2024年10月27日日曜日

定廻り同心新九郎、時を超える①鷹の城

 定廻り同心新九郎、時を超える①鷹の城 山本巧次

 瀬波新九郎は崖から転落し、戦国安土桃山時代にタイムスリップした。
 天正六年、羽柴秀吉が東播磨の青野城を囲んでいた。目の前で死んだ、安国寺恵瓊の文を持った密使になり青野城に入る。青野城で起こった殺人事件を解決し、犯人と思われていた湯上谷佐馬介を助けた。新九郎は、青野城鶴岡家の奈津姫に抜け道を教わり脱出する。青野城では、家臣も殿様も二心を持った者ばかりだった。崖を滑ったと思ったら江戸時代に帰った。

 父親・新右衛門から新九郎の曽祖母が、実家が上谷といい、播磨の出だと聞く。
 上谷家の隠居・畿兵衛より、先祖の話しを聞く。
 先祖は、湯上谷、鶴岡家と共に織田方に付く。豊臣の臣下となるが、秀吉の不興を買い、鶴岡家は改易となる。鶴岡家の姫・奈津は豊臣の家臣と婚姻したが、秀次に関わり鶴岡が改易となり離縁された。湯上谷は、奈津姫と婚姻し、宇喜多家に仕官した。
 関ヶ原後、徳川の旗本になった。湯上谷の名を変え上谷になった。
 佐馬介は家康と同じ年に亡くなり。奈津は家光が将軍になった年に亡くなったことが分った。
 
 畿兵衛の姪・志津と出会う。彼女は、奈津姫と瓜二つだった。
 
 

2024年10月22日火曜日

アーセナルにおいでよ

 アーセナルにおいでよ あさのあつこ

 川相千香は、初恋の相手・芳竹甲斐君から連絡くれませんかとスマホに連絡が来た。甲斐君が学校に来なくなってから五年たっていた。中学一年の冬、引っ越した。
 大学は推薦で決まっていた。友人は、山脇菜々美、社交的で、苦労なく誰とでも付き合える。千香となら本の話しとか思いっきりできる。貴重で大切な存在。本オタクということで宜しくと告げる。
 甲斐君と会った。甲斐が起業する会社・アーセナルを一緒にしないかと言う事だった。
 最優秀論文賞「学校図書館の活用法 新たな空間として考える」 県立f高校 川相千香
文部省のホームページに掲載された論文を読んで、端的に具体的に書かれていることに感動しての誘いだった。
 甲斐と一緒にいたのは昔、詐欺罪で捕まった稲作陽太だった。少年だった陽太は少年刑務所だった。かなりな組織で相当な人数が逮捕されたが、トップの何人かは逃げていた。陽太は、あの時捕まってよかった。詐欺師の才能が開花するところだった。と考えている。陽太には、他人を巻き込む力がある。

 自分たちが抱えているそれぞれの悩みや、問題を相談出来て、それぞれに合った方法で解決していく、そういう場所が創れないかと考えている。相談案件に対して、現実的、具体的な方法をアドバイスする。現実と戦う具体的な武器を供与する。

 陽太は完璧な計画書を作る。
 協力者ネットワークを作る。必要な情報に結びつき解決方法が見えてくる可能性が広がる。問題点を出し、結果を出しデータ化する。データを有料で配信する。

 古藤里佳子さん。経理担当

 千香は働くことにした。
 
 ”少子高齢化社会における子どもの未来を探る”シンポジウムに参加しようとした。陽太は昔の詐欺師のトップを見た。調べて連絡し穴をふさぐつもりで。「ヒューマンバンク・カンパニー」に警察が入り捕まったが、スザキは逃げた。電話で南のリゾート地へ行くよ。置き土産残したからと言われた。
 アーセナルのスタッフに詐欺師がいると書かれていた。イベントへの参加が白紙になった。
 真実は武器になる。アーセナルに出会って生きる道を見付けた元詐欺師。更生の物語を書いた。自分の過去、犯した罪の内容、両親の懸命な弁済とそれへの想い、甲斐との出会い、「アーセナル」を立ち上げた理由、これからの望み、今のアーセナルの状況、千香が簡単な校正をした。
 イメージが詐欺師の働く胡散臭い会社から、若者が生きる場として起業した未来志向の起業に変わった。

