2019年12月30日月曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊼

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊼ 蜻蛉の理 小杉健治
 鮮やかな手口で富商を狙った不殺の賊だった陽炎一味が六年ぶりに現れた。店者を惨殺する凶賊になっていた。
 南町与力・青柳剣一郎は、北町の水川秋之進の早過ぎる登場に不信感を持った。水川は剣一郎に助力を乞う。三商店を襲った陽炎一味がもう襲わなくなった。またもや青柳陽炎一味を取り逃がすということになる。
 剣一郎は調べを進め、六年前の陽炎一味を見付け出す。元陽炎一味の二人に付け加わった者がいることが判明する。元々陽炎一味だった二人は殺されて見つかる。加わった剣術家二人は水川が捕物に出向き殺してしまった。刃向かったため。黒幕を突き詰めることなく陽炎一味は殺された。
 剣一郎は、押込みに見せかけ「川津屋」の主人殺しが目的だと思った。そのことを水川は知っていたと思われる。
 剣一郎は、献上品横流しの時から探っている老中と加賀藩が関わっていると考えている。

2019年12月28日土曜日

菊花の仇討ち

菊花の仇討ち 梶よう子
 安政三年 1856年
 北町奉行所同心・中根興三郎 兄の急逝で家督を継ぐ。普通は兼任する両御組姓名掛っを三年。興三郎は十五年変化朝顔を作り続けている。
 くだりの小袖 去年の大地震後、子供を利用したかっぱらいや小さな盗みが続いていた。興三郎は変化朝顔の小袖を見付けた。植木屋の留次郎の娘・みねが気に入って買った。みねは幼馴染みの徳を探して欲しいと頼む。小袖の変化朝顔は、大坂で咲いた花だった。咲かせた者は着物の絵付けにし、妹に送っていた。送られた着物は徳が手に入れ古着屋に送っていた。徳は兄が地震で身体が不自由になった妹に送った物だと知り古着屋から買い戻そうとしていた。徳は子供たちと生きるために盗みをしていた。徳は隠密廻り・松沢福太郎と奉行所に行き、全てを話した。
 鳴けぬ鴬 中根家の雑事を全部こなしている藤吉。芸者・小梅がお座敷で客の財布を盗むために利用され、中根屋籐兵衛の名で料理屋に通っていた。
 善の糸車 興三郎が時々朝顔の話をしに行く星陵塾の生徒・腰越順平のいる長屋に人の面倒をみることが好きというそめがいた。解き放たれた徳に店を持たせていた。足を怪我して面倒をみてもらっていた左官が怪我が治っても働かず、貰ったお金で博打をしていたことを知り愕然とする。他人の人生を変えてしまうもう真っ平と。興三郎は、一人で店をやれない徳、身寄りの無い徳と母子になれと背を押す。
 菊花の仇討 興三郎は、中江惣三郎を知る。菊作りをしていた。菊作りの金持ちの菊に虫を仕掛、虫退治のあと奇麗に花を咲かせる。興三郎は中江と間違って命を狙われる。中江は留次郎に鍋島様の紹介を頼む。中江の父は吹上御庭で菊を作っていた。腕の良さに妬心を抱いた同僚に虫を仕掛られ枯れたため御役御免になった。父の作りたかった菊を作る夢を受けついだ。それが仇討だった。そのためにいろんな所に出入し、菊を手にする。中江は捕まる前に菊を見せる。「百種接分菊」だった。中江は捕まるつもりだったが誰も訴える者が無かった。興三郎はこの菊を咲かせ上様に献上されるといい杏葉館様もきっと口添え下さるだろうと言う。
 花ぬすびと 成田屋留次郎が主催する花合せの客花・長助の花が無くなった。盗まれた。団扇に描かれた朝顔の絵を見て犯人が判った。花の手入れをされ見つかった。団扇売れの少年・勘吉が団扇絵師の兄に珍しい花を描かせたかった。勘吉の吟味の時、興三郎ともと同心で今は植木屋の岡本の一芝居で屹度叱りとするとなった。
 わりなき日影 腰越順平の友人・夏川市之助の姉が地震以来行方不明だった。市之助の両親は亡くなり、姉は親戚から帰り道で地震に遭っていた。市之助はもうすぐ上州へ行く。そんな時吉原の遊女の仮託から吉原までの行列の中に姉を見た。姉を探して欲しいという願いだった。菊水だった。始めは姉と認めなかったが、やっと認めた。目が悪くどんどん見えなくなっているらしい。地震のあと世話になった夫婦のために身を売ったのだった。菊水と夏川家の変化朝顔の種10粒と交換された。二人は上州へ行った。

2019年12月26日木曜日

聡四郎巡検譚〈四〉 抗争

聡四郎巡検譚〈四〉 抗争 上田秀人
 元吉良の家臣が、手薄な水城邸から上様の孫を奪い、偶然知った吉良の家臣が孫姫を救いお家の再興を願うという筋書きを描いた。水城家に突入するが、入江無手斎と袖に阻止された。水城家を見張っていた伊賀者を、京都で水城の家来になった播磨麻兵衛が追った。元伊賀の忍・藤川義右衛門も孫娘を狙う値打ちを考えるが、今は江戸の闇を支配するために品川を支配地にするために、品川を襲う。
 水城聡四郎は京の炭屋・出雲屋惣兵衛と木屋町に行き帰りを襲われる。そこに町奉行所の者がいるが知らん顔だった。東町奉行所に行くと奉行は何も無かったことにしようとする。
 水城は大坂に行く事にした。
 吉宗は大岡能登守と顔を合わせた。
 

2019年12月24日火曜日

武士の流儀〈二〉 

武士の流儀〈二〉  稲葉稔
 昔の男 桜木清兵衛は二十年以上前に関わった悪さをする男・権蔵を久々に見た。地回りを追い出し、商家からみかじめ料を無理強いしている。地回りの遺体が浮いた。清兵衛は地回りを殺したのが権蔵だという証拠を持って権蔵を捕まえ、自身番に知らせた。
 道草 商家の遊び人の若旦那が、人の妾に手を出しそうになり、主に知られた。仲に入りその場を納めた桜木清兵衛に、若旦那は礼を言いながら金を出す。かちんときた清兵衛は、金や物で返すものではない。誠を持って感謝せよと言う。若旦那の父親にも、甘やかして育てたのうと言う。
 海棠の花 自分の道場を失い妻を離縁し息子とも別れて暮らしている元剣道道場主と会う。何も食べず倒れたところに居合わせた清兵衛。妻子の長屋に働いて得た金を放り込む。息子・石塚辰太郎は道場の試合に勝ち師範代になれそうだ。清兵衛は三人を会わせ話をさせ、三人で暮らすことになった。
 仇討 清兵衛の息子・北町奉行所当番与力・桜木真之介の下に、佐倉の名主の長男・甚之助が父親の仇討をするとやってきた。届けも出ていないことなので許可を出せず帰らす。気になった真之介は清兵衛に話す。清兵衛は甚之助の仇討を止めさせることが出来ない。一緒に堀田家の屋敷を見張り仇・柴田源兵衛を探す。柴田は名主殺しが判明し、同僚の刀を盗み逃亡したため、佐倉藩の目付も探していた。清兵衛は柴田を見つけ出し、甚之助の敵討ちを止め、目付に渡す。

2019年12月22日日曜日

せき越えぬ 

せき越えぬ 西條奈加
 武藤一之介27才 小田原藩先手組方、四人扶持
 武一には道場の友、騎市がいた。騎山市之助。千石。年寄役。忠真の中小姓をしている。
 箱根の関所の伴頭の手形の改竄を配下に命じ、意図して関越えの邪魔をしていることを関所の足軽・衛吉の手を借り調べ、証しを大目付に訴えた。箱根関所の梃子入れがなされた。
 武市はお先弓方になり五人扶持になった。一緒に調べた斉藤兵六、松田中也、越坂晋輔も僅かながら扶持高があがり関所番士になった。
 目付も配されるようになった。番士の見張りだった。
 新しく女子の改め、人見女が入った。武一が箱根越えで困った時に助けてくれた千野理世だった。
 箱根の山の中で理世と騎市が会っているのを見た武一は気が気でない。騎市の学問塾の師匠が理世の元夫だった。離縁され夫は江戸に出ているが、シーボルト事件に関連し、お咎めを受けるかも知れないため西国へ逃げようとしていた。
 武一は騎市に頼まれ、師匠と騎市を関所抜けさせる。騎市は病気で療養中ということになった。
 

2019年12月20日金曜日

人を乞う

人を乞う あさのあつこ
 伊吹籐士郎は天羽藩藩主吉岡左衛門尉継興の参勤交代の一行と共に国許に帰った。
家老や次席家老の不正を暴き、執政の場から退けられ、閉門蟄居、切腹かと思っていたが、変りはなかった。
 藤四郎と柘植左京が側用人四谷半兵衛に城に呼び出されたために藤四郎は元服する。元服親は姉・美鶴の元夫今泉宗太郎に頼む。
二人は半兵衛に、家老一派の密書を持ち江戸へ行く密使の暗殺を命令される。二人は断るが、密使の一人が風見慶吾と知り、助けるために受ける。慶吾に付く刺客を四人倒し、慶吾を連れ、慶吾の母を逃がし、藤四郎が住む砂川に逃げる。
 今泉宗太郎が頭をまるめ、医者になったと砂川に来る。家を出てきた。
 地震が起り、山津波が起こった。十日後、山が崩れ、家が倒れ、藺草田は半分潰れているにも関わらず、年貢納入は半年猶予、四分の一を免除するとの沙汰がきた。
 藤四郎は強訴にならないよう、天羽の政が変ったのか試すために訴状を持って側用人の所に行く。十日後、検分使が来た。七日後、年貢の八割免除、御救夫食米の加増、土砂除けい入費の全面負担、見舞金付与の沙汰が下った。しかし、二人は三月経っても帰らなかった。次の年の夏、二人は返された。藤四郎はやつれ切っていた。十日が経っても眠ったまま、水以外は吐いてしまう状態だった。 
 左京は領外追放になった。側用人は藤四郎をこのまま牢内で殺すつもりだったようだ。知り過ぎた。誰かが殿に進言した。藩主自ら放免を命じた。左京は柘植の者だから天羽の闇を担って来たものだから、全てを忘れることを誓い、藤四郎に手を出さない約定を取り付け、領内追放になった。左京は藤四郎に会わずに江戸へ発った。
 藤四郎はここで生きることを決めた。

2019年12月18日水曜日

福田さんのラクラク大収穫!

福田さんのラクラク大収穫! 野菜づくり 福田俊
 連続混植栽培のすすめ

農薬に頼らない病虫害対策 野菜だより
 おいしい野菜をつくる防除と対処法
 病害虫100以上の対策と被害を拡大させない畑づくりのコツ

名人農家が教える有機栽培の技術 新井俊春

野菜作り「コツ」の科学 佐倉朗夫

プランターの田畑リレー栽培 中島康甫
 
始めてのやさいづくり12ヶ月 家の光協会
 イラストでよくわかる
 野菜の保存方法、栄養価を逃さない調理のコツ

2019年12月15日日曜日

新・酔いどれ小藤次〈十五〉

新・酔いどれ小藤次〈十五〉 鑓騒ぎ 佐伯泰英
 文政9年正月
 一日から森藩の近習頭・池端が訪ねてくる。小藤次は藩主・久留島通嘉に会いに行った。
何者かから初登城の折り森藩の御鑓先を頂戴すると脅されていた。
 小藤次は見習い鑓持ちになり、襲ってきた浪人を撃退する。御礼登城にも襲われた。小藤次は辻芸人に化けて撃退する。大目付は背後にいる者を調べた。前将軍時代に全盛を誇った田沼意次の四男・意正の家来・亡き殿の栄華を追う家臣がやったことだった。
 駿太郎は桃井道場に通うようになった。同じ年ごろの子との付きあいが必要かとの思いで。
 正月末、家斉は鷹狩りの休憩を望外川荘でとった。田沼意正も訪れあやまり落着した。山菜天ぷら蕎麦を食べた。家斉はりょうが書いている「鼠草紙」を見る。
 

2019年12月13日金曜日

名残の花

名残の花 澤田瞳子
 鳥居胖庵・鳥居甲斐守忠輝(77才) 丸亀藩京極長門守の元から江戸に帰った。
明治五年 東京の姿を見、憤懣の対象でしかない。
 滝井豊太郎・猿楽(能楽)一派、金春座の地謡方、中村平蔵の門弟。 

2019年12月11日水曜日

蘭方医・宇津木新吾⑩ 無愧

蘭方医・宇津木新吾⑩ 無愧 小杉健治
 松江藩お抱え医師を辞めた新吾は、牢屋医師を務めることになった。仕事は新吾の抱く理想の医療とはかけ離れたものだった。
 拷問を受けるが一貫して無実を主張する男・佐吉がいた。質屋の主人を殺し、二十両を奪った犯人として捕まっていた。仕事を代わってもらいながら事件を調べる。
 人食い紀三郎という血も涙もないといわれる冷血な盗人を捕まえる現場に居合わせた新吾は紀三郎を投げ飛ばし捕まえる。紀三郎は病気だった。このままでは市中引き回しになる前に病気で死ぬとおもった新吾は、紀三郎に手術を受けさし罪を償うようにするために働き掛ける。紀三郎は佐吉は無実だと言い、新吾の調べを応援してくれる。
 佐吉が犯人で無い証しが見付けられないが、調べは進んだ。奉行所は佐吉を拷問し自白を取ったことで、間違いを認めず早く死罪にしようとしていたが、奉行の一言で新吾の調べを聞き、真犯人を調べることになった。質屋の若旦那と妾、妾の兄が捕まった。娘夫婦に子が無く、実の娘が亡くなり、養子の若旦那には妾がいる。若旦那を帰し、次女の次男を跡継ぎにしようとしていた主人を殺し、若旦那が店を継いだのだった。
 紀三郎は佐吉の再調べを条件に、奉行所のやりたい格好で獄門になることを了承した。市中引き回しにされながら、皆をにらみ返し悪態をついて悪者として死んで行った。
 佐吉と新吾は紀三郎を見送った。

2019年12月9日月曜日

浮世絵惣次日月抄〈三〉

浮世絵惣次日月抄〈三〉 汝よさらば 門田泰明
 廣澤和之進との果し合いで顎を斬られ敗北を認めた宗次は、傷の手当てをしていた。
 廣澤和之進は、田賀藩藩主・高柳藤四郎常光より、駿岡藩の領国改役・北条一心斎正頼の暗殺を命令される。暗殺は成功する。和之進は国許へ帰る途中暗殺団によって殺された。
 西条美雪は、宗次に会わない決心をした。宗次は浄土宗関東総本山永幸寺講堂の壁面に菩薩九体を描き始めた。

2019年12月7日土曜日

隠密船頭〈三〉 謹慎

隠密船頭〈三〉 謹慎 稲葉稔
 南町奉行・筒井和泉守の引きで隠密となった沢村伝次郎は、町廻りの途中何者かに襲われた。意識が戻った伝次郎の目の前には、上田屋太兵衛の死体があった。北町同心二人・島田元之助と広瀬小一郎から疑いを掛けられ、疑いを晴らしたものの謹慎になる。与茂七と粂吉の手を借りて同心に知れぬよう調べを始める。
 自身番の久右衛門が殺され、広瀬の手が取られ、伝次郎に声を掛けてきた男も殺され、上田屋の事件は何も解らない。
 北町奉行大草に頼まれ伝次郎は助をすることになった。
 本当の狙いは広瀬だった。広瀬に掏摸で捕まり死罪になった男・新五郎の復讐のために広瀬に殺人の濡れ衣を着せようとした。掏摸で捕まった新五郎は、若い掏摸・佐吉を庇い、擦った財布を所持し、久右衛門に犯人と言われ、広瀬に逮捕された。新五郎を恩人と思う金三郎は、奉公していたころの上田屋の扱いに腹を立てていた。広瀬と伝次郎を間違えたために伝次郎に声を掛けた男は殺された。
 千草はもう一度店を始めようと思った。

2019年12月5日木曜日

京都寺町三条のホームズ・12

京都寺町三条のホームズ・12 望月麻衣
 〜祇園探偵の事件帖〜
 ホームズ・家頭清貴は九月から小松探偵事務所で修業をしている。清貴は焦る円生を見ていられなくなり自分の許に置きたいと円生も同行していた。
 あまりに仕事がないので、清貴は知りあい廻りをする。
 祇園の舞妓さんから幽霊の話を聞く。円生が担当する。
 芸舞妓・ほの香ともも香はストーカー被害にあっていた。
 高辻洸一からの相談は二十年前に殺されそうになり階段から落ちて記憶障害になった。そのまま二十年が経った。自分を殺そうとした人を探してほしいということだった。
 集まったのは本人53才。高辻夕花50才妻。土橋達夫45才執事。深沢浩二43才(洸一の実弟)住所は鎌倉。深沢良子42才(洸一の実妹)この家に同居の五人だった。五人の話を聞く。
 利休に舞妓になってもらい囮にして幽霊騒ぎを起こしている者を捕まえる。そのままストーカーを捕まえる。ストーカーは浩二だった。
 清貴に嘘を指摘された、妻・弟妹は真相を話す。二十年前、洸一は養子に入り実家を助けて貰っていた。高辻の金を使って好き勝ってをしていた。芸子を好きになり駆け落ちしようとしていた。この家を出ると言う洸一に夕花はナイフを持って追いかけた。結果階段から落ちた。目覚めた洸一は何も覚えていない。洸一は良い夫になった。自分のことを何も覚えていないことを知った芸子は国に帰った。二十年前の真相だった。
 もも香は洸一と芸子の娘だと分った夕花は、浩二に頼んで、ストーカーをし、幽霊騒ぎを起こしてもも香を追い出そうとしたということがわかった。
 
 葵は清貴から高価な茶碗の写真のファイルを貰った。様々な角度から撮られて高台も写されていた。葵は貴重なものをありがとうと言うが、円生のために用意したのだろうと思うと悔しい。

秋人が来る。ご当地レンジャーから人気者が離れていくと言う話をする。ホームズは平安神宮に誘う。秋人は平安人は歴史が浅いと言う。明治になって首都が東京に移り廃れる京都にこのままではいけないと建てられたのが平安神宮だった。京都の矜持と熱意と決意の集大成だと清貴は話す。
 
 小松探偵事務所は仕事が舞い込むようになった。
 澄川佐吉45才・祇園で料亭、飲食店を何軒も経営しているが、両手に載る程度の頑丈そうなアンティークな鉄製の箱の解錠のための暗号の解読を頼みにきた。祖父の残した手紙という物があった。
 もう一つの佐吉依頼は、従兄弟がはじめた飲食店がぼったくりバーのようで、警察沙汰になる前にお灸を据えたいというものだった。店で高価というワインが贋物と証明し、暴力を仕掛けてくるのを撮影し、ぼったくりを改めるように言う。相手は佐吉に頼まれたな。またあいつが邪魔をすると言う。
 華道教室に行っている妻が、帰ってくると酒と男に匂いがしてるので調べて欲しいという依頼。華道教室を調べると、ぼったくりバーと繋がり佐吉の金属の箱とも話が通じる。
 清貴は佐吉を呼ぶ。華道教室の敦子は佐吉の叔母、佐吉の従兄弟・博樹は敦子の息子だった。佐吉は本妻の娘の息子、博樹は妾の娘の息子だった。金属の箱は妾親子に残された物だった。持っていたのは敦子。二十五年前、家に放火され奪われた箱だった。放火したのは本妻の娘・佐吉の母だった。二十五年で時効成立だと考えた佐吉は解錠を頼んだのだった。
放火は十月だったので、時効は成立していないが時効とは関係なく、信頼の問題だという敦子。博樹の母親を訴えるかじっくり考えるという敦子は、佐吉に博樹への手助けを頼み放免した。金属の箱から出てきたのは、二億円以上はするブルーダイヤだった。敦子は円生にボディガードを頼み、宝石鑑定と銀行の貸金庫に預けるようだ。
 華道教室の実態は地下室のバーだった。依頼人に話すと、驚いたが浮気でないなら良かったとのことだった。
  
 清貴は円生を「二人のナミカワ」の七宝の展示会に行く。二人の話をする。円生は前もってきた写真を見せて欲しいという。
 清貴は私設美術館構想の迷いを話す。

 葵は藤原慶子の誘いでニューヨークに行くことになった。女性キュレーターの卵に、講演会や談話会をする。

 蔵にジウ・イーリンがきた。
 

 

 


2019年12月3日火曜日

江戸のお庭番〈4〉 富籤始末

江戸のお庭番〈4〉 富籤始末 藤井邦夫
 旗本御家人の監察役目付が何者かに闇討ちされた。お庭番・倉沢喬四郎は、吉宗の直命で探索に乗り出す。
 喬四郎は帰らぬ夫を探す武家の妻女を助けた。夫・御家人風見平内は目付を殺し、徒目付を殺した。喬四郎は平内に傷を負わせ、大名家の草だと突き止めるが平内は自爆した。目付は倉橋家が草ではないかと探っていたために殺された。平内は賢徳寺の富興行を探っていた。賢徳寺から出てきた侍は紀伊藩江戸中屋敷の者だった。
 喬四郎は中屋敷を探る。留守居番頭は切れ者で有名だった佐橋采女正、留守居番に幼馴染みの麒麟児と言われた村上和馬がいた。喬四郎の仲間・才蔵は平内の仲間を見張っていた。
 賢徳寺の富くじに紀伊藩・佐橋が関わっていた。吉宗は容赦は無用と言う。
 草は甲賀忍、背後には仙台藩伊達家がいた。差配・雇い主は白石紳一郎だった。賢徳寺の富くじの裏に潜む紀伊藩の企みを暴き、騒ぎをおこすことが狙いだった。
 当日、最後の百両の富突の時、寺の下男・峰吉が木箱の下の台の隙間に大錐を突き刺した。白石が木箱を動かし大錐で刺された男を引きずり出した。前もって決めていた札を大錐に刺していたことを明らかにした。
 紀伊家佐橋様の指図と言う賢徳寺別当蒼海を村上和馬が斬る。富付は中止になった。村上和馬は白石を殺そうとしたが、喬四郎が阻止した。喬四郎は紀伊家に起きざりにされた遺恨だと言う佐橋を成敗した。
 平内の妻は白石の叔母だった。白石家に戻った。
 和馬は喬四郎に白石を助けたのはお前かと尋ねる。佐橋を斬ったのもお前かと尋ねる。試合を挑んだ。そして破れた。

 

2019年12月1日日曜日

栄次郎江戸暦22 見えない敵

栄次郎江戸暦22 見えない敵 小杉健治
 田宮流抜刀術の達人で三味線の名手矢内栄次郎は手首を痛め撥も刀も握れずにいた。
 尾行者がいる商人と知り合いになった。千扇堂の藤吉。藤吉は五年前、友達・十蔵と金貸しのところに盗みに入った。主は殺されていた。二人は五十両を奪って逃走。すぐ殺しの犯人は捕まり獄死した。五十両の在処は分らないまま殺して金を奪ったことになっていた。二人は店を持った。今、藤吉と十蔵は盗みで脅迫されていた。栄次郎は新八に手伝って貰い、脅迫しているのが、岡っ引き・段平と元同心・蓮見常五郎だと突き止めた。蓮見は殺しと脅迫は自分が首謀者だとして自死した。段平と小者は遠島になった。脅迫された金は返ってきた。脅迫は無かったものとされ、五年前の盗みの二人のことも無かった事となった。

 栄次郎の兄・二百石の御家人・御徒目付の栄之進に再婚話があった。相手はある事件で知りあった書院番三千石の旗本大城清十郎の娘・美津だった。大城は栄次郎の出生の秘密・大御所治済の庶子だということをを知っているからこその身分違いの再婚話だった。美津を狙っていた旗本の家来が栄次郎の命を狙う。手首を使えない栄次郎を栄之進が守る。栄之進は美津を好きなのだが、縁組みを断ろうと思っている。美津も栄之進を気に入ってはいるのだが・・・。

2019年11月29日金曜日

町奉行内与力奮闘記〈九〉

町奉行内与力奮闘記〈九〉 破綻の音 上田秀人
 出世競争で劣勢になった南町奉行牧野大隅守は無宿人狩り。胡乱の輩を捕縛し手柄を立てるが、真の狙いは北町奉行曲淵甲斐守を支える播磨屋を襲わせることだった。播磨屋は二度にわたり襲撃を阻止し、命令者が大隅の用人であることを明らかにする。
 田沼意次は、曲淵が力を持つことを嫌い甲斐守を引き上げない。天明6年1786年家治が死ぬ。甲斐守は打ち壊し騒動の対応を非難され天明7年町奉行を罷免され西の丸留守居と左遷される。松平定信によって勘定奉行になり72才で隠居する。
 亨は西咲江と婚姻、城見家の当主となり、内与力後用人となった。
 

長屋道場騒動記〈五〉 

長屋道場騒動記〈五〉 迷い熊奔る 芝村凉也
 間野道場襲撃に、美作国の十河藩が絡んでいるらしい。生馬の父・源心と親交のあったらしい、恵比寿屋主・与惣兵衛と会っていた十河藩の元重役・小倉が殺された。
 小倉は源心の元主・隠居の家臣だった。隠居がなくなる二年前に、生まれたばかりの赤子を与惣兵衛に預けた。女の赤子・君だった。小倉が間野道場襲撃を調べていたことが殺された原因のようだ。
 生馬は手練れの刺客に堂々と勝負を挑まれる。倒した。生馬の怪我を負うが、その後、長屋の若者のために悪い企てを阻止する。
 今回は刺客を排除出来たが、恵比寿屋父娘と己の前に広がる闇は排除できていない。必ず晴らすと誓う。
 

2019年11月27日水曜日

年間50品目の野菜を育てる本

市民農園一区画で年間50品目の野菜を育てる本 福田俊
 一年中収穫できる究極のリレー栽培

ぐうたら農法 病虫害がなくなる土の育て方 西村和雄
 新常識 雑草を活かして連作障害の出ない畑づくり

はじめての野菜づくり教室 松井孝・藤田智
 

2019年11月24日日曜日

あきない世傳金と銀〈七〉

あきない世傳金と銀〈七〉 碧流篇 高田郁
 師走14日に開店した江戸店「五鈴屋」
 年明けから月一回の帯の結び方講習を無料ではじめる。
 その中に指物師・和三郎の姉・才がいた。才の夫・力造は元小紋の型染師だった。
 武士の模様・小紋を町人の着物に取り入れようとする。
 伊勢白川で型紙を作り、力造が型付けをすることになった。
 鈴柄の江戸紫色の小紋を、幸の夫・智蔵の昔馴染み・歌舞伎役者・富五郎が、お練り衣装に使う。五鈴屋の小紋のお披露目でもある。

 大坂では女主人は認められない。智蔵が亡くなり3年の期限を切られて幸が主人になっている。期限が切れる。誰を主人にするか、迷っている。幸の主人の延長が認められた。

2019年11月22日金曜日

わが家は祇園の拝み屋さん11

わが家は祇園の拝み屋さん11 望月麻衣
 〜めぐる因果と紐解かれる謎〜
 京都に封じられていた災厄の神・禍津日神が東京に召喚されていた。
 凶星のリーダーと思われていた谷口透は、利用されていたことがわかった。
 谷口と宗次郎の師匠との蟠りが解ける。師匠も昔は見える人だった。息子に仲を疑われた幼馴染みも見える人だった。幼馴染み・藤原千賀子は、京都で安倍由里子と賀茂和人と共に、賀茂の当主と先祖の話をしていた。
 凶星のリーダーが陰陽師組織の審神者・川瀬博也と気付いた小春は、賀茂澪人に知らせようとする。澪人も川瀬に気付く。小春の危険がわかるが、小春は川瀬に捕まる。小春が気付いた時、若宮がいた。若宮はいつもあななを見守っていると言い姿を消した。藤原千歳と名乗る少年がいた。自分を神の器という。

