おとなりの晴明さん〈三〉 仲町六絵
〜陰陽師は夏の星を祝う〜
消えた祇園会 桃花は隣の晴明さんと祇園祭の宵々山に行く。安倍晴明・閻魔大王に仕える冥府の官吏。閻魔庁第三位の晴明は今春から長期休暇を得て、現世にきている。
晴明の持っている推古鈴に誘われ稚児が現れる。稚児は立烏帽子の付喪神だった。
レストランで永見篁と会う。閻魔庁第十六位の冥官・小野篁。永見篁の名で市立図書館を営む。
翌日、稚児の要望に応え、稚児と一緒に奈良へ行く。桃花は奈良で一人の陰陽師・楠葉志乃夫とゆかりと猫の墨香に会う。稚児は無くなった南都祇園会をみんなに見せたいと言った。
シノブは実際に見たものを眠っている人間に見せる術を使って、南都祇園会の再現を見、奈良の観光客の夢の中に見せた。
河童の川下り競争 桃花は一人日帰り旅行に行くことになった。亀岡の出雲大神宮で御朱印を受け、嵐山に帰ってくることになった。
桃花は晴明に保津川で行なわれる保津川の河童と滋賀県の安曇川の河童の川下り競争の見張り役を頼まれた。
狸が化けたり、大津絵の鬼に化けたり、ふな鮨の匂いを使ったり卑怯な手を使って競争する。大津の志古淵の神が窘め真剣になった。結果は同着、フクロウになった桃花は見届けた。出雲大神宮の御朱印と真名井の水をお土産に京都駅に着いた。
台北で夜のお茶会を 桃花は家族三人で台湾旅行に行った。晴明から推古鈴をネックレスにして貰った。禍々しい存在が近付いてきたら鳴る鈴。
ホテルの風呂場で七才ぐらいの少女が近付いて来た時に鈴がなる。夢の中で晴明と話す。桃花を山へ連れていこうとする少女が、赤いリボンを付けたヒトガタを持って行くように仕向けた。夜、モシナを騙して悪かったと思っている桃花に、料理店の店主の母親に化けた観音菩薩から、赤いヒトガタを抱いて喜んでいたことを聞いた。
夏の星を祝う ゴミを飲み込みフクロウの母親が死んだ。フクロウの子が怪我を負い、生きられないから巣から落とした我が子が人に拾われ動物園で生きていることを知り、成仏出来ないで彷徨っていた。草木有情庁の大羽根に協力して桃花がフクロウになり母親を息子に会わせた。
大文字山で星を見た。
富子姫の送り火 雨が続き送り火に火が付けられるか危うくなってきた。
日野富子の悪いことばかりを聞く桃花は、本当のところはどうなのか調べることにした。
篁の図書館に行く。日野富子も現れた。送り火を始めたのは富子だった。大雨の後だったが、山は踏み固められたようになっていた。送り火は行なわれた。
桃花に冥府の官吏は世間の汚い部分を見せてしまう。人間の記憶を改竄することが出来る
と言う篁に桃花はこのままで良いという。晴明さんといると面白いと答えた。
桃花は赤ちゃんの時、晴明神社で人の想いの集合体・泡魂を見て泣いた。晴明が手で庇を作り泣き止ませた。結果晴明と桃花の間に縁が生じた。
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