2020年12月28日月曜日

若鷹武芸帖⑥ 黄昏の決闘

 若鷹武芸帖⑥ 黄昏の決闘 岡本さとる

 剣友・火盗改方同心・大沢要之助の頼みで居合の達人を探す。辻斬りが居合を使う。

 別式目の鈴が訪れる。居合を教える。鈴が船津家の中倉田之助を紹介してくれる。居合の技は見事だったが、病で亡くなる。故郷から江戸に来た父親・中倉平右衛門から居合を教わる。平右衛門は息子の残した書き付けから、船津家からの命令をし残したことが判った。国許で目付を斬った男が江戸に潜んでいる。男を斬るということだった。平右衛門が後を引き受ける。その男は辻斬りだった。

 大沢の調べたことを参考に男を見付け斬る。平右衛門は昔、同じように人を殺してしまった過去があった。今回は傷付け動けないようにした。船津家の国家老からの助っ人が男を殺す。男は、国家老や重職の使い込みを知った目付を国家老に頼まれて斬った者だった。助っ人は男に何も言わせないで斬るために来ていた。

 船津家の殿様は国家老を永遠蟄居にした。

 中倉平右衛門は編纂所に逗留した。

2020年12月27日日曜日

若鷹武芸帖⑤ 二刀を継ぐ者

 若鷹武芸帖⑤ 二刀を継ぐ者 岡本さとる

 公儀武芸帖編纂所で二刀を調べることになった。かって松岡大八は宮本武蔵に心酔し二刀流・円明流を追求していた。十年前、道場が寂れ閉めざるをえなくなり松岡は廻国に出た。稽古に没頭し娘・千代が池に行ったことを把握せず、沼地で見つかった千代は発熱し、身罷った。ために妻・八重と離婚したという経歴を持つ。

 大八は最後まで残った二人の門弟を探す。一人目、桑原千藏は、町人のまとめ役のようなことをしていたが、八重が働いている義弟の医者の難儀を救うため内緒で働き足に傷を負い、今では博打場の下駄箱係をしていた。千藏を救い出し書店を開く。

 二人目・小谷長七郎は二刀流を極め旗本の元で闇試合を行っていた。大八と試合することを願ったが、闇試合に敗れた者の弟との試合で半弓に狙われ怪我をする。鷹之介たちの前で試合には勝が、右腕は元のようにはならなかった。武芸帖編纂所は長七郎から二刀流の修練をきくことができた。今度は片手で立合える新たな道を探るという。

 大八は妻とも会った。娘・千代の墓に参った。

2020年12月26日土曜日

若鷹武芸帖④ 父の海

若鷹武芸帖④ 父の海 岡本さとる

 新宮鷹之介は若年寄・京極周防守から水術に目を向けるよう言われる。鷹之介は泳ぎができない。克服するため誰にも言わずに一人で練習する。水に慣れてきた頃、溺れる。助けてくれたのは海女の光だった。光は両親がいない。両親の所為で村人と付き合いづらくなり、網元に場所を確保され海女で生活していた。光に教えられ泳げるようになった。

 水術の編纂のため、水軒三右衛門の知りあいの、水術指南を夢見て釣具屋を始めた岩藏に会う。白波流水術。鷹之介は岩藏の教えで子供も頃からの海への教えを振り払われた。

 岩藏は水術教授をし、発熱し動けなくなった。そんな時、京極周防守が文書が見つかり佃島の沖合に二万両が秘匿されていると書かれていた。二万両を見つけて欲しいと頼まれた。岩藏が動けないが息子・ 沖之助が岩藏の考えた足ひれや水松明等を使って協力する。光も総動員で探し出す。引き上げの日、二万両を狙う者が現れる。鎖鎌の小杉杉蔵、手裏剣の春太郎こと富澤春の協力を得て、守り抜いた。

 二万両は嘘だった。幕府内の奸物を尾引出す囮だった。側衆・長妻伯耆守は捕まった。

 光を岩藏の水術を継ぐ者とし、編纂所預かりになり編纂所の女中になった。

2020年12月25日金曜日

若鷹武芸帖③ 姫の一分

若鷹武芸帖③ 姫の一分 岡本さとる

 公儀武芸帖編纂所頭取・新宮鷹之介は将軍・家斉から大奥の女中たちの薙刀指南ができる若い 女子を探すことを命じられる。

 二年前、九州の五万石の大名・藤浪家の十八才の姫さまが、殿様を篭絡し専横を極める江戸家老を御家に巣くう奸賊として薙刀で三人を誅殺するという事件があったことを知る。家は断絶した。姫は家斉の指図で自儘にしている。武芸帖編纂所のみなで姫を探すことにした。

 姫は家臣が始めた植木屋にいた。姫の閉ざした心を徐々に開けていく。姫を仇と狙う家老の親戚筋の男が姫を勾引かす。卑怯な試合を挑むが現れた新宮鷹之介により公平な試合となり姫が勝つ。姫は赤坂丹後坂の武芸帖編纂所に行く。家斉の御前で演武を披露し、知行三百石で大奥の女中達への武芸指南をすることになった。

 もともと家斉は鈴姫を引き立てる目論見だったようだ。

2020年12月24日木曜日

もっと知りたい源氏物語

もっと知りたい源氏物語 大塚ひかり

源氏物語を通して平安時代を知ろうと言う感じ。 

2020年12月18日金曜日

介錯人・父子斬日譚④ 剣鬼攻防 

 介錯人・父子斬日譚④ 剣鬼攻防 鳥羽亮

 一刀流道場を構える練達の青山庄兵衛が闇討ちに遭い袈裟懸けの一刀に斬り捨てられた。廻国修業から戻った嫡男の源之助が跡を継いだ。源之助は狩谷桑兵衛に助太刀を願った。桑兵衛の嫡男・唐十郎と師範代・本間弥次郎は源之助らと交流しながら仇を探す。

 闇討ちしたのは青山道場の近くに道場を建て直す杉浦道場の道場主の意向で師範代と食客の二人だった。道場主は仇討ちとか言われない前に青山源之助を殺そうとした。

 唐十郎等は杉浦道場の三人を倒す。杉浦道場は潰れた。

2020年12月16日水曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう ⑦ 

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう ⑦ 山本巧次

        妖刀は怪盗を招く

 貧乏長屋に小判が投げ込まれる。十手持ちのおゆうこと現在人の関口優佳は、鼠小僧の仕業かと思う。南町の鵜飼伝三郎は旗本四千五百石の久松丹波守の用人から、金二十両と村正の脇差を盗まれたと相談を持ちかけられる。優佳は現在で村正のことを調べる。宇田川も江戸にやってきた。

 鳶の角太郎は好きな春江が借金に困っていることを知り、春江の父親が使い込みを疑われ追い出された下野岩船藩に盗みに入り金を盗み春江の長屋に投げ込んでいた。久松家にも入っていた。四家に盗みに入っていた。犯人は分かったが村正は返ってこない。村正を追いかけ、調べる。

 角太郎が岩船藩に盗みに入るように春江の父・小橋紀右衛門に誘導されていた。久松丹波家の村正を盗むよう頼まれたのだった。小橋は金と仕官を手に入れようとしたが、殺され脇差を奪われた。宇田川の調べで蕎麦粉が見つかったことで粉挽き小屋を調べに行ったおゆうは小屋に閉じこめられる。おゆうは宇田川に助けられた。小屋は粉塵爆発が起きる。小屋跡から脇差、その他盗まれた物が見つかり故買商品の隠し場所だったことが判る。

 武家屋敷から盗まれたと届けがないため角太郎は放免されるが、江戸追放になる。父親の行状を知らされないまま春江は角太郎と名古屋へ行く。

 伝三郎は、おゆうが、自分がいた昭和二十年より未来から来ていることは判っている。宇田川も同じだろうと考えている。探るのは宇田川の方が尻尾を掴みやすいかもしれないと思う。

 角太郎の見張りをし、捕まらなかった二助は、同じ鳶だから自分にも出来るだろうと武家屋敷を襲って金を恵んで歩く角太郎の真似をしようと忍び込みの腕を磨こうと思った。本名の次郎吉・鼠小僧次郎吉の誕生だ。

2020年12月14日月曜日

お紗代夢幻草紙 鬼呼の庭

お紗代夢幻草紙 鬼呼の庭  三好昌子

 明和五年 1768年

 韓藍の庭 丁字屋の寮の隠し離れの鶏頭の庭の鶏頭を切り倒した。亡くなった長男・市松の意を聞き紗代がやった。紗代は庭師「室藤」の一人娘だった。丁字屋には市松、岩松兄弟と母親との蟠りがあった。市松は自分の宝物・柿の木の根元に埋めた岩松から貰った独楽を紗代にあげると言った。

 時迷の庭 明和六年 如月 備前屋の持ち家の庭から石を運んできた。備前屋の孫娘・珠がいなくなった。庭を作った紗代の今は亡き祖父と話し、庭から運んだ石を庭の橋の上に置く。祖父が言う通り川に飛び込み珠を見つけるが、珠は子供たちと楽しく遊んでいる。珠を抱きしめ川に飛び込む。無事備前屋の庭に帰った。

 人恋の庭 「庭封じのお紗代」と言われた。好古庵の隠居が庭が怖いと言って借家の借り手が出て行くと言う話をする。庭を見た紗代は、昔ここに住んでいた雪華堂の娘・梅を連れてくる。時期を過ぎた梅に白い花が咲く。梅は必ずここを買い戻すのでこの家を売らないでと頼む。

 魂消の庭 殺生屋敷の庭、柳が人を取り込む。紗代は命がけで柳を切った。紗代は雌株の枝と雄の若木を持ち帰った。柳との約束を守った。

 鬼呼の庭 室藤を継いで貰いたい清さん・清造の好きな女・蔦は、庭師をやめるように言う。紗代は鬼呼の庭で蔦の母・希久と会う。鬼とは亡くなった人の魂のこと。蔦が庭師を嫌う理由を聞く。希久は庭で怪我をして亡くなった。希久は木から落ちた蔦を庇い怪我をした。蔦の看病をしているうちに自分の怪我が悪化して亡くなったということを蔦に伝えた。蔦と一緒庭師「空木屋」の一人息子・源治が紗代に結婚をもし込む。鬼の庭の主・江様が亡くなった。

 言祝の庭 清造が蔦と祝言を挙げ室藤を継ことになった。紗代には岩松からの縁談もあった。紗代は鬼呼の庭の主になって欲しいと頼まれた。江様の孫・千勢があとを継げるようになるまで五年、あの世とこの世の境目を仕切って欲しいということだった。まだ力が足りない千勢と友達のいない千勢とこの庭を守ることにした。

2020年12月12日土曜日

長屋道場騒動記〈八〉 迷い熊笑う

 長屋道場騒動記〈八〉 迷い熊笑う 芝村凉也

 十河藩は、前藩主の隠し子・耕太郎の娘と思われている恵比寿屋の娘・君の取り込みを失敗っている。三嶽藩主の四男・頴志郎は十河藩に養子に行くつもりになっていたが、娘が現れ破談になることが許せない。恵比寿屋の君を見に行き、十河藩に君との婚姻を申し込む。大名と大名の婚姻となれば、千葉英次郎も手出しが出来ず、生馬たちは困ってしまう。

 耕太郎の隠居所で働いていた女中が見つかった。耕太郎の隠居所が武士団に襲われ、用人と奥女中の関夫婦が殺され、残った女の子が君だと判った。君が用人夫婦の子だと奉行所の記録に残し、藩主の血縁でないことがわかり収まった。収まらない三嶽藩の頴志郎は千葉道場に出入りする者を襲う計画を立てる。乳兄弟の側近により兄・藩主に連絡され座敷牢のような監視と拘束の中での生活になることになった。

 間野生馬が隠居所を構える前の隠し子ではと疑惑がわく。生馬は十河藩の御為派・江戸家老と上屋敷用人と御国派・相談役の老人と御納戸頭、千葉栄次郎と反町同心、恵比寿屋親子を集め、自分は十河藩の誰とも血縁でないと言った。名乗りを挙げても証明するものがなく騙りと言われるだろうということになった。十河藩の江戸家老、上屋敷用人は役を返上し、国許へ帰った。相談役は隠居した。東国の小藩から養子が来た。

 君は、生馬には前に生馬から借りた母親の形見の懐剣があることを思い出した。本当は血筋ではないかと思ったが、生馬はそれを選ばなかったということだ。



2020年12月10日木曜日

早房希美の謎解き急行

早房希美の謎解き急行 山本巧次

 遮断機のくぐり抜けは大変危険です 遮断機が下りているのにくぐり抜けしていると思われるブザーが、黒岩4号踏み切りで作動する。障害物検知装置がさどうするたび、運転手は電車を止める。毎回夜九時。四回五回と重なるうちに運転手は機械の誤作動と認識し電車を止めなくなる。武州急行鉄道の営業企画課に勤務する早房希美は現場の検査に立ち会う。大きな犬が通っていた。元警視の祖父に相談する。交番巡査と一緒に現場を張り込み、甥が電動車いすの伯母を事故死させようとすのを阻止した。

 雨の日はお足元に充分ご注意下さい 駅横の階段から落ちた男が、駅員に突き落とされたと言った。希美は調べる。大手印刷会社に勤めるサラリーマンが、不倫を疑われた妻に背を押された事件だった。希美は夫脱サラして小規模印刷会社を買おうとしていることを知り、相手の女性と本人と妻を合わせて話しをまとめる。

 危険物の持ち込みはお断りしております ストーカー被害を訴えた女性。上司からの別れ話の果てだった。女性は人質を取り車両に立てこもる。運転手と車掌の機転で取り押さえられる。

 痴漢は犯罪です 痴漢のされた犯人のあっさりさに疑問を持った希美は、その時間にあった不動産会社の三千万の金庫破りの犯人だと思った。不動産会社のある駅に痴漢犯人の逮捕のため止めていた覆面パトカーのカメラに写っていると思った希美は、祖父に話す。希美の考えた通り、あっさり痴漢を認めた男がリュックを背負って不動産屋から出てくるのが移っていた。希美の思った通り、近くのコンビニから三千万を実家に送っていた。

 特急のご乗車には特急券が必要です 特急券を持たないでのる女性と特急券を二枚買って乗る男性。三十分違いの特急で、三回もあったことを聞いた希美は興味を持つ。希美も同じ切符を買って乗る。男の隣の空いた席に掏摸が来て逮捕される。ずっと動きを見ていた希美は参考人。そして男性と特急券の話をして女性と合わす。五年前からだとダイヤ改正があったため二人は違った列車に乗ることになってしまった。

2020年12月9日水曜日

紅雲町珈琲屋こよみ⑧

 紅雲町珈琲屋こよみ⑧ 初夏の訪問者 吉永南央

 紅雲町で親切な人と評判の五十過ぎの男が、小蔵屋に来て「良一です」と名乗った。村岡家の女中だった丹野キクの息子・学として育ったという。草は詐欺を疑った。

 草は一ノ瀬と一緒に米沢へ行く。草はキクに会う。キクは学がぐれた時、芸術を愛する両親の息子ということを彼の支えにしたことを話した。学本人には草が実母ということは、本当のことだった。キクは息子に本当のことを話した。学から謝りの電話があった。

兄が宇佐木眼科、弟が薬局を開いている兄弟だが、弟がアル中だった。弟が小蔵屋で何かする度に兄が謝りに来る。草が亡くなったという誤報を読みショックを受けた弟は、草の引き裂いた着物の片袖を額に入れ新潟の病院に入院した。

一ノ瀬と久実は、知人のマンションを一年借りることができた。一年のお試しになっている。一ノ瀬は久実に内緒で実家の仕事を助けている。久実は山に行っていると思っている。

小規模マンションの一階に店を構えるもり寿司は、客が減り、怪しげな会社や団体の販売や集いに利用されている。子供を宿した妻・江子は店を辞め、一階に内科と眼科クリニックが入るマンションに変えた。

戦争画を描いた父親を恥ずかしいと感じていた石井は、長野のに引っ越したが、もりマンションに入りたいと連絡してきた。江子が別居していた部屋が空きしだい帰ってくることになった。


2020年12月5日土曜日

江戸は浅草〈三〉 桃と桜

 江戸は浅草〈三〉 桃と桜 知野みさき

 桃と桜 真一郎に人殺しの疑いがかけられた。疑いを晴らしながら、高利貸しの二重取り立てをさせていた商家を暴く。

 花残月 京都の錠前師・忠也が守藏の弟子になりたいと訪ねて来る。真一郎は商家の内儀の浮気を調べていて、一年に一ヶ月蚊帳を売りにいい男・弥彦が来ることを知る。弥彦は五年前、言い交わしていた結が借金の穴埋めのため商家に嫁いだことから近江の蚊帳作りの職人になっていた。結を近江に連れて行こうと一年に一月、江戸に来るが、結は会ってもくれない。今年で最後と思っていたが、真一郎は、来年なら結はだれにも迷惑が掛からず近江に行けるようになると言う。次の卯月も来い。弥彦は忠也と帰って行った。

 掏摸たち 親子の掏摸と知り合う。真一郎は掏摸を止めさせようとするが、母親・のぶは捕まる。病気でもあった。娘・苑は掏摸をしていないと訴える。のぶは止めよう抜けようと思うが抜けられなかったと言う。

 青行灯 百物語の会をすることになった。真一郎は用意をしながら多香を助ける。多香は昔なじみ・志乃の夫・太輔と子供の仇討ちを助けようとしていた。多香は伊賀ものだった。志乃は太輔を騙し、利用し殺し、志乃を殺しに来た酒問屋巽屋の隠居・善次郎を狙っていた。志乃は助かったが、お腹の子供は死んだ。善次郎は佐渡金山から金を盗み、大阪へ、大阪から酒樽仕込み江戸へ、江戸の反幕派に渡していた。善次郎は佐渡にいた。志乃に子供が出来た時、抜けようとし殺された。真一郎は殺すことを考えないで捕まるように考える。あるという連判状を探し、太輔が残した証書を用意し、家中の者が、野次馬が集まり、大騒ぎになるよう事を起こした。おびただしい血、白骨そして連判状に、金の横流しの証拠。志乃の仇討ちは終わった。志乃を助けてくれた夫婦の元に帰った。百物語も成功した。

2020年12月3日木曜日

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣 辻堂魁

 唐木市兵衛は、大店両替商「近江屋」から、蟄居謹慎のお咎めを受けている川越藩勘定方の村山永正が改易になれば、永正と家族を江戸に連れてきて欲しいという依頼を受けた。

 近江屋の若主人と母親は二十五年前に川越藩で上意討ちになり改易になった堤連三郎の家族だった。上意討ちに合い、傷を負った連三郎を助け、家族を江戸の商家に預けたのも村山永正だった。連三郎は家族と一緒に暮らすこともなく人足として働き一生を終えた。家族は近江屋の妻・季枝となり若主人・隆明となった。連三郎の死を知らされた季枝は、村山の現状も知った。川越藩・松平大和守は、転封を希望していた。そのために家斉の息子を養子にしたいと借用金を増やしていた。村上はそんな藩主に意見を言い、不興を買い蟄居閉門となっていた。

季枝は昔の恩を返すべく市兵衛に頼んだ。

市兵衛と宰領屋の矢籐太が川越に行く。娘・早菜と話しをする。謹慎が解けた村山は城で上意討ちに合う。大怪我を負って帰った永正は、得度を受け亡くなる。早菜を連れ江戸へ帰る。

追う必要はないという藩の命令に従わない横目たちが立ち塞がる。堤連三郎を上意討ちしようとした菅留吉等だった。市兵衛が倒し、江戸へ行く。

 北町奉行所定町廻りの渋井鬼三次は、息子・良一郎が五才の時、離婚し良一郎は母親・藤が引き取った。藤は良一郎が八才の時、老舗扇子問屋伊藤屋に再縁した。良一郎は伊藤屋の跡取りと決まっていたが、良一郎は渋井の跡取りになりたいと言い始めた。渋井は伊藤屋の文八郎に相談する。文八郎は夏が終わるまでの猶予を願う。

2020年12月1日火曜日

京都寺町三条のホームズ15

京都寺町三条のホームズ15 望月麻衣    

  〜劇中劇の悲劇〜

円生は世界の富豪が認める画家になった。小松探偵事務所の二階に下宿することになった。円生は絵を描いていない。

葵は陶芸を始める。ホームズへのマグカップ。ホームズと円生の湯飲み。葵の演出で円生の展示会を開くことになった。 

女流作家・相笠くりすが、昭和初期の京都を舞台に清貴と秋人をモデルにした小説を書いたと原稿を持ち込む。エラリー・クイーンの「Yの悲劇」を基にした「華麗なる一族の悲劇」だった。清貴が探偵で秋人が書生。ホームズは感想で、葵さんを登場させて欲しいと言うが、くりすは探偵は孤高でクールであってほしいと思っている。