 千香は大学を卒業した。

2024年10月19日土曜日

春待ち同心〈二〉 破談 

春待ち同心〈二〉 破談 小杉健治

 定町廻り同心・伊原伊十郎のもとに、縁談相手の百合から婚約破棄のような話しが伝わる。百合を一目みてから、美貌の虜となり、一途に思い続けていたのに・・・。
 百合と時をおかずして出会った妖艶な音曲の師匠・ふじ。伊十郎は憎からず接していたが、ふじが、江戸を騒がす怪盗「ほたる火」 なのではないかと疑いをもつようになった。探索を兼ねて逢瀬を重ねていた。下心はないはずだが。何故、百合が、ふじのことを知っているのか。下働きの光が百合と関係があると思っていたが、はずれた。では誰が・・・。
 ふじと会って別れた後、黒装束のほたる火を見た。会っていた時刻に盗まれた商家があった。ふじはほたる火ではなかった。
 もう一人、元軽業師の女・りつを探したが、彼女も軽業をできるような体型で無くなっていた。ほたる火は誰か。

 三年前、伊十郎が堅気になるよう送り出した泰吉が箱根で殺され、女房が母親のところに来ていた。泰吉の元の仲間・虎吉が殺される。ひげ面の男が目撃され、伊十郎は、探し出す。泰吉は、小田原で、川の改修工事を取り仕切る「大政組」と作事奉行の石垣修復工事の不正に絡む密談を聞いてしまい、殺されると思い逃走資金を盗んで逃げた。箱根で死体を見付け、持ち物を自分の物と交換して、自分が死んだことにした。
 母に逢いに帰るとひさが、母のところにいた。ひさは泰吉が死んだことを母親に知らせにきたが、言えなくて女房だといい母親と一緒に住んでいた。組長から見張るように言われていたが、組長の妾にはなりたくなかった。母親の面倒を看ることになった。
 泰吉は大政組に追われていた。虎吉を殺したのも大政組の者だった。捕まった。
 泰吉は伊十郎と奉行所に行き、何もかも話す。小田原藩にも伝わった。
 泰吉が持ち帰った遺品から殺された男が分った。佐平次調べていた事件の男だった。亭主が旅立った後、間夫が追いかけ殺したことを白状した。

 百合が伊十郎の屋敷に来た。破談はなしになった。百合にふじのことを聞くが、知らないと言われた。百合が帰る時、桶が風で飛ばされて転がってきた。伊十郎が、はだしのまま飛び出し間に合わないと思った時、桶は、百合の背後を転がっていた。百合が身体を移動させた。百合の身の軽さに驚き、武芸にんも秀でているかもしれない。

2024年10月17日木曜日

辻番奮闘記六 離任

 辻番奮闘記六 離任 上田秀人

 平戸藩士斎弦丿丞は、江戸の辻番として将軍家光への襲撃を阻止するなどの功を挙げ出世。だが、同僚の反感を買い国許へ帰された。長崎の警護にあたり島原乱後に増えた牢人らを取り締まる辻番となる。
 江戸では家光と老中・松平伊豆守が、目障りな大老・土井大炊頭の排除を画策し始めていた。伊豆守は、平戸藩主が起こした密貿易事件に目を付け、有能な弦丿丞を使おうと平戸藩主に頼む。
 長崎奉行・馬場三郎左衛門との関係と、辻番に付いたばかりのことで弦丿丞は困るが、二度の督促で弦丿丞は、長崎を出立した。
 江戸から国許に戻ったと妻・津根と生まれたばかりの子供にも一目しか会えず江戸行きの船に乗せられた。

2024年10月8日火曜日

ランタン灯る窓辺で 

 ランタン灯る窓辺で 吉永南央
 アパートメント・ストーリーズ アンジャーネ改題

 北関東のとある町にある、外国人向けアパート「ランタン楼」。昔からトラブルが絶えないアパートの歴史に怯えつつ、入院した祖母の代わりに大家稼業をこなしていく瑞輝27才。
 住人の問題と対峙し、彼らの窮状を解決しようと奮闘する。

