2020年10月30日金曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊿

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊿ 悲恋歌 小杉健治 

 祝言の夜花嫁が密室から消えた。青柳剣一郎が調べる。鬼に喰われたと噂されたが、祝言前日に心中したことを隠すための芝居祝言だった。

 旗本の隠居から、三十年前、古い土蔵から居なくなった胡蝶を探して欲しいと頼まれる。胡蝶は旗本の父親から頼まれ、胡蝶は願いを受け入れ身を隠していた。二人は逢う。


2020年10月28日水曜日

親子十手捕物帳④ 

 親子十手捕物帳④ 親子の絆を確かめて 小杉健治

辰五郎は酒問屋滝三郎に、滝三郎の母を殺した罪で島流しになった石助が帰ってきて滝三郎の周辺に出没している。動向を探って欲しいと頼んできた。滝三郎は昔、観音組を名乗り徒党を組んで辰五郎の世話になっていた。母の死後、真面目になった。

息子辰吉は記憶喪失の娘・りさを助ける。りさの記憶を取り戻すため動いていると、滝三郎の母親の事件に当たる。

石助は濡衣だった。捕まえた繁藏は承知だった。石助は繁藏を狙っていた。繁藏は石助の悪さを知っていた。本当の犯人はりさの父親・松之介だった。松之介は繁藏が、親のいない子供を養っている寺に逃がしていた。滝三郎の母親は、息子を真っ当にするために自害するため松之介の刃物にぶつかってきたのだった。

辰吉はりさを連れて府中の寺へ行く。

2020年10月26日月曜日

ちよぼ 

 ちよぼ 諸田玲子

 加賀百万石を照らす月

 元浅井家家臣の娘・上木幾世。利家の妻・松の女中だったが、名護屋へ行き側室となる。息子・利常が加賀三代目藩主になる。松と交代し、人質として江戸へ行く。利家亡き後、寿福院を名乗る。

2020年10月23日金曜日

勘定侍柳生真剣勝負〈二〉 始動 

勘定侍柳生真剣勝負〈二〉 始動 上田秀人

弱みは財政、大名を観察する惣目付から家を守るために柳生家当主・宗矩は、勘定方を任せるべく隠し子の商人・淡海屋一夜を召し出した。渋々応じた一夜だが、柳生の庄で十兵衛に稽古を付けられながら石高を検分、殖産興業の算盤 をはじく。江戸に行く途中、京で商談をする。

江戸に入る直前、牢人に囲まれる。一夜は剣を使えないが十兵衛等の稽古は生きた。

柳生を名乗ることは断り、百石で雇われる。一夜には惣目付・秋山修理亮の命で甲賀忍者が見張りに付いた。それを見張る伊賀・柳生家の門番が付いた。一夜の女中に伊賀の里から妹を呼ぶ。

一夜は近所の金屋儀平の引きで駿河屋総衛門を紹介される。御用商人になってくれる。

宗矩は家光から会津の国替えを命じられている。

大阪では一夜の嫁の座を狙う、信濃屋の三人小町がいる。


2020年10月21日水曜日

代官山コールドケース

代官山コールドケース 佐々木譲 

 十七年前に代官山で起きた暴行殺人。容疑者の死で事件は解決したはずだった。今、川崎で起きた同様の殺人現場から同じDNAが見つかった。真犯人は別にいた。特命捜査対策室の水戸部に密命が下る。警視庁の威信をかけ、神奈川県警より先に犯人を逮捕せよ。

 犯人と思われた自殺した被害者の恋人・カメラマンの残した写真が手掛かりになる。残されたDNAは三つ。一つは恋人、一つは写真に写った建築家、もう一つは川崎にも残された不動産屋のものだった。建築家は殺してしまったと思っていたが、後からきた不動産屋が殺していた。写真を撮られた建築家は、写真を取り返すためにカメラマンを殺した。ネガも盗んだがベタ焼きが残っていた。自殺と思われていたが殺されていた。神奈川県警よりも早く不動産屋を逮捕した。