2019年11月20日水曜日

1㎡からはじめる自然菜園 

1㎡からはじめる自然菜園 竹内孝功
  草を活かして、無農薬で野菜がぐんぐん育つ

ぐうたら農法 西村和雄
  草と土壌生物が野菜をつくる 
  手間のかからない畑のつくり方

農家が教える野菜づくりのコツと裏ワザ 農文協

自然農の野菜づくり 川口由一・高橋浩昭

2019年11月12日火曜日

髪結おれん

髪結おれん 千野隆司
 姉・松 22才
 れん  16才
 恋人・弥吉 弥吉は両替屋の手代、1両2分を取られた。二度目に相手を殺してしまった。島送りになる。
 蔦次 贋金作りの仲間、人殺しを姉妹に見られたことで二人の命を狙う。何を見たかわからなかった二人だが、松は川に投げ込まれ以前のように髪結が出来なくなった。
 郷太 髪結をしながら蔦次を追いかけている岡っ引きの手先。
 れん19才 火事に遇い、助けてくれた郷太と所帯を持つ。
 れん20才 子供を産む。出産時蔦次に殺されそうになった時、助けたのは赦免になって帰ってきた弥吉だった。れんのために何かしたかったと死んで行く。

2019年11月10日日曜日

てんげんつう

てんげんつう 畠中恵
 てんぐさらい 長崎屋の若旦那・一太郎の許嫁・りんがいなくなった。りんの養家・中屋の誰もがいなくなった。りんは実家・にいた。中屋の後妻によって後妻の実家の医家の借金のため、家具一切を取られていた。後妻は息子・初吉を置いて離縁されそうだ。仁吉に恋する天狗姫・花風は仁吉と結婚するために二百年前に散らばった薬を探し出すという試合を挑んできた。若旦那は薬師如来に薬を分けてもらい、花風のインチキを暴く。
 たたりづき 母親・仙狐が岩屋に入れられたのは若旦那の祖母・ぎんの所為だと考えた仙太狐は、若旦那の知りあいに祟ったと言う。知りあいを辿った先は、真正寺の僧・東山だった。孤児だった東山が仏具屋山川屋の先代の息子だという当代が、東山に店を継いでもらいたいという。山川屋の親戚に命を狙われる東山を守り、殺そうとする者を捕まえる。山川屋は親戚に店を売り、真正寺に寄付をし、自分も西山と名乗り僧になった。
 恋の闇 仲人の内儀が山姥だ。という騒ぎの中、仲の悪い札差の娘と息子が、結ばれた。山姥は姿を消した。
 てんげんつう 未来がわかる力を三太から譲られた若者が、長崎屋の若旦那が元に戻してくれるとやってくる。一郎太は寛朝の力を借り、てんげんつうの目から光る物を取り出し広目天のところに届けてもらう。若者は河童の店で、河童と人との橋渡しをし、人相手の仕事をすることになった。
 くりかえし 桜の木に毛虫がいっぱい繁殖した。一太郎は植木屋を調べる。植木屋の新種開発が根本に合った。不合理を突いた一郎太によって、職人の待遇が変り毛虫退治がなされた。
 

2019年11月8日金曜日

裏用心棒譚〈二〉 流葉断の太刀 

裏用心棒譚〈二〉 流葉断の太刀 上田秀人
 小宮山一之臣は両国広小路を縄張りとする掏摸の元締め蔵破りのお梗と夫婦になっている。
 印旛沼の開拓に失敗した田沼意次は、地位が危なくなった。松平越中守定信を押さえ込むために左兵衛を使うことにした。次郎吉を呼び、江戸城内紅葉山の東照宮から定信が盗んだ村正作・流葉断の太刀を取り返して来るように命じた。
 小宮山、梗、次郎吉、左兵衛たちが調べ始める。
 松平定信は、流葉断の太刀を盗んだという冤罪を晴らすために自分が取り戻すと田沼に言う。田沼は1ヶ月と期限を切った。田沼は定信を謀り、太刀を取り戻せば執政へ推挙して欲しいと願っている所を老中らに聞かせた。
 定信は家臣に白河で偽流葉断の太刀を作らせる。次郎吉が田沼に知らせる。田沼は出来上がった太刀を盗むことを命じる。小宮山は江戸へ運ぶ途中の草加で掃部と斬りあっている間に掃部の背から太刀を盗んだ。
 定信は流葉断の太刀を返した。老中への推挙がしてもらえるならと思ったが、田沼は偽の太刀を出し、推挙をするなら今回のことを上様に話してからすると言われる。
 定信は家臣・掃部に太刀を取った者を探し出すように命じた。

2019年10月30日水曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊻

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊻ 虚ろ陽 小杉健治
 瓦版で、北町奉行所与力・水川秋之進が名をあげ、南町の風烈回り与力・青柳剣一郎と並び称される。南町で自殺とした事件を水川が掘り起こし、殺しの犯人を捕まえる。すると青柳剣一郎を貶める瓦版が出る。
 青柳が調べると押し込みの犯人を、自死した男を殺した犯人として捕まえていた。水川が出来ることではなく、以前の献上品横流し事件で関わっていた、加賀藩や老中の姿が見え隠れする。捕まえた犯人も本当のことを白状する前に殺された。
 加賀藩若殿の嫁取りも関わる様だが、お庭番が動き、公儀目付も動いたが何も明らかにされなかった。水川の噂も消えた。

2019年10月26日土曜日

野菜づくりのコツと裏ワザ

農家が教える野菜づくりのコツと裏ワザ 農文協
 とんがり下まき  ふんずけ植え 逆さ植え L字仕立て

イチバン親切な野菜づくりの教科書 松井孝

農家直伝「安心野菜」のつくり方 加藤義松
  体験農園の名指導者の知恵と工夫

2019年10月14日月曜日

飛雲のごとく

飛雲のごとく あさのあつこ
 新里林弥は元服をした。兄・結之丞が亡くなり四年になる。兄を殺した刺客・兄嫁の兄・清十郎を林弥は殺していた。林弥の友・樫井透馬の命を狙った時、林弥も居たからだった。透馬と林弥だけが知っていることだった。透馬は凄腕だったが腕を斬られ、江戸で治療したが、元の様にはならなかった。江戸から透馬が帰った。
 母・都勢が亡くなった。兄嫁・七緒は、兄と夫の死の隠された部分を感じながら仏門に入った。
 透馬は家老の妾の息子だった。身体の弱い本妻の息子ではなく、透馬が跡継ぎになることが決まった。林弥と山坂和次郎は透馬の近習として柏井家に出仕が決まった。三人で戦だ。林弥は兄嫁の兄・生田清十郎のような生き方をしないよう戦う。暗殺者などにならないよう踏ん張ると誓う。

2019年10月12日土曜日

吉原同心抄〈6〉 春淡し

吉原同心抄〈6〉 春淡し 佐伯泰英
 七代目吉原会所頭取・四郎兵衛は、五丁町名主の集まりで八代目の頭取候補に神守幹次郎の名を挙げた。駒宮楼の六左衛門は娘の嫁ぎ先の旗本・小普請組淀野孟太郎を会所の頭取にしたいがため、用人が神守の命を狙う。神守が直接狙い阻止されれば石榴の家に押込む。連れ帰った猫を追いやって来た神守に、道場で真剣勝負を挑む。神守は木刀で対戦するが淀野は死んだ。孟太郎の弟・善次郎と六左衛門と娘は神守の妻・汀女を勾引かそうとする。阻止しようとした神守に善次郎は殺される。六左衛門と娘は捕まる。駒宮楼は廃業した。
 神守は京の島原に勉強のため旅立った。一年の謹慎を言い渡されたことになっている。麻も一緒に京へ行く。これから何をするかを考えるため。

2019年10月10日木曜日

親子十手捕物帳②

親子十手捕物帳② 親父の十手が重すぎて 小杉健治
 辰吉は、父・辰五郎の後を継いだ忠治の下っ引になった。掏摸の銀次を追いかけているが取り逃がす。太之助親分が大川に浮かぶ屋根船内で男女の遺体を発見し相対死で片付ける。男は圓馬の弟子・志ん馬こと新助。女は濱野屋の妾だった。辰吉は太之助に睨まれながら新助のことを調べる。銀次を調べ、品川の女郎・喜瀬川に辿り着く。銀次と新助が繋がった。銀次が擦った五十両が元で身を売った喜瀬川のことを新助が幼馴染みの銀次に教えた。新助と銀次は喜瀬川を身請けするために百両を工面しようとしていた。掏摸を止めていた銀次が掏摸をし始めた理由だった。辰吉は銀次を捕まえるが、必ず帰ると言う銀次を信用して逃がしてやる。
 辰五郎は濱野屋の主人に内儀・栄のことで相談される。縁切り神社・袖切神社の逆さ絵馬に主人の妾の名前を書き女が死に、強請られていることが判った。辰五郎は強請っている男を捕まえた。男は新助と女を殺していた。
 相対死にするために嘘の書置きを書いた太之助にお咎めは無かった。
 銀次は喜瀬川の身請けが出来ず、辰吉と一緒に行き、説得する。喜瀬川は家には帰らず銀次が五十両の元手でもっていた小間物屋で暮らすことになった。擦った金を返すということで。喜瀬川の父・津田兵庫も陰から見ていた。

2019年10月8日火曜日

法医昆虫学捜査官⑦

法医昆虫学捜査官⑦ スワロウテイルの消失点 川瀬七緒
 飯山の自宅で飯山の腐乱死体が見つかり、解剖中に日本には生息しない小黒蚊に刺される。日本に存在しない蜘蛛も見つかる。蛆虫から赤堀は16日に殺されたと計算する。
 飯山家には泥棒が入っていた。泥棒が殺した者と思われたが、捕まった泥棒はヘビースモーカーの第三者の存在が在ったと言う。飯山は宝くじで当たった一億円を家に置いていたことが判明した。
 岩楯祐也と深見彰は飯山の行動から犯人を追う。
 赤堀は小黒蚊と蜘蛛を探す。燕を守るためにカラスを殺し吊り下げていた少年に会う。少年は赤堀にスリングショットで額に傷を負わせた。不登校の中学生・三浦夏樹だった。蜘蛛や蚊が燕と共にやって来たと考える赤堀は、付近の燕に詳しい少年と行動を共にする。
 岩楯と深見が、犯人の住所を突き止めた時、犯人は薬を呑み、自分の3Dで作った拳銃を試しに小学校へ行く途中だった。捕まえようとする深見と岩楯は拳銃で撃たれる。夏樹がスリングショットを撃ち、捕まる。
 岩楯は生死を彷徨い助かる。深見は足を怪我する。深見は赤堀が昆虫を追い犯人まで辿り着いたことに感心する。
 

2019年10月5日土曜日

歴史探偵月村弘平の事件簿⑤

歴史探偵月村弘平の事件簿⑤ 東京駅の歴史殺人事件 風野真知雄
 東京駅の浜口総理大臣が銃殺された場所で、毒殺された鉄道マニアの男が死んでいた。
 原敬暗殺場所で重機マニアが殺された。
 鉄道の父と言われる井上勝の銅像の前で轢き逃げに見せた死体遺棄事件が起る。
 月村は各人の部屋の写真を見、幕末から明治にかけてのころの貴重な品を巡る殺人とみなす。
 最終的に手に入れた吉田松陰を神と敬う幕末オタクの衆議院議員は、警察に追い込まれ屋上駐車場から車ごとダイブした。貴重のお宝は議員と共に燃えて無くなった。月村は公開されたくない物だったのだろうと想像した。

2019年10月3日木曜日

風の市兵衛(弐)㉕ 天満橋まで

風の市兵衛(弐)㉕ 天満橋まで 辻堂魁
 小春と良一郎を探し出し、小春が三才の時、父母を殺した押し込みの犯人・両替商堀井の主人・千左衛門兄弟への恨みも晴らし、江戸へ帰ろうとしていた。
 小春が同じ長屋で仕立てを習っていた恒の息子・豊一が殺される。豊一は蔵屋敷蔵元大串屋の手代だった。島崎藩蔵屋敷で殺された。島崎藩の空米切手にまつわる不正の子細を記した帳面を母の長屋に残していた。帳面を欲しがった岡っ引きは小春と恒を勾引かし市兵衛に帳面との交換を持ちかける。岡っ引きは勾引かし犯人として捕まり、帳面を奉行所に提出したことで関係者は捕まる。

2019年10月1日火曜日

突きの鬼一④ 岩燕

突きの鬼一④ 岩燕 鈴木英治
 逃げてきた遊女・竹を助けた一郎太は、具合の悪そうな竹を槐屋に連れて行く。元々町内の生まれだと判った竹は槐屋で働くことになった。一郎太は竹の医療費と身請け代のために、壺振り艶の紹介の旗本で開かれている賭場に行く。帰り、旗本の姫・依子と名乗る女が逃げて来たのを助け、槐屋に連れていく。
 一郎太が依子に不審を持っていることを知った槐屋徳兵衛は、依子を調べ、旗本の娘でないことを突き止める。依子に捕まる。依子は羽摺り四天王の一人朱雀だった。
 団子を買いに行き帰りが遅い竹を心配した一郎太は、竹が遊女屋に連れ戻されたのではないかと心配して遊女屋に行く。竹はいない。遊女屋で竹を連れてきた女衒が金を取って、しばらくすると遊女を連れていくという騙りの女衒ではないかと言う。女衒の似顔絵を描く。
 徳兵衛の娘・志乃も勾引かされ、一郎太の家臣・神酒藍蔵に一人で来いとお呼びがかかる。藍蔵は恋しい志乃を助けに一郎太から渡された名刀・摂津守順房を持って目赤不動へ行く。鎖鎌を使う青竜を倒し、志乃を助ける。
 一郎太は呼び出された四天王の隠れ家で、朱雀と玄武に対する。興梠弥佑が現れ、朱雀は倒され、一郎太は玄武を倒し、徳兵衛を助け出した。
 数日後、礼をしたいという竹の誘いで料亭へ行った。一郎太は毒を飲んで死んだ振りをする。竹は四天王を率いる黄龍だった。十一才で羽摺りに勾引かされ修業をさせられ黄龍となっていた。生き返った一郎太は朱雀が使っていた毒矢針を仕込んだ吹き矢を使って黄龍を殺す。女衒の似顔絵は玄武にそっくりだった。

2019年9月29日日曜日

一切なりゆき

一切なりゆき 樹木希林
 〜樹木希林の言葉〜
  1943年〜2018年9月15日逝去 75歳

2019年9月27日金曜日

マリネの法則

マリネの法則 川上文代
 マリネ液の配合を覚えて、好みの具材で自在にアレンジ

2019年9月25日水曜日

有機野菜びっくり教室 

有機野菜びっくり教室 東山広幸
  米ぬか・育苗・マルチを使いこなす
  福島県いわき市

野菜づくり虎の巻 家庭菜園検定委員会
  もっとうまくなる家庭菜園教室 作物別

野菜の植えつけと種まきの裏ワザ 木嶋利男
  伝承農法を活かす


2019年9月16日月曜日

烈風ただなか

烈風ただなか あさのあつこ
 鳥羽新吾が薫風館で得た友・栄太は学問を修めるため江戸行った。
 今また、もう一人の友・間宮弘太郎も薫風館を辞め、結婚するという。弘太郎のしっかり者の妹・菊沙(13)が蝋燭問屋の主に見初められ縁談が来ているという。 
 新吾は十六才の今春、元服した。新吾の父・鳥羽兵馬之介は美貌の妻・依子を置いて他の場所で巴と暮らしている。巴に子が宿ったと言う父に、母はもっと巴どのを労れと言う。
 新吾は父が何者か知りたかった。父の裏にいる者は何者と常々考えていた。
 弘太郎の許嫁・室石八千代が、殺され死ぬ寸前の男から金の入った袋を渡された。鳥羽兵馬之介に届けてと言い残した。死んだ男を見たという老人がいたが、遺体が無くなり耄碌していると言われたが明くる朝、老人が川で遺体となって見つかった。八千代は誰にも何を言わなかったが、病気の母に高価な薬を与えるために金を使った。八千代は新吾と弘太郎に話した。新吾は誰にも知られずにすぐ、母親を間宮家に連れてくるよう言い、自分は父の所に行った。
 誰にも知らせることなく、栄太が石久に帰ってくるように言われ、帰って来ていた。二人には会いに来た。島崖をよく知っていると思われていた栄太だったが、知らない降りをしたことで帰るよう言われていた。
 父に八千代のことを話し、栄太のことを頼む。間宮の家に帰った新吾は室石の家があらされていることを確かめ弘太郎と栄太のところに行く。室石の家では菊沙が大騒ぎをして皆を集め、自分たちを守った。
 栄太のいた古寺は焼かれ、栄太が一緒に帰って来た人たちは殺された。栄太は山に隠れていた。古寺から少しの金が見つかった。二代前の藩主の隠し金というほどではなく、誰かがくすねた程の料だった。
 新吾は父から草屈(くさかまり)だと聞いた。公儀と繋がった草屈だった。新吾の五才上の兄・城之介は鳥羽家の秘密を明らかにして切腹しようとした。そして他の草屈に迷う者、揺れる者への見せしめに殺された。父は息子の仇に従う気は無く、死のうとした。それだけの覚悟が有るなら生きて藩に尽くせと言われた。怪しまれず中枢から退くために巴と暮らし始めた。巴も草屈だった。
 藩側に公儀の動きを伝えた。また藩にも間狩者がいた。誰が束ねどれだけの配下がいるのか判らない。
 父は鳥羽の家から出た。新吾が家督を継ぐ。新吾は教授方となり薫風館から政を除き学びの場にするために生きると決める。父はおまえは光の下で生きろと言った。
 

武士の流儀〈一〉

武士の流儀〈一〉 稲葉稔
 町奉行所の与力だった桜木清兵衛は、重篤な病気に罹り余命少しの診断をされ五十才で真之介に家督を譲り隠居した。病気は治り、五十二才で楽隠居を楽しむ。
 真福寺橋 真福寺橋の袂で侍が斬られる所を見た。清兵衛は何も出来なかった。斬られた男・横田耕三郎の連れの男・大木仁右衛門も何も出来なかった。大木仁右衛門のために横田を斬った男を探す。横田はたえという娘が悪そうな男に絡まれている所を助けた。たえは横田からも逃げた。たえが働く小料理屋で横田がたえに手を出したことにされ、尾ひれがつき手込めにされたと噂された。たえを贔屓にしていた篠塚敬四郎が横田を殺した。大木が篠塚を呼び出し敵討ちに出るところ、頃を見計らい清兵衛が篠塚を捕まえ、縄を掛け、藩の江戸屋敷に連れていく。篠塚の諏訪藩と話しあわれ諏訪藩に身柄を渡された。
 犬の仕業 清兵衛の所に来る棒手振りの魚屋・文次が昼寝中の老人の八両入った巾着を盗んだ疑いで捕まりそうな所に清兵衛は居合わせた。文次は違うと言うが岡っ引き・東吉は捕まえようとする。清兵衛は東吉の助けをして調べることにした。取ったのは老人と同じ長屋に住む浪人だった。調べている過程で浪人の仕官が決まったことを知った清兵衛は、東吉に犬が咥えて捨てていたことにしようと提案した。お金は戻ったのだから。
 身を捨ててこそ 桜木真之介と同輩の与力・生駒剛太郎は、酔って帰る途中、手を握る男と女に逢引きか、忍び逢いとは羨ましいとからかった。刀を抜く、抜かないになり、止める女を押しのけた。女は転んだ。二人が行こうとすると男がこのままでは済まぬと言い、名前を聞く。二人は名乗った。相手も名乗った。大番組番士・夏目千右衛門。女は小十人組組頭・坂口官兵衛の娘だった。
 酔いが醒めた二人はどうするか迷う。清兵衛は大切なのは誠意だ。腹を切る覚悟で、命がけで謝れと言う。夏目は土下座されそこまでの侘を入れられれば何が出来よう。天晴れ。何も無かったことにすると言った。
 救いの神 乾物屋の津田屋の息子・佐吉が勾引かされていることを知った。身代金の要求もあり、奉行所には知らせないという津田屋のために動く。佐吉を助け出し犯人の浪人と女を捕まえた。

2019年9月14日土曜日

脳科学捜査官・真田夏希③ 

脳科学捜査官・真田夏希③ イミテーション・ホワイト 鳴神響一
 夏希は横浜市の道路局に勤める高校の同級生・石川希美と伊豆のドライブに行く。希美のデート相手・大友の同僚・結城と希美の友人・夏希の四人。夏希と希美の伊豆お泊まり旅行に追加された合コンドライブだった。ドライブが終われば男二人は東京に帰った。
 朝、上司・中村一政警部から呼び出しがかかる。横浜に戻る電車内で過呼吸で苦しがるセンター試験を受けに行く少女・本間菜月と会う。
 事件はIT企業の社員が絞殺され、時限発火装置で花火が上がるというものだった。犯行声明がSNSで発見され夏希が呼ばれた。また一人、鎌倉の寺院跡で大学教授が殺され、花火が上がる。夏希は敵討ちのような思いを持つが、一人目の被害者が元公安調査庁の職員だと分り、織田はテロの可能性を指摘する。
 菜月と会い、ユリミファというYouTubuで曲を発表していたシンガーソングライターの話を聞く。鍵アカが三人の鍵アカ荒らしにあい、荒れたこと。ユリミファが姿を消したこと。今は亡くなっていること。「冬の花火」「銀の十字架の丘」「ホワイトフェアリー」等曲名を聞くと事件に繋がる。菜月のスマホの「ユリミファの空」のデーターをコピーする。三人の悪質な言葉、ネットいじめが明らかになる。三人のアカウントが調べられ、殺された二人と結城が三人目だと判る。ジュードと名乗る犯人はユリミファの従兄弟だった。
 結城を人質にしたジュードこと立花宗太に、アリシアが翔びかかる。ナイフを向けられるアリシアを助けに夏希が飛びかかる。加藤に逮捕された。夏希は結城に最低男と言葉を投げる。
 織田は夏希に仕事抜きのドライブに誘う。
 

2019年9月12日木曜日

脳科学捜査官・真田夏希④

脳科学捜査官・真田夏希④ クライシス・レッド 鳴神響一
 神奈川県警心理職特別捜査官・真田夏希は、警察官僚の織田信和と湘南のドライブの途中で極秘任務の推薦を受けた。厚生労働省の若手官僚が殺された事件の極秘操作のため根岸分室への出向を命じられる。分室にいたのは組織からはみだした一匹狼の上杉警視だった。真相を探る途中、二人の命も狙われる。
 二人殺され、上杉と夏希は次の殺しのターゲットを突き止める。国会議員の生駒の息子だった。
 上杉は生駒の身辺警護の名目で生駒邸に入り込む。上杉は上司に連絡し、SATを呼び、生駒を人質にして立て籠る。狙撃される。SATの隊長・最上と話をしながら、十四年前の少女暴行事件、二人の死亡事件の真相を暴いていく。
 殺された二人と生駒は、十四年前少女暴行事件を起こした。父親がもみ消した。少女は最上の恋人であり、大友参事官の妹だった。大友が筋を書き、最上が実行した。
 大友は裁判で全て表沙汰になることを願っていた。
 上杉と織田は同期だった。二人の同期に三十才で亡くなったカリナという女性がいた。容貌も雰囲気も夏希に似た女性。二人は彼女が好きだったことを織田が言った。

2019年9月10日火曜日

蘭方医・宇津木新吾⑨ 再燃

蘭方医・宇津木新吾⑨ 再燃 小杉健治
 新吾が松江藩のお抱え医師になって半年が過ぎた。
 次席家老八田による藩主毒殺の陰謀が明るみに出、八田が国表で病死し事件は解決したと思われた。
 奥女中・浪が殺され、その死を隠匿されたことから新吾は隠された事件を暴いて行く。
 家老が用人が殿・嘉明公が、先代の殿の息子・孝太郎を次の殿にせず、嘉明の息子を次期藩主にしようとしていた。そのために浪が利用され殺された。
 新吾は殺されそうになるが、幻宗に助けられる。
 孝太郎が凶暴で素行が宜しくなく藩主にすることを憂えたためだった。新吾の師匠・幻宗は、どんな理由があろうと、ひとの道に外れた手立てで目的を果たそうとすることは間違っているという。
 新吾は抱え医師を辞めさせられる。

2019年9月8日日曜日

亥子ころころ

亥子ころころ 西條奈加
 治兵衛は、番町の旗本屋敷を探す、行き倒れのような男・雲平を助けた。京の菓子職人だった。旗本屋敷が見つかるまで治兵衛の「南星屋」を手伝う。雲平はいい腕をしていた。治兵衛は雲平から新しい技を盗み刺激を受ける。
 雲平の探していた旗本の茶道楽の隠居が突然亡くなり、菓子職人として雇われていた雲平の弟弟子・亥之吉がいなくなっていた。雲平は亥之吉を探していた。旗本の孫・若殿・亀之進は隠居の大切にしている茶器を持ち出そうとして見つかり、隠居の目の前で茶器を落とし割ってしまった。隠居は倒れそのまま亡くなった。亥之吉は割ったのは自分だと言い、姿を消した。亀之進は隠居の死亡の原因と亥之吉がいなくなったのも自分の所為だと思って悩んでいた。
 治兵衛は弟・五郎に頼み割れた茶器を調べてもらう。治兵衛は雲平を連れ、旗本の当主に会う。割った茶器は贋物だった。当主が隠居に内緒で質に入れ贋物を置いていた。治兵衛は亀之進のこと亥之吉のことを話す。亀之進が悩んでいることを知らなかった。
 当主は質から買い戻し、隠居の弟子に教えられ、隠居の茶道具は貸し出すことにした。
 亥之吉は隠居の一周忌に帰ってきた。雲平も南星屋を出て行ってしまうかと思われたが、亥之吉は小田原の菓子屋へ帰り、雲平はもう少し南星屋にいることになった。

2019年9月6日金曜日

永田農法の野菜づくり事典 

永田農法の野菜づくり事典 永田照喜治
 永田野菜のおいしさを家庭菜園で実現できる。
 苗は植えつけ前に根を半分以上切り落とす。
  液肥(住友液肥)で育てるため根を細く多く出させるため

野菜の病虫害対策 野菜だより編集部
 
家庭菜園全科〈2〉 葉もの・茎もの類② 戸澤英男
 栽培と利用のポイント
 

2019年8月29日木曜日

鬼役 〈二十六〉 金座

鬼役 〈二十六〉 金座 坂岡真
 将軍家毒味役・矢背蔵人介は養母・志乃が姿を消したことで案じていた。志乃は江戸に来る前に生んだ我が子のことを調べに京へ行っていた。矢背家の前に現れるようになった「痩せ男」が志乃に恨みがましい言葉を吐いたためだった。
 蔵人介は「痩せ男」と同じ技を使う男に会い、「痩せ男」の正体を掴む。蔵人介自身、京の近衛家から勾引かされ、薩摩の国境の村で隠密が逃げるために子連れを隠れ蓑にした子供だった。隠密がそのまま江戸で養父となり、矢背家に養子に入ったという過去を持っていた。全てを知っているのは蔵人介だけ。京で近衛家当代と会い瓜二つだった。兄が勾引かされたことを聞いたのだった。
 「痩せ男」は自分の正体を、志乃が近衛家の先代の子供を産み、近衛家の紋付きのお包み包んで御所の猿が辻に捨てた赤子だと思っていた。志乃を母と思い、蔵人介を本当の兄だと思い、恨んでいた。同じ時、捨てられた子は二人いた。近衛家の赤子は死んでいたことを知っている人から話を聞いた。蔵人介に殺された痩せ男を志乃は不憫に思った。
 痩せ男を追いつつ、痩せ男を雇っていた金座を調べつつ、蔵人介は佐渡島から送られる御用金を盗み隠していた元金山奉行の山賊たちを退治し、長岡藩京都所司代牧野備前守忠雅に連絡した。五十万両分の佐渡から盗まれた御用金と書いた。蔵人介の名前を出さないよう願う。御用金盗みの首謀者は後藤三右衛門。蔵人介は倒した。

