銀座「四宝堂」文具店Ⅳ 上田健次
リボン 大学生時のバイト先のスーパーで出会った母子。DV被害から逃れて離婚した。入社翌日に、十才年上の彼女と結婚し、十才年下の娘を持つことになった。三年で彼女は亡くなる。元夫に娘・結は自分が育てると宣言する。葬儀の後、結は、遺景のリボンを黒から赤に替えた。
結が結婚する。四宝堂でフォトフレームを買い、昔を思い出しながら結にお祝いの手紙を書く。
後日、結と自分より年上の結婚相手を連れて四宝堂にくる。
スクラップブック マツキヤ百貨店の社員食堂で働く五十嵐恵が、ニコニコ接客する様子を見て、暴言を投げつける百貨店の夫人靴売り場で働く谷村。それを見ていた嘱託で接客サービスの向上などを統括している貴島が五十嵐に謝る。貴島は、五十嵐が切り抜きをしていることを知り、四宝堂でスクラップブック五冊と必要な文具を買いそろえ、お詫びだとして贈る。
バレーボール選手の夏川を応援し、夏川に励ましや力づけを受けている五十嵐は、スクラップブックに切り抜きを貼るようになった。
暴言を吐かれて腹を立てていた谷村の、丁寧な辛抱強い接客によりお客様に気に入ってもらえる。貴島に注意を受けていた谷村は、五十嵐に腹だち紛れの暴言を吐いたことを謝る。五十嵐は谷村に言われたことももっともと考え自分の態度を変えていた。
夏川が引退した。
ボールペン 工事長・工藤が、現場が終わり次の現場に移る間際、通りかかった四宝堂へ寄る。十年使ったクリップボードを買い替えようと思った。クリップボードと一緒に出てきたボールペン、LAMY 2000。昔を思い出す。新人で配属された現場で付いた、工事長・甲本・おやじさんだった。工事現場での一から十、人との接し方から心構えまで用意する物から心の用意まで。教えられることは全て教えるという甲本。現場視察にやって来たお嬢様が、ヘルメットを拒み安全靴を拒む。工事現場への入場を拒否した。お嬢様の刺しがねでリベートを受け取っているという話になり、個人で受け取っていない甲本だが、支社として責任を甲本に押し付けた。甲本は以前から書き持っていた退職願いを出した。工藤は甲本からボールペンを貰う。竣工式の時、協力会社の社長たちに、甲本の席がないことを責められ、出席していないお嬢様の席を甲本の席とした。
甲本は、鯛焼き、かき氷/味のエイゾーというお店を始めた。
初めて工場長を拝命した時、退職届を書き、甲本の書いた退職届の封筒に入れた。
良子がショッピングビルで買ってきた鯛焼きは、エイゾーのものだった。東京で売るのは初めてだった。
クリップ ガンちゃんこと岩本千代。 大橋商事の古い社員。元社長の正ちゃんと四宝堂に来る。祖父硯水に話を聞いてもらったと述懐し、硯に良く似ていると言う。正ちゃんの別れた奥さんと仲が良く別れた後も、奥さんに正ちゃんのことを話していた。営業の田端に、会社の金で飲み食いしてこんな金額、非常識だと言った事がある。奥さん(藤子さん)が、こっそり営業の現場を覗かせてくれた。営業会議に参加し、田端に色々教えて貰い、複数の商談状況を管理する資料を作り経理処理の準備をするようになった。田端がアメリカ支社長に決まり、ガンちゃんは会社を辞め付いていくことにした。藤子さんから、クリップを模したブローチを貰った。
今日、ガンチャンと正ちゃんは、久しぶりに会い、藤子さんの墓参りに行く。四宝堂にも寄っていた。正ちゃんが頼んだ出前を持ってきた良子を見たガンちゃんは、月子さんのお嬢さんと聞く。
奉書紙 良子の見合いが決まった。
滝川良夫。月子さんに会うのが目的で「ほゝづゑ」に客として通っていた。月子さんが興味を持った映画に行った。店のアルバイトに誘われ、キッチンのアルバイトを始めた。月子さんに手帖をプレゼントした。月子さんが四宝堂に釣書の筆耕を頼みに行った。硯水さんに月子さん結婚してしまうぞと言われ、月子さんに自分で書いた釣書を渡す。二人でマスターに気持ちを話し、お見合いは無くなった。林田良夫になった。月子さんは三十才になる前に亡くなった。
良夫は、良子の釣書の筆耕を四宝堂の硯に頼んだ。良子のお見合いを知った硯は、ダイヤの指輪を良夫に見せ、大切な人と離れ離れになるのはいやだと言う。どう良子に伝えればいいか判らない硯は、朝早く、良子を誘い、車で出発する。