2016年4月11日月曜日

町火消御用調べ

町火消御用調べ 稲葉稔
嘉永三年 1850
直次郎25才 火消し百組のはしご持ち
直次郎は岡っ引き弥吉に掏摸を働いたと因縁を付けられている百合を助ける。同心の前で、町娘に因縁をつけたことや町の者に脅しをかけて金を巻き上げていることを話す。
弥吉が殺された。直次郎のとび口が無くなった。直次郎と百合は同心・川辺周三郎に疑われる。自分たちで犯人を見付けるしかないと思う。
 火事があった。消火活動の後、火事場人足改方与力・大河内彦四郎に付け火の犯人を探すように言われる。
 京菓子屋鈴屋から火が出た。ここも付け火だった。火事の前に見られた職人を探し出した。職人・久兵衛は火付けを見ていた。張り込み、小さな男を見つけた。女だった。鈴屋の息子・千吉に振られていた。目眩しのために別の処で火を出し、二度目に目的の鈴屋に火を付けていた。火付けを見ていたのに何も知らせなかった久兵衛をお咎め無しにするために、今後も彦四郎の手伝いをすることになった。
 弥吉は、下っ引きの腕を折ったり、鼻を折ったりひどいことをしていたらしい。現下っ引きの作次のところから、直次郎のとび口が見付かる。作次を問い糾す。元下っ引きの六兵衛が犯人だった。人使いが荒く、乱暴で逃げていた。帰って来た六兵衛を殴る蹴る、商売の売り上げを取って行かれたからだった。
 川辺周三郎から25両貰う。礼と詫びだそうだ。また手を貸してくれと頼まれる。

2016年4月10日日曜日

忘却探偵シリーズ2

掟上今日子の推薦文 西尾維新
親切守は美術館の警備員だった。髪の白い掟上今日子という探偵を知る。鉛筆の濃淡だけで絵を描く剥井陸という小学生を知る。絵をたたき落としカンバスを壊した老人のために守は警備員を辞めさせられた。
後日、老人・和久井からアトリエの警備をして欲しいと言われる。額縁作りの美術界の重鎮だった。彼の家がマンションになっており、美術家の卵を何人も居候させていた。
警備の仕事を手伝って貰おうと今日子さんと和久井邸に行くと、和久井さんはナイフを刺されて倒れていた。死んではいなかった。
今日子さんは半日で誰が犯人か突き止め、自首するように仕向ける。
犯人は剥井君だった。和久井老は最後の仕事にマンションの美術家に絵を描くように言っていた。その絵に額縁を作るつもりのようだが自分には絵を描くように言ってくれなかったから刺していた。
アトリエ荘の住人の共同制作の絵が、あの美術館に飾られた。守は今日子さんを誘って見に行こうと思う。

2016年4月9日土曜日

神戸電鉄殺人事件

神戸電鉄殺人事件 西村京太郎
女優・及川ひとみが神戸の異人館のプールで男性と死んでいるのが見付かる。
彼女の東京のマンションの部屋の中を見に、永田慶介、渡辺かなえ、持田大介、白石英司、荒木平吉の五人が訪れる。
及川のマネージャー高田がテレビ出演のギャラ十万円を、頭を殴られ取られた事件を調べていた十津川は女優殺しに興味を持つ。
白石がカンボジアで殺され、持田が殺され、永田が神戸電鉄の中で殺された。渡辺も神戸電鉄の中で殺される。
昭和二十年、反乱兵がカンボジアから仏像を持って帰っていた。兵士ではない柳原・及川の祖父が預かっていた。祖父が亡くなったあと及川が預かっていたようだ。仏像が狙われ、及川が殺された後、仏像がオークションに掛けられる。殺された者は仏像を持ち帰った者の孫だった。殺された者が仏像を返そうとした者か、お金が欲しかった者かは解らない。
オークションで落札し仏像は高野の物になった。十津川はオークションを開いた藤村を使い、仏像が売れたと高野に言い、カンボジアの関係者に送られるように仕向けた。仏像はカンボジアに返った。

2016年4月8日金曜日

縮尻鏡三郎

縮尻鏡三郎 美女二万両強奪のからくり 佐藤雅美
天保四年
町会所から二万両盗まれた。と言われたが町会所にはお金がなかったようだ。石でもはいっていたか。犯人は平塚の嘉右衛門、浪人・篆刻家・山田安五郎、と判ってくるが嘉右衛門は殺され、山田安五郎もいなくなる。一番頭は御用御側広岡但馬守の腹違いの弟・広岡新次郎改、広岡帯刀だった。帯刀は座人又兵衛と繋がっていた。もしかして二万両の穴を空けたための狂言強盗だったのか。帯刀は逃げた。