2019年8月27日火曜日

おとなりの晴明さん 第五集

おとなりの晴明さん 第五集 仲町六絵
 〜陰陽師は雪の文様を愛でる〜
 雪輪の祈り 晴明さんが骨董屋「竹居」で目利きのアルバイトをする。漆器の付喪神・鷹之進と出会う。桃花は清明さんに雪輪文様の銀製の香立を贈る。
 忘れられた山羊 桃花は晴明さんとタヌキの文化祭に行く。九州で発掘された山羊の話を聞く。晴明さんは平安時代、日本にやってきた山羊と出会っていた。桃花は夢の中で山羊の話をみた。
 おけら参りの火 おけら参りの時だけ注目を浴びる白朮の精が、大晦日に大寒波がきておけら参りに行かなきゃ良かったと言われそうなので寒波をどうにかして欲しいと頼む。天候まではどうにもならないと言う晴明に、宗旦狐が力を貸すことになった。桃花は晴明に螺鈿の結び桜の文様のかんざしを貰った。晴明から紋を授かった術師の印だ。大晦日桃花も、伏見稲荷の白狐や日向大神宮の白狐や花山稲荷の白狐と一緒に人に力を与えた。狐火は生き物に力を与え体調を崩すのを防ぐ。桃花と晴明は祝福により厄災を抑える。
 梅花の薬玉 受験生の榎戸與君と竹居で会った。與君は、都会に行かせたくない母親が道祖神にお願いしていた。道祖神は與の障礙になっていた。晴明は道祖神を薬玉に閉じこめ與の決意を聞かす。次の日、逢坂の関辺りに開放する。
 北天の勇将 琵琶湖の方から京へ百鬼夜行がやって来る。アテルイとモレを処刑された蝦夷の恨みだった。京都大学総合博物館の唐様大刀・騒速剣を持って対する。田村麻呂も篁も現れる。アルテイとモレが、みんなを引き連れて奥州に帰った。

2019年8月24日土曜日

新・古着屋総兵衛 十八 完

新・古着屋総兵衛 十八 日の昇る国へ  佐伯泰英
 古着大市の開催前に古着大市の売り上げの一部を上納せよと言ってきた自称御用取次古瀬嶺斎を倒した。
 桜子と共に、バタヴィアに出発した。
 カイト号が出来上がり、日本に帰ることになった。総兵衛の母・恭子、川端次郎兵衛はイマサカ号で日本に向かったが、総兵衛、桜子、加納恭一郎、砂村葉はカイト号でアメリカに向かった。

2019年8月22日木曜日

八丁堀赤鬼忠孝譚 おとっつあん

八丁堀赤鬼忠孝譚 おとっつあん 小杉健治
 高井伊八郎は、帳簿を改竄して藩の金をくすねていた竜崎又右衛門に斬られた父の仇を討つために兄と仇討の旅にでた。七年で兄は諦めて帰郷した。伊八郎は十年探すことにした。もう帰ろうと考えた日、身体を悪くし倒れた所を助けてくれた者が竜崎と顔の特徴がそっくりだった。竜崎か間違いか知るために祐源に近付く。祐源と名乗り、「中孝園」という身寄りの無い孤児を集めて生活していた。字を教え、算段を教え、職人に入れたり、店に入れたりしていた。
 費用の出所が判らなかった。岡っ引きが七年前の辻斬りだと見張っていた。子売りだとも言う。女衒の男が殺された。同心が祐源が犯人だと捕まえる。伊八郎は犯人をつきとめる。
費用は検校から出ていることが分かった。
 祐源は竜崎又右衛門だと告白した。七年前の辻斬りも認めた。目の見えない子供と一緒に暮らし、竜崎も人が変っていた。今の祐源を認めた。
 仇討は止めた。

2019年8月21日水曜日

百万石の留守居役(十三) 舌戦

百万石の留守居役(十三) 舌戦 上田秀人
 将軍の命で江戸に出た本多安房政長は、評定所へ行った。加賀藩上屋敷に不逞の浪人が入り込み藩士藩邸に被害が出たことを明らかにする評定だった。本多憎しの老中・大久保加賀守と旗本・横山長次と加賀藩江戸家老・横山大膳が結託していた。
 政長と別れた瀬能数馬は、江戸城へ急ぎ、老中・堀田備中守家の留守居役・葉月冬馬に、本多長政の出府届けを昼ごろ受け取ったと右筆に届けて貰った。堀田家への借りを使い、お城坊主の口止めは数馬の冬馬への借りになった。
 評定所では政長の出府届けが昼ごろ出ていたと分かり開かれた。政長の言い分が通り不逞の輩の押し込みは無かったことになった。
 評定の間に横山長次の屋敷が不逞の者に襲われ、門を明けられ、横山内記討ち取ったりと言われていた。
 政長は綱吉と会った。直江状に関して関ヶ原の戦いの話をする。黒書院の天井裏から軒猿の刑部を呼び、綱吉に陰共を連れるように言上した。我殿を将軍継承に巻き込ませたくない。そのためにも将軍は元気でいてもらわなくてはならない。綱吉に本多の直臣復活は無いと言わしめた。時々江戸に出てこいと。
 加賀では本多政直を倒そうと考える者たちが、正直の長男・主殿を見方に引き入れようとしていた。

2019年8月20日火曜日

上絵師 律の似面絵帖⑤

上絵師 律の似面絵帖⑤ つなぐ鞠 知野みさき
 涼太は、睦月の事件・青陽堂の茶葉に古茶を混ぜた者がいたことで評判を落とした青陽堂の信用を取り戻すために頑張っていた。
 律が考案した巾着の絵柄・鞠が人気商品になった。鞠の中の絵の注文があったり、子供の着物の注文がある。一回に五枚しか巾着を作らないので順番待ち、くじ引きになったりする。
 涼太と律の婚礼が、文月の薮入りの前日・十五日に決まった。
 鞠の中に文具の絵を注文した史織には、好きな人がいるが親の決めた縁談が整ったと言う。好きな人の似顔絵を描く。定廻りの広瀬保次郎だった。広瀬も本屋で会う史織が好きだった。整っていた縁談を壊して二人は水無月の六日に祝言を挙げた。
 祝言の前日、鬼子母神にお参りに行った香と護国寺にお参りに行った旗本本田家の秋彦が勾引かされた。犯人を捜す律は、犯人の持ち物が自分が注文で描いた鞠巾着だったことで犯人が特定できた。犯人を捕まえた。犯人は本田が調べている小普請奉行に頼まれた下役の三浦の妻と三浦の部下だった。
 香は妊娠した。律の祝言は一月延びた。

2019年8月19日月曜日

途中下車はできません

途中下車はできません 山本巧次
 富良野線 美馬牛駅 (ビバウシィ) 富樫里恵カメラマン十年前職場を辞めカメラマンになった。びばうし茶房を見付ける。三十代前半の美人オーナー。民宿「ドゥマン」に泊まる。
 びばうし茶房のオーナー久内美和は立原一憲のダイエット食品の詐欺に遇い、見返すようにダイエットし、会社を辞め茶房を始めた。
 釧網本線 北浜駅 野地原康生は、行方不明になっている認知症掛った祖母をさがしている。流氷の思い出のある町を探しに来た。一泊して祖母が旭川で見つかり帰った。北浜で家族にストーカーと間違えられ札幌で美容師をしていた咲江と出会う。
 宗谷本線 音威子府 尾崎佳信は会社の四千万円を持ち逃げした酒井修一が蕎麦屋で働いているという情報を掴み捕まえに行った。酒井はすぐに尾崎と一緒に会社に出頭すると言い電車に乗る。酒井はアタッシュケースの中の外に出せないメモを質に取り、あと六千万円を出せと脅迫する。札幌まではおとなしく・・・。
 根室本線 落石駅 荒川圭佑は落石の崖で自殺したように装いに来た。振り込め詐欺の金庫番の手伝いをしていた。違法カジノの金庫番にだまされ、四億を取られた。振り込め詐欺のグループからは荒川が取ったとしか見えない。自殺したことにしようとしたが、失敗する。仕方なく帰る。鹿が悪い、カメラマンが悪い、大坂の夫婦が悪いと考えながら。
 函館本線 札幌駅 康生が札幌に戻ってきた。様子が変な二人組がいる。尾崎と酒井だった。酒井が持ち逃げしたアタッシュケースの中に、贈収賄の証拠メモが入っていた。
 荒川が札幌に帰ってきた。里恵が見ていた。札幌駅で美和は立原を見付けた。捕まえて!と叫んだ。立原と名乗っていた荒川は、通りすがりの里恵と康生に取り押さえられ、尾崎と酒井を捕まえるために見張っていた警察官・里恵の元上司に連れていかれた。尾崎と酒井も贈収賄事件を追っている警察に捕まった。

2019年8月15日木曜日

居眠り磐音 武士の賦

居眠り磐音 武士の賦 佐伯泰英
 初恋の夏 宝暦八年 1758年 土佐高知藩山内家 近習目付重富百太郎の次男として生まれた利次郎の少年時代。四才で殿様の御殿の庭の泉水で水遊びをしていた利次郎は、殿様と話をする。御殿に忍入っていることを知った両親は、利次郎の母・富美の実家の父・八右衛門新田に面している常陸国麻生藩新庄越前守一万石の下屋敷で隠居・伊丹治一郎に預けた。祖父が亡くなるまで六年間を過ごす。
 霧子の仇 高野山の麓、内八葉下八葉と呼ばれる雑賀衆の姥捨ての郷で暮らしている霧子。婆さまから、八年前、摂津堺から放浪者の下忍雑賀衆泰造一味に勾引かされて三才の時に連れてこられた娘だと知らされる。霧子は男姿で暮らす。八年ぶりに訪れた泰造一味が郷を訪れた。
 利次郎は次男三男が集まる八丁堀近くの村上道場へ四年通う。五年目半ば、直心影流佐々木道場の住み込み門弟となる。
 出会いの時 霧子は父母を殺したのが雑賀衆下忍泰造日根八と知り、身内の仇を討つつもりで泰造一味と一緒に郷を出た。泰造一味は押込み強盗を繰り返した。数年後、日光で家基一行に捕らえられ、直心影流佐々木玲圓の預かりとなった。
 平林寺代参 坂崎磐音とこんは玲圓・えい夫婦の養子となり、こんと所帯を持つことを決めた。豊後に行き父母に報告に行く前に川越往還の途中の平林寺に行くことになった。霧子と松平辰平と重富利次郎の五人旅になった。平林寺の用を済ませ、川越で道場主を頭にした無法者の集まりを退治した。

居眠り磐音江戸双紙 野分けの灘を出してきて読む。

2019年8月13日火曜日

古代史おさらい帖

古代史おさらい帖 森浩一
 考古学・古代学課題ノート
 一章 土地の見方
 二章 年代の見方
 三章 「人」の見方
 納得しました。よく分りました。

2019年8月8日木曜日

源平の怨霊

源平の怨霊 高田崇史
 小余綾(こゆるぎ)俊輔の最後の講義
 池の禅尼の頼朝の助命嘆願 池の禅尼は藤原北家出身
 

2019年8月3日土曜日

わが家は祇園の拝み屋さん10

わが家は祇園の拝み屋さん10 望月麻衣
 〜黄昏時に浮かぶ影〜
 小春は澪人と東京にいた。強い力を持つ少年と出会う。
 東京の波動を下げようと企んでいたのが、京から姿を眩ましていた谷口透と判った。谷口は、宗次郎の師匠の息子ということが判明した。
 由里子は朔也に告白するが、朔也には好きな子がいると言われる。澪人の兄・和人は由里子に対し恋に落ちたと告白する。
 杏奈はEU国際芸術映画祭で主演女優賞を受賞し、インタビューで宗次郎にプロポーズする。
 

2019年8月1日木曜日

突きの鬼一③ 赤蜻 

突きの鬼一③ 赤蜻 鈴木英治
 百目鬼一郎太の見方・江戸家老・神酒五十八が国許に帰ることになった。国家老・黒岩監物の指しがねだ。神酒は息子・藍蔵の他に興梠弥佑を用心棒に残して国許に帰る。
 黒岩は桜香院の命で羽摺りを使い一郎太を暗殺しようとする。羽摺りの四天王の一人・朱雀を倒す。
 一郎太は妻・静に会うため里帰りしている千代田の城に忍び込む。静は飛び地の諏久宇を百目鬼家から取り上げようとしているという話を聞く。
 

2019年7月30日火曜日

託された子は、陰陽師!? 

託された子は、陰陽師!? 望月麻衣
 〜出雲に新月が昇る夜〜
 久瀬学のところに、金森信治が5才の息子・タケルに危険が迫っていると預ける。
 信治は高校時代の親友だった。自殺しようとした少女を助け、追われている少女を匿い三人で一夏暮らした。学は少女・小夜子を好きだったが15才の彼女と関係を持てなかった。信治は小夜子と関係を持ち、学は見てしまった。二人は学の所から居なくなり、それ以来、6年間会ったことがなかった。
 学は薬科大の院生。父親は京都の大学の教授。高校生の時からマンションで一人暮らし。
 しゃべれないというタケルと二人で暮らす。学を好きだという高校3年生の宮下真美が、一人でいるタケルを視るようになった。政治家の娘・真美が誘拐されそうになった時、タケルが声を出し、誘拐犯だ!と暴く。タケルは口を封印していた。事情を話す。
 タケルは卑弥呼の末裔で皇室に仕える陰陽師一族だと話す。今のリーダー・大神子は私利私欲に走っている。大神子を座から降ろし、病が治った元の大神子・タケルの大叔母・雛子を再度大神子にしようとしていた。陰陽師の屋敷で学は小夜子に会う。学は徳が高く学ぶの廻りに結界があり小夜子もタケルも守られたのだと教えられる。
 タケルは大神子と術の掛け合いになり勝った。タケルは鏡術を使い、跳ね返した。タケルが大神官になることは決まり、覚悟した。出雲に行き、卑弥呼の時代の蟠りも解いた。解いたと同時にタケルは子供に戻った。何も記憶が無かった。
 タケルが学が父だ。と言ってくれたので、学は信治に許可を貰い、一年で二人を迎えにくることを誓う。
 真美は政治家になろうと思う。

2019年7月27日土曜日

長屋道場騒動記〔四〕迷い熊猛る

長屋道場騒動記〔四〕迷い熊猛る 芝村凉也
 間野生馬が先に関わった事件のため生馬を狙っている者がいた。十数人の浪人を動かし道場に押掛ける。生馬とたまたまいた玄武館の師範代・千葉栄次郎と二人で返討ちにする。
 栄次郎は生馬の道場へ稽古に来ていた。弟・多門四郎も一緒に行っていたが、栄次郎が水戸に行っている間は禁止された。
 千葉栄次郎との対戦を切望する二刀流を使う三田武右衛門は、水戸へ行く栄次郎に試合を挑む。栄次郎は三田を叩きつけ、乱心者にする。
 生馬を邪魔に思う誰かがいる。生馬の父親の代からのようだ。

2019年7月23日火曜日

弥勒シリーズ⑨ 鬼を待つ

弥勒シリーズ⑨ 鬼を待つ あさのあつこ
 大工の頭領と版木彫職人・菊八が酔っ払い喧嘩し、頭領を殴り殺したと思い込んだ菊八が翌朝首吊り死体で見つかった。頭領は死んではいなかったが、殺したと思い込んだ菊八が自殺したことで決着するが、同心・木暮信次郎と伊佐治は本当に自殺か疑っている。頭領・慶五郎と菊八の女房・はまの仲を調べたりしていた。一旦は手を引いた。
 慶五郎が殺された。首を裂かれ、五寸釘を打たれていた。信次郎と伊佐治はしらべに入った。
 遠野屋清之介は江戸の豪商・呉服屋八代屋太右衛門の隠宅に三百両の商い品を持って訪ねる。清之介は太右衛門の姪・ちやとの縁談を申し込まれる。清之介はその場で断る。太右衛門は遠野屋紅の仕入れ先、拵え方、全てを十万両で買うと言ってきた。清之介は断る。八代屋の隠宅で、りん・清之介の死んだ妻にそっくりな女を見る。
 八代屋は遠野屋の職人の引き抜きにかかるが、引き抜かれた職人はいなかった。
 国許嵯波にいる玄庵が現れた。りんを死に追いやった張本人だが、玄庵は清之介のために働いていた。今井国家老が病臥したことを伝えた。江戸家老沖山と八代屋は繋がっていた。
 太右衛門が、慶五郎と同じように殺された。
 りんのお付き女中・よえは清之介の敵だった玄庵が育てた殺し屋だった。言葉で人を殺す事が出来る。よえが慶五郎の家で働く女中・里を使って太右衛門を殺す、慶五郎で練習をしていた。里は気がふれたようになった。
 よえは育ての親・玄庵を殺し、玄庵が殺せなかった清之介と戦いに来る。清之介と戦い逃げた。元々いた清之介の兄の所へ行ったのか、行へは判らなくなった。
 ちやは後ろ盾を亡くし、行く所が無くなった。遠野屋の押しかけ女中になった。

2019年7月18日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊺

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊺ 宵の凶星(まがぼし) 小杉健治
 青柳剣一郎は将軍家に献上されたはずの加賀友禅の極上反物を持った岡っ引きに追われる男と遭遇する。泥棒と思われる男が殺され、反物の出所は不明。
 剣一郎は義弟の西ノ丸御納戸方の湯浅文七郎に協力を頼む。文七郎に御納戸から献上品を持ち出したという濡れ衣を着せられる。文七郎の同僚と上司の横流しを疑った時、同僚が殺され、文七郎が殺したことにされる。
 剣一郎が、西ノ丸御納戸頭・高木哲之進、御納戸組頭・大木戸主水、御納戸方・松倉太一郎が、献上品の目録を改竄し横流しをしていたことをつきとめる。献上品の隠し場所を暴き、証明しようとするが、大木戸主水が息子が後を継ことを条件に一身に罪を背負って自刃した。剣一郎が高木の元家臣の関係を突き詰めても認めず、その裏にいるであろう老中・磯部相模守には決して届かなかった。高木も関係を認めなかったが、元家臣や側室の身内が関係していたことで、職を取り上げられ小普請入りした。剣一郎は老中・相模守に、大木戸が残した隠された一切を告白した書置きと老中が書いた誓約書を盾に、大木戸家の存続を願った。

2019年7月16日火曜日

禁裏付雅帳八 渾沌

禁裏付雅帳八 渾沌 上田秀人
 東城鷹矢の許嫁として江戸から来た弓江が勾引かされた。京の闇を牛耳る戦闘集団「四神」。鷹矢と家臣・檜川は助けに行く。弓江を助け出す寸前、土岐仕丁が現れ、今上帝の禁裏付に手を出すなの命を携えて現れる。闇の頭・砂屋楼右衛門の帝に対する雑言を許さず土岐が砂屋を殺す。砂屋も仕える浪も元は貴族だった。
 砂屋に鷹矢の抹殺を頼んだ桐屋利兵衛は、禁裏付が商人を無礼討ちにしたと噂を流す。

2019年7月14日日曜日

むちゃの勘兵衛日月録20

むちゃの勘兵衛日月録20 落暉の兆し 浅黄斑
 越前大野藩の御耳役・落合勘兵衛は身重の妻・園枝を連れ帰郷した。大野に流れる風説に驚愕する。無茶の勘兵衛ではなく、無駄の勘兵衛という。それは上司・江戸留守居役・松田への誹謗だった。誰が何のために流した噂か調べる。津田家老一派だった。
 娘は凛と名付けた。
 勘兵衛は妻子を大野に置き、江戸へ帰る。
 松平直堅家では引っ越し時に、越前福井藩から言い掛かりを付けられていた。怪我の治療費に二百両の請求をされたが、勘兵衛が、怪我が嘘であることを明らかにし、解決した。
 松田の情報網・老中・稲葉正則が、大老・酒井忠清のために加判の列から除くため、大政参与となった。松田は情報網を失い、次の情報源を探していた。
 5月5日、総登城の後、御三家、大老、老中計9名でお世継ぎの話になった。酒井雅楽守忠清の進行で有栖川宮幸仁親王の将軍の話が出た。堀田備中守正俊が反対し、綱吉を立てる。御三家の三人が賛成し、何も決まらぬまま散会した。その後、堀田は家綱から世継ぎについては堀田正俊の思うようにして良いと書かれた書面を手に入れた。綱吉は家綱と対面し書面を与えられた。
 6日 諸大名に家綱世継ぎに館林宰相綱吉に決まったことが発表される。
 7日 綱吉が江戸城二ノ丸に入る。
 8日 家綱亡くなる。

2019年7月12日金曜日

神様の御用人8

神様の御用人8 浅葉なつ
 案山子が見た空 宣之言書に現れた神の名・久延毘古命。古事記に一度だけ現れる歩くことは出来ないがあまねく天下のことを知る案山子のこと。眷族として梟の富久と蟇の謡が付く。知恵の神は世の英知を手にし、驚くことも感心することも無くなった。美しいと思っていた空さえ見飽きて、この世にいなくてもいいだろうと思うようになり引退したいと言い出した。神様の御用人・萩原良彦は、久延毘古命を自分の家へ連れてきて、朝ご飯を作らせたり、JAの稲本・稲の精霊に聞いた市民農場で田植えを経験させる。久延毘古命はもう少し人の子の営みの中で新しい世界を共に見、新しい感情にも出会いたい。と思うようになった。
 真・大和屋金長伝 狸大明神の狸の金長が、消えかけている狸たちのために「阿波狸合戦」の話を集め、我らに読み聞かせて欲しいという。良彦が本を集め、一冊を読み終えると狸たちの身体が、元に戻っていた。門外不出の「大和屋金長伝」に接して、良彦は三人の男の手によって作られ、一人の女によって広められたことを気付いたか?良彦と一緒にいる方位神・黄金には判った。
 世は変れども神は変らず 時代ごとに人の求める神となってその度に自らの顔を描き替えていた八幡大神が、今の時代に相応しい八幡大神の顔を描いて欲しいと言う。良彦は偶然見付けた八幡様の元にいた僧侶が絵師になって描いた絵を八幡さまに見せる。誰を描いたか後世の人には判らない男性の絵。僧侶でも貴人でもなく何の変哲もない男の絵、「世は替わると雖も、神は替わらず」。世の中は変っても神は変らない。八幡大神は八幡大神らしくあればいい。八幡大神を描いた絵だった。
 おまけ・恐怖のドライブその後 良彦は穂乃香の大学入学祝いに何をプレゼントしようか迷っていた。穂乃香は大学生活に慣れるために、父親の絵のことで知り合った松下望に付いてバーベキュー会場に来たが、やはり馴染めなかった。一人で帰るバスの中で、須勢理毘売の運転する真っ赤なオープンカーを見付ける。バスから降りる穂乃香とオープンカーから降ろされる良彦。良彦は穂乃香に名前入りのボールペンを貰う。

2019年7月10日水曜日

親子十手捕物帳 

親子十手捕物帳 親父の十手を受けついで 小杉健治
 辰吉は、十手持ちだった父・辰五郎と折り合いが悪く、家を飛び出していた。忠治親分や妹・凛に心配されながら、仲直りを拒み続けて数年が過ぎていた。
 引退していた辰五郎だが、相談をうける。茶問屋・駿河屋の若旦那・彦太郎の外に出来た子供を五十両を出して引きとることになったが、その女のことを調べて欲しいということだった。
 辰吉は賭場の揉め事が原因で人殺しの嫌疑をかけられる。辰五郎がこっそり調べ、辰吉の嫌疑を晴らす。殺されたのは、駿河屋の次男・彦三郎だった。辰五郎が調べていくうちに、子供の父親は彦三郎だと判明。彦太郎は知っていた。彦三郎を殺したのは番頭だった。駿河屋の財産の半分は俺のものだという遊び人になった彦三郎が駿河屋のためにならないと感じたからだった。岡っ引きではない辰五郎は、駿河屋に番頭を数年、江戸を離れたどこかの寺で彦三郎の供養してまた駿河屋にもどしたらどうかと提案した。駿河屋は、女に呑み屋をやらせた。
 辰吉は忠治の下で岡っ引き修業をすることにし、家に戻った。
 

2019年7月8日月曜日

大江戸監察医

大江戸監察医 鈴木英治
 無宿人・仁平36。人足寄場で同心・見矢木牧兵衛に医術の腕を見込まれ、薬種問屋・和泉屋の息子・和助の治療を頼まれる。和助が介抱に向かい、仁平は大店の預かり医師として隠居所で無料医療所を開く。
 動物の死骸を置かれたり、喧嘩を仕掛けられたり嫌がらせを受ける。老舗呉服問屋の婿が舅が病で倒れ、死がすぐに訪れることを前提に金使いが荒くなり賭場で借金をこさえた。仁平が診、持ち直されると借金の返済が出来なくなるため人に頼み仁平の手を使えないようにしようとしていた。
 牧兵衛の要望で、元小石川養生所の医師・貫慮を雇うことになった。検死をすることになった。
 和助の父・和泉屋の主人・和兵衛が倒れた。顔色が灰色、顔に水玉のような斑点ができた。仁平は何を処方すればいいのか判らない。死なせるわけにはいかない。

2019年7月4日木曜日

深川二幸堂菓子こよみ〈二〉

深川二幸堂菓子こよみ〈二〉 知野みさき
 光太郎と孝次郎
 やくざ者のご用達といううわさが流れる。
 孝次郎が火事の後、世話になった母親のような人・弥代45才が亡くなる。
孝次郎は弥代に暁音を紹介する。結婚したい人として。暁音は今のままで良いと言う。断られた?
 草笛屋から太吉と八郎が追い出されてくる。王子で余一が一人でやっている菓子屋に二人が入ることになった。隣の茶店と力を合わせたり、光太郎と孝次郎が工夫する。
 光太郎に思いを寄せる吉原の遊女を好きな、草笛屋の若旦那の遊び仲間の土佐屋の若旦那松弥は光太郎憎しで、葉に縁談を嗾けたり、縁談がまとまらないと分ると、光太郎が好きな葉の息子・小太郎を勾引かす。小太郎を助け出し、光太郎と葉は一緒になる。

