新・口中医桂助事件帖③ シーボルト花 和田はつ子
シーボルト花 桂助は、文部省医務局長・長与専斎の説得により、医術開業試験の試験官を引き受ける事になった。政府から虫歯削り機が届いた。鋼次と共に機械を使って治療できる人材を求める。福沢諭吉や長与の紹介である医術開業試験の受験を希望する小幡英之助が訪ねてきた。桂助は、試験をし、多くの希望者から英之助を選び、虫歯削り機の働き手として雇った。彼は、エリオット先生に師事していた。英之助は、桂助の痛くない歯抜きの伝授を希望するが、英之助との師弟関係になることは断った。彼はシーボルトの紫陽花を持参した。
うさぎ草 うさぎの飼育がブームとなり人気のうさぎは高額で取引された。投機熱を覚ますため政府はうさぎに税金を課した。ブームの首謀者と思われた土生光輝が殺された。光輝を後ろで操っている者が口を塞いだと思われた。三男・光晴が持っていた高額な黒面更紗うさぎは、元公家、今は吉原にいる雪乃が飼っていた。雪乃のがいる吉原の家に不審火があり雪乃はアルバート・スタインバーグの館に移った。雪乃は結婚してアメリカに渡る。光輝を殺したのは、うさぎ投機を思いついて流行を広げて儲けていた事実を認めた京極直徹だった。光晴は屋敷を売り、投機の失敗での借金を返し、川路の伝手で小学校の教員となった。
曼珠沙華 川路に要請し、骸の検視をする桂助は、金五とそのまま事件調べの手伝いをする。自死に見せて殺された医者・松永幸太郎の死を調べる。松永を殺したのは、娘婿になるはずだった中村俊太郎を馬車でひき殺された千年堂の主人、娘・千里、俊太郎の母・連だった。そのことを知った芙蓉がお金を要求してきたので殺していた。
事件を調べるうちに、金銭で依頼され、病死、事故死に見せかけ殺す、殺し屋がいることを知る。
待雪草 心臓麻痺でなくなった者を調べて、ヒ素中毒だと分った。殺し屋の名前はスノードロップ。
もうすぐ試験の英之助が、ヒ素中毒になっていた。桂助は英之助を入院させた。ヒ素を入れられたのは芋焼酎だった。
長与のスノードロップが誰か突き止めよの言葉で、英之助をおとりにする。英之助に届ける者を突き止める。福沢諭吉の名前で届けられた。本人がくる。いわしや井太郎だった。江戸の頃、富裕の者から寄付を募り医薬を世の隅々に届けていた。明治になり寄付が集まらなくなった。芙蓉が依頼され、松永が毒殺する。松永が勝手をするようになり困っていたところ千年堂の事件が起きた。
歯科か口中科と言われている時に、口中医たちは、秘伝としたため歯科となった。口中科は自滅した。誰がスノードロップに英之助の殺人を依頼したかは伏せられた。
小幡英之助は、医術開業試験歯科に合格し、本邦初の歯科医師となった。
0 件のコメント:
コメントを投稿