2025年2月15日土曜日

隠密船頭〈十四〉 鉄槌

 隠密船頭〈十四〉 鉄槌 稲葉稔

 南町奉行・筒井伊賀守に呼ばれた「奉行の隠密」沢村伝次郎は、「永尋ね」になっている五年前の事件の探索を命じられた。

 長屋の大家が殺され、下手人は長屋に住んでいた浪人・三枝甲右衛門とわかったが、三枝は消えていた。その後、見付かっていない。五人を殺し、金を奪っていた。
 探索していた同心・貞方は二年前に、賭場の取り締まりでいきなり短刀で腹を刺され亡くなった。一緒にいた松田が、刺した男を殺した。
 長屋に住んでいた者から話しを聞き、似顔絵を作る。三枝を何か月か前に見たと言う者がいる。三枝には入れ墨があった。風呂屋を探す。神田佐久間町あたりか範囲が狭まる。

 伝次郎の妻・千種は、桜川という小料理屋をやっていたが、火事で店が焼けた。

 与茂七は、遊び人だったが、伝次郎に拾われ探索の助けをしている。剣術を習っている。昔の悪仲間・佐吉と会う。佐吉は三枝が顎でこき使っていた者を知っているという。佐吉とは悪仲間だったが、佐吉は女房と赤ちゃんがい、今では指物師の職人になっていた。
  
 伝次郎は、犯人は一人だったのかと言う問いから始める。大家の家の女中が見付からない。三枝と事件前に話していたという情報もあった。三枝は探されていると知っていた。二年前、貞方が三枝を探していることを知っている者が殺したのではないか。

 湯屋から追いつめた三枝たち、賊だった者が逃げ込んだのは佐吉の家だった。与茂七は、身を呈して佐吉家族を護り、三枝達に説く。三枝たち三人は捕まる。
 三枝は、誰が調べているかを小者から調べさせていた。二年前、貞方を刺した男は、貞方が三枝を探していることを知っていた。すぐ、何の調べかも判らないうちに貞方を殺していた。
 犯人の仲間かと思われた女中は、仲間ではなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