2025年1月30日木曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑪

 大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑪ 山本巧次
  〜 殺しの証拠は未来から〜 

 マンションの建設現場で約二百年前の人骨が発見された。肋骨に傷があり、財布の繊維も付着し、文政丁銀も入っていた。長方形の銅の薄板も発見された。科捜研から頼まれた宇田川聡史が、熱心に江戸での骨の探索を頼む。ちょうど、関口優佳が、江戸に関わっている時期のようだ。四ツ谷四丁目。骨のDNAも判っている。
 
 ゆうは、鵜飼伝三郎から、紙問屋土佐屋の若旦那・満之助の行方不明の相談を受けた。満之助は、四百石の旗本・名倉家の奥方と駆け落ちしたのではないかと疑われていた。
 名倉家が四ツ谷にあった。四ツ谷の岡っ引き・竹次郎と悶着を起こしながら調べる。名倉家の奥方は、亡くなっていた。毒でなくなったようだった。満之助は見付からない。名倉家が注文した紙から銅版画が浮かぶ。ゆうは銅版画に拘る。現在に見付かった骨と一緒に銅板が見付かっているから。銅版画の彫師、摺師、と辿り行方不明の彫師・余兵衛が浮かぶ。余兵衛の持ち物からDNAを調べ、骨は余兵衛と判明した。
 竹次郎が殺され、ゆうが襲われる。頭を殴られ倒れたが、スタンガンを足首に押し当てた。足首に火傷を負った。
 判った流れは、名倉家の当主は、大名の藩札の偽物を作らせた。場所は四ツ谷の荒れ寺、余兵衛が彫り、娘の交際相手・譲吉が擦った。譲吉を見つけた。譲吉の足首にスタンガンの後があった。ゆうは、スタンガンで脅し、譲吉が竹次郎を殺し、ゆうを襲ったことを白状した。余兵衛は、刷り仕事の雇い主からもっとせしめようとした。その日から余兵衛はいなくなった。
 譲吉の証言では、名倉家に届かなかった。ゆうは、宇田川に頼み、名倉家にプロジェクションマッピングを仕掛けた。奥方の幽霊だった。
 名倉の殿様は、刀を持ち出し荒れ狂った。用人を斬り、屋敷から飛び出す。立ち塞がったゆうたちに捕まった。気が収まるまで日が掛かり、病気になり、しっかりと取り調べられないまま亡くなった。
 名倉家から見付かった偽札がどこの大名か判ったので大名に知らされた。
 満之助が現れた。満之助は名倉の奥様に相談され、刷り上がった札が運ばれるのを追いかけた。大阪で馴染の両替屋に相談し、大名家に知らせた。大名は、札の流通を防いだ。満之助は大阪から帰ってきた。奥様に手紙を預けたが、奥様は殺され、土佐屋に連絡が無かったのだった。

 宇田川は、科捜研に、令和と平成で、日本中の不明者リストから鵜飼伝八郎と合う人物を探して貰った。いなかった。宇田川は、昭和かと思った。
 科捜研には、藩札の偽物を刷るための銅版だったと話した。

 

 

2025年1月27日月曜日

老いてお茶を習う

老いてお茶を習う 群ようこ

 お茶のお稽古をはじめて一年。
 恥をかきすぎているが、やめる気なくずっと続けて行く。 

2025年1月24日金曜日

60歳で小説家になる

 60歳で小説家になる 森村誠一

 現役時代にタネを仕入、時間が自由になる定年後にデビューすることこそ、理想の第二に人生。

2025年1月21日火曜日

江戸の探偵② 上訴の難

 江戸の探偵② 上訴の難 鈴木英治

 筆頭家老の陰謀によって幽閉された城主・斉晴を救うため、斉晴の父親・将軍に上訴をすべく石見国加瀬津から江戸にやってきた永見功兵衛だが、家老が手を回し、上屋敷にも近づけない。読売屋を営む布美から用心棒を頼まれ、布美の家で模索することにした。

 功兵衛は、読売屋の調査員・邦市が刺され倒れているのを見つけた。功兵衛は、糸吉に言い、庭の血止草を集めさせ、邦市の傷の血止めをする。医者が来て一命を取り止める。

 北町奉行所定町廻り同心・藤森中兵衛は、火事で焼死した医者・仁休の死に疑問を抱いていた。仁休は医者として仕事をしていないにも関わらず、お金には不自由をしていなかった。死体が仁休かどうかも判らない状態だった。藤森は、邦市に助言を貰いに行く。
 邦市の状態を見た藤森は、助言を諦めるが、布美は、功兵衛を連れて行くよう助言する。腕も良いが、頭も良いと。功兵衛には、しっかり見てきて後で話して欲しいという。
 二人をつけている者がいる。捕まえると、仁休を仇と思っている春厳だった。遺体は、弟の秋孝だろうと言う。仁休は、広島で藩医の二人の父の弟子だった。父を殺し金を奪い、母と共に江戸へ来ていた。二人は十六年、仁休を探し、弟は身体を壊し、仁休が寿豪か確かめに出て帰らなかった。様子を見ていると焼死遺体があった。
 三人で仁休を探す。中兵衛が今次という手習子が逃げてしまった手習いの師匠の話しをする。功兵衛は、仁休はそこにいると言い、駆け付ける。仁休は捕まった。功兵衛と糸吉は読売屋・聞心屋に戻り、話した。
 中兵衛が来て話した。仁休は、八百両と医者の妻を連れ、一か月かけて江戸に来た。妻は精神を病み亡くなった。仁休は広島へ送られる。取調の後、仇討ちになるだろうと。

