京都下鴨神様のいそうろう 〈2〉 猫神様とアマテラスの宝玉 望月麻衣
2025年8月8日金曜日
京都下鴨神様のいそうろう 〈2〉
萌子は、自分を「視える人」以外は平凡な女子高生と認知し、不思議な強い力を秘めた大学生理龍を神と崇めて推す、充実の日を送っている。
萌子が今回逢ったのは、福々しいハチワレ猫に入った「神様のいそうろう」。かって自分を詣ってくれた少年の強い悲しみを感じてその子を探して欲しいと言う。
ハチワレに入っていたのはお地蔵様、かっての少年とは藤原千歳だった。悲しみは幼馴染の寿々ちゃんへの失恋の悲しみだった。千歳が寿々に貰った曲玉を落とし、今は明日香が持っている曲玉を通し、明日香と萌子達が仲よくなる。失恋の悲しみを葬った千歳は、元気になり、お地蔵様と出逢う。寿々と透の結婚式に小春や澪人も帰って来る。理龍の二才の妹・茉莉まつりも来る。理龍は澪人をパパと呼ぶ。
(千歳は小春に恋心を抱いていたが、学校に通うようになって寿々ちゃんたちと仲良くなっていたんだね。)
(理龍は、澪人にそっくりと言うが、本当は澪人が理龍りりゅうにそっくりで、理龍りりょうは、昔のままで生まれたんだね。)
アマテラスの宝玉を探すうさぎ達が現れる。うさぎを動かすツクヨミの眷族が、ツクヨミの気持ちを忖度しアマテラスの宝玉を探していた。ツクヨミとアマテラスの仲を良くしたくて。
京のお伊勢さんで、アマテラスを呼び出してしまった理龍は、月読の眷族の話をし、二神の仲が良くなるように願う。
さて、萌子は、何神様の分け御霊なのだろう。千歳は東京の本部長。明日香は、萌子と理龍の推しになる。お地蔵様が居候していた猫を、千歳が飼うことになった。
2025年6月25日水曜日
仮初めの魔導士は偽りの花
仮初めの魔導士は偽りの花 望月麻衣
〜呪われた伯爵と深紅の城〜
大魔導士の祖父の遺言で悪魔払いをしているティルは、美少年魔導士と評判だ。だが、彼は少女だった。魔女狩りの対象になった。
世にも美しい城、の呪いを解くために、青年伯爵ノアを訪ねる。
ティルは、兄と一緒に、亡くなった祖父の力も借りて東塔に掛かった呪いを解いた。
2025年4月2日水曜日
わが家は祇園の拝み屋さん 京都寺町三条のホームズ
わが家は祇園の拝み屋さん
京都寺町三条のホームズ 望月麻衣
神様の居候を読んで、また火が付いちゃった。
本館に行く機会で出来たので。
二度目か三度目かまたまた読む。
2025年3月2日日曜日
京都船岡山アストロジー4 月と心と惑星回帰
京都船岡山アストロジー4 月と心と惑星回帰 望月麻衣
占い雑誌「ルナノート」が、次の号を最後に休刊することになった。大阪支社は縮小されることになり、本社の上司と面談する。
三波は、朽木と共に東京へ転勤する。真矢は大阪に残る。
高屋誠も、憧れの「匠のストーリー」ではなく、「新文芸編集部」に行くことにした。ラノベを含むライトな作風の小説を取り扱う。「ルナノベル」も管轄に入る。
神宮寺桜子は、高屋に家庭教師をしてもらい、東京の国立女子大に合格した。両親が神奈川に帰ってくるため、神奈川に移り、両親と暮すことになった。
高屋が桜子に作品の書籍化と担当編集者になることを希望した。桜子は喜んでOKする。
高屋は名刺に生年月日と生まれた時間、場所を書いて渡した。
ルナノート最後のイベント、プラネタリウムでのトークショーの出演を依頼された柊は、自分の過去を告白し、高屋のインタビューを受ける。そしてトークショーに挑んだ。
アイドル的な占星術師としてスタートした。
5年後 大学入学後、大学生作家として活躍するようになった桜子。担当編集者は高屋だった。卒業後、高屋からの告白を期待した桜子だが、とうとう、いいかげん私の気持ちに気付いてよ。朴念仁!告白してしまい号泣する。二人は婚約する。
京都へ行き、柊たちに報告。
2024年9月26日木曜日
京都寺町三条のホームズ・21
京都寺町三条のホームズ・21 望月麻衣
〜メランコリックな異邦人〜
九月から「蔵」でジウ・イーリンが1か月アルバイトをすることになった。
十月からイーリンは、京都の大学院の修士課程に通う。
イーリンは、葵に興味を持ってきたようだ。清貴と一緒に働け、円生とも会える。父親・ジウ・ジーフェイは、イーリンに、高宮宗親と親しくなり彼が「珍しい宝石」を持っているか調べて欲しいと頼んだ。
イーリンは、歌舞伎役者・市片松之助が持ち込んだ根付けが元で、高宮と根付けの会で親しくなる。清貴に「珍しい宝石」のことを相談する。小松も調べる。
ジウ家の家族に関係深い話しになった。
イーリンが、生まれることにより、ジーフェイの妻は自殺したと聞かされ、ジーフェイの姉妹夫婦、イーリンの腹違いの兄弟姉妹から苛めを受けて育ち、幼少期から孤独に育った。イーリンの味方はばーやだけという環境だった。自分の所為で妻が亡くなったという引け目を感じて生きてきた。
清貴が、ジーフェイが、高宮の息子に「珍しい宝石」を手に入れることを頼み、その宝石が、持ち主が自殺すると言われる呪いのブラック・ダイヤモンドだったことで妻・クーチンが自殺したと言われているいう事実を掴む。
ジーフェイには宝石を頼んだ覚えがない。離婚寸前の妻に、宝石を贈る気はなかった。ジーフェンには、クーチンが、「信じられない、そこまで私を憎んでいたの。お望み通り今から死んでやる。」と言った意味がわからなかった。
清貴は、自分に送られる宝石が、持ち主が自殺するという宝石だと知った言葉だろうという。
クーチンは、一人で出て行きボートに乗ったと言われているが、義兄はいなくなっていたことを珠蘭は知っていた。クーチンが自殺ということも疑問になった。
パソコンの電話で繋がっていたジーフェンとイーリンの異母兄・シュエン。シュエンは、今までのことをイーリンに謝った。
イーリンは、ばあやが、本当の祖母だと知った。イーリンを置いてお金を持って逃げたと言われていた母親も、ジーフェンが面倒みていることも教えられた。
イーリンのバイト期間が終わった。イーリンは、葵と清貴を父と母のようの思った。
イーリンの言葉を聞いた円生はハッとした。
清貴は、葵を皆をたらし込むと表現する。
清貴は九月から一年間、税理士事務所に通う予定。
2024年9月5日木曜日
京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈2〉
京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈2〉 望月麻衣
〜百鬼夜行と鵺の声〜
新斎王の就任を目前に控えた京都で、百鬼夜行の目撃談が相次ぐ、不穏な噂が流れる。藤馬率いる四天王が討伐に赴く。立夏は自ら囮を買って出る。百鬼夜行を連れ出し現れるだろう鵺を退治するつもりだったが、、結界が崩れ、逃げる鵺を、立夏が声を頼りに放った矢が擦った。新斎王・蓉子が連れ去られる。
神子・犬居家で行われる新年の宴で、立夏と菖蒲は筝と三味線を演奏し、再び鵺を呼ぶ。
演奏中、菖蒲は蓉子と話が出来、居場所も分った。
鵺が現れた時、力が欲しい者が鵺を狙うが矢は当たらない。菖蒲は射る気になれない。蓉子を屋敷に連れてきて監禁していた神子に連れだされた蓉子は、私の仕事と鵺を開放するつもりで矢を射る。鵺は矢に当たり落ちた。春鷹は、自分が矢を当てるつもりでここまで用意したのにと呟く。
結界を解き、百鬼夜行を放し、鵺を開放したのは春鷹だった。元々、先が見える春鷹だったが、今は、見えなくなった。鵺に矢を射った者は力が増と言われていた。春鷹は、力を蘇らせたかった。
蓉子は春鷹を裁いた。審神者と神子の資格を剥奪、実家で謹慎を言い渡される。蓉子は、自分の力が無くなった原因は、自分を偽って生活していたからだと考えた。春鷹にも、自分を偽って生活しているから力が無くなったのだろうと言い、兄からの手紙を渡す。人はやり直せます。と蓉子は言った。
蓉子は、菖蒲に、斎王になりたくない理由を聞く。菖蒲は、はっきり立夏と結婚するのが遅くなると答えた。菖蒲は、出版社に勤めることと立夏と結婚することが望だから。
2024年2月12日月曜日
満月珈琲店の星詠み⑤ 秋の夜長と月夜のお茶会
満月珈琲店の星詠み⑤ 秋の夜長と月夜のお茶会 望月麻衣
