2021年4月30日金曜日

隠密船頭〈六〉 男気

隠密船頭〈六〉 男気 稲葉稔 

 北本所の侠客一家・源森一家に、仇敵勢力・鳥越一家が急襲をかけた。双方とも親分を失う大抗争だった。抗争場に居なかったヤクザの一人・忠次郎が殺された。奉行・筒井和泉守の「奉行の隠密」となった沢村伝次郎が探索する。
 事の起こりは源森一家の忠次郎が鳥越一家の辰吉を殺した。辰吉が殺されたことは隠され知っている人は少ない。十日後、鳥越一家は源森一家に殴り込む。忠次郎はいなかった。旅から帰った鳥越一家の清蔵は、忠次郎を殺そうと狙っていた。鳥越一家の親分・虎蔵の兄貴分の長五郎は、清蔵に殺させないように忠次郎を殺した。病気で先が短い。箱根に行くと言う。長五郎は虎蔵の子分に堅気になるのに手を貸すという人だった。清蔵は堅気になると言う。
 全てを知った伝次郎は、長五郎に箱根行きを勧め、帰ってきてはならないと言う。伝次郎はそのまま奉行に報告する。

2021年4月28日水曜日

新・口中医桂助事件帖①

 新・口中医桂助事件帖① 志保のバラ 和田はつこ

桂助と鋼次はアメリカで最新の口中医療を学び、機械を手にして明治の日本に帰って来た。

 望郷さくら坂 帰国の船上で富士山太郎一座の売れっ子座員・かじ花が殺された。桂助たちの持つ高い機械をほしがったアメリカで口中医療を学んだ男と、かじ花のいじめに耐えられなくなった付き人・リン波との共同での殺人だった。リン波は生まれてすぐ捨られたかじ花の実の娘だった。リン波はかじ花を殺したことで罪の意識に苛まれ遺書に全てを書き残し自死した。

 志保のバラ 船内で病気になった鋼次の妻・美鈴は、実家で養生している。鋼次の幼ともだり金五は、将軍取次・岸田正二郎と養子縁組していたが、岸田は屋敷を出、長屋で亡くなっていた。金五は邏卒見習いをしていた。金五が幼馴染・小梅が殺されている現場に桂助を連れてくる。桂助は、小梅が自殺で金五が、小梅を自殺に追い込んだ政府高官・小野法文に濡れ衣を着せようと現場を変えたことを暴いた。金五は上役に正直に話したが、小野のことには触れず、金五にもお咎めはなかった。

 彼岸花 桂助は半月前に亡くなった質屋佐野屋の死の真相を突き止めることになった。佐野屋は本物を偽物にすり替え騙した質屋を乗っ取り佐野屋を大きくしていた。主人を殺し店を乗っ取られたのかと思われた。佐野屋大市が開かれる屋敷へ行くと、元岸田の屋敷だった。将軍が来られることもあるため隠し部屋とか隠し通路がある。金五は知っていた。金五の導きで辿って行った先には、佐野屋を殺した刀剣商・高見堂の六右衛門の遺体と書き置きがあった。佐野屋に騙された経緯と刀剣・大獅子丸の岸田との関わりが書かれ、佐野屋を殺したことも書かれていた。大獅子丸は元々の持ち主・岸田の養子・金五に返されたが、金五は岸田が高見堂にあげたものだからと高見堂に渡した。

 寒竹の筍 桂助の医院に入院患者がいた。旅館のように寝泊まりし、治療費代わりにエーテルを用意する。
 富士山太郎が奥さんとの相対死の姿で見つかった。入院していた男・小野法文も殺された。宝石の密輸入の仲間割れだった。首謀者は帰えりの船で一緒だった学者・クリストファー・ホプキンスだった。
 慶喜が歯の治療に来る。不気味だと言って誰も治療を希望しない足踏み式虫歯削り機で、虫歯を削る。一緒に来た渋沢栄一も虫歯治療をし、今後麻酔薬を入れてくれることを約束する。新聞社の記者が取材し機械での治療が増えた。美鈴も手伝うようになった。

2021年4月26日月曜日

百万石の留守居役(十六) 乱麻

 百万石の留守居役(十六) 乱麻 上田秀人

 本多家に敵意を持つ老中・大久保加賀守は遺恨を晴らすべく、配下に密命を下す。

 紀州家留守居役・沢部修二郎より、瀬能和馬の妻となった琴を元夫の弟・水野辰雄の嫁に欲しいと言った。先達の留守居役の言葉は絶対である。本多政長と和馬は紀州家の真意を探る。