2020年11月29日日曜日

お宿如月庵へようこそ②

湯島天神社お宿如月庵へようこそ② 三日月の巻 中島久枝 

 梅乃は桐生の織物問屋京屋の主人と妻と息子の部屋係。息子・桑吉の想い人に会うために梅乃は豆腐のカワウの料理を食べる。カワウの女将にここを離れられないと言われた。息子に好きな人がいると知った母親は父親を動かし、息子のカワウの女将との縁談を調えてくる。

 漬物屋丸吉屋の女将が気晴らしにくる。梅乃は女将の気晴らしを考える。亡くなった母親の面影を追う女将。小茄子の漬け方を板前に教わり、母親のやり方に縛られていた自分を知る。私のやり方をしてもいいのだと思えた。梅乃が連れていった寺で、母はおまえの好きにやってごらんと伝えたかったのだと思えた。

 犬を育て売る仕事をする献市が泊まる。犬は狆だ。生まれて二ヶ月の子犬と親犬を連れている。親犬の飼い主に預かり二年たった。返す日が迫り会うために如月庵に泊まっている。約束の日が過ぎても会いに来ない。梅乃は山崎屋の妻に会いに行くが、、山崎屋にも寮にもいない。東慶寺から帰った山崎屋の奥様と会えた。どこにも行くところがないと言う奥様を献市は葛飾に連れて帰った。

 太田屋のおかみ銀がお客様。昔の友達と会うために泊まっている。悪い男に騙され売られるところを助けてくれた友達だった。浜は錺職の親方と一緒になったということだったが、職人だった。怪我をして働けないでいる。会いに来ない浜の代わりに、亭主が金を借りにやってくる。追いかけてきた浜に銀は亭主の悪口を言う。浜と銀はけんか別れする。梅乃は、縁が切れたら淋しいですよと宥める。梅乃は浜を訪ね、子供を連れてもう一度会えと進める。二人は言いたいことを言い。いつでも境遇が変わっても胸にあんたのことはあると言い合う。

 桔梗が篠沢涌衣だったころ二十年前、ちゅう兄と慕った染井忠輔が、屋敷に火を付けられ奥様はさらわれ、自分たちは守継様を守って屋敷を出江戸へ来た。と藩主勝正の嫡男を連れてくる。熱を冷まし元気になったころ、梅乃と紅葉が遊び相手になる。梅乃は守継のことを調べているいる者を突き止め、桔梗に話す。桔梗は蔦野喜十郎に会い話を聞く。守継をさらったのは忠輔だった。喜十郎を連れて来た。忠輔は守継を人質にする。蔦野一族を憎くないか。父や兄の恨みをはらしたくないかと言う。桔梗は昔に戻れない、誰にも今の暮らしがあると言う。板前杉治が投げ矢を放ち守継は桔梗が助けた。守継は帰った。

2020年11月28日土曜日

いちねんかん 

いちねんかん 畠中恵 

 長崎屋の主・籐兵衛と女将・たえはおきの・たえの母ぎんの招待で別府温泉に行く。

 若旦那・一太郎が、色々小袋に入れ取り合わせた藥袋を売り出したらどうかという案を出した。大番頭の忠七が大乗きで話を進めた。町名主の手代に五十両を持ち逃げされた。手代の行き先は突き止められるが、若旦那は表沙汰になると余所に迷惑が掛かることになるので、持ち逃げされたことは終わりとする。藥袋は作るつもりだ。

 京の十丿川屋の番頭が、紅餅の買い付けに来た。貧乏神・銀次が番頭は偽物だと見抜く。番頭は偽の送り状で着いたばかりの紅餅を余所に送ってしまう。長崎屋の者が荷を追うが、荷は長崎屋の手を離れていた。若旦那は紅餅をあきらめ、偽番頭の手に渡るのを防ぐため川に荷を沈めろと背中を押した。

 西から江戸へ疫病が入ってきた。長崎屋には「香蘇散」という疫病に効く藥がある。長崎屋に疫鬼達が来た。疫病神が来た。疫鬼は自分たちが疫病を流行らせたと言う。疫病神は自分が運んできたと言う。若旦那を殺した方が正しいということでやり合う。鳴家たちは大国主命に助けを求める。大国主のところに来ていた大禍津日神様が長崎屋にやってきて疫鬼と疫病神を連れて行った。大禍津日神様こそ日の本全ての災いを統べる方だと言う。

 大阪の薬種の大店・椿紀家から親交を深めたいと申し出があった。本店椿紀家の娘婿を選んで欲しいと言われる。椿紀家の若旦那は疫病で亡くなった。次に罹った娘は、長崎屋の藥を飲んで助かったのだった。候補は大阪両替椿紀家の次男、京紅椿紀家の次男、京の薬種椿紀家の四男だった。若旦那は江戸両替商椿紀家で、一緒に住み、選んだのは京の紅椿紀家の三男・昌三だった。昌三は江戸椿紀家で奉公していた。

 もうすぐ二人が帰ってくると頼りがあった頃、長崎屋に押し込みが入る。佐助と二吉が離れに閉じこめられた押し込みの上に天井板を落として捕まえた。

二人は帰って来た。


 

 

 

2020年11月26日木曜日

新酒番船

 新酒番船 佐伯泰英

 海次18才は、丹波杜氏四代目頭司の父に倣い、灘の酒蔵・樽屋の蔵人見習いとなったが、海次の興味は酒造りより新酒を運ぶ新酒番船の競争にあった。幼なじみの小雪が兄と結婚することに決まったことも切っ掛けになった。新酒番船三井丸に隠れて乗り込むことに成功した。丹波の山を駆け回り足腰がしっかりしていること、木に登れ遠目が利くことが幸いし、新入りとして働く。弓矢を使い、海賊船に襲われている新酒番船を助けることも出来た。最後には、砂浜を走り前を抜き一位で切手を渡す。「惣一番」になり海次は水夫になる。小雪と兄の祝言は延期になった。海次が三井丸で西宮に帰った時、小雪が迎えに出ていた。

2020年11月18日水曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵 

 加筆修正とあったが、どこが加筆でどこが修正されたか分からなかった。

2020年11月17日火曜日

料理人季蔵捕物控㊴

料理人季蔵捕物控㊴ 伊勢海老恋し 和田はつ子

 季蔵は町奉行烏谷に頼まれ伊勢参り御膳、羽州の旨い料理膳を考ええる。

 瑠璃と季蔵は鷲尾家の影守の信奉者から命を狙われていた。影守亡き後、引き継いで闇の社会で暗躍していたように思われていた森山主水は、鷲尾家の今後を考え、生きる道を付けていた。

 伊勢参りに行く途中で立ち寄ったことにして羽州から、下山藩の家老の娘と大商家三田家の娘が江戸に阿附蓉を運んできた。季蔵は伊勢参り御膳でもてなす。

 幕府の阿片輸入の江戸の窓口になる。鷲尾家の先代・影親の長崎奉行時代の潔癖さを見込まれていた。森山は 闇社会の横流し等の横やりに巻き込まれないよう戦っていた。家臣の貧乏との戦いの目くらましに二人は使われたが、鷲尾家に一任されることで二人は解き放たれた。


2020年11月16日月曜日

新・秋山久蔵御用控〈八〉 偽久蔵

 新・秋山久蔵御用控〈八〉 偽久蔵 藤井邦夫

 偽久蔵 秋山久蔵を名乗り、如何様の賭場荒らしをし金を巻き上げる。悪質な質屋で安い質草で高い金を請求する。偽久蔵は久蔵の少年時代の知り人・黒木宗一郎だった。久蔵の名を語り恐喝している場に踏み込まれ久蔵に斬られる。手当てを受けたが食事を拒否し死んだ。黒木は、誰にも媚び諂わず誰とでも拘りなく付き合える秋山を羨ましく思っていた。

 家の恥 旗本二千石の次男・葉山孝次郎が殺された。孝次郎は奉公人と一緒になったため家の恥と勘当されていた。葉山家から誰も来なかった。茶屋をしているさきが葬式をする。孝次郎を殺したのは葉山家の若・京一郎だった。強請集り、町娘の付き纏いをする京一郎を諌める孝次郎を殺したのだった。呼びつけた葉山兵庫に久蔵は家の恥は京一郎だったと言い放つ。京一郎は切腹、兵庫は隠居、家禄は半減、京一郎の弟が家督を継いだ。

 恨み節 弥平治が二十年前に捕まえた原田伝七郎が八丈島で死んだ。情婦のつたが伝七郎が死んだら弥平治を殺すと言っていたため、つたを探す。つたは死んでいたが、二人の娘が髪結いになって弥平治を狙っていた。母親の願いを叶えてやるのが親孝行なら、供養を続けるのも親孝行だと諭す。

 隠し顔 太鼓持ちが殺された。薬種問屋の主・伝次郎が御家人の妻と出会い茶屋で会っているのを見たため殺されたと思われたが、妻は死病の夫のため阿片を手に入れるため伝次郎とあっていた。伝次郎は太鼓持ちに強請られ、殺した。御家人の妻も殺そうとして捕まった。久蔵は阿片を妻に返す。御家人が死んだ時、妻も胸を突き自害していた。

2020年11月15日日曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊾

 風烈廻り与力・青柳剣一郎㊾ 母の祈り 小杉健治

 五年前、奉行所は盗賊鈴鹿一味の塒を急襲。頭の伝蔵は自ら娘を斬り火を放って死んだ。からくも逃げおおせた手下の扇蔵は一味を再興させた。江戸にもどり一千両を奪った。仲間が次々に刺殺される。

 五年前、盗賊一味を密告したのは、頭の伝蔵だった。娘の母を身代わりに殺し、娘を自由にした。娘は南町定町廻り同心・坂上吹太郎の妻・静になっていた。扇蔵たちは密告者もさることながら、頭を追いつめた坂上を殺そうとしていた。静は夫を助けるために扇蔵の仲間を殺していた。

 捕まって刑場に向かう扇蔵に青柳はすべてを話す。青柳は静を鎌倉の尼寺に送った。静のことは報告していない。真実をねじ曲げた。

2020年11月14日土曜日

おとなりの清明さん 第七集 

おとなりの清明さん 第七集 仲町六絵
〜陰陽師は水の神と歌う〜
 京都の結界の乱れを抑えるために貴船神社の高龗神に頼む。清明は雫龍を育てる。
 菅原道真が来る。道真と一緒に、渡唐天神が来る。渡唐天神は力が弱くなり、自立して歩けない。名水を求めて伏見稲荷へ行く。渡唐天神は桃花の手のひらで御香水を飲み力が戻ってきた。雫龍は大きく成長した。
 
 千本えんま堂に行く。帰り、桃花の今様で百日紅の咲く量が増える。

 桃花は清明さんに恋いしていることを感じた。
タカオカミノ神に頼まれ「君が愛せし」を清明と歌うことになった。
神坂雪佳の筆の付喪神を見つける。本体はお焚き上げになるが魂は弁財天の社にいくことになった。

 桃花は大学を受けるための画塾のテストを受ける。
 清明から度々、自然を教師とせよと言われる。
 清明と共に歌い夏のさきがけ祭を行う。
タカオカミノ神だったのが、高龗神になった。

2020年11月11日水曜日

向島・箱屋の新吉

向島・箱屋の新吉 小杉健治

 新吉は、向島で芸者・葉の箱屋をしている。目をかけてくれている料理屋の主人が首を吊った。現場に手ぬぐいが落ちていたことから他殺として調べる。

 新吉の本当の名は油木新次郎。仙北藩近習番士。八年前、剣は強く学問も出来たが、吉原の花魁・小紫と親しくなり浪人になった。小柴に熱を上げた旗本の次男・幡多忠次郎と仲間が新次郎を襲った。新次郎は相手を斬り伏せ江戸から逐電した。三年後、小紫は身請けされそうになり自死した。

 南町定町廻り同心・梶井扇太郎は三人殺された辻斬りの探索をしていた。新吉が新次郎だと思った扇太郎は、新吉を調べに利用する。扇太郎が犯人と目を付けた大江惣兵衛が葉の客であることで大江の調べを頼む。新吉が疑問を口にするとそれに沿って調べる。

 向島を深川のようにしようとしている鹿島吉兵衛が浮かぶ。手ぬぐいの持ち主は、賭場の代貸し辰平だと思われた。岡っ引き嘉六も辰平と繋がり新吉の言い分は通らない。吉兵衛と本所の虎三、仙四郎と芝で料理屋をしている弟・仙次郎が会っていたことも分かった。同心梶井が中に入って嘉六に話してくれた。辰平と仲間二人が自訴してでた。博打の借金のことで揉めたということになった。
 
 辻斬りは、目くらましではないか。目的は次ぎに斬られる人。大江は刺客。土木工事の水増し請求を調べられると困る幡多忠兵衛が利用した蓬莱屋と、息子の敵・新次郎を殺すことを大江に頼んでいた。大江は新次郎と斬り合い死んだ。死ぬ前に幡多に依頼を受けたことを認めた。助けられた博多屋は調べられていく。

 新次郎は幡多忠次郎を斬ったのは自分ではないと呟いた。忠次郎と共に新次郎を殺そうとした向山五平太は新吉は新次郎ではないと言った。

2020年11月9日月曜日

花川戸町自身番日記 神の子 辻堂魁

前に読んだことがある。

戯作者を目指す可一が自身番の書き役をしている。

一膳飯屋の女 可一の幼なじみ・吉竹が主人の店〈みかみ〉。 明るく働く柳が来て、吉竹は店を建て直そうと考えるが、柳の昔の男・杜若の清兵衛が来て柳は行ってしまう。

神の子 花川戸と川越えを結ぶ船頭の娘・千香は、賽子の音で丁半を判別できる。千香は父親を助けるために、思わぬ力を出した。父親・啓次郎は千香を亡くなった妻の実家に預けた。

初恋 手習い所の高杉哲太郎の妻・紀和が訪ねてくる。高杉は七年前、藩のため藩政をほしいままにする側用人を斬って後のことを仲間に託して藩を出ていた。七年経ち後を託した仲間は何も改革することなく、斬った側用人以上に藩政を欲しいままにしていた。高杉は元の仲間五人を斬った。

可一の二作目が出た。

2020年11月7日土曜日

大河の剣〈一〉 

大河の剣〈一〉 稲葉稔 

川越の寺尾村の名主の長男・山本大河は、13才で親の反対を押し切り剣で強くなりたいと江戸へ出る。すぐに根をあげることを期待され親も秋本佐蔵の元にいくことを許した。

大河は基礎を佐蔵に習い、行儀を娘・冬に習う。

大河15才で、佐蔵の紹介で鍛冶橋の千葉道場に通うようになる。

18才で大目録皆伝をもらい師範代並の扱いになった。佐蔵が亡くなった。親から刀を送られ勘当された。長屋暮らしになり、内職をする。

浦賀に黒船が来た。

2020年11月5日木曜日

えにし屋春秋

えにし屋春秋 あさのあつこ 

えにし屋 縁を結んだり、切ったりする。

花曇り 利根屋のお玉に、大店有明屋の主人との見合いの話を持っていく。お玉には職人で子供がいる好きな人・作蔵がいる。えにし屋はお玉と作蔵の縁を結ぶ。有明屋の主人はもともと、お玉の替え玉にした女中・おまいとの結婚が希望だった。有明屋の主人の求婚をおまいは断った。

夏の怪 えにし屋に、妻との縁を切って欲しいと願ってきた武家・作之進がいた。作之進が川に落ちて亡くなった。えにし屋の初は作之進の家族を調べる。妻が女中に命じて、女中は殺し屋を雇って、夫を殺したことが分かった。原因は、養女と養父の関係だった。

えにし屋の頭は才蔵、元は盗賊一味。押し入った商家から連れてきた初を育て、年が達ち盗みをさせようとした頭に楯突いて、才蔵は密告した。盗賊一味が捕まり獄門になった。才蔵は初と逃げ、十年たち江戸に戻っていた。才蔵は育てた初を盗賊にしたくなかった。

2020年11月3日火曜日

方言でたのしむイソップ物語

方言でたのしむイソップ物語  安野光雅

2020年11月2日月曜日

ネヴァー・ゲーム

ネヴァー・ゲーム ジェフリー・ディーヴァー

姿を消した人間を追跡する名人・コルター・ショウ。失踪人や逃亡犯に懸賞金がかけられると、彼は現地に赴き調査に着手する。冷静に状況を分析する明晰な頭脳と、父に叩き込まれたサバイバル術で事件を解決してきた。シリコンヴァレーで失踪した娘を探す。娘は見つけたが、同じ手口で次に誘拐された被害者は死体で見つけた。ウィスパリング・マンというゲームを模倣して監禁する犯人。刻々と死の迫る被害者の居場所をつきとめ、体力と知力を尽くす。三人目の妊婦の被害者は沈んでいくボートから助けた。実行犯人に罠を仕掛け捕まえる。ボスは政治家に庇われ捕まらないように見えたが、ショウは犯人に百万ドルの懸賞金を掛けると公開すると連絡する。彼は自首した。

コルターの父親の死の謎を追いかけている。失踪中の兄が殺したのかも知れないと思っている。 

2020年10月30日金曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊿

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊿ 悲恋歌 小杉健治 

 祝言の夜花嫁が密室から消えた。青柳剣一郎が調べる。鬼に喰われたと噂されたが、祝言前日に心中したことを隠すための芝居祝言だった。

 旗本の隠居から、三十年前、古い土蔵から居なくなった胡蝶を探して欲しいと頼まれる。胡蝶は旗本の父親から頼まれ、胡蝶は願いを受け入れ身を隠していた。二人は逢う。


2020年10月28日水曜日

親子十手捕物帳④ 

 親子十手捕物帳④ 親子の絆を確かめて 小杉健治

辰五郎は酒問屋滝三郎に、滝三郎の母を殺した罪で島流しになった石助が帰ってきて滝三郎の周辺に出没している。動向を探って欲しいと頼んできた。滝三郎は昔、観音組を名乗り徒党を組んで辰五郎の世話になっていた。母の死後、真面目になった。

息子辰吉は記憶喪失の娘・りさを助ける。りさの記憶を取り戻すため動いていると、滝三郎の母親の事件に当たる。

石助は濡衣だった。捕まえた繁藏は承知だった。石助は繁藏を狙っていた。繁藏は石助の悪さを知っていた。本当の犯人はりさの父親・松之介だった。松之介は繁藏が、親のいない子供を養っている寺に逃がしていた。滝三郎の母親は、息子を真っ当にするために自害するため松之介の刃物にぶつかってきたのだった。

辰吉はりさを連れて府中の寺へ行く。

2020年10月26日月曜日

ちよぼ 

 ちよぼ 諸田玲子

 加賀百万石を照らす月

 元浅井家家臣の娘・上木幾世。利家の妻・松の女中だったが、名護屋へ行き側室となる。息子・利常が加賀三代目藩主になる。松と交代し、人質として江戸へ行く。利家亡き後、寿福院を名乗る。

2020年10月23日金曜日

勘定侍柳生真剣勝負〈二〉 始動 

勘定侍柳生真剣勝負〈二〉 始動 上田秀人

弱みは財政、大名を観察する惣目付から家を守るために柳生家当主・宗矩は、勘定方を任せるべく隠し子の商人・淡海屋一夜を召し出した。渋々応じた一夜だが、柳生の庄で十兵衛に稽古を付けられながら石高を検分、殖産興業の算盤 をはじく。江戸に行く途中、京で商談をする。

江戸に入る直前、牢人に囲まれる。一夜は剣を使えないが十兵衛等の稽古は生きた。

柳生を名乗ることは断り、百石で雇われる。一夜には惣目付・秋山修理亮の命で甲賀忍者が見張りに付いた。それを見張る伊賀・柳生家の門番が付いた。一夜の女中に伊賀の里から妹を呼ぶ。

一夜は近所の金屋儀平の引きで駿河屋総衛門を紹介される。御用商人になってくれる。

宗矩は家光から会津の国替えを命じられている。

大阪では一夜の嫁の座を狙う、信濃屋の三人小町がいる。


2020年10月21日水曜日

代官山コールドケース

代官山コールドケース 佐々木譲 

 十七年前に代官山で起きた暴行殺人。容疑者の死で事件は解決したはずだった。今、川崎で起きた同様の殺人現場から同じDNAが見つかった。真犯人は別にいた。特命捜査対策室の水戸部に密命が下る。警視庁の威信をかけ、神奈川県警より先に犯人を逮捕せよ。

 犯人と思われた自殺した被害者の恋人・カメラマンの残した写真が手掛かりになる。残されたDNAは三つ。一つは恋人、一つは写真に写った建築家、もう一つは川崎にも残された不動産屋のものだった。建築家は殺してしまったと思っていたが、後からきた不動産屋が殺していた。写真を撮られた建築家は、写真を取り返すためにカメラマンを殺した。ネガも盗んだがベタ焼きが残っていた。自殺と思われていたが殺されていた。神奈川県警よりも早く不動産屋を逮捕した。