木星と銀河のカッサータ 淡路島で母を看取った百花。
百花の父は四十年前、祖父の百か日が終わった頃、別れてくれと家を出た。百花は、幼稚園から保育園に変わり、母一人娘一人の生活が始まった。
家から離れる神戸の大学に行かず、近くの看護学校に行き看護師になった。恋した男性が遠距離であったため、結婚しなかった。母の看護のため看護師を辞めた。母が亡くなった。
母の葬儀の日、父が同じだという弟が来た。父は好きな人が出来離婚したようだ。十年し、生まれた弟だった。
何もせずただ家にいる。母親の荷物を片づけ見付けたのは膨大な量の本だった。
夜中に、猫に誘われ行った「満月珈琲店」で、母との関係、勝ってな思い込み、母の思いいろいろ考えた。
未来をこれからのことを考えた。
水星のお茶会とベテルギウスのプリン 真中総悟の記憶
社長・桐島祐司、後輩・鈴宮小雪と、「musubi」出版社兼広告代理店で働く真中総悟。現在は元気な総悟だが、小学生の時は身体が弱く、岩手、遠野の祖父母の家で過ごした。十二才の夏、父母と母の姉妹夫婦、従姉妹たちと忘れられない夏を過ごした。母の言う「罪の子」の意味を知った。母は不倫後、父を略奪し、夫婦になった。その時お腹にいた子は流産し、十年後総悟が生まれた。ということも知った。母も身体を壊し、総悟も身体の弱い子どもだった。
子猫を助けた。子猫は明日の命が知れない状態だった。ティルと名付けられたその猫に因って、銀河鉄道の夜を経験する。食べたベテルギウスのプリンのお陰で溜めた物を吐き出した。
夜明け前、野原で寝ていた総悟はカメラマンに起こされた。そのカメラマンは、後に写真集で知った桐島だった。
金星と三日月リンゴのアップルケーキ 松浦果歩の告白
真中総悟は、広島の従姉妹の結婚式に出る。淡路島の葬儀の後だったので、式には参加せず、披露宴に出た。総悟の従姉妹の妹・沙耶の結婚式。
姉は大人しく、賢い、総悟と本の話で持ち上がる。広島大学を出て図書館司書になっていた。妹は明るく、専門学校を出て美容師になった。
妹は、高校生の頃から彼がいなかったことがなかった。専門学校生の時、いつもと違ったタイプの彼・聡史を連れてきた。父母も喜こび、気に入っていた。
果歩は苦しんだ後、沙耶に告白した。ごめんね。聡史君を好きになった。
十一年後沙耶は結婚した。十二年後、厳島神社で結婚式をする。沙耶は姉に手紙を渡す。
姉の告白の後、聡史と別れた。理由は聡史の浮気と言ったが、聡史が、お姉さんを好きになってしまったから君を付き合えないと言われたのだった。披露宴に聡史が来るからというこことだった。
エピローグ 総悟は、桐島に、めがね橋で死体みたいに転がっていたぼうずは、おまえだろうと言われた。思い出したのだ。
総悟は告白すると桐島に言う。振られたら辞めるのは、独立出来るお前だろう。二人が上手くいったら、会社二人で継いでくれよ。
2024年1月29日月曜日
京都東山邸の小鳥遊先生
京都東山邸の小鳥遊先生 望月麻衣
京都「東山邸」に住む、小鳥遊姉妹。姉・小鳥遊葉月35才。独身、脚本家。
妹・小鳥遊美沙22才、大学四年。葉月の父は亡くなり、東山邸は、父方の祖父が残したもの。葉月の母が、小料理屋「ぎおん」の店主と再婚。美沙が生まれた。美沙は東山邸が気に入り居候状態、住みたいために掃除から料理何でもする。
葉月は、脚本が書けずスランプぎみ。葉月の知らないことだが、番組ディレクター・黒崎の押しで体調不良の脚本家の代わりに入った仕事をしている。黒崎は、葉月が思いを寄せている人だった。
鈴木英輔、中学生野時からBBアイドルグループのメインボーカルだった。高三で解散し、三年後の今、俳優として再デビューした。イケメンの彼を、クールな雰囲気で行こうとしている。
葉月と英輔、そんな二人が葉月の義父の店・ぎおんで出逢った。
葉月は英輔の番宣を見ていた。どうすれば成功するか教えてくれよ!と言う英輔に、ヒギンズ先生になってあげるという葉月。泣ける展開になったらめちゃ泣けという。身長とか趣味とか、正直に話してしまえと。自分に正直に。
関西のテレビ番組で、葉月の言った通りにすると反響が大きく人気が出てきた。
黒崎の紹介で知った劇団の主催者・川島を紹介し、演技指導を受ける。その場にいたマリアは、英輔のファンだと言いながらオークション会場の司会を経験させる。
英輔の人気は上がる。昔からの女友達とのマンション密会の写真がでる。英輔は彼女と付き合えないかと、可愛い犬がいると嘘を付き彼女をマンションに連れ込んだが、彼女は怒ってすぐに帰ってしまったと発表した。彼女の立場を守り、自分の人気は落ちても仕方がないと思ったことだったが、彼女の立場も自分の人気も守れた。
英輔が、海外にも発信される歌謡祭のMC補佐をする。その場で歌わなくてはならなくなり、歌えなくなったと言っていた歌を歌った。拍手と喝采を浴び、自分の中のわだかまりが解けた気がした。
英輔が薬物中毒という記事が週刊誌に掲載されるという。英輔は、週刊誌に出る前に自分で、動画チャンネルで、過去を語った。乱れていた私生活と薬物中毒、更生施設での日々。薬物を止めるよう訴える活動をしていくように言う葉月。
英輔に、ブロードウェーに行くチャンスが訪れる。三か月後、英輔は行く。葉月に告白して発った。半年後、ブロードウェーの舞台に立つ英輔を見に、みんなでアメリカに行く。
川島は、ブロードウェーの舞台が終わった後、葉月の脚本で、川島の劇団が京都で公演をする。英輔との約束で、その舞台に英輔が出ると発表した。
葉月が英輔のヒギンズ先生をしている頃、黒崎は、葉月の妹・美沙にアタックする。姉の思い人と知る美沙は、黒崎を好きになっていたが一度は付き合いを断る。黒崎と美沙の付き合いを知った葉月は、落ち込むが、英輔からの容赦ない言葉でどうにか立ち治る。自分の中で黒崎への思いを断ち斬った。英輔から告白を受ける。
美沙は、いつ会えるか判らない黒崎の生活のため、黒崎と同棲を始める。結婚も決まった。
マリアの正体は、英輔の所属するプロダクションの会長だった。英輔の担当マネージャーはマリアの次男、社長は長男だった。
2023年9月16日土曜日
京都船岡山アストロジー〈3〉
京都船岡山アストロジー〈3〉 望月麻衣
恋のハウスと檸檬色の憂鬱
神宮寺桜子は、同級生・に告白される。高屋に相談する。
受験生のため、作家活動をも封印している桜子は、デートして浮かれている時期ではないと、お付き合いすることを断る。
高屋誠は、桜子の家庭教師をする。
大学時代に、告白され付き合った城崎薫子と、船岡山珈琲店で出会う。付き合い始めすぐ高屋から別れを言った。二人に苦い思い出として残っていた。高屋が、薫子の友人の「やったね、薫子。賭に勝ったね」と話しているのを聞いたためだった。二人の誤解は溶けた。薫子は講洋社に務めている。
柊にとって桜子は何?。どんなに愛して可愛がっても自分を恋愛対象、異性として好きになることがない存在。安心して溺愛できると言う。
船岡山珈琲店で新メニュー・檸檬メニューが始まった。
どうすれば、本好きの子どもになるか。本を手に取ってもらえるようになるか。読書がかっこいい趣味になるか。
高屋は星座別に「おすすめの小説ジャンル」の特集を組むことを考えた。
2023年7月10日月曜日
京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先
京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先 望月麻衣
時は大正、四神の力を持つ「神子」が台頭する時代。いわく付きの名家・梅咲家の令嬢・菖蒲は、幼い頃、許嫁として垣間見た桜小路家の御曹司・立夏に一目惚れをする。
立夏を一途に思い続け、十五才で桜小路家に越してきた菖蒲だったが、立夏は冷たい瞳で菖蒲を拒絶した。
梅咲家も桜小路家も賀茂家の分家だった。江戸時代、梅咲規貴が世を乱す悪人として捕らえられ流罪になっていた。梅咲家は誇りを取り戻そうとした。伝わる「玄武」の力、商才があり指折りの大富豪になった。
桜小路家は伯爵だった。芸術の「朱雀」でもあった。今や没落の危機にあった。
菖蒲と立夏の結婚は政略結婚だった。