 四分の一 瑞輝が初めて話しをしたのは上の部屋のフォンだった。死の淵にある人を見守るのは想像以上にしんどいようだ。フォンが掛けてくれる何気ない言葉に救われていた。フォンの所にタインと名乗る男が来た。鈍い音がした後、夜明け前、豪雨の中、キャスター付きの大型トランクを引いて出かける。瑞輝はトランクを後部座席にいれるのを手伝った。旅行に行くの?午後フォンは帰宅した。瑞輝はタインの帰った時間を知らない。トランクの中は何だったんだろう。隣の家賃の滞納が多いナリが、家賃と書かれた封筒で家賃を支払った。フォンが口止めのために払ったと考えた。フォンは瑞輝を避けていた。瑞輝はトランクの中にタインが押込まれていたとまで考えた。が、タインがやってきた。
 瑞輝がフォンだと思っていたのは、姉のクワンだった。大家に無断で同居人を置くと即刻退去という契約があった。だから隣人に内緒と家賃を渡した。
 瑞輝の祖母・梅は中国人だった。フォンは、アオタイと言わずチャイナシャツと言うと言った。梅はお盆過ぎに亡くなった。ランタン楼が売れるまで瑞輝が大家をやる事になった。
 八月末、引っ越した。真下の爺さんが文句を言いにやってきた。

 ジロ 瑞輝の父親・松本冬吾からメールが届いた。二十年ぶりの音信だった。四才の時離婚した父と母は、連絡を取り合っていた。彼はパプア・ニューギニアの海底にある鉱床を採掘しているらしい。母は、父のことを移動するアフリカゾウ、自分を家にいる猫、それぞれが気に入った暮らしをする事にしたと離婚理由を説明した。母は助産士をしている。
 マルシオ・日系三世のブラジル人。近くの農園で働いている。八年前に帰ってきて農園を継いだ瀬戸農園に務めて二年、ランタン荘に暮して五か月。
 農園の直売所で一万円が紛失した。近くに黒のワゴンが止まっていた。瀬戸があったと一万円を出した。真下さんは、瀬戸さんも大変だと言った。マルシオは、夜、ワゴンに乗り込んだ。朝、瀬戸農園に殺虫剤が撒かれた。液体がかかった野菜や土は取り除かれた。黒のワゴンが止まっていた。近所で事務所荒らしがあった。マルシオが伝言を残していなくなった。仲間と行く。ジロのシチューを作っていた。
 黒のバンのブラジル人は、マルシオの昔の仲間と思っていた。瀬戸が、パウロは、元々瀬戸の仲間だったと言う。パウロは瀬戸を必要とした。マルシオは、機械や電気に詳しい自分をアピールして採用された。
 マルシオは、瀬戸農園と瀬戸さんを守るために行ったのかとも思った。
マルシオは知った。普通の生活が、どんなに我慢を強いられるか。
 二十年ぶりに相応しい挨拶と近況報告を冬吾に送った。

 海亀ハイグイ ウォンシューイン黄淑英 広東省からきた留学生。国立大で経営学を学ぶ。八月に実家が倒産、八万円の仕送りが止まった。授業料を払い家賃が払えないと言う。キャパクラでアルバイトしている。三十六万円貰えるところ六万しか貰っていない。
 中学時代の同級生・都築徹がランタン荘に来る。都築は同棲相手が妊娠し結婚を迫られ逃げている。二人は話し、彼女は別れて実家に帰ることになった。都築は、彼女は僕といると今より苦労すると言う。瑞輝は、後に、彼女の実家が資産家だと知る。
 淑英のアルバイト先の社長を調べ、言い訳の実を調べる。直接対処し、アルバイト代が払われた。淑英はキャパクラのアルバイトを続け、ただ同然で手に入れたドレスをリフォームし、人にレンタルし収入を得始めた。
 
 バルザフ 建設が中止されているマンションで、写真展が行なわれた。四日後、建設会社が撤去した。首謀者は、ジーラ。ジーラは今も亡くなったディアナの写真をペンダントに入れている。ジーラは言う。悪いのは私、いつも逃げた。ディアナから、家族から、夫から。
夫に話せた。夫が日本に来る事になった。

 テリンノム 空き部屋を倉庫代わりに貸した。入れられた荷物・メンズブティックの商品。運び込まれた時にいた店員がスペアキーを借りに来た。翌日商品は無くなっていた。
瑞輝は操作開始、殺された女性、麻薬の運び屋、最後には、八割の洋服を回収。親に拒否された金も回収。
 空き室と思われていた部屋には、空の段ボールが積まれていた。祖母の思惑は?

