パリ警視庁迷宮捜査班 ソフィー・エナフ 訳・山本知子・川口明百美
六ヶ月の停職から復帰したパリ警視庁警視正のアンヌ・カペスタン37才は新結成された特別捜査班を率いることを命じられる。あてがわれたオフィスは古いビルの一角。集められたメンバーは警視庁の厄介者ばかり。
警部で売れっ子警察小説家のエヴァ・ロジエール。大酒飲みのメルロ警部。組んだ相手が次々に事故に会う不運の持ち主・死神のトレズ警部補。元IGSのルブルトン警視。ギャンブル依存症のエヴラール警部補。警察内部情報をマスコミに流す密告者・オルシーニ警部52才。だ若きボクサー・ダグス警部補。スピード狂・レヴィッツ巡査部長、
二十年前の失業中の一等航海士・ヤン・ゲナン26才が銃で撃たれ、遺体がセーヌ河川で見つかった事件と八年前に起きた一戸建ての自宅リビングで遺体となって発見された老夫人・マリー・ソーデル76才の二つの未解決事件の捜査を始める。
現在、ヤン・ゲナンの妻が殺された。
三つの事件が繋がった。
犯人はヴァランクールパリ司法警察中央統括部長だった。
ヴァランクールは二十年前、妻・ローザ、息子・アントニオ5才、次男・ガブリエル2才の四人でフロリダからパリに帰る船に乗った。アントニオはローザの連れ子で問題児だった。
客船が嵐に遇ったとき、ヴァランクールが抱きしめたガブリエルにしがみついているアントニオ。ガブリエルを助けるためにはアントニオから自由にならなければならなかった。ヴァランクールはアントニオを振り払い突き飛ばした。弾みでアントニオは船の外に投げ出された。ローザは浮輪を取り海に身を投げた。航海士はローザを引き上げようとした。ヴァランクールは何も出来なかった。その後、客船はひっくり返った。救助活動が始まり、ヴァランクールとガブリエルは助け出された。
ヴァランクールはその時のことを見ていた船員を調べ、動きを見ていた。フランス生存者を調べ始めた時、自分のことを知られるのを恐れ殺した。マリー・ソーデルは八年前の追悼式でスクリーンに現れたローザとアントニオの写真を見て、ゲナンの話しを想い出しヴァランクールに率直に訊いた。そして殺された。ガブリエルが事故のことを聞き回っているのでゲナンの妻を殺した。
ビュロンがこの班を作ったのはこのためだったのだろうか。
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