2026年9月30日水曜日

上絵師律の似面絵帖⑫ 祈る紫苑 

 上絵師律の似面絵帖⑫ 祈る紫苑 知野みさき

 律の産み月が近づく。
 青陽堂が新しく雇い入れた女中・月江は、律の両親を殺した辻斬りの小林吉之助の世話係をし、自決した豊次郎の内縁の妻だった。豊次郎を失った後、流産していた。律が世話になっている産婆・満の手伝いもしていた。
 律を訪ねてきた老婆は、吉之助が十二人も人を殺したことを最近知って被害者を廻っている吉之助の母親・英恵だった。
 月江からも英恵からも、律は紫苑の縫箔を頼まれる。
 律が、辻斬りが吉之助だと突き止めたため豊次郎は自決し、吉之助は自決後、病死と届けられた。二人はお互い、律に近づいているのは、律に復讐しようとしていると思い込んだ。
橋から落ちそうな清を律が引っ張った。佐和が清を助け、月江と英恵に助けを頼む。佐和は二人が、律を助けたくて公論していることが分った。お互いが、律に近づくなと言い合っていた。

 十月、律は女の子を産んだ。和佳と名付けられた。月江は親のように思ってくれている新宿の飯屋・誠屋に帰った。自死しようと思っている英恵に、生きて弔って下さいと伝える。
 年の暮、南町奉行の許可をもらい、律と今井と涼太しか知らなかった律の父母の事件後のことを、慶太郎、佐和、清二郎にも広瀬保次郎が話した。酔って川に落ちたとされている父は、母の辻斬りを調べていたため、辻斬りによって川に落とされたこと、律は今井と涼太と保次郎の助けを得て小林吉之助に辿り着いたこと、吉之助に殺されそうになった時、今井と涼太に助けられたこと、吉之助は病死として処せられ、世話係の佐久間豊次郎が自決したこと。月江が豊次郎の恋人で、英恵は吉之助の母親だったこと。

 広瀬の不貞を怪しんだ妻・志織と母・幾子は、各々の実家に帰る。気晴らしに帰っていると広瀬は思っていた。
 広瀬は、五年前に亡くなった兄の恋を知った。探しているうちに自分とそっくりな女児を見つけた。兄の子だった。母親は、武士の生活を望まなかった。広瀬は律に歌留多守りを頼んだ。

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