 住人祭 近所の久保井さんが玄関を入ったところで遺体で見付かった。ランタン荘を訪ねてきたソウジロウさんに疑いがかかった。ソウジロウには、ナオヤという兄がいた。ナオヤがランタン荘の住人だった。十年前に突然行方不明になった。ソウジロウは兄を探しに来て出来る限り日本にきて探していた。
 瑞輝は、久保井家と隣家の庭が見える昔の堀跡に行き、植物によって二軒の関係を知った。折口は久保井から毎月十万円を貰う関係だった。瑞輝は折口に疑惑をぶつける。本当のことを話して誰が喜ぶかしらという折口に、瑞輝はランタン荘の住民の濡れ衣は晴らせる。折口は転んだ久保井が起き上がろうとして転び、頭を打って亡くなった瞬間を見ていた。娘・香穗さんに、知られたくなかっただろうと思ったと話した。
 瑞輝は、折口との昔話がヒントになり、ナオヤの居所を掴んだ。二軒の庭を見た昔の堀跡の暗渠。骨を見付けた。ソウジロウが帰った。
 ランタン荘の前にベンチを置く事によって住民との仲が改善された。

 エキストラ ランタン荘が映画に使われた。大家として瑞輝も出演する。
 中国人がランタン荘を買い、中国人アパートにする話しが持ち上がり本決まりになりそうだった。瑞輝は落胆しながら買う予定の中国人を調べる。手広く仕事をしているが、あまりいい話しは聞こえて来ない。契約にも訪れない。不動産屋にお金も振り込まれない。ランタン荘を買う話しは聞こえている。そんな時、瑞穂の命が狙われる。捕まえるとランタン荘を買う予定の男と間違えられていた。命を狙った男は、置いてあったお金を取って中国へ帰った。ランタン荘を買う予定の話しをなくなった。瑞輝がランタン荘を叔父たちから買うことになった。
 瑞輝の出た映画の上映が始まった。母親と見る予定のところに父親もきた。
 
 
 

2024年10月6日日曜日

風の市兵衛 弐  うつ蝉 

風の市兵衛 弐  うつ蝉 辻堂魁

 三月、唐木市兵衛が、川越藩から助け江戸に連れてきた娘・村山早菜が、三千石の旗本・岩倉家に輿入れした。岩倉家は小姓番頭であり、嫡子高和も中奥番衆に就いていた。
 岩倉家には大枚の借財があり、高和にも、いろんな噂があった。高和には元町芸者の側女がい、四才になる息子が存在する。金貸し七右衛門に遊興費を借り賭場通いをしている。七右衛門は三日んいあけず屋敷に出入りしていた。
 婚礼から半月経ち早菜は、岩倉家のことを知った。高和は早菜の住む離れに来たことがない。早菜の後ろ立て・両替商の近江屋の財力を充てにした婚礼だったと思った早菜は、付き女中の静と岩倉家を出て近江屋に戻った。
 
 北町同心・渋井は、大阪堂島の米仲買商の泰三郎が殺された事件を調べていた。七左衛門に会いに行くと言って出たことで七左衛門に訪ねるが、人違いだったと言われた。

 四月、市兵衛は元村山家家人・富山小左衛門と七左衛門と高和のことを調べていることが気に入らない七左衛門と岩倉家用人・鎌谷は、二人を殺害しようとする。別々に呼び出された二人は、岩倉家の別邸に連れて行かれ、富山は殺される。高和、鎌谷、七左衛門、助っ人二人がいた。
 高和と鎌谷、七左衛門は逃げた。
 七左衛門は二十年前の大阪時代の七左衛門を知っている泰三郎の甥が江戸に来た事で七左衛門の昔が知れ渋井に捕まった。
 秋、打ち首になった。
 鎌谷は当主の命で、切腹したことにされ殺された。鎌谷がかってにしたこととされた。調べは打ち切られた。
 