梅咲家の長男・藤馬は幼い頃「白虎」の力を持っていた。成長と共に薄れ「神子」になれず十八才で家をでてしまった。菖蒲には能力の兆しがなかった。
冷たい桜小路家での扱いだったが、菖蒲は心を尽くしていれば必ず伝わる。と明るく過ごす。そんな菖蒲に、立夏と女中・千花との仲が聞こえて来た。菖蒲は、自分がこのまま家に帰ると、桜小路家が困ったことになるため、パーティで自分が失敗して家に帰ることになったことにしようと決心する。
パーティの日、立夏は千花と家出をしようとして、千花に断られた。桜小路家の長男の嫁・蓉子は、夫・喜一が、愛人と蓉子のベットにいるのを見て、錯乱した。部屋に火を付けた。
菖蒲は、立夏が大切にしている母親の肖像画を護るため飛び込んで行く。気を失うが、その前に特殊な力を発揮した。立夏が菖蒲を助ける。菖蒲が「麒麟」の力に包まれたのを見た。
家を出て、力が戻った藤馬は審神者になっていた。見えないところで菖蒲を見守っていた。使用人として菖蒲に付けていた桂子から報告されていた藤馬は、立夏の仕打ちを許せない。
桂子は、立夏に礼を言って立ち去る。立夏は、菖蒲が、本当に優しい人物だったのだと思った。
菖蒲は、立夏は、身分で人の判断をしない人、自分が間違っていたと思えば頭を下げられる誠実な人と思った。思っていた以上に素敵な人に恋をしていたと思った。千花と幸せに暮しているだろうと。
菖蒲は兄と病弱な母と審神者が集う椿邸で暮した。菖蒲は「斎王」の候補になった。菖蒲は自分の能力を知らない。菖蒲に護衛が付くことになった。梅咲家の父親は、桜小路家の長男・喜一と菖蒲をこちらに側に拉致することを考えた。喜一は蓉子を離縁した。心が壊れた蓉子は、施設に入っていた。
家を出て一人暮らしの立夏の所に妹・撫子が来る。兄の企みで菖蒲を拉致するため立夏を菖蒲の護衛にしようとした。撫子は、兄の計画を立夏に伝える。立夏は菖蒲の護衛をすることにした。
護衛は立夏を含む四人に決まった。
審神者との会話で、菖蒲は「麒麟」の能力のある者が斎王になるのではなく、「斎王」を指名するのだと知った。自分の能力を知らないまま、遠くの風景を見る。そして話す。蓉子を指名した。兄・藤馬と蓉子の関係も知った。藤馬に蓉子を迎えに行くように言った。
父親が菖蒲を拉致し、桜小路家に連れて行った時、桜小路家は、警察が取り囲んでいた。立夏が兄の悪事を暴いた。桜小路家の父親は阿片中毒で地下に軟禁されていた。喜一は逮捕された。
立夏は詫び、菖蒲は恋を貫いた。
2023年6月24日土曜日
京都寺町三条のホームズ♦20
京都寺町三条のホームズ♦20 望月麻衣
二月の末、清貴の高校の先輩日野さんの滋賀のペンションに行く。葵が、日野さんから贈られたペンションの宿泊券を、清貴の誕生日に贈ったものだった。清貴が買った、光岡の自動車・ビュートに乗って、比叡山を越え滋賀に行く。小松探偵事務所からいなくなり、行方不明だった円生と、比叡山であった。
春休み、京もっとで知り合った篠田康平が、葵に近づく。
清貴は骨董品のサブスクリプションを試験的に始める。
七月 南座で舞台練習中の秋人からの呼び出しで、清貴と葵は南座に行く。清貴と秋人をモデルにした相笠クリスの京都探偵事件簿の舞台練習だった。相笠クリスが来ていた。順に出演者を紹介される。清貴は秋人にタップダンスのバトルの挑発に乗り、見てすぐのタップを踊る。秋人は感心する。その夜、SNS上で、相笠の悪口が流れた。すぐ消えたが見た者は多く、皆が疑心暗鬼になっている。初日も近いため清貴が解明に乗り出した。
清貴が聞き取りをして流した女優を突き止める。秋人と仲良くするクリスに嫉妬し、お酒を飲み過ぎたための過ちだったことが判った。降板するという女優に対し、クリスは逃げるような真似は許さない。しっかり演じて責任を取って貰うと言い、初日を迎えた。問題のSNS動画は、探偵役の喜助が犯人を見付け、宣伝用に作られた。
清貴と葵は初日に見に行き、千秋楽にも行く。最後で喜助が足をくじき、最後のタップダンスのシーンができない。泣き付かれ最後のタップシーンを清貴が演じた。
八月 一日から葵は京都国立博物館のインターン開始となった。二月から採用に向け清貴のアドバイスを受け応募理由を書き直し直し、書類選考を通過し、面接を受けた。採用された。
葵はマネージメント・博物館経営。副館長が指導員だった。三週間、葵はインターンに集中した。副館長がかっこいいと言う。
葵のインターン中に博物館で黒木塔子のピアノリサイタルがあった。突然、清貴が葵の家を訪れ自分の過去のことで葵がいやな思いをするかもしれないからと、過去に黒木と付き合っていたことを告白する。自分の名前が出れば電話で話したいと言っていると言う。彼女は断った。葵は、清貴の言った通りになったと伝えたと清貴に伝えた。
葵のインターン中に、清貴はイーリンから香港に円生の絵が出品されたことが伝えられた。円生から別れの歌が届けられた。清貴は、円生からの歌を「来い」ということと捕らえた。作家の名前を伏せて金額を付ける企画だった。円生の後ろに菊川史郎と風雅がいることを知った。史郎と風雅の清貴への憎しみや恨みを知った円生は、精算させるために二人の話に乗った。また、悪の道に迷い込んでいる昔の友を助ける為にもお金が欲しかった。この企画のお陰で、円生の絵は一億六千万で売れた。買ったのは、京都岡崎の高宮だった。史郎は、念願のジウ氏のもとに戻れた。
風雅と史郎が清貴にしたこと。清貴に一番ダメージを与えられること。葵の心変わりのため、大学院生に葵を誘わせた。清貴の元彼女に清貴のことを葵に吹き込ませようとした。
失敗に終わった。
インターン最後の日、清貴が迎えに行く予定だったが、円生が現れた。円生は、葵に告白するつもりだったが、言えず、葵のお祝いをしましょうという提案に乗ってしまった。円生の告白を知っていた清貴は、二人で近づいて来たことで驚いた。小松探偵事務所で、お祝いをする。また、円生は事務所の二階に住むことになった。
葵はインターン中に、かっこいい副館長に感化された。自分の将来を考えた。卒業したら、清貴と結婚し、サリーのところへ行きたいと清貴に告げた。
2025年1月21日 再度読み書いた。
2023年6月9日金曜日
京都寺町三条のホームズ ♦6
京都寺町三条のホームズ ♦6 望月麻衣
〜新緑のサスペンス〜
真城葵はホームズこと家頭清貴と交際が始まって一週間。彼氏になったことが信じられない。上田さんが持ち込んだ、茶碗で勉強会ができた。黄瀬戸と志野の茶碗
オーナー、清貴の祖父・家頭誠司から、五月三日の葵の誕生日に、清貴とええ仲になったお祝いも兼ねて葵の18才の誕生日パーティーをしようと言われた。
鑑定士や美術収集家の蔵や倉庫から、一点だけ仏教関係の美術品を盗むという盗難が起こっていた。
相笠くりすの相談を受けた時にいた小松という探偵が、蔵を訪れる。清貴を心が読めると信じ、怖いという彼が、自分の行方不明の娘・優子を探して欲しいと言ってくる。
雨宮議員のパーティーに参加し、議員から話を聞く。盗難はなく息子が持ち出していたと言った。
高校生の家出が多くなったという情報が入る。二三日で帰ってくる。
また高校生の間で、大麻が広がっていると言う情報。
メンタル・サポート・セミナーに参加する。
小松の別れた奥さん・雅美に会う。小松ほどの緊迫感はない。清貴は一度会ったことがあるような気になる。
セミナーの二泊三日の合宿に行くことになった。清貴と小松が合宿所に入った後、店長と葵、利休と雅美の四人は、キャンピングカーで合宿所の近くに待機した。
夜、清貴と小松は、小松がセキュリティーを解除し、合宿所内を探し、大麻を見付け、優子がいる場所らしきものを見付けるが、合宿所の人々に見付かる。塀を越えて入った利休の助け、店長が呼んだ警察のおかげでみんな捕まった。
そこには、國代先生が雅子をモデルに描いた薬師如来図があり薬師如来にそっくりの優子がシンボルにされていた。盗まれたのは、暁のメンバーの作品であり十二神将、薬師如来の守護神だった。
