2024年4月8日月曜日

すべての神様の十月

すべての神様の十月 小路幸也 
 2022年10月14日 何も書いていないのでもう一度読んだ。

 幸せな死神 バー・キャリオットで、ウィスキーを頭から注がれ榎本帆奈に見えるようになった死神。彼女との契約が成り立ちアパートの彼女の部屋にも行けるようになった。死神の幸せは誕生に立ち会うことという死神。花井帆奈になり赤ちゃんの誕生の場に死神を招待する。生命の誕生は素晴らしい、うれしいこと、幸せですねと言いながら死神は消えて行く。名前がないと言う死神に、赤ちゃんと同じ名前を付けた。私が死ぬ瞬間に来てよ。久しぶりですねって会いに来て看取ってよ。

 貧乏神の災難 自分の家が貧乏だと話す池内雅人25才。国立大学卒、三年で三社を首になった。話す相手は、貧乏神。雅人はそんなことは知らない。大庭と名乗ってもう会うことも無いだろうと話す。雅人の両親はよい両親だ。雅人の強運が発揮されると彼の両親は堕落してしまう。そうならないように貧乏神は彼に取り憑き彼の強運人生を〈小吉人生〉に変えてきた。貧しくとも幸せな人生を歩んでもらうために。貧乏神は、福の神と話している。彼は強運で莫大な富を手に入れる。最愛の母を失い、得たものを報われない人のために使おうとすると。福の神はこのバーを教えてくれた死神が消えたと話した。
 
 疫病神が微笑む  叔父・森山晴行が開業している小児医院に勤め初めた、看護師千佳21才。森山先生29才、イケメンのためお母さんからのアプローチが激しく、困った先生は、お母さん達に対して事務的で冷たい対処をするようになっていた。そんな中で、千佳は、保護者のように患者に付いてくる和服の夫人を見付けた。千佳はお大事にと声を掛ける。先生に、和服美人が見えるのは自分だけだったと聞かされる。今度見えた時に尋ねることにした。ドアを閉めあなた何者ですか?診察時間後彼女は来た。疫病神・小百合さんだった。疫病神が子供を病気にするのは、母親に子供と向き合わせ生活を変えるよう警鐘を鳴らしていると知った。先生のお母さんに対する態度が変わった。お母さんに微笑みながらお母さんを元気付ける。現れた疫病神の小百合さんは、微笑んでいた。先生が明るくなった。彼女が出来て結婚が決まった。

 動かない道祖神 オレは、交通整理の仕事場で少女から拾った財布を預けられた。交番へ持って行ってと。オレは忙しくてナカさんに代わって行って貰った。落とし主が現れ、入れていた58万円がないと騒ぐ。ナカさんは一週間休まなければならなくなった。オレは、少女が母親の財布から抜き取って隠していた56万円をくちばしで挟み、表に出す。母親がホストに貢ぐ金を持って行かさないように抜き取っていた。今から親子はどう建て直すか?
 道祖神のなかさんと八咫烏の私は見守る。

 ひとりの九十九神 大学を出て就職浪人を一年し、地元の印刷会社にグラフィックデザイナーとして就職した。一人暮らしを始めた部屋に、おばあちゃんが使っていたお釜を持って来た。幼稚園の頃からこのお釜は放しかけてっくる。九十九神だと言うお釜。彼女が出来た。彼女の前で父親が、母親の病気のことを話した。二人で母親の病気の心配をしている時、お釜が話しかけてくる。大丈夫おかあさんは助ける。そう言ってお釜は笑った。そして割れた。母親は良くなった。一年半後結婚した。よう久しぶりと電気炊飯器がしゃべった。

 福の神の幸せ 

 御蒔け・迷う山の神 

2024年4月6日土曜日

鬼役伝〈五〉 武神 

 鬼役伝〈五〉 武神 坂岡真

 市川団十郎が舞台上で殺された。犯人は生島半六。その場で捕まった。団十郎は猿婆の命の恩人である。事件の真相を突き止めようとする、行き着いた先は弾左衛門だった。弾左衛門と会い、弾左衛門から事件の裏があると言われる。
 求馬は、御用之間で橘主水から密命を受ける。相手は五十崎玄蕃。今将門を名乗る無頼の頭だという。納得できないと密命を受けられない求馬は会いに行く。求馬は五十崎が悪だと思えなかった。中町奉行所内与力・荒尾に声を掛けられ五十両で乞胸頭に誘われていた。五十崎は乞胸頭になり、浪人を率いて謀反を企てた首謀者として斬首され、市中引き回し晒された。
 会津屋五兵衛の灯心造りの利権を得るために団十郎が殺され、五十崎が捕縛された。老中・阿部豊後の右腕となるべく奥右筆・速水数之進がいた。
 切腹を覚悟で城中厠で速水を殺した。

