2019年9月16日月曜日

烈風ただなか

烈風ただなか あさのあつこ
 鳥羽新吾が薫風館で得た友・栄太は学問を修めるため江戸行った。
 今また、もう一人の友・間宮弘太郎も薫風館を辞め、結婚するという。弘太郎のしっかり者の妹・菊沙(13)が蝋燭問屋の主に見初められ縁談が来ているという。 
 新吾は十六才の今春、元服した。新吾の父・鳥羽兵馬之介は美貌の妻・依子を置いて他の場所で巴と暮らしている。巴に子が宿ったと言う父に、母はもっと巴どのを労れと言う。
 新吾は父が何者か知りたかった。父の裏にいる者は何者と常々考えていた。
 弘太郎の許嫁・室石八千代が、殺され死ぬ寸前の男から金の入った袋を渡された。鳥羽兵馬之介に届けてと言い残した。死んだ男を見たという老人がいたが、遺体が無くなり耄碌していると言われたが明くる朝、老人が川で遺体となって見つかった。八千代は誰にも何を言わなかったが、病気の母に高価な薬を与えるために金を使った。八千代は新吾と弘太郎に話した。新吾は誰にも知られずにすぐ、母親を間宮家に連れてくるよう言い、自分は父の所に行った。
 誰にも知らせることなく、栄太が石久に帰ってくるように言われ、帰って来ていた。二人には会いに来た。島崖をよく知っていると思われていた栄太だったが、知らない降りをしたことで帰るよう言われていた。
 父に八千代のことを話し、栄太のことを頼む。間宮の家に帰った新吾は室石の家があらされていることを確かめ弘太郎と栄太のところに行く。室石の家では菊沙が大騒ぎをして皆を集め、自分たちを守った。
 栄太のいた古寺は焼かれ、栄太が一緒に帰って来た人たちは殺された。栄太は山に隠れていた。古寺から少しの金が見つかった。二代前の藩主の隠し金というほどではなく、誰かがくすねた程の料だった。
 新吾は父から草屈(くさかまり)だと聞いた。公儀と繋がった草屈だった。新吾の五才上の兄・城之介は鳥羽家の秘密を明らかにして切腹しようとした。そして他の草屈に迷う者、揺れる者への見せしめに殺された。父は息子の仇に従う気は無く、死のうとした。それだけの覚悟が有るなら生きて藩に尽くせと言われた。怪しまれず中枢から退くために巴と暮らし始めた。巴も草屈だった。
 藩側に公儀の動きを伝えた。また藩にも間狩者がいた。誰が束ねどれだけの配下がいるのか判らない。
 父は鳥羽の家から出た。新吾が家督を継ぐ。新吾は教授方となり薫風館から政を除き学びの場にするために生きると決める。父はおまえは光の下で生きろと言った。
 

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