2018年12月26日水曜日

ビブリア古書堂の事件手帳

ビブリア古書堂の事件手帳 三上延
 〜扉子と不思議な客人たち〜
 プロローグ 2018年 秋
 五浦大輔と篠川栞子は結婚しビブリア古書堂で働いている。六才になる娘・扉子がいる。今、大輔は栞子の母・智恵子の仕事を手伝い海外にいる。大輔はどこかに置きわすれた本を探して欲しいと栞子に連絡してきた。
 栞子は扉子にせがまれ本によって生まれた人との話をしている。
 北原白秋 与田準一編「からたちの花 北原白秋童謡集」 平尾由紀子は父・和晴の異母弟・坂口昌志の家を訪れることになった。坂口は五才の時に母親と平尾家を離れ、銀行強盗をし逮捕され、出所後由紀子が幼いころ平尾の家にいた。小学4年生の時、親戚の葬儀の後、平尾家に泊まった坂口が由紀子の部屋にいる所を見られ、坂口とは絶遠になった。和晴が倒れ、見舞いの品が届いた。和晴は由紀子に坂口に出産祝いと北原白秋の「からたちの花」を届けることを頼んだ。栞子から本を受け取り坂口家で叔父の妻・しのぶに本を渡す。からたちの花を読み、二人が違った詞を覚えていることを知った由紀子は、幼いころ歌を歌ってくれたのは父ではなく叔父だったことに気がつく。叔父は感謝している和晴から一字を貰って息子に直晴とつけたことを話す。
 俺と母さんの思い出の本 入籍して二ヶ月、告白して付き合い始めて五ヶ月のころ。
 母・智恵子の知り合い・磯原さんから、三十一才で二ヶ月前に亡くなった息子・秀実の本を探して欲しいと依頼を受ける。余り連絡のない息子が俺と母さんの思い出の本を見付けた。プレゼントすると言ったのが最後の言葉になっていた。その本を探して欲しいという。磯原末喜から息子の自慢と愚痴を聞き、息子のマンションに行く。秀実はイラストレーターだった。本棚の一画に空いている場所があった。秀実の友人だという男・岩本の家に行き、本を探す。古本屋の蓮杖が栞子さんから盗品が売られたと連絡が来たと秀実のところから持ち出された本を持ってやって来る。見付けた本を持って、秀実の妻・きららと共に磯原家に行く。「ファイナルファンタジーⅤ」に登場する曲をピアノ向けにアレンジした楽譜集だった。きららは秀実が、母さんにはやりたくもないことをやらされたけれどすごく役に立っている。絵画教室はイラスト、語学やピアノは交流にと言っていたことを話す。末喜はピアノを弾く。きららはうれしそうにピアノの方に行く。
 佐々木丸美「雪の断章」 栞子の妹・文香の友達・小菅奈緒には先生と呼ぶ、ホームレスの志田がいた。志田は突然、奈緒の前からいなくなった。志田から奈緒に渡すように頼まれたと言って紺野祐太が「雪の断章」を持ってくる。奈緒は祐太と志田を探すため古本屋廻りをする。志田の行き先を知っている人を探した。祐太は奈緒が受験勉強をそっちのけで志田を探していると噂を流せば志田は奈緒に会いに来ると言う。本当に志田から連絡が来た。奈緒は文香と一緒に会う。話をした。そして奈緒は気がついた祐太が嘘を付いていることを。祐太は白状する。ホームレスの志田の家を荒らしていたこと。志田と面識は無かったこと。はじめて会ったのは尋ねてきた志田の妻が倒れ救急車を呼んだ時だったこと。ホームレスの所に来る女の子を見て、仲よくなりたくて勉強を始めたことを話した。
奈緒は自分のことを話してくれてありがとうと言い、自分のことを聞いて欲しいと言った。
 内田百けん「王様の背中」 舞砂道具店の店主だった吉原喜市の息子・吉原孝二は屋号だけで店舗もない古美術と古書を扱う舞砂道具店を継いだ。先月亡くなった山田要助の家を訪れた。大方の古書は無くなり、少し残っていた古書を息子がビブリオ書店に持って行った後だった。要助は帰り際ぬかるみに転び汚したコートの代わりに、古風なトンビコートを借りた。ビブリオ書店の前で留守番の文香に山田さんの息子さんと間違えられ声をかけられた。山田が預けた本があった。中に内田百けんの「王様の背中」の特製本がアル子とが分かった。孝二は山田の息子と勘違いされているのをいいことに、やはり売るのはやめる。持ち帰ると言う。その本を読んでいた扉子は続きが知りたいと言う。背中のかゆい王様がどうなるか。どうにもならないよ。怪しんだ文香が読み終える。本当にどうにもならなかった。孝二は子供が勝手に査定前の古書をいじくるような店に蔵書を売りたくないと言い残し古書を風呂敷に包んで持ち帰る。孝二は稀覯本を手に入れた。扉子が追いかけてくる。孝二が乗ろうとしている電車から栞子と大輔が降りてきた。文香と話した大輔が電車に飛び乗る。孝二はコートを着替え、王様の背中だけをバッグに入れ、とんびコートと古書、風呂敷を座席に残し車両を変わった。大輔が忘れ物だとみんなに声を掛ける。コートと古書の他に王様の背中の版画を一枚持っている。全部揃って価値がある。版画を落としそうになる。思わず孝二は立ち上がっていた。大輔は吉原さん、コートと同じ匂いがしていると言われる。駅前のコーヒーショップで話す。大輔は王様の背中をチェックして版画を挟む。店で落とした版画を扉子と文香は届けようとした。大輔も電車に乗って追いかけた。電車内の孝二の態度と、本当の山田さんの息子さんから電話があったため、孝二が舞砂道具店の吉原だと分かってしまったのだった。山田さんの奥さんがビブリオ書店ではなく吉岡に本を売ろうと考えたからだった。大輔は警察沙汰にしないでおこうと言うが孝二は警察に行く。舞砂道具店を畳む決心をする。
 エピローグ 倉庫になっている大輔の実家で本を見付けた。大輔がビブリア古書堂で働き始めてからの出来事を、仕事のこと、栞子のことを詳しく綴っていた。人目に晒せない多くの秘密が詰まった本だった。ビブリオ古書堂の事件手帖
 


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