2025年4月12日土曜日

おやこ相談屋雑記帳 ⑳ 騙された 

おやこ相談屋雑記帳 ⑳ 騙された 野口卓

烏がやって来た
 屋敷に住着いた狸を信吾が見に行ったと言う話しを聞いた京作は、烏を飼っているので見てほしいと言った。京作は、羽根を折った烏を飼っていた。自分が年寄で死に、烏のカア助が行きていたら、誰もえさを遣らなくなる。残して行くことの心配をしていた。信吾が飼うことにした。庭に鳥小屋を作り、烏を引き取った。

相談客にあらず 
 宮戸屋に信吾の呼び出しのお座敷が掛かった。相談客では無く、雑談をする。返しに呼び出し畳の話をした。備後屋忠治郎との話は楽しかった。

親孝行な嘘 
 七五三を見に、権六が吾一を連れて来てから三回目。吾一は鹿威しという盗人のはなしをする。八丁堀の道場に通う吾一に、定町廻りの若木に声をかけられた話しをする。今晩でも明日でも権六に屋敷に来るように伝えてくれと言った。口が固いことを確かめて、誰にも言うなと言ってから、若木といつも一緒に町廻りをしている玉吉が年齢を理由に八月いっぱいで辞める事を伝える。吾一は若木が呼んでいることを伝えるが、玉吉の事は言わなかった。吾一に言わなかったことを若木に褒められる。信吾には話しているが。
 権六や母親・こまに反対されても自分は行きたいという吾一に、一日目は付いて行き、道を覚えてしまい、二日目からは少し前を先に歩き回ればいいと信吾にアドバイスされる。

遠来の客 
 十五年前忽然と一家全員で姿を消した蝋燭屋の幼馴染・勝太郎の兄・厚太郎が来た。勝太郎は亡くなったと言う。十五年前、京の兄が亡くなり二人の父は兄の息子が大きくなるまで息子を育て店を守ると江戸店を閉め京にいた。江戸に帰ってきたと言う。
 別日、厚太郎が迎えにきて行って見ると前の店の跡地に美祢古屋の店が建っていた。宮戸屋に行くと、勝太郎がいた。一年も前に江戸に帰り、二人で働いて店を飼っていた。信吾を騙したかった。と言った。

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