2019年12月30日月曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊼

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊼ 蜻蛉の理 小杉健治
 鮮やかな手口で富商を狙った不殺の賊だった陽炎一味が六年ぶりに現れた。店者を惨殺する凶賊になっていた。
 南町与力・青柳剣一郎は、北町の水川秋之進の早過ぎる登場に不信感を持った。水川は剣一郎に助力を乞う。三商店を襲った陽炎一味がもう襲わなくなった。またもや青柳陽炎一味を取り逃がすということになる。
 剣一郎は調べを進め、六年前の陽炎一味を見付け出す。元陽炎一味の二人に付け加わった者がいることが判明する。元々陽炎一味だった二人は殺されて見つかる。加わった剣術家二人は水川が捕物に出向き殺してしまった。刃向かったため。黒幕を突き詰めることなく陽炎一味は殺された。
 剣一郎は、押込みに見せかけ「川津屋」の主人殺しが目的だと思った。そのことを水川は知っていたと思われる。
 剣一郎は、献上品横流しの時から探っている老中と加賀藩が関わっていると考えている。

2019年12月28日土曜日

菊花の仇討ち

菊花の仇討ち 梶よう子
 安政三年 1856年
 北町奉行所同心・中根興三郎 兄の急逝で家督を継ぐ。普通は兼任する両御組姓名掛っを三年。興三郎は十五年変化朝顔を作り続けている。
 くだりの小袖 去年の大地震後、子供を利用したかっぱらいや小さな盗みが続いていた。興三郎は変化朝顔の小袖を見付けた。植木屋の留次郎の娘・みねが気に入って買った。みねは幼馴染みの徳を探して欲しいと頼む。小袖の変化朝顔は、大坂で咲いた花だった。咲かせた者は着物の絵付けにし、妹に送っていた。送られた着物は徳が手に入れ古着屋に送っていた。徳は兄が地震で身体が不自由になった妹に送った物だと知り古着屋から買い戻そうとしていた。徳は子供たちと生きるために盗みをしていた。徳は隠密廻り・松沢福太郎と奉行所に行き、全てを話した。
 鳴けぬ鴬 中根家の雑事を全部こなしている藤吉。芸者・小梅がお座敷で客の財布を盗むために利用され、中根屋籐兵衛の名で料理屋に通っていた。
 善の糸車 興三郎が時々朝顔の話をしに行く星陵塾の生徒・腰越順平のいる長屋に人の面倒をみることが好きというそめがいた。解き放たれた徳に店を持たせていた。足を怪我して面倒をみてもらっていた左官が怪我が治っても働かず、貰ったお金で博打をしていたことを知り愕然とする。他人の人生を変えてしまうもう真っ平と。興三郎は、一人で店をやれない徳、身寄りの無い徳と母子になれと背を押す。
 菊花の仇討 興三郎は、中江惣三郎を知る。菊作りをしていた。菊作りの金持ちの菊に虫を仕掛、虫退治のあと奇麗に花を咲かせる。興三郎は中江と間違って命を狙われる。中江は留次郎に鍋島様の紹介を頼む。中江の父は吹上御庭で菊を作っていた。腕の良さに妬心を抱いた同僚に虫を仕掛られ枯れたため御役御免になった。父の作りたかった菊を作る夢を受けついだ。それが仇討だった。そのためにいろんな所に出入し、菊を手にする。中江は捕まる前に菊を見せる。「百種接分菊」だった。中江は捕まるつもりだったが誰も訴える者が無かった。興三郎はこの菊を咲かせ上様に献上されるといい杏葉館様もきっと口添え下さるだろうと言う。
 花ぬすびと 成田屋留次郎が主催する花合せの客花・長助の花が無くなった。盗まれた。団扇に描かれた朝顔の絵を見て犯人が判った。花の手入れをされ見つかった。団扇売れの少年・勘吉が団扇絵師の兄に珍しい花を描かせたかった。勘吉の吟味の時、興三郎ともと同心で今は植木屋の岡本の一芝居で屹度叱りとするとなった。
 わりなき日影 腰越順平の友人・夏川市之助の姉が地震以来行方不明だった。市之助の両親は亡くなり、姉は親戚から帰り道で地震に遭っていた。市之助はもうすぐ上州へ行く。そんな時吉原の遊女の仮託から吉原までの行列の中に姉を見た。姉を探して欲しいという願いだった。菊水だった。始めは姉と認めなかったが、やっと認めた。目が悪くどんどん見えなくなっているらしい。地震のあと世話になった夫婦のために身を売ったのだった。菊水と夏川家の変化朝顔の種10粒と交換された。二人は上州へ行った。