 この時期サリン事件のため警察は慌ただしかった。

2020年10月19日月曜日

紅雲町珈琲屋こよみ⑦ 黄色い実 

紅雲町珈琲屋こよみ⑦ 黄色い実 吉永南央 

 珈琲屋「小蔵屋」の店主・杉浦草は、常連の大学教授夫人・佐野百合子に頼まれ息子の就職斡旋の手伝いをする。

 小蔵屋の店員・森野久実は、山男の一ノ瀬公介と出会い付き合い始めた。

 紅雲町出身の元アイドル・緒里江が佐野元にレイプされたと訴える。緒里江が誹謗中傷を受け仕事が決まったこともあり東京へ行った。横浜の元にレイプされた女性から応援メッセージが届くが証拠がなく逮捕には至らない。久実も元にレイプされそうになったことが分かった。久実は元スキー選手で未遂に終わっていたが、証拠もあるが訴えることには悩んでいた。一ノ瀬の応援もあり久実は証拠とともに訴えることにした。元は逮捕される。

 一一ノ瀬には亡くなった弟の妻子がいたり、一ノ瀬家とはつり合わないという久実だったが、二人は付き合い続けている。


2020年10月16日金曜日

鬼役〈三十〉 暗殺

 鬼役〈三十〉 暗殺 坂岡真

景清 矢背蔵人介は偶然であった牧田家の妻佐保が家慶の十男の御乳持になったと聞く。佐保は駕籠の下敷きになり亡くなった。背後を調べると、商家の持ち物を手に入れるため商家を闕所にする闕所奉行・中込がうかぶ。中込は闕所にした商品を掠めた罪で遠島になっていた。中込を密告したのが牧田だった。牧田を操るのは御旗奉行・雲井だった。手に入れた「石切丸」を水野に献上し御旗奉行になった。お筆の方の局・屋島は、雲井の養女だった。雲井は牧田が命令を拒まむよう妻佐保を人質にするため御乳持にした。蔵人介は薪能で景清を舞い、暗転になった時、雲井を殺した。

鬼追い鍾馗 禁漁の溜池で釣りをする蔵人介は、父を知っているという隠居・牛尾勘助と出会った。蜂須賀家家老と御用達の商家、勘定奉行・有重の抜け荷と調べていた役人殺しが浮かんでくる。有重に忠実な牛尾は蔵人介に有重の見逃しを頼みながら、蔵人介に挑み殺される。有重は牛尾に毒を盛られて死んでいた。天守守・牛尾の息子・勘一郎は、旗本に養子に入っており奥右筆になっていた。如心尼は勘一郎を情報をもたらす仲間にしようとしていた。

抜け弁天 蔵人介の養子・卯三郎は練兵館の師範代をしている。門弟・門脇杢太郎の姉・香保里と出会う。香保里は四千石の旗本と縁談がきまるが、卯三郎は旗本たちの悪巧みを聞く。門脇家に知らせに行くが相手にされない。

家慶や重臣がお忍びで水垢離を観覧しているとき、襲われた。水野忠邦が狙いのようだ。安全圏にいた蔵人介が只中に下り、水野を助け、門脇等番方を家慶警固に付けるよう促す。門脇は考えを改め、旗本に縁談を断る。香保里が勾引かされ、卯三郎が呼び出される。蔵人介等は香保里を助け出し、事件を起こした旗本と紀州新宮藩の片岡等を倒す。

矢背家と門脇家は家ぐるみの付き合いを始める。

2020年10月14日水曜日

回廊封鎖 

 回廊封鎖 佐々木譲

 連続する殺人事件には共通点があった。見せしめのような殺害方法、被害者は破綻した大手消費者金融「紅鶴」の元社員。気付いた刑事・久保田は事件を追い始める。紅鶴に人生を破壊された男達の復讐劇だった。社長の息子・元専務。一人一人途中で死んでゆく。最期の一人が彼と手錠で繋がって爆死したもよう。

 富裕層を敵視した犯罪グループによる殺人事件と発表された。

2020年10月12日月曜日

神田職人えにし譚 妻紅

 神田職人えにし譚 妻紅 知野みさき

 守り袋 咲がよく行く、蕎麦屋・柳川は祖父と耳が不自由な13.4才の少年・孝太がやっている。しろとましろはここの信太が好物だ。いっぱいの信太にお揚げを二枚付けてもらう。孝太を捨てて男の元に走った孝太の母親・ゆうが八年ぶりに帰ってきた。ゆうは三年間東慶寺に入っていたようだ。祖父・清蔵は娘・ゆうを許せない。だが、おつると名乗り柳川で働いている。咲は頼まれて孝太の守り袋を亀の意匠で作った。ゆうと孝太との約束だったらしい。