 五月、借財が嵩んだ岩倉家は、台所預りとなった。直後、則常は小姓組番頭を解かれた。高和も出仕に及ばずとなった。
 六月、家禄千五百石となり、亀戸へ屋敷替えとなり、無役の小普請になった。つたの息子は高和の子ではなく、七左衛門の息子と判明した。つたは女中となり子供も一緒に長屋に住んだ。
 早菜は、富山の遺骨を郷里・武州松山に納めに行った。市兵衛は見送りに行く。

 

2024年10月4日金曜日

貸し物屋お庸謎解き帖⑤ 夏至の日の客

貸し物屋お庸謎解き帖⑤ 夏至の日の客 平谷美樹 
 貸し物屋湊屋両国出店の主は庸。松之助は湊屋本店から手伝いに来ている手代。綾太郎たち陰間を生業にしている仲間が、両国出店の追いかけ屋として交代で手伝う。

 花の宴 大工の頭領の修業中の庸の弟・幸太郎が、師匠が元気がないと言ってきた。七十七才、矍鑠としていた仁座右衛門だった。庸は走入廻り、仁座右衛門の庭に桜を植え、舞台を拵え、芸者を呼びんだ。仁座右衛門の名を出すとみんなが集まった。仁座右衛門は、綾太郎が気に入り一晩過ごすと元気を取り戻した。

 炬燵の中 按摩の宗沢が、炬燵を返す時期だが、猫が住着きもう少し貸して欲しいと言ってきた。何か変だと思った庸は宗沢宅へ行く。宗沢が猫と言ったのは生首だった。東方寺の瑞雲にお払いを頼む。宗沢が二か月前、小塚原を通ったことを知った庸は、八丁堀の同心・熊野にお仕置きになった者を聞く。鬼火の駒八がいた。瑞雲に話し調伏を頼む。鬼火の駒八は首を晒されている時、宗沢が通った。宗沢が足を洗い元気にしていることに良かったと思って付いて来てしまった。その後をたくさんの亡霊が付いてきてしまったのだった。宗沢は、足を洗うことを認めてくれてありがとうございましたという。駒八は成仏した。元、盗賊一味だったとしゃべった宗沢は、自首すると言ったが、同心・熊野は、奉行が、ずっと前に足を洗っているからいいと言われたと言い、いろんなことが耳に入ったら教えろ、いろんなことを頼むかもしれないと言った。

 夏至の日の客 柴田洪順・学者見習が、一年前の夏至の日、ギヤマンの杯を借りに来た。何に使うかとかいろいろ聞いた庸に、もう良いと言ってでて行った洪順をつけた。他所で借り、少しして返したことを見届けた。庸は調べ考えた。洪順が火付けをしようとしていることは分った。洪順は、師匠の内藤玄丈を殺そうとしていると思った。洪順が長崎へ行った。庸は熊野にも洪順が火付けを考えていることを言うが、起こっていないことを奉行にまで言われないと言われた。それから一年経った。内藤玄丈の屋敷の火事を起こす装置を外した。見付けた洪順を呼び出し、装置を外したことを話す。玄丈の所に帰るのを止めるように言う。洪順の訳した物を玄丈の名で出版する玄丈を許せなかった。行き場所のない洪順に長屋を貸した。

 揚屋町の貸し物 吉原の出店に赤ちゃんを三人貸して欲しいと遊女が来た。本店にどうしようか相談に行くと庸に相談しろと言われた。相談された庸は、名乗った雪解が本人か調べる。違っていた。見付けた女と話しをして、庸はもう捨てるような人形を三体持って行く。病身の彼女は、魂が抜けて出歩くようになったと言う。心残りがあったから赤ん坊を借りに来たんだろうと聞く庸に、元雪解は、三人の赤ちゃんを堕胎したと語った。庸は三体の人形を出し、お焚上げされるのを待つだけの身だから最後まで慰める役目を貰って喜んでいる。可愛がっておくれと言う。
 三人の子供を連れた女が、庸にお辞儀する。翌日そめが亡くなったと知らせがあった。
 