韋駄天という不良グループのリーダー・原口宏郎と進学校のトップクラスの学生が一緒になり宗教で、宏郎のカリスマ性と頭脳で金儲けを企んだ。薬師如来の掛け軸を利用していると暁が加わった。暁は大麻愛好会だった。韋駄天の五人、高校生二人、暁の五人。優子を薬師如来にしたて、自分たちは十二神将、セミナーと大麻を使って教団を始めた。首謀者は、國代豊と清貴は話した。清貴は小学生の時その絵を見ていた。
國代は優子が自分の娘だと言う。雅子は分らないと言う。
宏郎は怖くなっていた。宗教に大麻、金はどんどん入り、國代は優子を操り、洗脳し軟禁していた。誰かに止めて欲しいと思っていた。
警察が来て捕まえた。雨宮九郎率いる暁のメンバーが大麻を操り教団を起こしていた。清貴は、裏で糸を引いていたのは雨宮史郎ではないかと思っている。史郎は、離婚した母親とアメリカに行った。
小松はDNA鑑定をしなかった。行き来出来る距離に住んで親子三人で食事をする関係に戻った。
五月三日、誕生パーティーに行く前、蔵に葵の元彼・克実が訪れた。清貴は、パーティ着に着替えた葵を見せる。あなたが手放してくれたお陰で僕は素晴らしい女性の手を取ることが出来ました。あなたが別れを告げていなければ見向きもされなかったでしょうと。今日は彼女の誕生日です。また別の日に連絡して下さいと伝える。
2023年6月8日木曜日
京都寺町三条のホームズ ♦5
京都寺町三条のホームズ ♦5 望月麻衣
桜色の恋文 三月二十五日 葵、香織、清貴、秋人、店長、五人で城崎へ行く。途中、天橋立に行く。
大晦日の家頭家のホームパーティーで柳原茂敏先生が、真贋ゲームで手に入れた「月見屋」の宿泊券使うたかと聞いてきたことから秋人が加わり五人で行くことが決まった。
秋人はどこに行っても人気が出てきた。
「月見屋」では、香織の姉・佐織がアルバイトをしていた。途中で、利休が加わる。利休は、清貴と佐織はお似合いだと言う。清貴は、佐織さんがお付き合いしている人に失礼だと言う。付き合いを隠している佐織は、清貴に彼からきた手紙を見せ、どういう意味なのか聞く。清貴は、会いたい、会いたくて仕方なく抑えられない気持ちを絵に込めていると言う。
葵は、清貴に回りくどく気持ちを伝えたことがあるかと聞く。清貴はあると答える。伝わっていなかったと答える清貴。
佐織の彼が帰ってきた。米山だった。
シャーロキアンの宴 葵と清貴は、シャーロック・ホームズクラブの221記念会に行く。
桜の木の枝が切られたり、持ち籠れたコナン・ドイルの未発表の原稿が無くなったりした。
みんなの動きを聞いたホームズの格好をしたホームズは、会の場所を提供したマダムの執事・西澤が持っていると指摘する。そして桜の木を切ったのは、カーテンを開けた杉村だと言い切った。カーテンを開けるためのレバーにピアノ線が仕掛けられレバーを回せば桜の枝が切れるようになっていたと指摘する。マダムが誤る。あまりに欲しかったと。ホームズは、マダム、皆さん名演技でした。ゲストに向けての寸劇でしたと締めくくる。
未公開原稿を見たホームズは、偽物だと言った。書いている人の感動とか興奮が伝わってこないと言う。
葵はシャーロックホームズを読もうと思った。
紫の雲路 葵は学校行事で、西京極スタジアムで京都サンガF・C・の応援に行く。京都サンガには大木高校出身の一条選手がいた。大木高校新三年生の女子は、サンガチアガールになってダンスをする。
清貴の高校の先輩・田宮が、土曜のサッカー観戦の誘いに来る。一旦は断るが、イベントの話を聞き、行くことにする。田宮は京都サンガの広報だった。一条の様子が変だということ、そして不調だと心配だと言う。
当日、清貴と昼を食べ、京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場へ言った。出会った同級生に彼氏と聞かれる。いつもカップルと間違われてすみませんと言う葵に、清貴は、光栄ですと言う。葵は相変わらずお上手な人だと思う。
試合中に、一条選手20才が、高校教師・早川29才に交際を申し込んでいることが分る。年上であること教師であることを考え、早川先生は、ハイと、答えられないことを、清貴は暴く。それを聞いた周りの高校生は、先生を応援し、一条にYESとポンポンで知らせる。一条の元気は復活しゴールを決め、試合に勝った。早川の手を取ろうとした一条にキャプテンが言った。選手はプライベートを試合に持ち込んではいけない。見に来る人のため人も、自分の大切な人を守るためにもと言った。
今回のホームズさんはちょっと手厳しかったと言う葵に、清貴は、煮え切らなさが自分を見ているようで、自分自身に言っていたのかもしれないと言う。
茜色の空に 店長にインタビューと言い青磁の壺を見て帰った雑誌記者。店長のマグカップを持って帰ったと聞いた清貴は、多分円生でしょうと言って木刀を持って待つ。やってきた円生に、あんな才能を持つあなたなのに、どこまで落ちるのか、何をやっているのかと言う清貴。青磁の壺の盗みを失敗した円生は、「志野の茶碗」を持って帰っていた。
次の日、茶碗奪回のために、清貴と秋人と葵は、パソコンのヒントに誘われ二条城に行く。清貴は、書と生け花の円生の作品を見付け、次の誘いの場所に行く。葵は、いやな予感がして、ホームズに蔵で待っている。遅くなっても待っていると伝える。
化野で出会ったホームズは、円生と話す。円生は自分のアトリエの地図を渡し、そこに茶碗があるから持って帰りと言う。古いアパートに行った。鍵の掛かった箱の中に茶碗があった。時間内に鍵を開けないと爆発すると言う。清貴は十六文字の英字を考える。時間ぎりぎりでキーボードを叩いた瞬間、爆発音がした。直後、ディスプレイに花火の映像が流れ、ウェストミンスターの鐘の音が流れた。清貴は腰を抜かしていた。鍵が明き、茶碗は戻った。
蔵に帰った清貴は、待っていた葵に話す。聞いた葵は、我慢できなくてずっとホームズさんを・・・言いかけた葵を清貴は止める。葵は受け入れられるとは思っていないが、告白もさせてもらえないのかと俯く。清貴は葵を抱きしめ、「そこまで言わせて堪忍、僕がちゃんというべきやった。僕は葵さんが好きや」・・・。まだ言う気はなかったが、死ぬかと思った時、あなたに気持ちを伝えたかったと思い、帰ったら絶対にと思った。
オーナー、店長、秋人も揃い、近所の三嶋亭に行く。二人は手を繋ぐ。店長はあんな清貴を見るのは初めて本当に良かったと言い、秋人は小学生かよと言う。
2023年6月7日水曜日
京都寺町三条のホームズ♦4
京都寺町三条のホームズ♦4 望月麻衣
〜ミステリアスなお茶会〜
序章 年の初めに
一月三日 蔵の営業初日 和服で出社。葵は弘法さんで買ったクリーム地の小紋を着る。
清貴と近くの矢田地蔵尊に行く。オーナーは行こうとした秋人を止める。着物姿の葵ちゃんと歩きたいのやと一言。矢田地蔵尊で、自己犠牲は自分への冒涜という話しになる。
喫茶店でフレッシュの話し。清貴のいけず京男子健在
ビスクドールの涙
葵は清貴から、埼玉から来る友達の京都案内のレクチャーを受ける。八坂神社から清水寺。デートみたいと思う葵は、清貴と一線を引くと決めたことを再認識する。地主神社で恋とは無縁だと言い。私には縁遠い場所だと言う。清貴に対して勘違いしてはだめ。恋ではないと言い聞かす。蔵にいられなくなることが嫌だから。
祇園のカフェで清貴の祖母・椿に会う。椿の家に行く。オーナーが椿に送ったビスクドールの男の子がいた。この頃、ビスクドールが泣いたり移動したりすると言う。清貴は椿の現夫・義男の気持ちを感じ蔵に戻すことにした。蔵には女の子がいる。
バレンタインの夜会
二月、オーナーが清貴が名探偵だと噂を広める。
手が触れ合うと勢いよく手を引っ込める葵に、清貴が、僕が怖いですか?と問う。嫌っていますか?少し触れることも嫌なのか・・・それなら気を付けます。
葵は、蔵が大好き、オーナーも店長もホームズさんも大好きですし、尊敬していると言い握手する。一線を引こうと心がけている自分の態度が悪い印象を与えているのかと反省。
清貴から鑑定用の手袋を貰う。
店長が、バレンタインに吉田山荘で開かれる相笠クリスの朗読会に行って欲しいと頼んできた。清貴は吉田山荘なので了承した。
当日、葵はパイプを咥えたシャーロック・ホームズの横顔のチョコレートを渡す。清貴は言い誕生日プレゼントになったと受け取る。葵は今日が清貴の誕生日だと知った。