2019年12月26日木曜日

聡四郎巡検譚〈四〉 抗争

聡四郎巡検譚〈四〉 抗争 上田秀人
 元吉良の家臣が、手薄な水城邸から上様の孫を奪い、偶然知った吉良の家臣が孫姫を救いお家の再興を願うという筋書きを描いた。水城家に突入するが、入江無手斎と袖に阻止された。水城家を見張っていた伊賀者を、京都で水城の家来になった播磨麻兵衛が追った。元伊賀の忍・藤川義右衛門も孫娘を狙う値打ちを考えるが、今は江戸の闇を支配するために品川を支配地にするために、品川を襲う。
 水城聡四郎は京の炭屋・出雲屋惣兵衛と木屋町に行き帰りを襲われる。そこに町奉行所の者がいるが知らん顔だった。東町奉行所に行くと奉行は何も無かったことにしようとする。
 水城は大坂に行く事にした。
 吉宗は大岡能登守と顔を合わせた。
 

2019年12月24日火曜日

武士の流儀〈二〉 

武士の流儀〈二〉  稲葉稔
 昔の男 桜木清兵衛は二十年以上前に関わった悪さをする男・権蔵を久々に見た。地回りを追い出し、商家からみかじめ料を無理強いしている。地回りの遺体が浮いた。清兵衛は地回りを殺したのが権蔵だという証拠を持って権蔵を捕まえ、自身番に知らせた。
 道草 商家の遊び人の若旦那が、人の妾に手を出しそうになり、主に知られた。仲に入りその場を納めた桜木清兵衛に、若旦那は礼を言いながら金を出す。かちんときた清兵衛は、金や物で返すものではない。誠を持って感謝せよと言う。若旦那の父親にも、甘やかして育てたのうと言う。
 海棠の花 自分の道場を失い妻を離縁し息子とも別れて暮らしている元剣道道場主と会う。何も食べず倒れたところに居合わせた清兵衛。妻子の長屋に働いて得た金を放り込む。息子・石塚辰太郎は道場の試合に勝ち師範代になれそうだ。清兵衛は三人を会わせ話をさせ、三人で暮らすことになった。
 仇討 清兵衛の息子・北町奉行所当番与力・桜木真之介の下に、佐倉の名主の長男・甚之助が父親の仇討をするとやってきた。届けも出ていないことなので許可を出せず帰らす。気になった真之介は清兵衛に話す。清兵衛は甚之助の仇討を止めさせることが出来ない。一緒に堀田家の屋敷を見張り仇・柴田源兵衛を探す。柴田は名主殺しが判明し、同僚の刀を盗み逃亡したため、佐倉藩の目付も探していた。清兵衛は柴田を見つけ出し、甚之助の敵討ちを止め、目付に渡す。

2019年12月22日日曜日

せき越えぬ 

せき越えぬ 西條奈加
 武藤一之介27才 小田原藩先手組方、四人扶持
 武一には道場の友、騎市がいた。騎山市之助。千石。年寄役。忠真の中小姓をしている。
 箱根の関所の伴頭の手形の改竄を配下に命じ、意図して関越えの邪魔をしていることを関所の足軽・衛吉の手を借り調べ、証しを大目付に訴えた。箱根関所の梃子入れがなされた。
 武市はお先弓方になり五人扶持になった。一緒に調べた斉藤兵六、松田中也、越坂晋輔も僅かながら扶持高があがり関所番士になった。
 目付も配されるようになった。番士の見張りだった。
 新しく女子の改め、人見女が入った。武一が箱根越えで困った時に助けてくれた千野理世だった。
 箱根の山の中で理世と騎市が会っているのを見た武一は気が気でない。騎市の学問塾の師匠が理世の元夫だった。離縁され夫は江戸に出ているが、シーボルト事件に関連し、お咎めを受けるかも知れないため西国へ逃げようとしていた。
 武一は騎市に頼まれ、師匠と騎市を関所抜けさせる。騎市は病気で療養中ということになった。
 