2019年7月1日月曜日

京都三条のホームズ・11

京都三条のホームズ・11 望月麻衣
 あの頃の想いと優しい夏休み
 序章 夏、ホームズこと家頭清貴は後一つの修業を残して夏休みに入った。円生と梶原秋人が蔵に来る。円生の持ってきた柿右衛門様式のマイセンの話。葵は焦る円生に絵を描くことを奨める。円生は2年前のことを葵に謝る。葵は謝罪にレ礼を言う。
 天の川と青い星々  清貴休みに入って三日目 蔵で店長・清貴の父・作家と清貴と葵の三人で和歌の話。小野小町の花の色は・・・。自分は衰えたと言える彼女は強い。
 清貴の高校時代の先輩が来る。永観堂へ行く。大学を卒業し、大手建設会社に就職したが仕事に行けなくなって勤続2年で退社していた。つき合っている彼女に結婚して彼女の両親のやっているペンションを再就職の場にしようかと思っている。清貴は永観堂の元の持ち主、藤原関雄の句を紹介する。奥山の 岩垣もみじ ちりぬべし 照る日の光 見る時なくて   もみじが美しく色づきながら光を浴びずに散ってしまう。我が身も世間の栄光に欲することなく世を去るだろう   
 清貴は葵をほぼ婚約者と紹介する。
 蔵のショーウインドウに 彦星に 恋はまさりぬ 天の川 へだつる関を 今はやめてよの掛け軸に、黒薩摩焼の花器に青もみじと白桔梗を生けることにした。
 月夜の宴 三ヶ月前 大丸京都店の店長が、先斗町の御茶屋「井関」で婚約の祝いをして下さった。婚約のお祝いと称した「御茶屋体験」、おもてなしのプロフェッショナルに触れる勉強会だった。
 家頭邸で「お疲れ様会」が開かれた。バルコニーで「月がとても奇麗ですね」と言う清貴に夏目漱石の引用かなという葵。日本人は「アイ・ラブ・ユウ」を「月がとても・・・」と訳せよといったエピソード。清貴は言う。前に言ったのは斎藤家の後継者選びの日だったことを告白。清貴は、 あの月に行ってみたいですね  と言う。
 似て非なるもの 蔵での「勉強会」。柿右衛門、柿右衛門様式、マイセン、シャンティイー、チェルシー、ウースター。清貴は円生にも見せたいと言う。
 宮下香織は葵に、店長・家頭武史は清貴に、店長と香織の楽しいがお互い傷付け合ったお付き合いの相手の名を伏せて話をする。香織は彼を好きだったが、異性として見ていなかったことに気付いた。心から慕い尊敬していたことが分った。店長は香織の気持ちを分っていながら楽しみたくて、異性を感じないよう振る舞っていた。
 無自覚な少女に愛を持って行動に出た、ひかるの君。心から愛していないから行動にでず、距離を取り一緒にいることを望んでいた店長。お互いが傷つけたことを悔いていた。葵も清貴も二人に、そんな人にはきっと素敵な友人がいて心を癒して貰えるだろうとアドバイスする。
 掌編 家頭誠司の憂鬱 清貴と葵が別れていた時のこと。陰気臭く、どんよりしてたまらなかった。
 円生の独白 円生の絵を贋物と初めて見破った清貴、その彼が選んだ彼女・葵が好きになる。何故あんなのから、なかなか良え子やな。心眼があり包容力がある。豪華旅行で変ってしまう葵に懸念を持つが葵は変らなかった。利休に指摘される。円生は清貴の彼女が好きなのだと。絵を描くことを奨められた日、盾にしたことを謝ったが、葵は盾にしたことに対してはホームズが止めることを分って盾にしたことを分っていた。葵に贈った誕生日プレゼントに対して、全力でホームズを煽っている。ホームズへのいろんな思いを早く燃え尽きてというように感じたという。本心を言い当てられる。ホームズに愛されて魅力的に輝く葵が眩しい。
 あの頃の想い ホームズは、葵が夏休みが終わることを寂しく思っていなさそうなのが残念に思う。葵は修業に行ってもホームズは蔵に帰ることが分って嬉しい。ホームズは円生をあずかることにした。
 葵が初めて蔵に来た時、古美術に興味があり良い目を持った大きな可能性を秘めた少女。ここで働きませんか。二度と会えなくなるに違いない。
 葵は一番弟子です。円生には譲らない。清貴は僕のパートナーです。
 北山デート 植物園の年パスをプレゼントした時の気持ち
 
一巻の私の記憶が違っている。もう一回読む。

 
 
 

2019年6月29日土曜日

パリ警視庁迷宮捜査班

パリ警視庁迷宮捜査班 ソフィー・エナフ 訳・山本知子・川口明百美
 六ヶ月の停職から復帰したパリ警視庁警視正のアンヌ・カペスタン37才は新結成された特別捜査班を率いることを命じられる。あてがわれたオフィスは古いビルの一角。集められたメンバーは警視庁の厄介者ばかり。
 警部で売れっ子警察小説家のエヴァ・ロジエール。大酒飲みのメルロ警部。組んだ相手が次々に事故に会う不運の持ち主・死神のトレズ警部補。元IGSのルブルトン警視。ギャンブル依存症のエヴラール警部補。警察内部情報をマスコミに流す密告者・オルシーニ警部52才。だ若きボクサー・ダグス警部補。スピード狂・レヴィッツ巡査部長、
 二十年前の失業中の一等航海士・ヤン・ゲナン26才が銃で撃たれ、遺体がセーヌ河川で見つかった事件と八年前に起きた一戸建ての自宅リビングで遺体となって発見された老夫人・マリー・ソーデル76才の二つの未解決事件の捜査を始める。
 現在、ヤン・ゲナンの妻が殺された。
 三つの事件が繋がった。
 犯人はヴァランクールパリ司法警察中央統括部長だった。
 ヴァランクールは二十年前、妻・ローザ、息子・アントニオ5才、次男・ガブリエル2才の四人でフロリダからパリに帰る船に乗った。アントニオはローザの連れ子で問題児だった。
客船が嵐に遇ったとき、ヴァランクールが抱きしめたガブリエルにしがみついているアントニオ。ガブリエルを助けるためにはアントニオから自由にならなければならなかった。ヴァランクールはアントニオを振り払い突き飛ばした。弾みでアントニオは船の外に投げ出された。ローザは浮輪を取り海に身を投げた。航海士はローザを引き上げようとした。ヴァランクールは何も出来なかった。その後、客船はひっくり返った。救助活動が始まり、ヴァランクールとガブリエルは助け出された。
 ヴァランクールはその時のことを見ていた船員を調べ、動きを見ていた。フランス生存者を調べ始めた時、自分のことを知られるのを恐れ殺した。マリー・ソーデルは八年前の追悼式でスクリーンに現れたローザとアントニオの写真を見て、ゲナンの話しを想い出しヴァランクールに率直に訊いた。そして殺された。ガブリエルが事故のことを聞き回っているのでゲナンの妻を殺した。
 ビュロンがこの班を作ったのはこのためだったのだろうか。
 

町奉行内与力奮闘記〈八〉

町奉行内与力奮闘記〈八〉 詭計の理 上田秀人
 北町奉行曲淵甲斐守の行列が襲われた。元筆頭与力・竹林の強行だった。城見亨が救った。この醜聞を利用して甲斐守を蹴落とそうと考えた南町奉行・牧野大隅守を蹴落とそうと、田沼意次の目に留まるよう、目安箱に入れてもらう。

2019年6月27日木曜日

新・秋山久蔵御用控〈四〉 返討ち

新・秋山久蔵御用控〈四〉 返討ち 藤井邦夫
 裏の顔 秋山久蔵と息子・大助が、暴漢に襲われた所を助けた金貸し籐兵衛は、苦労して店を築いたといわれた好人物だった。陰で籐兵衛を守っていると籐兵衛は暴漢をおびき出し、雇った浪人に殺させた。暴漢を雇ったのは、昔、籐兵衛に騙され店を辞めさせられ、苦労して店を手に入れた献残屋だった。献残屋の苦労話を籐兵衛は自分の話として広めていた。献残屋は籐兵衛を殺そうとは考えていなかったが、頼まれた浪人は殺された。
 返討ち 兄の敵を討ちに江戸に来た若い侍・小嶋又七郎がいた。兄の妻・早苗も一緒に来たが、早苗は小嶋の元を離れ、敵の坂本蔵人の所へ走る。元々早苗と蔵人は言い交わしていたが、上士からの話で小嶋と結婚。小嶋が坂本に斬り込みとっさの行動で坂本は小嶋を殺していた。早苗は又七郎を殺そうとして殺される。坂本はわざと又七郎に斬られるが、又七郎を斬る。又七郎の仇討は返討ちに終わるが、蔵人も二日後には死ぬ。久蔵は早苗と蔵人の遺体を満願寺に葬った。
 親父橋 隙間風の伊佐吉と呼ばれる盗人・伊佐吉が呉服屋「井筒屋」に押し込み主の伝兵衛を殺し百両盗んだとして捕まった。伊佐吉の手口だった。伊佐吉は同じ時刻に素人の客引きに会ったと言う。女は伊佐吉が死罪になると聞き、会ったことを証言する。伊佐吉を気に入らないこそ泥の銀次が伊佐吉を陥れるため手口を真似て押込んでいた。銀次は磔獄門、伊左次は遠島になった。証言した女は、大工の夫が怪我した急場を貰ったお礼で凌いだ。
 俄狂言 扇屋「香風堂」の遊び人の17才の若旦那・京助が誘拐された。京助の遊び仲間呉服屋の息子・正吉を見張る。犯人は正吉のとりまきかと思われたが、京助が百両いるため、自分の取り巻きを使い、二百両要求していた。どんな裁きが下るか、香風堂は店を閉め慎んでいる。
 

2019年6月25日火曜日

浮世絵宗次日月抄⑦ 汝よさらば〈二〉 

浮世絵宗次日月抄⑦ 汝よさらば〈二〉 門田泰明
 宗次は徳川宗徳として松平長七郎長頼と、家綱に会いに江戸城へ行く。家綱は宗徳に跡を継いで欲しいと言う。隠し子・扇姫のことを相談される。
 宗次は扇姫に会いに行くが、息を引き取った後だった。
 美雪の部屋に元夫・広澤和之進が現れる。美雪は和之進が以前の彼でないことを知った。宗次は果し状を受け取り出向くが、和之進に斬らせ自分は手を出さない。同じく果し合いをするという書状を貰った美雪がやってくる。和之進は帰った。

2019年6月21日金曜日

かわたれどき

かわたれどき 畠中恵
 きみならずして おこ乃ちゃんが嫁に行った。麻之助の奥さんだった寿ずとよく似たおこ乃ちゃんに鼈甲の簪を贈る。
 結納前にお顔を拝見したくてと可愛い娘が現れた。麻之助は、「あさのやのおりょうさん」がどこの誰か探し出す。おりょうの姉に付きまとう噂の元を探る。二人の兄を好きな近所の娘が、兄を結婚させないために妹の結婚を阻止するために噂を流していた。
 まちがい探し 地本屋から依頼された金魚の絵を書いた人を探す。絵師になりたい笹川屋という呉服太物屋のお嬢さんが、父親んい反対され、番頭の息子に絵を地本屋に見せることを頼んだ。喜楽屋は窮地を抜け出すためあぶな絵を書いて欲しかった。
 窮地に立つ喜楽屋には、麻之助がセットになっているあぶな絵を、許可が下りそうな絵の単品で売り出すことを勧める。
 麻之助が捕まった 生き別れた息子を探し当てた夫婦。だが、息子は本物なのか?
金持ちになって江戸に帰ってきた夫婦。息子・為吉を探し当てるが17で亡くなった双子の弟と似ていない。為吉が養子になった後生まれた博打の借金がある義弟・幸太郎がいた。夫婦から幸太郎の借金を取ろうとする。借金取りは江戸所払いになったため、兄弟で夫婦の店で働くことになった。
 はたらきもの 天狗が出たり金が湧いたり、江戸にはびこる不穏な噂の真相は。
 麻之助は噂の真相を調べるにあたり、噂の流れている場所を調べる。麻之助と清十郎と吉五郎と貞が、札差の若旦那三人に呼び出される。上座に座り上から目線で噂の真相を探れと命令する。最後に麻之助が大倉屋の冬太郎を殴る。
 噂を流したのは大倉屋の主人だった。西からやって来た伊勢屋が両国の近くに遊廓を作ろうとしていた。強気で今にも許しが出そうな勢いなことを懸念して大倉屋の主人は奉行所に噂が流がれ奉行所を動かそうと噂を流した。麻之助は何故、伊勢屋はそんなに強気なのかを探る。大倉屋の手代が主人の名前で証文を書いていたことが判った。大倉屋は大変なことになった。
 一葉との縁談が白紙になった吉五郎に、北山与力の娘・紀乃との縁談話しが起る。兄は吉五郎と同門で親しかった。
 娘四人 一葉、紀乃 緒りつ、雪がいる所へ、麻之助と清十郎が呼ばれる。両替商・小加根屋の娘・緒りつから同心・吉五郎への願いだったが、吉五郎は唐物屋押し入った賊を追っているので麻太郎と清十郎へ回ってきた。小加根屋は馴染みにしていた同心・和木坂剛一郎から二十歳の独身の前川同心に代わった。小加根屋が八丁掘りへ嫁にやりたいために和木坂を追い出し前川に代えたと噂が流れた。悪い噂も流れ、ために緒りつの姉に縁談が来なくなった。調べて欲しいということだった。
 一葉が和木坂に全てを話すよう促し、何故前川と代わったかを話した。麻之助たちは調べる途中、唐物屋に押し入った盗賊が小加根屋を狙っていることを知り、罠を仕掛ける。
 貞が大貞の跡取りと決まった。
 かわたれどき 麻之助に緒りつとの縁談話が起った。両親も賛成している。
 雪が大雨で流され矢田屋の主人に助けられた。矢田屋の女房は亡くなった。雪は助けられたが、二三年の記憶が消えていた。麻之助のことも覚えていなかった。麻之助は雪と添えたらという。

2019年6月18日火曜日

ピラミッド

ピラミッド ヘニング・マンケル
 クルト・ヴァランダーの二十代から「殺人者の顔」までの中短編 別紙あり

2019年6月12日水曜日

三十坪(1アール)の自給菜園

三十坪(1アール)の自給菜園 中島康甫
  ぼかし肥と緩効性被覆肥料で
からだにやさしい有機野菜づくり 加藤義松監修
  堆肥・鶏糞・蛎殻石灰・ぼかし肥。
  4つの有機肥料が土に力を与える。
無農薬野菜づくりの新鉄則 山下一穂
  農業塾の塾長が教える家庭菜園で有機栽培する最新ノウハウ
やさしい有機栽培入門 佐倉朗夫

2019年6月11日火曜日

おいち不思議がたり② 桜舞う 

おいち不思議がたり② 桜舞う あさのあつこ
 2015年 3月8日 参照

2019年6月8日土曜日

イタリアン・シューズ

イタリアン・シューズ ヘニング・マンケル
 ひとり離れ小島に住む元医師・フレドリック。突然37年前に捨てた恋人・ハリエットがやってくる。治らぬ病に冒された彼女は、森の中に広がる湖に連れていくという昔の約束を果たすよう求める。願いをかなえるべく島を出る。
 湖を見るだけが目的ではなかった。トレーラーハウスに住む娘・フレドリックの娘に会う。フレドリックは逃げ出す。
 娘・ルイースとハリエットは島に住み、看病し、看取る。ルイースは島を出た。
 フレドリックは一人暮らしに耐えられなくなっていた。
 ルイースの知り合いの有名な靴職人が彼の足に合わせて作ってくれたイタリアン・シューズが届いた。

2019年6月5日水曜日

古事記外伝 

古事記外伝 藤巻一保
  正史から消された神話群
 改竄された神話
 謎の神ヒルコ
 神生みの封印
 アマテラスの深層
 伊勢の光と闇
 根の国底の国
 出雲という謎
 国譲りの真実

2019年5月30日木曜日

百貨の魔法

百貨の魔法 村山早紀
 風早の星野百貨店 開店50周年。願い事をかなえてくれる猫がいる。隣にホテルを合わせ持つ。
 空を泳ぐ鯨 三月 エレベーターガールの松浦いさな。就職一年。
 十年前の桜色のテディベアを直して欲しいと持ってきたバイオリニスト・サクラさん。滅多に家にいない音楽家の母が、海難事故に遭い亡くなった母が、娘・サクラに渡したかったものだった。いさなと芹沢結子が話を聞く。
 贈答品を扱う佐藤健吾が引き受ける。
 芹沢結子は新設されたコンシェルジュだった。
 シンデレラの階段 星野百貨店の次期社長が決まっていない。社長は二度結婚して二度離婚している。杉江まり子・創業時からの美容サロンの店長・星野百貨店のドンは、次期社長に、太郎現社長の子供を推しているらしい。
 百田咲子は二十年前に星野百貨店の地下一階の百田靴店を開き店長になった。咲子は母が亡くなり、芸能活動を止めて店を継いだ。咲子は芹沢結子を昔から知って居たような気がする。
 夏休みに屋上のステージで開く子供のど自慢大会の出場者の靴を選んだ。。グループの仲間とうまく別れていなかった。シンデレラ・ウイング。ツインボーカルだった杏が風早のFM局にゲストで出て、連絡とってないけど勝手に友達のままだと思っていると言っていた。
 咲子は昔の広告を思い出す。あの少女が大きくなったら芹沢さんのような人になるんじゃないかなと。
 夏の木馬 星野百貨店六階本館から連絡通路を渡った先の別館、時計・宝飾・贈答品を扱うフロアマネージャー・佐藤健吾。少年の頃、この百貨店の屋上に母親に置き去りにされた過去を持つ。お子様ランチの果物の種を花壇に埋めた。健吾が勤め始めた時、花壇に種たちが育っていたことに驚いた。花壇の世話をする竹田フローリストの跡取り息子・健太郎が、祖父が自分の植えた種が育っていたら驚くだろうと言って育てていたと言った。健太郎に健吾は自分が植えた子供だと話した。回転木馬が撤去されることになった。健吾は思わず母さんとの待ち合わせの目印がなくなってしまうと口走る。
 芹沢結子が祖父から贈られた時計の電池交換を頼みにきた。健吾は彼女の祖父がその時計を手にした時のことを思い出す。カンパラノ・コスモサイン。文字盤に星座盤をあしらった美しい時計だった。
 倒れた老婦人が、星野百貨店・宝飾フロア・佐藤健吾と書いたメモを持っていたと連絡があった。子供の頃、健吾が贈った玩具の指輪をつけた母だった。一緒に住むことになった。
 健吾と母が写った写真が見つかった。広報部で百貨店の歴史をまとめる作業をしていた。
 精霊の鏡 別館二階の「風早郷土資料館」勤務・早乙女一花。一花は高校生の時、絵のコンクールに応募し、佳作になったことがあった。風早の街の百貨店の絵だった。優勝したのは同級生だった。自分に失望し絵を描かなくなった。彼は画家として活躍していた。彼が、一花の描いた絵に感動した風早にやってきた。偶然一花と会う。一花は屋上で彼と花火を見る約束をした。魔法を使う美容部員・豊見城みほさんに、化け方を教わった。一花は時刻に間に合わなかった。雨も降っているが彼は待っていてくれた。年越しの花火大会の約束をする。
 豊見城みほは、芹沢結子にあなたは佐倉ユリエの娘さんと尋ねたい。
 幕間 孫娘を心配しながらひとりの老人が、病院のベットで人工呼吸器をつけて横たわっている。十数年ぶりに再会した最愛の孫娘に悪かったと謝りながら。
 百貨の魔法 コンシェルジュ・芹沢結子は、定年退職をした鷹城慎吾夫妻の案内をしている。二人は昔、この百貨店で結ばれた。「お利口くん」と「福の神ちゃん」と呼ばれた二人だった。ひそかに百貨店の人々から愛されていた。離島の病院の一人娘の福の神ちゃんは医者になった。離島に帰るつもりで、慎吾と別れるつもりだった。クリスマスに帰る二人にサンタさんのドアマンは福引き券をプレゼントする。二人は三万円分の花屋の賞品券が当たり、深紅の薔薇の花束を買った鷹城はプロポーズする。妻は離島の産婦人科医をし、夫は世界中に橋を架けていた。ドアマンは花屋の娘と結婚した。
 結子はバレリーナだった。病気になり手術をし、バレリーナで無くなった頃、祖父が倒れた。二十歳で祖父の腕時計を継いだ時、百貨店を継ぐことも覚悟した。まり子がお試し期間の提案をする。偽名でコンシェルジュとして入ること、住まいはホテルにすること。結子は日本に帰った。
 星野百貨店の社是と企業理念の一部をフランス語で綴ってある。大理石に刻まれた誓いの言葉魔法の呪文のように玄関ホールのシャンデリアに照らされ輝いている。

2019年5月27日月曜日

介錯人・父子斬日譚 悲笛の剣

介錯人・父子斬日譚 悲笛の剣 鳥羽亮
 大名旗本から切腹の介錯を請け負って糊口を凌ぐ居合道場の道場主・狩谷桑兵衛三十半ば。嫡男・唐十郎16才。師範代・本間弥次郎二十半ば。「介錯人・野晒唐十郎」の若い頃のの話か?
 徒目付組頭の大原家の家臣が盗賊の仲間五人の内の一人だったと知れ切腹となった。桑兵衛が介錯した。残り四人が次々と商家を襲い殺しもする。大原の上役・お目付増田彦兵衛の依頼で探索んい加わる。喉を斬る特異な技を遣う武士がいた。
 お納戸役人の息子が出世したさに上役に賂を送るために盗賊に加わっていた。剣道道場の建て直しのために盗賊に加わっていた道場主がいた。桑兵衛悲笛の剣を遣う道場の食客を倒した。唐十郎は道場主を倒す。

2019年5月24日金曜日

藍染袴お匙帖⑫ 藁一本

藍染袴お匙帖⑫ 藁一本 藤原緋沙子
 藁一本 唯一の身内の弟・梅之助を医者にするため、阿漕な金貸しをし仕送りをする姉・咲。咲の急病を治療し知り合った。梅之助は修業先の京から逃げ帰っていた。梅之助に手を差し伸べた桂千鶴だったが、梅之助は千鶴の名前を使い附子を手に入れ、殺人に手を貸していた。千鶴は衰弱した梅之助を助け、自首する梅之助に衿に一分金を十枚程縫い込んだ肌着を着せる。梅之助と咲は思いを話す。梅之助が手に入れた附子で殺されたのは姉弟の父を陥れ自殺に追い込み成り上がった商家の主だった。
 桜狩 母親の病の治療し知り合った初を通して知った田楽の屋台を出している巳之助。千鶴は彼が元は訳ありの侍だと思った。
 菊池求馬が昇進して大坂在番になるらしい。千鶴も御目見得医師に推挙されているらしいことが伝わる。
 医者が二人殺された。辻斬りのように見える。二人とも御目見得に推挙されている医師らしい。火盗改の手先になっている清治や五郎政の手を借りて他の推挙されている医師を調べる。千鶴も狙われる。助けてくれたのは巳之助だった。腕のたつ浪人は巳之助の兄の敵だった。巳之助は仇討が出来、初を連れて国許に帰った。浪人を雇っていたのは名前だけの医者、大店の娘と結婚しようとしていた若い医者だった。
 求馬は千鶴に妻にしたいから大坂から帰って来るまで誰とも結婚しないでもらいたいと言う。

2019年5月23日木曜日

口中医桂助事件帖⑯ 完

口中医桂助事件帖⑯ さくら坂の未来(さき)へ  和田はつ子
 桂助は妹・房の付添で横浜で虫歯治療の見学をする。旗本の嫡男の虫歯治療に行き、虫歯になっている子供の歯を全て抜いた。永久歯にも虫歯があり、抜くしか手がなかった。アメリカのエーテルでの麻酔技術とドリルでの虫歯を部分的に取り除く治療があることを知った。
 横浜で阿片密売をしている男が殺された。男を敵と狙う使用人に成りすました三人による殺しだった。桂助は犯人に判ったことを告げる。犯人は置き手紙を残して居なくなった。桂助も隠された事件のことを言わないで帰った。
 江戸で阿片のよると思われる普請死が多発していた。調べていた金五が付いている同心・友田達之助が心中を装って阿片で殺された。友田の遺体が岸田正二郎の屋敷に運ばれた事で、鋼次と金五は岸田の関与を疑う。岸田は桂助の出生の秘密を知っている。岸田が藤屋に桂助を預けた。
 岸田の屋敷に呼ばれた三人は、岸田と桂助の養父・藤屋長右衛門から事件のあらましを聞く。長右衛門は家康の時代に植木屋から商家に替わった忠義の商人の元締めの子孫だった。忠義の商人の子孫たちの中に不平不満を持った者がいた。繋がり特権を利用して阿片を広めていった。老中たちに二代前の御側御用を勤めた岸田が頼りにされ、藤屋たちが忠義の商人であることを知った岸田が探索を手伝うことになった。全てを語った二人、裏切り者の西陣屋は阿片を呷って死んだ。
 慶喜からの阿片を日本入れるなという手紙を見る。
 志保は岸田に保護され、小石川の薬草園にいた。二人は祝言を挙げた。
 虫歯の治療をした旗本の縁で、桂助夫婦と鋼次の家族は、虫歯治療を勉強するためアメリカ行きの船に乗った。
 入れ歯師・本橋十吾は、桂助から日本の入れ歯は物が噛めることがすごいと褒められたと聞き、自分の技術を受け継ぐ人を作るために弟子をとり始めた。

2019年5月22日水曜日

吉原裏同心抄〔五〕 夢を釣る

吉原裏同心抄〔五〕 夢を釣る 佐伯泰英
 吉原の用心棒・神守幹次郎は姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯し客と床入りしているという噂を聞く。噂は本当だった。老舗引手茶屋浅田屋が潰れた。
 吉原の女用心棒・嶋村澄乃が捕まえた二人の掏摸を、吉原面番所に詰める南町隠密廻り同心・村崎季光が護送中に奪われる。二人は殺されて見つかった。二人が中山道を荒らし回る盗賊・赤城の十右衛門一味に加わったと言う情報を得た幹次郎は、二人が吉原で捕まったことを重要視する。漠然と三日の内に質屋・長楽庵に賊が押込むと考えた幹次郎は、謹慎を命じられている村崎を連れ出し一緒に張り込む。潰れた浅田屋に入り込んだ賊は長楽庵に忍び込む寸前に村松や吉原会所に捕まる。吉原面番所に村崎以外の同心が来ることを拒んだ幹次郎等は、掏摸を逃がしたのは十右衛門の情報を得るためだったと奉行に伝える。村崎は面番所詰めのままになった。
 幹次郎は南町定廻り同心・桑平市松の手を借りて、金貸しと話し合いを付け、浅田屋の沽券を取り返した。
 幹次郎は七代目四郎兵衛から八代目を継いでくれないかと打診されていた。幹次郎は廻りの人々の同意を得、吉原会所八代目四郎兵衛を継決心をする。

2019年5月21日火曜日

剣客旗本春秋譚②

剣客旗本春秋譚② 鳥羽亮
 剣友とともに
 呉服屋の主人と手代が殺される。青井市之介も叔父・御目付大草の要請で友・糸川俊太郎と共に探索する。
 呉服屋の幕府御用達になるかなれないかが掛っていた。二番手の呉服屋の次男が遊び人で、剣道道場の立直しを願う剣客を動かして最有力候補の呉服屋の主を殺めていた。繋がっている御納戸役人も調べ、大草に報告し、剣客は青井と立ち合う。

2019年5月20日月曜日

無農薬野菜づくりの新鉄則

無農薬野菜づくりの新鉄則 山下一穂
 農業塾の塾長が教える! 家庭菜園で有機栽培する最新ノウハウ

家庭菜園 やさしい有機栽培入門 佐倉朗夫
 有機栽培を初心者にもわかりやすく徹底解説
 50種類の野菜が作れます。
 
からだにやさしい有機野菜づくり 加藤義松監修
 堆肥・鶏糞・カキ殻石灰・ぼかし肥。
 4つの有機肥料が土に力を与える。

2019年5月13日月曜日

京都寺町三条のホームズ・10

京都寺町三条のホームズ・10 望月麻衣
  〜見習い鑑定士の決意と旅立ち〜
 真城葵 大学2年生の5月 二十才の誕生日に家頭清貴が計画したどこに行くか判らない旅行は、超豪華寝台列車・七つの星での九州旅行だった。
 大麻事件に関わっていた雨宮史郎が現れる。宮下香織の姉・佐織の恋人・画家の米山の盗まれた作品・葵と清貴がモデルの「枝垂れ桜と鴬」と恋人佐織を思い描いた「鼠」を落札したジウの娘・イーリンと一緒だった。イーリンの大学で起った四人の死とイーリンの友達の間で起った出来事の謎を解き、2作品が清貴の手に渡された。
 葵と清貴は結ばれる。今まで清貴は欲しくて堪らないものを手に入れると熱が醒めていた。葵に対しても自分でも不安が在ったようだが、不安は拭われた。将来、家頭邸を一階にカフェコーナーがある美術館にしようと思っている。手伝って欲しいと言われる。将来の結婚のプロポーズされ指輪を貰う。
 円生から列車に薔薇の花束が届く。
 香織は清貴の父親に好きだと告白しようとしたが、店長に一番思っているのは亡くなった妻。私を想ってくれる人を一番に想ってあげることは出来ない。二番手であることを前提にその人を受け入れられないと言われてしまう。
 

2019年5月9日木曜日

超高速!参勤交代

超高速!参勤交代 土橋章宏
 享保二十年初夏 八代将軍徳川吉宗の時代、一万五千石の岩城湯長谷藩に隠し金山嫌疑がかかり、老中から「五日以内に参勤せねば藩を取り潰す」と無理難題をふっかけられた。八日はかかる六十余里を実質四日で走破しなければならない。殿様以下七名で江戸城本丸をめざす。
 内藤政醇 陸奥国湯長谷藩一万五千石の殿様
 雲隠段蔵 戸隠流の雇われ忍者
 松平信祝 老中。遠江国浜松藩七万石の藩主
 