集まったのは、クリスの前編集長、高校の同級生が二人、クリスの公式サイトのカメラマンと助手、私立探偵が一人だった。クリスの妹・香奈の「あの日、わたしは殺されました」と言う言葉で始まった。クリスは自殺し、助かったが記憶を無くしていると伝わっていた。清貴と葵以外はクリスの快気祝いだと言われていた。
清貴の、目をみれば何でも判る探偵という噂のため、真相を明らかにして欲しいという頼みだった。クリスは誰かに突き落とされた。クリスには、何故、誰にという疑問があった。
小田は帰った。清貴に、二人と後一人の素行調査を頼まれたかの質問を受けた。
一通り話しを聞いた清貴は、判ったことを話す。相笠クリスの名前の謂れ、同級生三人の名前から文字って付けられたこと、クリスの売れている本の内容は三人の合作から生み出されたものということ。クリスが売れて二人が何かと頼みごとをすること。強請られているように感じたクリスは二人の弱みを調べたこと。クリスが好きになったカメラマン助手・小田を友人が恋人にしたこと。慰めてくれていた編集者・橋本に心を寄せると彼が結婚したこと。小田が設定し用意した場所で、同級生が知られたくないことをほじくりだしてきたクリスが憎くなって突き落としたことを話した。間違いではなかったようだ。
クリスは後に小説にした。
後継者の条件
滝山利休・好江さんの息子・前蔵のアルバイトがフランス留学から帰ってきた。利休は、清貴の信奉者だ。利休が、バイトは辞めて勉強に専念したらと言うのに、清貴は葵を庇う。機嫌が悪いですね。これ以上葵さんに失礼なことをすると許しませんよと微笑む。
利休の父親・桐嶋左京が、利休と共に左京の父親・斉藤右近の家に呼ばれているが、鑑定士を伴うようにと言われているので清貴に一緒に来てもらいたいと言う。清貴は大喜びで了承する。いろいろ有るようなので葵も行くことにした。
途中、今宮神社に寄る。あぶり餅を食べる。
斎藤家に集まったのは、長男の桐嶋左京・デイトレーダー、次男司・鑑定士は田中、円生だった。三男和彦・会計士、鑑定士は藤原慶子。清貴とは知り合いだった。利休の祖父・右京は、場違いの葵を試すことにした。葵は、出された八腕の樂茶碗の陶工を言い当て、それぞれの特徴も言う。右京は葵を認めた。葵は今年に入ってから清貴から樂茶碗のレクチャーを受けていた。
斎藤家にはいろんなお宝があった。その中でもどれが斎藤家にとっての宝かを見極めよ。と右京は三人の息子と孫に言った。
右近は、鏡に写った兄弟だと言った。司は、武士の心を忘れないようにという太刀だと言った。和彦は七宝焼きの壺を選んだ。清貴に腹を立てた司は、清貴に掴みかかる。利休は嫉みややっかみを引き寄せてしまうと言いながら司を勢いよく一本背負いし床に転がせた。利休は清兄は主君だからねと言う。後継者選びの試験はみんな失格だった。
尋ねられた清貴は、太刀だと言った。桔梗紋の太刀は明智光秀の太刀。斎藤家の先祖は斉藤利三なのでしょう。光秀様のおかげの感謝の心、斎藤家における宝でしょう。
そして最後に右京は聞く。一番の価値のあるお宝はどれでしょう?慶子は七宝焼の壺、円生は白磁、清貴は奥の襖絵だと言う。無名だが、俵屋宗達でしょう。涙を堪えるのが大変だったと言った。
右近は清貴に利休を宜しくお願いしますと頭を下げた。清貴は利休を弟のように思っているこれまで通り仲良くさせてもらいたいと。
葵と清貴は、襖絵を見てから帰る。清貴は、円生を挑発する。失敗しましたね。葵は円生が一方的に嫉んでいると思っていたが、清貴も同じような感情を抱いていた。彼の存在が疎ましい。僕にあれだけの才能があったら・・・清貴の呟き。
好きです、清貴さん。葵は自分の気持ちを解放しようと思う。
清貴は今夜は、月がとても奇麗ですねと言う。
2023年6月6日火曜日
京都寺町三条のホームズ♦3
京都寺町三条のホームズ♦3 望月麻衣
〜浮世に秘めた思い〜
序章 忍ぶ思い 葵がバイトを始めて八ヶ月 オーナー・清貴の祖父が、平兼盛の「しのぶれど・・・」の歌の掛け軸を店の壁に掛けた。
上田が持ち込んだ浮世絵の掛け軸から浮世絵のレクチャーを受ける。
上田は、店長・清貴の父に見合いを段取りしたが断られていた。店長は、一番美しい時に、一番愛しい時に亡くなった妻・清貴の母を忘れられない。妻より愛せない人と結婚は、相手に申し訳ないと言う。
店長・作家・伊集院が、書いていた作品と同じ人を題材にした作品が出版された。店長は・作品を没にして新たに書き直さなくてはならない。いきずまった店長に清貴は鎌倉の観音様の話をする。店長は里見義弘と幼なじみの尼の話を書くことにした。
第一章 歌舞伎美人の恋慕 11月、
葵は清貴に顔見世に誘われる。葵は、定期試験の結果が悪く、今度のテストでも悪かったらバイトを辞めるよう言われている。頑張って勉強しないといけないので出ずらいと漏らす。結果、清貴に勉強を教えて貰うことになった。
清貴の大学の女子大生たちが店に来る。清貴は、楽しげにくだけた口調で語らう。
葵は、清貴の接し方で、自分が「特別」じゃないかと思ったが、特別ではなくあくまでバイトだと分った。敬語だし、他の人よりさらに離れている。勘違いを暴走させる前に現実を知って良かった。私みたいな平凡な人間につり合わないし。一線を引いてミーハーな気分で眺めていようと思った。
秋人が歌舞伎役者・市片喜助と女優・元宝塚男役スター・浅宮麗を連れ蔵に来る。
秋人は、品行方正に京都を紹介しいていた秋人の「本当の姿」が、ドッキリ映像で放送されお茶の間に大きな衝撃とインパクトを与え、話題、評価が高まりテレビの出演回数が増えた。今もロケの合間だと言う。
市片喜助は九月に襲名し、顔見世に出演する人気者だ。喜助と浅宮麗が付き合っているという関係が分った。華やかな来客。
秋人が人気者になったにも関わらず、天狗にもならず以前と変わっていないことに、清貴の秋人評価が上がる。
数日後、喜助と元モデルで資産家の令嬢との婚約報道があった。またグラビアアイドルと付き合いのあったことが報道された。
葵は三つ股だと憤る。清貴はそういう世界だと言う。
顔見世初日の前日、喜助が「お前が市片喜助の名を継ぐのは許しがたい。襲名を辞退しろ。口上を断固阻止する」と書かれた紙を持って蔵に来た。状況をホームズは言い当て喜助は驚く。襲名の決め手は市片藤三郎の押しだと言った。帰る喜助にホームズは、止められない想いが伝わります。何を仕出かすか分らない。気をつけてくださいと言った。
昼の顔見世の後、先斗町で夕食。蔵からのボーナスだった。最高の席で、音声ガイド付きで見る。秋人も麗もいた。秋人の四等席に喜助と話題になったグラドルもいる。
演目のラスト、喜助出演のクライマックスのワイヤーアクションの最中、喜助が空中から落ちた。ホームズは、麗と一緒に楽屋に行く。葵も付いて行く。秋人はグラビアアイドルを連れてくる。婚約者もいた。ホームズは喜助の足を触り、折れてはいないことを確かめる。患部を冷やし、応急処置をする。
事故だという喜助に、ホームズは故意と仮定した場合の話しをし、犯人を追いつめる。ホームズは藤三郎の妻・あやめに向き合い、喜助さんに裏切られたと感じられましたかと問う。婚約者とあやめとの言い合いで、喜助と藤三郎の妻の関係が明るみに出る。襲名のために関係をもったのは仕方がないと思ったという婚約者の弁に対し、どうしようもなく惹かれたからだという喜助。謝る喜助に藤三郎の平手が飛び、「足をどうにかし、立派な口上をせい!」と一言「あやめ、行くぞ!」とその場を退散。謝るあやめに、昔の報い、因果かな。お前に寂しい思いをさせていたのかもしれない。すまなかった。と言っているのが聞こえた。
婚約者は、婚約を解消した。グラドルはバイバイと帰った。麗は喜助の背中をばしっとっ叩き元気付ける。
奥様の不貞を許した藤三郎の器の大きさに圧倒されたという葵に、過ちを許すことで相手の全てを支配できるという清貴。自分の大きな過ちを許してくれるような人になら支配されてもいいかなという葵。先斗町で食事。その後、勉強。
第二章 聖夜の涙とアリバイ崩し 年末定期試験の総合得点、過去最高。まさかこんなに点数が上がるなんて!