 この時期サリン事件のため警察は慌ただしかった。

2020年10月19日月曜日

紅雲町珈琲屋こよみ⑦ 黄色い実 

紅雲町珈琲屋こよみ⑦ 黄色い実 吉永南央 

 珈琲屋「小蔵屋」の店主・杉浦草は、常連の大学教授夫人・佐野百合子に頼まれ息子の就職斡旋の手伝いをする。

 小蔵屋の店員・森野久実は、山男の一ノ瀬公介と出会い付き合い始めた。

 紅雲町出身の元アイドル・緒里江が佐野元にレイプされたと訴える。緒里江が誹謗中傷を受け仕事が決まったこともあり東京へ行った。横浜の元にレイプされた女性から応援メッセージが届くが証拠がなく逮捕には至らない。久実も元にレイプされそうになったことが分かった。久実は元スキー選手で未遂に終わっていたが、証拠もあるが訴えることには悩んでいた。一ノ瀬の応援もあり久実は証拠とともに訴えることにした。元は逮捕される。

 一一ノ瀬には亡くなった弟の妻子がいたり、一ノ瀬家とはつり合わないという久実だったが、二人は付き合い続けている。


2020年10月16日金曜日

鬼役〈三十〉 暗殺

 鬼役〈三十〉 暗殺 坂岡真

景清 矢背蔵人介は偶然であった牧田家の妻佐保が家慶の十男の御乳持になったと聞く。佐保は駕籠の下敷きになり亡くなった。背後を調べると、商家の持ち物を手に入れるため商家を闕所にする闕所奉行・中込がうかぶ。中込は闕所にした商品を掠めた罪で遠島になっていた。中込を密告したのが牧田だった。牧田を操るのは御旗奉行・雲井だった。手に入れた「石切丸」を水野に献上し御旗奉行になった。お筆の方の局・屋島は、雲井の養女だった。雲井は牧田が命令を拒まむよう妻佐保を人質にするため御乳持にした。蔵人介は薪能で景清を舞い、暗転になった時、雲井を殺した。

鬼追い鍾馗 禁漁の溜池で釣りをする蔵人介は、父を知っているという隠居・牛尾勘助と出会った。蜂須賀家家老と御用達の商家、勘定奉行・有重の抜け荷と調べていた役人殺しが浮かんでくる。有重に忠実な牛尾は蔵人介に有重の見逃しを頼みながら、蔵人介に挑み殺される。有重は牛尾に毒を盛られて死んでいた。天守守・牛尾の息子・勘一郎は、旗本に養子に入っており奥右筆になっていた。如心尼は勘一郎を情報をもたらす仲間にしようとしていた。

抜け弁天 蔵人介の養子・卯三郎は練兵館の師範代をしている。門弟・門脇杢太郎の姉・香保里と出会う。香保里は四千石の旗本と縁談がきまるが、卯三郎は旗本たちの悪巧みを聞く。門脇家に知らせに行くが相手にされない。

家慶や重臣がお忍びで水垢離を観覧しているとき、襲われた。水野忠邦が狙いのようだ。安全圏にいた蔵人介が只中に下り、水野を助け、門脇等番方を家慶警固に付けるよう促す。門脇は考えを改め、旗本に縁談を断る。香保里が勾引かされ、卯三郎が呼び出される。蔵人介等は香保里を助け出し、事件を起こした旗本と紀州新宮藩の片岡等を倒す。

矢背家と門脇家は家ぐるみの付き合いを始める。

2020年10月14日水曜日

回廊封鎖 

 回廊封鎖 佐々木譲

 連続する殺人事件には共通点があった。見せしめのような殺害方法、被害者は破綻した大手消費者金融「紅鶴」の元社員。気付いた刑事・久保田は事件を追い始める。紅鶴に人生を破壊された男達の復讐劇だった。社長の息子・元専務。一人一人途中で死んでゆく。最期の一人が彼と手錠で繋がって爆死したもよう。

 富裕層を敵視した犯罪グループによる殺人事件と発表された。

2020年10月12日月曜日

神田職人えにし譚 妻紅

 神田職人えにし譚 妻紅 知野みさき

 守り袋 咲がよく行く、蕎麦屋・柳川は祖父と耳が不自由な13.4才の少年・孝太がやっている。しろとましろはここの信太が好物だ。いっぱいの信太にお揚げを二枚付けてもらう。孝太を捨てて男の元に走った孝太の母親・ゆうが八年ぶりに帰ってきた。ゆうは三年間東慶寺に入っていたようだ。祖父・清蔵は娘・ゆうを許せない。だが、おつると名乗り柳川で働いている。咲は頼まれて孝太の守り袋を亀の意匠で作った。ゆうと孝太との約束だったらしい。

 咲の弟・塗物師の太一23才は菓子屋・五十嵐の娘・桂21才との、婚儀が決まる。師匠の許しがあって独り立ちが決まった。妹・雪も小太郎との付きあいをしている。

 修次は、しろとましろは稲荷の神狐だと言う。お賽銭の他に神狐の足下に二人の小遣いを置く。修次は桝田屋に簪を置くようになった。

 二羽の雀 桝田屋の主・美弥と手代の志郎がやっと祝言を挙げた。美弥の元夫・誠之助が死ぬ時、側に志郎がいた。二人の祝言の切っ掛けに、咲の竹の意匠の財布が関係していた。誠之助の母親・寿が、二人の後押しをしていた。

 妻紅 修次の亡くなった兄・徹太郎の嫁だった篠が再婚することになった。篠は徹太郎が篠のために打った護り刀の袋を咲に頼んだ。五年前、徹太郎はこの刀を胸に受け死んでいた。修次は目貫に龍を彫った。咲は妻紅の意匠にした。爪紅、鳳仙花

 

2020年10月10日土曜日

新吉原裏同心抄【二】 赤い雨 

 新吉原裏同心抄【二】 赤い雨 佐伯泰英

 神守幹次郎は祇園社境内の神輿蔵の二階に住み始めた。麻は一力茶屋で働き始めた。

 幹次郎は産寧坂の茶店のお婆とか、祇園の剣道場・禁裏門外一刀流観音寺道場の道場主・観音寺継麿等、馴染が増える。

 幹次郎は祇園感神院を支える町衆の旦那七人衆に相談される。七人衆だが、一年に一人づつ白川で殺されている。今は五人衆になっている。今年も祇園会が近づいているので探索して欲しいというものだった。幹次郎は影の人物はあきらかでないが、刺客は判った。不善院三十三坊を倒した。

 江戸吉原では、老舗俵屋の主家族が追い出され店を正体の知れぬ者に乗っ取られていた。四郎兵衛が、調べ始めると主家族が殺されていく。孫を人質にされ、沽券を奪われ、妓楼角町俵屋譲渡状を書かされ殺された。吉原に何かが迫ってきている。分かっていることは、色事師の小太郎、佐渡の山師の荒海屋金左衛門という名だけだった。身代わりの佐吉も協力している。

 四郎兵衛の孫が生まれた。薫子と名付けられる。

2020年10月8日木曜日

辻番奮闘記三 鎖国

 辻番奮闘記三 鎖国 上田秀人

平戸藩江戸詰め辻番頭だった斎弦丿丞は配下の命より藩を重視したため下級藩士達の反発を受け役目を引いた。家老の病弱だった娘を妻に迎え、さらに出世したことへの風当たりも強く、国元に帰された。妻が懐妊したため弦丿丞は単身赴任する。

三代将軍の御世。平戸にあったオランダ商館が、長崎に移され、平戸から商家が引き上げていた。平戸藩は寂れていた。平戸藩は御上より長崎警護の助役を命じられた。弦丿丞は長崎警備のための視察の仕切りを命じられる。熊沢作右衛門は弦丿丞に、人をどう使うか、長崎商人との付きあいも預けられる。辻番の上司だった、田中正太郎と志賀一蔵も一緒に。

長崎の宿泊所を三宝寺にした。宿の世話をしたいという大久保屋がやってくる。断られた大久保屋は百足の親分に三宝寺への火付けを頼む。弦丿丞たちは火付けを捕まえる。捕まった者の口封じに来た者も捕まえる。長崎奉行所の役人が二人を連れていく途中襲われ二人は殺される。弦丿丞等は予想して先回りしていたが間に合わなかった。襲ったのが辰五郎だということは分かった。辰五郎は逃げた。長崎奉行・馬場利重は、弦丿丞たちに奉行所の手伝いとして辻番を命じる。松平伊豆守にも知らされた。

平戸藩と因縁のある長崎代官・末次平蔵に先代の話を聞く。弦丿丞等は小遣いをせびる松倉の牢人達を斬り伏せる。彼らは謀反を企んでいたとされ晒された。長崎辻番所が人々に知られた。


2020年10月6日火曜日

地層捜査

地層捜査 佐々木譲

 テレビを見て元になった本を読んだ。

 キャリアに向かい暴言を吐き謹慎となった刑事・水戸部は迷宮入り事件を担当する「特命捜査対策室」に配属された。15年前の四谷荒木町の未解決の殺人事件を捜査することになった。退職した刑事・加藤を相棒に捜査する。15年前、元芸者でアパート経営をする70才の女性・杉原光子が殺された。捜査していき、46年前の芸者失踪事件と13年前の喫茶店主の夫失踪事件の謎を解き明かす。

 光子は46年前、パトロンが付き芸者の置屋を持った。パトロンが15年前に病死し、光子は殺された。光子を殺したのは、46年前に失踪した光子の妹芸者・鈴佳の恋人・板前の柳瀬重雄だった。鈴佳は男と逃げたことになっている。本当は鈴佳を呼び出した後に光子のパトロンになる建設会社社長がもめて突き飛ばした。鈴佳は頭を打って亡くなった。その場に呼ばれたのが、光子と社長の運転手だった。運転手は鈴佳を埋めた。今そこ埼玉の戸田には労災で死んだ従業員の祠が建っている。この事件のため社長は光子のパトロンとなった。15年前、同じ病院に入院していた社長から柳瀬は46年前の真相を聞き出し、光子を殺した。水戸部は最期の留目をしたのは光子ではないかと思う。柳瀬が光子を殺しているから。柳瀬が入院し、先が短いことから聴取はしていない。水戸部が、聴取に行き、逮捕するのかどうかまでは書かれていない。

 13年前の喫茶店主の夫の失踪事件は、加藤が当時、喫茶店主から相談を受けた。光子殺しを捜査中でろくに調べなかったことが気がかりだった。光子の事件が地上げや暴力団絡みと考えられたので調べていく。加藤はこちらが重だった。暴力団員から死体を埋めたことを聞き出した。店主の夫と思われるが遺体は出ていない。現暴力団員の絡んだ殺しだから捜査は続くようだ。

テレビでは15年前に殺されたのは、国生さゆりだった。70才ではない。妹芸者も3年ほど前に行方不明になっていた。運転手も殺され、もう一人殺された。殺した犯人も若く、刑事も何度も聞き取りに行った。隠れた恋人だった。妹芸者の妹もいた。 

 

 

2020年10月4日日曜日

親子十手捕物帳5

 親子十手捕物帳5 親子の絆にあらがって 小杉健治

 辰五郎の観劇仲間の喬太郎が、遊女・玉里を身請けした。亡くした想い人を忘れられないと玉里は尼寺へ行く。喬太郎は玉里と瓜二つの女を芝浜町で見かけたため、正体を調べてほしいと辰五郎に頼む。玉里の想い人は箱根で殺されていた。

 辰吉は刀剣商「薩摩屋」から菊八と銘のある刀剣を見せられる。欲しくなる刀だった。浪人・山下左衛門が二十両を作り買いに来る。前夜、辻斬りがあり二十六両を取られていた。辰吉は山下出はないかと思う。後、二人の夜鷹が殺される。近所で山下が目撃され辰吉は山下が犯人だと思う。花太郎親分の受け持ちだが、山下は親分と知りあいだった。辰吉は親分が知りあいのため探索を打ち切ったのではないかと思う。辰五郎に話すと、花太郎のかたをもち、辰吉が間違いと決めつける、二人は親子喧嘩になる。

 玉里と瓜二つの女は男と一緒に「菊八」の銘の入った刀を探していた。男は自分が作った「菊八」と銘をいれた刀を探していた。

 玉里の想い人は菊八の刀で殺され、玉里は鎌倉の尼寺に居ることもはっきりした。瓜二つの女は幼少期に別れた双子の妹だと分かった。山下が二十六両を奪った辻斬りで、「菊八」を手に入れて二人の夜鷹を殺したことも明らかになった。菊八の父親の刀も持った者が暴れ人を斬ったことで父親は刀を創ことを止めていたことが判明した。花五郎は山下を庇ったわけではなく、気がつかなかったのだった。辰吉と親分等父親・辰五郎も含めて仲が戻った。

2020年10月2日金曜日

聡四郎巡検譚六 総力  完

 聡四郎巡検譚六 総力   上田秀人

 乳母を求めている者がいると言う情報に従い、紅は町人に扮して出かける。紅は紬と出会えた。尾行に失敗した山路兵弥、播磨麻兵衛、入江無手斎等は母子を探す。無手斎は紅の居場所をつきとめる。

 裏社会の親分たちが新入りの藤川たちとぶつかる。藤川の方には裏切り者がいた。時間がかかり、人数も減る。藤川が人質の隠れ家に向かう時、聡四郎が早馬で帰り、駆けつけたことを知る。藤川は爆破して逃げることを決める。

 爆破された仕舞屋から紅と紬は助け出される。袖が大怪我を負い、入江無手斎は行方不明になった。藤川は東海道を逃げた。

 水城聡四郎は、道中奉行副役の任を解かれた。しばらくして、惣目付に任じられた。

 

2020年9月30日水曜日

てしごと 

 てしごと おんな職人日乗 あさのあつこ

春雀二羽 澤田瞳子  鷹ヶ峰御薬園 藤林匡の義理妹・元岡真葛。鍼医の師匠の息子・御殿医御薗家七代目・常言と弟・別家を建てた常懿の仲の悪い兄弟の確執をほぐす。祖父の隠れた娘の登場。

藍の襷 志川節子  大隅国曽於郡福山郷 沙奈17才。三斗甕に春と秋に十八甕ずつ仕込む。麹名人の父を亡くし、受け継いだ母も亡くなる。沙奈が受け継ぐ。好きになった人は薬売りに化けた他国の密偵だった。幼なじみのきよの次兄・基次郎(船の水夫)が養子に来る。

掌中の天 奥山景布子  伊勢神宮の鳥居前の茶屋の娘・りん。付き合っていた和菓子屋の職人・信吾は帰るまで待っててと言って京へ行く。りんは根付職人の弟子になる。桑名の殿様に作った根付を見てもらい先行き楽しみと言ってもらった。信五が帰ってきた。

姉妹茶屋 西條奈加  秩父観音札所参り、三十四番水潜寺の近く、しまい茶屋で働く、姉・蕗と妹・亥。蕎麦打ち職人の蕗の許嫁・江吉は金をかせぐために江戸へ行っている。帰ってきたら一緒になる予定だ。江吉が江戸で盗賊になり上前をはねたと追ってが来ている。帰ってきた江吉は捕まるが、名を使われたことが分かる。亥も蕎麦打ち覚えようかなと思う。

浮かれ蝶 小松エメル  半年前、名主の娘・千代9才が行方不明になった。口寄せ巫女は千代は死んだという。村人も信じた頃、若者が話を聞き、名主の娘への虐待のため娘を逃したことを見抜いた。

おもみいたします あさのあつこ  松田屋喜平、小さな蠟燭問屋を大店にした。再婚相手に毒をもられているような気がする。そんな時もみ治療を受けた。後悔や辛抱や我慢や残り物が懲り固まっていると言われ、昔を思い返す。

2020年9月28日月曜日

新酔いどれ小籐次〈十七〉〈十八〉 

新酔いどれ小籐次〈十七〉 〈十八〉 鼠異聞上下 佐伯泰英 

 小籐次は謎の青年から名刀・正宗の懐剣の研ぎを頼まれる。

 久慈屋が高尾山薬王院へ紙を収める旅に、小籐次と息子・駿太郎が行くことになった。それを知った駿太郎の道場仲間六人と祥次郎の兄・見習い与力・岩代壮吾も一緒に行くことになった。

 府中宿で久慈屋の荷が襲われ、壮吾と駿太郎、国三が対処した。荷の中に七百両があることが、飛脚問屋から同心・木津に知らされ、次男・留吉に伝わったと思われる。留吉は押し込み強盗の一味に話し、荷を襲った。留吉は壮吾に斬られたが、木津留吉であることを隠された。 父親は長男に介錯され切腹、病死とされ、長男も切腹しようとしたが、止められ同心を続けることを許された。

 薬王院では、先代の貫首の隠し子の息子・壱行僧が、現貫首・雲郭に貫首を辞し、壱行を新貫首に推挙するよう書き付けを書けと迫っていた。小籐次は懐剣を壱行に盗まれ、江戸に帰る良う迫られる。小籐次は江戸に帰るよう見せかけ、高尾山の裏道を通り戻ってくる。壮吾と駿太郎の活躍で無事紙は薬王院へ届けられる。

 小籐次が刀を研いでいる間に、少年たちは壱行の父親に雇わればらばらに散った者たちが村の者に悪さしている事件を片づける。

2020年9月26日土曜日

居酒屋ぜんや⑥

 居酒屋ぜんや⑥ あったかけんちん汁 坂井希久子

 草間重蔵が近江屋に命令され、死んだ善助の死体を川に流したことを自白した。

ぜんやの常連たちは近江屋に罠を仕掛け、善助の死について自白をさせる。妙の父は田沼と繋がっていた。反田沼派の松平越中守は娘の妙を気にした。善助は近江屋が田沼にも越中守にも賂を送っていたことを知っていた。善助が殺された理由だった。善助は裏帳簿を持っていた。

 妙は近江屋に、越中守に美味しいものを食べる集まりだと言ってくれ。月に一度料理を食べに来ること。と言い渡す。

 林只次郎の父親が隠居すると言う。只次郎がいる離れ屋を使うので、只次郎は養子先を見つけると言い渡される。只次郎は家を出て、草間重蔵と一緒に住んだ。重蔵を見張るつもりがあった。鴬はぜんやの二階で飼っている。

2020年9月25日金曜日

居酒屋ぜんや⑤

居酒屋ぜんや⑤ つるつる鮎そうめん 坂井希久子 

 林只次郎は甥・乙松の病状を妙に話す。妙は夏風邪だという医者を変えるよう言われ、西瓜糖を貰う。乙松は瘧で苦い薬を飲むために西瓜糖を舐めることになる。

 只次郎は職人の格好そしている時、妙と一緒にだまされていた娘・浜を助けた。浜は三河屋の娘だった。浜は職人・只さんを好きになったようだが只次郎だと誰も明かさなかった。

 鮎売りのえんが、訪ねてきた。草間重蔵を見たえんは、鮎を駄目にした黒駒組の者だと言う。妙は用心棒・草間重蔵の身元調べを只次郎に頼む。

 草間某が、打ち壊しの先導者だとわかった。重蔵が草間某か判らない。

 只次郎妙の夫・善助の死が本当に事故か、柳井に調べてもらう。事故ではないようだ。

 妙の父親が「微笑みの秀さん」こと佐野秀晴であり、夫・善助が連絡係だったと判った。龍気養生丹を作っていた医者だった。三河屋、三文字屋、俵屋、升川屋みんな知り合いだったことが判った。

 近江屋と善助は手代の頃の同輩だった。

2020年9月24日木曜日

江戸の御庭番6 首一つ 

 江戸の御庭番6 首一つ 藤井邦夫

 真霊宗の僧侶・龍光は生れながらの平等を説き急速に勢力を拡大していた。信者等の蜂起を危惧する吉宗の命令で隠密・喬四郎は龍光の素性と狙いを探る。

 忍びの一味による火事や押込みが相次ぎ、人々は不安を募らせた。

 龍光の寺・龍円寺には甲斐忍びによる結界が張り巡られていた。甲斐忍びの後ろに、金沢藩老職一色と大聖寺藩の殿様の叔父・利忠がいた。火事や押し込みも甲斐忍びのやったことだった。一色は甲斐忍びの押さえ込み吉宗に恩を売る気でいたが、喬四郎の調べで自分たちの身が危うくなり、龍光の首を取り事件の解決を図ろうとした。喬四郎は龍光を助け出すが、亡くなる。甲斐忍びの御館天竜は甲斐忍びの一団を率いて去った。禍根を残すなという吉宗の命で、甲斐忍び、龍快と一色と利忠こと京弥を討った。