2016年4月7日木曜日

一膳飯屋「夕月」

一膳飯屋「夕月」 しだれ柳 荒崎一海
 文政八年 1825年 
 片桐晋悟33才 御前所御台所人五十俵御役金十両の御家人片桐家の三男。勘当同然で山谷堀に「夕月」を出して四年目になる。恋女房・おちよ 一男一女
無外流小太刀 店で働く次郎太17に小太刀を教え始めた。女中たちを送ってゆくため護身用だ。
浅草寺の裏手に住んでいる、麻布市兵衛町の六千五百石の隠居・曽我伊賀守助猷・竿望斎61・元書院番頭が襲われているのを助けた。竿望斎は晋悟の料理のお得意様だった。晋悟が剣を使うことを知らなかった。無海流小太刀免許皆伝・師匠を看取った。師の形見の大小が七振りある。
店を出す前から定町廻りの同心・宍戸兵太夫42の手伝いをしていた。今、南町奉行所臨時廻りになっている。晋悟の考えを聞きに来る。剣が使えることは知らなかった。
竿望斎が襲われ竿望斎の嫡男・曽我主水助順28・中奥小姓に父のことを頼むと言われ、兵太夫に相談し、岡っ引きを借りる。書院番士にもかかわらず博打をし、目付に知られ小普請に入れられた。竿望斎の所為だと思っていた。竿望斎が呼び出された時、晋悟が守り竿望斎は身を慎めと諭す。
しだれ柳 時々来ていた山谷堀一の芸者・二代目小万がくる回数が増えた。花川戸町で湯屋をやっている御用聞き・金蔵に小万のことを探ることを頼んだ。先代の小万に袖にされた商家の主の姉が二代目小万に意趣返しをしていた。日本橋の商家の若旦那の名前を騙り役者に夫婦になろうと持ちかけさせていた。晋悟は役者の鼻を折った。商家の姉弟のところには兵太夫に顔を出してもらった。
秋陰 夕月で働き始めたおはつ15の母親が殺された。貯めていたお金も盗まれている。晋悟は定町廻り・筧勇三郎の手伝いをするが晋悟が考えることと合わない。晋悟は独自で犯人を見付けた。隣の家の浪人だった。節穴からお金を隠している部屋がみえた。浪人は仕官を頼んでいた。相手はお金を受け取った後、国許に帰っていた。おはつとおふみ12は夕月の隣の二階で寝ており、おふみは昼間は夕月の二階で過ごしている。
残菊 小万の妹芸者・小春に禍が振りかぶっている。小万が晋悟に相談する。身請け話が持ち上がっても何日かすると断わりがくる。二度もあった。この頃は誰かに見張られているような気がする。という。金蔵に調べてもらう。小春は養女だった。実母の弟が、小春の実父と知らないで小春を身請けしようとした商家の主を身請け話から遠ざけ後で、商家の主に自分の御陰で実の娘を身請けしなくて良かったな。と強請るすもりだった。叔父にも、見張りをさせている商家の主にも晋悟は言い含める。座敷に呼ばれなくなっている小春を竿望斎に呼んでもらう。
隅田川雪景 晋悟は竿望斎の家から出てきた所を襲われ、人違いだと逃げられる。竿望斎の息子・曽我主水が狙われていることを告げる。
二組の心中事件が大川端で立て続けに起こった。晋悟は筧の手伝いをするが、全く意見が合わない独自捜査をする。隠居した晋悟も知っている岡っ引き・茂蔵も引っ張り出されているが見当違いを調べさせられている。一組目は心中で片づけられているが、女は勝太郎の子供を宿した水茶屋のおきちで、男は勝太郎の弟が相愛の船宿の娘の縁談相手だった。勝太郎が船頭の博打仲間と二人で相対死にみせて殺していた。弟を船宿に養子に入れ後で恩を売るつもりだった。茂蔵が調べ出したように見せかけ筧が捕まえた。
もう一組は主水を狙った者たちの仲間だった。作州津山藩、若君がいるにも関わらず、家斉の息子の養子話がある。五万石の加増がある。小姓を務める主水が殺され切腹する者があれば将軍家の耳に達するにだろうと思いやったことだった。失敗したことで、最も若い者と女に責めを負わせ残った者には切腹も許さなかった。残った者の一人が夕月に招かれ話して行った。