母親に不正を疑られた葵は、バイト先の「蔵」と家頭家の説明をする。京大院生ホーム・ズに勉強を教えてもらったことを話す。母はお礼をしたいので家にお呼びしろと言う。
上田さんが、北山通りにイケメンカフェを出す。四日間、清貴は手伝うことになった。
試験の結果が良かったことを清貴に報告し、母親の誘いを言う。土曜日、上田のカフェに行く前に葵の家に寄ることになった。祖父の骨董品を見たいという清貴の言葉もあった。
土曜日、母親と弟・睦月中二がいるところへ清貴が来る。アップルパイ、クッキー、豆餅。
ホームズの武勇伝を葵から聞いていた母親と弟は、事件に巻き込まれたら相談してもいいかと言った。
祖父のコレクションを見るが、価値のある物はなかった。清貴は、この中から何も知らなかった葵が、白隠禅師の掛け軸を選んで持ってきたことを良い目を持っていると誉めた。
葵の部屋で清貴は、この子は自分を好きなんだろうと思っていたが、自惚れだったようで残念でしたと告白する。自分とカップルだと勘違いされて、心底困ったと迷惑そうに強く反論されたと言う。(葵のことだが、葵は気付かない)
上田さんの店を見に行く。流行りそうだ。店の話の後、元彼女・和泉が現れる。清貴が高校生の時付き合っていた。清貴は大切に扱っていたが、和泉は大学生になるなり合コンで知り合った男性と深い仲になり、清貴と別れた。その彼と結婚の話になったが、破談になった。父親が進める見合いをした。相手が魅力的で話しは進んだ。婚約パーティが開かれた。その婚約パーティの日に、彼が私の部屋に来たという女が現れた。和泉は彼女のSNSを見つけ彼に問いただした。彼女は桃山に住んでいる。松ヶ崎から桃山にその時間に行けるはずがないという。彼のアリバイを崩してほしいと言う。ホームズは、真相を知る覚悟はあるかと問う。ホームズは調べることを言い揃ったら連絡を下さいと言った。
クリスマスイブ。葵は蔵の店番。店長が帰って来ればアルバイトが終わり。上田さんのカフェへ行こうと思っている。清貴は上田の店の手伝い四日目だ。店長に自作クッキーをプレゼントして帰る。イケメンカフェは大人気、葵を見つけた清貴は、葵に店が終わった後、和泉が来るからご一緒にと声を掛けた。
和泉と婚約者・橘が現れる。寺町三条のホームズを知っていた橘。和泉との関係を聞かれ、高校時代の同級生と言い、葵を婚約者と紹介する。
ホームズは、橘のその日の行動を話す。彼女は桃山に住んでいたのではなく、松ヶ崎近辺に住んでいた。橘がコンビニでお金を下ろし、慰謝料・手切れ金を渡し、すぐ桃山へ引っ越す条件を付けた。念書を書かせたか?等ホームズは話す。橘は認めない。すべてホームズの仮説通りだとしても終わったことだと言う。葵は、橘に不誠実だと言う。大好きな人にでも誤魔化され続ければ信じられない。何もかもが嘘に感じる。どんなに良い言葉を並べても嘘では意味がないんですと泣く。和泉もあなたに惹かれたが、もう駄目です。信用できない人と人生を共に出来ない。勘当されるかもしれないが、嘘をつき通されるのは嫌ですと涙をお流す。橘はほぼ清貴の仮説通りだと言う。和泉と結婚しなければ多額の借金を背負うことになると彼女に言った。彼女がそれでもいいと言えば考えようと思っていたが、彼女は、掌を返すように別れてくれた。後は清貴の言った通りだった。前の彼との別れが女性関係と聞いていたので、嘘をつき通そうと思ったと謝った。清貴と葵は席を外した。
清貴と葵は教会の庭で話す。和泉と橘のこと。清貴はクリスマスプレゼントとして「植物園の年間パスポート」と「京都市美術館友の会」の会員カードを渡す。
葵は手作りのクッキーを渡す。「ほんま、あかん」と言う清貴に迷惑と思われないように「純粋にお礼です。他意はありません」と念押しする。冷たくなった葵の手を包み込み「葵さん」と言いかける清貴。和泉と橘が現れる。誠実で有りたいと言う橘。お幸せに。
第三章 祇園に響く鐘の音は 十二月末 オーナーが蔵に来て、しのぶ恋の掛け軸の話をし、葵を見る。葵は蔵の人たちに清貴に恋をしていると思われては蔵にいられなくなる。絶対に嫌だ。
大晦日の家頭邸でのパーティに行く。
清貴はパーティの準備に錦市場に行く。葵と途中の「新京極八社寺」に行く。清貴が用意していた薄紅色の朱印帳を貰い、寺社巡りをしていると秋人に出会う。清貴は仕方なく三人で行く。今までカフェオレを飲んでいた葵は、清貴の入れたコーヒーをブラックで飲めるようになりたいと思う。
パーティの用意ができるまで、家頭邸の居住スペースに行く。そして清貴の部屋に。清貴の部屋は、散らかっていた。本の山だった。
秋人のどう思うという質問に、葵は、素敵だと思うが、美意識の高い人は私を選ばないと思うから一線を引いていると答える。変人ぶりには、もう慣れました。
オーナーの友人、美術関係者、市片喜助、浅宮麗等揃った。
宝探しゲームが始まる。もうすぐ見つかる手前で入ってきた円生が見つけてしまう。円生と清貴は睨み合い、円生が用意した真贋ゲームが始まる。樂茶碗を二個出す。清貴はどちらも割る。山岡鉄舟の「清濁」。こことここにあなたが出ています。書を切り裂く。写楽。清貴は切り裂く。本物だと言う円生。清貴は決めては耳だ。心の叫びを聞いてもらいたいのではないですかと言う清貴。互いに胸ぐらをつかみ力を込める二人に、葵は、二人ともパーティの席です。いいかげんにしてください。終わったのですね。円生さん片づけて下さいと声を上げた。二人は笑みを浮かべ、内側の黒い感情を隠すことなくぶつけ合う。
上田が葵に、清貴は自分にとって特別な子だと話す。親友の彼女を好きになり、結婚、妊娠はショックだったが、清貴が生まれた時はほんまにうれしく涙が出た。清貴は変わり者で捻くれ者やけどこれからも仲良くしたってと言われる。
奥の部屋の窓際にいた清貴に葵は声を掛ける。反省していたという清貴。円生のことを考えている。
三人で八坂神社に行く。白朮火を貰って清貴と父親が住むマンションに行く。
秋人の今年の抱負は、公私共にガンガンいこうぜ。らしい。
葵は、ブラックコーヒーを飲めるようになりたい。
清貴は、去年は情けなかったので、今年こそは・・・です。
2023年6月4日日曜日
京都寺町三条 のホームズ①
京都寺町三条 のホームズ① 望月麻衣
ホームズと白隠禅師 真城葵17才は、亡くなった祖父の掛け軸を持って寺町三条の「蔵」へやってきた。葵は付き合っていた彼に別れようと言われ、葵が親友だと思っていた女子と付き合い始めたと聞き確かめに埼玉に帰るためのお金が必要になった。掛け軸は白隠禅師の本物だった。店番のホームズこと家頭清貴22才は、志野の茶碗の前で足を止め見入っている葵に、ここでアルバイトしませんかと奨める。交通費を稼いで帰りたければ帰ればいいのではと。葵はアルバイトをすることにした。
願わくは桜の下にて 葵は心の声に応えるホームズに驚く。葵は倉の二階で古美術品のレクチャーを受ける。オーナーの車・ジャガーが蔵の社用車になっている。
仁和寺で岸谷さんの父親が残した野々宮仁清の京焼を見ながら、父親が息子に遺した気持ちを伝える。売れる漫画を描いても、自分の魂を込め自分のブランドを作る。
葵は、願わくば桜の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ と言うと、桜の下ではなく花の下だと訂正される。
京男はいけずやから
葵の頃に 今年の斎王代の母子がホームズに相談に来る。西陣の宮下呉服店の奥さんと娘・斎王代の佐織さん、妹の香織さん。香織は葵とクラスは違うが同級生で顔見知りだった。斎王代を辞退しろという怪文書が二度届いた。ホームズに誰が出したか調べて欲しいという。
佐織が出品している華道展に行く。友達の佐織批評を聴く。
糺の森で判ったことを話す。家の経済状態を考えた香織が怪文書を書いた。父母が広告費と思えば安いものだと言うのを聞いて処分しようと思ったが、怪文書を見つけた佐織が自分でバックに入れ、二通目も佐織が書いた。佐織は友達に嫌われたくなくて斎王代を辞めたかった。香織は、しょうもないこと、ええ加減に卒業して新しい世界にでて、あの人と友達だったと言い出すほど素敵な女性になってと言う。佐織は店のためにと婿を取って家を継ぐことを考えている。自分は自由にできる身なので、できるだけ姉をサポートするつもりだという香織。
葵は、ホテルオークラの名物アンパンを食べに行こうと香織を誘う。ホームズは、友達になりたいと思える人に出会えて良かったねと言う。
百万遍の願い 店長・清貴の父・作家伊集院武史の小説に込めた気持ちを聞く。息子・清貴の才能に嫉妬する気持ち。
百万遍知恩寺の手づくり市に行く。毎月15日。清貴は文献文化学を学ぶ。清貴はフリーマーケットで逸品と思うカップを買う。清貴は、骨董屋が売ろうとしている茶碗を偽物だと言い、ただの茶碗を川喜田半泥子の物だと言う。二百万だと言う。
百万遍の由来を聞く。善阿は、念仏を百万遍唱えた。
清貴は高三の頃に相手に裏切られた失恋話しをする。父親の小説に込めた気持ちを知っている。祖父の努力も知り、自分も努力している。そして父は甘いと言う。
