2025年9月29日月曜日

春待ち同心〈六〉 逃亡

 春待ち同心〈六〉 逃亡 小杉健治

 伊原伊十郎は、襲われ気絶している間に追っていた人物が殺され、犯人と疑われる。

 潔白を証明するため、真犯人を見つけ出さなければならない。

 旗本の娘を商家に嫁にする縁付けていた六藏が六兵衛と名乗って殺された。実態のない商家の養父となって旗本の竜子姫が嫁ごうとしていた。養父となるのは、元旗本、甲府勤番になり十年前、同僚を殺し伊勢に行き、盗賊になって江戸に帰ってきた宅見勝太郎。竜子姫と名乗り嫁に行くのは勝太郎の情婦。後に商家の主を殺し、勝太郎が商家を乗っ取るつもりだろうと推測する。勝太郎を盗賊・伊勢の丹兵衛として捕まえる。

 本物の竜野を助けるために旗本の屋敷に行くが、竜野は、恋人のところに逃げた。恋人と自害した。この企みに一番熱心だったのは竜野だったのだ。

 伊十郎は、町方に囲まれ逃げ場を失った時、ほたる火に助けられた。

2025年9月27日土曜日

東京バンドワゴン 20 ザ・ネバーエンディング・ストーリー

東京バンドワゴン 20 ザ・ネバーエンディング・ストーリー 小路幸也

 The Little Prince  昭和六十年春 古書店 〈東京バンドワゴン〉
 奇麗な生まれたばかりの赤ちゃんが来て、青と名付けられて、青は保育園に行くようになった。一緒に行く紺が誰かに見られていると言った事から、藍が絵に描き調査がされた。新築のアパートを一か月借りていた。誰もその人を知らなかった。

 警察の月島から、古書やアンティークの泥棒のことを聞く。

 堀田秋実は、つつじヶ丘ハウスの後輩・渡邊から相談を受ける。同じ後輩の恋人・野又美佐子から別れの手紙が届き、今また、手紙が来た。泥棒の手引きをさせられているから別れたが、今度行く家が、渡邊の会社の社長の家だから、手に入れたアンティークを、私の判らないところ、家以外のところに移動させて欲しいという物だった。
 秋実と勘一は、美佐子が家政婦に入る日に 渡邊が秘書をしている社長宅に行く。社長の骨董品や古書を東京バンドワゴンで預る。美佐子も一緒に行く。美佐子は置き場所を泥棒に報せる。やってきた泥棒を捕まえる。そんな計画を話し、その通りに行なう。
 泥棒たちは、堀田家の前で事故を起こし、みんなが見に行ってる間に盗み出すという計画だった。美佐子に知らされた時間、前日の夜から刑事の見張りが付いた。
 事故が起こった時、青が飛び出し事故で壊れた部品が当たりそうになった。青を庇った女がいた。青を見ていた女だった。秋実と女と青を乗せて我南人は車を走らせる。
 秋実に映画の撮影現場を垣間見せ、彼女が青の母親だという。池沢百合枝だった。そのまま、バイクショップに行き、百合枝の腹違いの弟と話す。弟は姉の産んだ子どもが我南人の子と知り金を借りるために青を誘拐しようとしていた。女は、弟の妻であり助産師だった。唯一我南人が父であることを知っていた人物だった。姉に迷惑が及ばないように必要な金だった。
我南人は、青が持っていた、「不一魔女物語」を彼に渡す。上手く売れば要求額ぐらいにはなるよ。
  
 泥棒たちは捕まった。

 夏の終わりに、伊熊菊一から、バイク仲間を通じて探した、テキサスの田舎町のカフェにあったというボロボロの本が送られてきた。「フィッツ・ウィッチ・ストーリー」

2025年9月24日水曜日

前略、山暮らしを始めました。4

前略、山暮らしを始めました。4 浅葱 

 佐野昇平は、山の墓までしか登っていなかったが、墓掃除の後、頂上まで行った。頂上には神様を祀った祠の残骸のような物があった。元山の持ち主・山倉に電話する。電話に出ない。不審に思った佐野は、訪ねる。山倉はぎっくり腰で動けなかった。家族に感謝され山の頂上の神様の祠は山倉家が建てると言う。佐野は御神体に石を置き、水を供えた。

 家の近所にある廃屋を撤去する。狩猟仲間の皆さんが撤去してくれた。ゴミの運搬と食事に用意をする。
 狩猟グループの狩るイノシシや、ニワトリの狩ってくるイノシシで数回の集まりがあった。

 桂木の妹が、ストーカーから逃げて姉のところに来た。

 はじめて蓮根掘りをする。

 桂木の家は全く防寒対策がなく寒そうなので、佐野は道具を持って行き、少しはましに暮せるようにしたが、妹の運転免許取得もあるため、冬を町で過ごすことにした。雪に閉ざされるので毎年そうするらしい。タツキが冬眠に入った。相川さんの、大蛇・テンも冬眠するらしい。

 佐野も冬支度に入った。にわとりの穀物の餌。狩ってきた動物の肉の冷凍、食事の材料、雪が降ったら買いに行けない。

2025年9月21日日曜日

玉響

 玉響 辻堂魁

 一僕 井伊掃部頭の家臣・島田正五郎が、中間・文平が、大御番組大番衆・赤沢広太郎の雇い人・御嶽山の張り手で気を失っている間に、赤沢に殺された。三ヶ月後、文平は、赤沢と御嶽山を斬り殺し、北町奉行所に名乗り出た。文平は中間だったが、父親は元飯田藩藩士であったため、切腹が申し渡された。別所龍玄が介錯役を務めた。最後に文平は済まないと呟いた。遺体は、島田正五郎の妻が引き取り、文平が三か月隠れ住んだはなのところに行き、井伊家の殿様が忠義の振る舞いを助けた褒美に賜った百両を渡した。はなのお腹に子が宿っていた。妻は、文平の遺骨をはなに渡した。はなは爺ちゃんの墓に葬った。