 喬四郎の子が生まれた。


2020年9月10日木曜日

吟味方与力望月城之進 

 吟味方与力望月城之進 欺きの訴 小杉健治

 松代屋の番頭殺しで捕まった政吉は、白洲で否定し、下手人が死罪になっている藤兵衛殺しが自分だと言う。政吉は犯人しか知り得ないことを訴える。城之進は政吉を解き放つ。解き放たれた政吉は命を狙われる。政吉は用心棒を雇う。

城之進は藤兵衛事件の吟味方与力が強請られているのではないかと考えた。揺すられているのは、年番方筆頭与力・赤井十右衛門だった。

 半年ほど前の音曲の師匠が殺された事件で、犯人と思われた男は取調べ中に亡くなり、犯人とされた。亡くなった男の残された妻と子供の為に、政吉ほか二人は松代屋の番頭を殺し、筆頭与力を通して松代屋の主人を強請っていた。音曲の師匠の旦那が松代屋の主人で、別れ話の話をしていたのは番頭だった。話がこじれ番頭は師匠を殺してしまった。後に来た男を犯人として捕まえていた。証人が番頭で、松代屋は主人のことが出ないよう赤井に賄賂を送った。

 事実を知った城之進は師匠を殺したのが、殺された番頭で、牢内で死んだ男は関係がなかったことを明らかかにし、男達が強請って手に入れ金子を残された妻と子に渡した。

2020年9月8日火曜日

上絵師 律の似面絵帖⑥

上絵師 律の似面絵帖⑥ 駆ける百合  知野みさき

涼太と祝言を挙げ、青陽堂の嫁としての新たな生活が始まった。息抜きに出かけた先で同じく嫁いだばかりの女達と出会う。

池見屋で出会った由里は、律に花嫁衣装だった白無垢を解き染め直しと上絵を頼む。由里は出来上がった着物を持って、東慶寺に飛びこむ。義母・佐和も義父・清次郎も協力する。佐和の計画と言ってもいいものだった。

2020年9月7日月曜日

八番街の探偵貴族 

八番街の探偵貴族 青木祐子 

 助手求む。内勤、外勤、特殊業務あり。で求人広告に応募し採用されたマイア。美青年貴族が経営する探偵事務所だった。

始まりは舞踏会

 貴族の娘が、父親を殺され、財産を乗っ取られた復讐を助ける。証拠がない話だったが、自白と庭に埋められた遺体によって証拠が明るみに出た。

私の愛する泥棒

 マイアのメイドとしての元就職先を辞めた理由。

2020年9月6日日曜日

父子十手捕物日記

父子十手捕物日記 鈴木英治 

 2013年 前のブログ参照

居酒屋ぜんや④ 

 居酒屋ぜんや④さくさくかるめいら 坂井希久子

佐々木は評定所に呼び出される前に死んだ。理由が分からないままになった。

林家で、只次郎の姪・お栄の桃の節句を祝う。栄は母・葉と祖父・柳井と、父と只次郎の仲の悪さを指摘して仲良くするようにと言う。

ぜんやの用心棒に草間十蔵が雇われる。裏の長屋で暮らす。

2020年9月3日木曜日

居酒屋ぜんや③ころころ手鞠ずし

 居酒屋ぜんや③ころころ手鞠ずし 坂井希久子

顔を見せなかった又三が心中死体で見つかった。北町の与力・柳井は心中に見せかけた殺人とみる。林只次郎は駄染屋が知っていると思い、旗本の次男、三男のたまり場・黒狗組が開いてるいる賭場に通い駄染屋を探す。駄染屋は見つかり又三殺しを認め、佐々木の命令を仄めかす。

お妙は升川屋喜兵衛に、嫁・志乃と姑の関係がぎくしゃくしていると聞き、手鞠ずしをつくり持って行く。二人の思いを打ち明けあい誤解を解いた。

 

2020年9月1日火曜日

居酒屋ぜんや② ふんわり穴子天

居酒屋ぜんや② ふんわり穴子天 坂井希久子
 寛政三年 1791年 弥生
 ぜんやの花見弁当を囲み花見をする。只次郎の兄嫁・葉の父親・北町吟味方与力・柳井が加わる。
 鴬の糞を集めていた又三。ぜんやの妙のことを調べていた。又三が来なくなった。
 佐々木家の門番は腕まで青いと亀吉がいう。駄染め屋か?まだ捕まっていない。
 髪を切られる事件が続いた。妙が誰が得をしているのでしょうというのを聞いて、柳井は髪切り魔を捕まえた。
 

2020年8月30日日曜日

居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯

居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯 坂井希久子
 家禄を継げない武家の次男坊・林只次郎は、飼っている鴬・ルリオが美声で鳴くためなき付けを生業にしている。
 美人女将・お妙の笑顔と素朴な絶品料理の居酒屋・ぜんやを見つけた。只次郎は妙と料理に癒され、鴬飼いの師でありお得意様であり、話し相手でもある太物問屋菱屋の隠居を居酒屋に誘う。
 ぜんやは一年前に夫を亡くした妙が一人で切り盛りし、夫の姉・勝が手伝っている。
 只次郎、菱屋の隠居、酒問屋升川屋の主人、売薬商俵屋の主人等が客になる。
 ぜんやの裏長屋に住む、駄染め屋が妙を襲い姿を消した。妙のことを調べていたようだ。
 父の上司・佐々木様一千石小十人頭から縁談の話をされる。佐々木家に頼まれ鴬を育てている関係で。只次郎は断る。只次郎は正規の話であれば父を通して来るだろうと思っている。
 

2020年8月28日金曜日

警視庁特殊詐欺追跡班

警視庁特殊詐欺追跡班 六道慧
 警視庁捜査2課特殊詐欺追跡班 通称・特サ
 片桐冴子、特殊メイク・小野千紘、武術・喜多川春菜、AIロボットがいる。上司として本郷伊都美警視が来た。
 詐欺師たちは捕まった。首謀者・天下人と思われた山本は自死した。追跡班は本当の首謀天下人は安藤ではないかと思っている。
 詐欺師たちに騙されそうだと思われたお年寄りたちは、首を吊って亡くなった友達の仇を討つために警察に通報したりしていた。

2020年8月26日水曜日

禁裏付雅帳〈十〉 決別

禁裏付雅帳〈十〉 決別 上田秀人
 闇社会で生きてきた浪を捕まえた東城鷹矢は、今上帝・光格天皇の意向を聞き、光格天皇の実家・閑院宮家に浪を預けた。宮家から禁裏の雑仕女として御所に入れる。浪を手に入れたい者は探っていた。鷹矢は松平定信から朝廷の弱みを探るよう言われているにもかかわらず、浪を江戸に送らなかった。老中の隠密・霜月織部と津川一旗、織部を殺して鷹矢は敵にまわった。津川は定信に報告し、定信は鷹矢を余が討つと言った。
 もう一人の禁裏付・黒田伊勢守の家臣が御所に仕丁に化け進入し捕まった。
 桐屋が雇った浪人が鷹矢の留守に屋敷を襲った。檜川と新しく雇った財部で守った。
 

2020年8月24日月曜日

拵屋銀次郎半畳記 汝想いて斬

拵屋銀次郎半畳記 汝想いて斬〈一〉 門田泰明
 床滑七四郎との戦いで負った深手が癒え、江戸を目指す。江戸に帰った銀次郎に、黒書院直属監察官大目付三千石という役を用意されていた。
 江戸の町に白装束の一団が現れる。銀次郎は怪我が直りきらぬうちに、将軍・家継に会う。
 銀次郎の叔父のもとに大阪から彩艶尼が、銀次郎に会いにやっ来た。

2020年8月19日水曜日

聡四郎巡検譚〈五〉

聡四郎巡検譚〈五〉 急報 上田秀人
 道中奉行副役の水城聡四郎は京から大阪に行く。多田屋雀右衛門に案内を頼む。
 江戸では、藤川義右衛門が義父・利助との戦いに勝利し、水城との戦いを始めようとしていた。水城の屋敷から聡四郎の娘・吉宗の孫・紬を勾引かす。
 大阪の聡四郎にすぐ帰るよう命令がでる。

2020年8月17日月曜日

薬師・守屋人情帳 朧月夜の怪

薬師・守屋人情帳 朧月夜の怪 青木祐子
 守屋真26才 渋谷に暮らす。師匠・桂川甫周
 朧月夜の怪 橋のたもとで怪我人を見付け家に連れて帰る。傷を縫い合わせ成功した。彼は札差で大口や差辰、女房の浮気相手を殺し、女房と逃げていることになっていた。守屋は手形を用意してやる。夫婦で会う日を決めていたようだ。だが、守屋には判った。殺されたのは差辰。男の怪我は女房にやられたものだった。女房の目的は差辰の金子。二人が会った時、女房は男を殺そうとして男が女房に怪我を負わせていた。守屋は男を逃がす。女の怪我を治す。
 七十五日目の瓦版 瓦版屋の音也がいなくなったと売り子の綾が探していた。大奥に入ることになっている如月屋の娘の素行調査をしていた。綾は如月屋で殺されたのではないかと思っていた。守屋は如月屋で音也の傷の手当てをしていた。落ちかけた中指をつなげで添え木をしていた。三ヶ月たっていた。手は少しずつ動くようになっていた。如月屋の娘は男に別れ話をし、殺されそうになったところを音也がかばい、傷つけられた。如月屋に呼ばれ守屋が手当てし、摺り師・岩太郎の世話になっていた。音也は世話をしてくれた女・伊代を女房にし、子が宿っていた。
 料理茶屋の女 
 毒を摘む 服毒死の心中死体がみつかった。守屋の所にきた子供疑似兄妹と話していて、殺しだと判った。医塾で同窓だった男が宗方に養子に行き、江戸で開業名医と評判になりつつある男。宗方聖次郎と手を組み土地を人から取り上げる生駒屋。生駒屋のことを調べていた男が心中した男だった。竹藏にやらせた。兄妹が頼りにしていた竹藏だった。竹藏は宗方に言われ、兄妹を殺そうとした。奉行所前で自首し服毒自殺をした。兄妹は助かった。親のいない兄妹を翔太の母親のところに手伝いに行かせた。調べは宗方までは行かない。

2020年8月15日土曜日

黒崎警視のMファイル 

黒崎警視のMファイル 六道慧
 警視庁幹部の醜聞が書かれた黒崎警視のMファイル。刑事部の灰嶋輝明はファイル奪取の密命を帯びてチーム黒崎に潜入する。神野の娘・麻梨絵と結婚することになっている。
 チーム黒崎のメンバー。黒崎悟郎警視、白井光彦警部補、灰嶋巡査長、阿藤幸夫巡査
 チーム黒崎では、国家未来戦略特区・新明区の最高機能を備えたマンション・ツインタワーのコンシェルジュの任務についていた。潜入捜査だった。
 新明区では、不可思議な事故、新聞記者の行方不明等事件が起っていた。臓器売買に赤子売買が行われ、血液製剤の研究のための血液のプールがあった。特区推進委員会とツイン製薬の間の脱税談合の不正の証し。委員長・木暮は逮捕された。
 灰嶋は黒崎の意向で白井警部補から、Mファイルと思われるUSBメモリを渡される。どう使うかは任せると言われた。チーム黒崎の部署・警視庁証拠品保管係。保管しているのは情報だ。灰嶋は上司・神野に渡せないでいる。

2020年8月13日木曜日

百万石の留守居役〈十五〉 布石

百万石の留守居役〈十五〉 布石 上田秀人
 加賀藩前田家当主・綱紀に越前松平家家老が会いに来る。綱昌の書いた詫び状を返してもらうためだった。詫び状は江戸に送られていた。
 加賀前田藩の反勢力が本多政長の嫡子・主殿を神輿に担ごうと近づいている。主殿は長政の隠居願いを出し、家督相続願いを綱紀に提出する。綱紀は預かりとしている。
 江戸の長政は綱吉に越前松平綱昌の詫び状を提出する。そして、自分が江戸にいる間に息子が隠居願いを出したことを報告する。綱吉から帰国が許される。
 江戸城蘇鉄の間で紀州家留守居役沢部修次郎が長政に話す。琴が嫁いでいた水野志摩介が亡くなった。跡目を弟・辰雄が継いだ。琴姫を辰雄の正室に迎えたいという。
 

2020年8月11日火曜日

わが家は祇園の拝み屋さん12

わが家は祇園の拝み屋さん12 望月麻衣
 〜つなぐ縁と満月に降る雨〜
 東京に厄神・禍津日神を放とうとする「凶星」のリーダーは、小春に西洋星術を教えてくれた川瀬だった。川瀬の父は霊力が強く、陰陽師の組織で活躍したが突然力が無くなり組織から追放され亡くなった。力が無くても陰陽師家に生まれた者は組織の幹部に納まっている。陰陽師の組織を潰したかった。千歳は禍津日神を一条戻橋に封じた藤原保親の子孫であり安倍晴明の生まれ変わりだった。宗次朗の菓子作りの師匠・谷口の父親の幼馴染み・藤原千賀子の孫だった。川瀬が千歳の力を利用していた。小春は千歳を説得する。千歳は止めようとするが、川瀬の祝詞で厄神は解き放たれる。小春と澪人と千歳が、若宮を呼ぶ。九州の大直日神、奈良の大直日神、京都大直日神のエネルギーを東京に集め天に昇って行く。
 千歳は祖母に会えた。谷口は父と和解した。小春も澪人も京都は帰る。

2020年8月9日日曜日

黙(しじま)別所龍玄シリーズ

黙(しじま)別所龍玄シリーズ 辻堂魁
 妻恋坂 龍玄七才の時、父・勝吉と「おなつの店」へ行った。龍玄は四才の十之助と遊んだ十六年後、出家した慈栄の首を刎ねた。慈栄は十之助だった。龍玄はなつに会いに行った。
 破門 龍玄は大沢道場にもうすぐ十才で入門。十二才、昌平黌に通う。十三才、元服。
 十四才の時、十九才の旗本の息子たちに嘲りからかいの稽古試合を強要され、相手に頭を割る怪我をさせる。旗本は龍玄が卑怯で愚劣な振る舞いで息子に怪我を負わしたと言う。証明のため、新番衆の使い手と試合することを求める。龍玄を痛めつけたかった。龍玄は平然としたかまえで打ち負かした。
 十六才、めったに道場へ行かなくなった。
 十八才、罪人の首打ち役の手代わり、勝吉の手代わり、試し斬り刀剣鑑定をした。
 十九才、切腹場の介添え役、介錯人をする。父親没
 二十才、百合を妻に娶る
 惣領除 龍玄は平井喜八に介錯を頼まれる。
平井喜八は嫡男・伝七郎が、同朋頭奥山春阿弥の娘・満代を手籠めにし身籠らせたことで切腹させられた。伝七郎の否認は無視された。その後、満代の相手が市村座の役者だと喜八の耳に入った。真意を確かめ伝七郎の満中陰の法要を終え、春阿弥を討った。屋敷に帰り、龍玄の介錯により切腹。妻・文乃は喜八の書状と喜八病死の届けを出す。
 喜八病死。二男・和之介が平井家を継ぎ出仕が決まる。
 春阿弥の嫡男が同朋見習い、娘は落髪し出家が決まった。
 十両首 烏金の金貸しお庫が、龍玄を訪ねてくる。身体が大きいだけが取り柄の十二才年下の夫が牢にいる。たぶん打ち首になるだろうから龍玄に頼む。怖がりだから暴れると思うが、私がさよならと言っていたと伝えて後のことは任せてと言って大人しくさせて楽に逝かせてやってほしいと願った。
 夫・郡ちゃんは元侍・竹下郡次郎。郡ちゃんは龍玄から庫の言葉を聞き、お庫さあーんとよんで首を刎ねられ死んだ。庫は大枚を叩いて郡ちゃんの首を貰い、弔った。どちらが先に死んでもさよならを言って弔う約束だったと言う。

2020年8月7日金曜日

湯島天神坂お宿如月庵へようこそ

 湯島天神坂お宿如月庵へようこそ 中島久枝
 プロローグ 梅乃15才 姉・園と二人暮らしだったが、園が働いていた油問屋から出火した火事で姉は行くへ不明となる。如月庵の女将・松に誘われ如月庵で働くことになる。
 悪戦苦闘の部屋係 はじめての部屋係の担当は幽霊を書こうとしている画家・遊斎だった。見た物しか書けない遊斎に奥さんの亡くなる寸前を書いた絵。奥さんの残してくれた絵を描いた。
 雪に涙の花嫁御寮 明日祝言を挙げる花嫁・琴一家が一泊する。男・幸太郎は前の許嫁・千香と付き合いが続いている。琴は千香を呼んだり、真っ白の掛け下着を汚したりする。子供の頃からの女中に諭され、素直な気持ちで祝言に臨んだ。千香にも迎えに来た男がいた。所帯を持つことにした。
 和算楽しいか、苦しいか 十才の源太郎は叔父真鍋宇一郎の所に養子に行く。和算が大好きな源太郎だが、和算を封印される。梅乃は真鍋に和算をさせてやって欲しいと頼むが、真鍋には考えがあった。源太郎は諭され、納得して真鍋の家に行く。
 一人寂しい、河童の子 孫が見付かったと喜んで食事に来た薬屋・小川堂の連れてきた孫は、梅乃と一緒にお救い小屋で過ごしていた鮒吉だった。小川堂の孫とは元々は娘で三十年の前の話だった。みんな鮒吉が孫でないことは承知だった。鮒吉は知らなかった。小川堂が、働く場所を紹介してくれた。鮒吉は園らしい娘がいるところを教えてくれた。
 エピローグ 鮒吉が教えてくれたところに園はいた。園と同輩の篠の介護をしていた。篠は好きな人のために店の裏口を開けたため、盗賊に押し入られ火を付けられ皆亡くなったことに耐えられず心を病みしゃべれなくなっていた。園は隠れて助かり篠を助け出した。盗賊の一味・篠が好きになった佐吉が園を探し回っていた。もう捕まると言うところで町方に取り押さえられる。梅乃の先輩・紅葉も如月庵に来る前、篠とおなじだった。紅葉は人に知らせ盗賊が捕まった。逃げた佐吉に追われていた。
 園は篠の世話をしながら、医師の手伝いをしている。梅乃は如月庵で部屋係をしている。
 

2020年8月5日水曜日

新・居眠り磐音④ おこん春暦 

 新・居眠り磐音④ おこん春暦 佐伯泰英
 妹と姉 おこんが今津屋で働く前。黒羽藩からやってきた山守が、藩の材木を作事奉行兼山奉行が材木問屋常陸屋へ横流ししていることを藩の重役に知らせに来た。金兵衛長屋に住む。町奉行所、公儀目付けを巻き込み黒羽藩の重役に知らせる。
 跡継ぎ おこんと由蔵の出会い。今津屋で働く一年前。
 一年後、由蔵の息子と名乗る男が現れる。

2020年8月3日月曜日

女だてら

女だてら 諸田玲子
 秋月黒田藩は、本家黒田藩からの言いなりにならないよう次期藩主を擁立使用としている派と、本家の言いなりでえ構わないと思う派閥に分かれていた。次期藩主の若殿の奇妙な死、藩主の病気。
 前藩主に用いられた儒学者・古処。政変があり、免職になる。息子・白圭も病気になり致仕する。娘・みちは、先代の正室・慈明院の頼みで、弟・瑾次郎の名で京へ行き、江戸へ行く。
 慈明院の姪・三条家の正室眉寿姫・紀子に会い、内大臣三条公修に封書を渡す。井伊掃部頭にあて一筆書いてもらう。公修の母親は井伊家の姫だった。
 慈明院は、眉寿姫の弟・土佐山内家の勘解由を秋月の養子にしようとしていた。
 三条公修の封書を持って江戸へ行く。兄の友人・若年寄本多遠江守正意の家臣・石上玖左衛門に助けられ、水野越前守忠邦の密偵にも助けられながら江戸へ着き、井伊家に封書を届ける。


原采蘋
葉室麟 秋月記

 

2020年7月31日金曜日

浪人奉行七丿巻

浪人奉行七丿巻 稲葉稔
 兼四郎は鈴ヶ森近くで行き倒れていた幼子・小太郎を、小太郎の父親が書き置きした寺へ連れて行く。小太郎の父は刺客団の一員だった。殺すはずの人物が人違いで殺さなかった。仲間に攻められ、一人を殺してしまった。仲間は裏切り者と呼び、父親は殺された。小太郎が自分たちのことを知っているため、小太郎も殺そうとする。
 兼四郎は小太郎を守り、母親の兄・僧の所へ連れて行く。

2020年7月29日水曜日

華姫シリーズ② あしたの華姫

華姫シリーズ② あしたの華姫 畠中恵
 月草は腹話術を使う芸人だ。月草が使う人形は、真しか言わないと人気のる華姫とあだ名される姫様人形だ。
 両国を仕切る地回りの頭・山越の親分の娘・夏と仲良しだ。夏の姉が亡くなり、許嫁だった正五郎の跡目がなくなった。跡目争いが起る。夏は一人娘になった。兄・春太郎が現れる。春太郎は山越の親分の後を継がないという。
 秋丿助が現れる。店も者だった。本当の秋丿助は武士だった。偽の秋丿助は、八丁堀の青木直正は山越の息子だと振られたくなければ、自分を秋丿助と認めろという。偽秋丿助は本名がばれて山越の跡継ぎはなくなった。
 夏は大変だ。

