2021年1月29日金曜日

九代目長兵衛口入稼業

九代目長兵衛口入稼業 小杉健治 

 長兵衛は江戸花川戸で中間など人材派遣をする口入屋「幡随院」の主。

 同心・河下から旗本水野家で賭け場が開かれ、吉原の花魁に夢中になり金が必要らしいことを聞く。長兵衛は咎めを受ける前に忠親を救おうとするが、忠親と小夢は覚悟の上で相対死する。

 捕まらないと強気で賭け場を開く同業口入屋「万次郎」を調べた長兵衛は、万次郎の背後に火盗改の久保羽左衛門がいることを知る。上州からやってきた大前田栄五郎の知っていることと合わせ、久保が死んだことになっている喜平次を刺客として使っていることが判明する。

 久保は長兵衛を万次郎と共に押し込みと、中間部屋での賭け場開きの罪をなすりつけようとした。同心と徒目付の力を借り久保の悪業を晒す。

2021年1月27日水曜日

若鷹武芸帖⑦ 鉄の絆

若鷹武芸帖⑦ 鉄の絆 岡本さとる

 武芸帖編纂所頭取・新宮鷹之介は若年寄・京極周防守から日光奉行所の武芸の検分を命じられる。日光から帰り道、鉄砲撃ちの名人の話を聞き、鷹之介は原口鉄太郎と平助を連れ長田村に行く。

 名主に相談された根太七を殺した犯人を見付け名主に渡した。鷹之介は名人・土橋忠三郎に付いて射撃を習う。

 忠三郎は元幕府鉄砲方の田付組の鉄砲磨き同心だった。忠三郎は鉄砲に魅せられ撃ち方になりたかったが、御役替えなど望めないため、お役を辞して猟師になった。付いて来てくれると思っていた妻子は実家に帰っていた。原口鉄太郎の父親・鉄之丞は、鉄砲方の井上組の与力だった。大砲に魅せられ長崎へ行き客死していた。

 根太七殺しを名主がどう収めたかを知らせるためにも忠三郎が編纂所へ来た。忠三郎は矢場の主人になっている忠三郎の息子・彦太郎の父親が鉄砲師範と知った博打打ちに彦太郎の女房もんを人質に暗殺を唆される。鷹之介たちは忠三郎の様子から事を知り助けに行く。忠三郎はもんに刀を突きつける浪人を撃ちもんを助ける。鷹之介たちが取り押さえた。

 鷹之介の推薦で、田村組の鉄砲撃ち競べに忠三郎が出、技術が認められた。お役を投げ出したことを謝り長田村へ帰った。

 彦太郎は、桑原千藏の二件目の書店を営むことになった。

2021年1月25日月曜日

栄次郎江戸暦24

 栄次郎江戸暦24 帰って来た刺客 小杉健治

 栄次郎は雨の夜、辻斬りに遭遇した。逃げてきた覆面の侍が抜き打ちに斬り付けてきた。斬られたのは直参・徒目付・兄の朋輩・真島又一郎だった。咽を一刀のもとに斬られていることから、十年前の刺客が戻ってきたように思われた。栄次郎は昔の犠牲者と真島以前に咽を斬られた犠牲者を調べる。

 十年前の犠牲者は悪と評判の者ばかりだった。今回の犠牲者は共通する物が無かった。栄次郎は同じ者の仕業ではないと思った。

 今回の刺客は、十年前に殺された者の用心棒をしていた道場主の息子だった。強いと評判の道場主が殺され道場は立ち行かなくなった。息子は刺客を探すため同じ殺し技を練習した。探し出すため、刺客を始めた。わざと誘い出された十年前の刺客を栄次郎は助ける。

 刺客は仏師になっていた。十年前の刺客を奉行所は追わなかった。奉行所に手が出せない連中ばかりが殺されたため追わない約束で、姿を消すように指示したと栄次郎は考えた。

2021年1月23日土曜日

九頭竜覚山浮世綴〈五〉

九頭竜覚山浮世綴〈五〉 一色町雪花 荒崎一海

 師走の一面雪の朝、深川一色町の河岸で一色小町と評判のみつが死んでいた。さらに、料理茶屋の女中頭が井戸端で首を絞められ殺された。みつめあてに出茶屋に通っていた表店の若旦那二人が溺死体で見つかる。門前中町の用心棒・九頭竜覚山は事件を調べる。

 覚山は船頭・松吉が情報のある人々 の繋ぎ役をし、四囲の情報を聞く。北町定町廻り・柴田喜平次や南町定町廻り・朝井駿介等から事件のあらましを聞き、疑問点を知らせ、分かった情報を知らせる。