葵は埼玉に行くことをやめた。一生懸命バイトしたお金をそんなことに使いたくない。鞍馬にハイキングに行くことにする。
鞍馬山荘遺品事件簿 葵は清貴と鞍馬に行くことになった。店長に梶原先生の鞍馬の山荘に行ってほしいと頼まれた。貴船の川床での食事が決まった。
葵は清貴を見るたびにかっこいいなと思う。鋭さにドキンとする。
三ヶ月前に亡くなった作家・梶原の山荘に行き、梶原の妻・綾子、IT企業社長の長男・冬樹33才、イケメン俳優の次男・秋人25才、府立大二年の三男・春彦20才の相談に乗る。父親が三兄弟に残した掛け軸が、燃やされた。誰が燃やしたのか。燃やしたのは、綾子。掛け軸を送られた意図を解明する。綾子と春彦がいない時に、清貴は、春彦の父親は秘書の倉科だという。二人は次期を見て春彦に教えることにする。
綾子が貰ったアクアマリンの石言葉は自由だと伝える。
祭りのあとに チャライ秋人は、清貴の所に遊びにくる。
祇園祭の間、蔵は浴衣を着る。葵のナデシコの浴衣を清貴が選んだ。清貴は祇園祭を動く美術館と言う。
清貴の元彼女が蔵に来る。結婚が近いらしい。意味深な手作りの茶碗を置いて帰る。葵は和泉の「やっぱりあなたが好き。今も忘れられない」という告白だと感じた。
宵宵宮の夕方、和泉が蔵へ来た。
葵は 祇園祭見学に京都へ来ている埼玉の友達に会いに行った。元彼・克実と元親友・早苗がいた。二人が葵に謝り、廻りの友達もふたりの見方に廻る。泣かないで踏ん張っている葵を清貴は迎えに行き、みんなの中から助け出す。葵は清貴の胸で思い切り泣く。
清貴に和泉のことを聞いた葵に、夏の夜の夢のような短くはかないあなたの気まぐれに、僕との間につまらない噂が立っては困りますと歌を返したと言う。茶碗には打算と迷いが見え、逃避だと伝わって来たと言う。彼女に結婚を迷うのであれば両親に相談したほうがいい。一生後悔しますよと伝えた。
葵は清貴を、優雅だが鋭い切れ味「京男子」と名付ける。
2023年5月15日月曜日
京都寺町三条のホームズ〈19〉
京都寺町三条のホームズ〈19〉 望月麻衣
〜おがみ屋さんと鑑定士〜
プロローグ 賀茂澪人が小松探偵事務所に依頼にくる。鑑定の依頼とお化け屋敷の調査。
二月、清貴は車を買った。葵が清貴をちらちら見ることが気になる。
変わらないもの、変わりゆくもの 家頭武史・清貴の父が、時代小説から現代小説家を書こうとしている。メディアミックスされたいのでしょうと清貴に指摘される。
清貴と葵は、依頼人宅、北区中川まで、ドライブする。
父親の遺品整理をしている依頼主は、顔が赤く腫れている。この家で一晩過ごすとこうなるという。夜、目の前で火が燃えている夢を見、目を開けると真っ赤な顔の男たちがいたと言う。澪人は、祖父が彼の父親が手に入れた品の強い想念を、生きている限りという期限付きで閉じこめたことを思い出した。本人が亡くなり解除されたようだ。大井戸茶碗。澪人の大祓祝詞と、清貴のあなたの望まれる主を探すという言葉でおさまる。
澪人の書いた封じの札を茶碗の下に忍ばせ一時的に美術館に置かれることになった。
澪人が「蔵」で話している間、武史はメモをしていた。ホラーにしようかと思っている。
それぞれの恋慕 円生は、四条大橋で、「若冲が目に留まったものを書いた」と言った葵の言葉を考える。イーリンがボロアパートの前で、ごめんなさいと涙を流して立ち去ったことを考える。
葵は香織に、バレンタインに陶芸サークルの出町商店街のカフェでの「陶器と花の展覧会」の出品に誘われた。葵はバレンタインが誕生日の清貴に何を送るか悩んでいた。作品をプレゼントすることにした。
香織は、クリスマスに酔った勢いで一人暮らしになった春彦の部屋に泊まろうと言ったことを悔やみ、拒否されたことに春彦の誠実さを感じると共に、自分に関心がないと思い、好きだという告白を無かったことにしてもらったことを話す。作品に自分の気持ちをぶつけることにした。
円生は絵を描き始めた。
黄昏のホラーハウス 小松と利休と秋人と清貴、四人で澪人の依頼を受けた屋敷へ清滝トンネルを抜けて行く。人里離れた山の中にぽつんと存在する洋館だった。
アメリカの資産家が日本に住んでいた時、日本人と結婚し、この洋館を手に入れ住んでいた。彼は一人娘が小さい時に離婚アメリカに帰った。彼が亡くなり、昔の日記に、私の宝が京都の別荘に残されているかもしれないと書かれてあるのが見つかった。親戚が京都に来て宝を探している。宝を見つけて欲しいという依頼だった。
彼らは真里に出会った。真里は、母も帰らなくなった。除霊の前にこの屋敷の屋敷の秘密を知りたいと言った。彼らは屋敷を見てまわる。小松は三十代半ばの女性に子どもを探していると声を掛けられる。
清貴は、この屋敷の秘密、お父さんの宝は、真里さん自身ですという結論に達した。真里は死んでいた。第二次世界大戦のため父親はアメリカに帰り、真里の容姿のため妻と子は山中の一軒屋で暮していた。母は実家に帰った時、空襲に会い亡くなった。娘・真里はもしもの時に入るように言われた隠し部屋に入り亡くなった。真里の遺体が見つかっていないため、母親は亡霊になって真里を探している、と言う。置き時計が入口になっている防空壕の変わりになる地下へ下りる階段の途中に白骨死体が見つかった。真里は母親と消えて行った。
澪人も真里の遺体がこの館にあるところまでは分ったが、どこにあるかわからなかった。除霊し、真里の父親の孫に会う。澪人に除霊を頼んだ人・亘だった。伯母さんの白骨遺体が見つかったことを告げる。埋葬をお願いする。
澪人が蔵へ来た。店長・清貴の父はメモを取りながら興味津々だ。澪人が小春とのデートだと帰った後を、質問があると追いかける。澪人と清貴のことを書こうとしている。タイトルを聞かれて葵は「拝み屋さんと鑑定士」と答える。
終章 二月十四日 陶器と花の展覧会開催。香織の作品を見た春彦は、賀茂川縁に香織を誘う。好きだという春彦に、香織は、クリスマスにキスをねだり拒否されたことを言う。春彦は何かの間違いだろうと必死で堪えた。自分でめちゃ褒めていたと告白する。リベンジしていいかという春彦に、こんなところで駄目と拒否する。デートすることになった。
清貴は会場に、円生のスケッチが飾られていて驚いた。葵の作品は花器はリボンで包まれジャスミンの花は風船のように飛び立つように丸くなっている。リボンを取ると車の形の花器だった。ボームズさんへのプレゼントです。感激している清貴に、ペンション「レイクサイド」の宿泊券を送る。感激したホームズは、葵にこんなところで駄目です!と怒られた。
会場を出た円生が、アパートに帰ると、見た目は爽やかな男が待っていた。
おまけ 澪人は、清貴に、どうやって葵さんと深い仲になったかと聞く。二十歳の誕生日に旅行に。親は致し方なく黙認。外堀を埋めることが大事とアドバイスを貰う。澪人に、「禁欲王子」の称号を譲った。
2022年12月23日金曜日
わが家は祇園の拝み屋さんEX
わが家は祇園の拝み屋さんEX 完その後 望月麻衣
〜愛しき回顧録〜
小春たちが進む道を見つけた五年後。
学徳学園高等部に、OGMニ代目結成しようとする少女・一ノ瀬寿々がいた。千歳がいた。寿々は小春や澪人たち元OGMに話を聞こうとする。
愛衣は、関西のグルメやファッションを発信する雑誌と全国の不思議情報を発信するする雑誌を出す小さな出版社に勤めていた。本当に心霊現象がおきているかを確認して『組織』に報告する下請け企業のような仕事もしていた。
寿々は愛衣と問題の木を見に行く。愛衣と手をつなぐと不快さや悪臭が飛んでいく。愛衣は何も見えないが、悪しきものを寄せ付けない力が強いことが分かった。寿々は霊を祓おうとして失敗する。現れた朔也が霊を祓い、寿々に神様や自然のエネルギーを使うことを教える。
愛衣と朔也は告白し合って付き合っていた。小春と澪人のことを聞いた寿々に、朔也は土曜日に祇園のさくら庵に行くことを進めた。
寿々、透、剛士の先生・阿倍公生宅で、賀茂和人と阿倍由里子に会う。和人は医師、由里子は獣医師の国家試験の受験生だった。
土曜日、小春と澪人は、婚姻届けを出していた。さくら庵で祝いの会が開かれた。
18才の誕生日、澪人にプロポーズされた小春は、大学を卒業したら結婚したいと言った。
二人が結婚を約束した時、黒龍が現れ、澪人に子供が出来れば、驪龍と名付けて欲しいと頼む。澪人は小春に伝えると言い、理龍と考えた。
小春は大学の四年間を、東京の両親と生まれたばかりの弟・夏樹と暮した。卒業後、学徳学園の養護教諭になりスクールカウンセラーを兼任していた。
宗次朗と杏奈は吉乃と一緒に住み、安寿と風駕という二人の子供がいる。宗次朗は店舗を四店に増やし、風駕を背負って店を回っている。杏奈は主演ドラマを持つ女優になっていた。
五月、二人の結婚式と披露宴が上賀茂の家で行われた。陰陽師の人々、二人の家族、寿々たちも参加した。
寿々は、千歳が、姉のように小春を慕っていたのではないことを知った。千歳は自分の初恋が遠に終わっていたことに気付いた。
最後に若宮・黒龍様が現れた。
2022年9月18日日曜日
京都寺町三条のホームズ18
京都寺町三条のホームズ18 望月麻衣
〜お嬢様のミッション〜
