2019年4月28日日曜日

隠目付江戸秘帳⑥ 二人秘剣

隠目付江戸秘帳⑥ 二人秘剣  鳥羽亮
 江戸で辻斬りが続発する。被害者は江崎藩の目付だった。犯人は国許で普請奉行を殺した元江崎藩の藩士・岸崎だった。江戸に来た岸崎は、先手組物頭・西森の命令で動いていた。
 普請方・滝沢が、普請のための金を着服、江戸の西森と家老の笠原に金が流れた。滝沢が普請奉行になり、西森が・・・となるはずだったが、隠目付海野洋之介も手伝い、江戸の目付が金の流れを暴く。
 大目付・篠塚が笠原に代わって家老になり、目付組頭・谷部が大目付になり、国許の政次が安泰になり藩邸を揺るがすような事件が無くなり、洋之介は隠し目付としての仕事がなくなり好きな釣りを楽しむことができるようになった。
 

2019年4月16日火曜日

新剣客太平記〈十〉

新剣客太平記〈十〉 伝説 岡本さとる
 公儀武芸修練所 の師範
峽竜蔵 竹馬の友・助七の娘・峰 絵師・景二郎
浜の元締め・清兵衛 鉄砲の弥太五郎
峽寅蔵が一緒に旅をした少年・峽小兵衛が寅藏の前に現れる。草津で、喧嘩上手と乗せられ、賭場で働かされている少年・仙太を助ける手伝いをさせられる。小兵衛は自分が寅藏に助けられたように仙太を助けたかったのだった。竜蔵は京まで小兵衛に寅藏の話を聞く。
大坂で眞壁清十郎と才に会う。寅藏が河豚を食べた店を探す。今は店の主人と寅藏の話を聞く。
柳生の里へ行く。柳生新陰流の剣客・上村光右衛門に会い、寅藏と光右衛門が型に収めた舞うが如くと名付けた剣の極意を授けられた。
光右衛門に金峰山寺に連れていかれ厨子を見る。弥勒菩薩・千手観音・釈迦如来を見涙する。僧に寅藏が隙間に入れた書き付けを見せられる。「我が息 竜蔵 何卒よしなに願い奉る 虎」

2019年4月13日土曜日

介錯人

介錯人 辻堂魁
 静枝47才 御徒町の徒衆、三番勤め職禄七十俵竹内家から24才で首討役・刀剣鑑定をする別所家へ嫁いだ。26才で龍玄を産む。小禄の武家相手に金貸しをしている。龍玄5才之時、地面の沽券を手に入れ妻恋から無縁坂に移る。
 玉16才 住み込み
 竹内好太郎51才 静枝の兄、姉、水江
 杏子1才 龍玄の娘
 百合 龍玄より五才年上の妻。旗本・丸山家の娘。龍玄の一年だけの幼馴染み。前夫には嫁ぐ前から女がいた。嫁いでからも付き合いが続き離縁した。龍玄から申し込まれ身分違いで反対されたが百合は嫁いだ。
 別所勝吉 27才で静枝を妻にする。龍玄の父親。介錯人を名乗る。龍玄19才の年、47才没。
 弥五郎 龍玄の祖父。元摂津高槻藩永井家家臣・別所一門。18才で江戸に出、首打役をする。龍玄5才の年、55才没
 龍玄22才 18才で首打役を始め、19才で介錯をする。
 切腹 私塾を開く、岩本錬三郎43の介錯を頼まれる。元出羽新野領六万八千石の坂本家勘定衆。十年前、小作農民のことを考えた入会地の新田開発について上申書を提出した事によって、商人の娘の奥方の不快の念から領国から追い出された。村名主の援助で江戸で私塾を開く。坂上家の錬三郎の信奉者と政を操る豪商と商人仲間と対立が深まり錬三郎に切腹を申し付けられた。龍玄の介錯により、完全な切腹を執り行い、弔われた。二十日後、錬三郎の家で下働きをし、錬三郎に小作の内情を話した娘・里津が、錬三郎を支援した村名主の嫁として、村名主の娘として育った芙を連れて墓にお参りに来た。
 密夫の首 寛政元年 九月 杏子が歩き始める
龍玄夫婦と杏子・静枝と玉と根津権現へ行き、玉は幼馴染みの姉さん・加江と会う。加江は味噌醤油油問屋の主人の妾のような立場らしい。龍玄は、尾張家松姫の輿入れ道具の小さ刀のお試し御用の依頼がきた。お試し御用に使われたのは姦通の罪で捕らえられた歳が若い親孝行で働き者の畳職人・明次だった。明次は加江に誘い込まれ事に及んだが、主人に見つかり大騒ぎになり、主人が包丁を持ち出し主人が怪我をした。加江は無理強いされたと言い、主人は私を殺そうとしたと言う。同心・本条は納めるために捕まえた。詮議をすれば情状されると思っていた。龍玄は明次の首を討ち、試し斬りした。本条から話を聞いていた龍玄は畳屋に弔う気持ちを届けた。数日後、静枝と玉は加江に会った。主人が変わっていた。
 捨子貰い 倉太郎は妹・陸19才と陸の息子・三月の駒吉を使って捨子貰いをした。自分の縄張りでされたと十五郎は縄張り荒しとお上の大罪を犯したと責めた。縄張り欲しさに庄治を殺した十五郎は倉太郎に自分の代わりに自首することを頼む。倉太郎は罪を被る代わりに陸と駒吉に十両を付け解き放して貰いたいと約束をした。打ち首になる前にこの約束事を倉太郎は張り番に伝えていた。五ヶ月も過ぎてから張り番は倉太郎の妹と子供が十五郎の女の下で遊女として働かされ、虐げられた生活をしている事を知る。張り番は、倉太郎が、龍玄に十五郎に約束を守らせて欲しいと言っていたことを知らせる。四才の龍玄と倉太郎は、倉太郎の頼みごとをきくと約束していた。龍玄は二人を助け出し、十五郎等を斬る。犯人は八州のどこかに逃げているだろうということになった。
 蔵の中 龍玄は大沢道場の先輩門弟・朝比山万之助自身の要望で介錯をすることになった。朝比山家は家禄千三百石の旗本で将軍の御小姓を努める家だった。百助の通夜、相続人・万之助は家老、親戚の男、若党、妻、母に斬り付け殺傷させた。万之助は幼いころより物置のような蔵の天井で人々の内緒話、内諸事を見聞きしてきた。自分の母親のことも。祖父の後妻が遊女だったり、本当の母親は遊女の娘だったこととか。万之助は龍玄に試合を挑むが、龍玄は切腹の介錯をした。不義密通による女敵うちとされ朝比山家は続く