2019年12月20日金曜日

人を乞う

人を乞う あさのあつこ
 伊吹籐士郎は天羽藩藩主吉岡左衛門尉継興の参勤交代の一行と共に国許に帰った。
家老や次席家老の不正を暴き、執政の場から退けられ、閉門蟄居、切腹かと思っていたが、変りはなかった。
 藤四郎と柘植左京が側用人四谷半兵衛に城に呼び出されたために藤四郎は元服する。元服親は姉・美鶴の元夫今泉宗太郎に頼む。
二人は半兵衛に、家老一派の密書を持ち江戸へ行く密使の暗殺を命令される。二人は断るが、密使の一人が風見慶吾と知り、助けるために受ける。慶吾に付く刺客を四人倒し、慶吾を連れ、慶吾の母を逃がし、藤四郎が住む砂川に逃げる。
 今泉宗太郎が頭をまるめ、医者になったと砂川に来る。家を出てきた。
 地震が起り、山津波が起こった。十日後、山が崩れ、家が倒れ、藺草田は半分潰れているにも関わらず、年貢納入は半年猶予、四分の一を免除するとの沙汰がきた。
 藤四郎は強訴にならないよう、天羽の政が変ったのか試すために訴状を持って側用人の所に行く。十日後、検分使が来た。七日後、年貢の八割免除、御救夫食米の加増、土砂除けい入費の全面負担、見舞金付与の沙汰が下った。しかし、二人は三月経っても帰らなかった。次の年の夏、二人は返された。藤四郎はやつれ切っていた。十日が経っても眠ったまま、水以外は吐いてしまう状態だった。 
 左京は領外追放になった。側用人は藤四郎をこのまま牢内で殺すつもりだったようだ。知り過ぎた。誰かが殿に進言した。藩主自ら放免を命じた。左京は柘植の者だから天羽の闇を担って来たものだから、全てを忘れることを誓い、藤四郎に手を出さない約定を取り付け、領内追放になった。左京は藤四郎に会わずに江戸へ発った。
 藤四郎はここで生きることを決めた。

2019年12月18日水曜日

福田さんのラクラク大収穫!

福田さんのラクラク大収穫! 野菜づくり 福田俊
 連続混植栽培のすすめ

農薬に頼らない病虫害対策 野菜だより
 おいしい野菜をつくる防除と対処法
 病害虫100以上の対策と被害を拡大させない畑づくりのコツ

名人農家が教える有機栽培の技術 新井俊春

野菜作り「コツ」の科学 佐倉朗夫

プランターの田畑リレー栽培 中島康甫
 
始めてのやさいづくり12ヶ月 家の光協会
 イラストでよくわかる
 野菜の保存方法、栄養価を逃さない調理のコツ

2019年12月15日日曜日

新・酔いどれ小藤次〈十五〉

新・酔いどれ小藤次〈十五〉 鑓騒ぎ 佐伯泰英
 文政9年正月
 一日から森藩の近習頭・池端が訪ねてくる。小藤次は藩主・久留島通嘉に会いに行った。
何者かから初登城の折り森藩の御鑓先を頂戴すると脅されていた。
 小藤次は見習い鑓持ちになり、襲ってきた浪人を撃退する。御礼登城にも襲われた。小藤次は辻芸人に化けて撃退する。大目付は背後にいる者を調べた。前将軍時代に全盛を誇った田沼意次の四男・意正の家来・亡き殿の栄華を追う家臣がやったことだった。
 駿太郎は桃井道場に通うようになった。同じ年ごろの子との付きあいが必要かとの思いで。
 正月末、家斉は鷹狩りの休憩を望外川荘でとった。田沼意正も訪れあやまり落着した。山菜天ぷら蕎麦を食べた。家斉はりょうが書いている「鼠草紙」を見る。
 