 武士の面目 門前名主・十兵衛の三男は、御家人・塚越家に婿養子に入った。三男・左吉郎は、十才の頃から道場に通い筋が良く武士に憧れていた。龍玄の四才年上で話をしたこともあった。十兵衛は、左吉郎の武士としての最後を龍玄に託した。
 婚姻前の話し合いは、持参金の額を決める掛け合いだった。二十六才と聞いていた相手は、三十過ぎのようだった。百二十両の持参金で入った。材木石奉行の配下手代の見習いを始めた。買い付けと運搬の代金を多く請求させ、相手から返金させ、みんなで分けることを強要された。この金額がおかしいと調べが入り全て白状した。表沙汰に出来ぬと後腐れがない自分が詰め腹を斬らされることになったと言った。何が侍だ。左吉郎が夢見た武士の世界ではなかった。
 左吉郎は龍玄と試合を望んだ。相討ちを狙った左吉郎だが、相討ちにはならなかった。左吉郎は脇差で切腹し、龍玄は介錯した。十兵衛に子細を伝えた。
 龍玄の妻は、龍玄のややの産着を縫っていた。
 黒髪 四人組の押し込みが捕まった。北町奉行所平同心・本条孝太郎を、小伝馬町牢屋敷世話同心・山下平治が訪ねた。捕まった上月利介は、二十年前の本条が知っている草凪利介だという。本条六才の頃話だった。本条は会いに行く。利介は、本条の父と本の話をする友人だった。利介は母と関係を持ち、父の知るところとなり、母と利介は江戸を出た。利介は母を死んだことにしていていたが、本条には、母・たか枝とは十二年前に別れた。彼女は三ノ輪で「たか」という茶店をしていると知らされた。
 上月利介等四人は、龍玄によって打首になった。
 本条は、三ノ輪行きを龍玄に頼んだ。利介の話を龍玄に伝えた。本条は、六才での出来事を封印していた。本条はたか枝の来し方を聞きながら、昔のことを想い出していた。
 孝太郎は振り返らず店を出た。

 許されざる者

2025年9月18日木曜日

前略、山暮しを始めました。3

前略、山暮らしを始めました。3 浅葱 

 三羽のニワトリたちとの山暮らしも半年が経った。
 秋の山には山菜、栗、柿などおいしい物がいっぱい。
 佐野は鎌を使っていて左手を切った。一週間、相川が泊まってくれた。
 村の人々に山を開放し、山菜取りをしてもらった。不法投棄予防になった。
 桂木の山にスズメバチの巣が有り、佐野たちはそれぞれのペットをボディガードに巣の駆除に赴く。巨大、ニワトリ、ドラゴン、大蛇は大暴れ大活躍する。湯本もおっちゃんは凄い。
 掛川さんのところで、稲刈りを教わる。米を売って貰う交渉をする。掛川さん家にも放し飼いの雄ニワトリ・ブッチャーがいる。ポチに飛びかかるが、尾で打ち払われる。飛ばされても飛ばされても何度でも掛かって行く。
 台風が来た。麓の大きな木が一本倒れた。みんなが木を退けてくれた。重機が必要だと思う。
 桂木さんの山では、入り口のストーカー除けの高さ四メートルのフェンスが倒れた。もう必要ないから良かった。

2025年9月15日月曜日

前略、山暮しを始めました。2

 前略、山暮しを始めました。2 浅葱

 三羽のニワトリ?たちと山暮しを楽しむ佐野は、夏休みに山への不法投棄が増えると聞き、不法投棄を抑制するためにイベントを開催する。マムシ獲りで人気者になったニワトリたちと一緒に「ゴミ拾いウォーク」。村の子どもだけでなく大人も参加した。三回目の開催時、桂木さんを探す、ナギが現れる。
 湯本さん家に現れたナギは、桂木が言っていた友人のDVを認める。そして桂木に付き合って欲しいと告白する。追い掛け回され怖がっていた桂木は、大トカゲを見せる。そしてナギは相川を見た途端、帰って行く。桂木の問題は解決した。

2025年9月14日日曜日

新・御刀番黒木兵庫〈三〉 無双流隠密剣

新・御刀番黒木兵庫〈三〉 無双流隠密剣 藤井邦夫 

 国許の徒目付・望月小五郎から水戸城下の不穏な気配は報せる書状が江戸に届いた。藩主・斉脩は黒木兵庫に水戸行きを命じる。十三才になった息子・京之介を同道させる。祖父に会う。
 水戸藩士は、弛緩していた。国許の者は出世の望みもないという。不平不満を募らせていた。
 公儀の草ノ者が、裏で動いていた。兵庫の竹馬の友・岸本恭一郎が、草の者かと思われたが、想い人・白梅屋の女将・せいが草の者だった。兵庫から助けようとするが、殺されたせいと共に死んだ。
 江戸からの殿の採決を京之介は、殿の名代として下命した。

 江戸へ向かった二人は、女衒から一人の娘・さきを助ける。さきを守ろうとする半次郎がいた。襲ってくるやくざからさきを守り、半次郎の働きもあり、証文の書き換えを暴く。証文は破られ、二人は村に帰った。

 江戸でせいの妹に命を狙われ、裏柳生の柘植の道悦の倅・京悦にいのちを狙われる。京悦は倒し、ゆいは、兵庫を抱いて自爆しようとする。ゆいの遺体は無くなった。