 矢背から酒呑が江戸に来た。東山天皇と近衛、霊元上皇と二つに分かれていた。公弁法親王・寛永寺貫首。右衛門佐局は近衛家と繋がりが深い。
求馬自身の近衛家との繋がりを示唆される。


2024年4月4日木曜日

口入屋用心棒51 五重塔の骸

口入屋用心棒51 五重塔の骸 鈴木英治 

 南町奉行所同心・樺山富士太郎らは、駒込追分の鹿右衛門の隠居所で珠吉の命を狙っていた鉄三を見付け出す。瀕死に鉄三は今際の際に珠吉殺しを依頼したと告白する。殺し屋の正体を明かさぬまま息を引き取る。富士太郎と珠吉は、男妾を殺して姿を消した鹿右衛門を追う。
 翌朝、湯瀬直之進の愛弟子・源六と鹿右衛門の心中事件が判明する。怒りに燃える直之進は、源六の行動から、富士太郎は、鹿右衛門から殺し屋を探す。
 直之進は、源六が勾引かされていた破れ寺と隠れ家として借りていた家を割り出す。死神の似顔絵も作った。隠れ家に行くがもう居なかった。

 珠吉が寝ているところを襲われ勾引かされる。富士太郎は直之進と破れ寺に行く。鉄三は、珠吉を殺すにあたり、浅草寺の五重塔に骸を吊るし、朝日に照らされる惨めな姿を参詣に来る者に晒してほしいと頼んだ。珠吉は生きたまま破れ寺に連れ込まれた。直之進と富士太郎は、間に合った。直之進は、縛ろうとした死神に首を絡まされ締められる。直之進は脇差で死神を突き殺す。

2024年4月2日火曜日

長兵衞天眼帳② ぼたん雪

長兵衞天眼帳② ぼたん雪 山本一力 

 蒼い月代 室町の大店米問屋の三男・岡三郎が、小網町の扇屋・吉野家の一人娘に惚れ、持参金付きで養子に入った。吉野家は、一家総掛かりで、岡三郎を虚仮にすることをたくらんでいた。持参金目当てだった。一緒に住むようになり廻りの岡三郎にたいする気持ちが変わってきていた。
 長兵衛は、四五六が作った鼈甲の眼鏡を渡す時、福徳神社で、宮司に吉野家に幸を運んだのは野島屋の守護神様だ。野島屋から迎え入れた婿殿を大事にするよう言わしめる。

 よりより 村田屋の跡取り・敬次郎は、二年前の地震の前に長崎へ行った。二年の長崎遊学を経て江戸に帰った。江戸に帰った政三郎は、何かにつけ長崎では、オランダではだった。長兵衛は、敬次郎を研ぎ常兄弟に半年預けることにした。
 研ぎ常近くのつきかげで顔合わせをした。敬次郎は、長崎で通っていた店がここの女将の叔母の店だと知った。長崎から帰る前日、女将は敬次郎に唐土から伝わったよりよりという菓子を作ってくれた。敬次郎は、何故女将がお菓子を作ったのか分らなかった。
 二十日間ただただ見ているだけだった。自分の仕事場をあてがわれた日、研ぎ常は、料理屋の小火で使い物にならなくなった包丁類の研ぎを頼まれる。店に行き、常治は取り急ぎの三種・十二本の包丁を粗研ぎから始めた。敬次郎は、板長を筆頭に板前たちが、安堵の色を顔に浮かべたことが分った。
 敬次郎は常治とのはなしの中で、疑問の答えがわかった。唐土から伝わった物が、土地の自前の菓子として大事にしている。異国の物に寄りかからず自前のものに育てることに汗を流せと女将は教えてくれたのだろう。

 秘伝 鰻屋・初傳の傳助52才が鰻場で船から落ちた。傳助は、三年前から息子・太一郎に鰻割きを教え始めた。傳助は太一郎に譲ることを決めた。店を屋台骨から改築することにした。村田屋の眼鏡のことを聞き、村田屋で眼鏡を作ることにした。
 薬問屋柏屋の光右衛門62才は、柏屋秘伝の三種薬・乙丸・丙丸・丁丸の調合をしていた。村田屋で目の検査をする。長兵衞は、光右衛門の目が悪くなりすぎ眼鏡を作れないと言う。光右衛門に、こんな目で調合していて何かあったらどうするのだと言う。光右衛門は、代替わりを決心した。はらを決めれば軽くなった。

