長兵衞天眼帳 山本一力
天眼帳開き 長屋のさちが、隣の老婆を殺した疑いで岡っ引き巳之吉に捕まった。巳之吉はさちが犯人と決めつけて捕まえたが、間違いでも構わないという考えだった。放してやるから自分の女になれというような。
さちは助けたい小網町の新蔵は、縄張り違いでも長兵衞に相談し、真実の犯人を捕らえようとする。
犯人を突き止めたが、注連次は船宿で賭場を開くゑさ新に捕まりす巻きにされるところだった。賭をし、注連次を取り返す。番所で話を聞いてから巳之吉の渡す。さちを取り返した。
老婆は甥の注連次のためにお金を貯めていた。金を借りに来て、言い争い首を絞めた。金を貯めているという書きつけを見、喜んで叔母を見た時、首を締められ死んでいた。そこへさちが来た。逃げた。注連次もすぐに逃げていた。
真贋吟味 木場の材木商・檜問屋の福島屋の当主が急な病で亡くなった。当主の弟・川並の岐阜新の新次朗が、もしもの時には後をお願いするという「書残」を預かっていると持ってきた。福島屋の内儀と頭取番頭・中悟郎、息子・豊太郎に頼まれた同心・宮本は、真贋鑑定を眼鏡屋村田屋の長兵衛に頼んだ。長兵衞は、新蔵と共に動くため、富岡八幡の幹次郎に声を掛ける。
長兵衛は、二通の書残を比べ、福島屋の方には、日にちの脇に小さな点があることを見付ける。天眼鏡で見、米粒の先にも満たない刻印を発見した。主人・矢三郎は、身代を確実に豊太郎に渡すため、傳七親方の元には、わが手でしたためた書残には年号の脇に当該年の干支が押印されている。押印なき書残は、贋作であるという書状を残していた。
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