2019年12月13日金曜日

名残の花

名残の花 澤田瞳子
 鳥居胖庵・鳥居甲斐守忠輝(77才) 丸亀藩京極長門守の元から江戸に帰った。
明治五年 東京の姿を見、憤懣の対象でしかない。
 滝井豊太郎・猿楽(能楽)一派、金春座の地謡方、中村平蔵の門弟。 

2019年12月11日水曜日

蘭方医・宇津木新吾⑩ 無愧

蘭方医・宇津木新吾⑩ 無愧 小杉健治
 松江藩お抱え医師を辞めた新吾は、牢屋医師を務めることになった。仕事は新吾の抱く理想の医療とはかけ離れたものだった。
 拷問を受けるが一貫して無実を主張する男・佐吉がいた。質屋の主人を殺し、二十両を奪った犯人として捕まっていた。仕事を代わってもらいながら事件を調べる。
 人食い紀三郎という血も涙もないといわれる冷血な盗人を捕まえる現場に居合わせた新吾は紀三郎を投げ飛ばし捕まえる。紀三郎は病気だった。このままでは市中引き回しになる前に病気で死ぬとおもった新吾は、紀三郎に手術を受けさし罪を償うようにするために働き掛ける。紀三郎は佐吉は無実だと言い、新吾の調べを応援してくれる。
 佐吉が犯人で無い証しが見付けられないが、調べは進んだ。奉行所は佐吉を拷問し自白を取ったことで、間違いを認めず早く死罪にしようとしていたが、奉行の一言で新吾の調べを聞き、真犯人を調べることになった。質屋の若旦那と妾、妾の兄が捕まった。娘夫婦に子が無く、実の娘が亡くなり、養子の若旦那には妾がいる。若旦那を帰し、次女の次男を跡継ぎにしようとしていた主人を殺し、若旦那が店を継いだのだった。
 紀三郎は佐吉の再調べを条件に、奉行所のやりたい格好で獄門になることを了承した。市中引き回しにされながら、皆をにらみ返し悪態をついて悪者として死んで行った。
 佐吉と新吾は紀三郎を見送った。

2019年12月9日月曜日

浮世絵惣次日月抄〈三〉

浮世絵惣次日月抄〈三〉 汝よさらば 門田泰明
 廣澤和之進との果し合いで顎を斬られ敗北を認めた宗次は、傷の手当てをしていた。
 廣澤和之進は、田賀藩藩主・高柳藤四郎常光より、駿岡藩の領国改役・北条一心斎正頼の暗殺を命令される。暗殺は成功する。和之進は国許へ帰る途中暗殺団によって殺された。
 西条美雪は、宗次に会わない決心をした。宗次は浄土宗関東総本山永幸寺講堂の壁面に菩薩九体を描き始めた。

2019年12月7日土曜日

隠密船頭〈三〉 謹慎

隠密船頭〈三〉 謹慎 稲葉稔
 南町奉行・筒井和泉守の引きで隠密となった沢村伝次郎は、町廻りの途中何者かに襲われた。意識が戻った伝次郎の目の前には、上田屋太兵衛の死体があった。北町同心二人・島田元之助と広瀬小一郎から疑いを掛けられ、疑いを晴らしたものの謹慎になる。与茂七と粂吉の手を借りて同心に知れぬよう調べを始める。
 自身番の久右衛門が殺され、広瀬の手が取られ、伝次郎に声を掛けてきた男も殺され、上田屋の事件は何も解らない。
 北町奉行大草に頼まれ伝次郎は助をすることになった。
 本当の狙いは広瀬だった。広瀬に掏摸で捕まり死罪になった男・新五郎の復讐のために広瀬に殺人の濡れ衣を着せようとした。掏摸で捕まった新五郎は、若い掏摸・佐吉を庇い、擦った財布を所持し、久右衛門に犯人と言われ、広瀬に逮捕された。新五郎を恩人と思う金三郎は、奉公していたころの上田屋の扱いに腹を立てていた。広瀬と伝次郎を間違えたために伝次郎に声を掛けた男は殺された。
 千草はもう一度店を始めようと思った。

