銀座「四宝堂」文房具店 Ⅱ 上田健次
単語帳 運送会社で定年を迎えた千田。保育園で栄養士として働く美穂。娘・琴美が、結婚式に先立ち、旅の道順通りに来て欲しいと連絡が来る。四宝堂が、最後の場所、二十八年を振り返るように出来ていた。明日の挨拶を書き直した。
はさみ 四宝堂がはじめて中学生の体験実習生を受け入れた。瑛太と春菜が来た。催事売り場を任せれた二人は、いろんな使いやすい文房具を集める。左利き用、力が要らない物、二人で相談し、展示する。みんなから声を掛けられる瑛太と引っ込み思案の春菜。パスをくれ!と言わなければ、みんなに分らないと言われる。二人は、レポートが選ばれ、東京都の職業体験報告会に参加することになった。模造紙三枚に書く。硯も「受け入れた職場責任者から」というタイトルで書かなくてはならなくなった。
名刺 会長付の総務部で就職した登川は、定年退職の日を迎えた。朝、社員が出社する前に、道路掃除から会長と二人で道路掃除からはじめた。会長は、金庫の鍵を登川に預けた。総務部長と経理部長の判がなければ開けてはならないと言われ判を預る。会長の息子から鍵を要請されたが開けなかった。そのまま、会長は亡くなった。総務部は無くなり、地方の営業所に転勤する。三十年がたち、会長の一族がいなくなった本社に十年前に帰ってきた。そして定年退職の日。いつものように四宝堂へ行くと、二階に呼ばれ、登川のお疲れ様会に五十人を超える人が集まっていた。警備の山本さん、自動販売機の補充の松本さん 給茶機のメンテナスの野田さん。郵便配達、宅配、社員食堂の調理長にスタッフ、会社を陰で支える人たちが大勢。硯は、保管されていた名刺を渡した。会長が頼んでいた名刺だった。
登川は、株式会社 銀座の総務 を始めた。名刺を作った。肩書きは主任にしてもらう。
栞 硯は良子と一泊の旅行に出かける。良子は硯との思い出を思い出す。硯の父は墨舟という旅をする風景画家だった。海外へ行くことになり、祖父・硯水の四宝堂に預けられた。母は、リリー哀川というジャズシンガーだったが、五年前に亡くなったと、十才の時に四宝堂に来た硯と同級生になった。
夜、大雪になり硯は帰ると言う。良子も帰った。旅館の女将がお弁当や、切符を手配してくれる。良子は帰ってから女将にお礼を送る。
色鉛筆 美術監督・トニー・デービスが四宝堂に来る。四・五十年前の思い出がある。
色鉛筆のはだ色、水色、茶色が変と考え、やきたらこ、むぎちゃいろ、にほんばれと色鉛筆の刻印を変えてもらった思い出があった。硯も同じようにする。
アメリカから額装された四宝堂の絵が届いた。
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