2019年6月27日木曜日

新・秋山久蔵御用控〈四〉 返討ち

新・秋山久蔵御用控〈四〉 返討ち 藤井邦夫
 裏の顔 秋山久蔵と息子・大助が、暴漢に襲われた所を助けた金貸し籐兵衛は、苦労して店を築いたといわれた好人物だった。陰で籐兵衛を守っていると籐兵衛は暴漢をおびき出し、雇った浪人に殺させた。暴漢を雇ったのは、昔、籐兵衛に騙され店を辞めさせられ、苦労して店を手に入れた献残屋だった。献残屋の苦労話を籐兵衛は自分の話として広めていた。献残屋は籐兵衛を殺そうとは考えていなかったが、頼まれた浪人は殺された。
 返討ち 兄の敵を討ちに江戸に来た若い侍・小嶋又七郎がいた。兄の妻・早苗も一緒に来たが、早苗は小嶋の元を離れ、敵の坂本蔵人の所へ走る。元々早苗と蔵人は言い交わしていたが、上士からの話で小嶋と結婚。小嶋が坂本に斬り込みとっさの行動で坂本は小嶋を殺していた。早苗は又七郎を殺そうとして殺される。坂本はわざと又七郎に斬られるが、又七郎を斬る。又七郎の仇討は返討ちに終わるが、蔵人も二日後には死ぬ。久蔵は早苗と蔵人の遺体を満願寺に葬った。
 親父橋 隙間風の伊佐吉と呼ばれる盗人・伊佐吉が呉服屋「井筒屋」に押し込み主の伝兵衛を殺し百両盗んだとして捕まった。伊佐吉の手口だった。伊佐吉は同じ時刻に素人の客引きに会ったと言う。女は伊佐吉が死罪になると聞き、会ったことを証言する。伊佐吉を気に入らないこそ泥の銀次が伊佐吉を陥れるため手口を真似て押込んでいた。銀次は磔獄門、伊左次は遠島になった。証言した女は、大工の夫が怪我した急場を貰ったお礼で凌いだ。
 俄狂言 扇屋「香風堂」の遊び人の17才の若旦那・京助が誘拐された。京助の遊び仲間呉服屋の息子・正吉を見張る。犯人は正吉のとりまきかと思われたが、京助が百両いるため、自分の取り巻きを使い、二百両要求していた。どんな裁きが下るか、香風堂は店を閉め慎んでいる。
 

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