2019年12月5日木曜日

京都寺町三条のホームズ・12

京都寺町三条のホームズ・12 望月麻衣
 〜祇園探偵の事件帖〜
 ホームズ・家頭清貴は九月から小松探偵事務所で修業をしている。清貴は焦る円生を見ていられなくなり自分の許に置きたいと円生も同行していた。
 あまりに仕事がないので、清貴は知りあい廻りをする。
 祇園の舞妓さんから幽霊の話を聞く。円生が担当する。
 芸舞妓・ほの香ともも香はストーカー被害にあっていた。
 高辻洸一からの相談は二十年前に殺されそうになり階段から落ちて記憶障害になった。そのまま二十年が経った。自分を殺そうとした人を探してほしいということだった。
 集まったのは本人53才。高辻夕花50才妻。土橋達夫45才執事。深沢浩二43才(洸一の実弟)住所は鎌倉。深沢良子42才(洸一の実妹)この家に同居の五人だった。五人の話を聞く。
 利休に舞妓になってもらい囮にして幽霊騒ぎを起こしている者を捕まえる。そのままストーカーを捕まえる。ストーカーは浩二だった。
 清貴に嘘を指摘された、妻・弟妹は真相を話す。二十年前、洸一は養子に入り実家を助けて貰っていた。高辻の金を使って好き勝ってをしていた。芸子を好きになり駆け落ちしようとしていた。この家を出ると言う洸一に夕花はナイフを持って追いかけた。結果階段から落ちた。目覚めた洸一は何も覚えていない。洸一は良い夫になった。自分のことを何も覚えていないことを知った芸子は国に帰った。二十年前の真相だった。
 もも香は洸一と芸子の娘だと分った夕花は、浩二に頼んで、ストーカーをし、幽霊騒ぎを起こしてもも香を追い出そうとしたということがわかった。
 
 葵は清貴から高価な茶碗の写真のファイルを貰った。様々な角度から撮られて高台も写されていた。葵は貴重なものをありがとうと言うが、円生のために用意したのだろうと思うと悔しい。

秋人が来る。ご当地レンジャーから人気者が離れていくと言う話をする。ホームズは平安神宮に誘う。秋人は平安人は歴史が浅いと言う。明治になって首都が東京に移り廃れる京都にこのままではいけないと建てられたのが平安神宮だった。京都の矜持と熱意と決意の集大成だと清貴は話す。
 
 小松探偵事務所は仕事が舞い込むようになった。
 澄川佐吉45才・祇園で料亭、飲食店を何軒も経営しているが、両手に載る程度の頑丈そうなアンティークな鉄製の箱の解錠のための暗号の解読を頼みにきた。祖父の残した手紙という物があった。
 もう一つの佐吉依頼は、従兄弟がはじめた飲食店がぼったくりバーのようで、警察沙汰になる前にお灸を据えたいというものだった。店で高価というワインが贋物と証明し、暴力を仕掛けてくるのを撮影し、ぼったくりを改めるように言う。相手は佐吉に頼まれたな。またあいつが邪魔をすると言う。
 華道教室に行っている妻が、帰ってくると酒と男に匂いがしてるので調べて欲しいという依頼。華道教室を調べると、ぼったくりバーと繋がり佐吉の金属の箱とも話が通じる。
 清貴は佐吉を呼ぶ。華道教室の敦子は佐吉の叔母、佐吉の従兄弟・博樹は敦子の息子だった。佐吉は本妻の娘の息子、博樹は妾の娘の息子だった。金属の箱は妾親子に残された物だった。持っていたのは敦子。二十五年前、家に放火され奪われた箱だった。放火したのは本妻の娘・佐吉の母だった。二十五年で時効成立だと考えた佐吉は解錠を頼んだのだった。
放火は十月だったので、時効は成立していないが時効とは関係なく、信頼の問題だという敦子。博樹の母親を訴えるかじっくり考えるという敦子は、佐吉に博樹への手助けを頼み放免した。金属の箱から出てきたのは、二億円以上はするブルーダイヤだった。敦子は円生にボディガードを頼み、宝石鑑定と銀行の貸金庫に預けるようだ。
 華道教室の実態は地下室のバーだった。依頼人に話すと、驚いたが浮気でないなら良かったとのことだった。
  