2016年4月6日水曜日

闇奉行影走り1

闇奉行影走り1 喜安幸夫
大身旗本の家を出奔し札ノ辻で口入れ屋「相州屋」を営む忠吾郎は北町奉行・榊原主水頭忠之の弟だった。久しぶりに会った兄はお上が裁けぬ悪を討つように言う。連絡役に隠密同心・染谷結之介がくる。
夜鷹が殺される。二人目に殺された夜鷹は忠吾郎が八百石の旗本堀川家の女中に入れた稲だった。旗本の婿養子・右京の手が付き、妻が女中を追い出していた。忠吾郎の下に行けないように言い渡し夜鷹になっていた。忠吾郎は相州屋を宿にしている羅宇屋の仁左に調べてもらう。夜鷹を殺したのは、旗本の若党だった。殿様の子を宿した女中を夜鷹に見せかけ殺す予定だ。忠吾郎は阻止するつもりで若党を斬ったが、ひと足遅く、女中も斬られてしまう。若党も女中も事情を話し亡くなる。
忠吾郎は昔の子分・古着屋を商う身の軽い小猿の伊佐治を小田原から呼び寄せた。
堀川の妻と女中頭は法事で寺に行く途中、毒の付いた矢で水子の祟りに見せて殺され、右京と用人は屋敷で自死に見せて殺された。

2016年4月5日火曜日

口入れ屋用心棒33

口入れ屋用心棒33 傀儡子の糸 鈴木英治
湯瀬直之進 倉田佐之助は秀士館の教授をしている。
鎌幸は撫養知之丞に捕まり座敷牢に入れられていた。三人田が双子だった。撫養家に一振りもう一振りは湯瀬直之進が預かっている。知之丞は聞き出そうとするが鎌幸は言わない。
鎌幸の行方不明をしり直之進は探す。この屋敷と思い込み踏み込んだ時、鎌幸は別な場所に移されていた。直之進は丑之助等に待ちかまえられていた。丑之助らを倒し疲れた頃三人田を持った男・典兵衛が現れ襲われる。直之進は逃げた。左之助が鎌幸探しを手伝うようになった。三人田が双子だと知り、刀を狙っているのがもう一振りを持っている撫養だということを知った。
同心・樺山富士太郎の周りの定町廻り同心が次々と亡くなってゆく。女に殺されたり、丑之助と典兵衛が、別の男に疑いが向くように同心を殺したり、もう一人は首吊りで見付かった。前に何かの過ちがあった者が同心に返り咲く。
奉行・朝山越前守は町人から一人百文を税として徴収するように言った。
米田屋琢之介は富士太郎が狙われると思い用心棒をしていた。同僚の青口誠左衛門が道で襲ってきた。琢之介が何事も無く捕まえた。土岐之介が夜富士太郎を呼び出し誰かが朝山奉行を操っているようだという。帰り道富士太郎は襲われる。琢之介が守ってくれたが、その後、琢之介は倒れる。

2016年4月4日月曜日

入り婿侍商い帖(六)

入り婿侍商い帖(六) 関宿御用達3 千野隆司
火事になり本所元町の大黒屋は燃えてしまった。おトクだけが見付からず、善兵衛は深川に行っていたおトクを探していた。
大黒屋の跡地で燃え残った米で炊き出しをした。
火事前に店仕舞いをする米問屋の米を千二百俵買っていた。倉庫にある。
同じ年産まれの縁で知り合った羽前屋の稲ちゃんの父母は亡くなっていた。お万季はなかなか乳母に懐かない稲ちゃんにお乳を上げたり抱いたり乳母に懐くよう面倒をみていた。
関宿藩の喜多山と朽木弁之助の助言で倉庫の米を羽前屋に融通し、仕入れをしていた若旦那と番頭をなくした羽前屋の手代と角次郎で千俵の米を買い付けることになった。羽前屋は大店の米問屋で大黒屋と同じ関宿御用達だった。仕入れや輸送の費用は羽前屋持ちで利益は折半になった。
他の米問屋の横槍が入ったが千俵の米を仕入れることが出来た。下野壬生藩の壬生河岸の山後屋の大番頭・吾左衛門が火事の時に大黒屋の善兵衛に命を助けられたと六百石の米を集めて売ってくれた。船で米を輸送中襲われた。捕まえると米問屋・岩城屋の者だった。役人に渡す。
火事から一ヶ月後秋葉大権現瑞信寺でおトクは見付かった。
今年の秋の仕入れは二千俵を越す。大黒屋の土地と隣の土地を買い店と倉庫を建てることにした。