 上は来ず 十年前、老舗飴屋の吉右衛門の提案で、室町暖簾組合の冬の間の夜回りを火消し人足に頼むことにした。請負は鳶宿・豊島亭の安次郎、百両だった。長兵衛も一緒に掛け合った。
 長兵衛は、贔屓の芸者・純弥が、金持ちではなくても遊べる茶屋を作る決心をした時、飴屋本舗の吉右衛門と一緒に奉加帳を作り、広目屋の段取りもした。でき上がって分った。あの建物の持ち主は、安次郎だった。上は来ず、中は朝来て昼帰る、下は夜来て朝帰る、下下はそのまま居続ける。

 湯豆腐牡丹雪 安政三年(1856年)十二月六日 長兵衛は新蔵に誘われ王子村飛鳥山の鷹ノ湯にいた。二日目湯豆腐を食べ、按摩を呼ぶ。豆腐のおいしさを褒め、村田屋の眼鏡を話をする。按摩が聞いていた。夜更けに自身番に連れて行かれる。新蔵が十手を見せる。
 豆腐屋の豆助が、事情を話す。室町の村田屋の手代頭・与四郎と名乗る者が、八百善の板長に豆助の豆腐を仕入れさせるため天眼鏡を貢げと言われ、端切れに九両二分を包んで渡したと言う。与四郎は、村田屋の手代の証しだと言って天眼鏡を置いていた。長兵衛は、村田屋の天眼鏡が騙りの種にされたとあっては放っては置けない。豆助を騙りに嵌めた一味が来たと勘違いされたのだった。お金を包んだ端切れと同じものを預かり帰る。
 与四郎が置いて行った天眼鏡に刻まれた番号から与四郎の住まいが分った。差配に、端切れを見せて与四郎のことを尋ねると、与四郎は、去年の地震の時、隣の怪我人を助けに行き、落ちてきた屋根の下敷きになって亡くなっていた。江戸の外れで作る豆腐を名の通った料理屋に卸す仕事が始められそうだと意気込んでいた矢先だった。同じ端切れに包んだ九両二分を出してくる。
 十二月八日、与四郎のことを話に行く。豆助は与四郎に預けた金で天眼鏡を作って欲しいと頼む。

 
 

2024年3月31日日曜日

うっぽぽ同心十手綴り⑤ 藪雨

 うっぽぽ同心十手綴り⑤ 藪雨 坂岡真

 鹿角落とし 綾乃が、去年座員が赤ちゃんを産むのを手伝った女芝居一座が、河原芝居を打っている。勘兵衛は様子を見に行く。幹太郎と名付けられた乳飲み子を抱いたりんに会った。一座の人気は衰えを知らず、連日女芝居は大入り札止めだった。三座からの嫌がらせがあった。夜、縄を切られ芝居小屋が倒壊し、りんは下敷きになり亡くなった。新しく建て直した小屋も、奉行所の見回りをかい潜り、火矢を打たれ焼けてしまう。みんなの応援で、中村座で、りんの法要と名打った一日芝居が行われた。元一揆掃蕩の指揮を執った砂絵師は、佐保之丞一座と一緒に旅に出る。

 足力おでん 勘兵衛は、邯鄲師神輿草、新宿追分えんま屋におりという投げ文を貰い、内藤新宿へ出張る。印伝屋の番頭になり銀次と共にえんま屋を見張る。見せ物小屋の怪力おでんの足力が、神業だと聞き、予約する。勘兵衛は、一朱を出しても惜しくないほど気持ちがいい。でんの話を聞く。飲んだくれの已代治に買われ、逃げようとしても逃げられない。道具として扱われている。三日目、見倒屋備前屋が、九両二分盗まれた。でんに背中を踏んで貰った後だった。勘兵衛は八丁堀で、でんの噂を聞く。でんは夜鷹の元締・伊助に捕まっていた。奉行から礼を言ってもらうことを条件に、でんを引き取る。でんから已代治の居場所を聞き出し已代治を捕まえる。伊助は根岸奉行に呼び出され、夜鷹のために努力するようにと労いの言葉を貰った。でんのこれまでの話をし、連れて行く。備前屋はでんを内儀にする。番頭と心中事件を起こし助かった妾もいずれ溜めから出してもらうと考えている。