2020年7月27日月曜日

長屋道場騒動記〈七〉 迷い熊繋ぐ

長屋道場騒動記〈七〉 迷い熊繋ぐ 芝村凉也
 三嶽藩による、君の勾引かしは阻止された。君は恵比寿屋の娘でないことを知ってしまった。

2020年7月25日土曜日

勘定侍柳生真剣勝負〈一〉 召喚

勘定侍柳生真剣勝負〈一〉 召喚 上田秀人
 大阪一と言われる唐物問屋淡海屋の孫・一夜は突然柳生家に召し出された。一万石の大名になった柳生家は勘定ができる者を欲しがった。一夜は宗矩の息子だった。
 一夜は商家に挨拶回りをして柳生の里に行く。

2020年7月23日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊽ 

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊽ 咲かずの梅 小杉健治
 加賀藩を調べていたお庭番が殺され、加賀藩主近習衆の増川が殺される。剣一郎に増川に刺客が出ていることを教えてくれた僧が、老中・磯部相模守の刺客だった。
 磯部相模守と堺屋は相模守の領地・若狭で抜け荷をしていた。五年前、嵐に遭い船が難破したことで、積み荷が流れ着き、調べが入りそうになった。調べられる前に堺屋は店を閉め、加賀の能登屋を乗っ取り、屋号を難波屋に変える。加賀の重臣・奥山弾正とてを結び抜け荷を始めていた。難波屋の娘を奥山の養女にして加賀藩主重興の正室にしようとしていた。相模守の目の前で 抜け荷を暴く。相模守の言いなりだった北町奉行所与力水上秋之進が相模守を戒めた。水上の父親は相模守の家臣に家来にしてもらっていた。
 相模守は家来に殺され病死と届けられた。

2020年7月21日火曜日

帰化人

帰化人 上田正昭
 古代国家の成立をめぐって

2020年7月19日日曜日

口入屋用心棒㊻ 江戸湊の軛 

口入屋用心棒㊻ 江戸湊の軛 鈴木英治
 富士山噴火の最中、巨船三艘が川崎沖に投錨し、江戸湾に入ろうとする船を大筒で攻撃し、足止めをする。老中首座・本多因幡守は賊船討伐に船手頭を差し向ける。井戸に少量んの毒が撒かれたり、浅草の米の保管庫・御蔵を爆発させる。湯瀬直之進と倉田佐之助は、南町奉行曲田伊予守の指揮下で犯人を追う。隠れ家を突き止め犯人たちを捕まえる。犯人の目的は捕まることにあった。笛が大好きな本多因幡守は、犯人・五十部屋唐兵衛の笛を聞くために牢を訪れる。愛笛を渡された唐兵衛は仕込んであった吹き矢で、因幡守を殺した。
 四十年前、木曾御岳山が噴火した。当時三河宝販郡の代官だった因幡守の飢饉時の対応が過酷であったため、大勢が亡くなった。うらみを晴らすために計画していた。

2020年7月17日金曜日

まんぷく

まんぷく 畠中恵 坂井希久子 青木祐子 中島久枝 梶よう子 宮部みゆき
 〜〈料理〉 時代小説傑作選 細谷正充編〜
餡子は甘いか 畠中恵
 安野屋に奉公する栄吉は、倉の砂糖を盗みに来た八助を捕まえる。砂糖の味が判る八助は安野屋に奉公することになる。八助は何でもこなし、栄吉よりも重要な仕事をする。泥棒の友達を引き込み、大事な砂糖をごっそり盗む。最後に栄吉が気がつき泥棒たちは捕まる。
鮎売り 坂井希久子
 飯屋「ぜんや」を営む妙は、魚河岸で傷物の鮎を買って貰えなくて困っている娘の鮎を買う。この日は魚河岸で見ていた男たちが、店にやってきて大繁盛する。
料理茶屋の女 青木祐子
 守屋は料理屋の煮豆がおいしくなったことから、料理屋にやってきた蘭が、煮豆屋で起った殺人事件の謎を解く。
桜餅は芝居小屋で 中島久枝
 小萩は鎌倉から日本橋の菓子店へ修業に来ている。一年の約束で。近所の呉服店の女将と若女将を通して人付き合いを学ぶ。
清正の人参 梶よう子
 御薬園同心の水上草介の所へ、二年後の阿蘭陀商館長の江戸参府の下見に阿蘭陀通詞がやってきた。
お勢殺し 宮部みゆき
 天秤棒を担いだ醤油の行商をしているお勢。お勢と付き合っていた音次郎が犯人候補だがアリバイがある。茂七は音次郎が勢の着物を着て人目に触れたことを暴いた。

2020年7月15日水曜日

義賊・神田小僧 天竺茶碗

義賊・神田小僧 天竺茶碗 小杉健治
 巳之助は厳重な「亀田屋」から天竺茶碗を盗んだ。巳之助は九郎兵衛と三津五郎に茶碗を盗まれる。九郎兵衛は亀田屋に茶碗を売りに行くが、贋物だと言われ割られてしまう。
 教えられた巳之助は、九郎兵衛たちと一緒に、河村出羽守と亀田屋の繋がりを調べ、茶碗を盗みだし、本物の持ち主・出雲松江藩主・松平斉恒の元は茶碗を届け、調べたことを話した。
 御徒目付けの探索が入る前に出羽守は自害した。亀田屋は隠居百日の戸締まりの刑になりそう。

2020年7月13日月曜日

武士の流儀(三)

武士の流儀(三) 稲葉稔
 仏の顔 元掏摸の角蔵。清兵衛のおかげで足を洗い、染め物職人になったが、江戸に出て来て職が見付からずまた掏摸に戻りそうになった。清兵衛が助け職が見付かった。
 夫婦愛 清兵衛の若い時の知り合い・節が助けている小料理屋・白波が出来た。女将はたえ。清兵衛は妻・安江が疲れているようなので白波に通う。安江が寝込む。清兵衛は自分が病気だった時を思いだし看病する。
 悩む男 同心・宮川辰之進は深野勇次郎が自分を目の敵にする理由が判らない。桜木清兵衛に相談する。清兵衛は無口で武骨な深野が気に入りのおきみに、親しく酒を飲み笑い合うのが面白くないのだと言う。宮川に深野に何も言わず耐えろ。冷たい態度に笑って見過ごせと助言する。
 別れの涙 白波の女将たえが元亭主が店に来て困っていた。清兵衛が亭主のことを調べて来ないようにした。節は行徳の人に嫁いだ。清兵衛は苦労が報われたと言って送った。
 胴巻き 清兵衛は病人のような老人を助けた。行方不明の息子・浅吉を探していた。そば屋の奉公人だったがお金を持ち逃げしていた。父親が店にお金を返した。清兵衛が浅吉を探す。浅吉は頼母子講にお金を出していた。頼母子講の講元がお金を持ち逃げしていた。浅吉は講元を追いかけていた。清兵衛は講元を捕まえ親子を合わす。老人は病気だった。家を売ったお金で浅吉は店を出す予定で藤沢に帰った。

2020年7月11日土曜日

隠密船頭〈四〉 激闘

隠密船頭〈四〉 激闘 稲葉稔
 尾張町の糸問屋恵比寿屋に賊が押し入り二十人が惨殺され二千両が盗まれる。通いの手代や番頭がそれぞれの場所で殺されていた。担当同心は加納半兵衛。奉行の命で伝次郎は助に入るが、加納の反応は冷たい。
 伝次郎は店を辞めた貞という女と、店の前で店を見ていた浪人を手掛かりに犯人を見付ける。犯人たちを峰打ちで動きを止め捕まえる。犯人は、三年前、三千両を奪って逃げていた黒鉄の伊三郎だった。取り調べは白川と加納たちに任せた。
 伝次郎の手先・与茂七は手柄を渡して悔しがる。
 千草の店・桜川が開店した。

2020年7月7日火曜日

リンカーン・ライムシリーズ⑭ 

リンカーン・ライムシリーズ⑭ カッティング・エッジ ジェフリー・ディーヴァー
 ダイヤモンドカット職人が殺される。
 ダイヤモンドの岩石を盗んだように見せる。犯人の顔を見たかも知れない二人を必要に追う。
 ニュヨークの地下からダイヤモンドを含む岩石が出たことを隠すための殺人だと思わせる。
 本当の目的は、裁判所の近くで爆発を起こし出火させ、捕まっているエル・アルコンを逃すこと。
 二人は結婚している。

2020年7月1日水曜日

留萠本線、最後の事件

留萠本線、最後の事件 山本巧次
 トンネルの向こうは真っ白
 鉄道ファンの浦本は廃線前の留萠本線に乗車した。ハイジャック事件に巻き込まれる。乗員乗客4名と共にトンネル内に閉じこめられる。犯人は交渉役に道議会議員・河出を要求、身代金1億7550万円を要求する。
 犯人は河出の幼馴染み・宇藤だった。シナリオを描いたのは、浦本と一緒に人質にされた元信用金庫職員・下山。河出の企みで被害を受けていた。河出の悪行を告発するためのハイジャックだった。だんだん捜査側に気付かせるように持っていった。人質の二人の女子が動画を撮りメディアに流す。
 宇藤を逮捕に来たのは昔お巡りさんになると言っていた後輩だった。お巡りさんになり、事件の時、留萌の署長だった。定年退官した。宇藤をシン兄ちゃんと呼ぶ、阿方のマーちゃんだった。

2020年6月30日火曜日

黄昏坂七人斬り

黄昏坂七人斬り 門田泰明
 黄昏坂七人斬り 拵屋の銀次郎は夜鷹の塒に身を寄せる親子・美咲とお京を知る。夜鷹・豊を医者に預ける。美咲と京は寺に預けた。美咲は夫の仇・寺音肥前守武念を探していた。
黄昏坂でフェンシングを使う寺音と対峙する。突きで刺されながら寺音を倒す。
銀次郎・本名・桜伊銀次郎
 悠と宗次の初恋旅 これは読んだことがある。宿「東山」の娘・悠と東海道を江戸へ。大津の宿で終わる。
 思案橋 浮舟崩し 吉原の遊女・浮船。二代、三代の浮船が殺される。一代目浮船・夕の元許嫁・貴藤易次郎長良の思い通りにならない夕にたいする復讐だった。夕も貴藤に捕まり閉じこめられ八日間、辱められた。逃げ出した夕は宗次に助けられるが、夫・近江屋に帰れないと言う。宗次は貴藤が四代目浮船を殺す前に殺した。夕の絵を描き掛け軸にして、近江屋に行き詰まった自分を助けてくれていたと連絡をしなかったことを誤り掛け軸を渡す。
 苦難をこえて 宗次と美雪は大和から来る美雪のお祖母様を迎えに保土ケ谷の本陣に行く。祖母の計らいで二人の婚約が整った。
 宗次・徳川尾張藩主・光友の息子・宗徳
    曽祖母・淀殿 祖父・家光 実父・徳川光友
 くの一母情 宗次はくの一の娘・梅を預かっている。宗次は梅のために医者・柴野南洲に梅を預けた。梅を陰から見守っているくの一も納得した。
 残り雪 華こぶし 徳川家綱の忍び旅 

2020年6月28日日曜日

大江戸剣花帳〈下〉

ひぐらし武士道 大江戸剣花帳〈下〉 門田泰明
 上下すぐに読むつもりだったが、新型コロナウィルスのために数時間違いで図書館がしまり間が空いてしまった。
 
 宗重の父・酒井忠勝

 幕府瓦解を画策する反乱分子、立見流剣法、田宮流剣法の手練れと対峙する。
 大奥御座の間の庭園の塀の手前の堀の側で、忍び込んだ紅玉屋平六と宗重の戦いは始まった。平六は倒れた。宗重は自身の刀の峰で頭を打ち気を失った。七日後目を覚ます。

2020年6月26日金曜日

新・秋山久蔵御用控〈七〉 小糠雨

新・秋山久蔵御用控〈七〉 小糠雨 藤井邦夫
 賞金首 雲海坊は、博打打ちと浪人におわれている、傷を負い逃げている中年浪人を助けた。八王子の千人同心・高杉弥十郎だった。色男にだまされ連れ去られた娘を探していた。色男・長次郎は、御上から手配され逃げる者を匿うことを仕事にしている者たちに匿われていた。長次郎と一緒に逃げ江戸で売られ死んだ娘の父親が長次郎に賞金を付けていた。秋山久蔵は匿う者を捕まえ、匿われている者を捕まえ、高杉の売られた娘も見付けだした。
 追う娘 久蔵の息子・大助は幼馴染みの娘・佳奈が背の高い浪人を追っていいるのを見た。後を付け、人足に絡まれたところを助けた。次の日、佳奈の家を見張っている浪人の後を佳奈がまたつけた。佳奈は北町奉行所例繰り方同心・岡島左内の娘だ。久蔵は浪人・氷川を調べる。氷川が岡島左内を殺そうと屋敷に踏み込んだ時、勇次、由松、清吉に邪魔をされ秋山に取り押さえられた。岡島は例繰り方与力・松永と、湊屋文五郎との御禁制品のやり取りを見てしまった。岡島を殺そうとしたのだった。松永は切腹した。松永家は家禄を減知され、湊屋は取り潰し、文五郎と氷川は死罪になった。
 小糠雨 旗本・土屋監物は茶道具屋等から道具類を騙し取っていた。文句をいう商人に毒を盛る。毒を調合した医者を家来に命じて殺した。医者殺しを和馬たちは探索していた。土屋の家来の一人・小西は医者殺しがいやで逃げた。逃げた先は監物の兄・刑部が命じて秋山を殺そうとして殺された家来の妻・静乃の所だった。静乃の勧めで秋山の所へ行く。秋山は二人の家来を捕まえ、土屋の悪行を目付け・榊原蔵人に届けた。監物は切腹、土屋家は取り潰し、二人の家来は死罪、自訴した小西は江戸払いになった。
 駆落ち 元親分・弥平次と孫の平次は、行き倒れのような侍を助けた。元気になって出ていったが殺されて見付かった。侍は坂本秀平と名乗った。が、侍は妻と駆落ちした坂本秀平を探していたのだった。見付けた坂本秀平に斬られていた。調べた結果、関川と結婚して二ヶ月、妻・志保は、納戸方組頭の村上いる江戸に行くためにに家来の息子を誘い、江戸に来た。志保は村上の用意した仕舞屋に住んでいた。久蔵は牛久藩の留守居役に知らせた。村上は役目を利用して茶道具屋に便利を計る約束をし公金を使い込んでいることが発覚した。切腹した。坂本は死罪。牛久藩は志保を国許の関川に戻した。
 

2020年6月24日水曜日

新・酔いどれ小藤次〈十六〉

新・酔いどれ小藤次〈十六〉 酒合戦 佐伯泰英
 紙問屋久慈屋の隠居が、愛宕権現近くの天徳寺の隠居所に引っ越した。鈴はおりょうの「鼠草紙」が出来上がり、篠山に帰ることになっているが、久慈屋の奥向き女中として働くようになった。
 駿太郎は、赤目小藤次の同年齢の子供との付き合いが必要という考えから、八丁堀の子弟が多く通う桃井道場に通うようになった。
 小藤次は桃井春蔵に真剣勝負を挑んできた道場破りを待ちかまえ先に勝負をする。タイ捨流の修行者だが、江戸で名を上げたいために小藤次に勝負を挑んだ。河原で竿で突かれた大蔵内山門隠士は負けた。大蔵内は納得せず、後に望外川荘に来るが負け死ぬ。
 勾引かしと思い近藤同心や秀次親分を助け犯人を捕まえた。女たちは小十郎と旅をするつもりで集まっていた。小十郎たちは上方で女を売るつもりではあったが。一人、直は暴れたために殺されていた。
 吹き上げ花見に小藤次とおりょうは誘われた。小藤次は将軍と大奥の女子衆の花見に、「鼠草紙」をお披露目しても桜に目が行くだけと心配していた。小藤次は大杯で酒を呑み別室で仮眠、おりょうは琴を奏でながら鼠草紙を語る。
 

2020年6月22日月曜日

京都寺町三条のホームズ 14

京都寺町三条のホームズ 14 望月麻衣
 〜摩天楼の疑惑〜
 真城葵は滝山利休と好江と共にニューヨークに行った。世界的な女性キュレーター、サリー・バリモアの女性キュレーター育成の一環で招かれた。待ち受けていたのは厳しい試験だった。葵は特待生に残り、他の二人と企画展示のプロデュースすることになる。
 葵はサリーの師匠でもあり、清貴も師事しているトーマス・ホプキンスから、サリーと篠原陽平の25年越しの仲違いの理由を調べて欲しいと相談を持ちかけられる。
 葵は25年前に闇取引所・アルダリーで売りに出されたフェルメールの絵を本物と鑑定した篠原に対して贋物と鑑定したサリーがいたことを突き止める。葵は篠原にサリーは篠原を守ったのだろうと言う。
 葵は誰も篠原の所有とは知らないが、いつどこで知られるか判らない。サリーは篠原のことを考えていた。絵は篠原の物で篠原が鑑定して篠原が儲けるという構図にならないようにしたのだ考えた。
 特待生の展示会のオープン前日のプレオープンパーティに、篠原が現れ、篠原はサリーに心配してくれていたのに妨害されたと逆恨みしていたことを誤った。ふたりは和解した。
 葵たちの展示会も好評だった。三人のまるで違うジャンルを影響し合ってつながっていることを見事に表現していた。葵は利休の幼馴染み・遙香の父親の店の和傘を使った。今回、ただの幼馴染みだった利休と遙香は彼氏・彼女になった。
 清貴が駆けつけた。パーティを抜け出した。
 葵はもやもやしていた清貴に対する気持ちが晴れていた。清貴に対する嫉妬があった。好江が遠すぎる相手には嫉妬しない、嫉妬を覚えるほど近くなったということと言ってくれた。また今回清貴のいないところでやったことで自信も持った。
 清貴は葵がニューヨークへ留学することを覚悟した。サリーからの誘いもあったようだ。
葵はホームズに教わりたいと言った。ひよっこのこの大切な時期にニューヨークで勉強するよりもホームズの教えを受けられなくなる方が私にはもったいない。私はあなたといたいです。ホームズはあなたにそう思い続けてもらうために頑張ろうと思う。
 葵は上海の出来事を小松からのメールで知った。円生のことも知った。
 掌編 流した想い 宮下香織はいい人だと思うが、小日向圭吾を恋愛対象に考えられない。梶原春彦に会った。彼は香織たちの先輩・目黒朱里に別れを告げられて泣いていた。
 

2020年6月20日土曜日

京都寺町三条のホームズ 13

京都寺町三条のホームズ 13 望月麻衣
 〜麗しの上海楼〜
 梶原秋人の後輩のオーデションの謎解きを助けてくれと頼みに来たが、後輩の彼女たちは自分の考えを監督に話すと言い、ホームズの意見を聞かなかった。
 ジウ・イーリン請われ、家頭清貴は円生と小松と共に上海に行く。ジウ・ジーフェイが「世界至極の美術展」を企画するにあたり贋作を展示するわけにいかないので鑑定をして欲しいという依頼だった。祖父・家頭誠司にきたはなしだったが誠司は清貴を推薦した。
 ジウ・シュエンの個人的な、曜変天目の鑑定において、清貴が贋物と鑑定した時、円生が、自分は焼き物の鑑定が出来ないと鑑定士になることを拒んで席を外れた。
 清貴に菊川史郎から電話が入り、葵の後ろ姿の写真が送られてくる。葵はニューヨークに着いたところだった。葵を人質にされ、アイリー・ヤンの相手をすることと、高宮氏が出品している蘆屋大成の作品を持ちだして欲しいとお願いされる。ジーフェイが蘆屋大成の作品が大好きで、取り入られるために家頭誠司が本物と鑑定した作品を見付けだし打った物が贋物と鑑定され、史郎は出入り禁止になっていた。本物の高宮氏が持っている蘆屋大成の作品を盗めと言っている。
 蘆屋大成に付いて調べる。高宮氏と誠司は初期の大成の作品を知っている。描いているところも見ている。大成を売れなくて一時、描けない時期があり、後に描いた絵をジーフェイが気に入ったようだ。
 清貴は円生に葵が人質になっている、葵のために一枚絵を描いて欲しいと頼み円生は絵を描く。その絵を高宮氏の絵として史郎に渡した。史郎は大成の本物と鑑定され満足する。史郎の通報で清貴は盗みの疑いで逮捕される。葵の監視を解かれてから、清貴は釈放され、強奪がなかったことを知らされる。蘆屋大成は円生の父親だった。初期は父親、後期の作品が少し売れかけた時、父親が亡くなる。円生は父親の変わりに絵を描いていた。円生は父親の雅号を知らなかった。その後、贋作の世界引きずり込まれたため絵を描かなくなっていた。
清貴は円生が描いた絵を一枚持っているため蘆屋大成の絵を見て円生の絵だと判った。
 すべてが明らかになった。蘆屋大成の絵は前期と後期があり、後期の作品には息子の手になる絵が含まれる。円生が蘆屋大成だったと知れ渡った。清貴がそうなるように仕組んだ。
円生は絵を描くことにしたが、蘆屋大成の名を使うことは拒んだ。
 展示会プレオープンが終わるとすぐ、清貴はニューヨークへ飛んだ。