 五日で着かないように公儀隠密、御庭番、百人番所の精鋭部隊が立ちはだかる。江戸城で政醇は金ではなく、鉄の一種だったと言う。老中筆頭松平輝貞は不確かな情報で騒ぎを起こしたと信祝を罷免する。
 政醇は吉宗に利用されたと気付く。

2019年5月7日火曜日

御刀番・左京之介⑪ 無銘刀

御刀番・左京之介⑪ 無銘刀  藤井邦夫
 五人の沼津藩藩士が惨殺された。妖刀村正に似た無銘刀を遣う凄腕の剣客の存在が浮かび上がる。汐崎藩御刀番頭・左京之介は度重なる襲撃に怯える沼津藩藩主・水野忠成の懐刀・土方縫殿助から助けを求められる。京之介は背後にいる人物を探す。水野忠邦と判り土方は影目付を使い浜松藩を襲う。罠だった。沼津藩上屋敷を凄腕の剣客・黒崎精一郎が襲う。京之介は駆けつけるが、土方も藩主・忠成も深手を負う。
 汐崎藩に嫌がらせをしていた水野忠成が失脚したため、汐崎藩は安泰になった。藩の役目は一新されたが、京之介は御側役を辞退し、御刀番に留まった。

2019年5月5日日曜日

浪人奉行六の巻

浪人奉行六の巻 稲葉稔
 中野で米商人一家惨殺刹される事件が起った。同じ浪人九人が、江戸内で博徒連中を襲う。浪人奉行を名乗る八雲兼四郎たちは中野の襲われた商人を調べる。
 浪人九人は元々青梅の宿に居たことが判る。江戸を追われ青梅へ帰る途中の浪人を待つ。兼四郎は九人が使い手と知り、定次を江戸府内の聞き込みに回す。
 浪人の首魁・山颪の甚右衛門は、神尾響一郎を探していた。中野の元犬屋敷の後地桃園に名前を変えて住んでいた。神尾は甚右衛門に見つかり殺される。追ってきた兼四郎は、九人と戦う前に、仲間の橘勘兵衛を気絶させ一人で対し、九人を成敗する。
 神尾は一緒に住む女に甚右衛門に狙われる理由を話していた。五年前に神尾は甚右衛門と一緒に五千両の御用金を奪おうとした。神尾を怪我をした甚右衛門を土手から蹴飛ばし独り占めしていた。御用金は崖から落ち神尾が手にしたのは七百両だった。甚右衛門は神尾が大金を持っていると思っていた。
 兼四郎は女から話を聞くが、自分は中野の商家に押し入った者を探しているだけだと言い去る。女は響一郎の上で自害した。
 兼四郎はいつものように「いろは屋」を開く。

2019年5月1日水曜日

闇御庭番〈一〉 裏切老中

闇御庭番〈一〉 裏切老中 早見俊
 「闇御庭番江戸城御駕籠台」改題
 菅沼外記(青山重蔵) 家慶に仕える公儀御庭番 菅沼流気送術の使い手
 家慶と水野忠邦の命令で、中野石翁を罠にはめ追いやることに成功したが、口封じのため命を狙われる。死んだことにして葬儀も終わらせるが、直接家慶に会い、水野と御目付け・鳥居耀蔵の悪政に立ち向かう闇の御庭番になる。

2019年4月28日日曜日

隠目付江戸秘帳⑥ 二人秘剣

隠目付江戸秘帳⑥ 二人秘剣  鳥羽亮
 江戸で辻斬りが続発する。被害者は江崎藩の目付だった。犯人は国許で普請奉行を殺した元江崎藩の藩士・岸崎だった。江戸に来た岸崎は、先手組物頭・西森の命令で動いていた。
 普請方・滝沢が、普請のための金を着服、江戸の西森と家老の笠原に金が流れた。滝沢が普請奉行になり、西森が・・・となるはずだったが、隠目付海野洋之介も手伝い、江戸の目付が金の流れを暴く。
 大目付・篠塚が笠原に代わって家老になり、目付組頭・谷部が大目付になり、国許の政次が安泰になり藩邸を揺るがすような事件が無くなり、洋之介は隠し目付としての仕事がなくなり好きな釣りを楽しむことができるようになった。
 

2019年4月16日火曜日

新剣客太平記〈十〉

新剣客太平記〈十〉 伝説 岡本さとる
 公儀武芸修練所 の師範
峽竜蔵 竹馬の友・助七の娘・峰 絵師・景二郎
浜の元締め・清兵衛 鉄砲の弥太五郎
峽寅蔵が一緒に旅をした少年・峽小兵衛が寅藏の前に現れる。草津で、喧嘩上手と乗せられ、賭場で働かされている少年・仙太を助ける手伝いをさせられる。小兵衛は自分が寅藏に助けられたように仙太を助けたかったのだった。竜蔵は京まで小兵衛に寅藏の話を聞く。
大坂で眞壁清十郎と才に会う。寅藏が河豚を食べた店を探す。今は店の主人と寅藏の話を聞く。
柳生の里へ行く。柳生新陰流の剣客・上村光右衛門に会い、寅藏と光右衛門が型に収めた舞うが如くと名付けた剣の極意を授けられた。
光右衛門に金峰山寺に連れていかれ厨子を見る。弥勒菩薩・千手観音・釈迦如来を見涙する。僧に寅藏が隙間に入れた書き付けを見せられる。「我が息 竜蔵 何卒よしなに願い奉る 虎」

2019年4月13日土曜日

介錯人

介錯人 辻堂魁
 静枝47才 御徒町の徒衆、三番勤め職禄七十俵竹内家から24才で首討役・刀剣鑑定をする別所家へ嫁いだ。26才で龍玄を産む。小禄の武家相手に金貸しをしている。龍玄5才之時、地面の沽券を手に入れ妻恋から無縁坂に移る。
 玉16才 住み込み
 竹内好太郎51才 静枝の兄、姉、水江
 杏子1才 龍玄の娘
 百合 龍玄より五才年上の妻。旗本・丸山家の娘。龍玄の一年だけの幼馴染み。前夫には嫁ぐ前から女がいた。嫁いでからも付き合いが続き離縁した。龍玄から申し込まれ身分違いで反対されたが百合は嫁いだ。
 別所勝吉 27才で静枝を妻にする。龍玄の父親。介錯人を名乗る。龍玄19才の年、47才没。
 弥五郎 龍玄の祖父。元摂津高槻藩永井家家臣・別所一門。18才で江戸に出、首打役をする。龍玄5才の年、55才没
 龍玄22才 18才で首打役を始め、19才で介錯をする。
 切腹 私塾を開く、岩本錬三郎43の介錯を頼まれる。元出羽新野領六万八千石の坂本家勘定衆。十年前、小作農民のことを考えた入会地の新田開発について上申書を提出した事によって、商人の娘の奥方の不快の念から領国から追い出された。村名主の援助で江戸で私塾を開く。坂上家の錬三郎の信奉者と政を操る豪商と商人仲間と対立が深まり錬三郎に切腹を申し付けられた。龍玄の介錯により、完全な切腹を執り行い、弔われた。二十日後、錬三郎の家で下働きをし、錬三郎に小作の内情を話した娘・里津が、錬三郎を支援した村名主の嫁として、村名主の娘として育った芙を連れて墓にお参りに来た。
 密夫の首 寛政元年 九月 杏子が歩き始める
龍玄夫婦と杏子・静枝と玉と根津権現へ行き、玉は幼馴染みの姉さん・加江と会う。加江は味噌醤油油問屋の主人の妾のような立場らしい。龍玄は、尾張家松姫の輿入れ道具の小さ刀のお試し御用の依頼がきた。お試し御用に使われたのは姦通の罪で捕らえられた歳が若い親孝行で働き者の畳職人・明次だった。明次は加江に誘い込まれ事に及んだが、主人に見つかり大騒ぎになり、主人が包丁を持ち出し主人が怪我をした。加江は無理強いされたと言い、主人は私を殺そうとしたと言う。同心・本条は納めるために捕まえた。詮議をすれば情状されると思っていた。龍玄は明次の首を討ち、試し斬りした。本条から話を聞いていた龍玄は畳屋に弔う気持ちを届けた。数日後、静枝と玉は加江に会った。主人が変わっていた。
 捨子貰い 倉太郎は妹・陸19才と陸の息子・三月の駒吉を使って捨子貰いをした。自分の縄張りでされたと十五郎は縄張り荒しとお上の大罪を犯したと責めた。縄張り欲しさに庄治を殺した十五郎は倉太郎に自分の代わりに自首することを頼む。倉太郎は罪を被る代わりに陸と駒吉に十両を付け解き放して貰いたいと約束をした。打ち首になる前にこの約束事を倉太郎は張り番に伝えていた。五ヶ月も過ぎてから張り番は倉太郎の妹と子供が十五郎の女の下で遊女として働かされ、虐げられた生活をしている事を知る。張り番は、倉太郎が、龍玄に十五郎に約束を守らせて欲しいと言っていたことを知らせる。四才の龍玄と倉太郎は、倉太郎の頼みごとをきくと約束していた。龍玄は二人を助け出し、十五郎等を斬る。犯人は八州のどこかに逃げているだろうということになった。
 蔵の中 龍玄は大沢道場の先輩門弟・朝比山万之助自身の要望で介錯をすることになった。朝比山家は家禄千三百石の旗本で将軍の御小姓を努める家だった。百助の通夜、相続人・万之助は家老、親戚の男、若党、妻、母に斬り付け殺傷させた。万之助は幼いころより物置のような蔵の天井で人々の内緒話、内諸事を見聞きしてきた。自分の母親のことも。祖父の後妻が遊女だったり、本当の母親は遊女の娘だったこととか。万之助は龍玄に試合を挑むが、龍玄は切腹の介錯をした。不義密通による女敵うちとされ朝比山家は続く

2019年4月10日水曜日

桜風堂ものがたり

桜風堂ものがたり 村山早紀
 月原一整は、風早駅前の老舗星野百貨店の6階にある銀河堂書店に勤めている。アルバイトから十年勤め、文庫の棚を任されている。店長曰く「宝探しの月原」。そんな一整が、6月刊行予定の「四月の魚」を推していた。
 一整は、シリーズ物を何冊か万引きする少年を見付け追いかけた。追いかけられた少年は百貨店から道に飛び出し車にぶつかった。Twitterで拡散され、新聞テレビで放送された。いじめっ子に脅され万引きを繰り返していたことも分った。責めは追いかけた一整にきた。書店に百貨店に電話ではがきで非難が届く。百貨店の電話が鳴り続けることになり一整は店を辞めた。
 一整はブログで知り合った隠れ里のような町・桜野村にある書店・桜風堂に行った。隣の部屋の住人・船乗りが預けて行った鸚鵡を連れて。桜風堂の主人は小学生の孫・透を一人置いて入院していた。一整は主人から店と少年を預かった。一整とオウム、透と猫のアリスの生活が始まった。
 銀河堂書店の従業員は、一整は何も悪くないにも関わらず、犠牲になったと思った。せめて一整が推していた「四月の魚」を推そうと考え、ポップを作り絵を書く。百貨店も宣伝する。一整の周りにいた人が応援した。
 作家・団重彦は桜風堂を訪れた。

2019年4月7日日曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵
 つくもがみ戦います 出雲屋の付喪神が拉致された。付喪神たちはみんなで逃げ出し、探していた十夜等に会えた。両国で見世物小屋の元締め、口入れ屋をしている阿久徳屋だった。阿久徳屋の息子は春夜。
 二百年前 旗本・蜂屋が旗本・篠崎を連れ、声のする「大江戸屏風」を預かって欲しいとやってくる。家康から貰った物でどう仕様もないという。屏風は付喪神になっているが話をしない。蜂屋の根付けの鼠が屏風に入っているようだ。阿久徳屋の付喪神・阿真刀と青馬と文字茶も入っている。出雲屋の付喪神も入り込む。阿真刀たちは阿久徳屋が壊して付く喪神で無くなった加羅刀と素素女を見付けた。二百年前の江戸城内にある「大江戸屏風」を見付けた。十夜にいろんな物を屏風に入れてもらい、代わりに付喪神たちは出雲屋に飛び出た。屏風は自分の物だと言っていた御家人・八田は屏風から飛び出た物を見て気絶し、要らないといった。付喪神たちはいろんな物を持ち出した。加羅刀たちも出てきた。大判も持ち帰った。
 悪の親玉 十夜は拾い子だった。本当は紅が見付ける前に阿久徳屋が見付け、夜の字を付けた名前の紙を持たせて、拾ってくれそうな人がいる所に置いたのだった。阿久徳屋の息子・春夜もその一人だった。
 春夜が阿久徳屋が、五日間帰って来ないと助けを求に来た。春夜の付喪神と出雲屋の付く喪神が幽霊が出るという旗本・山白家に行く。幽霊だと思われたのは兄妹を亡くした姫様が泣いていたのだった。阿久徳屋は殿様に会って話をし帰ってきた。
 見つかった 十夜や春夜や八夜が襲われた。屏風から持ち帰った大判のせいかと思われたが、三人と同じ捨て子だった阿久徳屋がもっている阿真刀と加羅刀のためだと思われた。
 つくもがみ笑います 阿久徳屋の本当の名は、久徳屋阿喜夜。
 阿久徳屋の持っている加羅刀の定紋と阿真刀の替紋から播磨の大名と判った。
九曜紋の殿様に百年前に武家のために作られた何かが付喪神になっているはず、何かを見付けて欲しいと頼まれる。付喪神たちは考え、徳川家の菩提寺で百年君を見付ける。障壁画だった。
 こゆりに好きな人がいる事が判り、市助と十夜は失恋

2019年4月5日金曜日

表御番医師診療禄〈13〉 不治

表御番医師診療禄〈13〉 不治 上田秀人
 御広敷番医師・矢切良衛は伝の方が懐妊するよう食事に介入し、綱吉の食事を通して館林の時から、また甲府綱豊等の食事にも不信を持つ。家康の時代にまで遡り、表右筆の保存する書類を調べ、家光の出生の秘密に辿り着く。家光は家康と春日野局の子であると。そのため秀忠は家光と家光の子、孫が早死にするよう画策していたと考えた。秀忠が託した者が中根壱岐守であることもわかった。
 将軍の身体を診る奥医師を信用出来ない綱吉は良衛を、呼び出しに応じて登城する寄合医師にした。合議の必要がない。良衛の求める医術書、薬草、道具は望み通りに与えることを約束する。また、柳沢吉保は矢切は奥医師にはならない。典薬頭になる事もないと言った。命を狙われた矢切だが、上様の言葉として矢切への手出しを改めて禁止された。
 
 子供が出来ない綱吉との関係を心配していたが、今回で終わった。生類憐れみの令に同対処するのかと思っていたが・・・。

2019年4月3日水曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう④

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう④ 山本巧次
  ドローン江戸を翔ぶ
 連続する蔵破りに鵜飼伝三郎等は翻弄されていた。次の狙いを見極め張り込んでいたにも関わらず仏像を取られ逃げられる。一件目の事件、二件目の事件三件目かもしれない店。三軒の主の共通点、十五年前、小田原で一軒の太物商に詐欺を仕掛け、店を潰していた。店の娘が、泥棒に入られた店の女中として働いていた。
 関口優佳・ゆうは江戸時代と現在を行ったり来たりしている。江戸で起った事件の証拠物件を、宇田川聡史が河野和志先輩と共同出資している株式会社マルチラボラトリーで調べてもらっていた。料金を払ったことがない。料金は宇田川の個人使用とすることになったが、税務調査が入るのでその間は優佳の出入が禁止された。宇田川の家でも簡単な事なら出きるらしい。土蔵への進入経路が判らない事件であり、三間も飛び越えて逃げる犯人なので持ち運び出来ない。東京の優佳の部屋はラボの出張所のようになり、宇田川は蘭学者ということにして江戸に来てしまう。土蔵の絡繰り窓を見付け、逃げる犯人の道筋を予想し、暗視スコープを使い、捕まった女髪結い・多津のいるかもしれない屋敷をドローンを飛ばし上空から調べる。多津を助けるためサバイバルゲームの手榴弾を使った。
 三人は詐欺で捕まった。多津が泥棒だったが捕まらなかった。多津は盗んだ物を返すつもりだ。多津は、寺社奉行・水野左近将監忠邦に雇われたフリーランスの忍だった。依頼は林肥後守のマイナスポイントを掴む事。林肥後守の周りを調べて、智泉院の繋がりを知った。智泉院は大奥の女達の遊ぶ寺を造ろうとしていた。左近将監はお金が必要な肥後守は美濃屋たちを強請るだろうと思い、十五年前の悪業を教える。肥後守は美濃屋たちに強請り同然に賂を求める。美濃屋たちの悪業を町奉行所に分るように美濃屋たちの店の土蔵から宝物を盗む。町奉行所は美濃屋たちを調べ、昔の悪業を調べ捕まえる。左近将監は肥後守の悪事の尻尾を掴んだことになる。美濃屋が肥後守宛てに書いた三千両を払うという証文が手に入った。
 優佳は宇田川に食事を作った。
 伝三郎は宇田川も未来の人間なのだろうと思った。未来人であるゆうとどう付き合って行くべきか結論を先延ばしにしている。
 

2019年3月31日日曜日

芙蓉の干城

芙蓉の干城 松井今朝子
 桜木治郎の家に居候する妻の従妹・大室澪子は、歌舞伎座で陸軍の軍人・磯田遼一と見合いをする。正面の桟敷の客が二人、居眠りして途中で退座したらしいことを見ていた。翌朝二人が、三十間掘りで死んでいるのが見つかる。右翼結社の大幹部・小見山正憲と大坂の芸妓・照世美だった。磯田たち若い軍人は小見山が殺された事で計画していた反乱を起こせなくなったようだ。
 桜木治郎は同じ日、四代目荻野宇源次の息子・荻野藤太郎が、宇源次を継ぐ計画があることをしる。治郎は若くして亡くなった宇源次の評伝を書くことにする。
 藤太郎の母は大坂の芸妓で照世美の妹分・梅香だという事が分った。小見山は麻薬を密売していた。麻薬が照世美から梅香に宇源次へと流れた。五年前、宇源次の周囲が気がつき、大磯の別荘で療養させ、ほとんど治りかけたころ、宇源次の居場所を知った小見山が、息のかかった宇源次の後援会のまとめ役を使って拉致させた。小見山は麻薬を使って宇源次に役者買いの相手をさせた。大坂の宇源次を見付けて助け出したが宇源次は亡くなった。梅香も亡くなった。藤太郎の襲名にあたり、後援会の出資者が小見山であることを知った、沢之丞付きの衣装方三上秀二が、道具方の者と一緒に小見山を殺していた。宇源次の敵討ちと藤太郎が宇源次のようにされることが許されなかったから殺したと白状した。
 治郎が聞き込みをし、舞台道具の人力車に血痕を見付けたりしたため、道具方の者を二人ころしている。
 三上は宇源次の父親・大御所・沢之丞の意向を受けて動いた可能性があった。治郎は沢之丞にあたるが沢之丞は知らない事だったようだ。三上が入っている留置所に小見山の片腕だった男の乾分が捕まり入り、三上は小見山の仇討と称して殺された。

2019年3月28日木曜日

長屋道場騒動記〈三〉迷い熊阻む 

長屋道場騒動記〈三〉迷い熊阻む 芝村凉也
 菓子屋「恵比寿屋」の道場に仮住まいする者の長屋が出来上がった。道場で練習出来ない間野生馬は玄武館で北辰一刀流を学んでいた。師範代・栄次郎とも行き来があった。
 北町の同心・甘楽から十手を預かる段平は、菓子屋恵比寿屋の菓子職人・道介の女房・光に目を付けていた。道介と同じ長屋の左官職人・定吉と振り売り・実太をイカサマ博打に誘い込み追い込んでいた。段平の女・縫の旦那・近江屋長左衛門が妾宅を訪れた時、段平が一緒に悪事を働いている関口栄之進が縫と浮気をしていた。見付かった関口は近江屋を殺してしまう。呼ばれて行った段平は、関口に縫も殺させ、刃物を持った者と紐を持った者に押込まれ殺されたことにした。押込んだのは借金に困った定吉と実太だとし、二人を捕まえに行く。二人と一緒にいた生馬は、刀を持っている事で二人の共犯だと言われ捕まる。生馬と一緒にいた栄次郎が生馬のアリバイを証明し、段平の捕縛の間違いを言い張る。玄武館の名前が出、水戸家の名前が出た事で三人は解き放たれる。
 南町同心・反町款弥から十手を預かる仁蔵は二人のアリバイを調べる。段平が証人を脅かしながら調べている様子を甘楽に見せる。仁蔵は犯人が関口であること、段平が犯人でない者を無理槍犯人に仕立て上げている事を調べ上げる。南町の同心が北町に遠慮して言いだて出来ないことを知っている段平に、生馬は箱訴することを言う。関口は生馬に斬りかかりあっという間に倒された。黙って段平は仁蔵に捕まったが、甘楽に預けられ仁蔵の罪を問う事は無いだろうと思われた。甘楽は御役目を辞し息子が見習い同心になった。
 六月二十七日、信抜流・間野道場の道場開きが行われた。

2019年3月26日火曜日

浪人奉行 五ノ巻

浪人奉行 五ノ巻 稲葉稔
 八雲兼四郎は 栖岸院の住職と升屋の主九右衛門に頼まれ、商家に押し入り御番所の支配地から外に逃げる悪党を捕まえに行く。五軒が襲われほとんど皆殺しだった。
 潰れた百姓屋を直し、住み込んでいる者を見付け倒した。

2019年3月24日日曜日

鬼役〔二十五〕 引導

鬼役〔二十五〕 引導 坂岡真
 大名斬り 橘右近亡き後、命を下す如心尼から、御側衆・大曽根調所太夫と養子に出した息子・小見川藩の藩主の悪行を聞く。悪いのは藩御用商人を狙う商家の主、藩主に悪事の濡れ衣を着せ首のすげ替えを狙う江戸家老、息子を殺そうとする大曽根。藩主には心を入れ替えるよう諭した。蔵人介は藩主の小姓・末吉小平太が毒味で亡くなったのが残念だった。
 鬼の目 鬼と言われた奥右筆・笹毛忠八郎が、町年寄・樽屋の息子が、父親の妾と情夫を殺し、江戸追放の罰なのは軽すぎるというので判を押さない。蔵人介が調べると、樽屋の妾では無く、殺したのも息子ではなかった。目付・矢田部信造の妾、煩くなって相談した末席の名主・佐平が殺しの段取りを付けた。矢田部の子飼いの刺客・大海常右衛門は
擬宝珠等を盗んでいた。矢田部、大海を殺した。笹毛は助かったと思っていたが、矢背家に付きまとう痩せ男が笹毛の生首を持ってきた。
 破獄の罠 西ノ丸留守居役・臼井玄蕃に陥れられ、月崎兵衛が牢に入れられていた。妻・蓮が身売りしたと聞かされ、火事で解き放ちになった時に帰らなかった。蔵人介は月崎を助け、蓮を探し出す。蓮は牢同心に金を出せば月崎を助けると言われ身を売っていた。蔵人介は同心を打ち首にする。月崎は臼井玄蕃を討つ。月崎と蓮を千住宿まで送る。
 義母・志乃がいなくなった。家宝の薙刀・鬼斬り国綱がなかった。3日経っても4日経っても帰らなかった。

2019年3月20日水曜日

おとなりの晴明さん第四集

おとなりの晴明さん第四集 仲町六絵
 〜陰陽師は月の女神と出会う〜
 狸と剣豪 桃花の通う京都府立洛新高校の文化祭に、狸谷の子狸が進入。桃花の作品が一点のはずが同じ作品が二点並んでいる。狸が化けていた。子狸確保。出会った晴明に渡す。もう一匹は桃花の出場する劇の日本刀に化けているらしい。日本刀に化けた狸は土佐犬のぬいぐるみをみて飛び跳ねた。跳んだ刀を鞘に戻し、アドリブで繋ぐ。舞台を繋がり流れ通りに戻った。お返しに子狸の文化祭に誘われる。
 祇園の又猫 晴明が閻魔庁の戻っている間に、熊本の根子岳から冬麦という猫又がやって来た。根子岳で猫又の修業する猫をスカウトに来た。晴明の飼い猫・瑠璃に目をつけたようだが、礎石が諦めさせた。桃花は小野篁・からくさ図書館に相談に行く。人に化けて祇園に住む猫又に会いに行く。観光案内士・渕崎尚也に会う。彼は栄西と一緒に日本に渡ってきたという。祇園に生まれて半年になる若猫を連れて帰る。
 桃花はあやかしと人間二つの世界でバランスをとりうまく生きるコツを聞く。ふたつの世界どちらも大事。どちらも知っているから私なのだ。
 月の光を待つさなぎ 晴明が家で月の女神・嫦娥を迎えた。絹を用いた飾り付けで。嫦娥は蚕の精霊を月に連れていく。嫦娥・太陰星君が帰った後ハロウィンに出かける。晴明は陰陽師の格好のまま。
 結界は旅をする 晴明のソックリさんが現れた。正体は晴明神社の結界の石だった。捕まった関守石は宗旦狐の新しい茶室の庭に置かれる事になった。
 龍田姫の眠り 龍田姫が京に留まり秋が進まない。椎葉西忍が、龍田姫の留守を預かる葉月が帰ってこれないから龍田姫を探して欲しいと依頼する。大覚寺に咲き誇る嵯峨菊と嵯峨帝を見ていた。袖に嵯峨菊の香りを移し、龍田姫を送る。

2019年3月18日月曜日

聡四郎巡検譚 三

聡四郎巡検譚三 動揺 上田秀人
 道中奉行副役・水城聡四郎と大宮玄馬は伊賀者に襲われる。最後の跳ねっ返り逸造を討つ。伊賀の郷は新しい頭領を定め、商人となって金を稼ぐ者と伊賀に残り先祖の技を受け継ぐ者に分ける事にした。全国のあらゆる事を知っていた頭領は皆を操るだけで余分なことを一切考えないように仕込んでいた。老忍・山路兵弥と播磨麻兵衛、袖の妹・菜は聡四郎と共に行動する事にした。
 京に入った聡四郎は、京都所司代・松平伊賀守に挨拶に行く。松平伊賀は綱吉に引きたてられたが、家宣時代に罷免されていた。吉宗に京都所司代に抜擢された。伊賀守に手形を貰い山路と菜を江戸へやった。山路は藤川義右衛門を倒しに、菜は大奥へ入れるつもりだ。
 聡四郎は伊賀守から話を聞き、御所を見、禁裏付を見る。旅籠から京都所司代下屋敷の長屋に移った。
 聡四郎は何をすれば良いか、どこに行けば良いか迷いながら知っている竹姫の実家清閑寺権大納言家に行き、紹介された丸太町の出雲屋へ行く。後を付けていた南北両奉行所の同心たちは奉行に報告し、あたふたする。
 吉宗は御休憩の間で、庭を介して対面する黒書院に隠れていた尾張藩の侍に庭から襲われた。御庭者では人数が足りなくて阻止出来ず、吉宗の小姓が斬られ、吉宗が自ら侍たちを斬り伏せた。斬られた小姓は病気として屋敷に返し、何も無かったこととして納めた。
目付・野辺三十郎は変わった動きをする黒書院の侍の動きを知っていた。庭から出た事を知らず、手柄にしようとして期を逃し、知っていて何もしなかった事だけが残った。吉宗に強引に会いに行き、目付を罷免された。
 吉宗は尾張藩付け家老・成瀬隼人正を呼び、在ったことを話す。吉宗は権中納言がどう動くか考える。左近衛権少将を差し出すだろう。吉宗は主計頭を鍛えるつもりでいる。