 邦市が喀血し、亡くなった。

2025年1月18日土曜日

春待ち同心〈三〉 不始末

春待ち同心〈三〉 不始末 小杉健治 

北町奉行所定町廻り同心・伊原伊十郎は、 縁談相手・百合からの破談申し入れは撤回され、百合の父親・柳本為右衛門と会える日が近いと喜んでいた。
 父親は伊十郎だと言う幼子を抱いた若い女が現れ、行くところがない母子を預ることになった。全く覚えがないが、身から出た錆と廻りのものは信用せず、責任を取れと煽られる。百合の父親と会う話しも無くなる。

 炭薪問屋小牧屋の薪の下敷きになり亡くなった者がいた。伊十郎は、簡単に崩れるような積み方ではないことを調べていた。遺体の傷が気になった。遺体の身元が判らない。髪結いで、男が喧嘩していて下敷きになったと言った男が殺された。小牧屋の主人の咎めがどうなるか、大いに違いが出るので、伊十郎は調べる。殺された男は、遺体を運ばれていた。どこからかを調べていくと旗本に行き当たる。

 伊十郎の元に、百合の女中だという女が、幼子の母子に付いて尋ねてきた。伊十郎は自分の子でないと言う。
 音曲の師匠・ふじに話すと、百合様は自分で訊ねて来る人ではないかと言われる。跳んで帰った自宅は、襲われていた。ひと足早く、母子は逃げていた。母子が乗った駕籠を探し、赤子の泣き声を探し、旗本と関係のある商家を探す。
 赤子は側室の子だった。半年前、側室の子と本妻の子とで跡取り争いが起こった旗本で、側室の子が産まれたため、隠居が、後に争いが起きないよう側室の子を殺そうとした。守ろうとする家臣と、隠居の意をふくんだ家臣が争っていた。
 商家を見張っている伊十郎の前に、母子が現れ、殺そうとする家臣が現れる。母子を助けた伊十郎は、家臣に、赤子が殿様から貰ったお守りを渡し、子どもは殺したと伝えるように言う。母子は、二人を守ってくれた男と夫婦になって暮すと去った。

 江戸を騒がす「ほたる火」の浮世絵がでた。ふじに似ていた。伊十郎もふじを疑うが、ふじといる時にほたる火が現れたことで、違うと思っていた。浮世絵の絵師もほたる火を見たが、はっきり見たわけではなく、後に見たふじを描いたものだと判った。
 絵師は、百合を見て、ほたる火と言った。
 百合の身のこなしが軽いものであることを、伊十郎は知っている。
 百合の父親と会う話しも復活する。
 

2025年1月15日水曜日

紅雲町珈琲屋こよみ 時間の虹

 紅雲町珈琲屋こよみ 時間の虹 吉永南央

 夏 
 杉浦草は、小倉屋にいつものように、時が流れていると思っていた。
 知らされないが、従業員・森野久実は、同棲していた一ノ瀬公介と別れていた。
 親友の由紀乃は、九州の息子のところに行った。
 ポンヌファンのシェフだった、寺田博三は、シェフを辞めてから小説を書いている。新人賞を取った。長編にして出版する話しが来ている。
 阿久津が、孫がカルト教団に入っている。草の言葉なら聞くかもしれない。と相談に来た。
 小倉屋に、間違い電話がたびたび掛かる。
 ボランティアの青少年が、店を訪れるようになった。
 阿久津の孫・まりかから西方の峯のパンフレットを見せられた。まりかは、草も仲間だと思っている。草が、広告塔に使われていた。ボランティアの人たちと一緒に撮った写真。
 一月
 決まっていた展示会を終え、草は小倉屋を閉めた。
 
 七年後
 一ノ瀬は、ガッシャブルムⅠ峰の頂上に立った。
 実家の梅園にある住宅に久実が子どもを連れて隠れ住んでいた。幸介は調べた。久実が結婚した犬丸は、カルト教団・西方の峯に入信し、財産を使い、久実の貯金に手を出した。久実は逃げていた。
 幸介は、久実が離婚できるように犬丸に会い、書類にサインさせた。犬丸の入信のきっかけは、久実と結婚するために、拾った携帯を久実に返さず、幸介からの伝言を久実に伝えなかったことへの悔恨と罪の意識。
 久実は、幸介と一緒にいることを希望し、行方不明の草に手紙を書くことにする。
 市立美術館の半セルフのカフェで、とう、のところが高くなるありがとうございましたを聞いた。