 

2020年6月18日木曜日

大衆文藝評判記

大衆文藝評判記 三田村鳶魚

2020年6月16日火曜日

百万石の留守居役〈十四〉 愚劣

百万石の留守居役〈十四〉 愚劣 上田秀人
 将軍綱吉との謁見後も江戸に留まる加賀の宿老・本多政長の動向を探る者がうごめきだす。
 能勢数馬は政長に同行し、本多家と吉原の関係を知る。江戸に色街を作る許可を与えた家康に、色街のことなど構うなと進言した者がいた。本多佐渡守(政長の祖父)が、天下人が約束を反故にしてはいけないと忠告し庄司甚内が吉原を作った。本多様は吉原の恩人だと言う。
 政長と数馬、供の刑部と石動庫之介は、吉原内で越前福井藩松平の留守居役須郷に頼まれた者に襲われる。それらの者を討ち放した。須郷は吉原内では何もしてもらえなくなり、数馬はいつ何時でも何度でも何でもすると言われる。
 加賀では政長の留守に、不平分子反逆分子が政長の息子・主殿を神輿に集まりだした。一番元をあぶり出そうと見張っている。殿・綱紀と主殿の妻の父・前田家本家前田孝貞。前田孝貞と本多は仲が悪いと思われている。主殿は暢気な若様振りだ。
 そんな主殿の所に、越前福井藩松平の次席家老・結城外記が綱昌が数馬に書いた詫び状を返して欲しいとやってくる。主殿は数馬は江戸だし、詫び状は殿・綱紀のところにあると言う。殿様に会いたいと頼まれる。

2020年6月14日日曜日

燃ゆる想ひを

燃ゆる想ひを 鈴木輝一郎
 慶長五年。伊吹山で薬種問屋を営む不破屋の女主・とき31才。子供はいない。関ヶ原戦い前日、突然、養子の夫に外に子供がいることを知らされ、母親が亡くなり連れて来られる。夫と息子・作之助15才は徳川方の薬師として戦いに従軍する。
ファザコンのときの微妙な精神時に関ヶ原の戦いが終わり、落ち武者を匿う。切支丹の地位のありそうな落ち武者、晏牛頭天王と名乗り、誰とも判らず介護をし、恋をする。緊急時に現れ助けられる。恋をした相手が小西摂津守行長と判る。小西行長は捕まり処刑された。
 行長が弥九郎と名乗っていた頃、堺の薬屋魚屋の総領だったころ、夫は魚屋にいた。弥九郎様はよくしてくださったと懐古する。

2020年6月12日金曜日

江戸の御庭番〈5〉 はぐれ忍び 

江戸の御庭番〈5〉 はぐれ忍び 藤井邦夫
 隠密・倉沢喬四郎の使命は、何者かに奪われた謀反の連判状を取り戻すこと。百年余り前の二代将軍秀忠公を亡き者にしようという企てに加わった起請文の連判状の巻物だった。
 盗んだのは出羽忍び、脅迫されている仙台藩の鬼首衆が反撃する。出羽忍びを使っているのは水戸藩主の父親の弟だった。
 喬四郎は鬼首衆と戦う出羽忍びから連判状を奪い取り燃やす。水戸の隠居を殺す。水戸の隠居に情報を流していた徒目付組頭・早見小五郎を殺す。早見の妹は喬四郎の父の親友の恋人だった。早見の正体は証されず死んだため、二人は一緒に暮らし始めた。

2020年6月10日水曜日

時代小説が書きたい! 鈴木輝一郎

2020年4月28日火曜日

「鬼平犯科帳」の真髄

「鬼平犯科帳」の真髄 里中哲彦
 また、全編読みたくなった。
 2013年に完本池波正太郎大成4〜7で読んでいた。
 そうだ最後はおまさが誘拐されたまま途中で終わっていた。
 あれからテレビの再放送を見て題を見ると話が分かるようになっているが、テレビと本では細かいところが違う。筋を追うだけでなく、細かいところを読みたくなった。

2020年4月23日木曜日

鬼役〈二十八〉 黒幕

鬼役〈二十八〉 黒幕 坂岡真
 苦肉の毒 将軍家毒味役・矢背蔵人介は、蒸し鮑に烏頭の毒を感じた。新参の御膳所同心・内間源六が自白した。蔵人介は内間は捕まり目付けに訴えたいことがあるのではないかと考えた。蔵人介は調べる。誰かに導かれるように調べが進む。内間は兄弟で、津軽家の隠密だった父が探りだしたがために殺された仇を討つために、父の探りだしたことを調べ、仇が誰であるかを調べた。津軽藩の父の上役の重臣と商人・菱川屋利平と元津軽藩士現在幕臣・犬山軍兵衛が組み、御用船を難破に見せかけ、禁制の俵物を秘かに掠めとっていた。清国へ密輸し莫大な利益をあげている。六年で六艘にもなっていた。
 蔵人介は三人を倒したが、裏で利益を得ていた黒幕は分からなかった。内間の残された妻子と兄・源五を引き合わせた。
 おしどり 蔵人介は甘鯛を買いに行き、俵田三左衛門と出会う。元上総国久留里藩の藩士だった。十二年前、妻を辻斬りに殺され今は仇を探していた。
 甥を遺恨試合の果てに殺され、久留里藩の重臣の息子に果たし合いを挑んだ。重臣の息子・貝須賀忠弥は藩の鉄砲隊を連れてくる。見届け人・蔵人介はその場で俵田の妻・寿美を殺したのが忠弥であることを暴露する。忠弥もその時の事を話し、自分の父親と寿美の兄・佐久間が役人を使って隠蔽したことを話した。俵田を藩に居れないように画策したのも父親と忠弥だった。忠弥の撃ての命令に鉄砲隊は動かなかった。俵田は忠弥を倒すが、佐久間が鉄砲を放つ。俵田が倒れ、佐久間は自害する。
 公方様に初見を願う者が百名を超え目見得の儀式が催される日、奏者番の一人・黒田豊後守が頼りにしている久留里藩の重臣貝須賀大膳が厠で吐瀉物を吐いて亡くなった。
 柊侍 築後国柳川藩の留守居役・薦野作兵衛が、詰所に立てこもった。無理筋の普請御用の撤回の要求のため勘定奉行有田筑前守定兼さまを連れてきてほしいというものだった。年貢増収のため短い検地竿を使ったことを知られ、百姓の四万人の蜂起になったことで謹慎していた有田は夜、城中にやってきた。矢背も同席する。薦野が聞く。何故、津軽藩に決まりかけていた普請御用が柳川藩に変わったのか。柳川藩の名を出したのは誰か。有田が菱川屋と蜜月だったことは分かっている。分け前はいくらでしたと聞く。有田は黒幕の名を出す前に正気を失い部屋から出た。有田は蟄居になった。
 次の日、蔵人介は薦野から十六才の藩主・立花鑑備が亡くなった三才上の兄の替え玉で、江戸家老・原尻監物は鑑胤を藩主に付けようとしているために鑑備を殺そうとしていることを聞く。薦野は鑑備の命を護るために騒ぎを起こした。薦野は部屋を出た。
 鑑胤の母親の実父は御側御用取次、宇郷対馬守だった。津軽藩の黒幕も検地竿の黒幕も宇郷だった。柳川藩の石炭に目を付けたのだった。
 鑑胤が将軍御目見得の日、原尻監物と萩の方が殺された。
 側衆詰所脇の穿鑿部屋で宇郷と闇丸が死んでいた。
 薦野は切腹した。
 

2020年4月21日火曜日

禁裏付雅帳〈九〉 続揺

禁裏付雅帳〈九〉 続揺 上田秀人
 禁裏付役屋敷に押し入り捕縛された南条蔵人は、身柄を京都所司代にあった。二条大納言は裏で操っていたことが露見することを恐れ、今は機能していない検非違使別当・勧修寺経逸を使い引き取り、南条の自宅で蟄居謹慎になった。
 東城典膳正を見張っている松平定信の家臣・津川一旗と霜月織部は東城の真意を確かめるため、南条家に押し入り、蔵人を拉致し東条家に連れてくる。困った東城鷹矢は駆仕丁・土岐の勧めでもう一人の禁裏付役人・黒田伊勢守の屋敷の前に放り出す。
 刺客業・砂屋楼右衛門のもとにいた浪は、土岐に助けられ主上に使えるため閑院宮家で行儀作法を習っている。桐屋利兵衛が浪を探している。
 東城鷹矢はお庭拝見をし、光格天皇に会う。光格天皇のあまり朝廷に負担をかけてくれるなと言う言葉を江戸に伝えると約束する。定信の家臣も言い負かしたし、定信に表立って敵対する覚悟を決めた?

2020年4月19日日曜日

長屋道場騒動記【六】迷い熊匿す

長屋道場騒動記【六】迷い熊匿す 芝村凉也
 間野生馬は仁蔵親分に頼み、自分たちが巻き込まれている大名のことを探ってもらった。同心・反町は、仁蔵に「お前は好きにしな」という言葉を掛けていた。恵比寿屋・与惣兵衛の頼みでもあった。娘・君は十河藩の姫様だと思われた。
 十河藩の先々代の殿様は身体が弱かった。嫡男が居たが身体が弱く、心配した殿様は養子を迎えた。嫡男が元気に育ち殿様に就いた。養子には三嶽藩の殿様になった。十河藩の殿様には妾の子・耕太郎がいたが実子と認められていないうちに殿様が亡くなった。三嶽藩の殿様の次男を養子にする話が起った。耕太郎は藩邸をでて跡目争いから身を引いたが、十河藩は二つに割れた。三嶽藩からの養子が十河藩の現殿様だ。耕太郎に付いていたのが剣術指南役だった生馬の父親・源心だった。生馬の父親から与惣兵衛が預かったのが君だった。二十年前の話だ。耕太郎が亡くなり源心は恵比寿屋を守り道場を開いた。
 十河藩の殿様は今、体調が思わしく無い。子供もいない。また三嶽藩から養子の話が起った。十河藩は揉めている。三嶽藩からきた家来の評判が良くない。三嶽藩へのお金の援助が多い。金食い虫になっていた。十河藩は二万一千石だが、名産は煙草、杉や檜を売り、牛を育て、銅山まであり財政は豊かだった。三嶽藩には養子に入ることは藩の存続がかかるほどの重大事だった。
 何者かが、与惣兵衛を狙い、生馬に真剣勝負を挑んでくる。十河藩の御国派は知ったところだ。十河藩には御国派と御為派に別れていた。三嶽藩の名を使い画策しているのは御為派か。三嶽藩の江戸家老と留守居役が君の存在を知った。姫だと思っている。
 生馬も与惣兵衛も大名家の凡を知った。
 生馬は千葉周作から、不安を晴らす助言を貰う。
 御為派は三嶽藩が動くように画策する。三嶽藩は君を勾引かそうとするが、生馬と千葉兄弟に阻止され捕まる。
 御為派は何か切り札を持っているようだ。
 
 

2020年4月14日火曜日

狸穴あいあい坂⑧ 嫁ぐ日

狸穴あいあい坂⑧ 嫁ぐ日 諸田玲子
 ツキエ 小山田家は無役になり、狸穴の坂上にあった屋敷から坂下の小家に引っ越す。香苗が生まれる。遠縁のお婆さまは亡くなった。
 幕間 結寿の夫・萬之助が風邪をこじらせ亡くなった。弟・新之助が家督を相続、御先手組へ復帰する。結寿は三才年下の新之助の嫁に請われる。結寿は香苗と祖父の所に戻る。
 花の色は 3年後、新之助が結婚。口入れ屋の弟・弥之吉は恋をするが、女・すみは逃げた。すみには夫がいた。夫から逃げていた。結寿は知らない間におとり捜査に加わっていた。盗賊を捕まえようと一緒に行動していた安岡が盗賊一味だった。妻木道三郎に助けられ、安岡を捕まえる。
 水と油 小者の百助の伯母が病気らしい。伯母のことを知っている吉原の山吹に会いに行くと山吹が殺されていた。妻木が担当していた。亀山楼を訪ねた結寿は殺しの原因と犯人を見破り知らせた。百助は伯母と別れができた。叔父は墓ができるとどこかへ行った。
 いらない子 小山田家に香苗7才を預けた。香苗は家を出たところで大道芸一座に連れられた。子供が5人いた。香苗は見つけ出された。道三郎と息子・彦太郎がいた。
 それぞれの道 ゆすら庵にサキチ、トビマルが預けられた。ヨウマは薬問屋に奉公に出た。ヤチは口入れ屋で行儀作法を仕込まれている。結寿は香苗を助けてもらったお礼に彦太郎に頼まれて家の掃除に行った。ヤチはりゅうが打ち首になるのは可哀想だと言って粽に毒を仕込んだ。りゅうは食べないで死んだ。サキチは五年前にさらわれた実家に戻った。心労で母親は亡くなり、父親も商家を手放していた。サキチを送った後道三郎と結寿は狸穴坂で二人の気持ちを確かめ合った。
 嫁ぐ日 下っ匹の乙吉が商家の若旦那殺しを自訴した。若旦那は乙吉の恋人・親分の娘・なみと縁談が整っていた。乙吉はなみが犯人と思っていた。乙吉が狸穴坂にいたことが判り解き放たれた。犯人は若旦那の仲間・商家の若旦那だった。
 結寿は八丁堀へ嫁いだ。祖父の祝いの宗仙の狸穴を描いた屏風の前で祝言を挙げる。

2020年4月11日土曜日

栄次郎江戸暦㉓ 致命傷 

栄次郎江戸暦㉓ 致命傷 小杉健治
 田宮流抜刀術の達人で三味線の名手・矢内栄次郎は、「江戸屋」の娘・糸に五年前に「守田屋」のおそめを巡って諍い、わたしの兄を殺してしまった清吉さんが戻って来る。父が仇をとろうとしている。父を人殺しにしないよう清吉を護って欲しいと頼まれる。
 栄次郎は清吉を匿った。五年前、許嫁だったおそめに江戸屋の欣三が横恋慕し、清吉と諍いになった。欣三が倒れた。頭を打って死んだ。その場で清吉の兄弟子・安蔵の提案で清吉は江戸を離れた。五年経ちほとぼりが覚めたようだと言う手紙を貰い清吉は帰って来た。
 清吉の行きそうな所には江戸屋の者がいた。清吉を探している者がいる。十手持ち・勘助の下っ匹・八十吉が清吉を追っていて殺された。清吉が殺したと追われるようになった。
 栄次郎は八十吉殺害犯人は清吉ではないと真相究明していて分かった。
 五年前の犯人も八十吉を殺したのも清吉ではなく安蔵だということ。安蔵はおそめと所帯を持って守田屋の婿養子になっていた。生まれたばかりの子供がいた。犯人は安蔵だと思うが証拠が無い。清吉に殺したと思っていた欣三が死んでいなかったこと。清吉が逃げてから欣三が立ち上がり安蔵が殺したこと。これは致命傷が額の傷だったことで明らかになった。それを見ていた八十吉に強請られていたために八十吉を殺したこと。
 清吉が捕まり、清吉と同心・木戸松次郎と岡っ引き・勘助に話す。清吉は、今まで八十吉を殺していないと言っていたが、欣三殺しも八十吉殺しも自分だと自白した。木戸同心がなかなか牢送りにしない。栄次郎は八十吉の言葉を持って安蔵に会いに行く。栄次郎が調べだした真相と証拠がないことと、清吉が自白したこと、安蔵とおそめに遠くから見守るから幸せになってくれという言葉を残したことを伝える。
 夜、安蔵が自訴してくる。一晩、清吉と大番屋の仮牢に留まり、翌朝安蔵は牢屋敷に送られた。
 自由になった清吉は、おそめに会い、江戸屋に行った。
 栄次郎は兄・栄之進と、破談になりかけていた兄の縁談相手の父親・旗本大城清十郎と会った。大身旗本の娘・美津には縁談の話がいくらもあるが、他家との関係が悪くなるようで、全くかけ離れたところと思い岩井文兵衛に相談したとのことだった。美津も気に入り栄之進も気に入っている。縁談が進むことになった。
 
 

2020年4月5日日曜日

あきない世傳金と銀〈八〉 瀑布篇

あきない世傳金と銀〈八〉 瀑布篇 高田郁
 幸たち五鈴屋の者は小紋染を町人の物にしようと頑張っていた。他の店も小紋染を手がけるようになった。
 麻疹が蔓延し商いは停滞した。
 八代目にしようと思っている賢輔に養子の話がくる。賢輔を慕う、幸の妹・結に両替商音羽屋から結婚話が来る。どちらも断るが音羽屋は手を引かない。
 五鈴屋に公儀から上納金千五百両を命じられる。相談に行った両替商の蔵前屋で紹介されたのは、本両替屋の井筒屋三代目・保晴だった。保晴は五鈴屋五代目徳兵衛こと惣次だった。上納金の支払いに頭を使え、悪い奴ほど阿呆なふりが上手いから気いつけよとアドバイスする。五鈴屋にの跡取りとは関わりを持たないということも。
 前例のない上納金の三分割支払いを認めてもらった。一回分五百両と献金分を支払った。お金を借りた場合の利子分を献金として払う。
 八代目が周助に代わる承認を得た。賢輔は未だ若く九代目に付けるための道を付ける。
 新しい男柄の小紋の型紙ができ上がった。朝、結が堪忍の書き置きを残して型紙とともに消えた。
 

2020年4月4日土曜日

お鳥見女房 別れの季節

お鳥見女房 別れの季節 諸田玲子
  勝手に7で完にしていた。2016年1月28日に戻りを取り消す。何故完にしたのだろう。
この本を見た時うれしかった。諸田さんのもう一冊、狸穴あいあい坂も一緒に見付け飛びついた。久しぶり。

 嘉永六年の大雪 鳥見役の久太郎たちは鷹匠たち一行と合流し大雪の中、お鷹狩りの鷹を八王子に運ぶ。途中で大雪で立ち往生し、探し当てた避難場所は博徒の隠れ賭場で博徒に捕らわれた。珠世は博徒の首領が呼ぶ近藤周助と話を付け次期道場主の島崎に助けられ鷹を無事八王子に運んだ。
 大鷹の卵 春過ぎ、大病の後、三河に帰った藤助の作った刺し子の巾着を十ほど持って沙耶の三才のお祝いに親方の息子・乙吉が来た。
 護国寺の喬木に大鷹が巣をかけた。恵以と秋は大鷹の巣を見に行き、悪ガキと言われる捨吉と元木勇五郎を見る。捨吉を捕まえている同心から元木は捨吉を助けた。元木は安藤長門守の家来で寺社奉行の小検使に抜擢され、家柄見た目性格非の打ち所の無い若者だった。秋は元木との縁談を断ったところだった。捨吉兄妹は元木の紹介で石屋に預けられた。梅雨の頃、元木は妬まれ足を引っ張られお役を解かれた。秋は元木との結婚を決めた。
 乙吉が藤助そっくり格好で藤助のかわりに一日だけしゃぼん玉売りをやった。乙吉が藤助に沙耶に見せてやるように言われていた。捨吉とちか兄妹も招き、秋の縁談が決まった祝いもできた。
 黒船 浦賀沖に黒船が四隻来た。源次郎は浦賀へ行き、品川へ行き、象山塾へ行き、源次郎は自分が成すべきことが分からない。
 御殿山 綾が男児・新十郎を生んだ。永坂家の義父の甥の息子・光之助4才を養子にしたいという話があった。元々永坂家を継ぐ予定だった義父の甥が残して家出した赤子だった。綾と久之助は自分たちの子として育てていた。綾が出産のため矢島家に行っている間に話の養家・片岡家に連れられていた。片岡家を一人で出た光之助は御殿山が切り崩され打撃を受け揉めている元締めに連れて行かれた。判之助と恵以は光之助を探し出した。元締めはどこの子か探すつもりだった。片岡家は探しもしなかった。元締めは訴えられ島送りになった。光之助は養子に行かなかった。
 天狗の娘
 別れの季節 源大夫、多津夫婦、雪、源次郎、多門が小田原に帰ることになった。源太郎の祝言が終わり、稲垣家家臣になった。源大夫は隠居し、小田原の石塚家を継ぎ大久保家の家臣になる。鷹狩りに見せられた多門は将来帰ってきて矢島家に養子に入ると言った。
 