 咲の弟・塗物師の太一23才は菓子屋・五十嵐の娘・桂21才との、婚儀が決まる。師匠の許しがあって独り立ちが決まった。妹・雪も小太郎との付きあいをしている。

 修次は、しろとましろは稲荷の神狐だと言う。お賽銭の他に神狐の足下に二人の小遣いを置く。修次は桝田屋に簪を置くようになった。

 二羽の雀 桝田屋の主・美弥と手代の志郎がやっと祝言を挙げた。美弥の元夫・誠之助が死ぬ時、側に志郎がいた。二人の祝言の切っ掛けに、咲の竹の意匠の財布が関係していた。誠之助の母親・寿が、二人の後押しをしていた。

 妻紅 修次の亡くなった兄・徹太郎の嫁だった篠が再婚することになった。篠は徹太郎が篠のために打った護り刀の袋を咲に頼んだ。五年前、徹太郎はこの刀を胸に受け死んでいた。修次は目貫に龍を彫った。咲は妻紅の意匠にした。爪紅、鳳仙花

 

2020年10月10日土曜日

新吉原裏同心抄【二】 赤い雨 

 新吉原裏同心抄【二】 赤い雨 佐伯泰英

 神守幹次郎は祇園社境内の神輿蔵の二階に住み始めた。麻は一力茶屋で働き始めた。

 幹次郎は産寧坂の茶店のお婆とか、祇園の剣道場・禁裏門外一刀流観音寺道場の道場主・観音寺継麿等、馴染が増える。

 幹次郎は祇園感神院を支える町衆の旦那七人衆に相談される。七人衆だが、一年に一人づつ白川で殺されている。今は五人衆になっている。今年も祇園会が近づいているので探索して欲しいというものだった。幹次郎は影の人物はあきらかでないが、刺客は判った。不善院三十三坊を倒した。

 江戸吉原では、老舗俵屋の主家族が追い出され店を正体の知れぬ者に乗っ取られていた。四郎兵衛が、調べ始めると主家族が殺されていく。孫を人質にされ、沽券を奪われ、妓楼角町俵屋譲渡状を書かされ殺された。吉原に何かが迫ってきている。分かっていることは、色事師の小太郎、佐渡の山師の荒海屋金左衛門という名だけだった。身代わりの佐吉も協力している。

 四郎兵衛の孫が生まれた。薫子と名付けられる。

2020年10月8日木曜日

辻番奮闘記三 鎖国

 辻番奮闘記三 鎖国 上田秀人

平戸藩江戸詰め辻番頭だった斎弦丿丞は配下の命より藩を重視したため下級藩士達の反発を受け役目を引いた。家老の病弱だった娘を妻に迎え、さらに出世したことへの風当たりも強く、国元に帰された。妻が懐妊したため弦丿丞は単身赴任する。

三代将軍の御世。平戸にあったオランダ商館が、長崎に移され、平戸から商家が引き上げていた。平戸藩は寂れていた。平戸藩は御上より長崎警護の助役を命じられた。弦丿丞は長崎警備のための視察の仕切りを命じられる。熊沢作右衛門は弦丿丞に、人をどう使うか、長崎商人との付きあいも預けられる。辻番の上司だった、田中正太郎と志賀一蔵も一緒に。

長崎の宿泊所を三宝寺にした。宿の世話をしたいという大久保屋がやってくる。断られた大久保屋は百足の親分に三宝寺への火付けを頼む。弦丿丞たちは火付けを捕まえる。捕まった者の口封じに来た者も捕まえる。長崎奉行所の役人が二人を連れていく途中襲われ二人は殺される。弦丿丞等は予想して先回りしていたが間に合わなかった。襲ったのが辰五郎だということは分かった。辰五郎は逃げた。長崎奉行・馬場利重は、弦丿丞たちに奉行所の手伝いとして辻番を命じる。松平伊豆守にも知らされた。

平戸藩と因縁のある長崎代官・末次平蔵に先代の話を聞く。弦丿丞等は小遣いをせびる松倉の牢人達を斬り伏せる。彼らは謀反を企んでいたとされ晒された。長崎辻番所が人々に知られた。


2020年10月6日火曜日

地層捜査

地層捜査 佐々木譲

 テレビを見て元になった本を読んだ。

 キャリアに向かい暴言を吐き謹慎となった刑事・水戸部は迷宮入り事件を担当する「特命捜査対策室」に配属された。15年前の四谷荒木町の未解決の殺人事件を捜査することになった。退職した刑事・加藤を相棒に捜査する。15年前、元芸者でアパート経営をする70才の女性・杉原光子が殺された。捜査していき、46年前の芸者失踪事件と13年前の喫茶店主の夫失踪事件の謎を解き明かす。

