猫さえいれば、たいていのことはうまくいく。 アンソロジー
猫は長靴を履かない 荻原浩
小学六年生で両親を亡くした少年・麦田コースケは、父の弟一家に引き取られた。大学に行き、社会人二年目、叔父が亡くなった。叔父からの遺産、一匹のスコティッシュフォールドと二百二十万・大学の学費の借金を抱え込んだ。
猫の存在を知った会社の先輩・真壁麻里乃と、動画配信することになった。ワビスケは、スコ座り、二本立ち、わびすけ劇場、ジャンプ、空中で一回転、しゃべる猫。投げ銭が貯まり、叔父一家に返金出来た。真壁先輩も映画を作るお金を貯めた。ワビスケが痩せた。オジサンもういいよ。と言えばワビスケは普通の猫になった。
結婚資金貯めようかと言いかけた時、ワビスケはドレミの歌を歌っていた。
ツレ猫婚 石田祥
三十五才の広田七緒に、叔母が、会計事務所勤務の三十九才の加納克己を紹介した。堅物で猫の話しかしない、断ろうとした矢先、加納が熱を出し三日休んでいると聞いた。猫が心配で家に行く。猫に餌と水をやりトイレの掃除をする。礼を言われた時、何か起こった時は猫を助けると言われた。堅物、時間には正確、凝り性で勉強家、奇麗好き、お互い連れて行く猫が幸せならお互い幸せになれる気がする。
いちたすいち 清水晴木
安城成美、二十九才。コインランドリーで二メートル空けて黒猫と付き合っている。会社で陰口をトイレで聞いてしまった。もともと人との付き合いがない。眠れない夜のルーティーンは、二年前に会社の上司・真里さんが辞め半年前に開いた夜カフェに行く。店名は「マルジャーラハ」雄猫。真里さんと話す。雨の日は、深夜ラジオに耳を傾ける。きっかけはDJコトーさん。
陰口のことを聞いた真里左から、カフェを一緒にしないかと誘われた。お客様が増えたら考えよう。コインランドリーの猫との間がつまり、抱き上げ連れて帰ろうと思っている。
深夜放送から夜カフェ・マルジャーラハの話しが流れる。カフェの常連客、一人は真里さんの元夫、もう一人はDJコトーさんだった。
猫のヒゲ 標野凪
八十才で一人暮らし。一年ぐらい前に娘が連れてきた猫・シマ子と暮している。娘が夫と別れて帰ってくることを願っているが、駄目なようだ。
神様のウインク 若竹七海
御後安全靴株式会社社史・飼い猫の項 山本幸久