 

2020年3月31日火曜日

萬福寺の普茶料理

萬福寺の普茶料理 黄檗山萬福寺・監修 調理黄檗山萬福寺典座
   隠元禅師が伝えた中国風精進料理を家庭で味わう
また会いたくなる京の桜 写真・水野克比古
   京都を愉しむ
五木寛之の百寺巡礼 第九巻京都Ⅱ ガイド版
京都半日とっておきの散歩道
   四季折々の物語を訪ねて 若村亮+らくたび
京の町家小路散歩
   通り名唄に誘われて歩く京の路

京都の観光客が少ないということで、四月二日三日と京都に行こうと計画した。萬福寺の普茶料理を予約した。宇治の平等院と伏見稲荷か東福寺。二日目はトロッコ電車の予約をした。亀岡へ、保津川下りの船で嵐山へ、桂離宮か石清水八幡宮とか、高台寺に行ったことがないとか。住んでた二条城あたりをぶらつくかとか考えたが、駄目になった。四十年前ぐらいの観光客の人数と考えていたが、新型コロナウィルスのために不要不急の出歩きを止められた。頭の中での京都旅行になってしまった。料理本を見る。食べたかった。息子がホテルの予約もしてくれたのに・・・・。
   

2020年3月25日水曜日

新・居眠り磐音 初午祝言

新・居眠り磐音 初午祝言 佐伯泰英
 初午祝言 安永九年 1780年
坂崎磐音 こん 空也が紀州高野山の隠れ里にいる頃、品川柳次郎と有の祝言が行われた。
 幻の夏 深川唐傘長屋に住むそめは、母親の出産時、初めて母の実家に行った。祝福されない婚姻であった母親は針の莚だった。妹が生まれ深川に帰る。平井浜の夏はないものだったと母親に言われる。そめは網元の婆様に絵を描くことを教わる。
 不思議井戸 笹塚孫一の父は公平無私・謹厳実直な与力だった。見習い与力の孫一17才の時、父親中右衛門が牢の中で自殺した。南町奉行・井筒伊豆守重里は長崎奉行に付くために商家から金集めをした。邪魔の中右衛門を内与力筆頭の井筒の家臣が殺した。孫一は与力を続けるためには五十両を要求する内与力筆頭を殺し、海に繋がる慶光院の井戸に落とした。
 用心棒と娘掏摸 向田源兵衛が殴られやになるきっかけ。熱海で江戸の掏摸の親子を実父旗本日比野から守る。
 半日弟子 刀研ぎ師・鵜飼百助の弟子になって刀を届ける。悪党旗本火消し役石室飛騨守に刀を届ける。明らかになった悪行とともに村正所持を速水左近に伝える。
 

2020年3月24日火曜日

楡の墓

楡の墓 浮穴ミミ
 楡の墓 さとほろの開拓。明治に変わる。兵部省出張所石狩国開墾掛になった大友亀太郎。四里の水路を引き枝別れして整然と区割りした敷地のすみずみまで水が行き渡り三十年先を見て農地を開墾し、人を育ててきた。中心部に本部建設するという。開拓使と大友の開墾計画とは相容れない。大友は北海道を去った。
 雪女郎 開拓判官・島義勇。旧佐賀藩士。明治二年十一月。札幌入り。急ぎすぎた。冬に本府をたてようとする。大友の言う本府の場所の再考も駄目、大友の意見は聞き入れない。大友は去った。明治三年二月、独断専行し、財政の窮乏をもたらしたかどで、罷免された。
明治五年秋田県の県令になる。八郎潟の開港、土木工事、県庁舎移転、医院洋学校の充実・・・予算を中央政府に要求し、走りすぎて、県令を免官となる。鎮撫のために佐賀に行き、戦闘に巻き込まれた。佐賀裁判で斬首を言い渡される。
 貸し女房始末 役所に永住を願えば家作料百円が貸し付けられる。金を借りるには女房がいる。ふきは貞吉に言われて何度も貸し女房になった。その時知り合った役人・岡部に見込まれ、役所を辞めた岡部が始める女郎屋の女将になる。島の後の岩村通俊半官は、区画整理に邪魔な草葺き小屋を一掃するために御用火事を起こし焼き払った。薄野に集められた。岩村半官は職を解かれ北海道を去った。
 湯壷にて 開拓大判官・松本十郎。根室開拓判官を堅実な方策で治めた。札幌判官になる。樺太から引き上げてきたアイヌの人たちの住む場所、宗谷あたりに決まっていたものを開拓使は石狩の対雁に移住させようとした。役人が無理やり銃器で追い立て強制移住させたことを知った後、松本判官が職を辞した。
 七月のトリリウム 開拓使御用船・玄武丸で開拓長官・黒田清隆とマサチューセッツ農科大学長ウィリアム・スミス・クラークとウィリアム・ホイーラー25才、デビット・ピアース・ペンハロー22才が札幌にやってきた。人格教育のために聖書をつかうことを許可した。

2020年3月21日土曜日

女系図でみる驚きの日本史

女系図でみる驚きの日本史 大塚ひかり

2020年3月19日木曜日

手跡指南所「薫風堂」①

手跡指南所「薫風堂」① 野口卓
 2017年 6月20日参照

2020年3月17日火曜日

シロウト夫婦のきょうも畑日和

シロウト夫婦のきょうも畑日和 金田妙
 家庭菜園はじめました

わたしも同じようなことしている。わたしは、今年は来年の
練習だからと思ってやっている。

2020年3月15日日曜日

切り絵図屋清七 冬の虹

切り絵図屋清七 冬の虹 藤原緋沙子
 同業者・近江屋が紀の字屋の職人の引き抜きをする。近江屋は詐欺のような手口で店や屋敷の乗っ取りをしていた。主人の愛人で陰の仕事のことを知っている女を殺す。犯人を紀の字屋の絵師・与一郎に仕立てる。牢に入った与一郎をみんなで助ける。
近江屋の主人は昔、紀の字屋の主人籐兵衛が御徒目付けの組頭だったころ、詐欺に加担していたことが分かり追放した男だった。近江屋徳兵衛、番頭、手代等が捕まった。
 籐兵衛は亡くなった。清七はゆりと一緒になって紀の字屋を継いだ。

2020年3月11日水曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑥

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑥ 北からの黒舟 山本巧次
 ロシアの船員・ステパノフは日本・鉾田に漂着し捕まる。逃がされ江戸市中を逃げるが、ゆうたちに捕まる。世話係になったゆうは現在科学を使いこなす宇田川の協力でステパノフが英語を使うアメリカ人であることを知る。ロシアの商人と日本の外交官を繋ぐためにやってきたステパノフだったが失敗し、ロシアの商船に送り返されることになる。
 ステパノフは漁船が漂流し南の島で生きていた日本人・与乃吉と友となり最後を見取っていた。与乃吉に預かった物を遺族に渡して欲しいとゆうはステパノフからお守り袋を預かる。与乃吉が鉾田の漁師だった。そのためにステパノフは鉾田にきたのだった。ゆうはお守り袋を渡した。
 ステパノフの事件は無かったことになった。

2020年3月9日月曜日

突きの鬼一⑤ 雪崩

突きの鬼一⑤ 雪崩 鈴木英治 
 百目鬼一郎太・月野鬼一は美濃北山上屋敷にいる静に会いに行く途中、両替商澤野屋が押し込みに襲われているのを見る。押し込みを捕まえる。
 一郎太を殺すために江戸に出てきた羽摺りの頭の気配を感じる。
 静から母親・桜香院が北山の飛び地領・伊豆諏久宇村に何かしようとしていることを聞く。
 黒岩監物を見張っている蟋蟀弥祐から、桜香院が諏久宇を幕府に返し次男・重二郎を藩主に据えることを願いでようとしているため羽摺りに桜香院を殺すよう命令したことを知った。監物は諏久宇領の寒天の利益を三軒の商家から貰っていた。
 一郎太は、桜香院に会い、諏久宇が北山にどれだけ大切かを話、自分は隠居願いを出すので重二郎が藩主になることを話し、叔父・安部丹波守に願い取り下げの手紙を書いてもらい届ける。国許の4才になる重二郎の息子・重太郎が病気になったことを知る。
 監物は桜香院が諏久宇領を幕府に返さないとしても桜香院を殺すことは決まりのようだ。
 弥祐は羽摺りの頭と対戦し、短筒で撃たれた。弥祐は逃げた。

2020年3月7日土曜日

風の市兵衛(弐) 希みの文

風の市兵衛(弐) 希みの文 辻堂魁
 小春を亡き姉の親友・茂が訪れる。市兵衛に辻斬りに遭い、生死の境をさ迷う幼馴染み・橘の犯人探しを願う。
 犯人は町奉行の用人の部屋住みの息子だという。嘘を言う息子と息子の取り巻きのことを父親の用人に話す。犯人のことをはっきりさせるよりも、犯人からの謝罪と償いを求めた。父親は金銭により償い、苦しめた詫びとした。息子本人は納得せず、市兵衛を狙う。取り巻きは富平と良一郎にやられ、息子は市兵衛に髷を切られる。父親は市兵衛に謝り25両を持ってきた。市兵衛は受け取り、茂に渡す。
 小春、市兵衛、良一郎、富平は大阪を出る。
 土山の宿で近江の保科柳丈の誘いを受ける。野呂川伯丈の兄だ。柳丈の変わりにやってきた室生斎士郎に果し状を受け取り倒していた。保科柳丈を倒した時、室生斎士郎の妻が他の者を制し、争いを止めさせ市兵衛にこのまま帰るよう言った。

2020年3月5日木曜日

三島屋変調百物語六之続

三島屋変調百物語六之続 黒武御神火御殿 宮部みゆき
 三島屋の変わり百物語の聞き手が、主人・伊兵衛の姪のちかが嫁に行き、次男・富次郎に替わった。
 泣きぼくろ 富次郎の幼馴染みの近所にあった豆腐屋の息子・八太郎がやってきた。十四年前の自分の家で起った話をする。両親と24才から7才まで八人兄弟姉妹に長兄・次兄の嫁、次姉の許嫁、女中さんが一人が住んでいた。長兄の嫁と次兄の同衾が発覚した。長兄の嫁が誘ったと言う。八太郎のすぐ上のちい姉ちゃんが長兄の嫁に泣きぼくろがあることを発見する。その泣きぼくろが取れ次兄の嫁に泣きぼくろが現れ、次兄の嫁と次姉の許嫁の同衾が発覚する。泣きぼくろが長女に出来、長女が父親に迫っているのが発覚し、父親は家を出た。兄弟弟子の豆腐屋で父親が亡くなり、家族がばらばらになったと言う話だった。富次郎は端っこが欠けた豆腐の絵を描いた。
 姑の墓 商家の大おかみとおぼしき女性・花がやって来る。養蚕の盛んな実家の話をする。かがり屋という棚主の家だった。村では毎年、小高い丘にある墓所で五軒の棚主の家族、働く人々桑畑の小作人たちが花見をすることになっていた。お神酒とご馳走を詰めた重箱を囲んで過ごす。かがり屋の女達だけは行かない決まりになっていた。花の爺様が話したところでは、ひい祖父様の、嫁いびりがひどかったひい婆様の亡くなった後の花見で嫁が階段から落ち亡くなってしまったことからかがり屋の女は丘での花見に参加しなくなったという。花が13才の春、町の商家からやってきたかがり屋の嫁は理不尽だと言いだした。みんなが行く前日に墓掃除をして重箱を持って花見に行った。帰る道、花の母が前を行く嫁を呼び振り返る半身の両肩を突き飛ばした。嫁は階段を落ち亡くなり、母も置物になってしまって夏に亡くなった。祖父が亡くなり、父と兄は腑抜けのようになり、伯母が養子とりかがり屋は養子の連れ子が継いだ。花は舞い込んだ縁談をすぐに受けた。父と兄は遍路の旅に出た。花は村に一度も帰っていない。消息を聞くこともなかった。花は自分の息子に嫁が決まった時、両肩に手の形の痣が出てきたと富次郎に見せる。富次郎には見えないが、富次郎はありましたね。でも今は消えた。花がここで話したため語って語り捨ての力で消えたと話す。富次郎は優しく何かを包もうとする手のひらの左右一対を絵にした。
 同行二人 11才でやってきた継父に馴染まず、反発し、何者にもなれなかった。飛脚になった亀一は結婚し、娘ができ、継父にも詫び幸せだった。娘が2才、性質の悪い風邪で両親、女房、娘が死んだ。何も考えない、何が悪くてこうなった憤怒と後悔を噛みしめ自問自答で走っていた。箱根峠と三島宿の間の茶店に雷が落ち一軒無くなっていた。その時から亀一にのっぺらな赤いたすきの男が半丁離れてついてくるようになった。飛脚屋の支配人に茶屋まで連れて帰ってやれと言われ、亀一は引き返した。廻りの茶屋の人たちにものっぺり男が見えるようだ。彼・寛吉はよちよち歩きの娘を囲炉裏で亡くしていた。女房・よしも娘を亡くしたことが自分の咎と思い込み飲まず食わずで弱って亡くなった。十日後、立ち直れないまま寛吉の亡くなった。二三日で寛吉が戻ってくるようになった。住職に仏壇に封印してもらっっていた。茶屋に雷が落ち、仏壇が燃えたことで封印がとけた。亀一はのっぺらを連れてさいの河原に行く。走りながら亀一は自分のことを話す。泣きながら走っていた。寛吉も泣き、ふっと消えた。亀一は本店の支配人になる。東の端に箱根峠、峠道に幟を立てた茶屋と暖簾を掲げた萬屋、茶屋の前に前垂れを付けた男、画面の手前に赤い襷を掛けた、しっかりの肉の付いた腿とふくらはぎの飛脚が走る絵を描いた
 黒武御神火御殿 三原山と思われる火山を描いた襖絵をもつ屋敷に閉じこめられた6人の話。十年前、神隠しに遭ったと言われた。季節がどんどん変わる中で暮らしていた。帰ってみると三日だった。別々になった二人だけが昔の暮らしに戻った。

2020年2月29日土曜日

言い訳

言い訳 塙宣之
 〜関東芸人はなぜM-1で勝てないのか〜

2020年2月27日木曜日

この世の春上・中・下

この世の春上・中・下 宮部みゆき
 下野北見藩藩主・北見重興が強制隠居になり居城から別邸・五香苑の座敷牢に移った。重興は幼少期に父親から苛まわれ、誰にも言えないことから自分の内に別人格の者を作ってしまった。その者たちが頻繁に現れ家臣たちに不審がられ隠居に追い込まれた。
 藩医の三男・白田医師と元江戸家老・石野織部、御霊繰ができる刀自の孫・各務多紀、多紀の従兄・田島半十郎が重興を救うため重興に起ったことを調べ始める。
 重興が取り立て権勢をほしいままにしたご用人頭・伊東成孝は切腹したことになっているが、五香苑に捕らわれていた。成孝は16年前に村ごと根絶やしにされた御霊繰の里の住人だった。根絶やしの犯人と理由を調べるために重興に近づいていた。成孝から多紀が刀自の孫だと知らされる。多紀の母は幼少時に田島家に養女になっていたことを知らされる。
 成孝の証言から何人かの子供の勾引かし事件、里ごとの根絶やし事件のことが判る。
 三十年前の重興の父が北見藩の陰廻と北見藩の飛び地・明野領の北見一門を守る狭間を一つにしようとしたことが判った。潰されそうになった狭間の一人・桐葉の呪術によって父親が重興を苛んだ事実あきらかになる。
 明らかになり、白田医師に、多紀に事実を話すことで、重興の別人格が消えていった。
 重興は多紀と根絶やしにされた村跡に住むことにした。

2020年2月22日土曜日

新・吉原同心裏心抄1 まよい道 

 新・吉原同心裏心抄1 迷い道 佐伯泰英
 吉原遊廓の裏同心・神守幹次郎は表向きは謹慎だったが、元花魁の加門麻を伴い、京に修業に来ていた。
 行くところ行くところで京の有力者に遭遇し、島原で修業をする予定だったが、祇園で修業をすることに決めた。
 麻は一力で働き、幹次郎は祇園社に世話になることを決めた。

2020年2月20日木曜日

包丁人侍事件帖⓸ 

包丁人侍事件帖⓸ 料理番旅立ちの季節  小早川涼
昆布くらべ 富山前田家と薩摩藩との交流。富山と薩摩の交流を喜ばない水野忠邦・寺社奉行は、懐刀・大鷹源吾に交流者の殺害を命じていた。難破船から見付かった昆布から薩摩のうそを暴こうとするが、鮎川惣介がうそでないことを証明する。惣介の娘・鈴菜は源吾と一緒になることが決まっているので惣介は源吾の仕事が気になる。富山の朝次が知り合いとなり源吾とのやり取りが気になるが、惣介の幼馴染み片桐隼人によって収まった。
切支丹絵草紙 絵草紙に切支丹信仰が描かれていると絵草紙を書いた貸本屋の手代が奉行所に呼び出される。心証をよくするため筒井紀伊守の家来が手代に書かせた物だと分かった。
鈴菜の嫁入り 大鷹源吾は水野家の家来の身分のまま、長崎へ見聞修業に行くことになった。医者になりたくて医者修業をしている鈴菜も蘭学医につき医学を学ぼうと二人で長崎に旅立った。
 惣介の息子・小一郎は桜井雪之丞に付いて料理を習うことになった。

2020年2月18日火曜日

カカノムモノ3

カカノムモノ3 浅葉なつ
 〜呪いを欲しがった者たち〜
 生きることに前向きになり始めた碧に、従兄の涼は最後の詰めに入る。碧を前向きにさせた桐島に、ジャーナリストを使い負い目に思っている過去を突きつける。碧と連絡を取れにくくするために。碧を孤立するように。碧が
 涼はカカノムモノをまた子孫を呪いから解放するためには、魚に帰ればいいと碧に言う。
碧の死を意味する。律や桐島はもちろん碧は、けんか腰で話す伊吹大雅に相談する。
人間として生きることを選ぶ碧に対し、涼は、自分の中に大禍津日神を押し込めていた鏡を割る。涼を食うために戻ってくる前に桐島が自分を守っている鏡で涼を守る。碧は涼の穢れを飲む。涼は左腕と記憶を失ったが、命は助かった。
 碧は穢れを飲まないでいると魚になってしまうのは呪いではなく、人間として生きるのがつらくなれば魚になって帰れるという慈悲だったのではないかと思うようになった。
 
 何も覚えていない涼は、郊外に診療所を開いた律と診療所に併設した住まいに一緒に住んでいる。
 碧は大学の近くのマンションに住み猫を飼い、大雅や桐島が訪れる生活をしている。加加呑む者の銅鏡を作る家・日名家の水琴が銅鏡ができたとみんなが集まった所へやって来る。

 

2020年2月16日日曜日

研ぎ師人情始末〈二〉 糸切れ凧

研ぎ師人情始末〈二〉 糸切れ凧 稲葉稔
  前に読んでいるようだ。
 荒金菊之助 八王子千人同心の家に生まれる。現在は研ぎ師。従兄弟の南町臨時廻り同心・横山秀蔵を手伝うことがある。
 志津 同じ長屋の住人 手習いを指導している。

2020年2月14日金曜日

稚児桜

稚児桜 澤田瞳子
 〜能楽ものがたり〜
 

2020年2月12日水曜日

わが殿 上・下

わが殿 上・下 畠中恵
 土井利忠 大野藩主。内山七郎右衛門を登用し、銅山の発掘、藩校の開設などの様々な藩政改革を断行し、藩の財政を立て直した。
 内山七郎右衛門 利忠から「内出の小槌」と言われながら殿の才覚に惚れ込み、利忠の無理難題を一手に引き受け、大野藩のために奔走する。
 内山隆佐 豪放磊落な気性。内山家の次男だが大小姓に取り立てられ、新たな一家を構え、七郎右衛門を支え続ける。
 内山介輔 内山家の末っ子。剣術の腕立つ大男。真面目に勉学を重ねる粘り強さも持っている。

 浅黄斑の勘兵衛と思い起こす。江戸初期の大野藩と江戸後期の大野藩。勘兵衛たちが藩替えで大野を去り、新たに入った殿様たちではあるが。
 
 

2020年2月7日金曜日

希望と殺意はレールに乗って

希望と殺意はレールに乗って 山本巧次
 アメかぶ探偵事件簿
 大手出版会社・講栄館の編集者・宝木啓輔が、伝説の編集者と言われる沢口栄太郎89才が話す、ミステリー作家・城ノ内和樹との探偵譚を聞く。

