大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑪ 山本巧次
〜 殺しの証拠は未来から〜
マンションの建設現場で約二百年前の人骨が発見された。肋骨に傷があり、財布の繊維も付着し、文政丁銀も入っていた。長方形の銅の薄板も発見された。科捜研から頼まれた宇田川聡史が、熱心に江戸での骨の探索を頼む。ちょうど、関口優佳が、江戸に関わっている時期のようだ。四ツ谷四丁目。骨のDNAも判っている。
ゆうは、鵜飼伝三郎から、紙問屋土佐屋の若旦那・満之助の行方不明の相談を受けた。満之助は、四百石の旗本・名倉家の奥方と駆け落ちしたのではないかと疑われていた。
名倉家が四ツ谷にあった。四ツ谷の岡っ引き・竹次郎と悶着を起こしながら調べる。名倉家の奥方は、亡くなっていた。毒でなくなったようだった。満之助は見付からない。名倉家が注文した紙から銅版画が浮かぶ。ゆうは銅版画に拘る。現在に見付かった骨と一緒に銅板が見付かっているから。銅版画の彫師、摺師、と辿り行方不明の彫師・余兵衛が浮かぶ。余兵衛の持ち物からDNAを調べ、骨は余兵衛と判明した。
竹次郎が殺され、ゆうが襲われる。頭を殴られ倒れたが、スタンガンを足首に押し当てた。足首に火傷を負った。
判った流れは、名倉家の当主は、大名の藩札の偽物を作らせた。場所は四ツ谷の荒れ寺、余兵衛が彫り、娘の交際相手・譲吉が擦った。譲吉を見つけた。譲吉の足首にスタンガンの後があった。ゆうは、スタンガンで脅し、譲吉が竹次郎を殺し、ゆうを襲ったことを白状した。余兵衛は、刷り仕事の雇い主からもっとせしめようとした。その日から余兵衛はいなくなった。
譲吉の証言では、名倉家に届かなかった。ゆうは、宇田川に頼み、名倉家にプロジェクションマッピングを仕掛けた。奥方の幽霊だった。
名倉の殿様は、刀を持ち出し荒れ狂った。用人を斬り、屋敷から飛び出す。立ち塞がったゆうたちに捕まった。気が収まるまで日が掛かり、病気になり、しっかりと取り調べられないまま亡くなった。
名倉家から見付かった偽札がどこの大名か判ったので大名に知らされた。
満之助が現れた。満之助は名倉の奥様に相談され、刷り上がった札が運ばれるのを追いかけた。大阪で馴染の両替屋に相談し、大名家に知らせた。大名は、札の流通を防いだ。満之助は大阪から帰ってきた。奥様に手紙を預けたが、奥様は殺され、土佐屋に連絡が無かったのだった。
宇田川は、科捜研に、令和と平成で、日本中の不明者リストから鵜飼伝八郎と合う人物を探して貰った。いなかった。宇田川は、昭和かと思った。
科捜研には、藩札の偽物を刷るための銅版だったと話した。