽藩からやってきた山守が、藩の材木を作事奉行兼山奉行が材木問屋常陸屋へ横流ししていることを藩の重役に知らせに来た。金兵衛長屋に住む。町奉行所、公儀目付けを巻き込み黒羽藩の重役に知らせる。
 跡継ぎ おこんと由蔵の出会い。今津屋で働く一年前。
 一年後、由蔵の息子と名乗る男が現れる。

2020年8月3日月曜日

女だてら

女だてら 諸田玲子
 秋月黒田藩は、本家黒田藩からの言いなりにならないよう次期藩主を擁立使用としている派と、本家の言いなりでえ構わないと思う派閥に分かれていた。次期藩主の若殿の奇妙な死、藩主の病気。
 前藩主に用いられた儒学者・古処。政変があり、免職になる。息子・白圭も病気になり致仕する。娘・みちは、先代の正室・慈明院の頼みで、弟・瑾次郎の名で京へ行き、江戸へ行く。
 慈明院の姪・三条家の正室眉寿姫・紀子に会い、内大臣三条公修に封書を渡す。井伊掃部頭にあて一筆書いてもらう。公修の母親は井伊家の姫だった。
 慈明院は、眉寿姫の弟・土佐山内家の勘解由を秋月の養子にしようとしていた。
 三条公修の封書を持って江戸へ行く。兄の友人・若年寄本多遠江守正意の家臣・石上玖左衛門に助けられ、水野越前守忠邦の密偵にも助けられながら江戸へ着き、井伊家に封書を届ける。


原采蘋
葉室麟 秋月記