 昭和32年ごろの話。若い二人が事件に絡んだのは、城ノ内が、元子爵・奥平憲明の敷地内の借地に家を建て住んでいたことで、奥平家の明治維新までの領地・長野清田村の村長と村会議員が奥平家を訪れ、一緒に東京に来た村会議員が行方不明になったと相談に来たところに居合わせたことから始まる。警視庁の大塚警部と情報を交換する。
 行方不明だった原渕剛造が遺体で見付かった。国鉄誘致のための手土産・五十万円が無くなった。城ノ内と沢口は奥平家のお姫さま・奥平真優と清田村に行く。
 清田村のどこを線路が通るかで村を2分して揉めていた。通った後の観光地化のために名古屋から不動産屋も現れていた。聞き回る、城ノ内と沢口は不動産屋が連れている男達に襲われるが、真優が撃退する。不動産屋に家を貸していた大乃木も命を狙われる。不動産屋・折本が死んだ。折本は原渕の紹介で村を訪れていた。
 原渕と折本と代議士の村河は終戦間際、松代大本営から物資を盗み原渕の実家に隠していた。嗅ぎつけた憲兵を殺している。原渕は鉄道が通るはずということで折本を村紹介したが、代議士と折本は別ルートの応援に回っていた。原渕が気付き折本脅迫に回ったため、大乃木をアリバイ工作に使い、原渕を東京で殺した。折原が名古屋から東京に行くために村河が手を貸していた。アリバイ工作に利用した大乃木も殺されそうになった。警察から逃れるために折本は村人・片田に匿ってもらうが、崖から落ちるであろうルートを教えられ事故に遭い死ぬ。片田は元憲兵で殺された憲兵の友人だった。終戦後、清田村出身の片田は原渕を見張り続けていた。
 鉄道は清田村を通らなかった。村河は収賄で逮捕、政治生命は終わった。

沢口が調べると、六十過ぎの城ノ内と真優の並んで微笑む画像が現れた。

 

2020年2月5日水曜日

秋山久蔵御用控⑹ 忍び恋

秋山久蔵御用控⑹ 忍び恋 藤井邦夫
 忍び恋 勇次が知り合った母子は、賭場荒らしに遭い貸元が殺された事件の最中に浪人を殺し、江戸所払いになっている代貸しの妻子だった。代貸し・弥七が賭場荒らしの首領の浪人を追って江戸に帰ってきていた。秋山久蔵たちは浪人を捕まえ、弥七に妻子を連れて江戸を出るように促す。
 人別帳 元盗賊の隠居・幸兵衛が死んだ。久蔵は大助を葬儀に派遣し、岡っ引きの隠居・弥平次は葬儀に行く。幸兵衛は医者に殺されていた。医者を脅迫した盗人がいた。幸兵衛には盗賊人別帳を持っていると言う噂があった。久蔵は盗人と医者を捕まえた。人別帳を思われた綴冊子を手に入れた。黒沢への気遣いと近況、江戸に住む盗賊のうわさ話が書かれていた。
 色事師 大助は同心神崎和馬の妻・百合江が男と会っているのを見た。その男・蓑吉が殺された。蓑吉は色事師だった。百合江の知り人が蓑吉の餌食になりそうなところ、百合江に相談し、百合江は蓑吉に同心の妻だと言い、近づかないように言った。手を引くつもりの蓑吉を浪人の仲間が殺していた。浪人は御家人の娘の養子になるつもりだった。娘に近づく色事師仲間を捕まえた。
 地廻り 十五年前久蔵が暴いた旗本大野家の事件の時、久蔵に殺された大野家の家来の息子・香川又四郎が地回りの用心棒になっていた。又四郎は地廻りを乗っ取っていた。大野は切腹していた。忠義者の香川一家は父親亡き後、大野家を追い出されていた。母と妹を亡くした又四郎は大野家を仇と思っていた。大野家の家臣を殺していた。大野家は又四郎を先代の菩提寺で殺すつもりで罠を仕掛ける。しかし又四郎は現殿様・大野徳之助を斬り捨てた。又四郎は地廻りの親分に殺される。大野家は断絶になった。

2020年2月3日月曜日

江戸怪談を読む 皿屋敷 

江戸怪談を読む 皿屋敷 横山泰子他五名
 幽霊お菊と皿と井戸

2020年2月1日土曜日

京に消えた絵師 狂花一輪

京に消えた絵師 狂花一輪 三好昌子
 福知山藩御用所右筆方、木島龍吾は叔父の元で成長した。隠居している先代藩主は、龍吾に実の父・兵庫の捜索を命じる。隠居部屋の襖に極楽浄土を描く約束だと言う。兵庫は出奔後、京で水墨画の絵師・浮島狂花として生きていたが、贋作事件を起こし行方知れずになっていた。
 龍吾は生まれつき色が見えなかった。龍吾は兵庫が妻を失い熱病を患い色が見えなくなっていたことを知る。同じ世界を見ている父に会いたくなった。育ててくれた伯母以外に龍吾の目のことを知る人はいなかった。一緒になって一年の妻・華乃にも踏み込めない壁を感じ、気鬱になって実家に帰っている。離縁の話が出ている。
 京で狂花の弟子たち五人を訪ねる。狂花は贋作事件後の牢留めで弱り、出牢後亡くなっていた。弟子たち一人一人に残された一服の掛け軸、龍吾に残された絵もあった。全部を合わせ見、極楽絵の下絵だと判った。また、兵庫と龍吾の目に色は見えないけれど、命の光が見えていることが判った。兵庫は蛍として表し、龍吾は星と言っていた。
 華乃とは離縁になっていた。先代が再縁が整うのを懸念して腰元としていた。目のことを話、二人は再婚する。
 四人の弟子と亡くなった五葉の替わりに養女になった富貴と五人で極楽絵を仕上げ届けられた。先代は無数の小さな星がきらめく水墨画の襖に囲まれて亡くなった。

2020年1月30日木曜日

マサの事件簿 心とかすような

マサの事件簿 心とかすような 宮部みゆき
 元警察犬、ジャーマンシェパード。名前はマサ、蓮見探偵事務所の用心犬。
蓮見探偵事務所 所長・蓮見浩一郎。長女・加代子。調査員としてマサを連れて働く。
次女・糸子。高校生。
 こころとかすような 諸岡進也と糸子が夜中、車のトランクの中の小学生を見つけた途端、気を失い、ホテルで目覚めた。話を信じない父親と姉を納得させるために調査を始める。進也が付けていたニンニクの匂いからマサが、車を突き止める。車の持ち主を恐喝するために親子で考えられた偽誘拐事件だった。親とうまくいかないという触れ込みで近づいた小学生の提案で誘拐を装う。親が見付け誘拐だと騒ぐ、そして金を要求する。二人は途中を見てしまったのだった。
 てのひらの森の下で 加代ちゃんとマサは、毎朝同じ時刻に水上公園を散歩する。藤実咲子と一緒に散歩している時、死体を見付けた。加代と咲子が警察に連絡に行く。マサが死体じゃないと思うまもなく死体は動き出した。追いかけようとしたマサは鈍器で殴られ気を失う。マサは死人ではないことも二人組だと言うことも知っていた。死んでいたのは借金で逃げ回っていた男・井波洋だと思われた。死体ではなかったと判った時、弟・孝が、兄が死んだことになれば追われないだろうと芝居したと名乗り出た。マサはしっている。本当の洋が、死んだまねをしていたことを。同じ時刻、孝の勤めるディスカウントショップで、公にできない五千万円が盗まれていた。加代たちは咲子がグルであることに気付き、孝に金を返す説得を頼む。
 白い騎士は歌う 宇野友恵さんからの依頼。強盗殺人で警察から追われている弟・宇野敏彦を見付けて欲しい。敏彦がしていた借金があると言われたが何のための借金だったのかを調べて欲しいというものだった。東京日報新聞社 社会部 奥村孝が近づいてくる。敏彦は、町で会った薬中毒で売春をしている少女のために「戸山メンタルクリニック」で薬物中毒患者の治療を受けさせていた。そのための二百万円を借金していた。
 殺された社長の友人であり会社の部下・秋末の息子が覚醒剤中毒だった。再犯だった。また中毒になっていることを知った社長を殺し、社員の敏彦に罪をなすりつけ、敏彦を殺していた。加代は秋末の工事中の地面をマサに嗅いでもらい敏彦の遺体を探り当てる。
 マサ、留守番する 蓮見一家は台湾へ旅行に行った。隣のアパートの住人・早川純子がマサの世話を引き受けた。彼女は三十代の翻訳家だった。蓮見事務所に小うさぎが五匹置かれる。純子さんが引き受けた。マサは持ってきた小学生を探す。小学生・ゆかりちゃんはウサギをまた殺すと話していたのを聞き、うさぎが危ないと思い保護したのだった。
 水上公園で人が殺された。ウサギを殺す話をしていた兄弟の父親だった。弟が自分が殺したと出頭した。弟にはアリバイがあった。父親を殺したのは兄だった。ウサギを殺しに行く父親を止めようとして、父親が持っていたペンチで刺してしまった。二年前のウサギ殺しも父親だった。父親の同級生が校長だった。校長への嫌がらせだった。
 マサの弁明 依頼主・宮部みゆき

 

2020年1月28日火曜日

賞金稼ぎスリーサム!

賞金稼ぎスリーサム! 川瀬七緒
 藪下浩平43才 今年68才の母が二年前、くも膜下出血のため遷延性意識障害になり植物状態になった母親の介護のため警察官を辞めた。警視正以上にもなれた選ばれし人材だったにもかかわらずキャリアを捨てた。
 桐生淳太郎33才 「警察マニア」のトップ。桐生精糖株式会社息子。警察官になりたかったが喘息の持病のためなれず、「警察マニア」になった。三才の時、誘拐され喘息で死にかけていたところに警察官が踏み込み、犯人を三人撃ち殺し二人に手傷を負わせ助けられた。警察官は浩平の父、助けを待っていれば子供は助からないと判断した父親は、一人で飛び込んだ。発砲と殺した犯人の中に18才以下の少年がいたため問題になり、事件1ヶ月後自殺した。淳太郎は死ぬなといわれ助けられた。
 淳太郎の相棒は整備されたキャンピングカーだ。革張りのソファー、ドイツ製のキッチン、バストイレ付きロフトにフカフカのベット、アンティーク家具、ノートパソコンを操り壁にはモニター。都内の事件の情報が送られてくる。

 浩平のアパートに淳太郎の弁護士がやってきた。墨田区で起こった火災の犯人と思われている元ペットショップ店主・相原幸夫の弁護をしている。調査の願いだった。調査費用500万、捜査特別報償金制度で最高300万が支払われるという文言に釣られ調査に乗り出す。
家の中にガソリンをまいて火をつけていた。六人が亡くなっていた。藪下も犯人は相原だと思うだろうと思う。
 事件現場で猟・ハンターを仕事にしている上園一花と会う。仲間になる。一花は足を怪我している腰の曲がった年寄りが怪しいという。足の悪い犬を探しかけたとき一花の部屋に空き巣が入る。火事現場の土が残されていた。
 他県でペットショップが五軒燃えている。三人がたどり着いたのは動物愛護の年寄りだった。一花の部屋の半分指紋で出てきたのはテロリストだった。国際手配されている松浦冴子。動物愛護の功労で表彰された桜丘梅子になりすましていた。
 今でも藪下を係長と呼ぶ三井刑事は、一億円の報償金ゲットの話をする。松浦冴子は捕まらなかった。

2020年1月26日日曜日

基本の野菜 じょうずな育て方

基本の野菜 じょうずな育て方 監修・飯塚恵子 主婦の友社
 はじめてでもよくわかる鉢やコンテナでも大丈夫!

野菜の品質収量アップ 連作のすすめ 木嶋利男

やさい畑 2019春号 
 連作できる植えつけ 
 続けて作っても障害が出ない野菜ごとの秘策を徹底図解
 手作り肥料ハンドブック
 
有機・無農薬の野菜づくり 福田俊
 

2020年1月18日土曜日

京都西陣なごみ植物店⓸

京都西陣なごみ植物店⓸ 仲町六絵
 〜「豊臣秀吉に背いた桜」の謎〜
 ミツマタと賢者の石 実菜と神苗は、ミツマタを探している洛南製薬 開発第三グループ 安西道朗と出会った。花弥は、台湾を拠点にプラントハンターをしている父母を紹介する。取引となったようだ。
 葡萄の涙 夫婦二人暮らしの元高校教師、現在自由な学習塾を開いている塾長から、送られてきた葡萄の絵を見て欲しいという依頼があった。実菜は葡萄は指で一粒一粒抑えたもので指紋が付いているから現在行き来のない息子さんが書いたものだと指摘する。
 花開く絹 中学一年になったミノルが、同級生の矢作久美を連れて来る。久美は、昼白く 夜には黒き うらみの実 クワクワ言うて ここに納めん と書かれた包みにくるまれた種を見つけた。神苗は うらみの実がうらみ葛の葉に通ずると思う。養蚕が活発になり葛布を作らなくなった時に良質の種を残した。
 実菜はダイゴ種苗の企業博物館として「和の植物の博物館」を造りたいと考えた。神苗は実菜に学芸員の資格を取ったほうがいいと言い出せなかった。そばに居られなくなるから言いだせなかったという神苗に、探偵を辞めても辞めなくても一緒に居ると言う実菜。
 花の王様 和久井花弥の幼なじみ、鈴池雪伸・想林流次期家元。実菜に依頼する。祖父が肺炎の雪伸が行けなかった吉野山の替わりに連れていってくれた赤紫と薄紅に染まった山、斜面いっぱいに花が咲いていた。駐車場に花の王様・牡丹が咲いていた。その冬、祖父は亡くなった。あの場所がどこで、何の花が咲いていたのか調べて欲しい。実菜と神苗と花弥は調べ、槙尾の西明寺の写真を撮ってくる。ミツバツツジと山桜の山だった。雪伸は東京へ行くことになった。その前に二人に甘えた。祖父の思いでに浸り、小学三年の孫に想林流の名の由来を話されたこと、花の王様から花の王様に英才教育をされたことを思い出した。
 豊臣秀吉に背いた桜 ダイゴ種苗の和久井社長・花弥と実菜の祖父から神苗に夕食のお誘いがあった。祖父の資金援助でダイゴの名の元で博物館を造るか個人で造るかのテストをすると言われる。
 実菜は仏教大学の通信教育課程に進路を決めている。
 豊臣秀吉が北野大茶湯を催した。旧暦の七月・今では夏の終わり。十月一日から十日間茶会をするからみんな来いとお触れが出る。茶屋が千五百の大掛かりな茶会だった。はた迷惑なお触れだった。しかし、十日の予定が一日で終わった。和久井家には桜が狂い咲きし、京都の人が恐れたため中止になったと言い伝わっている。社長からの謎かけは何故、桜が狂い咲きし、人々が恐れ中止になったのかだった。実菜は和久井家に伝わる壺を預かって帰る。
 実菜は祖父に判ったことを告げ、神苗に怖い会いたいとメールする。実菜は北野の桜が狂い咲きしたのは和久井家のご先祖さんが、秀吉の京への侵襲を止めるため、社会不安をあおるため夏の終わりに桜の葉を切ったことが判ったと神苗に告げた。祖父は博物館を造ることにOKを出した。
 花弥は安西に相談しているようだ。
 

2020年1月16日木曜日

秘め事おたつ二 鬼の鈴

秘め事おたつ二 鬼の鈴 藤原緋沙子
 鬼の鈴 振売の弥之助が、弱った侍・渡部甚三郎を連れてくる。甚三郎は昔逸れた娘・千絵を探していた。ちえらしい娘が見付かった時、世話になるのが心苦しい甚三郎は長屋を出ていた。甚三郎の元藩士から甚三郎に罪をかぶせた家老は捕まり甚三郎が無実なことは明らかになっていることを知らされる。弱った甚三郎が見付かり、ちえが持っていた鬼の鈴が付いたお守りからちえが千絵であることが判るが甚三郎は死ぬ。千絵は養母を連れて甚三郎の元藩の藩邸の長屋で暮らすことになった。
 たつが探している多津が乳母として育てた殿様の側室の息子・吉次朗の居所の手掛かりをつかむが、武士が訪ねて来たために居所を変えていた。吉次朗は七年前、藩邸で命を狙われたので殿様の命で誰にも知られぬところで育てられていた。付けられていた隠密が殺され、行方が判らなくなって五年が経っていた。多津は屋敷を出て吉次朗を探している。
 桑の実 昔生薬屋の息子だった初太郎は、父を亡くし、母親と長屋暮らしをしている。母の貯めた金を持ち出したり身を崩しかけている。幼なじみの春に桑の実の話しをされ心を入れ替える。

2020年1月14日火曜日

医療捜査官一柳清香③ 塩の契約

医療捜査官一柳清香③ 塩の契約 六道慧
 「・・・しん、おう・・・まる、盗まれた、んです」監禁を伺わせる電話が真夜中に行動科学課にかかってきた。同日、男の遺体が雑居ビルで見つかった。電話と関係があるのか?
 行動科学課四名。課長・細川雄司、美人検屍官・一柳清香、ジオラマで現場を再現する3D捜査官・浦島孝太郎巡査長、本間優美、この事件の助っ人・音階捜査官・日高利久が、事件を追う。
 雑居ビルで亡くなっていたのは、喫茶店の雇われマスター・有賀由宇。持ち主のオーナー・近藤保夫妻に気に入られ喫茶店を継ぎ、遺産を残される約束もあった。半グレグループを抜けたい有賀は、リーダーの高野哲人に訴えるが、事実上のリーダー、優秀なリーダーに抜けられては困る高野は有賀の交際相手・鹿内光里を勾引かし監禁した。監禁していた者の中の有賀に好意を持つ者によって電話を渡され、電話ができた。有賀は近藤夫妻の遺産を狙う高野に命令され、近藤夫妻を殺し硫酸で溶かした。そして高野夫妻は近藤夫妻になりすました。近藤夫妻が残した物は頼子夫人の胆石だけだった。なりすましを認めた高野は事件の関与を否定し、近藤夫妻に頼まれたなりすましだと主張する。
 喫茶店の恐竜のフィギュアのお尻からマイクロチップが見付かり、恐竜のうんこの化石のレプリカ・コプトライトの中からスマホが見付かった。有賀の遺書だった。恩人の近藤夫妻を殺し生きている資格がないと思い自死していた。父親と後輩に生命保険を残し、後輩に更生してほしいと書き残した。
 半グレグループの元締め高野は逮捕された。

2020年1月12日日曜日

農家が教えるナスつくり

農家が教えるナスつくり 農文協編
  誘因紐の結び方 垂直一文字仕立て

ナス栽培の基礎と実際 河野隆道

おいしくできる!ナス NHK出版
 絶品のナスを収穫する基本+ぷろのワザ!

2020年1月6日月曜日

古墳と被葬者の謎にせまる

古墳と被葬者の謎にせまる 大塚初重
 1926年生まれ 日本考古学者
 現在、間違いない天皇陵は、天武・持統天皇の合葬陵「檜隈大内陵」(ひのくまのおおうちのみささぎ)が高市郡明日香村野口にある『皇の墓」だということ。

2020年1月4日土曜日

QED㉓ 優曇華の時 

QED㉓ 優曇華の時 高田崇史
 安曇野・穂高で地元の神楽衆の舞手・北川洋一郎が刺殺される。遺体の耳は削がれ「S」の血文字がのこされていた。数日後、二人目の被害者が出た。彼女・蜂谷明美は「黒鬼」と言い残した。そしてくら畔倉誠一が首を吊って見つかった。
 畔倉が彼女・明美が元彼とまだ付き合っていることに嫉妬し、北川を殺し明美も殺してしまい、自殺したということで納まりそうだった。
鵜飼見物に石和を訪れていた桑原崇と棚旗奈々が、フリーのジャーナリスト・小松崎に呼び出され事件現場に向かったことで真相が解明される。
 安曇野は筑前博多近郊の古代海人・安曇族が移り住んだ地だった。
 北川が公民館の中の三姉妹に書いたSは、逆Sの隼人を現す記号だった。北川を殺したのは三姉妹の末娘・理恵と一緒にいた勇人だった。見られた明美を殺したのも黒男の面を着けた勇人だった。三姉妹の父母の事故の真相を知った理恵は北川と明美を恨んでいた。殺すつもりは無かったが殺してしまったのだった。
 理恵と麻里はボートが転覆し亡くなった。助けに飛び込んだ勇人も亡くなった。長女・順子は頼まれた長老・湛蔵が殺してボートに乗せて流された。湛蔵も喉を突いて亡くなった。勇人は順子と湛蔵の子供だった。神楽の話を北川に変えさせないようにするため、三姉妹の父母の交通事故の真相を教えたのも湛蔵だった。北川の話をそのまま三姉妹が鵜呑みにしないようにしたかった。いろんなことが重なって大きな事件になってしまった。