プロローグ 正月五日、葵と香織は、北野天満宮へ行く。香織は春彦とのことで葵に言えない何かがあった。
小松探偵事務所に、ジウ・イーリンが来て、香港の富豪の娘のボディガード兼ガイドの要請をする。報酬に引かれ小松は無論了承する。
事務所で暮らす円生は、まだ絵を描く様子はない。
イーリンと円生にも何かあったか。
田所敦子は、二十カラットのブルーダイヤを盗まれた。
清貴と葵は若冲縁の宝蔵寺に行く。葵が円生に誕生日プレゼントに若冲の絵柄の御朱印帳を買いそうなので、清貴は円生に買う。後に若冲展への誘いのメモを入れて渡す。
ガイド当日、清貴は、チョウ・ズシュエン本人に断られるよう、飛んできたハイヒールを除けない。ハイヒールを投げて返す。連れて行くのはインパクトのある京都では、縁切り寺・安井金毘羅宮。感動できる京都では、幽霊子育飴のお店。特別な体験ができる京都では、法観寺の八坂の塔の二層目まで登った。小松は円生に葵を迎えに行って貰う。京都らしいランチでは湯豆腐だった。話しは清貴らしく嫌み交じり。
午後は葵が合流して、SNS映えする、八坂庚申堂。嵐山のキモノフォレスト、竹林に行く。
小松は、葵が毒気を抜く人だと気がつく。毒気の強い人は葵を好きになる。チョウは、日本名・梓沙。梓沙、葵と呼びあっていた。
梓沙は三年前に母を亡くしていた。去年の暮れ、父親の恋人が発覚した。
二日目ガイドは午前中は中止、午後は葵が来て、下賀茂神社、水みくじ、縁結びの社、美人祈願の社を廻る。
梓沙の希望で大丸へ行き、宝石アクセサリーを買う。大丸外で事件が起こる。ガードマンの位置が予定と違うことに気がついた清貴は、ガードマンと闘うが、梓沙はガードマンに車に乗せられ連れ去られる。警察に連絡せず、ホテルで父親の来るのを待つ。梓沙のスマホからメッセージが届く。あなたが手に入れた宝と引き換え。不可解な一文があった。
ホテルに警察並の装備が並べられる。プロジェクターで清貴と小松が付けていたカメラをの映像を映す。ガードマンは、周が雇った元傭兵だった。清貴は一人を捕まえた映像が流れ、周は驚く。小松は街角の防犯カメラを追跡し、伏見区まで追った。周は清貴等を引き取らせようとしたが、清貴は、自分たちの方が早く梓沙を見付けると豪語し出発する。
伏見とは逆に鷹峯のホテルに行く。小松に豪華ホテルの防犯カメラを見て貰い、梓沙が入ったホテルを突き止める。尾行が付いており周が現れる。
清貴は、お嬢様の自作自演の誘拐劇、壮大な親子喧嘩にピリオドだと言う。腕の立つ物を置きたくなかった梓沙は、クビになりたいためハイヒールに反応しなかった清貴を採用した。車が見えなくなった辺りにヘリポートがある。ヘリを使って鷹峯に移動。不可解な一文は、何も伝えていなかった君島に「あたしは 大丈夫」というメッセージ。
梓沙は、父親の恋人のことよりも、ブルーダイヤの手に入れ方が気に入らなかった。盗んだこと。梓沙は母親の青い目と似たブルーダイヤを手に入れるために君島を敦子さんの所へ交渉に何度も行かせていた。それを知った恋人は、父親にねだった。そして盗難騒ぎが起こった。パパはママを裏切っただけじゃなく、パパを信じている全ての人を裏切った。父親からダイヤを奪い、敦子に返し、また交渉しようと思っていた。
まだダイヤを手に入れていない周は、大阪で開かれるシークレット・オークションのことを話した。盗難品ばかりが集まるオークションのことを小松は知らせ、一斉検挙となった。
アクセサリーのプレゼントを葵は断った。梓沙はアパレルブランド『華』を立ち上げている。葵が言った「私の人生を変えてくれた町」。気に入った梓沙は後に「私の人生を変えてくれるファッション」というキャッチコピーに使う。
梓沙は敦子に会ってから帰った。
円生はメモを見付けた。京都国立博物館。指定された日は休刊日だった。内覧会。葵も円生も特権にわだかまりがある。
葵と円生は、若冲の絵を見ながら話す。葵は若冲は神様の視点で全てに感動している。特別な物ではなく周りの全てが、特別な物。
清貴は若冲の作品を「神の視点」だと思うと話す。
葵はお金に対する価値観を改めた。お金が欲しいではなく、自由が欲しいと思えば良いという清貴。
葵が庶民感覚を・・・と言っていたことを、価値観の違い、別れの理由と考えていた清貴だったが、葵は、価値観の違いは当たり前、分かり合う努力とか譲り合う理由になるが、別れる理由にはならないと言う。
春彦が清貴に相談にくる。香織の告白の返事をしていなかったからか、告白なかったことにして、これからは友だちとして仲間としてこれまで通り仲良くして。と言われたと言う。
清貴は、勝手な想像をせず、彼女の気持ちを聞いてみたら。好きな子と友だちになりたいですか?蛇の生殺しのようなポジションと言われて、春彦は自分の気持ちを整理して向き合うことにする。
事務所で宴会が開かれた。「お疲れ様会兼新年会」葵、利休、ユキ、秋人。円生には内緒、円生の誕生会だった。
秋人が、相笠くりすの、清貴と秋人をモデルにした昭和初期の京都を舞台にした作品が舞台化されることになったと発表した。
周さんから小松事務所に沢山の報酬が払われた。小松事務所が祇園にいられる。
みんなで乾杯!
番外編 拝み屋さんと鑑定士「彼の胸の内」 わが家は祇園の拝み屋さん⑬より
蔵に、澪人と小春が訪れる。小春は初めて蔵に来た時のことを思い出す。
ほんの一瞬で小春は清貴の心を読んでしまった。自分のほとんどを当てた。
初めて葵に合った時の清貴の心も読み取ってしまった。葵に対する清貴の思い、澪人に、恋しい人を前にした時の頭は覗いたらあかんよと言われた。
衝撃的なひと時。
清貴は、小春が目をそらしたことは、人見知り、警戒心が強いと判断した。人の心が分かるために目を合わさないようにしているとは考えなかった。
2022年8月20日土曜日
京都船岡山アストロロジー2
京都船岡山アストロロジー2 望月麻衣
〜星と創作のアンサンブル〜
女子高生作家デビューの夢を目指して、神宮寺桜子は改稿に取り組み、完成した『柵』をWEB
で公開する。桜子の小説は編集者の目に留まり、大手出版社・春川出版から順調にデビューしたが、発売された本の売れ行きは思わしくない。続編の刊行も断られた。
高屋から「星読み」の君は落ち込んでいる人にどんなアドバイスをするか?と聞かれた桜子は、売れなかった理由を知ろうとした。
耕書出版の見学に行く。
女子高生とアピールを断った。顔出しも断る。改題も断った。
書店を見学する。
文学賞を取った作品はプロモーションしてある。
タイトルで中身を想像させる。タイトルは読者へのプレゼン。
こだわることへの見極め。
桜子はサイトで新作を書き、文学賞に応募してセカンドデビューを目指すことにした。
売れる作品ではなく、自分なら絶対買う作品。
高屋は耕書出版大阪支店に来て一年。中高生向け占い雑誌「ルナノート」担当。
WEB小説投稿サイトから公式作家を四人選出し、アンソロジーを刊行することになった。高屋に任された。初めての書籍作り。恋愛作家が春、ホラー作家が夏、ミステリー作家が秋、ファンタジー作家が冬と決まった。
タイトルと表紙を考えている。
桜子の新作タイトル「誰が僕を殺したか」
桜子は、高屋に「耕書出版の営業の人を好きになった。彼女がいるか調べて欲しい」と頼んだ。
柊が占星術師ヒミコだったことが知られ、柊に怒声を投げる人が現れる。柊の母と義父が小学生の柊を利用し、法外な金額をふっかけたり、詐欺紛いの手法を取ったことで被害者の会が出来、両親は逮捕された。柊は頭を下げる。
高屋の母も信者で、一家離散した。
柊とビールを飲みながら、母親から来る謝罪の手紙のことを話す。そして謝罪文はいらないから、近況報告を送ってと書くことにした。
頭を下げないで隠れることもある柊は、その人が今でもヒミコに救われたと言う人に対してだった。
桜子の誕生日、祖父母と柊がサプライズを計画、準備のために桜子を連れ出す役を高屋に当てられた。京都国際マンガミュージアムに誘う。イラスト展をやっている。
表紙を任せる人が決まった。遠野宮守。カメラマンだった。タイトルも浮かんだ。「月夜の四ペンス」持ち物はコイン。
家でのサプライズのはずが、場所は船岡山公園の桜まつりになった。店の出店は「さくら苺飴」マスターの考案。
野外ステージで、常連さんのいろんな店のマスターのピアノ、トランペット、ギター、ベース、ドラムの「レディ・マドンナ」二曲目、桜子、柊、高屋もステージへ。「バースディ」桜子に花束、高屋にも船岡に来て一周年と花束を貰う。
高屋は柿崎の彼女が、最近でき、三波だと調べた。桜子は、朽木だと言う。柊が朽木のお相手は三波だといった。そして柿崎のお相手は、相笠クリスだった。どちらも柊のアドバイスで仲良くなっていた。
くりすが桜子に初めての編集者が恋の対象になりやすいと言った。桜子の初編集者は高屋だ。ないないないと打ち消す。
月夜の四ペンスの表紙が出来上がる。会社での評判は上々。そして判ったことが、ファンタジー作家は朽木だった。彼プロ作家にはならないと言う。三波も知らなかったようだ。
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