江戸に花咲く アンソロジー
祭りぎらい 西條奈加
公事宿「狸穴屋」絵乃。篠笛作りの師匠が祭り嫌い。娘婿が篠笛作りの上手で、祭りの笛吹が上手。娘と娘婿は、好き合っているのに、師匠は離縁させるという。廻りの皆で、師匠を祭りに引っ張り出す。師匠の母親は祭りの日にいなくなったという噂。もう昔のことは・・・
天下祭 諸田玲子
平山行蔵、兵法、体術、武骨で小さな老人。奇矯ともいえる極端な粗衣粗食の暮しぶり。祭など・・・。そんな行蔵のところに若い娘・さんが、孫だと言って現れる。覚えのない行蔵だが・・・。母親が亡くなる間際、行蔵の名を言ったと言う。唯一の友、お庭番・古坂参左衛門の娘・いちが、お庭番から逃げた。古坂から娘を止めて欲しいと頼まれたが止められなかった。相手の男は、遺体で見付かったが、いちは逃げ果せたのだろう。さんは奇麗な着物を来て祭で踊る。行蔵はまだ間に合うかと祭を観に走る。
関羽の頭頂 三本雅彦
柳瀬円十郎は、「運び屋」他人に奪われてはならない事情がある荷物を運ぶ。中身を見ぬ事。相手を探らぬ事。刻と所を違えぬこと。神田祭、関羽の山車の登頂。田安御門至近で、開いた扇を立てること。侍たちに狙われる。彼らは、何を何故扇子を立てるかしゃべる。お前たちが話さなければ、誰が立てたか分らないからお咎めはないよと言い置いて倒す。顔の化粧が取れる。花笠で顔を隠して扇子を立てる。祭の絵にその場が描かれた。円さんに似ていないから大丈夫。
往来絵巻 高瀬乃一
神田祭佐柄木町御雇祭絵巻ができ上がった。良い出来でみんな大喜び。だが、囃子方が十人のはずが九人しか描かれていない。その場に居合わせた女貸本屋せんは、絵を描いた人を紹介して欲しくて絵の人数が違っていることを調べる。一人笛吹きが祭の日に亡くなっていた。隠されていた。祭の後と言う事になっているが祭より先かも、事故死と言われているが、殺しかも。全部祭で隠された。せんは絵師を紹介された。十三、四の幕臣だった。絵を頼んだが殺された。将来店を持ったら描いてくれるという。江戸一番の絵師になっておくと言った。後の安東広重。
氏子冥利 宮部みゆき
三島屋の富次郎は、神田明神で老人を助けた。負ぶって三島屋に連れて行く。百物語を聞く。錠前師だった。十三才の時、姉を手込めにした男を叩き殺してしまった。やってきた親分は、家の有り金を全部持っていき、空き巣と鉢合わせした定六は殺されたことになった。姉は身投げした。自分は錠前屋に奉公に出た。ずっと自分は罪人だと思って暮してきた。
血の匂いのする着物を見付けた。着物から女が「すみちょう、たすけて、うこん色、さかさふじ、お願い、たすけて」と言う。探した。そして見付けた。地下の牢屋敷に姉弟がいた。岩末じいさんは二人を助け出した。火が出て気が付いたら外にいた。炭蝶の次男が、十年間閉じこめた女と子供だった。女は死んでいた。
岩末は、親方を継いだ息子が亡くなり、親方を亡くした若い職人とその女房を助けるために帰ってきていた。
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