 加賀では政長の嫡男・主殿が、裏でうごめく一党のいぶり出しを図る。

2021年4月25日日曜日

勘定侍柳生真剣勝負〈三〉 画策

勘定侍柳生真剣勝負〈三〉 画策 上田秀人

  大阪商人から柳生家の勘定方になった淡海一夜。当主・父・宗矩から百石を毟り取り、江戸屋敷で暮らし始める。

 ずさんな帳面を改め、勘定の差配をしながら柳生家出入りの大店と商談する。

 門番・伊賀忍者の妹・佐夜を女中として雇う。

2021年4月24日土曜日

黒猫の夜におやすみ

黒猫の夜におやすみ 三國青葉 

 事故で親兄弟を亡くした相良千早は、慢性的な不眠症だった。レンタルキャット店「猫屋」を営んでいる。
 生き倒れの黒猫を拾う。黒猫は記憶喪失であり人語を操り、人型に変わる猫だった。千早はナイトと名付ける。
 クラスメートからいじめにあっている少女を助けたり、一人暮らしのお婆さんの窮状を助けたり大活躍。

 二ヶ月後、クレオの記憶が戻る。ナイトは老俳優夫婦に飼われていた。妻は認知症。夫は余命三ヶ月を宣告される。夫は、夫婦で海に車でダイブした。その前にバサラ・ナイトに後を託し、車からバサラを下ろした。バサラは車に飛びつくが振り落とされ記憶喪失になっていたことがわかった。

 

2021年4月22日木曜日

仕立屋探偵桐ヶ谷京介 

仕立屋探偵桐ヶ谷京介 ヴィンテージガール  川瀬七緒

 桐ヶ谷京介は、テレビで公開捜査された、十年前の被害者の身元すら分かっていない事件に興味を持つ。被害者の着衣は古いものだった。洋服のデザインをする京介は、姿勢や服のシワ等でいろんなことが分かる。同じ商店街のアンティーク店を開いている水森小春と警察に行き、見せて貰うところから始める。テレビで聞きかじった情報だけで書いた被害者の似顔絵と姿絵を持って行く。あまりに似ているところから警察も情報を出してくれるようになる。

 古い生地のワンピースから情報を集め、戸籍のない少女たちが浮かびあがり、被害者の姉妹にたどり着く。同じ商店街の散髪屋の主人が亡くなった少女の証拠隠滅と死体遺棄が判明する。

 

2021年4月19日月曜日

秘め事おたつ(三) 青葉雨 

秘め事おたつ(三) 青葉雨 藤原緋沙子

 青葉雨 足の不自由な父親・儀三と娘・はるが営む居酒屋に柄の悪い男がいた。はるはたつに相談する。男は父親を脅迫し、お金を要求していた。男は儀三がはるの父親を殺したと言う。儀三とはるの母親・なつは一緒になるつもりだったが、横から割り込まれた。儀三は諦めていたが、なつの病気見舞いに行った。帰ってきた貞次郎と喧嘩になったが、酒に酔いふらついた貞次郎が頭を打ち倒れた。医者の見立ては卒中だった。はるは、儀三との生活を省み、儀三が父親だと思う。儀三はやってきた仁助と戦い倒れた。はると話してから亡くなった。仁助が金貸しを殺した犯人だと捕まった。
 たつは居酒屋の名物にしようとはるにほうとうを教えた。

 泣き虫清吉 たつはいたち小僧と間違えられ岡っ引きに追われている清吉を匿った。いつも下っ引きが見張っていた。すきを見て逃したつもりだったが清吉は捕まり牢送りになる。おかしいと思ったたつは元岡っ引きの岩五郎に頼み調べてもらう。いたち小僧は清吉を捕まえた岡っ引きだった。証拠も揃い岡っ引き・捨蔵は捕まり清吉は放免された。清吉は岩五郎の店で板前をし、岩五郎は深谷辰之助の御用を務めることになった。
 殿様の具合が悪くなり、おおよその住所がわかった吉次朗の身柄を保護しようと九鬼が言ってきた。


2021年4月17日土曜日

神田職人えにし譚③

神田職人えにし譚③   松葉の想い出 知野みさき
 
 お包み抱っこ 縫箔師・咲の長屋の路に二人目の子供・賢吉が生まれた。身体が元に戻らない路のため長屋中で助け合っている。同じ長屋の幸と新助の仲が変になっている。身寄りが無いといっていた幸の実家は日本橋の乾物屋だった。親たちに反対された二人だった。幸は「柳川」のまさに抱きしめられ腹を括った。賢吉の兄・勘吉は父親・三吉をお包み抱っこと言い抱きしめた。
 
 桔梗の邂逅 桝田屋の美弥の義母・寿の三味線の師匠・桔梗と、寿の夫・傳七郎の友人・善右衛門が、大阪で幼馴染だったことがわかった。紆余曲折あった二人が、やっと巡り合った。
桔梗の実家は「時屋」と言い、善右衛門は「岡屋」と店の名を付けた。二人が別れる時、善右衛門は桔梗の櫛を渡した。桔梗は名前を桔梗とした。桔梗の別名・岡止々岐