2019年4月10日水曜日

桜風堂ものがたり

桜風堂ものがたり 村山早紀
 月原一整は、風早駅前の老舗星野百貨店の6階にある銀河堂書店に勤めている。アルバイトから十年勤め、文庫の棚を任されている。店長曰く「宝探しの月原」。そんな一整が、6月刊行予定の「四月の魚」を推していた。
 一整は、シリーズ物を何冊か万引きする少年を見付け追いかけた。追いかけられた少年は百貨店から道に飛び出し車にぶつかった。Twitterで拡散され、新聞テレビで放送された。いじめっ子に脅され万引きを繰り返していたことも分った。責めは追いかけた一整にきた。書店に百貨店に電話ではがきで非難が届く。百貨店の電話が鳴り続けることになり一整は店を辞めた。
 一整はブログで知り合った隠れ里のような町・桜野村にある書店・桜風堂に行った。隣の部屋の住人・船乗りが預けて行った鸚鵡を連れて。桜風堂の主人は小学生の孫・透を一人置いて入院していた。一整は主人から店と少年を預かった。一整とオウム、透と猫のアリスの生活が始まった。
 銀河堂書店の従業員は、一整は何も悪くないにも関わらず、犠牲になったと思った。せめて一整が推していた「四月の魚」を推そうと考え、ポップを作り絵を書く。百貨店も宣伝する。一整の周りにいた人が応援した。
 作家・団重彦は桜風堂を訪れた。

2019年4月7日日曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵
 つくもがみ戦います 出雲屋の付喪神が拉致された。付喪神たちはみんなで逃げ出し、探していた十夜等に会えた。両国で見世物小屋の元締め、口入れ屋をしている阿久徳屋だった。阿久徳屋の息子は春夜。
 二百年前 旗本・蜂屋が旗本・篠崎を連れ、声のする「大江戸屏風」を預かって欲しいとやってくる。家康から貰った物でどう仕様もないという。屏風は付喪神になっているが話をしない。蜂屋の根付けの鼠が屏風に入っているようだ。阿久徳屋の付喪神・阿真刀と青馬と文字茶も入っている。出雲屋の付喪神も入り込む。阿真刀たちは阿久徳屋が壊して付く喪神で無くなった加羅刀と素素女を見付けた。二百年前の江戸城内にある「大江戸屏風」を見付けた。十夜にいろんな物を屏風に入れてもらい、代わりに付喪神たちは出雲屋に飛び出た。屏風は自分の物だと言っていた御家人・八田は屏風から飛び出た物を見て気絶し、要らないといった。付喪神たちはいろんな物を持ち出した。加羅刀たちも出てきた。大判も持ち帰った。
 悪の親玉 十夜は拾い子だった。本当は紅が見付ける前に阿久徳屋が見付け、夜の字を付けた名前の紙を持たせて、拾ってくれそうな人がいる所に置いたのだった。阿久徳屋の息子・春夜もその一人だった。
 春夜が阿久徳屋が、五日間帰って来ないと助けを求に来た。春夜の付喪神と出雲屋の付く喪神が幽霊が出るという旗本・山白家に行く。幽霊だと思われたのは兄妹を亡くした姫様が泣いていたのだった。阿久徳屋は殿様に会って話をし帰ってきた。
 見つかった 十夜や春夜や八夜が襲われた。屏風から持ち帰った大判のせいかと思われたが、三人と同じ捨て子だった阿久徳屋がもっている阿真刀と加羅刀のためだと思われた。
 つくもがみ笑います 阿久徳屋の本当の名は、久徳屋阿喜夜。
 阿久徳屋の持っている加羅刀の定紋と阿真刀の替紋から播磨の大名と判った。
九曜紋の殿様に百年前に武家のために作られた何かが付喪神になっているはず、何かを見付けて欲しいと頼まれる。付喪神たちは考え、徳川家の菩提寺で百年君を見付ける。障壁画だった。
 こゆりに好きな人がいる事が判り、市助と十夜は失恋