 藪雨 三十半ばの女が、袈裟懸けに斬られ胸をひと突き、同じ殺され方で二人が殺された。一人は大店の内儀、一人は、船饅頭。抱え主・与一の行方が分らない。二人は浮瀬のふうと同じ辰巳芸者だった。旗本・黒木が犯人かと名前が挙がる。ふうの廻りに与一がいる。
いちという芸者が訪ねて来た。十五年前に上役に強要され剽げた裸踊りをされたことを少し前に座敷に呼ばれたお大尽に懐かしくしゃべった。ものすごく剣幕で怒り死んでも許さんと帰った。黒木兵馬だった。その時の芸者が五人の内三人が殺された。あと二人はいちとふうだった。勘兵衛は浮瀬に行くが、ふうは斬られ仁徳に運ばれていた。斬った浪人は捕まえた。
 黒木を稲荷の祠に連れ込んだ。与一が仲立ちで浪人を雇い元芸者を殺させたことを白状させた。腹を切ることを強いる。与一を捕まえようとしたが、大川へ逃れた。七日経っても見付からなかった。与一はふうを刺した。ふうは死んだ。浮瀬はこまが継いだ。

 


2024年3月29日金曜日

栄次郎江戸暦30 闇夜の烏 

 栄次郎江戸暦30 闇夜の烏 小杉健治

 矢内栄次郎は、南町筆頭与力・崎田孫兵衛から相談を受けた。商家から二千両以上を盗んだ盗賊の頭が捕まり、手下の闇夜の烏と名乗る者から、三日以内に頭を解き放たなければ、どこかで人が死ぬという脅迫状が届き、すでに一人殺されたという。同心・蕪木真一郎に協力し犠牲者が出ないようにして欲しいと言われる。

 栄次郎は解き放つ気がない奉行所と闇夜の烏の繋ぎの手紙を見張る。また一人死ぬ。三人が殺された。
 頭を捕まえた時、手下を二人逃がしていた。その二人が闇夜の烏だと思われた。盗んだ金の在りかが知りたいのだろうと。一千両の要求があった。が手を付けられず、その後連絡がなくなった。

 栄次郎は、新八と調べ始める。栄次郎と新八が襲われた。
 栄次郎は火盗改めにもはなしを聞き、捕まっている女囚にもはなしを聞く。初めて栄次郎は大御所の子ということを利用した。
 始めに殺された正蔵は、鏑木が妾にしている園の亭主だった。二人目三人目に殺されたのは、逃げた盗賊だった。鏑木は盗賊の隠し金も自分の物にしていた。栄次郎が鏑木に突きつけると夜、自分と共に動いた岡っ引きを殺そうとした。栄次郎は鏑木に素直にしゃべるように諭す。

 若菜から呼び出しがあった。心が弾んでいた。

2024年3月27日水曜日

長兵衞天眼帳

 長兵衞天眼帳 山本一力

天眼帳開き 長屋のさちが、隣の老婆を殺した疑いで岡っ引き巳之吉に捕まった。巳之吉はさちが犯人と決めつけて捕まえたが、間違いでも構わないという考えだった。放してやるから自分の女になれというような。
 さちは助けたい小網町の新蔵は、縄張り違いでも長兵衞に相談し、真実の犯人を捕らえようとする。
 犯人を突き止めたが、注連次は船宿で賭場を開くゑさ新に捕まりす巻きにされるところだった。賭をし、注連次を取り返す。番所で話を聞いてから巳之吉の渡す。さちを取り返した。
 老婆は甥の注連次のためにお金を貯めていた。金を借りに来て、言い争い首を絞めた。金を貯めているという書きつけを見、喜んで叔母を見た時、首を締められ死んでいた。そこへさちが来た。逃げた。注連次もすぐに逃げていた。

 真贋吟味 木場の材木商・檜問屋の福島屋の当主が急な病で亡くなった。当主の弟・川並の岐阜新の新次朗が、もしもの時には後をお願いするという「書残」を預かっていると持ってきた。福島屋の内儀と頭取番頭・中悟郎、息子・豊太郎に頼まれた同心・宮本は、真贋鑑定を眼鏡屋村田屋の長兵衛に頼んだ。長兵衞は、新蔵と共に動くため、富岡八幡の幹次郎に声を掛ける。
 長兵衛は、二通の書残を比べ、福島屋の方には、日にちの脇に小さな点があることを見付ける。天眼鏡で見、米粒の先にも満たない刻印を発見した。主人・矢三郎は、身代を確実に豊太郎に渡すため、傳七親方の元には、わが手でしたためた書残には年号の脇に当該年の干支が押印されている。押印なき書残は、贋作であるという書状を残していた。