奥様姫様捕物綴り〈一〉 甘いものには棘がある 山本巧次
美濃国御岳、四万石 牧瀬内膳正忠基の妻・彩智と、娘・佳奈母子は、甘い物が大好き。
新作を持って来てくれる満月堂の羊羹を食べる。その満月堂の菓子を食べ、病になった者が幾人も出て、奉行所の調べが入り店を閉めていると聞いた二人は、近衆の、板垣隆之介に調べさせる。二人と交流のある常陸谷原三万石の久保田家の側室・初音が、菓子を食べ臥せっていることが判った。
二人は、若衆姿で町に出、満月堂のことを調べる。満月堂が強請られる現場を見、無頼の髷を切り、病人でないことを暴く。彩智は北辰一刀流免許皆伝、佳奈も腕が立った。
こっそり初音の見舞いに行き会った。久保田家御典医の松原瑞仙にも会った。長屋住まいの腹を下した町人にも会った。一人亡くなった老人の家族にもあった。子どもがこっそり分け与えた同じ長屋の子どもたちは、お腹を壊してはいなかったことを知った。
何度も二人で調べているうちに、北町奉行所定町廻り同心、萩原藤馬と知り合う。情報を得た。
瑞仙が襲われ重傷を負う。初音は懐妊していた。初音のお付きの女中・久仁江も殿様の子を懐妊していた。久仁江が、初音の子を殺し、自分が後に収まりたいと企てたことだった。
久保田家江戸留守居役次席・谷山玄右衛門が、久仁江にこのままでは子どもを取り上げられ屋敷を追い出されるが、初音を亡き者にして久仁江が後釜に収まると囁かれ、計画が勧められた。久仁江の実家に雇われた者が、満月堂で買った人の後を付け、家の水がめに、下剤を入れる。何軒かおなじことをする。同じ時期、初音も菓子を食べ、薬を少しずつ与えられて身体を壊すことになった。
久仁江と父親を捕まり、久仁江と母親は江戸十里四方払いになった。父親は死罪だろう。谷山は切腹した。当主は謹慎した。
北町奉行遠山佐衛門尉が屋敷を訪ねてきた。二人の行動を良く思わない者がいるので注意するようにと言われた。
0 件のコメント:
コメントを投稿