 宿替え始末 常連の長助が、宿変えをするので大八車を貸して欲しいとやって来る。去年の夏頃から、夜中に音がしたり、幽霊が出るようになり家族がここに住めないと言い出した。長助は入谷の百姓で、家族と小作人で畑をしている。話しを聞いた庸は、加持祈祷をし、それで駄目なら家を建て直すという話しにした。大工は弟に頼むという。待っていた本家の七右衛門に話す。
 引っ越しが終わり、明日加持祈祷をするという夜、庸と松之助、綾太郎、勘三郎は長助の家で待機する。四人の男がやってきて穴を掘り始める。庸たちが現れる。七右衛門がいた。先祖の日記でこの土間に何かがあった時に土地の人々を助ける物を埋めてあることを知り、長助一家が邪魔になった。埋めてあったのは大量の胡桃だった。庸は長助に何もかも話すという七右衛門を置いて帰る。こんな事だろうと思った庸は加持祈祷を頼んでいなかった。
 翌日、長助に聞いた。胡桃を七右衛門の蔵で預かり飢饉の時に、近隣に配るという約束をした。土間の土を元通りにすることとした。長助は元に引っ越した。

2024年10月2日水曜日

江戸に花咲く

江戸に花咲く アンソロジー

祭りぎらい 西條奈加 
 公事宿「狸穴屋」絵乃。篠笛作りの師匠が祭り嫌い。娘婿が篠笛作りの上手で、祭りの笛吹が上手。娘と娘婿は、好き合っているのに、師匠は離縁させるという。廻りの皆で、師匠を祭りに引っ張り出す。師匠の母親は祭りの日にいなくなったという噂。もう昔のことは・・・

天下祭 諸田玲子
 平山行蔵、兵法、体術、武骨で小さな老人。奇矯ともいえる極端な粗衣粗食の暮しぶり。祭など・・・。そんな行蔵のところに若い娘・さんが、孫だと言って現れる。覚えのない行蔵だが・・・。母親が亡くなる間際、行蔵の名を言ったと言う。唯一の友、お庭番・古坂参左衛門の娘・いちが、お庭番から逃げた。古坂から娘を止めて欲しいと頼まれたが止められなかった。相手の男は、遺体で見付かったが、いちは逃げ果せたのだろう。さんは奇麗な着物を来て祭で踊る。行蔵はまだ間に合うかと祭を観に走る。
 
関羽の頭頂 三本雅彦
 柳瀬円十郎は、「運び屋」他人に奪われてはならない事情がある荷物を運ぶ。中身を見ぬ事。相手を探らぬ事。刻と所を違えぬこと。神田祭、関羽の山車の登頂。田安御門至近で、開いた扇を立てること。侍たちに狙われる。彼らは、何を何故扇子を立てるかしゃべる。お前たちが話さなければ、誰が立てたか分らないからお咎めはないよと言い置いて倒す。顔の化粧が取れる。花笠で顔を隠して扇子を立てる。祭の絵にその場が描かれた。円さんに似ていないから大丈夫。

往来絵巻 高瀬乃一
 神田祭佐柄木町御雇祭絵巻ができ上がった。良い出来でみんな大喜び。だが、囃子方が十人のはずが九人しか描かれていない。その場に居合わせた女貸本屋せんは、絵を描いた人を紹介して欲しくて絵の人数が違っていることを調べる。一人笛吹きが祭の日に亡くなっていた。隠されていた。祭の後と言う事になっているが祭より先かも、事故死と言われているが、殺しかも。全部祭で隠された。せんは絵師を紹介された。十三、四の幕臣だった。絵を頼んだが殺された。将来店を持ったら描いてくれるという。江戸一番の絵師になっておくと言った。後の安東広重。

氏子冥利 宮部みゆき
 三島屋の富次郎は、神田明神で老人を助けた。負ぶって三島屋に連れて行く。百物語を聞く。錠前師だった。十三才の時、姉を手込めにした男を叩き殺してしまった。やってきた親分は、家の有り金を全部持っていき、空き巣と鉢合わせした定六は殺されたことになった。姉は身投げした。自分は錠前屋に奉公に出た。ずっと自分は罪人だと思って暮してきた。
血の匂いのする着物を見付けた。着物から女が「すみちょう、たすけて、うこん色、さかさふじ、お願い、たすけて」と言う。探した。そして見付けた。地下の牢屋敷に姉弟がいた。岩末じいさんは二人を助け出した。火が出て気が付いたら外にいた。炭蝶の次男が、十年間閉じこめた女と子供だった。女は死んでいた。
 岩末は、親方を継いだ息子が亡くなり、親方を亡くした若い職人とその女房を助けるために帰ってきていた。