 井戸端で殺された女中は料理茶屋の主人と関係していた。女将を調べて訪れた居酒屋で怪しい反応した客を捕まえた。客・勘助は船頭だった。勘助の調べからみつの殺しと若旦那たちの殺し、茶問屋への盗賊のお仕込み、引き込み、船頭殺しがあきらかになった。

 みつは盗賊たちの下見の現場近くに居たため殺された。盗賊の逃げるために雇われた船頭二人うちの一人が怖がったため殺された。盗賊は日を改め後日、茶問屋へ押し入った。茶問屋の番頭が引き込みをした。盗賊は道場主だった。召し捕りに入ったが逃げられ、怪我人が多数出た。

 女中は料理屋の女将と女中と所帯を持ちたいと考えていた板前の犯行だった。

2021年1月21日木曜日

よろず屋平兵衛江戸日記② 

よろず屋平兵衛江戸日記② 姉弟仇討  鳥羽亮

 浅草福井町居酒屋「吉田屋」の主・佐竹平兵衛は若い姉弟に仇討ちの助っ人を頼まれる。二人の父親は道場を開こうとしていた。近所に道場が出来ては困る道場主に殺されたようだ。

 御家人の次男・清水宗次郎と元岡っ引き・安次郎に手伝ってもらい、二人の仇討ちを助ける。

2021年1月19日火曜日

ぜえろく武士道覚 書斬りて候

 ぜえろく武士道覚 書斬りて候上下 門田泰明

 二度目です。

2021年1月16日土曜日

サムライブルーの料理人

サムライブルーの料理人 西芳照

 サッカー日本代表専属シェフの戦い

 1997年誕生の福島県のナショナルトレーニングセンター、Jヴィレッジの総料理長 

 2004年3月 シンガポールワールドカップドイツ大会アジア地区予選から帯同。7年にわたり五十回以上、日本代表とともに海外遠征試合を経験。ワールドカップドイツと南アフリカ大会を経験。

2021年1月12日火曜日

わが家は祇園の拝み屋さん〈13〉 

わが家は祇園の拝み屋さん〈13〉 秋の祭りと白狐の依頼 望月麻衣

 小春と澪人は東京から京都に帰った。 澪人は櫻井の家で同居することになった。

 狐神・コウメと伏見の白狐に、やんごとなきお方を喜ばせたいとお願いされる。伏見商店街で祭りの企画をする。やってきたやんごとなきお方とは、宗次郎と杏奈だった。二人は結婚して伏見に店を出すことになった。

 三善朔也は本部長の誘いで陰陽師組織の審神者頭・澪人の右腕になることになった。

 藤原千歳が京都に住むことになった。

2021年1月10日日曜日

蘭方医・宇津木新吾⑫ 奇病

 蘭方医・宇津木新吾⑫ 奇病 小杉健治

 新吾は牢屋医師から松江藩のお抱え医師に復帰した。赴任早々、余命幾ばくもないと噂される側室の施療を任される。側室の身体を調べても病変は見つからない。心の病と見る。新吾は側室が何も食べず餓死しようとしていることに気付く。側室・綾の過去を探る。

 側室にあがる前に付き合っていた清次が現れ、綾の産んだ子は自分の子だと言ってやると強請る。悩んだ綾は父親に相談する。父親は殺しやに清次殺しを頼む。清次が殺されたと連絡を受けた綾は死ぬことを考えるようになった。殺しを請け負った者は綾の側近に殺されていた。調べた新吾は清次が亡くなっていないことを綾に知らせ、自分の行いを悔いている清次に会わす。綾は新吾の助言を受け少しずつ食べるようになった。

2021年1月8日金曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎51

 風烈廻り与力・青柳剣一郎51 白菊の声 小杉健治

 青柳剣一郎はくみから、道具商殺しの疑いで捕縛されている指物師・与吉が無罪だからしらべ直してほしいと嘆願される。調べ直すが不利な証拠ばかりでる。時間が無い中、裁きが下るが、大きい罠を感じる剣一郎は奉行、老中を動かす策をとる。

 裁きが下り、斬首された与吉が、与吉を犯人だと証言した者の前に姿を現す。心が咎めた三人は旗本の家来に頼まれたことを話す。御目付の旗本の殿様が亡くなった。亡くなったことをふせ、養子先から帰った弟を跡取りに据えることにする。企みを知った道具商が強請をする。そのために道具商が殺され、よく出入りしていた与吉を犯人にされるように仕組んでいたことが分かった。

