神様の御用人8 浅葉なつ
案山子が見た空 宣之言書に現れた神の名・久延毘古命。古事記に一度だけ現れる歩くことは出来ないがあまねく天下のことを知る案山子のこと。眷族として梟の富久と蟇の謡が付く。知恵の神は世の英知を手にし、驚くことも感心することも無くなった。美しいと思っていた空さえ見飽きて、この世にいなくてもいいだろうと思うようになり引退したいと言い出した。神様の御用人・萩原良彦は、久延毘古命を自分の家へ連れてきて、朝ご飯を作らせたり、JAの稲本・稲の精霊に聞いた市民農場で田植えを経験させる。久延毘古命はもう少し人の子の営みの中で新しい世界を共に見、新しい感情にも出会いたい。と思うようになった。
真・大和屋金長伝 狸大明神の狸の金長が、消えかけている狸たちのために「阿波狸合戦」の話を集め、我らに読み聞かせて欲しいという。良彦が本を集め、一冊を読み終えると狸たちの身体が、元に戻っていた。門外不出の「大和屋金長伝」に接して、良彦は三人の男の手によって作られ、一人の女によって広められたことを気付いたか?良彦と一緒にいる方位神・黄金には判った。
世は変れども神は変らず 時代ごとに人の求める神となってその度に自らの顔を描き替えていた八幡大神が、今の時代に相応しい八幡大神の顔を描いて欲しいと言う。良彦は偶然見付けた八幡様の元にいた僧侶が絵師になって描いた絵を八幡さまに見せる。誰を描いたか後世の人には判らない男性の絵。僧侶でも貴人でもなく何の変哲もない男の絵、「世は替わると雖も、神は替わらず」。世の中は変っても神は変らない。八幡大神は八幡大神らしくあればいい。八幡大神を描いた絵だった。
おまけ・恐怖のドライブその後 良彦は穂乃香の大学入学祝いに何をプレゼントしようか迷っていた。穂乃香は大学生活に慣れるために、父親の絵のことで知り合った松下望に付いてバーベキュー会場に来たが、やはり馴染めなかった。一人で帰るバスの中で、須勢理毘売の運転する真っ赤なオープンカーを見付ける。バスから降りる穂乃香とオープンカーから降ろされる良彦。良彦は穂乃香に名前入りのボールペンを貰う。
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