隠密船頭〈六〉 男気 稲葉稔
北本所の侠客一家・源森一家に、仇敵勢力・鳥越一家が急襲をかけた。双方とも親分を失う大抗争だった。抗争場に居なかったヤクザの一人・忠次郎が殺された。奉行・筒井和泉守の「奉行の隠密」となった沢村伝次郎が探索する。
事の起こりは源森一家の忠次郎が鳥越一家の辰吉を殺した。辰吉が殺されたことは隠され知っている人は少ない。十日後、鳥越一家は源森一家に殴り込む。忠次郎はいなかった。旅から帰った鳥越一家の清蔵は、忠次郎を殺そうと狙っていた。鳥越一家の親分・虎蔵の兄貴分の長五郎は、清蔵に殺させないように忠次郎を殺した。病気で先が短い。箱根に行くと言う。長五郎は虎蔵の子分に堅気になるのに手を貸すという人だった。清蔵は堅気になると言う。
全てを知った伝次郎は、長五郎に箱根行きを勧め、帰ってきてはならないと言う。伝次郎はそのまま奉行に報告する。
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