伝次郎人情捕物控① 転身 稲葉稔
南町奉行・筒井政憲の隠密として難事件を解決してきた沢村伝次郎だったが、辞め、八丁堀を離れて新天地で暮すことにした。千草と湯島横丁に引っ越した。
粂吉は、同心・松田久蔵から手札を貰い岡っ引きとなった。
与茂七は、深川の船宿「川政」の船頭になった。
近所の呉服屋の小僧・新吉と知りあった。新吉は六年前、目の前で母親を殺されていた。父親も亡くなっていた。新吉は、客の連れの男の手の甲にある痣を見、母親を殺した男の手にもあったことを思い出す。新吉は番頭や主人にあの男は、母を殺した犯人だと訴えるが、名前も住所も判らない。証拠もないことなのでどうしようもないと言われる。
伝次郎は、調べると約束する。手の甲に痣のある男・彦造を見つける。新吉の母親を殺した男かを調べる途中、彦造を見張る男達に気が付いた。男達は、彦造が昔、男を殺したことを知っており、今回自分たちの邪魔者を殺させようと強請っていた。
彦造の人殺しを阻止し、捕まえ、新吉の母の事件を調べていた北町の同心・島田元之助に渡した。
彦造は、六年前、金を借りた男を殺し、それを見られたと思った女・新吉の母を殺していた。今回、やくざの縄張りを奪うために彦造に敵対する親分の殺しを要請していた。
六年前の永尋ねになった事件が二つ片付いた。
新吉は大番屋に送られる前に彦造に会い、憎しみと悲しさと悔しさをぶつけた。
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