 清貴は円生を「二人のナミカワ」の七宝の展示会に行く。二人の話をする。円生は前もってきた写真を見せて欲しいという。
 清貴は私設美術館構想の迷いを話す。

 葵は藤原慶子の誘いでニューヨークに行くことになった。女性キュレーターの卵に、講演会や談話会をする。

 蔵にジウ・イーリンがきた。
 

 

 


2019年12月3日火曜日

江戸のお庭番〈4〉 富籤始末

江戸のお庭番〈4〉 富籤始末 藤井邦夫
 旗本御家人の監察役目付が何者かに闇討ちされた。お庭番・倉沢喬四郎は、吉宗の直命で探索に乗り出す。
 喬四郎は帰らぬ夫を探す武家の妻女を助けた。夫・御家人風見平内は目付を殺し、徒目付を殺した。喬四郎は平内に傷を負わせ、大名家の草だと突き止めるが平内は自爆した。目付は倉橋家が草ではないかと探っていたために殺された。平内は賢徳寺の富興行を探っていた。賢徳寺から出てきた侍は紀伊藩江戸中屋敷の者だった。
 喬四郎は中屋敷を探る。留守居番頭は切れ者で有名だった佐橋采女正、留守居番に幼馴染みの麒麟児と言われた村上和馬がいた。喬四郎の仲間・才蔵は平内の仲間を見張っていた。
 賢徳寺の富くじに紀伊藩・佐橋が関わっていた。吉宗は容赦は無用と言う。
 草は甲賀忍、背後には仙台藩伊達家がいた。差配・雇い主は白石紳一郎だった。賢徳寺の富くじの裏に潜む紀伊藩の企みを暴き、騒ぎをおこすことが狙いだった。
 当日、最後の百両の富突の時、寺の下男・峰吉が木箱の下の台の隙間に大錐を突き刺した。白石が木箱を動かし大錐で刺された男を引きずり出した。前もって決めていた札を大錐に刺していたことを明らかにした。
 紀伊家佐橋様の指図と言う賢徳寺別当蒼海を村上和馬が斬る。富付は中止になった。村上和馬は白石を殺そうとしたが、喬四郎が阻止した。喬四郎は紀伊家に起きざりにされた遺恨だと言う佐橋を成敗した。
 平内の妻は白石の叔母だった。白石家に戻った。
 和馬は喬四郎に白石を助けたのはお前かと尋ねる。佐橋を斬ったのもお前かと尋ねる。試合を挑んだ。そして破れた。

 

2019年12月1日日曜日

栄次郎江戸暦22 見えない敵

栄次郎江戸暦22 見えない敵 小杉健治
 田宮流抜刀術の達人で三味線の名手矢内栄次郎は手首を痛め撥も刀も握れずにいた。
 尾行者がいる商人と知り合いになった。千扇堂の藤吉。藤吉は五年前、友達・十蔵と金貸しのところに盗みに入った。主は殺されていた。二人は五十両を奪って逃走。すぐ殺しの犯人は捕まり獄死した。五十両の在処は分らないまま殺して金を奪ったことになっていた。二人は店を持った。今、藤吉と十蔵は盗みで脅迫されていた。栄次郎は新八に手伝って貰い、脅迫しているのが、岡っ引き・段平と元同心・蓮見常五郎だと突き止めた。蓮見は殺しと脅迫は自分が首謀者だとして自死した。段平と小者は遠島になった。脅迫された金は返ってきた。脅迫は無かったものとされ、五年前の盗みの二人のことも無かった事となった。

 栄次郎の兄・二百石の御家人・御徒目付の栄之進に再婚話があった。相手はある事件で知りあった書院番三千石の旗本大城清十郎の娘・美津だった。大城は栄次郎の出生の秘密・大御所治済の庶子だということをを知っているからこその身分違いの再婚話だった。美津を狙っていた旗本の家来が栄次郎の命を狙う。手首を使えない栄次郎を栄之進が守る。栄之進は美津を好きなのだが、縁組みを断ろうと思っている。美津も栄之進を気に入ってはいるのだが・・・。