 光子は46年前、パトロンが付き芸者の置屋を持った。パトロンが15年前に病死し、光子は殺された。光子を殺したのは、46年前に失踪した光子の妹芸者・鈴佳の恋人・板前の柳瀬重雄だった。鈴佳は男と逃げたことになっている。本当は鈴佳を呼び出した後に光子のパトロンになる建設会社社長がもめて突き飛ばした。鈴佳は頭を打って亡くなった。その場に呼ばれたのが、光子と社長の運転手だった。運転手は鈴佳を埋めた。今そこ埼玉の戸田には労災で死んだ従業員の祠が建っている。この事件のため社長は光子のパトロンとなった。15年前、同じ病院に入院していた社長から柳瀬は46年前の真相を聞き出し、光子を殺した。水戸部は最期の留目をしたのは光子ではないかと思う。柳瀬が光子を殺しているから。柳瀬が入院し、先が短いことから聴取はしていない。水戸部が、聴取に行き、逮捕するのかどうかまでは書かれていない。

 13年前の喫茶店主の夫の失踪事件は、加藤が当時、喫茶店主から相談を受けた。光子殺しを捜査中でろくに調べなかったことが気がかりだった。光子の事件が地上げや暴力団絡みと考えられたので調べていく。加藤はこちらが重だった。暴力団員から死体を埋めたことを聞き出した。店主の夫と思われるが遺体は出ていない。現暴力団員の絡んだ殺しだから捜査は続くようだ。

テレビでは15年前に殺されたのは、国生さゆりだった。70才ではない。妹芸者も3年ほど前に行方不明になっていた。運転手も殺され、もう一人殺された。殺した犯人も若く、刑事も何度も聞き取りに行った。隠れた恋人だった。妹芸者の妹もいた。 

 

 

2020年10月4日日曜日

親子十手捕物帳5

 親子十手捕物帳5 親子の絆にあらがって 小杉健治

 辰五郎の観劇仲間の喬太郎が、遊女・玉里を身請けした。亡くした想い人を忘れられないと玉里は尼寺へ行く。喬太郎は玉里と瓜二つの女を芝浜町で見かけたため、正体を調べてほしいと辰五郎に頼む。玉里の想い人は箱根で殺されていた。

 辰吉は刀剣商「薩摩屋」から菊八と銘のある刀剣を見せられる。欲しくなる刀だった。浪人・山下左衛門が二十両を作り買いに来る。前夜、辻斬りがあり二十六両を取られていた。辰吉は山下出はないかと思う。後、二人の夜鷹が殺される。近所で山下が目撃され辰吉は山下が犯人だと思う。花太郎親分の受け持ちだが、山下は親分と知りあいだった。辰吉は親分が知りあいのため探索を打ち切ったのではないかと思う。辰五郎に話すと、花太郎のかたをもち、辰吉が間違いと決めつける、二人は親子喧嘩になる。

 玉里と瓜二つの女は男と一緒に「菊八」の銘の入った刀を探していた。男は自分が作った「菊八」と銘をいれた刀を探していた。

 玉里の想い人は菊八の刀で殺され、玉里は鎌倉の尼寺に居ることもはっきりした。瓜二つの女は幼少期に別れた双子の妹だと分かった。山下が二十六両を奪った辻斬りで、「菊八」を手に入れて二人の夜鷹を殺したことも明らかになった。菊八の父親の刀も持った者が暴れ人を斬ったことで父親は刀を創ことを止めていたことが判明した。花五郎は山下を庇ったわけではなく、気がつかなかったのだった。辰吉と親分等父親・辰五郎も含めて仲が戻った。

2020年10月2日金曜日

聡四郎巡検譚六 総力  完

 聡四郎巡検譚六 総力   上田秀人

 乳母を求めている者がいると言う情報に従い、紅は町人に扮して出かける。紅は紬と出会えた。尾行に失敗した山路兵弥、播磨麻兵衛、入江無手斎等は母子を探す。無手斎は紅の居場所をつきとめる。

 裏社会の親分たちが新入りの藤川たちとぶつかる。藤川の方には裏切り者がいた。時間がかかり、人数も減る。藤川が人質の隠れ家に向かう時、聡四郎が早馬で帰り、駆けつけたことを知る。藤川は爆破して逃げることを決める。

 爆破された仕舞屋から紅と紬は助け出される。袖が大怪我を負い、入江無手斎は行方不明になった。藤川は東海道を逃げた。

 水城聡四郎は、道中奉行副役の任を解かれた。しばらくして、惣目付に任じられた。