2019年3月16日土曜日

あきない世傳 金と銀〈六〉

あきない世傳 金と銀〈六〉 本流編 高田郁
 六代目店主・智蔵が亡くなり「女名前禁止」の大坂で仮に中継ぎで足掛け三年、女子の相続を認められることになった。
 幸は江戸店の用意を急ぐ。綿に興味を持った幸は太物の勉強を始める。結も生まれ故郷・津門村の綿の勉強をする。江戸へ行きたいと幸に申し出る。
 智蔵の一周忌の法要が終わった頃、縮緬を作ろうとしていた波村が、五鈴屋のために縮緬が出来なくなった。藩の助成を受けて、近隣の村が足並み揃えて縮緬作りに乗り出す事になった。今まで通り、五鈴屋のために羽二重は作ってくれるという。幸は長浜の縮緬がうまくいきますようにと言い承諾した。
 江戸浅草の浅草寺近くの太物商「白雲屋」を居抜きで買う事になった。伊勢木綿を扱う店だった。皐月、幸は片腕として竹58才を連れていく。二十日掛かって江戸に着く。見通しが付くまで、佐七、賢吉、竹、幸の四人で店をやっていくつもりだ。白雲屋夫婦は跡継ぎを亡くし郷里伊勢へ帰る。土蔵の中の伊勢木綿の説明を聞き、扱うつもりがあるなら手助けをするという。師走14日に開店することにした。店前現金売を行う。
 文月、お客様に見えやすいように反物を縦に見えるよう考える。町会の月行事が指物師を紹介してくれる。高さが違う撞木を漆を塗って仕上げてもらう。
 塵、埃を払うために、細く裂いた古絹を先に付けた「さいはらい」を考え出した。
 長月、大坂から、手拭いが届く。五鈴屋の暖簾と同じ色、五つの鈴が染め抜かれている。田原町 五鈴屋と屋号が二ヶ所に入っている。四人で神社仏閣の水場に奉納した。
 神無月 風呂屋で五鈴屋の店が話題になっていた。店は未だない。
 霜月 土蔵に反箱が並ぶ。
 師走 撞木の反物を掛ける。佐七は支配人・佐助、賢吉は手代・賢輔、小頭役・竹となる。14日 呉服太物 五鈴屋が誕生した。毎月14日は、帯の結び方の講習会を開くと発表する。
 

2019年3月14日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊹ 

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊹ 泡沫の義 小杉健治
 青柳剣一郎はすご腕の殺し屋に命を狙われる旗本の次男・小瀬直次郎の護衛を頼まれる。
 鉄砲洲で遊び人が二人殺された。犯人は直次郎を狙う同じ人物だった。剣一郎は直次郎が狙われる理由を探る。水茶屋の娘・せつを自死に追い込んでいた。船宿の若旦那の命もねらわれていた。剣一郎は若旦那殺しを阻止する。直次郎を殺そうと屋敷にやってきた殺し屋・藤吉の前に立つ。藤吉は死ぬつもりで剣一郎の刃に向かって行き、殺される。
 殺し屋が殺したのは、あくどい取り立てで一家心中に追い込んでいた金貸し、商家の先代主人夫婦殺しの嫌疑が掛けられた現主人。せつの事件。復讐を図る身内がいないが、藤吉を雇って復讐をしている。剣一郎は病を克服できず死を待つ、元臨時回り同心・近間宗十郎に会いに行く。
 近間宗十郎は言う。嫌疑が掛かっても悪事を見逃してしまっている定町廻り同心に腹がっ立った。見抜けない同心の力不足、疑いがあるとわからせようとしたが気付かない同心。難事件が起るたびに青柳様の力を借りる。今回も解決したのは青柳様だった。同心が真相を掴んで私の前に現れて欲しかった。
 近間に恩があった元盗賊仲間だった兄弟が、恩返しのつもりで病気の近間の世話をしていた。弟・藤吉は商家を脅して金品を巻き上げる博徒の親分の子分を叩きのめした。腹いせに流れ者に妻子を殺させた親分は罪に問われなかった。藤吉は親分を殺した過去を持っていた。
 植村京之進、只野平四郎、曾根哲之進が近間宗十郎に呼ばれた。全て宗十郎が仕組んだ事だと知らされる。

2019年3月11日月曜日

江戸の御庭番〈3〉 忍び崩れ

江戸の御庭番〈3〉 忍び崩れ 藤井邦夫
 御庭番の倉沢家に婿入りしたすご腕の隠密・喬四郎は、吉宗から小普請組支配組頭が二人急な病で亡くなったことを調べるよう命令される。風魔の老忍び喜平と出合う。喜平は金で雇われて働く忍びが集う忍び宿を塒としていた。
 小普請組支配組頭の上役小普請組支配・白崎英之進は組頭を使い、小普請組の者から役付きになることを餌に賂を集めていた。御家人・佐々木和馬の妻は身を売り作った金を騙し取られたことを知り切腹した。友人・黒木純之助は喜平を雇い仇討をしようとする。二人の組頭を殺した。喬四郎は、白崎英之進の命をを狙う喜平を助け、黒木は白崎を倒す事が出来た。喬四郎は白崎の金を黒木に渡し、佐々木の妻を身請けし、江戸を出るように勧める。
 喜平が泊まっている忍び宿の者が二千両を盗んだ。目的は書き付けのようだ。喬四郎は吉宗の命令で探る。吉宗の祖父・頼宣から由井正雪に送られた密書が狙いのようだ。忍び崩れを雇っているのは、死んだ事になっている間部詮房だった。鯖江藩藩主・詮言は反対だった。藩の重臣が詮房を斬った。密書は吉宗に渡された。御公儀が謀反を企て、不平不満を持つ輩を集め始末する陰謀だった。吉宗は燃やす。

2019年3月9日土曜日

私のミュンヘン日記 

私のミュンヘン日記 子安文
 シュタイナー学校を卒業して
 十四才の少女がひとりミュンヘンで、6年間、話題の学校に通う。教師と衝突、友人とけんか、しかし詰め込みがない。大学受験を目前にしての工場実習、美術旅行、卒業演奏など、徹底的に自首性を尊重した教育をうけて、少女は成人した。話題作「ミュンヘンの小学生」の主人公がシュタイナー学校の体験と異文化の中での生活を、自ら初めて語る学校生活記録

2019年3月6日水曜日

下り酒一番〈二〉 分家の始末

下り酒一番〈二〉 分家の始末 千野隆司
 武蔵屋の妾腹の三男・手代の卯吉は、新酒「稲飛」の売り出しを任される。奔走し第一段の売れ先が決まる。支払い金を分家の借金に充てるよう言われるが、灘の酒造家・大西屋には絶対に支払わなくてはならない。
 分家・次男の次郎兵衛の借金を調べる。旗本御用達になれるという甘言に乗り、潰れかけた酒屋の借金の保証人になっていた。旗本の用人と商家の分家の主との詐欺だった。調べるにあたり、母の弟・茂助と、父の弟・大和屋勘十郎、武蔵屋主・市郎兵衛の内儀小菊の養父・坂口屋吉右衛門の助けを借りる。詐欺だと判り証明も出来るが、どんどん利子が増えるため借金の返済に行く。日を知らせ、途中で金子を奪いに来た所を捕まえた。
 船問屋今津屋の江戸店の主人・東三郎の娘・結衣にちょかいを出していた宗次も仲間に加わり捕まった。結衣に礼を言われる。
 先代市郎兵衛と番頭吉之助が残した「武蔵屋を守れ」の言葉が卯吉の心の真ん中にある。

2019年3月5日火曜日

柳橋ものがたり〈2〉

柳橋ものがたり〈2〉 ちぎれ雲 森真沙子
 花、薫る 綾が勤める船宿の船頭が、料亭「青葉楼」から逃げてきた仲居を助け、篠屋に連れてきた。青葉楼は秘密の会合が行われ話を聞いた仲居が殺されるという噂のある料亭だった。小夜から聞き出した沈丁花の花の香りを手掛かりに綾は尋ねてまわる。青葉楼には女将と若女将の確執があった。次期女将を狙う若女将が密偵役をしていた小夜を噂を利用して殺そうとしたのだと思った。
 この道、抜けられますか 綾はこの道抜けられるかと尋ねてきた男を匿った。箪笥職人の柾次郎、借金の取り立てにきた大田黒の親分が四代目柾次郎の箪笥を持って行くというので親分を刺して逃げていた。この道抜けられますと逃がす。
 誰かに似た人 近所の柚子婆のところに才谷梅太郎という居候がやってきた。伊勢屋に攘夷決行の軍用金として千両を持って行く押し込みが入った。首領格は才谷梅太郎だという。坂本龍馬、勝海舟の名前が出た。綾が柚子婆のところの才谷に手の傷が無い事を証言し、柚子婆のところにいたのが坂本龍馬でない事が判った。柚子婆が若いころ勝海舟の知りあだったことで、勝海舟を陥れる罠に使われた事が判った。
 ちぎれ雲 澤村田之助は二十三才にして歌舞伎界随一の人気女形だった。足の古傷が完治していないのに舞台を続け毒が入って脱疽になっていた。機嫌が悪く、妻の幸にも当たり散らした。そんな田之助が船で人目に付かないで入れる篠屋の離れに泊まる事になった。綾が担当になった。始めは余り構うと幸に悪いと遠慮しているが、田之助の余りの我儘に我慢できず、綾が口を出す。田之助を布団巻きにし、端に退け、布団を敷き直す。田之助を元の場所に転がし、紐をほどき布団に戻す。傷の消毒をし、寝巻き着替え部屋を片付ける。田之助が寝る。幸を休ませる。田之助が目覚めた時、足を切る決心をしていた。
田之助は、二本の足で踊る最後だと言い京人形のさわりを踊った。綾は目を閉じればあの華麗な舞姿を見る事が出来た。
 雛のお宿 綾が十一才の頃、父・蘭方医直兵衛に連れられて行った島田屋の寮で見た娘・桜子の雛人形を古物商で見た。櫻子は薩摩の殿様の娘という噂があった。雛人形も薩摩雛だった。綾は櫻子がどうしているか探った。寮は火事になり、島田屋も潰れていた。その頃、櫻子の用心棒だった男に話を聞く。守るというよりも見張りだったと言う。島田屋から逃げたかった櫻子は火事の時に薩摩屋敷に逃げ込んだと言う。古物商は雛人形はヘンリーというイギリス人が買ったと知らせてくれた。秘書の池内を通して待ち合わせ場所を指定してきた。池内が合わせてくれたのはヘンリーの妻・櫻子だった。櫻子はヘンリーと一緒にイギリスへ旅立つ。
 夜桜銀次 篠屋の若い船頭・竜太は、猪牙船とぶつかり相手の猪牙を壊したと三十両を請求された。仲間の船頭が調べると、相手の銀次は札付きの悪との評判だった。後ろにやくざな蛯沢屋が付いているようだと考えられたが、蛯沢屋の者に追われていた。五年ほど前、銀次の船が転覆し客が亡くなった。その客の娘・鈴の目が悪く、十二才になればヘボン先生に鈴の目を治すと言う約束があった。お金を貯めるために蛯沢屋の金を使い込んでいた。蛯沢屋の者に追い詰められ火を放ち銀次は死んだ。綾は銀次のお金を預かっていた妙心尼に鈴を横浜に連れていく事を頼まれる。綾はヘボンの所に行くと知った顔に会えるかもと期待に胸がはずんだ。

2019年3月4日月曜日

新・古着屋総兵衛第十七巻

新・古着屋総兵衛第十七巻 いざ帰りなん 佐伯泰英
 文化四年 1807年
 老中職を狙う若年寄京極家の用人と御用商人摂津の金貸し三留屋作左衛門が、古着大市の元締めの座を狙ってきた。三留屋が有する阿片を京極家の抱き屋敷にも隠し用人の野望を壊す。三留屋の船から大砲を奪い、隠された阿片が見付かり三留屋も捕まる。
 総兵衛は、坊城母娘と共に京に行き、茶屋家の仲立ちで桜子と仮祝言を挙げる。
 秋月藩の元家臣・築後平十郎が、大黒屋の仲間に加わった。道場の師範代だった築後は、本藩中老を本家とする黒田源之丞に手加減しないで勝ったために藩を出奔していた。総兵衛に付いて京に行き、築後を追う黒田家家臣と遭遇し、一対一の勝負でけりを付けた。
 バタヴィアで新しい船・カイト号の造船を手伝っていたイマサカ号の乗組員が日本への帰途に付いた。総兵衛の母・今坂恭子はカイト号の乗組員を集めるためホイアンに残った。信一郎とりんの間に海生が生まれていた。
 秋、イマサカ号と大黒丸は江尻の船隠に戻った。
 

2019年3月3日日曜日

無茶の勘兵衛日月録19

無茶の勘兵衛日月録19 天空の城 浅黄斑
 延宝七年 1679年 新年 
 越前大野藩、旧主・松平直良が6月、75才で死に、8月、直明に襲封の許しが出た。
 直明初めて、元日に新年の賀式に参列する。
 大和郡山藩藩主・政長が分藩が去年仕掛けた梅干しの毒に殺された。分藩・出雲守政利らは本藩も自分の物になると思っていた。老中の集まりで、出雲守の中務大輔の毒殺の証拠があるとし、大目付・大岡の詳細な復命書があるということで、酒井大老の言い分は除けられた。
 本多中務大輔政長の養嗣子・平八郎忠国は元服した。十二万石の家督に、政利の領地の三万石を忠国に戻し、十五万石で奥州福島は所替になった。出雲守は三万石加増で六万石明石への所替になった。
 余談 本多忠国は三年後本貫地番衆姫路に国替えになった。
 本多政利は六万石の領地と明石城を没収され堪忍料一万石で奥州岩瀬へ追いやられる。毒殺の罪を公にはしないが旧悪の報いを段階的に与えた。最後には三河岡崎藩の預かりとして岡崎城一室に幽閉された。
 勘兵衛の妻・園枝が懐妊した。
 郡山の日高の娘・小夜の産んだ勘兵衛の子が寛太ということを知らせられた。隠し子だった。
 松平直堅に榎坂に三千五百坪の土地が下された。
 勘兵衛は園枝を連れて国に帰った。9月
 藩主・直明の妻・仙姫が嫡男を出産した。幼名松千代丸。

2019年3月1日金曜日

山手線謎日和2

山手線謎日和2 知野みさき
 渋谷駅事件 鳥飼の見合い相手が、小岩井を調査していると思われた。別の人も探っていた。マスター・榊の北海道の従姉妹の高校生・海はずっと榊に憧れていた。東京の知り合いに榊が好きな小岩井を調べて貰っていた事が判明する。
 二年前、渋谷駅で息子・聡を亡くした母親が電車に飛び込もうとした。怜史が聡くん!と呼び止める。同じ場所に聡を線路からホームに助け上げた人もいた。彼は自分が聡君を動かしたために彼が死んだのではないかと今でも悩んでいるのだった。母親は離婚した元夫の所へ聡の三回忌をするために行った。
 新橋駅事件 イズミはコインロッカーの鍵番号のレシートを拾ったため親切心で声をかけたのにも関わらず、泥棒呼ばわりされる。イズミは怪しい男を探す。怜史が見付けた。山崎はロッカー回りをし、怪しい者をみると通報していた。怜史はニートの山崎に前のバイト先を紹介する。バイトは万引きGメンだった。
 目白駅事件 アメリカから来ているクミコが少年を追いかけていた。現場を見たイズミはクミコと一緒に少年を尾行する。少年・アキは四年生。クミコは少年が一人で行動することが不思議で少年の行動がまた不思議だった。少年は橋本という人を探している事が判る。怜史は橋本を見付けていた。アキと橋本は博物館の図書館で将棋を差していた。突然、橋本が来なくなり二週目から探し始めた。住所を知らなかった。橋本は突然倒れ病院へ検査入院していた。母親の許可を取り、アキを連れて病院へ行く。アキは橋本の家に行く付き合いになる。

2019年2月28日木曜日

九頭竜覚山 浮世綴〈三〉

九頭竜覚山 浮世綴〈三〉 寺町哀感 荒崎一海
 花街の用心棒をしている九頭竜覚山。三人の刺客に襲われる。同じ夜、殺しが二件あった。辻斬りと料理屋の若旦那が強盗に殺された。その後も夜鷹や駕籠担きが殺される。
 覚山が狙われたのは、権蔵一家と三五郎一家の縄張りに為助一家が入り込もうとしているためだった。花街を護る覚山が邪魔だった。二回、三回と刺客に襲われるが、殺す事が嫌いな覚山だが斬る。
 強盗だと思われた若旦那殺しだったが、犯人は辻斬りと同一人物だった。千二百石の旗本に養子に入り、妻に虐げられた男だった。最後には覚山に果たし合いを挑み、覚山に殺される。
 料理屋の若旦那が殺されたために、若旦那の妹と、代々仲が悪かった料理屋の息子が、川に飛び込み相対死した。若旦那が二人の仲を取り持ち料理屋を仲良くさせて二人を一緒にさせようとしていた。若旦那が殺され、どちらも跡取りとなり、それぞれの結婚話が持ち上がり、二人の望が叶わないと思い死んでしまった。


2019年2月27日水曜日

栄次郎江戸暦21 赤い布の盗賊

栄次郎江戸暦21 赤い布の盗賊 小杉健治
 矢内栄次郎は、鼻緒屋「山形屋」の細道から出てきた小間物屋の足首に赤い布が巻いてあるのを見た。三年前に赤間一味が押し込みをする時に赤い布を巻いていることが話題になった。その後押し込みは無かったが栄次郎は気になった。崎田孫兵衛を通して山形屋から相談を受ける。一人息子・善之助が酌婦をしていたゆきと一緒になりたいと言い出した。別れろと言う父親、別れないなら勘当だという。ゆきには素性の良くない兄・政吉がいる。善之助は家を出て行った。ゆきの素性を調べて欲しいと言う。
 栄次郎の兄・栄之進の再婚話が進んでいる。書院番大城清十郎の娘・美津。話は決まりそうだ。
 山形屋は、再婚だ。男の子・正太がいる。民は善之助が勘当されれば、民が後妻に入る前から付き合いのあった沢五郎が赤間一味に成りすまし、主・善右衛門を殺すと言う計画を立てていた。善右衛門の気が変わり、善之助とゆきが山形屋で話し合い一泊する事になった。民は中から手引きする。政吉は沢五郎の計画を知り、仲間に入り、土壇場で阻止しようとする。栄次郎も押込みに見せかけることが判り、善右衛門に断り見張りする。
 押し入った沢五郎等は栄次郎と政吉に阻止される。政吉は善右衛門を助けるため盾になり刺される。政吉は自分が死ぬ事で、ゆきの障害を取り除くつもりだった。政吉は助かった。
政吉兄妹は、蝋燭問屋「近江屋」の倅と娘だった。十年前、赤間一味に押し入られ潰れた。政吉は復讐のため赤間を探した。家を再興させたかったが難しかった事などを話した。ゆきとの結婚は認められた。
 赤間繁藏は思いやりのある金貸しになっていた。政吉とゆきを護っていた。

2019年2月26日火曜日

藍千堂菓子噺② 晴れの日には

藍千堂菓子噺② 晴れの日には 田牧大和
 羊羹比べー人日 茂市の元の店の常連客・足袋職人九助が、死んだ長男・寛太の法要の菓子を頼みに来る。九助は茂市の羊羹が好きだ。晴太郎は寛太が好きだった甘い羊羹を作る。寛太の好きだった羊羹を法要の引きに使う。
 母と似た人 端午の節句に松沢家の台所で生まれた長男・小十郎の節句の御菓子を作る。去年の初節句だけ思っていた雪だが、実家の父親の願いで数が増え晴太郎の手を借りる事にした。晴太郎は佐菜という何となく母を思わす人と出会う。佐菜には五才の娘がいた。
 青の星川 七月七日 藍千堂では黄色の金平糖を作る。百瀬屋の娘・糸が同心の岡丈五郎が上役・奉行所を牛耳る年番方与力・鎧坂竜之介に睨まれていると伝えに来る。鎧坂は刃向かわれる事邪魔される事が嫌いな、配下も上役も奉行でも思い通りに物事を運ぶ道具として見ている。子供も自分の都合の良いように育てた。そんな鎧塚に、手懐けられず、脅しも効かない、思い通りにならない配下の岡だった。大店の息子が口喧嘩の弾みの刃傷沙汰だった。千葉屋の放蕩息子の代わりに病気の母を持つ手代が名乗り出た。岡は調べを止めず、息子・証拠固めをしたために出仕禁止になっている。晴太郎は紫陽花を連想させる金平糖の折り詰めを作り、岡が鎧坂の手で奉行に届けてもらった。奉行が岡から話を聞き、岡は仕事に戻り放蕩息子を捕まえた。佐菜が鎧坂の元嫁で、娘・さちの父親は鎧坂だった。
 思い出話ー重陽 晴太郎の廻りの人たちは佐菜との付き合いを反対した。佐菜と娘は鎧坂に見つからないよう隠れてくらしていた。晴太郎も一時は会わないようにしていたが、無理だった。今、あの二人を見捨てたら俺の菓子の味はきっと濁ってしまう。
 伊勢屋の総左衛門が、昔話をする。総左衛門と二人の母親・しのと二人の父親・清右衛門のはなしだった。清右衛門も言った。今ここでおしのさんを見捨てたらきっと自分の菓子の味が濁る。総左衛門は清太郎の恋を止めない。
 ひいなの祝いー上巳 同心の岡が、鎧坂の動きがおかしいと伝えに来る。鎧坂が娘が出来たのでと、雛の祝いの菓子を頼みに来た。さちの事が知れた。晴太郎はさちは自分の子だと言う。佐菜は迷惑になるからと鎧坂のところに行こうとする。しのを育てた医者・久利庵が佐菜親子を預かっていた。晴太郎もいる時に鎧坂が訪れる。久利庵はさちが五才だと言い張る。
 鎧坂の旧悪が暴露される。鎧坂の行状の証拠を山ほど付けて訴えられ鎧坂が捕らえられた。訴えたのは二人の息子だった。母を守るために父の言いなりになっていた。だが母は亡くなった。母の仇をとると思って証拠の在処を確かめていた。義母・佐菜を守るために、子が出来た佐菜のために、医者に佐菜には子が出来ないと言わさせた。そして離縁になっていた。妹の存在を父親が気付いたことを知った兄弟は、訴えた。鎧坂は自刃、表向きは病死になった。
 晴太郎は佐菜に私の嫁に・・・と申し込む
 

2019年2月24日日曜日

基本のパン 

基本のパン 石澤清美    成美堂出版
 はじめてでも失敗なし!
 おいしさのコツが一目でわかる  

「ちょっとのイースト」で作るベーグルとピザの本 幸栄
 少ないイーストで 一回の発酵だけで作れる、
 しみじみおいしい 暮らしの中のパンのレシピ

2019年2月23日土曜日

刃鉄の人③ あらくれ

刃鉄の人③ あらくれ 辻堂魁
 刀鍛冶・一戸前国包の鍛冶場に芝神明で興行している役者・巨漢の熊太夫が国包の銘の小さ刀を持って訪ねてくる。小さ刀と同じ設えの大刀を創ることとこの刀を買った者を教えて欲しいという注文だった。国包は武蔵国包と銘を彫り、国包と入れたことは無かった。
 刀商・備後屋で訪ねる。二十五年前、師匠の数打物と一緒に売り払う中の国包の稽古刀を、備前屋が出来栄えの良さに無銘は惜しいと思い国包と銘を入れ売っていた。二十五年前は十六才だった小寺基之が買ったものだった。派手な設えは小寺の希望だった。今は書院番頭家禄四千三百石の旗本だった。小さ刀はあらくれだった頃懇ろになった桜大夫が、身重になったにも関わらず別れなければならないため渡したものだった。大刀は拵えを替え今も小寺が挿していた。十年前、桜太夫の最期の時、熊太夫に熊太夫の父の形見と告げたのだった。
 熊大夫は小寺に会いに行く。熊太夫一座の小屋で対面し、小寺は二人の出会いを、熊太夫は来し方を話す。基之は父であることをほとんど認めるが、用人・橋川周右衛門は基之が認める事を許さない。たぶらかした。の一言で暴れ出した熊大夫を止められない。国包は熊大夫を斬りたくはないが止める事は出来ない。最後には基之の袈裟懸と国包の突きで熊大夫は動けなくなった。父に会いたかっただけなのにと言い残して死ぬ。
 小寺の計らいで熊太夫の骨は俗名・小寺熊大夫と名乗り歌舞伎役者市川団十郎と同じ寺に葬られた。国包の小さ刀と武蔵国包の大刀は小寺家に献上された。
 熊大夫一座の者は江戸を離れた。

2019年2月20日水曜日

脳科学捜査官 真田夏希

脳科学捜査官 真田夏希 鳴神響一
 神奈川県警初の心理職特別捜査官に選ばれた真田夏希31才は、友人の夫の紹介で男性に会う。婚活に失敗続きの夏希は小田信和と名乗る男性に好印象を抱く。甘い雰囲気の中、みなとみらい地区、窓の真下で爆発事件が発生する。翌日、捜査本部に招集され、爆発事件の捜査にあたる。戸惑いを覚える夏希は、初心者の犬、アリシアと一緒に行動する。アリシアは爆弾探知の訓練をした黒い大きなドーベルマンだった。アリシアと組んでいるのは小川祐介巡査部長。
 爆発現場でアリシアは埋もれた爆発物を見付ける。夏希は国際テロを考えている本部に対して馴染まないと感じた。次の爆破予告が有り、夏希はテロリストの犯行でない可能性が大きいと発言する。二度目の爆発場所を特定しようとするが判らないまま爆発が起った。
 アリシアは証拠品を見付ける。犯人が電波式の遠隔操作装置を使用した事が判った。
SNS等への投稿が増えた。犯人からのものもある。犯人への賞賛もある。夏希は犯人の狙い通りになりそうだと思う。犯人に、はっきり対決姿勢を投稿するべきだという。三回目の爆破予告が届く。犯人への呼びかけは止められていた。
 黒田刑事部長と共に織田が入ってくる。警察庁警備局から参加し織田理事長だった。織田の一声で犯人宛てのメッセージを送る。挑発文を送る。自分の名前と顔もさらけ出し犯人と会話する。小さな爆破が起る。ゲームのヒントから爆破予定現場を特定しみんなで乗り込むが、夏希は途中で場所を替える。数人で避難させるが市民は避難しない。時間がない私服警官加藤は拳銃を空に向けて引きがねを引いた。みんながゴーグルを外し離れろ!で逃げた。爆発が起ったが怪我人はいなかった。英雄警察犬と避難しないアホゲーマーを追い出す発砲刑事と動画が出た。犯人への非難が始まる。
 次の犯行声明が出る。夏希は今までの爆破場所から氷川丸を爆破対象とした。氷川丸の中で、向いのルピナスが狙いだと分った。犯人の誘導で氷川丸の中から、レストラン船ルピナスの爆破を見せつけようとしている事が判った。夏希は出発しようとしているルピナスに飛び乗る。アリシアも飛び乗る。前部デッキに犯人がいた。犯人がスイッチをいれようとする。アリシアが飛びつきバックを口で咥えて掘り投げる。海の中で爆発がおき船は離れて行く。船員が駆けつけ夏希とアリシアを殺そうとした犯人は自分の首を斬り海に飛び込む。岸壁でみんなに迎えられる。夏希は織田に送って貰う。織田は夏希を警視庁に誘う。夏希は断った。犯人死亡が夏希には悔やまれた。

