2025年2月26日水曜日

おやこ相談屋雑記帳④ 生命きらめく⑲

おやこ相談屋雑記帳④ 生命きらめく⑲ 野口卓 

 妻にして娘 五十才の三河屋の隠居が、十七才の岡場所の女・ヒナを身請けし二年になる。隠居・全翁は、ヒナが、自分が居なくなった時にどうなるのか心配だと相談にくる。波乃がヒナに接近し友達として話し相手になる。何度か会い話している間に、ヒナが、「何を全翁に教えてもらうか、何から教わるか自分で考える」と言う言葉を導き出した。

 おコンさん 将棋会所にくる吉蔵の祖父の隠居所で、祖父が狐に餌付けし、子どもが出来ていると話す。信吾は訪ねて、こっそり狐と話す。狐に、人間が話している内容が理解できるのかと尋ねた。判っていると答えた。狐は子どもに餌捕りを教えたいが、餌をもらっていると教えられないと相談する。信吾は、食べないで残せばいい。何度か繰り返せば判って貰えるとアドバイスする。吉右衛門には、小狐に餌の取り方を教え始めたのだろうと言っておいた。

 生命きらめく 波乃の出産が近づき、波乃は実家に行っている。信吾は生まれる子どもの名前を考えた。男の子は七五三一と書いてシメカズ、女の子は七五三と書いてシメにしようと二人で笑った。将棋会所では落ち着かない信吾に勝てるかもしれないと常連の桝屋が信吾に挑む。生まれた知らせがあった。波乃はシメでしたと言った。本当に赤子だった。
 巌哲和尚に報告に行き、子どもに七五三・シメと付けたことを伝える。
 他の人には名前を付けたことを言わなかった。
 波乃は産婆の言うことしっかり聞き、その通り実行する。そのため、後産が良く十二日後には家に帰る許可が出た。
 
 羽化のとき  信吾と波乃は、全翁に宮戸屋に招待された。ヒナは、読み書き、習字、算盤、裁縫、料理を習っていた。子どもを抱え、縫仕事の内職をして政経を立ている近所の寡婦に、裁縫と料理を習っていた。シジミ売りの太一を筆頭に七人の子に全翁は教えているらしい。
 将来、ヒナが、手習所ができればいいと考えているようだ。

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