ランタン灯る窓辺で 吉永南央
アパートメント・ストーリーズ アンジャーネ改題
北関東のとある町にある、外国人向けアパート「ランタン楼」。昔からトラブルが絶えないアパートの歴史に怯えつつ、入院した祖母の代わりに大家稼業をこなしていく瑞輝27才。
住人の問題と対峙し、彼らの窮状を解決しようと奮闘する。
四分の一 瑞輝が初めて話しをしたのは上の部屋のフォンだった。死の淵にある人を見守るのは想像以上にしんどいようだ。フォンが掛けてくれる何気ない言葉に救われていた。フォンの所にタインと名乗る男が来た。鈍い音がした後、夜明け前、豪雨の中、キャスター付きの大型トランクを引いて出かける。瑞輝はトランクを後部座席にいれるのを手伝った。旅行に行くの?午後フォンは帰宅した。瑞輝はタインの帰った時間を知らない。トランクの中は何だったんだろう。隣の家賃の滞納が多いナリが、家賃と書かれた封筒で家賃を支払った。フォンが口止めのために払ったと考えた。フォンは瑞輝を避けていた。瑞輝はトランクの中にタインが押込まれていたとまで考えた。が、タインがやってきた。
瑞輝がフォンだと思っていたのは、姉のクワンだった。大家に無断で同居人を置くと即刻退去という契約があった。だから隣人に内緒と家賃を渡した。
瑞輝の祖母・梅は中国人だった。フォンは、アオタイと言わずチャイナシャツと言うと言った。梅はお盆過ぎに亡くなった。ランタン楼が売れるまで瑞輝が大家をやる事になった。
八月末、引っ越した。真下の爺さんが文句を言いにやってきた。
ジロ 瑞輝の父親・松本冬吾からメールが届いた。二十年ぶりの音信だった。四才の時離婚した父と母は、連絡を取り合っていた。彼はパプア・ニューギニアの海底にある鉱床を採掘しているらしい。母は、父のことを移動するアフリカゾウ、自分を家にいる猫、それぞれが気に入った暮らしをする事にしたと離婚理由を説明した。母は助産士をしている。
マルシオ・日系三世のブラジル人。近くの農園で働いている。八年前に帰ってきて農園を継いだ瀬戸農園に務めて二年、ランタン荘に暮して五か月。
農園の直売所で一万円が紛失した。近くに黒のワゴンが止まっていた。瀬戸があったと一万円を出した。真下さんは、瀬戸さんも大変だと言った。マルシオは、夜、ワゴンに乗り込んだ。朝、瀬戸農園に殺虫剤が撒かれた。液体がかかった野菜や土は取り除かれた。黒のワゴンが止まっていた。近所で事務所荒らしがあった。マルシオが伝言を残していなくなった。仲間と行く。ジロのシチューを作っていた。
黒のバンのブラジル人は、マルシオの昔の仲間と思っていた。瀬戸が、パウロは、元々瀬戸の仲間だったと言う。パウロは瀬戸を必要とした。マルシオは、機械や電気に詳しい自分をアピールして採用された。
マルシオは、瀬戸農園と瀬戸さんを守るために行ったのかとも思った。
マルシオは知った。普通の生活が、どんなに我慢を強いられるか。
二十年ぶりに相応しい挨拶と近況報告を冬吾に送った。
海亀ハイグイ ウォンシューイン黄淑英 広東省からきた留学生。国立大で経営学を学ぶ。八月に実家が倒産、八万円の仕送りが止まった。授業料を払い家賃が払えないと言う。キャパクラでアルバイトしている。三十六万円貰えるところ六万しか貰っていない。
中学時代の同級生・都築徹がランタン荘に来る。都築は同棲相手が妊娠し結婚を迫られ逃げている。二人は話し、彼女は別れて実家に帰ることになった。都築は、彼女は僕といると今より苦労すると言う。瑞輝は、後に、彼女の実家が資産家だと知る。
淑英のアルバイト先の社長を調べ、言い訳の実を調べる。直接対処し、アルバイト代が払われた。淑英はキャパクラのアルバイトを続け、ただ同然で手に入れたドレスをリフォームし、人にレンタルし収入を得始めた。
バルザフ 建設が中止されているマンションで、写真展が行なわれた。四日後、建設会社が撤去した。首謀者は、ジーラ。ジーラは今も亡くなったディアナの写真をペンダントに入れている。ジーラは言う。悪いのは私、いつも逃げた。ディアナから、家族から、夫から。
夫に話せた。夫が日本に来る事になった。
テリンノム 空き部屋を倉庫代わりに貸した。入れられた荷物・メンズブティックの商品。運び込まれた時にいた店員がスペアキーを借りに来た。翌日商品は無くなっていた。
瑞輝は操作開始、殺された女性、麻薬の運び屋、最後には、八割の洋服を回収。親に拒否された金も回収。
空き室と思われていた部屋には、空の段ボールが積まれていた。祖母の思惑は?
住人祭 近所の久保井さんが玄関を入ったところで遺体で見付かった。ランタン荘を訪ねてきたソウジロウさんに疑いがかかった。ソウジロウには、ナオヤという兄がいた。ナオヤがランタン荘の住人だった。十年前に突然行方不明になった。ソウジロウは兄を探しに来て出来る限り日本にきて探していた。
瑞輝は、久保井家と隣家の庭が見える昔の堀跡に行き、植物によって二軒の関係を知った。折口は久保井から毎月十万円を貰う関係だった。瑞輝は折口に疑惑をぶつける。本当のことを話して誰が喜ぶかしらという折口に、瑞輝はランタン荘の住民の濡れ衣は晴らせる。折口は転んだ久保井が起き上がろうとして転び、頭を打って亡くなった瞬間を見ていた。娘・香穗さんに、知られたくなかっただろうと思ったと話した。
瑞輝は、折口との昔話がヒントになり、ナオヤの居所を掴んだ。二軒の庭を見た昔の堀跡の暗渠。骨を見付けた。ソウジロウが帰った。
ランタン荘の前にベンチを置く事によって住民との仲が改善された。
エキストラ ランタン荘が映画に使われた。大家として瑞輝も出演する。
中国人がランタン荘を買い、中国人アパートにする話しが持ち上がり本決まりになりそうだった。瑞輝は落胆しながら買う予定の中国人を調べる。手広く仕事をしているが、あまりいい話しは聞こえて来ない。契約にも訪れない。不動産屋にお金も振り込まれない。ランタン荘を買う話しは聞こえている。そんな時、瑞穂の命が狙われる。捕まえるとランタン荘を買う予定の男と間違えられていた。命を狙った男は、置いてあったお金を取って中国へ帰った。ランタン荘を買う予定の話しをなくなった。瑞輝がランタン荘を叔父たちから買うことになった。
瑞輝の出た映画の上映が始まった。母親と見る予定のところに父親もきた。