 松葉の想い出 咲の元許嫁・兄弟子の啓吾が行方不明になった。妻の千紗が咲のところではないかと心配した。咲は十年前のことを思い出す。小岩の善養寺の「影向の松」を見に行こうと誘われたことを。咲は啓吾の目がだんだん見えなくなって来ていることを知った。啓吾は四代目を継いで、見えなくなるまで頑張ることに決めた。
 修次が咲に影向の松を見に行こうと誘った。
 
 

2021年4月15日木曜日

新・秋山久蔵御用控〈九〉 紙風船

 新・秋山久蔵御用控〈九〉 紙風船 藤井邦夫

不始末屋

嘘吐き 勇次の幼馴染の大工。身を持ち崩した兄弟子に脅され商家の土蔵に細工する。

忠義者 三千石の旗本の次男の悪行を、父親家来がもみ消そうとしている。浪人になった家来が、元主人の次男の悪行を諌めている。

紙風船 夫の無実を訴える女房が、一膳飯屋に立て籠もる。和馬らが調べる。いい加減な調べをする同心は辞めさせられた。

2021年4月13日火曜日

惣目付臨検仕る 抵抗

 惣目付臨検仕る 抵抗 上田秀人

道中奉行副役だった水城聡四郎は職を解かれ、吉宗から新たな役・惣目付に任じられる。

2021年4月11日日曜日

おとなりの晴明さん 第八集

 おとなりの晴明さん 第八集 中町六絵
 〜陰陽師は金の鳥と遊ぶ〜

 応挙の虎と薬研通の刀
  冥官・菅原道真が九州から京へくる。桃花が画塾に合格した。
 まんじゅう小僧と赤ちゃん
 西王母の使者たち
 もう一つの望み
 金の小鳥、葡萄の砦

 



2021年4月9日金曜日

禁裏付雅帳〈十一〉 偽計

禁裏付雅帳〈十一〉 偽計 上田秀人

二百石の加増を受けるために東城鷹矢は江戸に行く。松平定信に楯突き、命を狙われる。 

2021年4月7日水曜日

風の市兵衛(弐) 乱れ雲

 風の市兵衛(弐)乱れ雲      辻堂魁

 江戸を流行り風邪が襲った。

 市兵衛は金貸しをしている旗本の当主に成り代わり借金取りに行く。

2021年4月5日月曜日

隅田川御用日記 雁もどる

隅田川御用日記 雁もどる 藤原緋沙子 

 隅田川御用帳を継ぐ。五年後

五年目の秋 縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に浪人の妻・工藤美帆が駆け込んで来た。美帆の夫が悪いことをしているようだという。美帆の夫・鹿之助は、藩の上層部の出世争いに巻き込まれ浪々の身になっていた。鹿之助を利用した中老は鹿之助を抹殺しようとしている。鹿之助の証言で中老は切腹、鹿之助は藩に帰ることになった。美帆も付いていくことになった。

雁もどる 八年前に橘屋の仲立ちで離縁した親子が、今不幸な状態にあると聞いた登勢は、会いに行く。母娘の心は繋がりかけたが、父親は十両盗んだ疑いで捕まっていた。本当に拾った十両を使い込んだのは岡っ引き崩れの多岐蔵だった。十四郎は証明し父親も戻る。 

2021年4月3日土曜日

口入屋用心棒47 猿兄弟の絆

口入屋用心棒47   猿兄弟の絆 鈴木英治

 富士山の噴火が収まらない中、義賊・猿の儀介一味が二千両を奪う。初めて人を殺めた。湯瀬直之進は次に狙われるだろう悪徳商人・岩田屋の用心棒を頼まれる。倉田佐之助は夜回りの最中、小判をばら撒く忍び頭巾の男と遭遇した。

 儀介一味は大名の藩主の弟二人だった。金のない藩のために金を貯めていた。長兄・藩主が自決し、次男・義之介が藩主になった。止めようという義之介と続けるつもりの角之介は仲違いする。直之進が間に入り、兄弟の事は公にしない約束をし、角之介は自裁した。

2021年4月1日木曜日

九代目長兵衛口入稼業〈二〉 

 九代目長兵衛口入稼業〈二〉 御金蔵破り 小杉健治

 人材派遣「幡随院」の庭に忍び込む者がいた。

 護岸工事を巡り商売敵の川辰屋が普請奉行と癒着の噂が流れる。同業の初音屋の川辰屋と普請奉行の癒着の証拠があるという話に乗せられ、偽証拠を作った疑いで長兵衛が追われることになった。このままだと幡随院が闕所になるという。
 長兵衛は、幡随院の庭に何か訳があることに気付く。

 十五年前、幡随院の庭がまだ隣の敷地だったころに古井戸に御金蔵破りの金五千両が隠された。気付いた長兵衛は掘り出し、普請奉行の屋敷に出向く。川辰屋は普請奉行に殺された。隠し金のことを知った普請奉行が、手に入れるために川辰屋と計ったことだった。

 普請奉行は役を解かれ小普請入りになった。川辰屋は息子が後を継いだ。