2019年2月18日月曜日

跳ぶ男

跳ぶ男 青山文平
 藤戸藩の二十俵二人扶持の道具役・屋島五郎の長男として生まれた剛だったが、六才で母を亡くし、十才で後妻に男の子が生まれ、父の跡継ぎでは無くなった。
藤戸藩の道具役は能をするものだった。剛は跡継ぎでは無くなり、父に教えられなくなったが、同じ道具役・岩船光昭の長男・保に教わった。保は英才の誉高い剛より三才年上の少年だった。誰にもみられない、野墓の河原にある石舞台が稽古場だった。
 お城勤めをしていた保は十七才で切腹した。剛は一人で稽古した。
 十五才の時、十六才で亡くなった藩主の身代わりになることになった。十六才では急養子が認められなかったから。もともと貧乏な藤戸藩は、能で大名との付き合いを深め、お手伝い普請などから逃れてきていた。能が出来る者が良かったのだった。目付・鵜飼又四郎は身体の弱い藩主の身代わりに保を考えていた。保が亡くなり剛が身代わりの身代わりになった。
 剛は江戸で能での外交をする。江戸城奥能の総本山・志賀藩の支藩の三輪藩の望月出雲守の目に留まることを目標にする。豊後岡藩修理太夫の誘いを受ける。修理太夫の実家・彦根井伊家から養子にでている兄弟の藩を巡る。酒井家とも繋がり、十二月二十三日に出雲守に招かれる。奥御手廻り御能の皆様は「関わりにおいて密、交わりにおいて疎」なのだそうだ。客席は誰もいない、夜に潜む虫のように見ている。
 剛は家老・八右衛門と又四郎に決意を言う。二月の拝謁の日、御簾の向こうに御当代様がいらっしゃらない日、廊下で転び、粗相の責めを負って自裁する。先代の息女の六才の男子を養子にする。急養子を認めてもらう。十七才になるまでお手伝い普請を免除してもらうという条件を出す。浮いた資金で人を育てて欲しい。自裁が当代に届くか、剛の自裁が当代様の負い目になるか、ということでは、剛が能で繋いできた関わりにおいて密が役に立つと思う。二人は今や藩主は剛だと言うが、二人の姿が消え、見知らぬ者たちの勝手にされ犬死にするのはまっぴらだ。剛は、二月十五日の月次御礼の日、御簾の向こうの空の席に別れの挨拶をし、退く廊下で美しく転んだ。

2019年2月17日日曜日

開花鐡道探偵②

開花鐡道探偵② 第102列車の謎 山本巧次
 明治十八年 六年前の滋賀のトンネル事件を解決した草壁賢吾は、再び井上勝鐡道局長に呼び出された。貨車が開業間もない大宮駅で何者かに脱線させられた。積み荷から千両箱が発見された事件の調査を依頼される。
 警察は脱線させられたことより、千両箱を小栗上野介の隠し金とみてそちらに重点を置く。
 草壁は小野寺乙松技手と高崎に向かう。高崎に親戚が多い小野寺の新婚の妻・綾子がやってくる。綾子のお陰で聞き込みがやりやすい。
 解散した自由党党員秩父事件に関わり離散した者たちと、日本鉄道を敵視する不平士族、たちだろうという声がある。
 特別列車を仕立てて生糸を横浜まで運ぶことになった。小栗の隠し金を預かっていると思われている新波市左衛門の倉庫に押し入られる。罠をしかけたようように警察に捕まる。養蚕農家のためと言いながら生糸の入った倉庫に火を付けた。自由党員を名乗る者たちだった。別仕立ての貨車が運ばれる。
 草壁は襲われる場所を特定し、臨時の車両を走らせてもらい警察に追いかけてもらう。奪った物を船で運ぼうとする輩の妨害し、捕まる。士族の不平分子と言われる者だった。千両箱の中身は使えない質を落として作られた価値のない小判だった。小栗の隠し金といわれるのは、価値のない小判を置いておくと駄目だと言う事で高崎まで運んだと思われた。
 分岐器を動かし脱線させたのは、高崎の貨物掛かり・萩原だった。千両箱が見付かり隠し金を狙ってくる者を罠に嵌めて一気にかたずけようと市左衛門が考えたことだった。

2019年2月15日金曜日

おれは一万石⑦ 定信の触 

おれは一万石⑦ 定信の触 千野隆司
 天明七年 1787年 十一月 
 井上正紀は将軍家斉に拝謁する。高岡藩主・正国は大坂定番勤務だった。
 江戸の米の値上がりを防ぐため定信は一万石につき百俵を江戸に出すようにという触れを出した。去年一揆が起りかけた高岡藩と府中藩は二倍になった。
 府中藩が手に入れた百俵を高岡河岸に預かる事になった。米を狙い、府中藩に失敗をさせようとする者がいた。高岡河岸の納屋を壊されるが、百姓と陣屋の者、こっそり江戸を抜け出した正紀等が阻止する。沼津藩と守山藩の関係までは証拠だてできず、米問屋相馬屋の犯行ということになった。
 高岡藩はあと二十八俵となった。府中藩の米を護った事で府中藩に納入しようとしていた浜口屋が引き受けてくれた。高岡河岸に新しい納屋を建てる事にもなった。
 府中藩二万石の正室は正紀の妻・京の叔母・品だった。府中藩には養子問題と一揆問題があった。

2019年2月14日木曜日

藍千堂菓子噺 

藍千堂菓子噺 甘いもんでもおひとつ 田牧大和
 菓子屋「百瀬屋」息子・晴太郎と幸次郎は百瀬屋を出て、元百瀬屋の職人だった茂市と菓子屋「藍千堂」を営んでいる。独立していた茂市が二人を迎入れ店を譲ってくれていた。百瀬屋は父の弟が継いでいた。子供ををかばって大八車に引かれ亡くなった父、後を追うように亡くなった母、一年が経って砂糖の事で意見の合わない晴太郎を叔父は追い出した。娘・糸と幸次郎の結婚を考えていた叔父だったが、幸次郎は兄について出て行った。大店百瀬屋の小店藍千堂への嫌がらせになっていた。
 四文の柏餅 晴太郎が幸次郎の反対を押し切って四文の柏餅を売る事にした。百瀬屋は柏葉を藍千堂に売らないようにと金を握らせた。晴太郎は八王子の市で直接柏葉を売る人を見付ける。上柏町を買った客に、百瀬屋が、上柏餅といいながら四文柏餅を入れているとふれてまわったようだが、店にやってきた客に食べてもらい言い掛かりを取り除き、四文柏餅と上柏餅の食べ競べをし、売り上げを上げる。
 氷柱姫 藍千堂の後見の薬種大店伊勢屋の主・総左衛門が茶会の話を持ってくる。百瀬屋が断った、旗本同士の縁組みが整う茶会だった。地味で物静か出世欲の無い無役の寄合松沢家の嫡男・荘三郎24才と何かと派手で目立つ事の好きな疋田家の豪傑と言われる末娘・雪18才の婚儀が整った。おまけに父親・疋田五右衛門は、松沢家当主・利兵衛の新番頭就任の斡旋をした。松沢家の茶会の仕切りで就任が決まる。そんな茶会だった。
 兄弟は松沢家に行き話を聞く。否と言えない性分の松沢親子が貰い手の無いお転婆姫を押し付けられたと聞いていたが違うようだった。清太郎が出会った雪姫は「氷柱姫」と仇なされるような姫ではなく、自分が壮三郎と一緒になる事で壮三郎の平穏を乱してしまう事を気にかけているような姫だった。茶会の客の中にも松沢家を気の毒に思う人と、嫉みを持った人がいることも判った。
 茶会の菓子は愛宕山の雪景色を思った人と。桜を思った人がいたようだ。華美に走らず侘に偏らず、庭と茶を楽しんでもらう。温かみと滋味に溢れる良い会であった。若年寄親子と疋田を呼び季節の折々を楽しむ茶会が開かれることになった。菓子は藍千堂で。
 松沢家は推挙を断った。雪姫は松沢家の意向を一番に考えて欲しいと言った。疋田は頭を下げて回り就任を白紙に戻した。疋田は末娘が互いに心に添い合える伴侶を得たのは何よりだと言った。
 弥生のかの女 幸次郎は外回りの仕事をしている。百瀬屋の若旦那だったころ吉原で馴染んだ遊女・幸がいた。幸が身請けされ妾になっていた。晴太郎は二人で逃げるよう背中を押す。幸は今まで通り思い出だけと逃げなかった。幸次郎も籠の鳥の時よりも、身請けしてくれた恩人から逃げ回るよりも、今の方が幸は幸せだろうと思う。身請けした男の手下に殴り蹴られし、帰ってきた。
 父の名と祝い菓子 糸に茶問屋の四男との縁談が持ち上がる。上等の茶が手に入るを文句にして藍千堂の客を百瀬屋は引き抜く。同心の岡丈五郎に糸の相手を調べてもらう。引き抜きだけに対処すればいいのか、糸の縁談から潰さなければいけないのかを考えるために。百瀬屋と茶問屋の四男、互いに条件を出していた。店に口出しはしない、持ち出す金額も決まった物だけ。養子に入っても自分のする事に女遊びと博打に口出ししない。
 伊勢屋と岡が百瀬屋を責め始めた。伊勢屋は百瀬屋が藍千堂にしたように小豆と白いんげんが手に入らないようにした。百瀬屋の主人が伊勢屋を止めさせろと藍千堂んい乗り込んでくる。糸の縁談をやめるという条件を出した。縁談は無くなった。何故、伊勢屋さんが手を出したか、尋ねた兄弟に、似非菓子職人と放蕩息子が「清右衛門」と呼ばれることが気に入らないと答えた。
 松沢家の内儀・雪が悪阻で何も食べられない。晴太郎は「青柚子の葛切り」の柚子を増やして持って行った。伊勢屋が父・清右衛門が母の悪阻の時に創った物だと言った。
 迷子騒動 ろくでなしを糸の婿にしようとするので糸は家を出た。母親の妹のところにいる。糸は相手は誰でもいいのでしょう。子供が出来たら百瀬屋にあげると言い置いていた。父親は幸次郎だけはだめだと言った。
 百代桜 晴太郎は一冊だけ持っている父の覚書を見ていて桜の菓子を思いつき、百代桜を売り出した。泥棒が入り、父親の覚書が盗まれる。糸の二人目の婿候補が糸の婿になるために菓子帳を盗みに入ったのだった。
 晴太郎は何故、父が亡くなり叔父が変わったか疑問だった。叔父の話。菓子屋を始める前古着屋だった。兄が京で修業して古着屋を辞めて菓子屋になった。兄さんにに教えられ家族四人で「百瀬屋」を始めた。百瀬屋は江戸一番と言われるほどになった。兄が亡くな兄嫁も亡くなる。百瀬屋と二人の息子を守のは自分だと思っていた所へ、兄の姉という人が訪ねてきた。兄だと思っていた人は、京の名の知れた菓子司の息子だった。店が潰れて首を括った主夫婦の生まれたばかりの息子は江戸の古着屋に里子に行った。曾祖父の命の恩人だったらしい。叔父は血の繋がらない兄弟だったこと、贋物の兄弟だったことがわかり、兄の血を許せなかったと言った。晴太郎は叔父さんはかしが大好きだから続けて入るのでしょうと言い、清右衛門の名前と菓子の覚書を返して欲しいと頼む。叔父は百瀬屋の屋号に似会うよう考えた名前だから藍千堂の主には名乗らせないと言ってきた。覚書は返してきた。
 
 

2019年2月12日火曜日

ドリアン 果物の王

ドリアン 果物の王 塚谷裕一

2019年2月10日日曜日

遠山金四郎が消える

遠山金四郎が消える 小杉健治
 文字菊という常磐津の師匠のところで政次が殺された。文字菊を好きだった松次郎が疑われる。北町奉行遠山金四郎は、女が男に常磐津を教える事は禁止されているにも関わらす、文字菊が続けていることに疑問を持った。
松次郎は牢送りになる。松次郎はその時会っていた女がいた。夫が病で薬がいるために客を引く武士の妻女だった。松次郎はその女のことは言えなかった。
 貞吉が自訴してきた。金が必要で押し入った。たまたまいたので殺してしまった言う。貞吉は禁制の絹物を売買したため潰された大城屋の手代だった。
 金四郎の隠密・駒之介は文字菊の旦那は後藤三右衛門だろうと調べてきた。証拠は無い。
 南町奉行だった矢部定謙が桑名に送られる事になった。大平に会えない金四郎は夜分こっそり熊谷宿まで行った。矢部は株仲間の解散を主張する後藤三右衛門に反対した。三右衛門は根に持ち、大城屋の養女になってから矢部家に入った側室の実家とおもって潰したのだった。金四郎は一日半で屋敷に帰った。
 貞吉は後藤三右衛門を殺すつもりだった。間違って殺したのだ。島送りになった。
 

2019年2月9日土曜日

隠密船頭

隠密船頭 稲葉稔
 剣客船頭の後継シリーズ
 船頭で生計をたてていた沢村伝次郎は、南町奉行・筒井和泉守政憲の要請に応える。正規の同心になれないので隠密となり、家も与えられる。
 小間物問屋吉村屋で八人が殺され、三百両が盗まれ、二人が行へ不明になった。かよがいれた生姜湯を飲んだものは眠っていて助かった。かよと用心棒の鴨井十右衛門がいなくなっていた。伝次郎は二人を探す事から始める。
 長屋の紹介者、保証人探っていくと、関係者は越後新発田藩出身者ばかりだった。新発田藩の下屋敷、中屋敷、上屋敷それぞれを見張っている者がいる事も分った。伝次郎は新発田藩溝口家の家臣・秋吉圭一郎に誰かが見張り、誰かの命を狙っているようだと警告に行く。新発田藩の家老・佐治平兵衛が一派に江戸家老・酒井主馬の刺殺命令を出していた。秋吉には酒井主馬の不正の証拠を掴むよう言われていた。頼まれた刺殺者は酒井だけでなく、影響を受けた若殿の刺殺も考えるようになっていた。それを知った佐治は若殿の刺殺を止めるよう秋吉に言ってきたが秋吉には手だてがなかった。伝次郎に打ち明ける。
 鴨井十右衛門は刺客の一人だった。刺客たちはは二人を殺して死ぬつもりだった。かよは十右衛門と逃げたかった。酒井と若殿が出かけた。かよが道端で倒れ行列を止め、刺客が襲う。伝次郎は止めに入る。酒井は殺され若殿は引き返す。刺客は死ぬが鴨井とかよは逃げた。伝次郎は鴨井を探す。隠れ家で殺されたかよを見付け、鴨井は伝次郎に殺された。鴨井を活かして捕らえると新発田藩の話になる。伝次郎は吉村屋の殺しで鴨井を殺した。鴨井は金を持っていた。吉村屋は返ってきお金を殺された奉公人の家族に配った。
 

2019年2月8日金曜日

わが家は祇園の拝み屋さん9

わが家は祇園の拝み屋さん9 望月麻衣
 〜星の導きと今後の都〜
 賀茂澪人が審神者頭に就任した儀式が行われた。
 水原愛衣はかって神社だった家に引っ越す。
 宗次朗は東京へ行く。
七色かき氷と、西と東の都にて 澪人が東京の助っ人に行くことになった。小春も春休みの間東京の親下に帰る。
 和人を含め四人は、櫻井家の二階に集まる。四人で「目に見えない社」に挨拶回りをする。
 夏カレーと迷子の翁 愛衣の引っ越しの日、東京から澪人が祝詞を上げる。早乙女先生が食事の差し入れをする。
 四人が櫻井家に泊まり、和人と朔也は六波羅蜜寺辺りに現れる翁に会いに行く。翁は漢字の問題を出す。電話で澪人が答えきる。小野篁を探していた。朔也が六道珍皇寺に案内する。
 空を泳ぐ蛇と東京星図 小春は占星術の勉強をする。小春は空を泳ぐ蛇を見る。嫌の雰囲気が地を包む。澪人に連絡する。本部で占星術師を紹介してもらう。遅くなった小春を澪人が送り、小春の両親と会う。小春の特異な体質、澪人の特異な体質の話にも及ぶ。両親は澪人に小春を頼む。食事をして帰る。
 小春は東京タワーに念を送っているように思い連絡する。澪人たちは捕まえたようだ。除名された陰陽師が徒党を組んでいた。未だ目的は分っていないと、宗次朗の師匠の店・風林堂の集まって聞いた。杏奈が国際芸術映画祭のためにパリへ行く。東京大神宮で宗次朗は「俺はとっくにお前を恋人だと思っていた」という。若宮・黒龍が現れた。大きな災厄を事前に押さえて欲しいと言って消える。徒党を組んでいた逃げたリーダーは西の審神者頭だった谷口さんだと判った。
 
掌編 甘酸っぱい恋と苺大福 
 小春が祇園にすんで間もなくのこと
 澪人が苺大福が好きと知った小春は、宗次朗に作り方を教わり作る。宗次朗のきれいな苺大福と小春の作った苺大福を一緒に出す。澪人は小春の作ったがいいと不細工な苺大福を食べた。

2019年2月7日木曜日

町奉行内与力奮闘記〈七〉 

町奉行内与力奮闘記〈七〉 外患の兆 上田秀人
 裏社会の親分・蔭蔵が死んで裏の秩序が無い、秩序を犯して仁科屋に泥棒が入った。北町奉行曲淵甲斐守はこの盗難事件を巡って南町奉行・牧野大隅守から喧嘩を売られた。
 内与力・城見亨は仁科屋の手口を見届け、裏社会に詳しい、播磨屋の用心棒・池端と志村に相談する。二人の協力を得、市兵衛を捕まえる。
 南町の岡っ引きが血鞘と呼ばれた殺し屋が城見に付いている事を知る。播磨屋の用心棒が血鞘であることも知れる。志村も見張られていることを知る。
 甲斐守は放逐した与力・佐田郁太郎に奉行所は一つでいいという書状を目安箱に入れるよう命じる。
 放逐された竹林一栄が浪人・丹波五郎左を雇った。

2019年2月6日水曜日

京都西陣なごみ植物店〈3〉

京都西陣なごみ植物店〈3〉 仲町六絵
  〜「明智光秀が潜んだ竹薮」の謎
明智光秀の竹薮 神苗健は植物探偵の和久井実菜21才の祖父・重吾と会い秘書・右田から相談を受ける。明智薮の竹が赤くなると噂になっていた。実菜はタカラダニだろうという。竹薮の中の光秀が切腹した場所と伝えられるわた出には竹が生えないという。わた出から七宝網が出たことから光秀が埋まっているかも・・このままにしておくのがいい。
判じ絵の桜、根引きの松 大学時代のサークルの先輩・日向臣一郎・古書店の跡取りからの相談。東京の古書店で修業をしたいという息子にこれを解いてみろと出された問題だった。黒い翼の生えた赤鬼→桜の花が付いた小枝。つぼみ→開きかけ→満開→漢数字の九→どこかを指さす丁髷の男性。神苗は「まさきくあれ」現代語で「幸運であれ」と訳した。探偵料は根引の松。日向は東京の古書店にいくことになった。
やまははの森 クリスマスイブの雪伸の茶会で出会った、井巣森という京都北東の集落出身のお年寄・みのり陶芸店主・みのりさんの相談を受ける。みのりの幼少期に「やまはは様に見捨てられわが家は町に出る」と聞かされた。みのりは町に住みたいと祈っていたために森に見放されたのでしょうかという問いだった。神苗と実菜は井巣森に行く。実菜はモンゼンイスアブラムシはイスノキに乳房みたいな虫こぶを作る。虫こぶで布を染めて機を織っていた。シイコムネアブラムシに変わって染色が出来なくなった。やまはははイスノキのことでした。
初雪や 二の字二の字の 下駄の跡 に君へと続く雪は哀しもと続ける恋敵雪伸。
茶の花如来 神苗のゼミの恩師・有働教授。八瀬の実家から出た薬師如来、誰が何のためにに作ったものか知りたいという。雪伸と神苗は最澄が薬師如来の恵みと、薬としての茶の恵みが人々に行き渡るように願い、作らせたものということになった。八瀬には比叡山から避難してきた文書が残っているかも。有働教授に論文を書く事を勧められる。
閉じられた花園 小学六年生黒森實が相談に来る。愛宕山に白装束の集団が現れる。というブログの書き込みがあった。実菜と神苗は考え、養蜂用の防護服だろうということになった。源氏はちみつ社社長を訪れ話しを聞いた。竜胆のはちみつを採れるようになるために 野ばらの壁で竜胆を囲んでいるということだった。
 実菜は日本の植物を育む仕事をしたいと言った。

2019年2月5日火曜日

人情江戸歳時記④ 恋の櫛

人情江戸歳時記④ 恋の櫛 藤原緋沙子
臘梅 しな30は二年前に婚家を飛び出し呉服問屋の女中をしながら袋物を縫っていた。夫は指物師で姑と先妻の子がいた。姑の意地悪と懐かない子供のため家を出た。心をときめかす貸本屋に貯めた十五両を渡してしまった。離縁状を貰いに行った婚家で亡くなった姑の思いと、しなの買った臘梅への夫の思い、子供の言葉を聞き、しなは婚家に帰ることを決める。
木いちご 鼈甲細工師秀次は「江戸細工鼈甲会」にかんざしを出品し一等になり金一封十両を貰った。秀次にはさきと仙太郎のふたりの幼友達がいた。さきは女郎になっている。身請けして一緒になるつもりだ。仙太郎は呉服屋の跡取り息子だったが父親が店を潰していた。仙太郎が秀次の有り金十六両を持ち逃げした。仙太郎を探す。仕事がおろそかになる。全てを話した秀次に師匠は鑑札をくれた。仙太郎は十六両をさきを通して返しにきた。秀次が仙太郎を見付けた時、仙太郎は、賭場で勝ち逃げした仙太郎を追ってきたやくざ者に殺された。秀次は昔遊んだ場所の木いちごを供えた。
薮椿 新次郎は塗師屋伝兵衛の二番弟子だった。思いを寄せる小料理屋の仲居・ぬいに小間物屋の次男坊との繋ぎを頼まれた。荒れた新次郎は松葉屋のたぬきという女郎にいかりをぶつけた。たぬきが話しかける。一日限りの関係だった。ぬいは次男坊と一緒になっり支店だした。二年後、新次郎は年季が明け二年間会わなかったたぬきと一緒になりたいと思った。親方が中に入って新次郎はたぬき・すぎと所帯を持った。親方の身体の調子が思わしくなく、親方は店を兄弟子と新次郎に譲るという。新次郎はぬいに金の無心をされ、無理してお金を作る。すぎも協力する。これが最後だと待っていたぬいとの約束の場所に岡っ引きがくる。ぬいは人を騙したことで捕まっていた。すぎは自分で調べぬいにも会っていた。ぬいは新次郎にだけは謝りたいと親分に頼んでいたのだった。
恋の櫛 一万石の大杉藩では藩邸で暮らす者総出で内職をしていた。傘組、櫛組、奥女中の袋組。櫛組の勘七が透かし彫りの特注の仕事を受けた。大店・嵯峨野屋の娘・つるの簪だった。出来上がったかんざしを殿様も褒め喜んだ。つるは婚礼が決まっていたが、嵯峨野屋の金目当ての許嫁を嫌がり、駒之介の行状を責め櫛師の勘七の名前を出し断ってしまう。駒之介は恨みから勘七を襲う。三日三晩生死を彷徨う勘七をつるは見守り続けた。
勘七の許嫁の亡くなったことを報せる手紙が届く。

2019年2月4日月曜日

喜連川の風 明星の巻〈二〉

喜連川の風 明星の巻〈二〉 稲葉稔
 喜連川藩で御前試合が開催された。勝者は名家の剣術指南役に推挙されるため子弟は目の色を変えていた。練達者が闇討ちにあい、「御前試合に計策あり」との拾文があった。天野一角は探索した。中老の内田正右衛門が助教の一人と門弟一人を唆し、闇討ちを仕掛、判定にも手を加えた。勝ったのは内田家の次男だった。御前試合は遣り直された。闇討ちにあった者が勝った。
 天野清助は鼻緒を切って雨の中困っていた娘・佐和を助け、家まで送った。内田中老の娘だった。佐和の誘いで時々会い、樺山に登り、荒川の水辺で遊んだ。約束してもすっぽかされた事もあった。佐和が死んだという手紙を貰った。佐和が自分が死んだらと頼んでいた手紙が届いた。佐和は病気だった。正右衛門は佐和が亡くなり、発作で亡くなった。

2019年2月3日日曜日

質屋籐十郎隠御用〈七〉 

質屋籐十郎隠御用〈七〉 大工と掏摸 小杉健治
大工の半吉は出入のお店から印半纏を貰うほど腕のたつ職人。半纏をくれた三河屋の煤払いをした夜、見知らぬ男から五十両を預かる。翌日、三河屋から五十両を盗んだ疑いを掛けられ、五十両が見付かる。謝れば許すと言われるが盗んでいない半吉は謝れない。もう一軒のでいりの店にも断られる。
 質屋の万屋に五十両を借りたい武士・真木陽一郎が現れる。藩の金を掏摸に擦られていた。籐十郎は、不審に思い調べ出す。真木の結婚を邪魔したい友人が掏摸・丹次を雇って擦らせていた。丹次は気付かれたため逃げる途中で半吉に預けた。丹次は半吉から話を聞き三河屋に、半吉が犯人でないと書いた紙を置き、十両盗む。
 籐十郎は掏摸の丹次まで辿るが丹次は何も話さない。丹次は恩人の別れたままの娘にお金を渡すつもりだった。娘が万屋に預けている母親の形見を取りにきたことで籐十郎が娘を知る。籐十郎が三河屋の事を知り、絡んだ謎が解ける。
 三河屋の五十両は、半吉を嫉んだ親方の息子・半吉の兄弟弟子・大治郎の犯行と分かった。大治郎は五十両を返す。半吉は大治郎を出入り禁止にするならこのまま自分が盗んだことにして欲しいと言う。三河屋が五十両は別の所から出てきたことにして、自分が隠居した。
 旗本・御家人の救済を目的に作られた「大和屋」だったが、「大和屋」不要の意見が広まった。反対運動をしてくれる譜代大名の次男と大和屋番頭の娘・つやとの縁組みが計画されたが、籐十郎は兄の援助もあって、つやを隠した。縁組みはなかったこととなり、大和屋は役目を止める事になった。
 籐十郎とつやは一緒になって万屋を続けていくことになった。
 

御宿かわせみミステリ傑作選

御宿かわせみミステリ傑作選 平岩弓枝
      大矢博子・選
 倉の中  若女房・柳と奉公人・喜三郎が駆け落ちしたと言われていた伊勢屋。に泊まっ喜三郎の許嫁・とみがかわせみに泊まったことで、伊勢屋の主人・半兵衛が二人を殺して隠居の部屋の下に埋めていることが明るみに出た。
 風鈴が切れた 女按摩・みつの亭主・漁師の弥吉が間男の良信を殺したと見なされていた事件を 東吾がみつにやった風鈴の糸が切れていたことで弥吉の濡れ衣がはらされた。
 藤屋の火事 藤屋の火事で亡くなった女は京都から来た近江屋彦兵衛の娘の父違いの妹・六と証言したのが近江屋彦兵衛の娘・幸だったが、本当は死んだのが幸だった。
 矢大臣殺し 仇討の祭りの芝居稽古で大騒ぎをお越し、その間にみんなが慕っていた浪人夫婦を死に追い立てた悪者を殺した。
 残月 島帰りのきたがかわせみに泊まる。きたの隠している娘・うのは嫁ぎ先が決まっていた。妾がうのを襲うように頼んだ男がきたに殺された。二十年前の犯人は五才のうのだったことが判った。きたはまた八丈島へ流刑になった。
 三日月紋の印籠 旗本の妾と息子・徳太郎がかわせみに泊まった。榊原家の印籠が無くなり徳太郎が持っていないか調べられた。徳太郎と東吾が榊原家に行き、言語障害の嫡男・右之助と話しながら徳太郎は右之助のおもちゃ箱から砂糖詰めの印籠を見付ける。
 築地居留地の事件 バーンズ先生の友人スミスさんの夫人の小間使い・スーザンが殺される。花世と源太郎と麻太郎はスミス夫人とクーパーの不倫とスーザン殺害を暴いた。