2016年4月3日日曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎11

風烈廻り与力・青柳剣一郎11 まやかし 小杉健治
十三年前に錠前殺しの富三という盗賊一味が山川屋に押し入り捕まった。頭の富三だけが逃げていた。その富三が帰ってきたようだ。どうやって押し入ったか判らない。
青柳剣一郎は左平衛夫婦と知り合う。駆け落ちした娘が亡くなり、男・伊太郎が育てられないので孫娘・おみつを左平衛夫婦のところに伊勢から連れてきた。
伊太郎は盗賊富三の仲間だった。旅の途中で出会った侍・菅沼市之進の顎に傷があった。江戸に来て顎に傷ある青柳剣一郎を知った伊太郎は、市之進を仲間に誘う。市之進の顎の傷を見せ御上の御用だと戸を開けさせていた。
おみつの言葉や、掏摸の言葉から顎に傷ある侍を探す。山川屋で取り押さえる。青柳剣一郎は菅沼市之進が世話になった商家が不幸に見廻れていることを知り逃がす。市之進は沼津で商家の主の敵を討ちそこで死ぬ。
左平衛夫婦を敵と狙う者が現れた。おみつの母親は殺した夫婦の子供だった。左平衛は討たれるつもりだ。妻は仏壇の前で自裁した。おみつは剣一郎に委ねられた。
子供が欲しくて道を誤りそうになった同心・岡部忠太郎がおみつを養女にした。

2016年4月2日土曜日

町奉行内与力奮闘記〈一〉

町奉行内与力奮闘記〈一〉 立身の陰 上田秀人
城見亨24才は曲淵甲斐守景漸の家臣、曲淵が大阪西町奉行になったため大阪に行き、内与力になる。父は用人を務め江戸屋敷を任されている。
亨は 内政方内与力だった父親の配下だった、同心西二之介の娘・咲江に色々教えられる。大阪町奉行所はお金を出す商人のための奉行所だった。
堅物で通る曲淵は大阪町奉行所の与力、同心に煙たがられ手柄をあげるように導かれ四年で江戸北町奉行になる。江戸に帰った亨は道場へ行く、剣道の師匠に考えが甘いと言われる。
江戸北町奉行に就いた曲淵は、松平周防守に町奉行所の与力・同心から商家を切り離すように言われる。商人に取り込まれず、町方にも妥協せず、己の保身を考えない。亨にやらせようと考えた。

2016年4月1日金曜日

貸し者屋お庸3

貸し者屋お庸3 娘店主、捕物に出張る 平谷美樹
浪人・山野騎三郎が行李を借りに来る。八年前、陸奥国神坂家二万石の殿様の着物を呉服屋に取りに行った時、酔っていた遠藤に絡まれ斬りかかってきた遠藤を殺してしまいそのまま国を出ていた。家中の者が召し物を持って出頭せよ。と言いにきた。山野は葛を借り江戸屋敷に行く。剣術指南役になった。
お庸を調べるためだったようだ。
お庸の知り合いの大工・秀三の息子が勾引かされた。引き換えの十両を借りに来る。文房具屋四宝屋の子と間違えて勾引かされたようだ。文房具屋が十両出した。長屋の子供たち大人たちが情報を集め、場所をつきとめ犯人を追いつめる。同心・熊野が捕まえる。お庸への損料は子供たちの呼び込みになった。
神坂藩の家臣がお庸を見張っている。2が飛んでいるからか何故見張られたり調べられたりしているのか判らない。
日本橋加賀屋の白猫が年を取り、二代目を探している。お庸は同じような子猫を捕まえ連れて行く。頼みに来た五右衛門は猫だった。五右衛門は損料としてお庸の実家の家神に成ろうとしているりょうの遊び相手をしている。
塗物師の家に亡霊がでるという。産後の日立ちが悪くて亡くなった妻・かなの亡霊だった。亡霊は黒い陰の様なものになってどんどん増える。瑞雲はりょうの力をお守り袋に入れ、塗物師の家の亡霊の調伏する。かなは正しい道へ行った。