2019年4月5日金曜日

表御番医師診療禄〈13〉 不治

表御番医師診療禄〈13〉 不治 上田秀人
 御広敷番医師・矢切良衛は伝の方が懐妊するよう食事に介入し、綱吉の食事を通して館林の時から、また甲府綱豊等の食事にも不信を持つ。家康の時代にまで遡り、表右筆の保存する書類を調べ、家光の出生の秘密に辿り着く。家光は家康と春日野局の子であると。そのため秀忠は家光と家光の子、孫が早死にするよう画策していたと考えた。秀忠が託した者が中根壱岐守であることもわかった。
 将軍の身体を診る奥医師を信用出来ない綱吉は良衛を、呼び出しに応じて登城する寄合医師にした。合議の必要がない。良衛の求める医術書、薬草、道具は望み通りに与えることを約束する。また、柳沢吉保は矢切は奥医師にはならない。典薬頭になる事もないと言った。命を狙われた矢切だが、上様の言葉として矢切への手出しを改めて禁止された。
 
 子供が出来ない綱吉との関係を心配していたが、今回で終わった。生類憐れみの令に同対処するのかと思っていたが・・・。

2019年4月3日水曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう④

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう④ 山本巧次
  ドローン江戸を翔ぶ
 連続する蔵破りに鵜飼伝三郎等は翻弄されていた。次の狙いを見極め張り込んでいたにも関わらず仏像を取られ逃げられる。一件目の事件、二件目の事件三件目かもしれない店。三軒の主の共通点、十五年前、小田原で一軒の太物商に詐欺を仕掛け、店を潰していた。店の娘が、泥棒に入られた店の女中として働いていた。
 関口優佳・ゆうは江戸時代と現在を行ったり来たりしている。江戸で起った事件の証拠物件を、宇田川聡史が河野和志先輩と共同出資している株式会社マルチラボラトリーで調べてもらっていた。料金を払ったことがない。料金は宇田川の個人使用とすることになったが、税務調査が入るのでその間は優佳の出入が禁止された。宇田川の家でも簡単な事なら出きるらしい。土蔵への進入経路が判らない事件であり、三間も飛び越えて逃げる犯人なので持ち運び出来ない。東京の優佳の部屋はラボの出張所のようになり、宇田川は蘭学者ということにして江戸に来てしまう。土蔵の絡繰り窓を見付け、逃げる犯人の道筋を予想し、暗視スコープを使い、捕まった女髪結い・多津のいるかもしれない屋敷をドローンを飛ばし上空から調べる。多津を助けるためサバイバルゲームの手榴弾を使った。
 三人は詐欺で捕まった。多津が泥棒だったが捕まらなかった。多津は盗んだ物を返すつもりだ。多津は、寺社奉行・水野左近将監忠邦に雇われたフリーランスの忍だった。依頼は林肥後守のマイナスポイントを掴む事。林肥後守の周りを調べて、智泉院の繋がりを知った。智泉院は大奥の女達の遊ぶ寺を造ろうとしていた。左近将監はお金が必要な肥後守は美濃屋たちを強請るだろうと思い、十五年前の悪業を教える。肥後守は美濃屋たちに強請り同然に賂を求める。美濃屋たちの悪業を町奉行所に分るように美濃屋たちの店の土蔵から宝物を盗む。町奉行所は美濃屋たちを調べ、昔の悪業を調べ捕まえる。左近将監は肥後守の悪事の尻尾を掴んだことになる。美濃屋が肥後守宛てに書いた三千両を払うという証文が手に入った。
 優佳は宇田川に食事を作った。
 伝三郎は宇田川も未来の人間なのだろうと思った。未来人であるゆうとどう付き合って行くべきか結論を先延ばしにしている。