大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 山本巧次
その蔵はなぜ狙われる
亀戸村の札差の寮の新しく出来た巨大な蔵に三人組の侵入者があった。次の日、竪川に遺棄された刺殺遺体が発見される。馬喰町の源七親分に相談されたおゆう親分こと関口優佳は、科学分析ラボの宇田川の協力で二つの事件に関連があることを突き止める。
何故、賊は、空っぽの蔵に忍び込んだか。殺されたのは誰か。
隣の札差・播磨屋の寮に引退した松平定信がお忍びでくる。生田屋の蔵から火矢を放たれることを、宇田川・千住の先生と優佳は阻止する。
白河と桑名と忍の領地替えにより、家族を失った者の意趣返しだった。
事件により、播磨屋の納屋の地下の隠し金が見付かる。
生田屋の蔵は、播磨屋で火事になっても蔵で延焼を食い止めるための物だった。
蔵を建てた左官は何も知らなかったが、これだけの物を建てたという自負があった。
九十九年後、九月三日、先祖が建てた蔵に集まった左官家族が、先祖の仕事を誇らしげに礼を言った。
宇田川は、同心の鵜飼伝三郎が、江戸時代の人間ではないと読、何時の時代の人か研究している。鵜飼は昭和二十年の人。宇田川は、五・一五事件を知り、ケネディ暗殺を知らないと考えた。
鵜飼は、おゆうと宇田川が、時代を行き来していることを感じている。何をするためにそうしているのか考えあぐねている。