 剣一郎は与吉の斬首を止めていた。与吉はくみの元に帰った。

2021年1月6日水曜日

しのぶ恋 浮世七景

しのぶ恋 浮世七景 諸田玲子 

 太鼓橋雪景色 嫁ぐ直前、医者を志し江戸に出てきた男と出会う。男は水戸藩士と関わり蘭学者の事件に絡む。駆け落ちしようとしたが、男は現れなかった。後に男の伝言を聞くが遅かった。出会いの無いまままた、水戸藩士による井伊直弼の事件を知る。男のことを思い出す。

 暫の闇 芝居の好きな男と、芝居の役者を描く男。

 夜雨 雨の降る夜、辻斬りを見たおしお。長屋で近所の弥助に按摩を受けながら思い出した。辻斬りは弥助だった。亭主の直感でおしおの危機を感じ、おしおを助ける。長屋に越してきたちょっと気になる傘張り浪人は奉行所の役人だった。おしおの証言で辻斬り犯は捕まる。

 縁先物語 若林角之助は隠居した。幼なじみの御先手御弓組与力・火付盗賊改方加役の配下・坂口栄左衛門と昔の事件の話をする。角之助は関係していた摂津屋の娘・初と女中が寮の火事で亡くなったと思っていた。亡くなったのは一人と聞き、寮のあった場所へ行く。亡くなったのは初だった。女中・民は子供を産み四十年生きた。雲水になった息子が民の墓をここに建てた。角之助の息子だったことが判った。

 さらやしき 百物語の絵を描く絵師。子供が見に来るが近所んい子供はいない。

 深く忍恋 船宿の女将の昔、恋した武士と女将を自分の者と思った男。遠島だった男が病気で島から戻る。亡くなった男の弟が武士・麻之助を殺そうとする。麻之助は死んだことになっている女将の墓参りを欠かさなかった。二人は遇う。麻之助は女将に会いに行くというが、女将は急いで引っ越した。

 梅川忠兵衛 梅川になりたくて真似をした小梅。萬右衛門を道連れにする。火事を出し、萬右衛門は捕まり死罪だと聞く。梅川を名乗ったり小梅になったり萬右衛門の良さが分かる。萬右衛門は解き放しになった。

2021年1月3日日曜日

武士の流儀〈四〉

武士の流儀〈四〉 稲葉稔 

 洗張屋 桜井清兵衛は散歩の途中で洗張屋にお邪魔する。洗張物を持っていくと伸子張り物の1枚が無くなったと騒いでいた。話を聞き近所を回って見つけ出す。丸く収める。清兵衛の妻・安江には角が生えていた。

 うなぎ 元大御番組組頭の奥平儀右衛門を知る。使用人から家族から神経が休まらないと嫌われているようだ。清兵衛は儀右衛門に近づき殿様は我が儘だという。他人に期さず、他人に望まず、代わりに人が望むことをしてやる、相手の気持ちを分かろうと努めると言う。儀右衛門は実行しようとする。家族と語らい使用人も安心し、儀右衛門自身も怒ることが無くなった。清兵衛に感謝する。

 八百屋の倅 五年前、御先手組同心だった竹吉は御家人株を売り八百屋になった。息子三郎は十六才になり、手跡指南所でも剣術の道場でも出来がよかった。侍になりたがった。清兵衛は息子・北町奉行所与力・真之介に相談する。侍の子三人に痛めつけられ仕返ししようとしている三郎に真之介は話す。三郎は八百屋を頑張ることにした。

 拾う神 近所の十三か四才ぐらいの少女・いとの働きっぷりが素晴らしいと安江が言う。母親は脚気で寝込んでいた。母親が五十両盗んだと香具師の子分に因縁を付けられいとを勾引かす。清兵衛は子分達を捕まえ香具師の親分と話をする。子分達の勝手な行いだった。母親が死ぬ。いとは仕事の一つ、賄いの手伝いをしていた旗本・杉畑家の養女になることになった。

2021年1月1日金曜日

あきない世傳金と銀〈9〉 淵泉篇

 あきない世傳金と銀〈9〉 淵泉篇 高田郁

 結が持ち出した型を使い、呉服屋音羽屋でも干支柄の小紋が売り出された。柄の中に鈴と五の文字があるため、五鈴屋から分けられた物と市中に認識された。

 加賀藩の注文を受けたため呉服仲間から外された。呉服を商わないで太物だけの商売を始める。

 結は日本橋音羽屋の店主になった。

 幸は大阪に帰る。太物、木綿の新しい入荷を考える。

 江戸では木綿の新しい染めを考案中だった。