2019年2月2日土曜日

百万石の留守居役〈十二〉 分断

百万石の留守居役〈十二〉 分断 上田秀人
 数馬の岳父・本多長政は加賀藩筆頭宿老。長政が幕府に召喚され数馬を連れ江戸へ向かう。
 江戸の加賀屋敷では本多家に遺恨を持つ大久保加賀守に乗せられた鋒山内記長次に乗せられた横山玄位が乗り込み、加賀藩の弱みを探していた。武田党に押し入られ長屋に着いた血痕を見付けられた。木片を持って行かれた事を見ていた佐奈は、本多家の用人に報せる。佐奈に好意を寄せ、佐奈を護ると誓った武田党の生き残り四郎と、佐奈は横山内記の屋敷の表門を開け、回りにわかるように大騒ぎをする。
 江戸に着いた本多長政を行列を仕立て、加賀が不利になる証言をするために評定所に行こうとしている横山を止める。
 数馬は長政の江戸到着を今日中に右筆に届かすために、老中・堀田備中守家の留守居役・葉月冬馬の力を借りることにする。

2019年2月1日金曜日

新・秋山久蔵御用控〈三〉 裏切り

新・秋山久蔵御用控〈三〉 裏切り 藤井邦夫
 紅葉散る 徒目付・吉崎市之助が殺された。知り得た情報をねたに強請を働いていると噂の徒目付だった。吉崎の同僚が表右筆・黒崎家を調べていた。吉崎の妻の弟・真山京一郎と黒崎家の息子・新之助は連れ立っていた。吉崎に悪行を暴れた新之助は吉崎を殺したかった。吉崎の妻は夫の強請を知っていた。露見する前に夫を殺し、弟を吉崎家の養子にしようと企んだ。新之助と京一郎が吉崎を殺した。黒崎忠太夫と新之助は切腹、黒崎家は潰された。京一郎は死罪、吉崎の隠居は切腹し、家は潰された。
 裏切り 久蔵と中間・太一はさよという仲居を探している良吉と出会う。興味を持って太一は良吉を見張る。さよは盗賊の引き込みだった。盗みに出発した後、さよは川に身を投げたが久蔵と太一が助けた。盗賊は盗みに入った所で捕まった。盗賊・夜霧の政五郎一味は死罪になった。さよも含まれる。
 臆病風 久蔵の息子・大介と昌平坂学問所の友人・原田小五郎は食い逃げの浪人を取り押さえるほどの正義感の持ち主だ。
 刀剣商が殺された。たどって行くと目利きの一色光悦が殺された。旗本本田一学に疑いが掛かる。
 小五郎は父親が上役の言うが侭に悪事を行っていると大介に相談する。二人は父親を見張った。本田を見張っている和馬たちが見付け、久蔵が大介から聞いた。久蔵は原田に会い、原田が本田の悪事を調べていることが判る。原田は本田の家来に命を狙われ、捕まる。家来が二人を殺していた。原田の調べ書きが出され本田は切腹になった。原田は御咎めなしとなったが、悪事の証拠を掴むため本田の悪事を見逃したことに対する自戒のため自ら小普請入りした。
 面汚し 商家の若旦那・宇之吉と遊び人が舞と呼ばれる若い女を追い掛け回していることを知った和馬は、若旦那の親・小間物問屋「弁天屋」の宇兵衛に会いに行った。袖の下十両を出した宇兵衛を張り飛ばし、洗い始めた。宇之吉はいろいろと揉め事を起こし悪行をもみ消していた。宇之吉は遊び人を使い舞を勾引かそうとする。金を貰ってもみ消していた同心・寺田清之助は和馬が調べ出したことを知り、宇兵衛を殺そうとする。和馬と久蔵に捕まる。弁天屋は闕所、宇兵衛は追放、寺田は御役御免となり切腹を命じられた。

2019年1月31日木曜日

評定所留役秘録 父鷹子鷹

評定所留役秘録 父鷹子鷹 牧秀彦
 結城家 直参旗本百五十俵。松平定信に家中から引き上げられ幕臣になった。定信の罷免後もそのまま。
 結城峰太郎56才 勘定奉行配下「鷹」といわれた。評定所留役を務め五年前に息子に譲り隠居する。
 結城新之助25才 評定所留役 三年の見習いを終え、本役になり二年目。調べに弟の力を借りる。
 結城小次郎20才 新之助の弟
 結城春香    妹
 新之助は十人の貰い子を殺した辻番の与吉の詮議をし、所見を出すことになった。市中引き回しと磔と獄門。新之助は本当に与吉がやったのだろうかと疑問を持った。南町奉行・根岸肥前守から罪一等を減じ亡骸を下げ渡すようにと横槍が入る。
 峰太郎は根岸肥前守に呼び出され、松平左京・旗本五千石から罪一等を減じるようにと横槍が入ったことを相談する。したくないので、まだ評定所送りにしていない。若い旗本を使って暴れまわられるかもしれない。
 左京の取り巻きが町人をいたぶっている場に居会わせた小次郎は三人と喧嘩した。新之助は左京の在りようを評定所に出すために弟の喧嘩を口実に左京を評定所に呼び出した。辻番小屋の後ろが松平左京の屋敷と繋がっており松平家でなされたことだと判った。
 評定所では老中等は松平左京に丸め込まれ詳しく評定されず与吉の有罪にされ磔と決まった。与吉の息子・大吉が約束が違うと、新之助の命を狙い捕まり本当のことを白状する。
 将軍・家斉の下には御庭番より松平左京並び奥方・照日の犯行が知らされる。子が授からなかった照日は心が壊れた。照日に子供を渡すが、自分の子でないと次々と殺してしまった。家斉は左京を謹慎にし、屋敷に二人だけにする。
 根岸の命を受け、峰太郎は左京を殺しに行く。気がついた二人も共に行くが、照日が薬を盛り、二人は死んでいた。

2019年1月30日水曜日

空也十番勝負 青春編 ⑥⑦ 

空也十番勝負 青春編 ⑥⑦ 未だ行ならず 上・下  佐伯泰英
 空也は長崎に入った。島で会った高木麻衣と鵜飼寅吉に会い、長崎奉行松平石見守貴強家来・大坂中也と名乗り、寅吉の配下となり、長崎奉行所の長屋に住むことになった。
 長崎奉行所の剣道場、福岡藩の長崎藩邸の道場で稽古を続ける。空也は丸山の望海楼で二十五年前、父・磐音と奈緒の身に起った事を聞き知る。
 江戸に行く渋谷重兼と眉月も長崎に立ちより二日を共に過ごす。
 無人島で季遜督と稽古を積み、酒匂太郎兵衛との試合に臨んだ。
 江戸で、薬丸新蔵は藥丸長左衛門兼武と名乗り、三十間掘の三原橋際に野太刀流薬丸道場を開いていた。酒匂次郎兵衛を倒した。
 眉月は尚武館道場で磐音やこんと会っていた。睦月は勘定奉行中川家次男・栄次郎と婚約整った。
 空也の盛光が太郎兵衛の首筋を断ち切り、太郎兵衛の刃が空也の胴に斬り込まれて二人は倒れ込んだ。麻衣と寅吉がいる。
 寛永十年師走、聖寿山崇福寺大雄宝殿の石畳上に空也は血に塗れて転がっていた。

2019年1月28日月曜日

入り婿侍商い帖 凶作年の騒乱

入り婿侍商い帖 凶作年の騒乱〈二〉 千野隆司
 凶作で上がり続ける米の値に、近くの米問屋・湯浅屋で打ち壊しと付け火騒動が起る。湯浅屋の米四百俵を大黒屋や数日預かることになる。
 江戸の各地で売り惜しみをする悪徳米問屋・大黒屋と評する読売がまかれた。何者かに先導され大黒屋が打ち壊しの標的になる。
 同心島津が行方不明になっていた湯浅屋に主人を探し出し大黒屋の米が預かり物だということを証明され、打ち壊しは治められた。
 打ち壊しを先導した者は捕まったが、命令した者のところまでは届かなかった。
 角次郎は、湯浅屋を引き合わせた、垂水屋の伝七郎に気を付けようと感じた。

2019年1月26日土曜日

辻番奮闘記二 御成

辻番奮闘記二 御成 上田秀人
 島原の乱の後、潰された松倉家と禄高を減らされた寺沢家の企みに巻き込まれそうになった松浦家だったが辻番が、火の粉を払い大事にならずに済んだ。松平伊豆守に武器庫を見られた。平戸にあったオランダ商館は長崎に移され松浦家は逼迫した。
 辻番頭と補佐は国許に帰り、斎弦ノ丞24才は家老滝沢大膳の姉の娘・津根27才を嫁にしていた。津根は病弱であり弦ノ丞より三才年上だった。馬廻りになっていた。滝沢は身贔屓などしない身内なればと無茶を押し付けるぐらいだった。
 松倉の牢人が毎日仕官を願って門前に集まった。門番でなく辻番で処理しようとした殿・松浦肥前守重信と大膳は弦ノ丞に十石を加え、辻番頭に任命する。
 牢人対策で辻番頭になったが、将軍・家光が松平伊豆の屋敷を訪れることになった。将軍の行列に一矢報いてやろうと松倉の牢人が廃屋敷の元松倉藩邸に集まっていた。前を通る松浦藩の辻番を一人殺す。いなくなった辻番を探し、弦ノ丞と南町奉行所吟味方与力・相生拓馬は空き屋敷に牢人が屯していることを知る。
 当日、弦ノ丞と相生拓馬等は空き屋敷から出てきた牢人の前を塞ぎ、旗本寄合辻番が出てくるまで塞ぎ止めるが、空き屋敷に火を付けられ弦ノ丞は、配下の者に目が届かなかった。事が終わった時、配下に一人死者が出た。報告は旗本寄合辻番に任す。弦ノ丞は任を解かれた。
 寄合辻番が松倉家空き屋敷の火事に気付き駆けつけたところ、不逞の輩が斬りかかってきたので松浦家の辻番の加勢を受けて撃退したと報告された。
 手柄が欲しい寺沢兵庫頭堅高は、土井大炊頭の入れ知恵で牢人を雇い、行列を襲わせ、寺沢の藩士によって行列を護るという芝居をする。家光と松平伊豆守に見透かされる。何も声が掛からなかった。寺沢は菩提寺で自害した。寺沢家は改易になった。
 

2019年1月24日木曜日

コンパニオンで野菜づくり

コンパニオンで野菜づくり
  無農薬 野菜だより特別編集 ◎
有機・無農薬のおいしい野菜づくり
  暮らしの実用シリーズ 監修 木嶋利男 ◎
野菜づくり大図鑑  藤田智 ○
からだにやさしい野菜づくり 菊池建志 ○

2019年1月18日金曜日

禁裏付雅帳〈七〉 仕掛

禁裏付雅帳〈七〉 仕掛 上田秀人
 禁裏付役屋敷に捕まっていた南條蔵人は、京都所司代に移された。南條と東城鷹矢の暗殺を頼まれた殺し屋は、南條にも鷹矢にも手を出せず、鷹矢の屋敷にいる弓江を勾引かした。
 鷹矢は仕丁・土岐の手引きで光格天皇に会い話しをする。
 鷹矢は弓江のことで南禅寺に呼び出される。

2019年1月16日水曜日

料理人季蔵捕物控㊱ 鴨ぱりぱり

料理人季蔵捕物控㊱ 鴨ぱりぱり 和田はつ子
 行方不明になっていた若い女の遺体が発見された。捕まった犯人は絵師・秋川清州。塩梅屋の常連客の北町同心田端宗太郎の妻・美代の幼馴染み玉の夫だった。美代は元岡っ引きで犯人探しを始めた。清州は犯人で無いことが証明され牢をでる。
 清州は十七年前に勾引かされた同心岡村の息子だった。筆頭同心長田精兵衛は悪と手を結び闇の社会に君臨していた。十七年前、長田と息子が殺され、生まれた孫が勾引かされた。岡村の息子と長田の孫は悪に、裏切らない者に仕立てられていた。育てたのは長田にに逃がして貰った盗賊、坊主・順円になっていた。岡田は息子を探し続けた。長田の悪を調べていた今は亡き井沢ともはなしていた。井沢は調べ帳を残していた。
 岡田は、順円と二人の若者(勾引かされ筋金入りの悪人に育てられた、一人は清州)を殺して亡くなった。順円がすべての罪を被った。
 玉も殺されたが、美代には玉と清州は江戸から出たと知らされた。
 怪我をした、食の細い田端のために鶏のかりかりあげを作った。
 

2019年1月14日月曜日

隠密同心 闇の密約⑵

隠密同心 闇の密約⑵ 小杉健治
 まぼろし小僧と呼ばれる盗人・文吉が出てくる一巻とんでいるようだ。
 連也坊と名乗る松原源四郎が、市松の影になることを決意して現れる。
 遠州望月伊勢守と隣接している旗本松尾主水の知行地の境界争いが起っているらしい。伊勢守が裁定を求め、老中本柳越後守が訴えを取り上げたが、盗人文吉が松尾主水の所から盗んだ書き付け・誓約書で、さること成就の暁、松尾主水に御番入りが約束されていることが判明した。伊勢守の訴えを取り上げた越後守がもう一方の当事者に宛てた誓文を書いている。市松は遠州に行くことになった。錺職市松と侍佐倉市九郎に代わりながら調べていく。
 遠州では、望月家十万石の家老の息子・畑中政次郎の飾り職人・伊助の親方の簪への不払いが元で、畑中の友人・沢田清一郎と金山松之進が死んでいた。伊助が金山に助けを求め、金山が沢田を殺してしまい、沢田の弟が兄の敵と金山を殺した。伊助は金山に助けをを求めていない。沢田を殺したのは金山ではない。沢田の弟が金山を殺すよう仕組まれていたことが判明する。
 望月家と松尾家の境界である山頂では、松尾家の牢づくりの計画が噂され、小屋に人足が泊まり込んでいた。人足が小屋で殺され望月の犯行という者があったが、小屋にいたのは江戸から連れてきた無頼の者たちであり、松尾側から殺しの犯人が上がっていくのを文吉は見ていた。
 望月家では、金山の友人たちが二人殺され、調べをする市九郎を襲った畑中が通う石場道場の師範代が捕まった。奉行所は師範代による金山への女のことによる遺恨ということで調べが終わった。
 市松が世話になった甚吉と甚之助親子の確執が納まり、甚之助に自信ができ、嫁も決まった。
 

2019年1月12日土曜日

孫連れ侍裏稼業④ 成就

孫連れ侍裏稼業④ 成就 鳥羽亮
 伊丹茂兵衛と松之助は一人残っていた仇・岸崎虎之助を討ち、松之助の父母の仇討は終わった。
 普請奉行・竹沢弥右衛門が雲仙流の同門の者を出世をえさに見方に引き入れ、江戸に送り込んでいた。
 竹沢は国許の年寄席に就くために、普請で不正を成し、重臣への賄賂に使っていた。そのことを知った勘定奉行だった茂兵衛の息子夫婦を岸崎たちを使って殺していたことが判った。
 茂兵衛と松之助は江戸の長屋を引き払い出羽国亀沢に帰ることになった。

2019年1月10日木曜日

天下普請 

天下普請 稲葉稔
 慶長三年 1598年 遠州山名郡木原郷から鈴木長次は木原吉次に率いられ江戸に出る。家康の家臣であり大工である。木原大工衆だ。長次は江戸城の天守閣を建てたいと思うが、家康は京大工衆を率いる中井正清に命じる。
 長次は中井正清の仕事を知り、木原大工の後継の技術の向上を目指す。
 家康が亡くなる。秀忠は江戸城天守を造り替える命令を長次に出す。天和天守。長次は大工頭となり五百石取りになった。家光の代になると天守は建て替えの命がでた。
 三河伊賀八幡社の新造を任された。渾身の作・伊賀八幡社は現在国宝に指定され重要文化財になっている。
 寛永十三年1636年 長次死亡 
 二年後、寛永天守の工事が竣工した。明暦三年1657年大火で焼失。

2019年1月7日月曜日

江戸は浅草

江戸は浅草 知野みさき
 雷門で掏摸に遭い路頭に迷っていた真一郎は、六軒長屋の大家・久兵衛に用心棒兼使い走りとして拾われる。真夜中に面を打つ謎の美女・多香。隣は女のひもで洒落者の笛師・大介。目が見えにくい胡弓弾きの鈴、鍵師の守藏等の住む長屋だった。
 五年前に矢師を辞め、上方に行こうとしていた真一郎だったが、矢師の道具を買い戻し江戸は離れ難いと思った。

2019年1月5日土曜日

表御番医師診療禄〈十二〉 根源 

表御番医師診療禄〈十二〉 根源 上田秀人
 表御番医師・矢切良衛は綱吉の食事の味付けが将軍職に就くより以前から何者かの命令で濃い塩気の多い物にされていたことが分かった。良衛は綱吉の兄にあたる甲府宰相の死にも繋がるのではないかと考え、甲府のことも調べたいと思った。良衛は伝の方に相談する。伝の方は綱吉の御台所・鷹司信子に相談するように言う。甲府の正室は信子の又従姉妹・煕子だった。良衛は信子からの病気見舞いという形で甲府家に行く。煕子は二ヶ月で娘を亡くしていた。
 良衛が甲府家に行ったことで動く者がでた。良衛は命を狙われた。甲府家の抱え医師で逃げようとした者が現れた。
 柳沢吉保は家光の血筋を絶やそうとしているのか徳川の血筋を絶とうとしているのか分からない。
 影の者から最後の命令が下された。矢切良衛と甲府藩医師二人、元綱吉の食事方二人の殺害。良衛だけが残った。九人が良衛を襲うことになった。黒幕は家忠の命を受けた者の子孫。
 典薬頭・半井出雲守が良衛が甲府に病気見舞いに行ったことで、典薬頭・今大路兵部大夫・良衛の義父を謹慎にした。吉保が謹慎を解いた。
 御台所の元へ、甲府からの使い・田鶴と伝と良衛が集まった。
 

2019年1月4日金曜日

倉敷高梁川の殺意

旅行作家・茶屋次郎の事件簿 倉敷高梁川の殺意 梓林太郎
 ノン・ノベル茶屋シリーズ⑪
 旅行作家・茶屋次郎は知己の翻訳家・中野麻子から行方不明になっている弟・伸之助の捜索を依頼される。足取りを追うが行方は掴めなかった。伸之助が倉敷で保護された。茶屋は姉弟の暮らす近辺で、轢き逃げ事件があったことを聞く。その前に少女誘拐事件があり、遺体発見は倉敷近くの高梁川河畔だった。伸之助の事件の後、もう一件拉致され倉敷で保護される事件が起る。茶屋が調べて、十一年前に飯田市で起った殺人事件と十年前の名古屋で起った八才の少女誘拐殺人事件の犯人を調べ出した。飯田市の犯人が判った花沢大造が犯人を強請ったために犯人が大造の孫を誘拐し殺していた。十一年前の犯人は捕まり、その時盗んだ六千万円が証拠にされた。少女誘拐殺人も認めた。
 今回の犯人は、娘を殺された大造の息子だった。少女誘拐は娘のような少女だった。騒いだので殺してしまった。後の三人は学童の登下校見守りをしていた。態度が気障りだった。茶屋は十一年前に父親が殺人事件の犯人の疑いを受けた時から狂い始めたのだろうと思った。

2019年1月2日水曜日

野分けの朝 江戸職人綴

野分けの朝 江戸職人綴 千野隆司
 闇の河岸 植木職の仙吉は時々親方と盗みをしている。岡っ引きが親方の廻りをうろついているのは知っていた。女郎になっている幼馴染みのみちが病気なのを知って盗んだ金で身請けする。薬代が必要だが親方は用心して盗みはしない。仙吉は親方の家に盗みに入る。親方に見付かり殺してしまう。仙吉も刺される。みちの所に行くが岡っ引きが待ちかまえていた。岡っ引きは何もかも知っていた。岡っ引きがみちの面倒をみると言う言葉を聞き、力が抜けていった。
 驟雨に消えた 徳利印附師の安次郎は博打で七両一分の借金を作った。蝋燭問屋の主が財布を落とすのを見た。返すことを考えるが入っていた十一両二分を使い博打の借金を返すが、拾った金だと知った峰蔵は残りの金を取り、後十両を要求する。お上に知れれば打ち首だと。峰蔵はかみさん・ひさを売れと言ってくる。安次郎が峰蔵を殺そうとした時、峰蔵が借金の形に店を取り上げたため女房と娘を亡くした男が峰蔵を刺し川に流した。六年間仇を討つ機会を待っていたのだった。安次郎は働き始めた。十一両二分を返しにいくために。
 両国橋から 竃職人の佐久造は十才で親方に弟子入りし、六年前、二十二才で親方の娘と一緒になり婿にされた。五才と三才の男の子ができ、親方と呼ばれるようになっていた。老舗の足袋問屋に仕事に行き、六年前好きでもない男と祝言を挙げなくてはならないという女と関係を持った。今度会うことがあっても知らない人と言う約束で別れた女かもしれない人に会った。主人の女房・すまだった。傾きかけていた生家の太物屋のために大枚の金子を用立ててもらって嫁に入っていた。先代のおかみや店の使用人からの信頼は絶大だった。一度関係を持った下駄屋の旦那から強請られていた。約束の日、佐久造もこっそり行った。すまは強請を突っぱねた。暴力にでた旦那を佐久造は一発殴って止めた。何も言わなかったが六年前の女だとはっきり分かった。六年前の女の姿が離れて行った。
 薮入りの声 しづ18才と勝蔵21才と久助20才の三人はこの四年ほど、薮入りを三人で過ごしていた。しづは飯屋の住み込み、勝蔵は瓦職人の住み込み弟子、久助はいなり寿司の屋台を引いていた。勝蔵はしづに所帯を持とうと言い、しづも喜んだ。勝蔵の親方の娘がしづに会いに来る。勝蔵は婿になる話しを断っていた。勝蔵はきみと一緒になって家の婿になれば江戸で一番の瓦職人になれる。あの人では出来ない鬼瓦を造れる人なのだと言いにくる。しづは小さい時からあの人が好きだった。横から手を出そうとしないでおくれといいながらも黙って町を離れた。半年後二人が所帯を持つことになったと聞いた。久助には遊び人の兄がいた。久助の屋台は結構儲けがあったが兄がせびりにくる。久助の儲けを巻き上げていた。しづは久助のお金を預かっていた。返しに行った時、兄がきて取られそうになる。久助の内腿に匕首が刺さる。余計な口を利くなと言う兄に、久助の女房になるんだと言ったしづ。意気地なし!だれが女房になってやるものかと声に出さず毒づいた。
 野分の朝 伴次26才は十五年掛かって小料理を持てるようになった。借りる店を決めた。店の仲居のちかと所帯を持ちたいと考えていた。嵐が来た。借りる店が心配で見に行き、ちかのそこひの父親が船を見に行ったことを知った。船尾にひっかかった父親を助ける。ちかが借金のために身を売ることを聞く。伴次は女房のために金を出すと言い、十両二分を出し借用書を受け取る。借用書を取り上げようとする者に殴る蹴るの暴行を受けたが誰かが役人を呼びに行くまで借用書を守り通した。
 木槌の音 嘉造は四才で親に捨てられ、三十半ばで表通りに小さな桶職人の店を持った。六年前に所帯を持った女房の実家、仕事を認め懇意にしてくれる老舗の店の主から借金をしている。十二年前、賭場の借金で困っている時に盗みの手伝いをし、二十両を手にした。少しずつ借金を返すように、道で会っても知らない振りをすることと言われて別れた。その時の泥棒のような鋳掛け屋を見た。岡っ引きが鋳掛け屋が淡路屋を見張っているようだと言った。嘉造は鋳掛け屋・文五郎と話しをした。嘉造の息子が大怪我をし、医者の高額な費用がいった。文五郎を訪ねたが旅に出たと聞いた。文五郎の家には嘉造が作った桶があった。夜、文五郎が嘉造の所にきた。怪我をし失敗したと言いながら四両を渡し、盗人稼業の行く末はこんなもんだと言いながら逃げた。文五郎は捕まった。岡っ引きは、嘉造を連れてきた男だったと言った。嘉造を知っているかと聞くと知らないと言って死んだと聞かされた。遠い記憶と繋がった。
 盂蘭盆会の火 駒平25才は四年前まきと所帯を持って、まきの父親・鶴川屋の援助で表通りに煙管職の看板を下げた仕事場を持った。まきは溺愛されて育った我儘娘。すぐ親の助けを求めた。聞き入れられないと実家に帰った。義父は良い客を紹介してくれる。腰を据えて仕事が出来、腕も上がった。鶴川屋あっての稼業だった。義父が人を職人を雇い手広くやれと言ってきた。やってきた職人は詰めが甘い。この男と仕事を続けていけば早晩信用を無くすと思う。職人を辞めさせた。これ以上譲れば自分は自分で無くなってしまう気がした。別れたぎんのことを思った。職人としての栄達に目が眩み、迷いの心を向井入れたことを。仕事道具とやりかけの煙管だけ持って出た。繋がりが切れたぎんにも臆さず気持ちのすべてを込めてぶつかるつもりだ。
 ろくでなし 吉次は「御簾留」の職人だ。ぐれて荒んだ暮らしをしていたのを十六才の時、先代親方留五郎に拾われた。今、留五郎は寝たきりで息子・留藏が親方になっている。留藏は我儘で道楽息子等と遊び回っている妹・てい19才の祝言を決めてきた。相手・真砂屋佐太郎は大店の跡取りということ以外に取り柄はなさそうだった。吉次は
ていが堅気ではない男と連れ立っているところを見た。ていを預かっている返して欲しければ十両出せという文が届いた。留藏は十両を渡したが、もう十両要求された。吉次は留五郎にていを頼むと言われた。留藏は十両を取られ、もう十両要求された。吉次はつけ、しもた屋を突き止めた。居着いたていに内緒で留藏を強請っていた。吉次は家に飛び込む。殴る蹴るの暴行を受ける。手慣れた攻めだった。吉次は十年前の吉次だった。膝で腹を蹴り上げ繰り返す。力が抜けた。うめき声を上げる亥之助から十両を取り上げ、先の十両を探す。七両になっていた。平手でていの頬を殴り「ろくでなしが、今度やったらただじゃ済まさない」と連れ帰った。やくざ者の怖さが身に応えたらしかった。ていは吉次の嫁になることを望んだ。留五郎を落とし、吉次の母親も落とした。吉次は何度も断った。どんなに邪険にあつかってもめげなかった。昔与太者だったお前が性根を入れ替えて素っ堅気になったんだ。おていだっていい嫁さんになるだろう。と留五郎は言う。
 糊と刷毛 萬次は裏長屋に看板をぶら下げた経師職人だ。十両二分の借金があった。老舗塩問屋の仕事に行った。若女将は近所の菓子屋の娘・しのだった。しのは奉公人に慕われていた。子供がいないため嫁いびりされていた。若旦那・徳太郎の妾に子供が出来た。しのを追い出すために徳太郎はしのを襲わせた。話しを聞いていた萬次はしのを助ける。萬次は塩問屋に盗みに入る。女将に見付かり失敗した。しのが一緒に逃げた。

2019年1月1日火曜日

吉原裏同心抄〈四〉 木枯らしの

吉原裏同心抄〈四〉 木枯らしの 佐伯泰英
 身代わりで入牢した間に財産を盗まれた佐吉。佐吉の隠れ家にはもっと重要な物があった。幹次郎は隠れ家に隠れて忍び込む誰かを待ち、誰が裏にいるか探った。裏にいるのは公用人坂寄儀三郎・旗本だった。公儀の役職でない公用人は幕府の要職に就いた家の用人を引き受け実務に精通、幕閣の機密を承知していた。坂寄は老中松平様の懐刀を自任し、隠然たる力を発揮している。
 坂寄は吉原にも手を出し始めた。茶屋の一軒を買い取るようだ。佐吉から盗んだ金が使われた。吉原会所七代目頭取・四郎兵衛はそろそろ引退をという話しを南北奉行から匂わされた。
 幹次郎は佐吉と同心・桑平市松の三人で坂寄を始末することを考えた。車善七の繋ぎで浅草弾左衛門と会うことが出来、助太刀してくれる話しになった。坂崎屋敷に乗り込み坂崎、坂寄家用人、用心棒を三人で始末し、弾左衛門配下が屋敷を燃やした。坂崎が握っていた秘密はきれいに燃えた。
 茶屋に支払われた金子は返り、佐吉の手に返された。